●リプレイ本文
●鳥栖燃料支処制圧作戦
(市街地戦‥‥ですか)
ディアブロ改『ゼロ』に搭乗するノエル・アレノア(
ga0237)――。
(無理をして足を引っ張らない様‥‥自分に出来る事をやろう)
彼は今回、負傷を押しての出撃である。
「佐賀空港の攻略に成功した事で、この地のパワーバランスは大分人類側に傾いたでしょうか‥‥? 敵が態勢を立て直す前に、余勢を駆って一気に行きたい所ですね」
スピリットゴースト『Merkabah』のコクピットでティリア=シルフィード(
gb4903)が言った。
そして彼女は今回作戦を共にするβ133小隊へ通信を送る。
「暫くぶりです、雪中尉。ちゃんとした形で共闘するのは今回が初めてですね‥‥お互い、頑張りましょう」
しばしの間の後「ええ、頑張りましょう‥‥!」という気合いの入った声が返って来た。
(‥‥ノエルさん、あの身体で大丈夫かな‥‥。無茶だけはしないで下さいね‥‥?)
それからティリアは恋人が乗るディアブロ改にカメラを向け、そのコクピットをズームし、心配そうな表情を浮かべた。
(さぁ、今回もがんばっていきましょう‥‥ガスヴァ)
王 憐華(
ga4039)の搭乗機はガンスリンガー『ガスヴァ』。
「さあ、任務だよフレイア」
ソード(
ga6675)の登場機はシュテルン・G『フレイア』。
「さて、北九州の奪還作戦もいよいよ大詰めですね。私も微力ながらも全力を尽くさせて頂きます」
これまでも佐賀方面の奪還作戦に参加してきた榊 刑部(
ga7524)。
この地での戦いには特別な思い入れがある‥‥。
彼の機体はスカイセイバー『隼鷹』。
(味方に女性がいれば戦うには十分な理由だ)
ロジャー・藤原(
ga8212)の搭乗機はシラヌイS型『虎徹』。
シュテルン・G『Deneb Cygni』に搭乗するヴァレス・デュノフガリオ(
ga8280)。
彼は同じ九州戦線で戦うKV中隊の乙女達が少しでも早く気を休められるように‥‥という理由で参加した次第。
(余り、楽観視していい布陣ではないね。‥‥怖がりかもしれない、あぁ、怖いとも)
シュテルン・G『皇騎』に登場する流叶・デュノフガリオ(
gb6275)。
(だからこそ‥‥恐怖を払う為に考えよう、其れが私に出来る‥‥精一杯の強がり、だから)
そのように考える彼女は夫であるヴァレスが心配で参加。
「九州奪還の為、皆、がんばろな!」
桐生 水面(
gb0679)の搭乗機はサイファー『ガーベラ』。
「コールサイン『Dame Angel』、『鳥栖燃料支処』に陣取るバグア勢力を速やかに排除するわよ」
アンジェラ・D.S.(
gb3967)の搭乗機はリンクス『アルテミス』。
「兎に角全部倒せばそれで良いんだよね? 難しい事は考えないで良さそうかな」
山下・美千子(
gb7775)の機体は竜牙『マックス』。
(固定砲台や蠍キメラですか‥‥私の愛機と相性が悪そうで、そこがまた楽しめそうですね)
ハーモニー(
gc3384)の搭乗機はゼカリア改『調和』。
今回は苦戦が予想される。しかし彼女はそれさえも楽しむつもりでいるようだ。
まもなく司令部より「目標へ進攻せよ」との通信が入る。
砲声が聞こえた。鳥栖市内には既にβ−01部隊第1大隊が突入、戦闘を開始している。
傭兵部隊とβ133部隊は基地正面に陣取るゴーレム部隊へ攻撃を仕掛ける班と、基地後方に位置する砲台やTWに迂回して攻撃を仕掛ける班とに分かれて行動を開始。
正面班は前進。プロトン砲や機関砲弾が飛んでくる。
回避運動を取りつつ、全機射程に入り次第射撃を開始、尚も前進。距離を詰める。
そしてある程度接近した所で――
「Merkabah、砲撃開始! 敵の頭を抑えます!」
ティリア機がFスナイプを使用。敵陣に対し、大型榴弾砲で二度砲撃。
