タイトル:悪魔で温泉です。マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/11/28 07:14

●オープニング本文


 阿蘇山のふもとにひっそりと軒を構える温泉宿。
 名前を『湯万寿』という。ここは一部の者のみが知る秘湯であった。

 湯万寿自慢の露天風呂――。
 脱衣場の戸をがらがらと開け、2人の女性が風呂場へ足を踏み入れる。
 ‥‥1組のOLだ。
 1人はショートカットの髪をした、切れ長の瞳の美人。きりりとした雰囲気の綺麗系。
 もう1人はセミロングの髪をした、ややたれ目の美人。ふわふわとした雰囲気の可愛い系。
「すっかり寒くなって来たよねー」
「ええ、こういう時はやっぱり温泉よね」
 などと話す2人。まずは背中を流すべく洗い場へ向かおうとするが‥‥
「あれっ?」
 ふと、セミロングの女性が声を小首をかしげた。
 ――視線の先は湯船。
「どうしたの?」
「ん。先客かな」
 ショートカットの女性の問いに、セミロングの女性は不思議そうに答える。
 ‥‥湯気の向こうに、湯船に浸かる2つの人影を見つけたのだ。
 シルエットからして、2人ともたぶん女性だろう。
 脱衣場には、自分達の他には衣服や下着などは無かったと思ったが――。
「ほら、あれ」
 セミロングの女性は顎をしゃくって見せる。
 ショートカットの女性もそちらを向いた。
「あらホント。珍しいわね」
「もしかして智覇さんとそのお友達かも? 挨拶しようよ。えへへ」
 セミロングの女性はにこにこと嬉しそうに笑みを浮かべながら湯船のほうへ、ぺたぺたと歩いて行く。
「違うと思うけど‥‥ちょ、待ちなさい」
 ショートカットの女性は「智覇さんはもっとスレンダーな体型のはず」と言おうとした。
 湯船に浸かる人影は2人とも豊満な体型に見える‥‥。
 しかしセミロングの女性が先に行ってしまったため、後を追う。

「こんにちはー‥‥あ?」
「もう、だから違うって‥‥あっ」
 湯船に近づき、固まるOLの2人組。
 そこに居たのは――

 人間ではなかった。
 形は豊満な女性の『人型』ではあるが、人間ではない。
 まず肌の色が違う。不気味な薄く青みがかった肌をしている。
 肌自体は艶ややかであるが、明らかに人間の肌の色ではない。
 次に‥‥人間にはない異形の部位。
 『1体』の頭部には前を向いた牛のような黒色の鋭い2本角。
 もう『1体』の前頭部には天を突く、鬼のような黒色の1本角。
 2体の耳の先は尖っており、背中からは蝙蝠のような羽根、
 お尻からは先端が鏃のような形をした黒い尻尾が生えている‥‥。
 髪は‥‥1体は銀髪のロングヘア。
 もう1体は同じく銀髪のロングだが、後ろで結わえてポニーテールにしてあった。

 2体は湯に浸かったまま、ゆっくりと女性2人のほうを向く。
 その眼は‥‥やはり人間のものではなかった。
 白目に当たる部分は漆黒に染まっており、瞳の色は黄金。瞳孔は猫のように縦に細長い‥‥。
 その姿を一言で表すなら――『悪魔』。

