タイトル:その温泉、騒動マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/12/30 07:28

●オープニング本文


 ここは阿蘇山のふもと――
 一部の者に秘湯として知られる『湯万寿』という名の小さな温泉宿。

 そこに、優雅に朝風呂を楽しもうとしている客の姿があった。
 一組のOLだ。ショートカットの大人びた雰囲気の女性と、肩まで伸ばした髪にやや童顔の女性。
 二人ともタイプは違うが100人中99人は『美人』と答えるだろう。
 そのプロポーションも中々のもので、身体に巻いたバスタオルの上からでもはっきりとメリハリの利いた魅惑の凹凸が確認できる。
「この温泉いいよねー、見て。お肌ツヤツヤ♪ 噂通りだわ」
「私も胸がちょっと大きくなった気が〜」
 この湯には美肌効果とバストアップ(豊胸)効果があるらしい。‥後者は定かではないが。
 脱衣場の戸を開け、露天風呂に足を踏み入れる二人。しかしそこには、先客がいた――
「クエッ?」
「‥‥」
 一瞬言葉を失う二人。
「ペ、ペンギン??」
 そこで湯に浸かっていたのはペンギンであった。ただ普通のペンギンとは明らかに違う。大きさが1mほどもあり、頭部に2本の角が生えていた。
「なんでこんなところにペンギンが‥‥」
 そう思ったそのとき、二人に気付いたペンギンがいきなり襲い掛かってきた!
「ギャーギャー!!」
 ジャンプし、二人に向かって翼の先の鋭い爪を振り下ろす!
 その速度に反応できない二人。そして――
 切り裂かれたバスタオルが、はらりと落ちた。ぷるんと揺れる豊かな双丘×2。
「ブハー!!?」
 偶然居合わせた男性客がそれをばっちり目撃してしまい、鼻血を噴出して倒れる。
「‥‥き、キャーーーーーーーーーー!!!!」
 女性二人の、甲高い悲鳴が上がった。

「そんなわけで、困っておりますの」
 艶やかな黒髪をアップにした着物姿の妙齢の美女が溜息をついた。湯万寿の女将だ。
 キメラと思われるペンギンが現れ露天風呂を占拠してしまったため営業が出来ないとのこと。
 聞けば湯万寿は元々、女将とその夫が二人で営んでいたらしい。
 しかし数年前、夫は病で死去。それ以来女将は数人の従業員と共に宿をきりもりしている。
 このままの状況が続けば湯万寿はつぶれるしかない。ゆえに、ペンギンキメラを退治して欲しいとの依頼であった。
「湯万寿の未来がかかっています。どうか、よろしくお願い致します」
 女将は深々とお辞儀をした。

●参加者一覧

花柳 龍太(ga3540
21歳・♂・FT
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
六道 菜々美(gb1551
16歳・♀・HD
シェリー・クロフィード(gb3701
20歳・♀・PN
咲坂 七海(gb4223
17歳・♂・DG
黒羽 空(gb4248
13歳・♀・FC
九条・嶺(gb4288
16歳・♀・PN
榊 菫(gb4318
24歳・♀・FC

