タイトル:【OD】砂嵐発生装置破壊マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/07/21 07:38

●オープニング本文


 敵前線基地「アルカルジ」の陥落は、アラビア半島のバグアに衝撃を与えた。
 かつては謎に包まれた危険地帯として知られていたアラビア半島。
 バグアが絶対的な支配地域としていたこの半島も、今やUPC軍との競合地域化。
 UPC軍や傭兵の活躍により、アラビア半島は新たなる転機を迎えていた。

 ――そして。
 吹き荒ぶ風の中、雄大にそびえ立つ城。
 「クウト」と呼ばれるその城は、砂に埋もれもUPC軍の到着を待ち続けている‥‥。

 ***

 中東某所。砂原を、デザートカラーに塗装された1機のサイファーEがブーストを吹かし、駆ける。
 ――コクピットに座り、操縦桿を握るのはパイロットスーツ姿の人物。
 フルフェイスのヘルメットを被っている為、顔は分からないが、その体躯から少年である事が窺える。
「‥‥」
 少年はメインモニターに目をやる。砂漠仕様のゴーレムが1機、陸戦HWが2機。
「‥‥目標を視認しました。これより、排除します」
 オペレーターに対してそう告げた後、戦闘行動を開始。
 ターゲットロックオン。トリガーを引き、レーザーライフルML−3で連射を行う。
 光条はHWの装甲を正確に貫いた。1機が黒煙を上げて停止する。

 ゴーレムがチェーンガンで、HWがフェザー砲で射撃してくる。
 少年はレーザーライフルをリロードしつつ、尚も機体を前進させる。
 フェザー砲は余裕を持って回避。チェーンガンの砲弾はゼロ・シールドで受け流す。
 砲弾が盾により弾かれる音が響く。

 再びHWを正面に捉え、ロックオン。レーザーライフルに連動した操縦桿のトリガーを引く。
 複数の光条に貫かれたHWは小爆発を何度か起こし、機能を停止。

 ゴーレムは曲刀を構えて向ってくる。
 少年は臆せず、そのまま肉薄。ゴーレムは曲刀を振う。
 ――ブーストを点火。回避運動と共に敵側面へ回り込む。
 兵装を肉厚の無骨な剣‥‥ゼロ・ディフェンダーに切り替え。
 剣を装備した右腕を振い、ゴーレムの胴に対して斬撃を繰り出す。
 金属音と共にゴーレムの装甲が切り裂かれた。大きな斬痕から火花が散る。

 ゴーレムは慣性制御を用い、即座に方向を転換。反撃を試みる。プロトン砲を発射。
 少年は機体を逸らし、光条を避ける。熱量により機体表面の塗料が蒸発する。
 そして‥‥ゴーレムの正面へ移動。ゼロ・ディフェンダーにより上段から縦一線に斬り付けた。
 続いて横一線に斬り付ける。‥‥連続で強烈な斬撃を受けたゴーレムは膝を突く。
 何度も小爆発を起こし、完全に機能を停止した。

 機体の一部の塗装が剥がれたサイファーEは黒煙を上げるゴーレムの残骸を見下ろしながら‥‥
 ゼロ・ディフェンダーを待機状態‥‥逆手に持ち直した。
「‥‥こちら、カレン・M・クオンジ。目標の排除を完了しました」
『確認しました。お疲れ様です。帰還して下さい』
 オペレーターからの返答。自らカレンと名乗った少年は「了解」とだけ言った。

