タイトル:【VD】その温泉、ほろ苦マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/02/26 14:42

●オープニング本文


 ここは一部の者に秘湯として知られる『湯万寿』という名の小さな温泉宿。
 そこに、優雅にお湯を楽しもうとしている客の姿があった。一組のOLだ。
 一人はショートカットで切れ長の瞳、すっとしたあごのライン。少々キツめな印象を受けるが、かなりの美人である。
 もう一人はセミロングの髪にぱっちりとした大きな瞳。顔は卵型でやや幼くほわわんとした感じ。こちらは可愛い系だ。
 どちらもスタイルが良く、バスタオルの上からでも豊満な肉体が確認できる。
「まったくこの前はびっくりしたわね、ペンギンがいるんだもの」
「でも営業再開して良かった〜ここの温泉すっごく好きだから〜」
 湯万寿の温泉は美肌効果が高いことで有名だ。噂ではバストアップ(豊胸)効果もあるらしいが‥‥
 がらりと風呂場の戸を開ける二人。すると――
 ぷ〜んと漂ってくる甘い香り。
「あっ、良い匂い〜」
「‥‥チョコレート?」
 露天風呂の湯船を見てみると、お湯が茶色に染まっていた。しばらく無言になる二人。
「‥‥あ! ひょっとしたらバレンタインデーが近いから、あれだよ! チョコレート風呂のサービスをやっているんじゃないかなぁ?」
「そんな話聞いてないけど‥‥」
「きっとそうだよ! せっかくだから入ってみようよ。ねっ?」
「うーん、まあいっか」
 風呂場へ足を踏み入れる二人だったが――
「「きゃあ!」」
 ぬるりとした感触と共につるっと滑って転倒してしまった。
「いたたた‥‥なによこれー!」
「ぬるぬるべとべとするよぉ〜」
 風呂場の床は茶色いぬるぬるとした粘液に覆われていた。
 二人が状況を確認する間無く――それはやってきた。
 ずるずる‥‥ぬちょ‥‥ねちゃ‥‥
 湯船からどろどろとした半液体状の物体が出現。こちらに向かって迫ってきたのだ!
「「き、きゃーーーーー!!?」」
 慌てて立ち上がり逃げ出す二人。また転びそうになったり、身体中粘液まみれになっていたり、バスタオルが外れていたりしていたが気にしている余裕は無かった。
「ブハー!?」
 それを偶然目撃してしまった男性客が鼻血を出して倒れる。
「な、なんなのよー!! あれー?!」

「そんなわけで、また困っておりますの」
 深い溜息をつく妙齢の美女。湯万寿の女将だ。
 話によるとまたキメラが出現し、温泉を占拠してしまったらしい。
 今度はスライム型で何故かチョコの香りがするそうな。
 このままでは営業が出来ないので退治して欲しいとの依頼である。
「どうか、よろしく‥‥お願い致します‥‥」
 泣きそうになりながら頭を下げる女将であった。

●参加者一覧

勇姫 凛(ga5063
18歳・♂・BM
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
白銀 楓(gb1539
17歳・♀・HD
六道 菜々美(gb1551
16歳・♀・HD
ルティエ・カルティエ(gb3593
16歳・♀・BM
九条・嶺(gb4288
16歳・♀・PN
琥金(gb4314
16歳・♂・FC
北河クロエ(gb4979
16歳・♀・FC