 セミロングの女性は一瞬、能力者なのではないか、と思ったが‥‥違う。
 能力者の中には覚醒するとこのように姿が異形へと変質する者も存在するが‥‥明らかに雰囲気が違う。
 ‥‥訳の分からない状況にぐるぐると思考をめぐらせていると、
 2体の『悪魔』が女性2人の身体を、その黄金の瞳でねっとりと舐めるように見回し――
 ニヤリと笑った。
「「ひぃっ!?」」
 女性2人は思わず声を上げる。
 2体の容姿は美しい‥‥男性ならば見惚れるほどに美しい――のだが、
 その異様な風貌が全て打ち消していた。
 がくがくと足が震える。動けない。
 2体の悪魔がお湯から上がり、女性2人に近づく。
 動けない。逃げられない。
 2体の悪魔はそれぞれ無抵抗な2人の女性の肌に、
 巻かれたバスタオルの上から‥‥鳩尾から下腹にかけて指を這わせた。
 恐怖に怯える女性2人は、その感触にぶるっと背を振るわせた。また、悪魔がニヤリと笑う。
 そののちに、2本角の悪魔は両手にサーベル状の刃物、1本角の悪魔は両手に鎌状の刃物を、
 どこからともなく取り出し、一閃させる。‥‥女性2人は、反応すら出来なかった。
 ――次の瞬間、女性2人の纏っていたバスタオルはバラバラに切り裂かれた細かな布片と化す。
 悪魔2体の薄く青みがかった肌とは対照的な、明るい色の肌が露わになる。
「「‥‥っ!?」」
 声にならない悲鳴を上げる2人。
 得物をどこかへ仕舞うと、2体の悪魔はそれぞれに両手で、女性2人の手首を掴んで拘束。
 そして‥‥唇を奪った。
「「ん〜! んんん〜!!」」
 2人は激しく抵抗するが、その尋常ではない腕力の前には無意味だった。そこへ――
 一閃。光が煌めく。2体の悪魔は瞬時に反応し、女性2人を解放して距離を取った。
「お2人とも‥‥大丈夫ですか?」
 ふわりと舞うアッシュブロンドの髪。
 女性2人を庇うように立ち塞がったのは、
 智覇。ダークファイターにしてキメラハンターの智覇であった。
 手には2本の短剣。身体にはバスタオルを巻いており、太ももにはナイフホルダーが見える。
「ちは‥‥さん‥‥」
「たすけて‥‥くれた‥‥のね‥‥」
 床に崩れ落ち、朦朧としている女性2人。呂律が回っていない。様子がおかしい。
 2体の悪魔は再び1対のサーベルと鎌を手にし、智覇と対峙中。
「くっ‥‥」
 奥歯を噛む智覇。
 敵は恐らくキメラ‥‥しかし‥‥今までこの温泉に出現したものとは違う何かを感じる‥‥。
 ここで倒してしまいたい所だが、今は‥‥。
 智覇はすぐに判断を下した。2本の短剣をホルダーに納め、
 ぐったりとしている女性2人を小脇に抱え、風呂場を脱出。
 脱衣場へと逃げ込み、戸をしっかりと閉めた。とりあえず2人を寝かせる。
「ぶはー!?」
 そこへ『偶然』にも出くわしてしまった不運な(?)男性客が鼻血を噴き出す。
 気づけば全力疾走をしたために智覇のバスタオルも取れてしまっていた。
「見ましたね‥‥?」
 前髪に隠れ、陰になっている智覇の目元‥‥。その中で、ギュピーンと瞳が光った。

 ***

「――と、こんな訳です」
 座敷に座り、ずずいとお茶を啜りながら、智覇は湯万寿の女将に風呂場で起こった一件を報告。
 OLの2人組は部屋へ運んで布団に寝かせた。命に別状はない。
「ともあれ、一安心‥‥」
「一安心ではありませんよ!」
 羊羹をぱくりと口にした智覇に対し、女将が抗議の声を上げる。
「‥‥?」
「不思議そうな顔をしないでください! はあ‥‥また出てしまったんですね‥‥」
 しくしくと涙を流す女将‥‥。この温泉には度々珍妙なキメラが出現していたが。
 今回は久方ぶりのことであった。
「すぐに、ULTへ連絡を」
「わかっていますよ。はあ‥‥」
 智覇はオンとオフをきっちり切り替える人なので、本人にULTを介した依頼が無ければ動かない。
 ‥‥余程のことが無ければ。
 ゆえに、女将はため息を吐きつつ、黒電話の受話器を取る。
(‥‥)
 しかし――その横でお茶を啜る智覇の目つきは、何故だか鋭かった――。

●参加者一覧

潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
遠石 一千風(ga3970
23歳・♀・PN
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
水無月 湧輝(gb4056
23歳・♂・HA
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
秋姫・フローズン(gc5849
16歳・♀・JG
布施川 逢介(gc7835
22歳・♂・JG

●リプレイ本文

●湯万寿へいらっしゃーい
 露天風呂に出現した悪魔型キメラ(?)を退治するべく集まった8名の傭兵達――。

(久し振りのお仕事で腕が鳴るもん、それに、温泉も楽しみ♪ 楽しみ♪)
 やや濃い目の緑色の髪に小麦色の肌をした少女、潮彩 ろまん(ga3425)はるんるん気分。
 どれ位かというと、お風呂用としてヒヨコや半漁人の玩具を持参した位。
「女将さん、ボク、温泉凄く楽しみ‥‥。悪い宇宙悪魔なんて、ボクの剣で真っ二つにしちゃうね!」
 湯万寿の女将に向かってニカッと笑い、腰に差した刀の柄をぎゅっと握り締める。

