タイトル:第2の乙女隊マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/05/07 10:25

●オープニング本文


 九州某基地。執務室――。
 椅子に座り、机に両肘を突いた眼光鋭い女性の姿。
 その目の前にもう1人女性が立っている。
 こちらは優しげな顔つきながらも表情は引き締まっている。
 2人の服装は共に、UPC軍の仕官服である。
「第2隊の状況はどうか」
 椅子に座る女性が口を開いた。
「順調であります」
「普通でよい」
「はっ」
 直立した女性は敬礼。彼女の名は片瀬・歩美大尉。
「順調ね。彼女達は既に2度、実戦を経験している」
 歩美は軍人口調を止め、言い直した。
「ふむ‥‥」
 顎に手を当てるもう1人の女性。彼女の名は高ノ宮・茜少佐。
 九州戦線で活動しているα−01部隊、および今話に挙がっているα−02訓練小隊の創設者だ。
 ちなみにその2隊の教官は片瀬大尉が務めている。
 α−01部隊は既に片瀬大尉の手を離れ、実戦部隊に昇格してから1年以上が経過しているが。
「第2隊を訓練部隊から実戦部隊に昇格させたい」
「そうね‥‥もうその時期ね‥‥」
 高ノ宮少佐の言葉に片瀬大尉は少し俯いて言った。
「佐賀空港奪還作戦。飯塚市攻略作戦。あれほどの激戦を潜り抜けたのだ。実力としては十分だろう」
「ええ‥‥」
 片瀬大尉は頷く。
「‥‥‥‥だが、その前に、だ」
「え?」
「最終試験を行う必要がある。そう思わないか?」
 片瀬大尉の顔を見て、高ノ宮少佐が言った。
「分かったわ。適当な戦域を選定しておきます」
「頼んだ」
 しばしの沈黙。
 高ノ宮少佐は窓の外を見る。桜の木‥‥花は既に殆どが散り、葉桜となっていた。
「――今年は花見をさせてやれなかったな」
 残念そうにぽつりと呟く。
「そうね‥‥」
 同じく窓の外を見つめる片瀬大尉。
 九州地方におけるバグアの最大拠点、春日基地への攻勢は最終段階に入っている。
 今が正念場だ。休暇を与えている余裕は無い‥‥。
 ‥‥上官の2人とて、好き好んで年端も行かぬ少女達を戦場へ送り出している訳ではないのだ。
 本来ならば青春を謳歌させてやりたい。それが2人の気持ちだった。
 1000人に1人という貴重な能力者。バグアに対抗しうる力。
 それを用いて、一刻も早くこの戦争を終結させる。それが2人の願い‥‥。
「春日を落とせば戦況も少しは落ち着くだろう。そうしたら、また‥‥」
「ええ、また夏に、南の島なんかも良いわね」
「ああ‥‥」
 高ノ宮少佐はぎゅっと、拳を握った。

 ***

 ブリーフィングルーム――。
 α−02訓練小隊の4名が集められていた。
 そこへ、片瀬大尉が入室してくる。
「起立! 敬礼!」
 小隊長の横山・利瀬が号令をかける。
 返礼する片瀬大尉。
「着席!」
「では‥‥今回の作戦について説明する」
 4名を見回し、片瀬大尉が言った。
「今回の任務はお前達α−02訓練小隊が実戦部隊へ昇格する為の最終試験だ」
「‥‥!」
 息を呑む4名。
「春日基地への攻勢に伴い、孤立したバグアの小拠点を叩いて貰う」
「教官、よろしいでしょうか」
 利瀬が手を挙げた。
「許可する」
「その任務は私達だけで当たれ、と言う事でしょうか‥‥?」
 不安の混じる声。
「いや、評価の為に私も同行する。心配するな」
 少しだけ微笑む片瀬大尉。
 ほっとした様子の4名。
「それから、敵戦力がやや多い為、傭兵にも加わって貰う。
 危険である事に変わりは無いが、フォローはしっかりとするので、お前達は全力で任務に当たれば良い。
 もちろん、私に頼るような事になれば評価は下がるがな」
 片瀬大尉は不敵に笑った。
「りょ、了解しました!」
 びしっと敬礼する4名。
 ――早く先輩達に追いつきたい! その一心で努力してきたα−02訓練小隊の4名。
 彼女達の力が今、試される事になる‥‥。