●リプレイ本文

●VSチョコスライム
「〜〜♪」
 お風呂セットまで持参し、愛用のローラーブレートで足取りも軽やかに湯万寿へやってきたのは勇姫 凛(ga5063)。
「‥!? べっ、別に凛、依頼にかこつけて、一日はオフに出来るとか、思ってないんだからなっ!」
 にやけ顔を仲間に見られてしまい、わたわたと取り繕う。本音が出ている辺りが微笑ましい。‥ちなみに彼は少女と見紛う容姿の美少年であるが中身は立派な男の子だ。ちゃんと彼女も居ます!
「またまたやってきました温泉宿♪ ‥って、温泉入るだけなら嬉しいんだけどねー。もう、キメラも病み付きになる温泉って売った方が‥いや、冗談だけどさ」
 そう言ったのは元気一杯の女の子、香坂・光(ga8414)。彼女は前回のペンギン騒動の際にも湯万寿を訪れていた。普通の温泉旅行をしたいのは山々だが、このご時世なので仕方あるまい。
「ここの温泉、美肌効果があるって評判なんですよねー。楽しみだなー♪」
 ほわほわした春風のような雰囲気の女の子、メイプル・プラティナム(gb1539)がにっこり笑う。
「前に入った時、とても、気持ちよかったから‥また、普通に入れるように、してあげたいです。‥それにしても。この温泉‥キメラを惹きつける、何か‥成分とか、あるんでしょうか‥?」
 物静かな少女が呟いた。六道 菜々美(gb1551)である。彼女はお風呂大好きっ子なので、今回も温泉を守るために参上した次第だ。
「温泉♪ 温泉♪ お仕事で温泉に入れる口実があるなんて最高ですわね♪」
 るんるん気分なのは、ルティエ・カルティエ(gb3593)。くりくりした赤い瞳が可愛らしい。豊満な身体つきと幼い容姿のアンバランスさが何とも魅力的だ。
「年末はペンギンで今回はチョコですか〜この調子ですと春には桜が咲きそうですね、非常に楽しみです」
 九条・嶺(gb4288)はそんな先のことまで考えていた。二度あることは三度あるとも言うが、さて‥。
「今回がはじめての仕事ですけど、精一杯頑張ります。ふふ、初めてのお仕事が温泉なんて、ちょっと楽しそうです」
 水着袋を携えた制服姿の北河クロエ(gb4979)が初々しい笑みを浮かべる。
「チョコ‥まだかな。早く食べたいな」
 皆が温泉目当てで来ている中、一人だけ違う意図で依頼を請けた者がいた。琥金(gb4314)である。彼はチョコスライムそのものが目当てなのだ。
 そして最後に、少しやつれた様子の女将が「よろしくお願いします」とお辞儀した。

 しばらくして、脱衣場――
 能力者達は決戦に備えてそれぞれ持参した水着に着替えを完了。
 まず凛、黒地にファイヤーパターンのボクサーパンツ水着。アイドル傭兵である彼はグラビアで慣れているのかしっかり着こなしている。
 次に光、濃紺の旧スク。凹凸の少ない発展途上な彼女の身体には実に良く似合う。僅かに隆起した胸の部分に縫い付けられた白い布には「ひかる」とぶっとい文字で書かれている。まさにパーフェクト! クロエもスク水だったがこちらは紺色で白い肩紐、更に両サイドに白のラインが入ったアリーナタイプ(背中が開いている)だ。所謂新スクである。
 メイプル、白いビキニ。布地が少なめで結構きわどい。たわわな二つの果実が今にも零れてしまいそうだ。
 菜々美、大人しい性格らしく控えめな青のワンピース水着。だがその豊かな胸の膨らみは隠しきれず、しっかりと自己主張しているのであった。
 ルティエ、なんとも大胆な黒のビキニ。黒い布地が対照的な白い肌を引き立てており、そのプロポーションも相まって、似合いすぎているくらいだ。
 嶺、俗に言う紫のブラジル水着。‥即ち、最低限の部分しか覆われていないV字型。殆ど紐に近く、その肉体を惜しげもなく晒していた。限界ギリギリだ。描写する事も躊躇われる。一体どこからレンタルしたのかは謎。
 最後、琥金。褌一丁!! ‥以上。

