タイトル:【千葉】侍の血マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/10/30 15:16

●オープニング本文


 千葉県流山市。
 ここはかの新選組局長近藤勇と副長土方歳三の離別の地である――。

 ***

「バグア軍の動きはどうだ」
 指揮通信車の中でUPC軍の士官服を身に纏った壮年の男性がオペレーターに尋ねる。
 彼はβ−01部隊‥‥108機ものKVを有するKV連隊の総指揮官、森ノ宮・猛大佐。
「はっ。特に動きは無いようです」
「う〜む‥‥」
 オペレーターからの返答を聞き、森ノ宮大佐は顎に手を当ててうなった。
「敵さん‥‥このまま籠城するつもりか‥‥?」
 現在、UPC軍は千葉県流山市の解放作戦の最中。
 β−01部隊が投入され、市街地に展開していたバグア軍の戦力が駆逐されると‥‥
 残存の敵は要塞内部へ撤退し、立て籠もってしまった。
 それより数時間‥‥敵はまったく動きを見せていない。

(さて、どうするかな‥‥)
 一斉攻撃を仕掛けても良いのだが、要塞を攻略するとなると相応の損害を受ける‥‥。
 森ノ宮大佐が思案していると――
「大佐! バグア軍からオープン回線で通信です!」
「なんだと?」
「モニターに出します!」
 オペレーターが操作し、モニターに敵指揮官と思しき男の姿が映し出される。
『聞こえているか、UPC軍の指揮官。私はこの要塞を任されている者だ。
 ‥‥我々の敗北は明らかである。ゆえに、これから‥‥そちらに投降する』
(投降‥‥? 奴め‥‥何を考えている‥‥)
 バグアが素直に投降し、武装解除をするとは考えられない。
 指揮官の投降を条件に部下を逃がすつもりなのだろうか‥‥。
『但し、条件がある。私の投降を受け入れてくれるならば、そこで話そう。以上だ』
 そこで、通信は途切れた。そして――
「大佐! 要塞方向から歩いてくる人影があります!」
 望遠カメラが捉えた映像がモニターに表示される。
「この包囲下で、生身で出てくるだと‥‥」
 バグアのヨリシロには、生身でKVと渡り合える者もいるという‥‥。
 だが、それはごく少数のバグアのはず‥‥。
 この指揮官を名乗るバグアはそれに該当するのか‥‥?
「どうされます?」
 隣に座る副官が尋ねてくる。
「攻撃はするな。敵の言う条件とやらを聞こうじゃないか。
 歩兵部隊を回せ! 決して油断するなよ!」
 森ノ宮大佐は指示を飛ばす。

 ***

「それでは、そちらの要求を聞こうじゃないか、バグアの指揮官さん」
 指揮車内。マイクに口を近づけて森ノ宮大佐が言った。
 ‥‥モニターに映るのは30代半ばと思しき、古めかしい軍服を着た人物。
 本人が言うにはヨリシロではなく強化人間らしい。
 当然、厳重に拘束されており、周囲を屈強な能力者の歩兵が固めている。
「銃器を使用せず、近接武器のみで真剣なる勝負を望む。無論機体を用いて、だ」
「それは決闘ということかな?」
「一騎打ちとは言わない。複数対複数で構わない。こちらは精鋭を出す。
 そちらも相応の使い手を出して欲しい」
「ふむ。それで‥‥?」
「最後まで残っていたほうが勝利だ。そちらが勝てば、我々は全員自決しよう」
「ほう‥‥そっちが勝った場合は?」
 森ノ宮大佐は言いながら考える。
 自決‥‥聞こえは良いかもしれないが、結局のところバグアお得意の自爆だ。
 こちらとしては慣性制御装置が欲しいが‥‥。
「最後の抵抗をさせてもらう」
「なるほどな‥‥わかった。その勝負、受けよう。対戦相手を選抜するので待ってくれ」
「了解した。承諾に感謝する」
 通信を切る。
「大佐‥‥本気なのですか?」
「本気だぞ? 敵さんが何を考えているのか知らないが、損害を減らせるならいいじゃないか。
 ‥‥もちろん、敵さんが自分から提示した条件を破るようなら要塞にたっぷりと砲弾を叩き込むだけだがね」
 副官の言葉に、そのように返す。
「あの指揮官を名乗る男の処遇はどのように‥‥?」
「勝負の結果に関わらず、当然尋問の後銃殺。良くて研究所送りだな。奴も知ってのことだろう。
 さて、というわけだ。すぐにULTに連絡して腕の立つ傭兵を派遣してもらってくれ。
 うちの部隊から人員を割くわけにはいかんからな」
 オペレーターに指示を出し、森ノ宮大佐はまた顎に手を当てる。
 変わったバグアも居るものだ。まあ、ああいう武人タイプは何度か見たことはあるが。
 罠の可能性もある‥‥しかし自分の勘ではそれはなさそうに思える。
(どうなるかな‥‥それも傭兵次第、か‥‥)