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
時任 絃也(ga0983
27歳・♂・FC
鷹代 由稀(ga1601
27歳・♀・JG
王 憐華(ga4039
20歳・♀・ER
ゲシュペンスト(ga5579
27歳・♂・PN
ベルティア(ga8183
22歳・♀・DF
龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
風間・夕姫(ga8525
25歳・♀・DF
ファリス(gb9339
11歳・♀・PN
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF

●リプレイ本文

●ブリーフィング
 傭兵10名とα−02訓練小隊の4名――。
 作戦開始までの空き時間を利用して、意思疎通を図るため、ブリーフィングを行う事となった。
 というわけで基地の食堂に全員が集合。

 まずはα−02訓練小隊のメンバーから挨拶をする。
「横山・利瀬訓練兵です。よろしくお願いします」
「どうも。岩崎・智里訓練兵でーす。いやぁ、実戦部隊への昇格試験だなんて、緊張するぅ‥‥」
「工藤・麗美訓練兵です。どうぞよろしくお願い致します。本日はお世話になります」
「山口・麻奈訓練兵です。傭兵の方々が居れば心強いです! 尤も、頼りすぎてはいけないんですけど」
 4名はやはり、作戦を前にしてそわそわしているようだった。

 そこで、爽やかな笑みを浮かべた好青年が一歩前へ出る。
「白鐘剣一郎(ga0184)だ。皆、宜しく頼む」
 白い歯がキラリと光った。
「ゴーレムとメガホーンはこちらで押さえる」
 剣一郎はそのまま利瀬へ顔を向け、口を開いた。
「後は横山、君達の小隊が残る敵に対応してくれるか? 我々は適宜フォローに回らせて貰うつもりだ」
 利瀬は「了解しました。よろしくお願いします」と、ぺこりと頭を下げた。

(雛鳥の巣立ちの時‥‥。上手く飛び立つ事が出来るか、それを補助するのが俺達の役目だな)
「先回は世話になったな大尉。今回は此方が手を貸そう」
 時任 絃也(ga0983)はα−02訓練小隊の教官である片瀬・歩美大尉に挨拶。
 片瀬大尉は「私も同行するけれど、うちの子達を頼みました」と答えた。

「やっほー。あたしは鷹代 由稀(ga1601)。成層圏の向こう側、バグア本星まで狙い撃つ女だよ」
 片手で銃の形を作って天井へ向ける由稀。

(αー02も遂に実戦部隊となるのですか‥‥戦う仲間が増えるのはうれしいですけど‥‥。
 彼女達の命が今まで以上に危険に晒されると思うとちょっと複雑ですね‥‥)
 豊満な胸に両手を当てて思いをめぐらす王 憐華(ga4039)。
「あんまり緊張しないでお団子でも食べてにっこり笑ってリラックスですよ♪」
 お団子の乗った皿を持って4名に勧める。
「そのほうがいつも通りできますし‥‥1串いかがですか?」
「ええと、作戦後にいただきますね」
 にこりと淑やかに微笑む麗美。

「可愛い子には旅をさせよ‥‥とは言うが、随分と過激だな」
 ゲシュペンスト(ga5579)は少し離れた所で会話を聞いていた。
「まぁ、当人達がやる気になっているなら止める理由も無い‥‥俺達は全力で後押しするだけか」
 くいっと帽子のつばを引っ張りつつ、話の輪へ入ってゆく。
「分かってるとは思うが、まずはバラバラにならない事と囲まれないように注意する事。
 そして自分の役目をしっかりと理解し遣り通す事。
 後は敵の数が多い時は全部を同時に相手しようとしないように。
 如何にして4対1で戦える状態に持ち込むかを考えた方が確実だろうな。
 例えば4対10の戦いはかなりキツイだろうが、4対1を10連戦だったら結構やれそうだろ?」
 α−02の4名に対しアドバイスを行うゲシュペンスト。
「‥‥と偉そうに言ってはみたが、これはあくまで俺個人の意見だ。
 今回は好きなようにやってみろ。何かあれば俺達がフォローする」
 少しだけ微笑んでみせる。