 赤く長い髪をした、長身の美人、遠石 一千風(ga3970)。
(今回は触手キメラじゃないのね‥‥)
 そのように考える。彼女はうねうね系のキメラが苦手だった。
 ゆえに、今回の敵は人型キメラであるからして、幾分か気が楽な様だ。

「うん、まあ依頼以外でも来ればいいんだけどね。
 とりあえず女将さん、今回もあたし達にお任せなのだ♪」
 元気溌剌なおさげの少女、香坂・光(ga8414)はやる気まんまんだ。

「久しぶりにやってきました湯万寿〜♪
 なんかちょっと雰囲気が違う感じだけど‥‥まあヤるコトは同じだよね!
 という訳で、みんな頑張ってイこー♪」
 金髪のショートカットの美少女、レイチェル・レッドレイ(gb2739)。
 言葉の言葉の端々にアブナイ感じがあるのは気の所為だろうか‥‥。
(‥‥小悪魔系としては、対抗心もちょっとあるかも‥‥)
 そして少し悪魔型キメラ(?)に対抗心を燃やす。

「温泉でゆっくり‥‥というのは退治した後か‥‥」
 水無月 湧輝(gb4056)は純粋に温泉を楽しみたい様子である。

「はーい、今回も温泉行脚が絡んだ依頼な訳だけど、
 キメラが出たのが風呂場なので、衣服を身に着けるのは禁止で、
 バスタオル一枚のみ巻き羽織りで対戦なのよねー」
 胸元が大きく開いた服装の、色気たっぷりのお姉さん、樹・籐子(gc0214)が状況を確認。
 湯万寿におけるキメラ討伐のルールは鉄の掟なので突っ込みは不要!

「温泉は‥‥楽しみ‥‥ですが‥‥嫌なキメラ‥‥です‥‥」
 銀髪ポニテの少女、秋姫・フローズン(gc5849)がおずおずと言う。
 露天風呂を楽しむ為にはまず、キメラを撃退する必要がある。

(混浴温泉! ‥‥何と甘美な響きだろうか。
 そこに現れる色っぽい悪魔のお姉さん!
 ヒャッホーウ! 色々と漲って来たぜー!)
 出会いを求めて阿蘇山の麓までやって来た男、布施川 逢介(gc7835)。
 その対象には人型キメラ(?)も含まれるらしい。実に広い守備範囲だ。

 一行は一息つくと、脱衣場へと移動する――。

●VS悪魔型キメラ? 前半
 脱衣場へ移動した一行は早速衣服を脱ぎ、タオルを巻く。
 今回の敵はぬるぬる系ではないので、タオル『のみ』着用が許されている。

 ろまんは男性2名を意識し、少し恥ずかしそうにしながらも、
 ぱぱっとお気に入りのクマさんパンツを脱いてバスタオルを巻く。
 ‥‥その肢体は豊満。タオルに抑え付けられている胸は大ぶり。
 小麦色の肌と合わせて健康的な色気を醸し出していた。
「皆、凄く綺麗だね」
 女性陣を見回し、ろまんは言う。しかし、ろまんも決して負けてはいない。

「‥‥」
 男性の目があるので、バスタオルを念入りに確認して身に付ける一千風。
 鋭い視線がこちらに背を向けている男性2名へ送られる。

(ぅあー、羨ましいー‥‥)
 光は‥‥隣で衣服をするすると脱いでゆくレイチェルの豊満なバストに目をやり、
 続いてすっとんとした自分のボディラインに目をやり‥‥凹んだ。
「どうしたの光? ひょっとしてボクのコレが羨ましいのかな?」
 視線に気づいたレイチェルは一糸纏わぬ姿で、自分の胸を両手で持ち上げて見せる。
 ‥‥な、何と言う重量感であろうか。どたぷん! という効果音が適切だろう。
「胸は揉めば大きくなるよ。他人に揉まれると効果倍増v」
「うわっ、ちょっ、やめっ」
 そんな声が脱衣場に響く。
 ‥‥ちなみにレイチェルは、タオルを巻くつもりはないらしい。
 ZENRAだ。

