タイトル:【ODNK】戦女神3.5マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/06/03 01:06

●オープニング本文


 九州。UPC軍某基地。KVハンガー。
 そこに、1人の女性と4人の少女の姿がある。
「あれがお前達の乗機だ」
 女性が言うと、4人の少女達は女性が指し示した先に、一斉に視線を向ける。
 ――そこにあったのは固定されている4機のミカガミB型。
「あれはα−01部隊C小隊、元α−00独立小隊が使用していた機体だ。
 本来ならばシラヌイを用意してやりたかったんだが‥‥すまない」
 女性‥‥片瀬・歩美大尉は申し訳なさそうな表情。
「いえ! とんでもないです! 先輩方が使用していた機体に乗れるなんて、光栄です!」
 4人の少女のうちの1人‥‥α−02部隊の隊長、横山・利瀬は嬉しそうな声を上げる。
「そうか。それなら良かった。少々ピーキーな機体だが、お前達なら使いこなせると信じている」
「はいっ!!」
 一斉に敬礼するα−02部隊の4名であった。

 ***

 数日後――。
 α−02部隊の4名はブリーフィングルームに集められていた。
 しばらくして、直属の上司である高ノ宮・茜少佐が入室してくる。一同は起立し、敬礼。着席。
「集まっているな」
 高ノ宮少佐は4名を見回し、ごほんと咳払いをする。
「諸君らに出撃命令が降りた。――目標は富野分屯地。傭兵部隊と共にここを攻略せよ」
 側に居た片瀬大尉が操作し、スクリーンに地図が表示される。
「本作戦はUPC軍築城基地の戦力を主力とした北九州基地攻略の一環として行われる」
 北九州基地とは、旧銀河重工所有の製鉄所を始めとした、
 北九州が誇る工場地帯を丸ごとワーム製造工場とした直径4kmのドーム基地である。
「富野分屯地に対しては、作戦に先んじて北九州空港に設置された高射砲による砲撃が行われている。
 これにより敵戦力は大きく減じており、諸君らα−02部隊と、傭兵部隊のみで攻略可能と判断した。
 説明は以上。実戦部隊に昇格した諸君らの実力を示すチャンスである。戦果を期待する!」
 これから戦場へ赴く4人の少女を前に、高ノ宮少佐は声を張り上げ、激励した。

●参加者一覧

時任 絃也(ga0983
27歳・♂・FC
王 憐華(ga4039
20歳・♀・ER
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
風間・夕姫(ga8525
25歳・♀・DF
ヤヨイ・T・カーディル(ga8532
25歳・♀・AA
水無月 神楽(gb4304
22歳・♀・FC
ティリア=シルフィード(gb4903
17歳・♀・PN
グロウランス(gb6145
34歳・♂・GP
エイラ・リトヴァク(gb9458
16歳・♀・ER
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF

●リプレイ本文

●α−02部隊
 乙女隊駐屯基地。格納庫――。
「ミカガミとはまた珍しい‥‥もとい、懐かしい機体ですね」
 ぽつりとヤヨイ・T・カーディル(ga8532)が言った。
 ミカガミがこの世に出てから大分月日が経ってはいるが‥‥
 B型へ改修すればまだまだ一線を張れる機体である。

(あのミカガミは‥‥そうか、森ノ宮姉妹が乗っていた機体‥‥)
 歩行形態で固定されている4機のミカガミB型を見つめるティリア=シルフィード(gb4903)。
 この機体は彼女の知るα−01部隊C小隊、元α−00独立小隊の4名が使用していた物だ。
 それとまた共闘出来るという事は、ティリアにとって中々に感慨深い。
「昇格のお祝いは後ほど。α−02部隊の皆さん、当てにさせて貰いますね」
 そしてティリアはα−02訓練小隊改め、α−02部隊の4名へ挨拶。
「よろしくお願いします! 精一杯頑張ります!」
「せっかく実戦部隊に昇格したんです! 高ノ宮少佐が言っていた様に、実力を見せてやりますよ!」
「こちらも傭兵部隊の力を当てにさせて頂きますね」
「まあ皆あまり固くならないで、適度に肩の力を抜いていきましょ」
 横山・利瀬、岩崎・智里、工藤・麗美、山口・麻奈の4人の少女が順番に答えた。