(出撃前に彼女達と、お話が出来るのは都合が良いわね)
 ベルティア(ga8183)は心の中で呟いた。
(私って覚醒すると、アドバイスとかは上手く出来なくなってしまうし‥‥)
「よしっ」
 ぐっと拳を握り、α−02の前へ。
 ペアを組み、お互いをフォローし合って、敵に死角を突かせない事。
 敵に弾が当たらなくても焦らない、翻弄されてもパニックにならない事。
 その2つをしっかりと伝えた。
「無理をして戦わない、まずは生き残る事を忘れないでね」
 そして女神のように笑みを浮かべる。

 龍深城・我斬(ga8283)は周りをきょろきょろと見回している。
(お、夕たんにべるっちまでいっしょとは珍しい)
 夕たん‥‥風間・夕姫(ga8525)は恋人であり、べるっち‥‥ベルティアは小隊仲間である。
「で、今回は訓練小隊の昇格試験か。出過ぎず引きすぎずってののサジ加減が難しそうかね?」
 腕を組み、首を捻る。
「ま、やばい奴はこっちで押さえとこうか。後進の育成も大事だかんね」

 黒のレザーを身に纏ったワイルドな雰囲気の美人がα−02の面々の所へやって来る。
「風間・夕姫だ。まあよろしく」
 夕姫は4人と順番に握手を交わす。
「‥‥そして、がーくん」
「ん? なに、夕たん?」
 隣に居たがーくん‥‥我斬が振り向くと、夕姫はその頬に手を添えて、口付けをした。
 その間数秒。周囲が固まる。
「ふふ。幸運のおまじないだ」
 唇を離すと、夕姫は不敵に笑った。
「‥‥」
 頬を真っ赤に染め、ぽけーっとしてしまう我斬。
「おおお! 大胆‥‥」
「これが大人‥‥」
 興味津々に見つめている智里と利瀬。他の2人と‥‥傭兵達も釘付けであった。

「姉様達、ファリスはファリスと言うの。今回は宜しくお願いしますの」
 大人の空気が漂う中、ファリス(gb9339)がふんわりと挨拶。場の一気に空気が和んだ。
「ファリスも一生懸命頑張るから、姉様達も一緒に頑張って欲しいの」
 麻奈は「うん、頑張るよ」と表情を引き締めた。

「ぼ、僕はドゥっていいます。どうぞよろしく。フヒヒ‥‥」
 どことなくおどおどした様子のドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)が小声で挨拶。

 ほどなくブリーフィングは終了。
「では任務が終わったらまた会おう。健闘を祈る」
 剣一郎が力強く言い、一同は格納庫へ向かった。

●出撃
 今回の目標であるバグアの小拠点へ向かう14機のKV――。

「いくら小拠点とは言え油断は出来ない」
 剣一郎の機体はシュテルン・G『流星皇』。
「同感だな」
 絃也の機体はR−01改。

「敵は狙い撃つ、狙い撃つわよ」
 由稀の機体はガンスリンガー『ジェイナス』。
「了解です!」
 憐華の機体はガンスリンガー『ガスヴァ』。

「さて、敵はどう出るか‥‥」
 ゲシュペンストの機体はリッジウェイ改『Gustav【グスタフ】』。

「ふむ。相手の編成からすると、まず動きの速い蜘蛛で撹乱しつつ蠍の強酸で敵の防御力を低下させる。
 その後にメガホーンの突撃で一気にケリを付けに来る感じかね?」
 我斬の機体はシラヌイS2型『剛覇』。
「どうかな。‥‥移動速度的にメガホーンが突出してくると私は思うが」
 過去の交戦データを参照しながら返答する夕姫の機体はシラヌイS2型『陽炎』。
「その可能性もあるか。‥‥ああ、蠍の強酸は装甲を溶かしてくるから気合で避けるように」
 α−02の4機へ通信を送る我斬。
 隊長の利瀬は「その辺は承知しています」と答えた。
 彼女達α−02訓練小隊は既に何度か今回の敵である虫型の対KVキメラとの交戦経験がある。

「姉様達にはファリスとベルティアさんが直援に付きますの」
 ファリスの機体はサイファー『ジークルーネ』。
「ふぉろーはおまかせあれ〜」
 覚醒して精神年齢が子どもになったベルティアの機体はガンスリンガー『フェネクス』。

