タイトル:【ODNK】軍神1マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 12 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/09/17 00:23

●オープニング本文


 九州、熊本。UPC軍九州方面隊本部――。
 
 壮年の男が通信室のモニターの前に腰掛けていた。
 士官服を身に纏った、がっしりとした身体つき。歴戦の兵を思わせる、勇ましい表情。
 襟には大佐の階級章を付けている‥‥。
 モニターに映っているのは同じく士官服を着た女性。こちらは少佐だ。
『ご無沙汰しております。森ノ宮大佐』
「他人行儀な言葉遣いはやめろ。茜ちゃん。お前も、いつも部下にはそうしているんだろう?」
『はっ、申し訳ありません。‥‥しかし、叔父上‥‥茜ちゃんと言うのは‥‥』
 通信相手の女性――高ノ宮・茜少佐は敬礼した後、少しだけ表情を緩めた。
「ははは。娘達は元気かな」
『はい。この間の合宿も楽しんできたようです』
「そうか。それは良かった。もう、しばらく遊ぶ機会は無いだろうからな‥‥」
 森ノ宮大佐は少しだけ苦い顔をした。
『熊本基地の件ですね。ダム・ダルの奇襲を受けたという‥‥。被害は?』
「手酷くやられたよ。まあ、心配しなくてもいい」
 そこへ‥‥背後から足音。ノック音と扉の開く音。
 振り返ると、自分の部隊の参謀が立っていた。
「大佐。バグア軍に動きがあった模様です」
「またか。敵さん、大忙しだな」
「我が部隊にも出撃要請がきました。どうされますか?」
「ようやくお鉢が回ってきたか。お偉いさん方は相当焦っていると見た」
「では‥‥」
「当然、受けるに決まっているだろう。調子に乗ったバグア共の鼻っ柱をへし折ってやる必要がある」
 不敵な笑みを浮かべる森ノ宮大佐。
「了解です」
 参謀は敬礼し、退室してゆく。
 森ノ宮大佐は再びモニターに目をやった。
『叔父上‥‥』
 心配そうな高ノ宮少佐の顔が映っている。
「ああ。と言う訳で出撃だ。娘達を頼むぞ。この状況では、そっちにもいずれ出撃命令が下るだろう」
『了解しました。それと‥‥』
「雪ちゃんのことだな。任せろ。絶対に死なせはしない。俺が言うんだから間違いは無い」
『ふふ、お気遣いありがとうございます、叔父上。ご武運を』
「うむ、じゃあな」
『はっ』
 そうやって、通信は切れた。
「ふう‥‥」
 一息ついてマイクのスイッチをON。
「あーあー、ごほん。‥‥β−01部隊の諸君。いよいよ出撃だ。人の家に土足で踏み込んできた礼儀知らずな敵さんに、俺達なりの作法を叩き込んでやろうじゃないか。‥‥1機残らず叩き潰せ。以上!」

 β−01部隊、KV格納庫――。
 多数のシラヌイ、竜牙、雷電改が慌しく出撃していく。
 その中の‥‥1機のシラヌイのコクピット。
(「ねえさま、雪は‥‥雪は頑張ります‥‥!」)
 1人の少女は、ぎゅっと拳を握った。

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
国谷 真彼(ga2331
34歳・♂・ST
篠崎 公司(ga2413
36歳・♂・JG
潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
王 憐華(ga4039
20歳・♀・ER
金城 エンタ(ga4154
14歳・♂・FC
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
米本 剛(gb0843
29歳・♂・GD
美空(gb1906
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
犬彦・ハルトゼーカー(gc3817
18歳・♀・GD