「お姉ちゃんは可愛い娘達の媚態が見られるなら、
 自分自身が露わになっても別に構わないんだけどねー」
 その様にじゃれ合う2人に熱い視線を送る籐子。
「男の子2人には刺激が強いかしらねー。
 でもねー、そこはちゃんと対処してくれると有り難いわよねー」
 隣で衣服を脱ぐ秋姫に話しかけ、じっと見つめ、手をわきわき。
「そ‥‥そうですね‥‥。あ‥‥あの‥‥あまり‥‥見ないで‥‥」
 籐子の熱視線を浴びた秋姫は涙目。
「兎に角、頑張っちゃうわよー」
「‥‥や‥‥止めて下さい‥‥ひゃぁ!」
 タオルを巻いた秋姫の胸や脇腹に手を這わせる籐子。
 彼女にとってはこれがウォーミングアップなのだろうか。

 ***

 変わって、女性陣に背を向けて脱衣中の男性2名。
「‥‥湯に浸かっても壊れない、よな」
 湧輝は武器の心配。女性陣の艶姿には興味が無いらしい。
「ハァ! ホァ!」
 逆に逢介は背後から聞こえてくる嬌声等に、既に興奮中。
 腰にタオルを巻くと、隣に居る湧輝を見る。
「楽しみだよなぁ‥‥悪魔のお姉さんに、バスタオル姿の女性陣!
 そしてその神秘のヴェールが解ける可能性が高い! フゥオゥゥ!」
「‥‥」
 湧輝は無言。
「なんだお前、興味が無いのか? 男としてどうかと思うぞ。
 ――ハッ! まさか! ソッチの趣味が?!」
 声を上げ、ばばっと上半身を隠す逢介。
 それと同時に「ドゴォ!」という打撃音が響いた。

 ***

 着替えを終えた一行は風呂場へ突入する。
 先頭はろまんと一千風。
「悪魔のお姉さん‥‥実物はどんなのかな?」
「‥‥何時も通り、さっさと仕留めましょう」
 などと話しつつ、扉をガラガラと開けると――

 そこには2人の美女――いや、青色の肌、角、羽根、尻尾。
 ――悪魔が居た。待ち伏せであった。
「!?」
 2体の黄金の瞳がろまんと一千風を舐める様に見る。
 そして2体はニタァ〜と笑みを浮かべ、
 2人の手首をぎゅっと掴み‥‥顔を寄せ‥‥
「い、いきなりはやだよ‥‥」
「や、やめろ‥‥」
 むちゅううう〜!
 ろまんと一千風に熱い口付け。
「‥‥」
 他のメンバーは呆気に取られて動けない。
 一部は見惚れている様だったが。
 抵抗するろまんと一千風。しかし程無くとろんとした表情となり、だらりと崩れ落ちた。
「‥‥はっ!? 2人を離せー!」
 遅れて状況を認識した光が機械剣を振るう。
 悪魔2体は朦朧状態のろまんと一千風を抱きかかえ、
 2人の胸を揉みしだきながらバックステップで湯船付近まで後退した。
 ‥‥残りの全員が武器を手にするが、遅かった。
 完全に先手を取られた形である――。

 ***

 ろまんと一千風は湯船の付近でタオルを脱がされ、
 悪魔2体の慰み者となっている‥‥。

「今回はいつもと違うタイプだね‥‥。まあ‥‥やる事は一緒だけど。
 ‥‥そして、くっ、キメラの癖に大きいし!」
 光はその様子を見ながらギリリと奥歯を噛む。
 機械剣を握る手に力が篭る。
「って、レイチェル?」
「‥‥」
 レイチェルは唇に指を当て、物欲しそうな眼をしていた‥‥。
 口端からはとろりと透明の液体が垂れている。
 ‥‥そのまま彼女は、ろまんと一千風の肉体を味わっている悪魔2体に突貫!
「レイチェル!?」
 光が止める暇も無かった。

「無抵抗なコを嬲り尽くすのも良いけど‥‥、
 お互いに気持ち良くなるのも、素敵だと思わないかな‥‥?」
 悪魔に対し奇襲を行ったレイチェル。
 1体を押し倒し、その豊満な肉体を手の感覚で味わう。
 その表情は非常に妖艶。だが――
 押し倒された悪魔は転がり、逆にレイチェルに対してマウントポジションを取る。
 そしてむちゅううう〜! と口付けた。
「むううう!? はぁ‥‥ふわぁ‥‥」
 とろんとした表情となる彼女。白い肢体もほのかに赤みを帯びる。
 それを見てニヤリと笑った悪魔2体はレイチェルの肉体に群がり、味わい始めた。
「はぁんっ! そんなぁっ! 2対1なんてぇ! しゅごいぃ〜!!」
 呂律の回らないレイチェルの嬌声が上がった。