 ***

 その少し前――無人の格納庫――。
 グロウランス(gb6145)が4機のミカガミB型の足元へ歩み寄った。
「‥‥よぅ、兄弟。いや、貴様等とは初対面だがな」
 機体に語りかけながら装甲をコンコンと軽く叩く。装甲には、何度も修復された跡があった。
 新品ではない、戦場を潜り抜けてきた古強者達‥‥。
「新しい主達が貴様らの魂を受け継いでくれるとよいな」
 ふっと口元に笑みを浮かべ、機体を見上げた。
(第2の乙女隊か‥‥。噂や人伝では聞いていたが‥‥さて?)
 その様に考えつつ、グロウランスは自機へと向かった。

 ***

 準備を終えた傭兵部隊とα−02部隊は出撃。

 富野分屯地付近――。
(雛鳥が何処まで化けたのか、拝見させて貰うか)
 R−01改に搭乗した時任 絃也(ga0983)がα−02部隊へ通信。
「お前さんらは陸戦HWの相手を頼む。敵に後れを取るなよ」
 すぐに「了解!」という元気の良い返答。士気は高い様だ。

(雛から一人前となっても試練が続いていくのは自然の摂理なんでしょうね‥‥)
 王 憐華(ga4039)はガンスリンガー『ガスヴァ』のコクピットで想いをめぐらす。

「よろしくお願いします。連携、相互協力していきましょう」
 阿修羅改『蒼翼号』に乗る井出 一真(ga6977)。α−02部隊に通信。「了解です」との返答。

「お前達はもう実戦部隊なんだ。自信を持て。期待しているからな」
 風間・夕姫(ga8525)が言う。彼女の機体はシラヌイS2型『陽炎』。
 α−02部隊から「はいっ!!」との返答。

 水無月 神楽(gb4304)の機体はアヌビス(真)。
「敵の陣容はこちらと同等以上‥‥油断は出来ませんね」

(今度は、醜態は晒させねぇからよ‥‥ミスト。あたしに力を貸してくれよ‥‥)
 エイラ・リトヴァク(gb9458)の機体はスカイセイバー『ワルキューレ・ミスト』。

(彼女達の成長をまたこの目で見られるとは。前回は少し情けなかったから名誉挽回といこう‥‥!)
 気合を入れるドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)の機体はスカイセイバー『ドラペニ Mk−II』。

 グロウランスの機体はシラヌイ『影葬Ver.II』。
「さて、行こうか相棒。俺は、俺の魂を探さねばならん」

 ティリアの機体はスピリットゴースト『Merkabah』。
(九州戦の終幕は近い‥‥ここまで来れたのは自らの命を賭して戦線を維持してきた人達のおかげ‥‥。
 それに報いるためにも、ボクは戦う‥‥!)

「まもなく富野分屯地です。全機戦闘態勢へ移行して下さい」
 ウーフー2に搭乗するヤヨイから全機へ通信が送られた‥‥。

●VSゴーレム
 傭兵部隊とα−02部隊が富野分屯地に接近すると、敵はすぐさま迎撃に出て来た。
 各班に分かれて戦闘開始。編成は以下の通り。

 対タロス:一真
 対ゴーレム:憐華、神楽、グロウランス、エイラ
 対タートルワーム:ヤヨイ、ティリア、ドゥ
 遊撃:絃也、夕姫

 ***

 対ゴーレム班――。
 遊撃班の絃也はまずゴーレム班に加勢。

 絃也機、スナイパーライフルAAS−10kvを構え、ゴーレム1を狙撃。命中。
 ゴーレム1の装甲を深く抉る。絃也は機体を前進させる。
 兵装を試作型『スラスターライフル』に切り替え。再びゴーレム1をロックオン。
 射撃を加える。命中。ゴーレム1の装甲を蜂の巣にし、致命的なダメージを与えた。

「水無月 神楽、参る!!」
 声を張り上げ、神楽機は前進。
「僕の機体は格闘戦が売り‥‥接近しないことには始まらない。
 ですがそれまで黙って良いようにやられるほど、お淑やかではありません」
 ゴーレム2に向けて強化型ショルダーキャノンで砲撃。しかし命中せず。
 だが牽制が目的なのでこれで良い。

 グロウランス機、前進。H−11照明銃を発射。目晦ましをかける。
 有人機であるゴーレムは多少怯んだ様子を見せた。
 これが無人機であば効果が無かったところだが‥‥
 有人機となればパイロットは必然的にある程度視覚に頼る事になる。それゆえの効果。

 憐華機、前進。狙いを定め、スナイパーライフルAAS−10kvでゴーレム3を2度狙撃。
「捉えた。そこっ‥‥!」
 命中。装甲を貫き、ゴーレム3に大ダメージを与えた。