●リプレイ本文

●戦闘前
 九州戦線。北熊本。現在、侵攻中のバグア軍とUPC軍の激しい攻防が繰り広げられている。
 その1戦域を担当する傭兵の12機のKV。そしてβ−01部隊から抽出された1個KV小隊。
「日本だと銀河重工製の機体が目立つなぁ‥‥僕にとってはやっぱりシラヌイが印象的」
 エメラルド色の髪に黄金の瞳をした少年がぽつりと呟く。
(「さ。行こうか、ゼロ。皆と共に戦場に一陣の風を巻き起こそう」)
 愛機、ディアブロ改『ゼロ』のコンソロールを撫で、大切な人から贈られたブローチを握り締める。彼の名はノエル・アレノア(ga0237)。

 後方を支える電子戦機とサイエンティストに要求されるのは‥‥
 一つ、どんな時も冷静に対応し、味方を支える事。
 一つ、最後まで立っているという事。
 ウーフー2に搭乗する国谷 真彼(ga2331)は常々その様に考えていた。
「ここまで通信がクリアなのは久しぶりですよ」
 今回は電子戦機が充実している。心強い。
「フェンリル01、篠崎 公司。戦闘準備完了」
 機体のシステムをチェックしていた篠崎 公司(ga2413)が言う。
 彼の乗機は真彼と同じウーフー2、愛称『フェンリル01』。

「雪さん、今回は宜しく! 一緒に悪い円盤から平和を守ろうね!」
「数は負けていますが、連携を密にすればそれをひっくり返す事くらい出来ますよ」
 作戦を共にするβ133小隊に通信を送る潮彩 ろまん(ga3425)と王 憐華(ga4039)。
 小隊長の高ノ宮・雪中尉は「あ、ありがとうございます」と、たどたどしく答えた。
 ろまんの機体は竜牙、憐華の機体はオウガ『白楼銀鬼』。
「高ノ宮中尉、今回も轡を並ばせて頂きますよ」
 続いて雪と顔見知りである米本 剛(gb0843)からの通信。
 雪は「お久しぶりです。頼りにさせて頂きます」と答えた。
 米本が搭乗するのはオウガ『鬼獅子』。今回彼は同じ九州戦線で戦う、とある中隊の負担が少しでも減れば‥‥という動機で依頼に参加した次第だ。

「格闘に特化した『兵器ならざるKV』の力をお見せしましょう!」
 その様に意気込んでいるのは金城 エンタ(ga4154)。
 彼の機体は極端とも言える改造が施されたディアブロ改『真・韋駄天』。
(「‥‥取り戻したい場所があるのでね。これ以上好きにされては、約束を果たす日がまた遠のく‥‥それは避けなければ」)
 宗太郎=シルエイト(ga4261)は胸に手を当てて目を閉じ、思いを馳せた。
 そして――覚醒。
「ロートル機だからって甘く見るなよ? 摩天楼はな、今でも陸戦最速なんだからよ。‥‥さぁて、久々に羽目外そうか、ストライダー‥‥!」
 彼の機体はスカイスクレイパー改『ストライダー』。
「いやはや、参ったね。敵もよくこんだけの数を揃えられるもんです」
 九州方面も随分旗色が悪くなって来ている‥‥。
 これからもっと厳しい戦いも増えてくる事だろう‥‥。
 であれば、自分達の役目は正規軍の損害を出来る限り抑え、今後の戦いを乗り切る戦力を残す事‥‥か。
 その為にはとりあえずここで勝っておかなければならない。
 と、ワイバーンMk.II『ゲイルII』を駆る周防 誠(ga7131)は考える。
「久々の陸戦に美空は血が滾るのであります」
 空色の髪のてっぺんにぴょこんと立つアホ毛を揺らし、美空(gb1906)は表情を引き締めた。
 彼女の機体は幽鬼を思わせる風貌をした破曉『阿修羅・聖堂騎士団』。
「管制は任せてね」
 アップにした金色の髪を撫で、骸龍『イクシオン』に搭乗した夢守 ルキア(gb9436)が言った。
「これが初の九州での任務‥‥必ず成功させる!」
 犬彦・ハルトゼーカー(gc3817)は、KVによる陸戦は今回が初めて。
 経験を積む為に依頼を受けた様だ。彼女の機体はフェニックスA3型『雷轟丸』。