 ***

 基地へ帰還したカレンを待っていたのは、次の任務であった。
 シャワーを浴びて汗を流した後、ブリーフィングルームへと向う。

 自動扉が開き、室内に入ると、既に同じ依頼を受けた他の傭兵達が集まっていた。
「‥‥」
 カレンは何も言わず、空いている席に着く。
「全員揃ったか? では作戦の内容を伝える」
 UPC軍の仕官服を着た壮年の男がスクリーンに映る地図をポインターで指しながら話し始めた。
「間も無く、リヤードの敵拠点『クウト』に対する攻略作戦が開始される。
 だが厄介な事に、このクウトと呼ばれる城砦の周囲では頻繁に砂嵐が発生しているのだ。
 ‥‥まるで我々UPC軍の侵攻を阻むかのように、な」
 何かを含んだような口調で仕官は言った。
「その為、航空戦力は投入出来ず、陸上戦力が主力となる。
 しかし、君達の任務は城攻めではない。
 クウト周辺には、恐らく、砂嵐を発生させる装置が存在すると思われる。それを破壊して貰いたい。
 大方の位置は特定した。当然、護衛戦力が存在するだろう。気を抜くなよ。
 尚、砂嵐発生装置の破壊後、UPC軍がクウトに対し爆撃を行う予定になっている。以上だ」
 ‥‥言い終わったかと思うと、仕官は「そういえば」と、また口を開いた。
「砂嵐の中心、発生ポイントは‥‥どうも微妙に移動しているらしい。
 自走式の装置なのかもしれんな。それでは、頼んだ」
 言い残すと、士官は退室して行った‥‥。

「‥‥」
 カレンは思案する。
 自走式の砂嵐発生装置‥‥これだけの発生頻度‥‥電力供給はどうなっているのだろうか‥‥。
(‥‥!)
 カレンは静かに、黄金の瞳を光らせた――。

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
ハミル・ジャウザール(gb4773
22歳・♂・HG
ティリア=シルフィード(gb4903
17歳・♀・PN
ブロント・アルフォード(gb5351
20歳・♂・PN
ジリオン・L・C(gc1321
24歳・♂・CA
黒木 敬介(gc5024
20歳・♂・PN
ナスル・アフマド(gc5101
34歳・♂・AA
アルテミス(gc6467
17歳・♂・JG

●リプレイ本文


 UPC軍基地。
 ブリーフィング後‥‥数名の傭兵がまだ部屋に残っていた。

「よぉ、カレン少年兵」
 ナスル・アフマド(gc5101)がカレンに話しかける。
「‥‥何か?」
「この土地は、故郷ではあるんだが‥‥久しくてな。
 おまえさん‥‥敵の所在に関して、何か分かる事はあるか?」
「‥‥砂嵐発生装置の位置ですか。それなら砂嵐の発生ポイントその物でしょう。
 砂嵐の中心に向えば自然に発見出来るかと。
 ‥‥これはあくまで僕の推測です。作戦には従いますよ」
 カレンはそれだけ、淡々と答えた。

「久遠時‥‥? いや、日系って訳でもないのか?」
 黒木 敬介(gc5024)の問いに、カレンは近くの机の上にあったボールペンを取り、
 メモ帳にサラサラと走らせる。
「漢字では『久遠寺』‥‥と書きます」
「ふーん。ま、よろしく。
 若いからって取り分け差別したり甘やかしたりしないけど、それで構わないかな?
 男に優しくする趣味はなくってね」
「‥‥別にそれで構いません」
 カレンはただ、無表情である。

 部屋を出て行こうとしたアルテミス(gc6467)の額にきゅぴーんと電撃のようなものが奔る。
「お仕事お仕事‥‥はっ!? 運命の出会い!」
 カレンの元へダッシュ。
「好きっ! 付き合って〜♪」
 そのまま愛の告白をして抱きついた。
「‥‥あなたは?」
 カレンは抱きつかれたまま振り向き、冷たい視線を向ける。
「クールでかっこいいし超タイプ。一目惚れだね♪ 好き好きーv」
「‥‥ですから、あなたの名前は? 依頼の参加者という事は知っていますが‥‥」
「あ、ボクはアルテミス! よろしくね♪」
 にっこりと笑顔を浮かべる。
「‥‥。とにかく、離れて下さい」
「好き好きーv だって好きになっちゃったんだもん。もう少しこのままでいさせて?」
(口で言わないと伝わらないしね)
「‥‥」
「わっ!?」
 カレンはアルテミスを強引に振り解き、ブリーフィングルームを出て行ってしまった‥‥。