(さて、戦乙女の初陣だ。敵を派手な花火にして歓迎してあげようじゃないか)
 ドゥの機体はスカイセイバー『ウォード・スパーダ』。

 しばらくして、目標地点に到着。

 ***

 レーダーにて敵を捕捉。数は情報通り。
「まずは釣りが上手くいくか‥‥ジェイナス、目標を狙い撃つ!」
 由稀機が8.8cm高分子レーザーライフルを構えて牽制射撃。
 メガホーン2体を釣り出す事に成功。物凄い勢いで突進して来る。
「よし、掛かった! メガホーンは引き受ける! 他をお願い!」
 由稀が声を上げた。ゴーレム対応と他2種の対KVキメラ担当の班が分かれる。

「突進の1発がでかいからねえ、こっちで抑えとかないと」
 我斬機は前進。メガホーン1を射程に捉え、ロックオン。
 レーザーガン『フィロソフィー』を連射。
 レーザーは正確に甲殻を貫き、メガホーン1に大ダメージ。
「3人居るなら2人で押さえときゃ、フリーの1人が狙い放題だ」

 ドゥ機は強化型ショルダーキャノンでメガホーンに砲撃。
 兵装をスナイパーライフルRに切り替え、メガホーン2を狙撃。リロード。
 2発とも命中。メガホーン2にも大ダメージ。

 由稀機はスナイピングシュートを起動。
 レーザーライフルでメガホーン2に狙いを定め、リロードを挟んで2度狙撃。
 命中。メガホーン2は瀕死状態。

 メガホーン1、前進。我斬機に突撃するが命中せず。
「おぉっと、当たるわけにはいかねぇな」
 メガホーン2、前進。ドゥ機に突撃。強烈な衝撃がドゥを襲う。
「ぐぅぅ、うわぁぁぁ!!?」
 ドゥ機は大きく後方へ吹き飛ばされた。尻餅を付く。
「大丈夫か?!」
「な、なんとか‥‥」
 由稀からの通信に答える。ダメージは大きいが‥‥まだいける。
 額から血を流しながら、ドゥは機体を起こした。

 我斬機は兵装を機拳『G・シュラーク』に切り替え。
 巨大な腕と拳がファイティングポーズを取り、メガホーン1を殴り付ける。よろめく敵。
「まだまだぁ!」
 続いて練鎌『リビティナ』で2度斬撃を加える。甲殻を深々と切り裂かれたメガホーン1は沈黙。
「この虫キメラ共は3種類セットでの運用が前提なんかねえ? 確かに嫌な組み合わせではあるんだが」

 ドゥ機は前進。SライフルRでメガホーン2を狙撃。リロード。狙撃。
 メガホーン2、瀕死状態。
 由稀機はレーザーライフルをリロード。メガホーン2を狙撃。命中。メガホーン2を撃破。

●VS虫型キメラ
「さて、始めるとしますか!」
 ゲシュペンスト機、前進。

 夕姫機、前進。十式高性能長距離バルカンの弾幕をGタランチュラ2に浴びせる。
 Gタランチュラ2、瀕死。
「あぁ言った動きの早い奴はこうやって邪魔して動きを阻害してやれば良い」
「‥‥ほら、ぼさっとしてないで早く攻撃しろ」
 α−02から「りょ、了解!」との返答。

 憐華機、スナイピングシュートを使用。
「DFSS起動‥‥ガスヴァ、狙い撃って!!」
 スナイパーライフルAAS−10kvでGスコルピオン2を3度狙撃。
 Gスコルピオン2は瀕死状態。

 Gスコルピオン2体が前進。尻尾の先から強酸を飛ばして来る。
 ゲシュペンスト機は被弾。装甲が融解。内部にまでダメージが達する。
「嫌な攻撃をしてくる奴だ‥‥」

 Gタランチュラ4体も前進。

 ゲシュペンスト機は試作型機槍『アテナ』でGスコルピオン1に連撃。尻尾を潰す。
 Gスコルピオン1は瀕死状態。
「この敵はこうやって潰すんだ」

 夕姫機、機刀『建御雷』を振るう。Gタランチュラ2を両断し、撃破。
 続いて試作型『スラスターライフル』を連射。
 Gタランチュラ3を蜂の巣にし、撃破。
「撃つ時も突っ立ったまま撃つな!」
 α−02に檄を飛ばす。