 ほどなくして、ルキア機から全機に通信。
「敵さんが来たみたいだよ」

●会敵
 ルキア機の偵察用カメラが敵影を捕らえた。
 陸戦HW20機は横一列になり、土煙を上げて突き進んで来ている。
「これは‥‥厄介な布陣だね‥‥。とりあえずナンバリング完了。データ転送」
 ルキアは汗を垂らしつつも収集したデータを各機へ送る。
「強化型ジャミング集束装置、起動します」
 間もなく味方の射程に入る。真彼機は支援する為、集束型のジャミング中和装置を起動。
「11番を狙って。もしかしたら指揮官かもしれない。上手くいけば陣形を崩せるかも」
「同意見ですね。では分断して弾き出すとしましょう」
 ルキアからの通信に公司が答え、狙撃目標のデータをSライフル装備のKVに送る。
「皆さん、宜しいですか?」
 憐華、誠、犬彦から「了解」との返答。4機のKVはSライフルを構える。
「さぁ‥‥白楼銀鬼。いまこそあなたの咆哮を轟かせる時ですよ‥‥遠慮せず吼えなさい」
 憐華機はTBO・Bを使用。そして一斉射撃!
 ‥‥長距離からの射撃の為、殆どの砲弾は逸れてしまうが、数発が命中。機体を貫かれ、1機のHWが爆散する。
「やった!」
 思わず声を上げる犬彦。
「射撃は得意じゃないんだけど‥‥機体のおかげかね」
 その時――無数の光条が奔る。
「えっ?」
 敵部隊のプロトン砲による並列射撃であった。横一列に並んだHWから放たれるそれは避ける事もままならず、多数のKVが被弾してしまう。
「うわあああっ!?」
 機体が激しく揺さ振られる。
「くっ‥‥よくも」
 犬彦は苦い表情を浮かべながら体勢を立て直す。
「あんな物‥‥また撃たれたら堪らない‥‥参る!」
「リミット設定40秒! ウィング展開、ブースト全開! ストライダー、突っ走れぇ!」
 撹乱役の米本機とブーストを使用した宗太郎機が敵陣へ向けて突撃する。
 それに随伴するノエル機、ろまん機、美空機、犬彦機、ルキア機。