 エイラ機は一気に前進。敵との距離を詰める。

 ゴーレム1、前進。グロウランス機を狙いプロトン砲を連射。
 グロウランス機、超伝導アクチュエータVer.2を使用。回避運動。
 1発命中。咄嗟に試作型AECを使用。グロウランス機は表面装甲が焼けたのみで小程度のダメージ。

 ゴーレム2、前進。ゴーレム1と同じくグロウランス機にプロトン砲を連射してきた。
 グロウランス機は回避運動を取るも、2発命中。装甲が融解。大ダメージ。
「ぐぅっ‥‥まだ落ちんぞ!」

 ゴーレム3、前進。チェーンガンをエイラ機に連射してきた。
 エイラ機は避けきれず、砲弾を受ける。大ダメージ。

 ゴーレム4、前進。チェーンガンをエイラ機に連射。
 エイラ機は砲弾を浴び、大ダメージ。
「がはっ!? ‥‥ごめん、ミスト‥‥耐えてくれ」

 ***

 絃也機、ブーストを使用。
「ちまちまやっていても埒が明かん。ならば、近接戦を仕掛ける――!」
 一気に前進。デモンズ・オブ・ラウンドを振りかぶり、ゴーレム1に斬撃を加え、撃破。
 アグレッシヴ・ファングを使用。続いてゴーレム2を連続で斬り付ける。
 機体を両断されたゴーレム2は爆発。撃破。

「古来から戦では『上』を確保したほうが有利。でもそれは地形を有利に活かしてこそです」
 位置的には攻める側の傭兵部隊とα−02部隊が富野駐屯地を見下ろす形である。
 神楽機、ブースト使用、前進。フレキシブルモーション『神天速』Aを使用。
 リヒトシュヴェルトでゴーレム3に連続の斬撃。命中。
 ゴーレム3の装甲に斬痕を刻み、大ダメージを与えた。

 グロウランス機、ブーストとアクチュエータを使用。前進。
 ディフェンダーでゴーレム3に斬撃を加え、ストライクシールドで殴り付ける。
 ゴーレム3は大ダメージ。

 憐華、デュアルフェイスシステム・バレットファストを使用。
「DFBF起動‥‥さぁ、舞い踊りましょう‥‥ガスヴァ!!」
 前進。機爪『焔魔』でゴーレム3に連続で斬撃。命中。
 ゴーレム3、致命的なダメージ。傷口から火花が散る。

「はあああっ!! 喰らえ、Gナックル!!」
 エイラ機、ガトリングナックルへ音声入力で指示。ゴーレム3に攻撃、命中。
 続いて真デアボリングコレダーを叩き付け、ゴーレム3を吹き飛ばす。
 ゴーレム3はそのまま機能を停止。撃破。

 最後に残ったゴーレム4。グロウランス機に向けてチェーンガンを猛射。
 グロウランス機は回避運動。しかし避け切れず、命中。砲弾の雨を受け、装甲が弾け飛ぶ。
「ぐ‥‥ここまで‥‥か‥‥」
 グロウランス機、大破。

 ***

「くそ、グロウランスがやられたか‥‥。その代償は高く付くぞ!」
 絃也機は機体を捻り、ゴーレム4をロックオン。
 試作型『スラスターライフル』を連射、命中。ゴーレム4を撃破。

●VSタートルワーム
 対TW班――。
 遊撃班の夕姫はこちらに加勢。

 ティリア機はスナイパーライフルD−03を構える。
 TW1をロックオン。狙撃。命中。
 兵装を十式高性能長距離バルカンに切り替え、連射。命中。
 しかしTWの堅牢な装甲に砲弾は阻まれてしまい、致命傷とはいかなかった。

 ドゥ機、前進。TW2に照準。レーザーガン『フィロソフィー』を連射。
 TW2の甲羅を貫き、大ダメージを与えた。

 夕姫機、TW3をロックオン。レーザーガン『フィロソフィー』を連射。
「ゾディアックの蟹座を辟易とさせた私の嫌がらせは伊達じゃないぞ」
 命中。TW3に大ダメージを与える。やはりTWには非物理攻撃が有効だ。

 ヤヨイ機、敵を主兵装であるレーザーライフルLM−3の射程に収めるべく、前進。

 TW1〜3はプロトン砲の砲塔を一斉にドゥ機へ向ける。
 連続で光条が飛ぶ。ドゥ機は必死に回避運動。しかし――
 1発命中。中程度のダメージ。3発命中。大ダメージ。
 どんどん生命力が削られてゆく。コクピットに響く警告音。そして――3発命中。
「えっ――」
 ドゥ機、大破。

