●リプレイ本文
●湯万寿へいらっしゃーい
温泉に出現した珍妙なキメラを退治にやってきた能力者ご一行様がご到着!
「油断するつもりは無いけど、なんか今回のは弱そうだな。キメラ相手にすっきりしたら温泉まんじゅうの一つでも買っていこっと」
初めに口を開いたのは大河・剣(
ga5065)。
彼女は油断しないと言いつつも、相手を見くびっているようである。
それが、果たしてどのような結果を生むのか‥‥。
「女将さんは相変わらず大変だねぇ。今回もちゃんとキメラを倒してあげるから、元気出してね♪ ‥‥というかもう、これを売り物にするしか?」
すっかり湯万寿の常連となった香坂・光(
ga8414)が元気に言った。
「ありがとうございます。しかし‥‥キメラが売りの温泉というのはちょっと‥‥」
ぺこりと頭を下げる女将。その顔は少し引きつっていた。
「なんというか‥‥バグアも温泉に来たいのでしょうか‥‥」
メイプル・プラティナム(
gb1539)がぼそりと呟く。
温泉好きのバグアがいるのかどうかは判らないが、定期的に出現するアレなキメラ‥‥湯万寿が狙われているのは確かだろう。
「また来てしまった‥‥。いや温泉は気持ちいいから良いんだけど。‥‥きっ、キメラに期待なんてしてないからなっ!?」
ついつい本音(?)を漏らしてしまう黒羽 空(
gb4248)。
今回のキメラも相当激しそうである‥‥。
「智覇お姉ちゃん‥‥いつもここの温泉に入りに来るんでしょうか?」
前髪で片目を隠した大人しそうな美少女、来栖・繭華(
gc0021)が智覇に尋ねる。
「ええ、休暇は殆どここで過ごします」
座敷に座り、お茶を啜りながら智覇が答えた。
「‥‥あ、そういえば、智覇お姉ちゃんによろしく伝えておいて欲しい、と言っていましたの」
「そうですか‥‥」
智覇は友人の顔を思い出し、口元をほころばせた。
「お姉ちゃん。げ、元気出して下さいですの。繭華たちが悪いキメラさんを退治しますの」
続いて繭華は女将のほうを向き、声をかけて励ます。
「お姉ちゃんだなんて‥‥お世辞でも嬉しいわ。ありがとう。期待させてもらいます」
女将は繭華の手を取り、瞳をうるうると潤ませる。
ちなみに女将は三十路を過ぎた妙齢の美女である。
「こんな時代だし、たまにはゆっくり温泉ってのもいいね」
戦争中だからこそ癒しは必要なのだと布野 あすみ(
gc0588)は思う。
(「勝てる‥‥のかな?」)
彼女の顔にはちょっぴり不安の色が浮かんでいた。
変なキメラが相手でも‥‥戦闘はやはり怖い。
(「キメラが現れる程の温泉‥‥楽しみです‥‥」)
一方、綺麗な黒髪にヘッドドレスをつけ、純白のメイド服を身に纏った音無 音夢(
gc0637)はわくわくしているようだ。
‥‥感じ方は人それぞれらしい。
そして準備を整えた一行は脱衣場へと向かう。
●VSホワイトチョコスライム
「ふむ、例によってぬるぬる系だから水着OKか。ちょっと安心‥‥かな?」
空はそんなことを言いながらするすると下着を脱ぎ、水色のタンキニを着用。
「‥‥これ、かな。破れたらまあ‥‥ごめんってことで」
レンタル水着から適当にチョイスした白のビキニを着用する剣。
「ふーんふふー♪」
これからどうなるかを想像しつつ着替える光。水着は紺の新タイプのスクール水着。
「ふええっ!!?」
すっとんきょうな声を上げたのはメイプルだ。
友人から渡され「当日まで見ないように」と言われたバッグを開けてみたところ‥‥入っていたのは白いスクール水着であった。
「あぅ‥‥なんかこれ透けちゃいそうで恥ずかしいですー‥‥」
しかしながら、水着はこれしかないので(メイプルの頭にはレンタルという言葉無かった模様)着用する。
幼さを感じさせるスクール水着‥‥色は彼女の純真さを表すかのような純白。
豊満なバストとのアンバランスさもあって‥‥なんというか、一部の者にはたまらないだろう。
「ふー、緊張するなー」
あすみは緑のチャック柄のビキニを着用。
「ふにゅ‥‥ちょ、ちょっと苦しいですの‥‥」
繭華は紺の旧タイプのスクール水着を着用している。
厚めの布生地に圧迫されつつもしっかりと自己主張している胸は反則的だ。
幼い顔立ちに豊満な肉体‥‥メイプルと同じく、実にけしからん。
「胸が大きい人‥‥羨ましいです‥‥」
その様子を恨めしそうに見つめる、白のワンピース水着を着用した音夢。
「ふにゅ。ど、どうしましたの?」
視線に気付いた繭華が尋ねるが、音夢はぷいっとそっぽを向いてしまった。
別に特別な感情は無く、単なる嫉妬だったが。
着替えが終了したらいよいよ風呂場への突入である。
「スライムっていったらこれだよなー」
手の中でくるくると機械剣を回す空。
「さ、それじゃあさっさと倒そうか♪ 戦場に一番乗り‥‥」
光はガラガラと戸を空け、足を踏み出すそぶりを見せるが――
「‥‥は、よろしく♪」
ドン! と隣に居たメイプルの背中を押す!