 真っ先に敵陣へ突っ込んだ宗太郎機は機関砲による弾幕を掻い繰り、剣翼で斬り付ける。
「せいやぁ!」
 米本機も同様に敵の攻撃を避けながら右手の剣と左手の爪でHWの装甲を切り裂く。
「はあああ!!」
 二機はそうして手当たり次第に攻撃し、敵陣を撹乱した。
「吼えろ! 怪獣の如く‥‥! ツングースカ大爆発だっ! 皆の背中はボクと竜ちゃんが護るもん!」
 宗太郎機と米本機に対し、ろまん機と、更に後方から誠機が援護射撃を行う。
 撹乱が成功と見たルキア機は最高速で敵陣へ接近。
「ショタサンタクロースのプレゼント!」
 煙幕弾を撃ち込み、すぐさまブーストを使用。斜め後方へと下がる。
「戦況サイアクって感じ? 可哀相だから早くエデンの東に連れて行ってあげよう」
(「連れて行くのは私じゃないケドね」)
 煙幕の展開を確認すると、宗太郎機は歩行形態に変形。
 ‥‥傭兵達が思っていたよりも煙幕の効果範囲は狭かった。当然、抜け出して来る敵もいる。宗太郎機はそういった敵に対し爆槍を構え、ランスチャージを仕掛ける! 装甲を破り深々と突き刺さる槍。爆発。HWは粉々に砕け散る。
 続いて回避オプションを使用、混乱する敵を背後から‥‥再度貫く! またも爆発。
「残り30秒‥‥さぁ、派手に踊ろうぜ!!」
 機体に爆槍を掲げさせ、高揚した気分で宗太郎が言った。
「やりますな。自分も負けていらせません‥‥!」
 米本機はやや離れた敵に銃で射撃。反撃の機関砲が来る。剣で受ける米本機。そのまま踏み込んで懐に潜り込み剣を振るう。HWは近接戦用アームを伸ばしてくる。意に介さず切り落とす。爪を装甲の亀裂に捻じ込み、引き裂いた。ダメージが限界に達したのか、HWはスパークし、小爆発を起こして動かなくなる。
 双刀を構え、近接戦を行うノエル機。
「やああ! はああ!」
 ファランクスで牽制しつつ、再度斬撃を見舞う。HWは距離を取り、プロトン砲を放ってきた。ギリギリで回避するノエル機。その時‥‥後ろから衝撃。
「ぐああ!!」
 背後に居たHWからの砲撃であった。2機のHWは巧みに動き、距離を取りつつノエル機を追い詰める。
「く‥‥それなら!」
 ノエル機はハンズ・オブ・グローリーを展開。PFを使用。距離を取っている敵に対し、斬撃を見舞う。予想外の攻撃に装甲を割られ、体勢を崩すHW。
「行くよ‥‥ゼロの咆哮は、お前達を無に還す!」
 その隙に接近し、双刀を叩き込み、HW1機に止めを刺した。
「手番です、一気に押します!」
 今まで中距離で待機していたエンタ機がブーストを使用し、一気に距離を詰め、急襲を掛ける。
「了解だよ!」
「了解であります!」
 それに続く、ろまん機と美空機。
「ゴーレム相手だったら赤外線でも形が見分け難かったでしょうけど‥‥HWなら‥‥」
 サーモセンサで煙幕の中を探るエンタ。KVとHWとでは明らかに形状が違う。すぐに発見できた。
「そこだっ!」
 PFを使用。剣を構え、生身の武術を応用したモーションで斬りかかる! HWの半身を切り裂いた。そのまま何度も斬撃を加える。機体をズタズタにされたHWは機能を停止。
「竜ちゃん、バリアーだ! このまま一気に近づくよっ!」
 ろまん機はDCで防御を固め、機関砲の弾幕を物ともせず接近。
「皆頑張ってるんだもん、ボクだって絶対負けないから‥‥ガオーッ! 口から帯電粒子火炎だっ!」
 HWをロックオン。口内に装備した粒子砲を発射。太い光条が敵の装甲を貫く。
「これ以上、好き勝手にはさせないもん! 竜ちゃんハイパー攻撃モード始動‥‥喰らえっ! 波斬剣ハンマーボール剣玉殺法!」
 OAを起動。粒子砲を撃ち込んだ部分へ、尻尾に装備したハンマーボールを叩き付ける。
 凄まじい連続攻撃を受けたHWは火花を散らしながら沈黙した。
「美空も行くのでありますよ!」
 煙幕越しにレーザーとランチャーで砲撃を行う美空機。煙の中なので効果は確認出来ないが‥‥牽制にはなっただろう。
 間髪置かず、ブーストを使用。突撃して煙の向こうに抜ける。正面にHW2機を確認。
 固定武装の焔刃「鳳」に光刃「凰」を使用。刃をエネルギーでコーティング。非物理化。
 HW2機の間に割り込み、機体を回転させて連続で斬り付ける。
 その後、【OR】羅刹掌を展開してHW1機を突き飛ばし、そこへ真ルシファーズフィストを叩き込む。無数の棘を持つ巨大な鉄球の直撃を受けたHWは圧壊し、大爆発を起こした。
「ふっ‥‥」
 してやったり、といった顔の美空。HMDを装着している為、口元しか見えないが。
 続いて指揮官機を探すが‥‥それらしきHWは見当たらない。
 どうやらルキアの読み通り、初撃で撃破してしまったらしい。
 敵の連携がやや甘いのはその所為か‥‥しかし油断は禁物。
 美空機は再び鉄球を構え、近くのHWに狙いを定めた。
「たぁっ! やっ!」
 犬彦機は短刀を構えてHW1機と近接戦を行っている。
 HWのアームと短刀が打ち合い、火花を散らす。
「華やかな武装など必要ない、使いこなれた量産品こそ信頼に値する」
 どうやら犬彦は堅実なタイプらしい。
 OB改Aを起動。短刀を構え直し、斬りかかる。アームで受けるHW。だが確実にダメージは入った。
 HWの反撃。無数の砲弾が飛んで来る。機体を捻り、なんとか避ける犬彦。
「中々やるっ‥‥」
 一旦距離を取り、ミサイルを発射。今度は中距離での攻防となる。