ややあって小爆発が起こる。更に数秒置いて――大爆発が巻き起こった。
どうやら基地内に残されていた燃料タンクに引火、誘爆したらしい。
爆発は凄まじく、爆風は正面班にも及んだ。KV全機に少なからずダメージ。
尤も、爆発の近くに居た敵部隊のダメージは当然無視出来ないレベルだろうが‥‥。
●VSタートルワーム+大型プロトン砲
基地の後方、砲台が設置されている山の側面に待機中の迂回班――。
「うお! すげぇ爆発!」
ロジャーが思わず声を上げる。
爆発に気付いたのか、砲台とTWが正面班に向けて砲撃を開始。
「よっしゃ、ほな行こか!」
「行くよ‥‥! 奴等に好きに撃たせるな!」
水面と流叶が言い、それが合図となってKV4機はブーストを使用。
一気に斜面を駆け上り、散開しつつTWや砲台に急接近。
固定砲台は迂回班側から見て手前に1基、奥にもう1基あった。
その傍にTWが2機ずつ配置されている。
「右手前の亀は俺がっ!」
「了解! 手前は夫妻に任せた! うちとロジャーさんは奥の奴や!」
ヴァレスが言い、水面が答える。傭兵達は敵を各個撃破すべく二手に分かれた。
ロジャー機はまずTW最大の武器であるプロトン砲の砲口を狙う。
アクチュエータを起動し、グレネードを発射。
内部に放り込むつもりであったが‥‥それ程の精密射撃は難しい。
グレネードは砲塔付近で爆発。舌打ちしつつ、今度は側面に回り込みレーザーを照射。
TWが向きを変え、ロジャー機を捉えた。重機関砲の弾幕が来る。
「イメージするんだ、敵の攻撃を」
射線を先読みし、回避を試みるが全ては避け切れない。その分は盾で防ぐ。
ジグザグに動きつつ接近。チェーンソーで関節部を狙って斬り掛る。TWは甲羅で防御。
「今宵の虎徹は血に飢えておる‥‥ナンチテ」
甲高い音と共に火花が散った。
盾を構えてTWの弾幕を防ぎ、Pリボルバーで牽制しながら距離を詰める水面機。
「まずは、その邪魔な大砲から‥‥頂きや!」
ロジャー機と同様に敵側面へ回り込み、練剣で砲塔を切り裂く!
斬撃を受けて切り落とされた砲身がごろりと地面に転がった。
その後、Fコーティングを展開し、双機刀を振るって本体へ攻撃を加える。
流叶機はマルコキアスで掃射しつつ突撃。
至近距離からPライフルを連射。大ダメージを与える。
TWの背中の砲塔が旋回。プロトン砲が流叶機を狙う。
流叶は咄嗟にPRMSを知覚に使用。砲塔に練剣を叩き込んだ。
「物騒な物は先に壊す‥‥セオリーだろう?」
砲塔はレーザーに焼かれ破壊。TWは尚も重機関砲で射撃してくる。
「‥‥っ! 硬い、が‥‥其れが如何した! ‥‥邪魔を、するなぁッ!」
一度後退し別方向から接近を試みる流叶機。
再度PRMSを知覚に使用。練剣とPライフルで畳み掛け、TW1機を撃破。
ヴァレス機はスラスターライフルを連射しTWの砲塔を攻撃。
その後接近、機杭をプロトン砲と胴体の接続部に打ち放つ。
が――機杭は隙が大きい。ヴァレス機は重機関砲の弾幕を受けてしまう。
装甲を削られつつも回避運動。再度肉薄し、機杭を打ち込む。
甲羅に傷をつけられたTWは高速回転を始める。ニードルでの攻撃だ。
ヴァレス機はミサイルポッドを発射。命中。爆発。
しかしTWの勢いは止まらない。機体を跳躍させるヴァレス。
上方から回転軸に向けて機杭を叩き込もうとするが――
物凄い速度で回転するニードルに弾かれ、ヴァレス機は地面に叩き付けられる。
そこへ回転を止めたTWのプロトン砲が向けられ、砲口に光が収束した――。
●VSゴーレム+Gスコルピオン
正面班――。傭兵部隊とβ133小隊はゴーレムとGスコルピオンの撃破を目指す。
「はあっ! やあっ! ‥‥ッ!」
双機刀を振るい、蠍の尻尾を斬り落とすノエル機。
飛んで来る強酸は機体を捻って回避。――Gで負傷中の身体が軋む。