 一通り説明も済んだ所で、能力者達はガラガラと戸を開け風呂場に足を踏み入れた――
「いやぁぁぁっ!!?」
 途端、悲鳴が上がった。菜々美がチョコスライムに襲われたのだ。待ち伏せである。
「床がすごいぬるぬるしてはわっ!?」
 その横でメイプルが派手にすっ転び、床を覆っている粘液に顔から突っ込む。
「うええ、口の中にまでぇ‥げほっ、ごほっ」
 口内の粘液を吐き出そうとするも粘度が高いので舌に絡んでしまっている。ついでに顔から突っ込んでしまったので身体中べとべとだ。ぬらぬらとした粘液に光が反射して真っ白なビキニが艶やかな光沢を放つ。
「だめぇ‥! 取らないでぇ‥!!」
 スライムに張り付かれてしまった菜々美。必死に剥がそうとするがその吸引力は凄まじく、まったく取れない。水着の隙間からどろどろとしたものが侵入し、ぬらりとした粘液が肌を這う。その感触にびくびくと身震いする菜々美。そしてそのままするりと水着を脱がされてしまう。‥解放されたときには、生まれたままの姿になっていた。
「‥み、見ないでくださぃ‥」
 己の身を抱きかかえ、瞳に涙を浮かべつつ床にへたり込む菜々美。
「菜々美さん!」
 それを見たルティエが刀で斬りかかるがあまりダメージを受けた様子は無い。
 しかも反撃を受け菜々美同様張り付かれてしまう。
「きゃあ!? ‥いやですわ、そんな‥なに、この感触‥気持ち悪い‥!」
 身体を覆っていくどろどろした物体。それは敏感な太股の内側を登って行き――
「ぁぁん! そこはぁ‥いけません! いけま‥せんわぁ‥っ」
 ついに嬌声が漏れる。‥解放された頃には、ルティエもぐったりした様子で倒れ込んでしまった。
「よくも皆を! 凛、怒ったんだからな!」
 凛が大鎌を振り被ろうとするが――何かが足に纏わりついた。
「下!?」
 その拍子に転倒してしまう。前の二人同様張り付かれてしまった。
「ぬるぬるして‥気持ち悪い‥あっ、変なとこに入ってくるなっ!!」
 だがもう遅い。水着の下部分から入り込んだスライムにあらぬ所をまさぐられ、声にならない声を上げる凛。
「み、皆!? ‥あんなスライム、さっさと倒して温泉入るのだ!」
 仲間の様子にちょっぴり動揺した様子の光であったが両手に機械剣を構え、突撃。
「わ!? ちょ、何するの!?」
 回避を試みるが鈍重そうなスライムでもその身体を触手のように伸ばして攻撃してくる。当然、張り付かれてしまった。
「嫌だよ‥! ダメ! 触らないでっ!!」
 抵抗空しくぬめっとしたものが身体中を這い回り、粘液まみれになってゆく光。触手状になったスライムの一部が唇を押し開き口内にも侵入してくる。
「もごっ!? んんん〜っ!!?」
 ‥光もまた、ぴくぴくと手足を痙攣させるだけになってしまった。
 皆がスライムに襲われて(色々な意味で)大変になっていた頃――
「どどどどうしましょう!? 皆さんが! 早く助けてあげないと!」
 初依頼ということで後方にいたクロエは今の所無事であった。
 そして嶺は――
「‥‥」
 その様子をじぃーっと眺めている。
「嶺さん!!」
 必死に呼びかけるクロエだったが――
「‥うふふ、うりゃー!!」
 嶺は何を思ったかクロエに向かってダイブ。
 どどーんと二人して粘液溜まりに突っ込んだ。
「な、なにするんですか!」
 抗議するクロエに対して嶺は――
「うふふふ、皆さん楽しんでいらっしゃいますし、私達も楽しみましょう♪」
「楽しむって‥ええっ!?」
 そのまま嶺はクロエを押し倒す。ぬちょぬちょねちょねちょと音が響くが詳細は割愛させていただこう。
「クロエさんって良い香りがしますわね。チョコの香りに混じって薔薇のような‥‥コロンでもつけていらっしゃるの?」
「いえ‥これは‥覚醒のせいですっ」
 顔を真っ赤にしているクロエであった。