●後衛の戦い
 前衛が激しい近接戦を繰り広げている中、後衛は主に射撃での援護を行っていた。
「煙幕の展開を確認。迂回してくる敵機を叩きます」
 煙幕を迂回して突破してくる敵に対し、盾を構えてショルダーキャノンを放つ真彼機。
 公司機と憐華機はSライフルで同じ敵を狙撃。誠機は二つの対空砲で弾幕を張る。
「ルキア機より周防機へ。HW7の損傷が大きいから優先的にお願い」
「了解」
 誠が答え、Sライフルに切り替えて狙撃。機体を貫かれてHW1機が爆発。
 ルキア機は攻撃よりも戦況把握を優先している。
 戦闘は傭兵達の優位で進んでいたが‥‥時間経過と共に、突破してくる敵も増え始める。
「きゃっ!」
 憐華機の側面をプロトン砲が掠めすぎる。慌てて回避運動。二発目は空を切った。そのまま動かなければ直撃していただろう。HWは接近し、機関砲で射撃してくる。
「妥当な判断ですが、此方もそれは想定済みです」
 そこへ割り込む公司機。マシンガンで掃射。蜂の巣となったHWは黒煙を上げて停止する。
「ありがとうございま‥‥」
 憐華が礼を言おうとした時――
「二人とも! 避けて!」
「「!?」」
 ルキア機から警告。二機は回避運動。またもプロトン砲が飛んできた。HWが接近してくる。
「おっと、そこは間合いですよ!」
 すぐさま反応する誠機。ブーストを使用。その上でMブーストを使用し、軌道修正しながら一気に駆ける。
「ワイルド・カードは何者にも成れる‥‥!」
 ルキア機の援護射撃が入る。
 そして誠機がすれ違いざまに剣翼で切り裂いた。側面を割られたHWは地面に突っ込み、大爆発を起こす。
「はあまったく、コレだけHWがいると壮観だね。どーせなら、バグアも綺麗なレディの兵器作ったらいーのに」
 ぼやくルキア。まあ、女性タイプのキメラは確認されているが‥‥。

●掃討
「さて、そろそろ幕です‥‥『ツインブースト・OGRE』起動!」
 TBO・Bを起動した米本機が最後に残ったHWに肉厚の剣を叩き付ける。
 両断されるHW。米本機は後退。爆発。
「敵機全て撃破確認。作戦、終了だね」
 ルキア機から全機に通信。
「貴隊と共に闘えた事を光栄に思う」
 β133小隊に労いの言葉をかける公司。
「いえ、こちらこそ」
 雪からの返答。彼女らはずっと前衛の援護を行っていた。
「どうやら他の戦域でも勝敗が決したみたいですよ」
 真彼からの通信。β−01本隊からの情報によれば北熊本に攻撃を仕掛けてきたHW部隊の殲滅に成功したとの事。
 味方の損害は微々たる物で、戦死者数も0。華々しい勝利であった。
 それは‥‥暗雲が立ち込める九州戦線に射した一筋の光‥‥なのかもしれない。
 傭兵達は犬彦の吹くブブゼラの音を聞きながらコクピットシートにもたれかかり、ささやかな余韻に浸るのだった。