●参加者一覧

綿貫 衛司(ga0056
30歳・♂・AA
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
セラ・インフィールド(ga1889
23歳・♂・AA
百瀬 香澄(ga4089
20歳・♀・PN
シーヴ・王(ga5638
19歳・♀・AA
米本 剛(gb0843
29歳・♂・GD
美空(gb1906
13歳・♀・HD
翡焔・東雲(gb2615
19歳・♀・AA
殺(gc0726
26歳・♂・FC
サウル・リズメリア(gc1031
21歳・♂・AA

●リプレイ本文

●流山の決闘
 UPC軍からの依頼を受け、
 バグア軍流山要塞前に集結した9名の傭兵が駆る9機のKV。
 そのコクピットの中で、傭兵達はそれぞれの想いをめぐらす。

 綿貫 衛司(ga0056)――
「どちらに転んでも奴さん方は派手に死に花咲かせられる訳ですか。まぁ、何とも」
 衛司はそこまで言って口をつぐむ。
(贅沢な事ですね。何と言うか、古代中国の覇王項羽の最期が思い起こされます。
 自分達が弱くて負けたのではない、天運がなかった為に負けているのだ、と。
 ま、運を呼び込むのも実力の内ですが。
 只の討ち死にでは誇りは満たされない、か‥‥)

 榊 兵衛(ga0388)――
「成程、強化人間の中にも少しは誇りを知る者が居たか。
 まあ、それがこちらを陥れる為の奸計という可能性も捨てきれないが‥‥
 あえてそれに乗ってやってやるのも一興か。
 さて、【忠勝】を敵に回した事の意味をきちんと分からせてやる事にしよう」
 そう言って彼は更に、
「まさか、バグアに与する物に【忠勝】風の塗装を施す者が居たとはな。
 まあ、いい。猿真似は猿真似でしかないと、思い知って貰う事としよう」
 と続けた。

 セラ・インフィールド(ga1889)――
(さて‥‥敵は一体何を考えているのでしょうか。
 言葉通り決闘が目的ならこちらとしても望む所ではありますけれど、
 裏があるとしたら罠か、もしくは何かの時間稼ぎという線もありますが‥‥
 何にせよ私達が出来るのは全力で引導を渡してあげる事だけですね)

 百瀬 香澄(ga4089)――
(決闘ねぇ、物好きな奴がいたもんだ。
 ま、私も割と嫌いじゃないし‥‥ここは受けて立とうか)
 香澄は勝ち気な笑みを浮かべ、操縦桿を握る。

 シーヴ・王(ga5638)――
(己の身を挺しての条件提示とは、潔いと言いやがるべきですかね。
 いざとなりゃ自爆っつー命を軽んじるようなバグアの手は、正直気に入らねぇですが、
 拘束されてやがる指揮官も、そこんとこどうなのか)
「ただ、真っ向から対等に戦おうっつーのは嫌いじゃねぇです。
 KVを駆る騎士として、尋常に勝負でありやがるです」

 米本 剛(gb0843)――
 彼は自分の故郷である千葉の解放への一戦に関わる事が出来、士気は高めである。
 そして何より、自分達‥‥傭兵の勝利でUPC軍の負担や損害を減らしたいと考えていた。
(敵にの意図‥‥罠があるか等は解らないが、一武人として‥‥卑怯な手は使って来ない思いたいですな)
 考えつつ、バックアップに回っているβ133小隊へ通信。小隊長の高ノ宮・雪中尉に挨拶。
「貴女方が居れば我々も‥‥後顧の憂いがなくなるという物ですね」
 高ノ宮中尉は「ご武運を」と返してきた。

 美空(gb1906)――
「能力者からはいずれ劣らぬ魔人が9機、お相手致すのであります。げっげっげっ」
 空色の前髪に目元を暗く隠し、悪魔的な笑みを浮かべ、それの様な不気味な笑い声を上げる。