少し離れたもう1体に対してはSキャノンで砲撃。
「ノエルさん、大丈夫ですか?」
「はあ‥‥はあ‥‥大丈夫ですよ。何ですか」
ティリアからの通信に息を荒げながらノエルが答える。
「ノーマークのゴーレムが居ます。味方に砲撃を‥‥何とかしないと」
「了解。行きます‥‥!」
ノエルは機体に双機刀を構えさせる。
「待って下さい! その身体でゴーレム相手に近接戦は危険です!」
「わかりました‥‥」
ティリアに止められてしまった‥‥。これ以上恋人に心配をかける訳にはいかない。
ノエルは仕方なく兵装をバルカン砲に切り替え。弾幕を張る。
「こちらも行きます!」
Fスナイプを使用。ティリア機はゴーレムに4連砲を撃ち込む。
「参る‥‥!」
刑部機は後衛の砲撃支援を受けながら、ゴーレム1機へ向けて前進。
アサルトF・A使用。真ツインブレイドで斬撃を加える。
よろけるゴーレム。すぐに態勢を立て直し、刀を振るってくる。
剣で受け流す刑部機。一旦後退。
戦車砲で砲撃しつつ再度接近。ガトリング砲に切り替え射撃。
ゴーレムのチェーンガンと撃ち合いになり、互いに牽制をかける。
――刑部は勝負に出る。アサルトF・Aを使用。
「やあああっ!!」
剣による猛烈な突き。敵の装甲を貫く。引き抜き、今度は肩から腰まで斬りつけた。
大きな斬痕を刻まれたゴーレムは機能を停止し――爆発四散した。
美千子機、ゴーレム1機と戦闘。
盾を構え、マシンガンで射撃を加えながら接近。
白兵戦へと持ち込む。槍による突きを放ち、敵の武器を狙うがゴーレムは刀で受け流す。
「やるね! それなら!」
OA起動。敵の間合いの外からマシンガンを連射。
ゴーレムはチェーンガンに切り替えて応射してきた。
「くっ! 負けないんだから!」
ブーストを使用。加速。槍による突撃を掛ける。
「接近戦なら、こっちが有利ィ!!」
――斬撃音。
「なっ‥‥!?」
自機の腕が中を舞っていた。ゴーレムの刀で切り落とされたのだ。
美千子機は槍を失ってしまう。
「でもまだ‥‥!!」
マシンガンで牽制射撃を加えた後、更に接近、肉薄する。
密着状態でOA起動。残ったもう片方の腕――爪による一撃をゴーレムの胸に叩き込む。
ゴーレムはスパークし、黒煙を噴き上げ、小爆発を起こして動かなくなった。
憐華機は後衛にてSライフルで狙撃。前衛への支援を行っていた。
数では敵が勝る為、孤立せぬ様に気を配る。
――前衛の攻撃を潜り抜け、ゴーレム1機が突破してきた。
「やはりこちらにも来ますか‥‥!」
ハンドガンで射撃を加える憐華機。
ゴーレムは被弾しつつも接近。チェーンガンでの射撃の後、刀で斬撃を見舞ってきた。
「‥‥っ!?」
回避運動を取る憐華機。ブーストを使用し射撃、距離を取る。
その後も一撃離脱の要領で攻撃を加えていく。
だがゴーレムの攻撃は激しい。プロトン砲の連射が来た。
避け切れずに表面装甲が融解。その隙にゴーレムは距離を詰めてくる。
刀による斬撃。ハンドガンの銃剣で受ける。火花が散った。
「こうなったら‥‥! バレット起動!」
DFBF起動。更なる斬撃を、素早い動きで回避した。
「P−C−P−S臨界へ‥‥さぁ、ガスヴァ‥‥舞い撃ちましょう」
銀色の粒子と共に連続でハンドガンの銃撃を加える。
首筋や関節に何度も砲弾を受け、ゴーレム1機は機能を停止した。
アンジェラ機は前衛に立ってゴーレムに対し弾幕を展開中。
「‥‥!」
Lスナイプを使用。威力と命中精度が高められた重機関砲による弾幕はゴーレムの装甲を確実に削ってゆく。
ハーモニー機は後衛よりアンジェラ機を支援射撃。
スラスターライフルと対空機関砲を主に使用。濃密な弾幕が展開される。
アンジェラ機の弾幕もあって中々近づけずに居たゴーレムであったが――
このままでは何も出来ないと判断したのか、捨て身の突撃を仕掛けてきた!