 ‥能力者は皆、粘液に塗れ、戦意を失ってしまった。
 このまま敗北してしまうのか?!
 否、否である。まだ希望はあった!
「チョコ‥チョコ‥」
 うわ言のように呟いている琥金。‥そう、彼こそが最後の希望だ!!
「チョコーーーッ!!」
 眼をきゅぴーんと光らせ一匹のスライムに飛び掛り、がぶりと齧り付く琥金。
 怯んで取り込まれていた能力者を解放するスライム。
 その混乱に乗じて脱出した能力者達は、それぞれの武器を取り、3手に分かれてスライムへ総攻撃を開始。
「うう、許しません!」
 虚闇黒衣で裸体を隠しつつ戦う菜々美。
「凛、愛のこもってないチョコなんか、いらないんだからなっ‥忘れぬ想いを力に変えて、その不浄の命、刈り取れ紫苑!」
 凛も力いっぱい大鎌を振るう。
「もう一気に決めちゃいます! 粘・質・切・断・剣ッ!」
 更にメイプルもスキルを使用し斬りつける。
 そして数分後、なんとか撃破に成功したのである。
「ふっふー、勝利♪ ‥って、きゃぁ!?」
 得意げに勝利のポーズを決める光。しかし例によって一糸纏わぬ姿になっていたことに気がつき、慌てて身体を隠すのだった。

●お掃除
 やっとの思いでスライムを退治した能力者達。その粘液を落とすためにシャワーを浴びたのだが、すぐにそれが無意味だったことを思い知らされる――
「床はちゃんときれいにしないと危ないでひゃー!?」
 バトルモップで床を掃除していたメイプルであったがまたしても粘液に足を取られ滑って転がる。それに巻き込まれた者、多数。その後もメイプルがモップをかけるたびに転び、結局皆またぬるぬるになったそうな。

●チョコレート風呂
「どんな感じ、なんだろ‥?」
 最初に恐る恐るチョコレート風呂に足を付けたのはやはり菜々美であった。
 先にも述べたが趣味が入浴の彼女。やはり興味があったらしい。
 しかしながらさっきまでスライムが入っていた温泉である。躊躇してしまうのも仕方がない。
「‥えいっ!」
 覚悟を決めて肩までお湯に浸かる。すると――
「あっ‥」
「どうですか? 気持悪かったりしません?」
 ルティエが尋ねてくる。
 しかし菜々美はにっこり微笑む。
「ちょっと、どろどろしてますけど、気持ちいいです。それに、なんだか、普通の温泉より、身体がぽかぽかする気がします」
「「「「「!」」」」」
 その言葉を聴くと、女性陣が一気に温泉に雪崩れ込んだ。
「貸切温泉思いっきり楽しむのだ〜♪ でもチョコレート風呂っていうのは初めてだねー。‥何か美味しそう」
 ゆったりとお湯に浸かる光。どうやら気に入ったようだ。ついでの甘い香りにもメロメロらしい。
「きっと、飲んだらほろ苦いですよ。それにしても‥はふー、意外と気持ちいいものですねー」
 スライムの粘液を結構飲んでしまったメイプルが答えた。彼女もお湯に浸かってすっかりだれた顔になっている。
「りっ、凛別に、恥ずかしくなんて無いんだからなっ」
 そんな中、混浴だと知らなかった凛は必死に恥ずかしさをこらえていた。
 本人の気持ちとは裏腹に、外見上はまったく問題なく女性陣に溶け込んでいる。
「凛さんには警戒心が湧かないんですよね。何故でしょう」
 嶺がくすくすと笑う。
「くぅ‥‥」
 赤くなって背を向ける凛。
「ふっふっふっ、温泉にタオルをつけるマナー違反はタオル没収♪」
 やはり今回も動き出す光。メイプル、菜々美、凛から悲鳴が上がる。全裸派の彼女には我慢できなかったようだ。
 その時――
「遅れちゃった‥‥ふう、おフロ、気持ちいいね」
 一部分をぷるぷると揺らして素っ裸の琥金が湯船に吶喊。
 ‥また悲鳴が上がったのは言うまでもない。
「??」
 不思議そうな様子の琥金。
「露天風呂が一日貸切なんて最高ですわね。ツルツルスベスベな美肌を目指しますわよ♪」
 一騒動の最中、ルティエは一人夜空を眺めながら晩酌しているのだった。
「ふう、乙なものですわぁ」
 ほろ酔い気分で頬を赤く染め、実に幸せそうな顔である。
 