 殺(gc0726)――
(武装が限定された戦闘‥‥その中で、自分が何処までやれるか‥‥知りたい)
 自分の掌を見つめたのち、ぐっと握り締める。

 サウル・リズメリア(gc1031)――
(ジャポネのサムライ魂だな、腕が鳴るぜ)
 これから始まる真剣勝負に心を躍らせる彼であった。

●VS侍ゴーレム・前
 約束の時刻通りに、要塞から9機のゴーレムが姿を現した。
 水色地に白のラインが入ったカラーリングが施されている。
 肩に01とマーキングされた機体から通信。
「私の名は能村・凛久。この要塞の防衛部隊の副長である。
 隊長に代わり隊を、そしてこの隊長の機体を任されている」
 鎧武者の様な増加装甲が施された機体‥‥。
 頭部には他の機体には無い、アンテナブレードと思しき角飾りがあった。
 まさしく隊長機と言った所だろう。
「隊長に代わり、我々の要求に答え、勝負を受けてくれた事に礼を言う。
 ‥‥他の隊士も名乗らせて貰おう」

「二番機、市河・銀之助」
「三番機、猪上・健三郎」
「四番機、小幡・嗣郎」
「五番機、柏谷・重郎」
「六番機、菊池・永」
「七番機、栗原・千之助」
「八番機、桜井・一馬」
「九番機、山崎・進」
 そして隊長機に搭乗した強化人間は「以上だ」と言った。

「次はこちらが名乗りを上げるべきですね」
 衛司が言った。
「私の名前は綿貫 衛司。これから死合う相手の名前‥‥確かに記憶しました」
 機体はシコン『扶桑』。
 固定武装の高出力レーザー砲『種子島』はパージ不可能なので腰にマウントしておく。

「俺の名は榊 兵衛。槍の兵衛」
 機体は雷電改2『忠勝』。

「私の名前はセラ・インフィールド。良い勝負にしましょう」
 機体はアッシェンプッツェル『シンディ』。

「UPC傭兵、百瀬 香澄。物好きの挑戦、確かに受けた」
 機体はロビン改『TomLady』。

「シーヴの名前はシーヴ・王でありやがるです」
 の機体は岩龍改『鋼龍』。

「自分の名は米本 剛。お相手出来る事、光栄に思いますよ」
 機体はストロングホークII『破鷹』。

「悪魔拳の美空、貴様らを2目と見れぬ姿に変えてやるのであります」
 機体は破曉『ナズグール・闇黒騎士団』。

「俺の名は殺。‥‥武士道、騎士道なんて持ち合わせていないけどな」
 機体はスカイセイバー『天人(ティエンレン)』。

「俺はフランス共和国、リズメリア伯爵家次男、サウル・リズメリアだ!」
 機体はパラディン改『シュバリエ』。

「それでは――いざ尋常に――勝負!」
 兵衛が声を上げ、ついに戦いの火蓋が切って落とされた。

 ***

 事前の相談によって決められた傭兵部隊の編成は以下の通り。

 A班:兵衛、セラ

 B班:衛司、美空

 C班:シーヴ

 D班:香澄、殺

 E班:米本、サウル

 ***

 敵部隊は密集陣形。傭兵部隊が先に動く形となった。
 まずはD・E班が先行。

「姫騎士、推して参る! ‥‥なんてね」
 香澄機はBCランス『ゲイルスケグル』を構えて前進。

(自分自身の力を、推し量る!)
 殺機は機刀『獅子王』を抜き、香澄機に続く。

 米本機はゼロ・ディフェンダーと機盾『アルデバラン』構え、前進。
「はてさて、相手の実力は如何ほどの物か‥‥」
 米本機と肩を並べるサウル機は両手で双機槍『センチネル』を保持。
「背中・側面は俺に任せろ! いやぁ、何か、相棒と一緒の戦闘って感じで憧れだよな」
「そうですかな‥‥?」
「そうに決まってるだろ! こっちのフォローも頼むぜ?」
「了解ですよ、お任せを」

 D・E班は直進したかと思えば、敵の直前で左右に分かれた。
 D班が左翼から、E班が右翼から攻撃を仕掛ける。

 ‥‥敵部隊は即座に反応。
 刀装備の機体と槍装備の侍ゴーレムが2機1組となり、得物を構えて左右に展開。
 傭兵の機体4機を全力で迎え撃つ。‥‥槍と刀、刀と刀、槍と槍が打ち合う金属音が響く。

 ***

「頃合いだな」
「予定通り突っ込みます。エスコートを宜しくお願いしますね」
 兵衛機よりセラ機へ通信。返答。
「了解した。では――参る!」
 兵衛機は機槍『千鳥十文字』を前面へ突き出し、ブーストを使用して敵陣へ突貫。
「暫くの間、シンデレラとのダンスにお付き合い頂きますよ!」
 セラ機は機盾槍『ヴィヴィアン』を構え、パンプチャリオッツを使用。敵陣へ突撃を行う。