●リプレイ本文

●VS鬼ペンギン
 温泉を占拠している鬼ペンギン討伐に集まった能力者達。
 その中で一際力んでいるのは咲坂 七海(gb4223)であった。
「よし! ペンギンなんて俺のAU−KVで――」
「申し訳ありません。諸々の事情でタオルのみ着用可、とさせていただいております」
 七海の言葉は温泉宿の女将、湯野・華子(33)によって遮られた。
「なにぃ!? 使えないのかよ!」
 がくりとうなだれる七海。
「キメラも温泉好きとは‥どういう考えでバグアは用意したんだか‥」
 その様子を見ながら赤髪の青年、花柳 龍太(ga3540)が苦笑する。
「悪い事をするペンギンさんにはお仕置きしないといけないね♪ それに温泉は初めてだからお仕事の後が楽しみ〜♪」
 ポニーテールを揺らし、無邪気に笑うシェリー・クロフィード(gb3701)。
「私、温泉とか、すごく、好きなので。みんなの温泉、守る為に、頑張ります‥!」
 その横で六道 菜々美(gb1551)はぐっと拳を握った。彼女は生粋のお風呂好きらしい。
「ペンギンのくせに変態め‥‥生きて帰れると思うなよ‥‥」
 後ろでめらめらと黒い炎を燃やしているのは黒羽 空(gb4248)。
「温泉好きなペンギンさんかぁ。それなら鬼ペンギンじゃなくて温泉ペンギンの方がよさそうな?」
 おさげの少女、香坂・光(ga8414)はキメラに興味があるようだ。
「一日貸し切りとは太っ腹ですね〜。‥しかし温泉ペンギンですか、やはり寝床は冷蔵庫なんでしょうか?」
 同じくキメラに興味津々な様子の九条・嶺(gb4288)。いいえ、鬼ペンギンです。
「温泉にペンギンですか‥それ自体は可愛いと思いますけど‥今回のは狂暴そうです」
 頬に手を当ておっとりと考え込む榊 菫(gb4318)。
「‥しかし、男二人だけは何か肩身が狭い気持ちになるのは気のせいか‥?」
 女性陣が鬼ペンギンについて語る中、一抹の不安を覚える龍太。
 そんなこんなで、壮絶(?)な戦いが始まろうとしていた――

「きゃあぁぁっ!?」
 風呂場に入って、真っ先に狙われたのは菜々美であった。
 いきなり鬼ペンギンが襲い掛かってきたのである。不意打ちだ。目立たぬ様きつく巻かれていたタオルから解放され、ぷるるんと揺れるたわわな果実。露になる白い肢体。
「み、見ないでぇ‥‥」
 顔を真っ赤にしてその場にぺたんと座り込んでしまう菜々美。
「よくも! 変態には天誅ってやつを与えてやる!」
 クロックギアソードで斬りかかる空であったが、ひらりと避けられ逆にカウンターを食らってしまう。‥‥だが彼女はバスタオルの下にもう一枚腰にタオルを巻いていたのだ! ちくしょう!
「くっ、意外とすばしっこい」
 頬を染めつつ片手で申し訳程度の膨らみを隠す空。
「このぉ!」
 シェリーも攻撃を試みるがやはり避けられ反撃を受けてしまった。
 ぽよんと弾む豊かな双丘。
「あぁん、もうお嫁にいけなぃ‥‥」
 涙目になりながらタオルの残骸を回収し身体に巻くシェリー。しかし余計にきわどいぞ。けしからん!
「ちょっとそこの二人、何してるの? 戦ってよ」
 光が男性二人を見た。
「い、いや‥その‥」
「少し待ってもらえると‥嬉しい‥」
 二人とも前屈みになっている。――男性二名、一時戦闘不能。
「しょうがないなあ。それじゃあたしが!」
 光はペンギンに向かって突進。当然攻撃を受ける。布切れが床に落ち、健康的な小麦色の肌が露になる。
「よくもやってくれたなー! これで‥お終いだよ!」
 スキルも使った怒涛の反撃。ペンギン一匹が倒れた。
「ふっふー、どんなもんだい♪」
 男性の目があることもすっかり忘れ、ポーズを取る光。ばっちり見られてます。
「はあっ! せいっ!」
 タオルをひらひらさせて挑発しながら両手に剣を構えペンギンに攻撃を仕掛ける嶺。バスタオルはあちこち切り裂かれ豊満な肉体が見え隠れしているが気にも留めない。
「さあて、もっといい声で泣いて頂戴。見物料は高くつくわよ」
 ペンギンを踏みつけ、げしげしやっているのは覚醒し女王様モードになった菫。
 それまでの激しい動きでタオルは外れており、生まれたままの姿になっている。
 Sっぽい表情も合わせて非常に扇情的だ。
「よくもやってくれましたねっ!」
 復活した菜々美も覚醒して戦闘に参加していた。さっきまでの気弱な少女とは打って変わり熱血な様子。
 女性陣が奮戦する中、息を整え息子も落ち着かせた男性二人がついに動き出す!
「ひっひっふー、ひっひっふー。‥よっしゃ、いくぞ!」
「‥‥スキルが無くったって、やってやる! やってやるぞ!」
 そこへ、対峙するように出てくる一匹の鬼ペンギン。体が一回り大きく目に傷があり、あからさまにボスくさい。
「な、なんだこいつ」
「やるっていうのか!」
 睨み合う双方。そして――飛び出した二人と一匹が交差。鬼ペンギンの爪が煌いた。
 一拍置いて、はらりと落ちる龍太と七海のタオル。しかも女性陣の目の前で。‥‥固まる二人。
「あら、可愛い」
「変なもの見せるなー!!」
「へぇ、こうなっているんですね」
「きゃー! きゃー!」
「‥‥!!」←目を覆っている
 それぞれ感想を述べる女性陣。
「なにこれ、小さい」
 ‥‥その言葉がトドメとなって、龍太と七海は崩れ落ちた。
 ――男性二名、精神的に再起不能?
 その後、鬼ペンギンは女性陣によって全て倒されたのだった。