 ***

「こ、これはまずいね‥‥」
「はい‥‥。色々な‥‥意味で‥‥」
 汗を垂らす光と頷く秋姫。
「さっさと倒さないとだけど‥‥」
「一緒に‥‥行きましょう‥‥!」
 秋姫の言葉に光が首肯した。
 仲間を弄ぶ悪魔2体の方へ、2人は一気に駆け出す。しかし――
「しまっ、わきゅ!?」
「‥‥きゃあ!」
 何故か床に転がっていた2つの石鹸に足を滑らせ、転倒。
「あいたた‥‥あ、むぅ!? んんん!!」
「痛い‥‥です‥‥ひっ!」
 秋姫がお尻を擦りながら、先に起き上がった筈の光に目をやると‥‥光は‥‥
 その小柄な身体を悪魔1体に持ち上げられ‥‥濃厚なキスを受けていた。
 そして目の前には――もう1体の悪魔。
 声を上げる間もなく、秋姫の身体は抱き締められ、
 唇を塞がれ、口内に熱く滑ったものが侵入してくる。
「〜っ!?」

 ***

「‥‥捕まったら大変だなぁ‥‥」
 風呂場の惨劇(?)に目をやりつつ、湧輝が呟く。
「俺は‥‥行くぜ‥‥」
「‥‥?」
 湧輝の横を通り過ぎる影。――逢介だった。
 彼の表情は、何かを悟った様な‥‥。

 ――そして彼は案の定、悪魔に捕まった。
 タオルを剥かれて身体中にキスを受けまくる。
「くっ‥‥皆! 俺に‥‥構わず‥‥ヤってくれ!
 ‥‥あ、いや、やっぱり‥‥もうちょっと‥‥このままで‥‥!!」
 朦朧としているんだか、そうじゃないんだか良く解らない状態。
「これは‥‥」
「どうしたものかしらねぇ‥‥」
 とりあえず戦闘可能な湧輝と籐子は武器を向けた。‥‥勿論逢介へ。

 ***

 ――次の標的は、湧輝だった。
「熱烈な歓迎だが‥‥遠慮させてくれ」
 そうはいかない。逢介同様タオルを剥かれ、全身にキスを受ける。
 最初は口にされたので、意識が朦朧とする‥‥立てない‥‥。

 残ったのは‥‥籐子1人。
 2体の悪魔が、じりじりと彼女に迫る――。
「‥‥ええと、2人がかりなんて、ちょっと卑怯じゃないー?」
 そんな言葉が通じる相手ではなかった。
 籐子は2体がかりで押し倒され、キスをされ、朦朧状態となってしまった‥‥。

●VS悪魔型キメラ? 後半
「‥‥」
「オオゥ‥‥! オオォォゥ‥‥!!」
 男性2名、湧輝と逢介は美女悪魔2体から全身にキスを受け続けていた。
 ‥‥市場に並んだ鮪の様に、ぴくりとも動かない湧輝。
 対して、鮮度の良い魚の様にビクンビクンと跳ねる逢介。

 暫くして。彼女達(?)にもプライドがあるのか、全く反応の無い湧輝に2体の攻撃が集中。
 今度は敏感な部分へ、手やら全身やらを使った強力な――。
「‥‥っ!」
 それに対して『興味が無く』『全く気にしなく』とも、直接的な刺激には抗えない‥‥。
 湧輝の一部分を見て、満足そうに悪魔2体は笑った。

 ***

 最初に捕まり、最も長い時間責めを受けている、ろまんと一千風。
「キメラなんかに‥‥」
「見ないで‥‥」
 彼女達はもう息絶え絶えだった。
 しかし敵はキメラ(?)。容赦などしてくれる筈もなく‥‥。
「ひゃあああ! はあぁぁぁ〜!」
「だめぇ‥‥だめぇ‥‥」
 悪魔の執拗な責めに、豊満な肉体をくねらせる2人‥‥。