 凄まじい勢いで敵陣へ迫る兵衛機とセラ機。
 ‥‥その2機に対し、敵陣が動く。
 槍装備の侍ゴーレムが3機が前面に出て槍を突き出した。‥‥迎撃の構え。
「「――っ!?」」
 兵衛とセラは反応しようとするが、既に敵と接近し過ぎていた。
 兵衛機は咄嗟に超伝導アクチュエータVer.3を使用。
 そのまま――激突。

 ***

 態勢を崩した機体を立て直そうとする兵衛とセラ。
 敵の武器は長槍で、傭兵の武器よりも射程で勝っていた。
 損傷チェック。‥‥手痛いダメージ。
 敵機へカメラを向ける。‥‥流石に相手も無傷と言う訳ではない様だ。
 その時――
 セラ機の目の前へ、肩に02のマーキングが施された侍ゴーレムが躍り出る。
 槍装備の侍ゴーレムの後方に控えていた2機の内1機‥‥!
 完全に体勢を立て直す暇を与えまいと、刀による斬撃を放ってくる。
「くそ‥‥!」
 回避が間に合わない。ツヴェルフウァロイテンを使用。1撃、2撃までは何とか防いだ。
 しかし敵の攻撃は尚も続く。3度目の斬撃、振り下ろされた太刀がセラ機の装甲に食い込み、斬り裂く。
 そののちに02の侍ゴーレムは蹴りを放ち、セラ機を弾き飛ばした。
「うわあああ!?」

 ***

「ぐ、セラ‥‥! ――!?」
 兵衛が機体を起こし、状況を確認すると3機の槍装備の侍ゴーレムに包囲されていた。
 3方向から猛烈な突きが襲い掛かる。
「‥‥っ!!」
 兵装を量産型短機刀『雨花』に切り替え、捌こうとするが、次第に機体に傷が増えて行く。
 損傷率が急激に上昇。このままでは――
「な、舐めるなぁ!!」
 兵衛機は再び兵装を槍に切り替え。ブーストを使用。機体を回転させ。槍を薙ぐ。
 その斬撃は侍ゴーレム3機を傷つけ、後退させた。
「はあ‥‥はあ‥‥」
 息を荒げる兵衛。
 2機による突撃は無謀だったか‥‥?
 陽動‥‥遊撃の4機は同じ数の敵の迎撃を受けている‥‥。
 焦りつつも、思考を巡らせる。そこへ――
 肩に01のマーキング。角飾りの付いた侍ゴーレム‥‥。
 隊長機が、兵衛機に刀を突き付けた。
 ‥‥3機の槍装備の侍ゴーレムは散開した模様。‥‥B・C班の迎撃か?
 隊長機は刀を構える。
 ‥‥どうやら一騎打ちを望んでいるらしい。
「‥‥‥‥面白い! その勝負、受けて立つ!」
 兵衛機も槍を構えた。

 ***
 
 A班の突撃を確認したのち、B・C班が攻撃開始。
「どうやら‥‥上手く行かなかった様ですね‥‥。やはり多数の敵に対し少数で攻めるのは‥‥」
 機体を前進させながら衛司が唇を噛む。
 敵の性能、実力が知れぬままならば尚更だ。
 確かに兵衛機は相当のチューンが施されているが‥‥。
「早く援護に行くであります!!」
 真ルシファーズフィストをぶんぶん振り回す美空機。
「あのカラーリング、日本の歴史は詳しくねぇですが‥‥シンセングミとか言うヤツですかね」
 ブーストを使用し、2機に追随するシーヴ機からの通信。
 機体の手には試作型機槍『アテナ』を構えている。
「ええ、史実の新選組の様に、敵は集団戦を得意としている模様です」
 衛司が答えると――警告音。3機の侍ゴーレムが接近。‥‥いずれも槍装備だ。
 先程の兵衛機とセラ機の突撃により、装甲が傷ついており、中程度のダメージを受けている様子。
 それぞれの得物で敵に攻撃を仕掛けるB・C班の3機――。

 SAMURAIソードを振るう衛司機。
 侍ゴーレムは槍の柄で巻き込み、その切っ先をずらす。

 美空機は超限界稼働を起動。真ルシファーズフィストによる猛攻を繰り出す。
 侍ゴーレムはそれを避けるか、もしくは増加装甲で受け止めて対応した。
 ‥‥増加装甲の一部が砕ける。しかし、敵もやられてばかりではない。猛烈な突きによる反撃。
 超限界稼働により回避性能が向上している美空機だったが全ては避け切れない。
 ‥‥この特殊能力を起動中は防御性能が極端に低下する。
 機体各部を貫かれ、美空機は大ダメージを受けた。
「ま、まずいのであります‥‥!」
 HMDを装着した美空の顔。その頬から汗の滴がぽたりと落ちる。