「ドゥさんが‥‥!」
 電子支援を担当するヤヨイ。ドゥ機のシグナルロストを確認。唇を噛む。
 ヤヨイ機自身もTW4のターゲットとなる。
 TW4はプロトン砲をヤヨイ機に向け、連射。命中。ヤヨイ機、大ダメージ。
「くぅ‥‥」

 ***

 ティリア機、ファルコン・スナイプを使用。200mm4連キャノン砲で連続砲撃。
「いけー!!」
 命中。TW1は甲羅を傷つけられ、大ダメージ。

 夕姫機、レーザーガン『フィロソフィー』をTW2に連射。
「よくも仲間をやってくれたな‥‥亀野郎!」
 命中。撃破。夕姫機はリロードの動作。
「やられてばかりでは‥‥」
 ヤヨイ機、レーザーライフルLM−3をTW3に連射。
 レーザーはTW3の甲羅を正確に貫き、撃破。

 TW1と4はヤヨイ機に重機関砲の砲口を向ける。
 嵐のような弾幕。砲弾が次々と機体を貫く。ヤヨイ機は致命的なダメージ。大破寸前。
「まだ‥‥まだです‥‥!」

 ***

 ティリア機、ファルコン・スナイプを使用。
 200mm4連キャノン砲でTW1に大使、連続で砲撃。
「ヤヨイさんが?! もう一度‥‥! いけっ!!」
 命中。TW1は爆発。撃破。
「ヤヨイまでやらせるわけにはいかないな‥‥!」
 夕姫機、レーザーガン『フィロソフィー』をTW4に連射。命中。撃破。

●VSタロス
 傭兵部隊がゴーレムとTW、α−02部隊が陸戦型HWと激戦を繰り広げる中‥‥
 一真機はタロス(指揮官・有人機)と交戦中であった。
「すいませんが、お付き合い頂きますよ」
 ブーストを使用。一気に前進。十式高性能長距離バルカンで弾幕を展開。
 命中。タロスの装甲を削り、中程度のダメージを与える。
 タロスは反撃。対抗する様にガトリング砲で弾幕を展開。
 しかし砲弾は一真機の装甲を掠めるのみであった。
 一真機はサンダーテイルとクラッシュテイルでタロスに攻撃。中程度のダメージを与える。
 そして、動きが鈍ったところで――
「SESフルドライブ。ソードウィング、アクティブ! 当たると痛いぞ!」
 一真が叫ぶ。ブースト使用。ソードウィングの鋭い斬撃。反転してもう一度斬撃。
 その刃はタロスの装甲に深々と食い込み、生体部品をも切り裂き‥‥撃破。

「‥‥やっぱりタイマンでいけるじゃないか」
 TW部隊を撃破し、駆けつけた夕姫がほぼ無傷の一真機を見てぼそりと呟く。
 一真機の足元には‥‥無残なタロスの残骸が転がっていた。

 α−02部隊も、担当していた陸戦型HW8機を撃破。損傷は軽微。
 非物理攻撃重視のセッティングをしていたのが功を奏したと言えよう。
 また、搭乗しているミカガミB型もそれなりにチューンが施されている。
 そしてパイロットである少女4人の力量も確かなものと証明された。
「雛鳥の殻は難なく取れた、か‥‥。後は何処まで成長するのか‥‥。
 その行く末を出来るならばこの目で見たいところだ」
 絃也は口元にほんの少しだけ笑みを浮かべ、4機のミカガミB型にカメラを向けた。

 かくして傭兵部隊とα−02部隊は損害を出しつつも敵戦力を殲滅。
 富野分屯地の攻略を成功させたのだった‥‥。

 ***

 バグア軍。春日基地――。
「このえ様」
 眼帯の少女の名を、部下の女性が呼んだ。
「富野分屯地が落ちました。北九州基地も時間の問題でしょう」
「そうか‥‥」
 眼帯の少女――牙城・このえ――バグア軍のエースは静かに答える。
 その2つがUPC軍の手に落ちたとなれば‥‥
 九州バグア軍の残る拠点はこの春日基地と、福岡基地のみ‥‥。
「ティターンを持て。迎撃の準備を」
「はっ」
 このえが凛とした声を響かせると、部下は深々と頭を下げた。

 UPC軍がこの春日基地へ攻め入って来るのならば、全力で迎え撃つのみ。
 このえは眼帯に覆われていない片目をギラリと光らせた‥‥。