 憐華機、SライフルでGスコルピオン1を狙撃。撃破。
 リロード。Gスコルピオン2を狙撃。撃破。

 Gタランチュラ1、ゲシュペンスト機に取り付き、ガリガリと顎で装甲を削って来る。
 Gタランチュラ4、夕姫機に飛び掛るが、夕姫機は回避運動。

 ゲシュペンスト機、Gタランチュラ3を蹴飛ばして引き離すと――
「究極! グスタフキィィィック!!」
 跳躍。レッグドリルでの蹴りを叩き込んだ。撃破。

 夕姫機、機刀『建御雷』でGタランチュラ4に連続で斬撃を加える。撃破。
「左右に動いて敵に狙わせないようにするんだ!」
 戦闘を確実にこなしつつも、α−02にアドバイスをする。

 ***

 α−02訓練小隊のS−01COP4機はベルティア機とファリス機の援護を受けながら前進。
 レーザー機銃をばら撒く4機。やはり虫型キメラなので非物理攻撃が有効である。
「ねー、そっち行ったよー。バンバン潰しちゃってネ」
 20mmガトリング砲を掃射し、敵を誘導するベルティア機。
「姉様達の背中はファリスが守りますの」
 ファリス機はSキャノンで砲撃。敵2種の分断を図る。
 その後、突出してきたGタランチュラに試作型『スラスターライフル』の弾幕を浴びせる。

 2機の的確な援護により、α−02訓練小隊の戦闘は優位に進んでいた。

●VSゴーレム
「なるほど、やけに派手なゴーレムだな」
「ふざけた出で立ちだが‥‥腐っても指揮官。全力で行かせて貰う」
 剣一郎機と絃也機が相対するのは――
 頭部にトサカがあり、機体各部にスパイクが付いた派手なゴーレム。
 ガトリング砲などの重火器を満載している。

「――参る!」
 まず動いたのは剣一郎機だった。
 機槍『ロンゴミニアト』を構え、突進。
 ゴーレムはガトリング砲を連射してくる。
「やらせん!」
 絃也機が前に出て機盾『ウル』で防ぐ。
 機槍がガトリング砲を貫いた。爆発。
 ゴーレムは後退。爆発の直前にパージしたようだ。
 今度は対KVボウガンを放ってくる。回避運動を取る2機。
「――!」
 再び敵の懐に飛び込む剣一郎機。機刀『獅子王』の居合い斬り。
 火炎放射器を両断。また爆発。今度はパージが間に合わず、ゴーレムはダメージを受けた様子。
「消毒されるのはお前自身のようだな」
 スパイクの付いた拳を構えるゴーレム。打撃を放ってくる。剣一郎機は一旦後退。
「はあああああっ!!」
 ブーストとアグレッシヴ・ファングを使用した絃也機が飛び込む。
 両手で保持したデモンズ・オブ・ラウンドの斬撃。
「ここまでだ。散れ!」
 PRMシステム改を攻撃に使用した剣一郎機が機刀『獅子王』を一閃。
 ――機体にX字の斬痕を刻まれたゴーレムは機能停止。小爆発を何度も起こした後‥‥
 大爆発。四散した。

 ***

 基地へ帰還した傭兵部隊とα−02訓練小隊。
 一同はブリーフィングルームに集められていた。
 まもなく扉が開き、片瀬大尉が姿を現した。
「‥‥皆揃っているな」
 静まり返る室内。
「それでは結果を発表する」
 α−02の4名はごくりと唾を飲み込む。傭兵達にも緊張が走る。
「合格だ」
「‥‥!? やったー!!」
 抱き合って喜ぶ4名。
(ふふ。しかし‥‥おめでとう‥‥というべきなのかしらね‥‥)
 少しだけ悲しそうな表情をする片瀬大尉。
「以後、α−02訓練小隊はα−02部隊として正式に実戦部隊として発足。活動を開始する」
「了解しました!」
 びしっと敬礼する4名。これから彼女達は過酷な任務に就く事になる‥‥。
 素直に喜べない理由はそれだ。だが――
「おめでとうございます」
 ベルティアを初め、傭兵の皆から「おめでとう」の言葉が出る。
「ありがとうございます!」
 と、嬉しそうなα−02の4名。

(ふむ、流石にまだ危なっかしい所もあるが‥‥連携は中々の物だな‥‥。
 あとは場数を踏んで単独でもそれなりに動けるようになれば連携にも更に磨きが掛かるだろうな‥‥)
 その様子を眺めながら、夕姫は思いを馳せるのだった。