 シーヴ機は侍ゴーレムと槍同士による突きによる応酬。
「‥‥好きには、させねぇです!」
 相手の動きをよく観察し、突きや薙ぎに的確に対応。
 槍と槍で打ち合って、敵の槍を跳ね上げる。
「そこ――!」
 一気に踏み込み。兵装を切り替え。
 逆手で保持した練剣『白雪』による斬撃を敵機の腹に叩き込んだ。

●VS侍ゴーレム・後
 ‥‥結果として、初撃で敵の数を減らすという傭兵の作戦は失敗。
 現在は乱戦状態となってしまっていた‥‥。

 兵衛機は敵隊長機と戦闘を継続――。
「くたばれぇ!!」
 鬼の形相で操縦桿を操り、槍の突きを繰り出す兵衛。
 ダメージは確実に与えている‥‥だが‥‥
 隊長機は突きを刀で跳ね除けつつ肉薄。
 上段からの一撃を兵衛機に見舞った。‥‥膝を突く兵衛機。機体が数度小爆発を起こす。
「何故だ‥‥何故そこまでの性能の機体がありながら‥‥投降など‥‥?!」
 警告音の響くコクピット内。負傷した腕を抑え、額から血を流し、兵衛は問うた。
「単機の性能だけでは数には勝てん。隊長はその事を良く理解していた」

 セラ機――
「やりますね‥‥」
 壮絶な、刀と機拳による撃ち合いの末、双方とも損傷大。
 セラ機は片腕を失っていた。
「だけれど‥‥まだ!」
 残った腕を振り被る。

 香澄機――
 槍と槍の突き合いの後のち、
「槍の内側こそが必殺圏内。――仕留めるッ!」
 踏み込んで来た敵機に試作剣『雪村』のカウンターを叩き込む。

 殺機――
 敵の斬撃を盾で受け、そのまま押し返し、盾で殴り付け態勢を崩したのち、
「俺は、俺の力を!」
 全能力使用の連続攻撃を見舞う――!

 米本機――
 盾と剣を用い、大振りな攻撃は避け、確実に敵機へダメージを与えていた。
 敵機の斬撃。盾で受ける。‥‥米本はここが勝負所と判断。
「貰いました!」
 バーストアグレッシヴファングを使用。
 機斧『ヴォルケーノ』を薙ぎ、その刃を敵機の腹へ叩き付けた。

 槍装備の侍ゴーレムを相手にするサウル機――
「ほら、俺、美食家だから」
 槍と槍による突きの応酬。ただ、それだけである。
 特殊能力を用いて受けつつも、双方増大していく損傷。
 だがサウルは、楽しそうだった。強敵を矛を交える事が嬉しいのだ。

 衛司機――
「まだまだぁっ!」
 凄まじい激突音が響く。
 衛司機が敵機へ頭突きを喰らわせたのだ。
 至近距離からの一撃に‥‥敵機は崩れ落ちる。
 刀での斬り合いの末の格闘戦――

●侍の血
「どうやら勝敗は決した様だな」
 敵隊長機より通信。
 バグア側で残っているのは3機。対して傭兵は7機健在。
 激戦の末‥‥傭兵が勝利した。

 隊長機は刀を地に落とす。残った敵機も刀と槍を落とした。
「良い勝負であった。諸君らとは仲間として出会いたかった物だな」
「待て、今日の敵は明日の友。SAMURAIなら逃げずに、辛酸を舐めても生きて漢を貫け!」
 サウルが止めに入る。機体の手を伸ばす。が――
「離れろ。我々の運命は決まっていたのだ。‥‥隊長――お先に失礼します」
 残存の敵3機、そして要塞が閃光に包まれ‥‥大爆発を起こした。

「‥‥騎士道とは生き抜く事と見つけたり。『死ぬ気』の奴には負けらんないよ」
 爆音を聞きながら、香澄が静かに言った。

「約束守りやがって‥‥。敵ながら、と最期を褒めるべきですか」
 シーヴは炎と黒煙が映るメインモニターをじっと見つめる。

「俺は何処まで行けば、アンタに近付けるのかな」
 殺が呟き、傭兵達は依頼を無事完了。

 空は、真っ赤な夕陽に染まっていた――。