 ***

「あぁぁ〜‥‥! はぁぁ〜‥‥!」
 レイチェルは悪魔2体からの責め――特に豊満な膨らみへの――に、
 最早完全に快楽に身を委ねていた。
 濃厚なキスも何度も受けた。今ではレイチェルからねだる位だ。
 その度重なるキスの為、彼女の朦朧状態は酷く‥‥、
 ただ只管に快楽を求めるのみ‥‥。
「いいのぉ‥‥もっとぉ‥‥もっとぉ‥‥!」

 ***

「ひゃあああ‥‥! あああ‥‥!」
「あふぅぅん‥‥んんん‥‥はぁぁぁん‥‥」
 光と秋姫も責めを受ける。
 美女悪魔2体の唾液には身体がより敏感になる成分が含まれているようで、
 脇腹に指を這わせるだけでも2人はびくびくと背を反らせた。

 ***

「だからぁ‥‥2人がかりは卑怯だってー‥‥」
 籐子も他の皆と同じ様に、全身にキスや責めを受ける。
 敏感な部分への執拗な攻撃‥‥何度も快楽に意識が流されそうになるが‥‥
 籐子は、キスだけは一度のみに止めていた。
 ‥‥他の皆の様子を見る。視界が揺らぐが‥‥全員が床に倒れている事が解る。
 ‥‥悪魔2体が自分の元を離れ、男性2名の方へ向かった。
(今がチャンス!)
 籐子は【GooDLuck】からの【レジスト】で朦朧状態から回復。
 男性2名が弄ばれている隙に、女性を1人ずつ入口まで引きずって行き、
 抱擁。【蘇生術】を施した。

 朦朧としながらも立ち上がる、ろまんと一千風。
「こんなんじゃ‥‥駄目だ、宇宙悪魔には負けないんだもん‥‥」
「絶対、許さないわ‥‥」
 光、秋姫も立ち上がり、武器を構える。
 ‥‥残念ながらレイチェルはキスを受け過ぎた為に回復せず。

「寄せては返す波斬剣――Vの字斬りっ!」
 ろまんを先頭に、一斉に悪魔へ攻撃を仕掛ける!
 だが――
 その攻撃は全て受け止められた。
 悪魔2体はこちらを向き、武器を構えている。
「――っ」
 身構える傭兵達だったが‥‥
 2体の美女悪魔はニヤニヤ笑みを浮かべると羽根を広げ、空へ飛び去って行った。
 ‥‥とりあえず、脅威は去ったらしい。

●紅葉と露天風呂
 大変な目に遭った一行だったが、撃退には成功したので、
 疲れやその他諸々を癒す為に温泉に浸かる。

「はあ‥‥ホント、大変だったんだもん‥‥」
 お湯に浸かりながら、ろまんがふうと息を吐く。
 そこへ――現れる黒い影。
「きゃあっ!?」
「ふふー、温泉にタオル付けて入る人はあたしが全部剥いでいくのだ♪」
 例によって光の仕業だった。皆のタオルが剥がされてゆく。

 そののちに光は洗い場へ移動。
「智覇さん、身体洗ってあげるのだ♪」
 智覇は背中を流して貰い「ありがとうございます」と、表情を変えずに礼を言った。

「‥‥」
 レイチェルは未だ悪魔のキスの効果が残っているのか、ぽけーっとしている。

「智覇ちゃーん、お近づきの印に一杯どうかしらねー」
 と、籐子が智覇を誘うが「お酒は飲みませんので」と、
 きっぱり断られてしまった。
「あーん、いけずー」
 酒をちびちびやる籐子。その隣には秋姫の姿。
「籐子さんは‥‥綺麗な‥‥肌です‥‥」
「ありがとー。秋姫ちゃんも綺麗よー」
 と、ほろ酔い気分で秋姫に抱き付いた。

「紅葉に温泉、そして酒‥‥。これに勝るモノはないな」
 湧輝はゆったりと湯に浸かる。
「次は‥‥雪見酒と行きたいところだねぇ」
 
 逢介は‥‥
(あの悪魔のお姉さん達‥‥また会えるかな‥‥)
 などと、デレデレな顔で考えていた。

 散々悪魔達に弄ばれた一千風は湯で身体を清めると同時に疲れを癒す。
(今回のキメラは趣違ったけれど‥‥一連の黒幕へ近づいたのか‥‥?)
 空に浮かぶ月を眺めつつ、その様に考えるのだった。