●百合とチョコ
「よいしょっと。ふう、気持ちいい‥」
 クロエは皆が上がった後一人で温泉に入っていた。
 男の人と一緒に入るのが恥ずかしかったからという理由だ。実に乙女らしい。
 トライリンガルである彼女はもしかしたらお嬢様学校に通っていて男性に免疫がないのかもしれない。
 すると――ガラガラっと風呂場の戸が開いた。
 びくっとするクロエ。
「もう一回入っちゃいますっ。美肌効果があるって評判なんですよねー」
「ええ、ほんとにつるつるですわ」
「酷い目に遭ったけど‥無駄じゃなかったみたい、ですね」
 入ってきたのはメイプル、嶺、菜々美だった。
 ふう、と一安心するクロエ。
「あ、クロエさん。さっき見かけないと思ったら今入っていたんですね♪」
「私も、最初は恥ずかしかったので、仕方がありません」
 メイプルと菜々美がクロエの左右に入ってきた。
「えへへ‥すみません」
「うふふふふ、恥ずかしがり屋さんですわね♪」
 嶺はクロエの目の前に陣取ると、いきなり彼女の胸を鷲掴みにした。
「きゃっ!?」
「あら? 先ほどより小さいような‥」
「私‥は、覚醒すると‥その‥大きくなったりするんですっ」
 悶えながらクロエが答えた。
「そうでしたの。‥おや、よく見るとそこの二人も‥」
「「えっ?」」
「うりゃー!!」
「「きゃー!!?」」
 メイプルと菜々美にも襲い掛かる嶺。露天風呂に、乙女の嬌声が響いた。

「まだかな、まだかな」
 一方、湯万寿の厨房では女将がお礼にチョコスライムを使ってチョコレートを作ってくれていた。割烹着姿が眼に眩しい。琥金はチョコにしか興味がないようだったが。
「うふふ、もう少しで冷えると思いますよ」
 チョコスライムは倒した後、細かく刻んで熱して溶かして砂糖を加えて冷やして固めると普通のチョコレートと同じになるのだ。
 十数分後――
「はい、できましたよ」
 そこには大きな板チョコがあった。まな板くらいの大きさである。
「食べていい? 食べていい?」
 琥金がキラキラと瞳を輝かせる。犬であったら尻尾をぶんぶん振っている所だ。
「ええ、どうぞ。他の皆さんの分もありますから遠慮なさらずに」
 微笑む女将。
「やった!」
 物凄い勢いでまな板チョコにがっつく琥金。
「美味しい、美味しいよ!」
 半ば呆れた様子で見ていた他のメンバーだったが、女将から差し出されたチョコを口に含んでみる。これは――
「確かに美味しいな」
「なんというか‥まろやかだよ!」
 驚いた様子の凛と光。
「ほんと、口の中でとろけますわ〜」
 ルティエも頬を押さえてはにゃ〜んとなる。
「2匹は袋詰めしてラストホープに送る予定ですが、1匹は加工して皆さんに差し上げます」
「ほんと? チョコレート風呂、最高!」
 昼間の惨事も忘れて光がガッツポーズをした。
「くふー‥すぴー‥」
 そんなことをしていると、寝息が聞こえてくる。まな板チョコを三枚も平らげた琥金が大黒様のように膨らんだお腹を抱えてぐっすり眠っていたのだ。
 ――その幸せそうな寝顔を眺めながら、皆は微苦笑するのであった。