 ***

 全機出撃。砂嵐が吹き荒れる砂原‥‥。

 ディアブロ改『ゼロ』に搭乗するノエル・アレノア(ga0237)。
(こうも視界が悪いと‥‥。孤立だけは避けないと‥‥)
 恋人のティリア=シルフィード(gb4903)に通信を送る。
「作戦通り砲撃は完全にお任せします。宜しくお願いします。
 カレンくんも、宜しくね」

「わかりました。ノエルさんもお気をつけて」
 ノエルからの通信に答えるティリアの機体はスピリットゴースト『Merkabah』。
(移動する砂嵐‥‥自然発生の物でも厄介なのに‥‥。
 バグアが意図的に発生させているのなら、その脅威は推して知るべしです。
 今回の任務は大きな作戦の一環と聞きました。
 作戦が滞りなく進行するよう、まずは目の前の脅威を取り払うとしましょう‥‥。
 視界的な意味でも、ね)
「初めまして。砂漠戦は正直なところ不慣れなので‥‥
 ご迷惑をかけるかもしれませんが‥‥宜しくお願いします」
 カレンは「こちらこそ」とだけ答えた。

 ハミル・ジャウザール(gb4773)の機体はS−01H『ナイトリィ』。
「砂嵐の発生装置‥‥ですか‥‥。
 ここで壊せないと‥‥城攻めが難しくなるんですよね‥‥。
 責任重大です‥‥」

 ブロント・アルフォード(gb5351)の機体はフェニックス『夜朱雀』。
「さて、始めるか‥‥」
 彼は戦闘区域に入る前から一切油断の無いように行動。

 ジリオン・L・C(gc1321)は搭乗機、ガネット『超! 魁! 未来勇者号!』を‥‥
「とーぅ!
 俺様は! ジリオン! ラヴ! クラフトゥ!!
 ‥‥未来の勇者だ!!」
 そんな叫びと共にガキーンとポージングさせる。
「砂嵐だとゥ!? ハァーッハッハッ!!
 片腹痛いな! 実に魔王の手先的だ、実に良い!!」
「‥‥」
 ジリオン以外の全員が華麗にスルー。
「行け! 勇者パーティー! 出撃だ!」
 その言葉を聞いてか聞かぬか、傭兵部隊は砂嵐の中心へ向う。

 敬介のグリフォン、ナスルのグローム『爆凌』、アルテミスのマリアンデール『カリストー』。
 カレンのサイファーEが続く。


 砂嵐の中心へ接近。更に視界が悪くなる。
 各機、地殻変化計測器を設置。全機にデータリンク構築完了。

 ティリア機はファルコン・スナイプを使用。
「着弾点算出、射角修正‥‥砲門オープン、Fスナイプ起動! 砲撃開始します!」
 M−181大型榴弾砲を全弾発射。
 砂嵐発生装置の位置を特定する為、砲弾1発ごとに着弾点を少しずつずらして広範囲に砲撃。

 アルテミス機はファルコン・スナイプ改を使用。
「どっかーん! っと! いっけー!」
 DR−M高出力荷電粒子砲の掃射モードを砂嵐の中心に向って放つ。
 極太の光条を放った後、自動的に装甲を解放され放熱が行われる。

 ハミル機はスナイパーライフルD−02で射撃。

 敬介機は7.65mm多連装機関砲で砂嵐発生装置を炙り出そうとするが‥‥
 他3機の兵装に比べ射程が短過ぎる為、ここから射撃しても意味が無い。
 もっと接近する必要があるが‥‥この視界不良。
 単機で突出するのは極めて危険。ここは踏み止まる。