●皆でお掃除
 鬼ペンギンを倒し終えた能力者達は清掃作業に入った。
 ホースの水を使って血糊や油を流し、清掃用具で綺麗にしてゆく。
「ったく、なんで俺が‥‥」
「すごく‥‥面倒だ」
 龍太はせっせと鬼ペンギンの亡骸を外に運び出し、七海は派手に散らばったタオルの残骸を集めている。力仕事や面倒事は男の役目だ。
「お掃除も、大事、です」
 菜々美はバトルモップで床を掃除していたがふらふらしており危なっかしい。
「それもそうだな」
 七海が頷いたそのとき――
「きゃー! どいてどいてー!!」
 何故か置いてあった石鹸に足を滑らせたシェリーが突っ込んでくる。
「さっさっさーっと‥‥にゃ? ぎゃぅ!? 止まれないよー!!」
 ついでに元気にモップをかけて走り回っていた褌とサラシ姿の光も別の方向から迫る。どうやらこちらも滑って止まれなくなったようだ。
「え? え? ちょ、ちょっと待てー!!」
 残念ながら急には止まれません。どかーんとぶつかり揉みくちゃになって転ぶ三人。
「‥‥いててて」
 起き上がろうとする七海。しかし手に違和感が――
 ぽみゅんぽみゅん。すごく柔らかい。なんだこれ。状況を確認してみよう。
「‥‥あっ」
 七海の左手はシェリーの豊満な胸をばっちり鷲掴みにしていた。
 ふにゅんふにゅん。あれ? 右手のほうもおかしいぞ? こっちも確認してみよう。
「‥‥ああっ」
 七海の右手は光のふくらみかけの胸にばっちりタッチしていた。
 簡単に説明すると、七海はシェリーと光を押し倒す形で倒れていたのだ。しかも胸を思いっきり触っている。弁解不可能。殺気を感じるのは何故だろう。まさに絶体絶命。嘘だといってよ!
「「‥‥‥‥」」
「あの、二人とも、これはですね、不可抗力というものでしてね」
「「こんの‥‥エロガッパァァァァァ!!」」
 見事なダブル・アッパーカットが七海に炸裂。
「俺の所為かーーーーー!!」
 叫びながらきりもみしつつ吹っ飛んでいく七海。まあ揉んだのは本当だし仕方ないよね。
 そうして彼は、お空の星になったのでした。
「‥‥夕飯までには帰ってこいよー」
 鬼ペンギンの死骸を抱えた龍太が他人事のようにぼそりと言った。