「――無謀ですね。私の420mmは必中でも一撃必殺と言えるほど高威力でもありませんが、当てる努力を惜しむほど低威力ではありません!!」
ゴーレムに照準。主砲を発射。胸部に命中。爆発。
装甲がはじけ飛ぶ。だがゴーレムは突進を止めない。
そこへアンジェラ機が強引に組み付く。
「行かせはしない‥‥!」
テールアンカーを展開。尻部に装備された杭が突き出し、地面に突き刺さる。
「これで‥‥!」
ゴーレムへ重機関砲によるゼロ距離射撃を加える。
――腹部を穴だらけにされたゴーレムはまもなく動きを止めた。
強化型ゴーレム――指揮官機と激戦を繰り広げていたソード機。
Dリボルバーを連射。砲弾を盾で受けつつ指揮官機は接近。
爆槍を突き出す。――ソード機は姿勢をずらして間一髪避けた。
反応が遅ければ頭部を失っていただろう。一旦後退。
ゴーレムのガトリング砲を避けつつ再度接近。
「ブースト作動。PRM『アインス』起動。『シャイニング・ヘキサグラム』!」
――ソード機はブーストを使用。PRMS起動。
練剣にて指揮官機に六芒星の斬撃を加え、その中心に【OR】試作型女神剣『フレイア』を突き刺した。
――その剣が輝き、光に包まれると同時に指揮官機は爆発した。
●決着
砲台からヴァレス機に向けて大威力のプロトン砲が放たれる。
――しかし、衝撃は来なかった。
「‥‥耐えろ! 皇騎ッ! ‥‥そんなに柔には出来て無いだろう!」
盾を構えた流叶機が庇ってくれていたのだ。
高い耐久力に苦戦しつつもTWを撃破したロジャー機。
一息つくロジャー。しかしその一瞬の隙が命取り。
「ロジャーさん! 避けて!!」
水面の叫び声――ロジャー機がカメラを砲台へ向けると――
砲口がこちらを向いていた。しかも発射直前。ロジャーの視界が真っ白に染まる。
「‥‥‥‥ふう。AECが無ければ即死だった」
直撃。だが咄嗟にAECを展開したロジャー機は表面装甲が焼け焦げた程度。
「全く、心臓に悪いわー」
水面もほっと胸を撫で下ろす。
「すまん。――それよりも早く破壊しようぜ!」
「了解や!」
見ればプロトン砲は冷却中の様子。次弾発射までタイムラグがあるらしい。
ロジャー機がレーザー砲を照射し、水面機が練剣で斬りつける。
「このまま一気に沈んでまえぇぇぇっ!!」
ヴァレス機と流叶機――。
「この威力に耐えられるかっ!」
「これで――終わりだ!」
ヴァレス機がミサイルポッドを叩き込み、流叶機が練剣で切り裂く。
KV4機による集中攻撃を受けた2基の砲台は機能を停止。何度も小爆発を起こし――
大爆発。砲台を破壊した頃には基地の制圧は完了していた。
β−01部隊第1大隊による市街地の制圧も完了し、作戦は無事成功となった。