 視界が非常に悪く、砲撃の効果は確認出来ない。砂嵐発生装置の位置も特定出来ず。
 ノイズの激しいレーダーに、微かに反応。ゴーレム5機が接近。
 前衛の6機が迎撃に出る。

 ***

「敵護衛戦力‥‥砂漠仕様のゴーレム5機を確認。‥‥行きます!」
 ノエル機、試作型『スラスターライフル』での射撃と、ファランクス・アテナイでの牽制の後、
 双機刀『臥竜鳳雛』で近接戦を仕掛ける。

「来たな‥‥仕掛けるぞ!」
 ブロント機はP−115mm高初速滑腔砲で牽制の砲撃を行いつつ、
 3.2cm高分子レーザー砲を照射。

「勇者! ガン!!」
 ジリオン機はクァルテットガン『マルコキアス』で弾幕を展開。

 敬介機はステップ・エアを使用し、ホバー移動をしつつ、プラズマリボルバーで射撃。
 接近してきた所をスパークワイヤーで攻撃。

 ナスル機はゴーレムの曲刀をハード・ディフェンダーで受け止めた。
 そのまま叩き付けて弾いた後、一度距離を取る。
 CK−05Bアサルトライフルにペイント弾が装填されたマガジンを差し込む。
 砂漠迷彩のゴーレムに対し1マガジン分全弾射撃。ゴーレムは蛍光色の塗料塗れになる。
「ハッハー! 丸見えなんだよぉ!」
 接近し、ノワール・デヴァステイターで射撃。

 カレン機は近接戦を仕掛ける味方機をレーザーで援護。

 ブロント機はゴーレムに向い、邪断刀を振う。
「腕は悪くは無い様だが、相手が悪かったな‥‥!」
 邪断刀の斬撃は盾で防がれた。
「急所がガラ空きだぞ‥‥貰った!」
 そこへ練剣『七星』で攻撃! ‥‥が、寸前で回避されてしまう。
「デザートストームはやらせん!」
「こいつ‥‥有人機? オープン回線で通信?!」
 刀と曲刀の鍔迫り合い。
「デザートストームとは砂嵐発生装置の事か?」
 返答は無し。
 ゴーレムは曲刀でブロント機を斬り付け、蹴り飛ばし、チェーンガンとプロトン砲を猛射。
「ぐ、ぐあああああ!?」
 ブロント機はチェーンガンの砲弾に装甲を砕かれ、プロトン砲の光条に機体を貫かれ、大破。


 前衛はゴーレムと交戦中‥‥。
 ノエル機、スラスターライフルで射撃。ゴーレムの装甲に砲弾が突き刺さる。
「ブロントさんが‥‥くっ」

 ハミル機、大破したブロント機に代わって前へ出る。
「フォローに入ります」
 MSIバルカンRの弾幕で牽制しつつ、MMEディフェンダーで近接攻撃を仕掛ける。

 ジリオン機、敵の射撃を回避。
「とーぅ! 当たらん! そこだ! 勇者! ガン!! セカンド!」
 マルコキアスの弾幕をゴーレムに浴びせる。

 敬介機はステップ・エアの起動を継続。敵の攻撃を回避。
 リボルバーで射撃しつつ接近。ワイヤーで電撃を浴びせる。
 再び後退、を繰り返す。

 ナスル機は剣で斬り付けた後に拳銃で射撃。

 ティリア機はゴーレムと交戦中の前衛を援護。
 SライフルD−03での狙撃と、十式高性能長距離バルカンで弾幕を張る。

 アルテミス機は引き続き砂嵐の中心へレーザーガンで射撃。
「撃て撃てー。長距離射撃で狙撃がお仕事なのさ♪」

 その時。地殻変化計測器に反応。
「ハァーハッハッ! 見え透いてるぞ! 魔王の手先ェ!」
 ジリオンは高笑いを上げるが――
「‥‥って、あれ? 後ろ?」
 砂の中から蠍キメラ10体が出現。
 後衛のティリア機とアルテミス機が奇襲を受け、包囲されてしまう。