●皆でお風呂
 一仕事終えた能力者‥‥の女性陣は、待ちに待ったお湯を楽しんでいた。
「‥‥〜♪」
 上機嫌で鼻歌を歌う菜々美。
「う〜ん、お仕事の後のお風呂はまた格別♪ 皆もそう思うでしょ♪」
 お湯に浸かってぐーっと手を伸ばし、くつろいでいるシェリー。
「そうですね。気持ちいいです。‥皆さん、スタイル良くて羨ましい」
 髪をアップした菫が皆を見回しながら言った。白いうなじが艶かしい。
「いえいえ、菫さんもなかなか。肌もすごく綺麗ですし」
 嶺が答える。そこへ――
 風呂場の戸ががらりと開き、七海が入ってくる。
「はあ‥‥さっきは酷い目に遭った‥‥って、げぇっ!?」
 七海は身体中に絆創膏を貼っておりボロボロだった。その傷を癒そうと温泉に入りに来たのだが女性陣と鉢合わせ。
「ななな何入ってきてんだー!!」
 空がすぐさま反応しお湯に首まで浸かり身体を隠す。
 ちょっぴり男性恐怖症の面がある菫も固まる。
「‥‥また胸を触る気‥‥?」
 シェリーが警戒心を露にする。
「だからそれは不可抗力‥‥もういいよ」
 とぼとぼと出て行こうとする七海。
「まあまあ。この温泉は混浴なのですし。良いではありませんか」
 嶺が引きとめ、女性陣をなだめた。
「うーん、まあ変なことしないならいいかなー」
 同意する光。他の女性陣も渋々ながら同意した。
「え? いいの?」
 同意を得た七海はそそーっと隅っこのほうのお湯に入る。
 恥ずかしさもあったがとりあえず疲れを癒したかったのだ。
 まあ、七海も健康な男子なので眼の保養の目的が無いといったら嘘になるが。
「ふぅ‥良い気持ち〜♪」
 光はまったりと湯に浸かっている。実に幸せそうな表情だ。
「あ、そうだ。お湯にタオルつけるのはマナー違反なんだぞ♪ というわけでタオルは貰った〜♪」
 光は思い出したように女性陣のタオルを奪いにかかる。ちなみに彼女自身は最初からタオルをつけていない。
「ちょ、だめぇ!」
「やめてください! あぁん!」
「そんな、いけませんわ。如何に女同士といえども‥‥」
「い、いやぁ‥‥!」
「ダメだって! と、取るなぁ!」
 次々とひん剥いていく光。嬌声やら色々と聞こえてくる。
 七海は後ろを向き知らないふりを決め込んでいたが、どうにも興味をそそられてしまう。やっぱり男の子ダネ! そーっと振り向くと‥‥そこには、一糸纏わぬ菜々美の姿。湯に火照り、雪のように白い肌がほんのり赤みを帯びている。
「!!?」
 目の前の光景に衝撃を受ける七海。菜々美はたまたま光から逃げてきただけだったのだが。‥‥のぼせていたこともあり意識がぐわんぐわんと揺らぐ。そういえば桃色のものが一瞬見えた気もする‥‥ああ、幸せなんだかそうでないんだか。今日の出来事が走馬灯のように流れ、彼は意識を失った。ぷかーっとうつ伏せの状態で湯に浮かぶ七海。
「‥‥!? 大変です! 七海さんが!」
 それに気付いた菜々美が叫び、七海は急いで運び出されるのであった。