 ***

 前衛で戦うノエル機、双機刀の斬撃でゴーレムをX字に切り裂き、撃破。
「ティリアさん!!」
 恋人の危機に、名を叫ぶ。

 ティリア機はバルカン砲を蠍キメラに浴びせる。1体は甲殻を貫かれ体液を散らし、動かなくなる。
「大丈夫‥‥ですよ。この程度ならこちらで対処可能です。心配しないで下さい」
 ノエルへ返答。ノエルは、ほっと胸を撫で下ろす。

 アルテミス機は盾で鋏攻撃を防ぎ、練槍に兵装を切り替え。
 突きを繰り出し、蠍キメラ1体の甲殻を焼き貫き串刺しにする。
「そっちはそっちの敵をやっつけてね!」

 ***

 ハミル機は地面に突き立てた剣を遮蔽物とし、砲撃を防ぐ。
 バルカン砲の弾幕と、SライフルD−02のピンポイント狙撃でゴーレムを撃破。

 ジリオン機、ガキーンとポーズを取り、腕をゴーレムへ向ける。
「行けェ! 勇者! ガネットォ! ファングゥ!!」
 ガネットファングを連続発射。全弾命中。ゴーレムは爆発。

 敬介機、ステップ・エアを尚も起動中。
 リロードを挟みつつリボルバーで的確な射撃。ゴーレムの装甲を焼く。
 接近。ワイヤーを打ち付け致命的な損傷を与えた後、
 頭部をクローで貫き、撃破。

 ナスル機はゴーレムの頭部へ近距離から拳銃の銃撃を加える。
 カレン機が接近。剣でゴーレムの両腕を斬り落とす。
 ナスル機はゴーレムの胴体を剣で何度も斬り付け、撃破。

 ***

 前衛はゴーレムを全機撃破。
「急ぎましょう‥‥早く破壊しなければ要塞の攻略に影響が‥‥」
 ハミルが言う。ゴーレムに撃破にやや手こずってしまった。
「ブロントが聞き出してくれた情報‥‥『デザートストーム』‥‥これが砂嵐発生装置の名称か‥‥」
 言ったのは敬介。
「奴の犠牲は無駄に出来ん! 行くぞ勇者パーティー! 前進だ!」
「ええ、行きましょう」
 ジリオンの言葉に頷くノエル。
(ブロントさん‥‥どうか無事で居て下さい‥‥)

 前衛は砂嵐の中心へ移動。すると‥‥砂嵐の発生源をついに発見。
「こいつは‥‥」
「やはり‥‥」
 呟くナスルとカレン。
 それはゴーレムよりも細身な、カレン機と同じ様なデザートカラーをした人型ワームだった。
 デザートストームはプロトン砲を連射してきた。前衛全機は回避運動。


 後衛2機は蠍キメラと戦闘中。
 ティリア機、近距離から旺盛な砲撃を行い、蠍キメラを撃破していく。
「前衛の皆さんが砂嵐発生装置――デザートストームと交戦状況に突入した模様です」
 アルテミス、練槍で蠍キメラを正確に貫き、撃破。
「無事に破壊出来るといいけどー‥‥」

 ***

 前衛6機、デザートストームの激しい砂嵐による目晦ましと連射されるプロトン砲により、苦戦。
 反撃の糸口を見出せずに居た‥‥。

「視界がほとんど利かない状況でこれは‥‥くっ」
「‥‥っ」
 奥歯を噛むノエル。ハミルも急激に上昇していく損傷率に表情を歪める。
「おのれ魔王め! 卑怯だぞ!」
「ジャミングも酷い‥‥くそ、電子戦機が居れば‥‥」
 叫ぶジリオン。ノイズが酷いレーダーを見る敬介。

「どうするよ、カレン少年兵」
 ナスルはカレンに通信。
「一気に接近し、近接戦を仕掛けるのがベストかと。Fコーティングを展開、僕を盾に使って下さい」
「‥‥了解だ。行くぞ。全員、いいな?」
 全員から「了解」との返答。

 全機ブーストを使用。
 ゼロ・シールドを構えつつ、カレン機が先行。
 プロトン砲の猛射を受けるが‥‥なんとか耐えて見せる。
 距離を詰めた全機は、一斉に攻撃を開始。

「Pフォース起動! ――これで!」
 ノエル機は威力が上昇した練鎌を振い、連続の斬撃を与える。

「この距離ならば‥‥外さない‥‥」
 ハミル機はブレス・ノウを使用。DR−2荷電粒子砲の、極太の光条を撃ち放つ。

「うおお! 俺様の勇者パワーが乱れ咲く‥‥!」
 ガネットオーラを使用したジリオン機。機体から翡翠色のオーラが奔流のように湧き上がる。
「喰らえ!! 超必殺ゥ! 真! 勇者‥‥斬り!!」
 両手でしっかりと保持したブレイブソードによる斬撃。
 燃えるような幻影の炎と共に『超必殺 真 勇者斬り』の筆字が
 ジリオン機の背後にババァーン! と浮かんだ。

 高威力の斬撃と光条と、そして必殺技を受けたデザートストームは外装の一部が脱落し、損傷大。
 内部にもかなりのダメージが及んでいるようだ。

「やれやれ‥‥。俺は必殺技とか、無いんだけどな」
 敬介機は多連装機関砲を猛射。反撃の隙を与えない。

「‥‥ナスルさん」
「なんだ?」
 ナスルはライフルに連動するトリガーを引きつつカレンからの通信に答える。
「敵の機体後部に電源ケーブルと思しき物を確認。あれを狙って下さい」
「そうか‥‥これだけの砂嵐を‥‥常に発生させられるんだもんなァ!」
 ブーストを噴かして敵の背後に回り込み、剣でケーブルを切断。
 砂嵐が‥‥止んだ。
 カレン機は剣を振い正面から斬撃。
「トドメを」
 他の機体もデザートストームに猛烈な砲撃を浴びせる。
「よし、貰ったァ!」
 ナスル機はカレン機の斬撃で亀裂が入った装甲にディフェンダーを叩き付ける。
 ‥‥デザートストームは小爆発を何度も起こした後、大爆発を起こして四散した。

 ***

 基地に帰還後。
 シャワーを浴びて汗と砂を洗い落とした傭兵達は各々で休息を取る。
 ちなみにブロントは、負傷したものの重体まではいかず、医務室で手当てを受けている。

「あぁ‥‥今日もいい、殺し合いだった‥‥」
 ナスルは煙草を吸い、一服。
 隣でミネラルウォーターを飲みながら固形栄養食を頬張るカレンに目をやり、話しかける。
「カレン少年兵、てめぇも、楽しめたか?」
「‥‥僕は仕事として戦っているだけです」
「戦争で金を貰う商売だ。仕事、楽しまなきゃ損ってもんだ」
「‥‥」
 カレンは特に何も答えず、もぐもぐと栄養食を咀嚼した。

 シャワー上がりのアルテミスが背後からカレンに抱きついた。
「今日はお疲れ様ー♪ ねぇ今度、デートしようよ」
「‥‥あの、あなたは男性ですよね」
 カレンは少しだけ困った表情。
 さっきシャワーを浴びた際にアルテミスは堂々と男性用のシャワー室に入って来たのだ。
 それには流石のカレンも最初、少しだけ驚いた。
「何か問題でも?」
 きょとんと首かしげるアルテミス。
 カレンはその無邪気な顔を見て溜息をつき、
「‥‥また、会う機会があれば考えます」
 と答えた。