●乱入
「やはり風呂はゆっくりしているほうが落ち着くな‥‥」
 龍太は皆が上がった後で一人、温泉に浸かっていた。
 なにやら七海がのぼせてぶっ倒れたらしいが知った事ではない。
「ふぅ‥‥」
 ‥‥やはり温泉は良い。今までの疲れが消えていくようである。
 そのとき――がらりと風呂場の戸が開かれた。
「も一回、入ろ‥‥♪」
 入ってきたのは菜々美だった。入浴が趣味の彼女。最低5回は温泉に入るつもりらしい。
「あっ‥‥」
 菜々美は龍太の存在に気が付く。
「ご、ごめんなさい! お邪魔でしたね!」
 出て行こうとする菜々美。
「ま、待て! お、お前がいいなら‥‥俺は構わんぞ。こ、混浴だしな」
 たどたどしくも優しさを見せる龍太。
「そう、ですか。それでは、失礼します」
 バスタオルも巻いているし大丈夫だよね、と菜々美は龍太と距離を開けつつ、背中合わせに湯に浸かる。
 ‥‥‥‥しばし沈黙の時が流れた。緊張や恥じらいの色が見え隠れするもどかしい空気。
 そんなとき――
 今度はがらがらっと勢い良く戸が開かれた。
「龍太さん! 一人で温泉に入るなんて味気ないですわ! やっぱり皆で入るべき!」
「すみません! 嶺さんに無理矢理引っ張られて‥‥!」
「うええ!? ごごっごめん!!」
 乱入してきたのは嶺、シェリー、空であった。空は逃げ出そうとするが嶺にがっちり腕を掴まれてしまう。
「って、あら?」
 湯に浸かっていたのは龍太だけでなく、菜々美もいることに気付く。
「‥‥ほほう、お二人‥‥もしや‥‥」
 にやりと笑う嶺。
「ち、違います! たまたま一緒になっただけです! その‥そういうことじゃないですから!」
 必死に否定する菜々美。
「‥‥」
 何もそんなに力強く否定しなくとも、と思いつつぶくぶくと湯に身体を沈める龍太。しかし急に騒がしくなったな‥‥とも思った。
「まあいいです。お二人とも、お湯に浸かる前にまず背中を流しましょう」
 洗い場に腰掛け、身体を洗い始める嶺。龍太は嶺がタオルを取るのを見て、目を背けた。
 しばらくして――
「龍太さん、ちょっとこちらへ来てくれませんか。お願いがありますの」
「一体なんだ‥‥って、うっ!?」
 湯から上がった龍太が見たものは‥‥その豊満な肢体を石鹸の泡のみで包んだ嶺の後ろ姿であった。これは‥‥実に‥‥アレである。
「背中を流していただけませぇん?」
 わざとらしく色っぽい口調で言う嶺。
「そ、それは‥‥」
 顔が真っ赤になる龍太。
「お願い致しますわぁ、ねぇ、いいでしょ?」
 少しだけ振り向く嶺。泡に包まれた豊かな膨らみがちらりと見えた。
「わー! わー! わかったからこっちを向くな!」
 これ以上見せられたら理性を保てるか判らないので龍太は仕方なく同意する。
「‥‥」
 目の前には泡を纏った艶かしい嶺の背中。女性らしい曲線美を見せ付けられ、風呂桶を持つ手がぷるぷる震える。
「どうしましたの? 早くしてくださいな」
「あ、ああ‥‥」
 流そうとするが、風呂桶を持つ手がぴたりと止まる。
 ――待て、泡を流してしまったら丸見えじゃないか。
「んもう、まだですの?」
 急かされて焦る龍太。どうする、このままでは。同意してしまったのだからやるしかあるまい。でも丸見えはヤバイだろ! どうするよ、俺! ちくしょう変な汗が出てきやがった。ぐるぐると回る思考。‥‥数秒後、彼の脳はある結論を出した。思考する事をやめたのだ。
 びたーん!! と倒れる龍太。
「きゃー!? 龍太さん!!」
「あらら、ちょっとやりすぎましたかね」
 悪びれた様子も無い嶺であった‥‥。

 一方その頃、他の女性陣+七海は――
「ふにゅう‥‥」
 七海は未だに倒れたまま。菫に膝枕され団扇であおいでもらっていた。
「ごきゅごきゅごきゅ‥‥ぷはぁー! やっぱり温泉といったらこれだよね!」
 キンキンに冷えたコーヒー牛乳を一気飲みする光。
「うふふ、そうですね」
 微笑む菫。
「そのコーヒー牛乳はうちの宿の特製なんですよ。よろしければお土産に差し上げます」
 女将がにこやかに言った。聞けば阿蘇の牧場の牛乳を使った湯万寿のコーヒー牛乳はかなり好評らしい。
「ほんと? やった! 温泉、最高!」
 そんな感じで、温泉をたっぷり満喫した能力者達であった。