「気を付けてください! 床が滑りやすくなって‥‥ふえっ?! ひゃっ!? あわわわわわっ!!」
押し出されたメイプルは床を覆った粘液に滑ってバランスを崩してしまう。
手をバタバタさせて踏ん張ったが‥‥無駄だった。びたーんと派手に転ぶ。
そこへ待ち伏せていたスライムがやってきて、やはりというかなんというか、捕まってしまった。
「一番手は襲われるジンクス大当たり?」
想定通り! と心の中で悪っぽい笑みを浮かべる光。
「くそ! メイプルを離せ!!」
直刀・菫を構え、スライムに向かっていく空であったが‥‥円閃を使用しようとした瞬間、粘液に足を滑らせ、自分からスライムに突っ込んでしまい――あっさり捕まった。
「剣、こっちは任せて!」
「俺の背中を守るって? おーらい、無茶すんなや!」
あすみと剣は背中合わせになり、互いを守る形に。しかし守るということは相手に攻められるということでもある。ほどなく二人はスライム数体に囲まれてしまった。
「くっ‥‥なら!」
剣は獣突を使用し、スライム一体を弾き飛ばす!
だが飛んでいったスライムは‥‥なんと、後ろにいた光を直撃!
「きゃあああ!?」
スライムに纏わり付かれ光は捕まってしまう‥‥。
「な、なにするのさー!」
「あっ‥‥ごめん」
そっちのことは考えていなかった。光に謝る剣だったが――
「剣ー!!」
背後からあすみの声。振り向くと、目の前にスライムが迫っている!
剣‥‥捕まる。足掻くが纏わり付かれ、すぐに身動きが取れなくなった‥‥。
背中を守る剣が居なくなったことで、守りが薄くなったあすみも当然捕まる。
残るは‥‥繭華と音夢のみ。
「い、今助けに‥‥い、行きますの」
「ダメ。下手に飛び足したら二の舞です‥‥」
しかし、スライムは容赦ない。じりじりと二人に迫ってきていた。
音夢は最後まで繭華を守ったが多勢に無勢。捕まってしまう。
最後に残った繭華が捕まるのも、時間の問題だった‥‥。
スライムに捕まっている能力者達。
メイプルは――
「やぁっ‥‥どろどろで‥‥気持ち悪いです‥‥」
両手足は拘束されて、動けない。全身をぬめぬめとしたスライムが這い回る。
分泌される粘液で白い水着はてかてかと光沢を放っており、非常に扇情的だ。
スライムは這い回るだけでなく‥‥口内にも侵入してきた。
「むぅっ!?」
口の中で粘液が溢れてくる。
「けほっけほっ! 舌に絡んで‥‥うえぇ‥‥濃いぃ‥‥」
たまらず、メイプルは吐き出した。口から垂れる、白いどろどろとした粘液がすごく‥‥アレだ。
「こんなぬるぬる‥‥ぅあっ! ‥‥そこはダメぇ‥‥っ!」
あらぬ処をまさぐられ、空は声を上げた。スライムは敏感な部分を集中的に狙ってくる。
ぬめぬめとしたものが肌に触れるたびに、空はびくびくと背をそらせた。
水着は取られてしまい、生まれたままの姿となっている‥‥。
「ひゃあああ!! ダメ、ダメだよぉ!!」
光もするすると水着を脱がされ、ぬるぬるのスライムに身体中をまさぐられる。
「ああっ! あああああっ!!」
ねちっこい責めに、息も絶え絶えだ‥‥。
剣とあすみは同じスライムに捕まっている。
「やっ、こらっ、やめっ‥‥耳はっ‥‥だめっ‥‥!」
覚醒により白虎の耳と尻尾が生えた剣。
スライムは剣の弱点が耳であると判断したのか、そうでないのかわからないが‥‥執拗に絡んできた。剣の顔はもう白い粘液まみれである。
「ちょっと、何このカッコ! 離れろっ、離れなさ――いや、いやぁ‥‥!」
あすみは‥‥股を強制的に広げられている。
じたばたともがくがスライムは離れない。水着は‥‥当に脱がされていた。
恥ずかしさのあまり、あすみは目を瞑る。
「なに‥‥これ‥‥? んぁっ‥‥! 気持ち悪いはずなのに‥‥でも‥‥ああっ!」
スライムに全身をまさぐられる音夢。確かに初めは気持ち悪かった。
しかし――段々と、快楽に支配され始め――もうどうしていいかわからない。
頭の中が真っ白になってゆく‥‥。
「く、くすぐったいですの。そ、そこはだめですの!」
繭華も同じく、スライムの責めを受けている。
スライムが水着の隙間に入り込み、ぬるぬるとした感触と共に水着を脱がされる。
束縛から解放され、たわわな二つの水蜜桃がぽよんと揺れた。白い肢体が露になる。
「んぐ! んんんっ!!」
口の中にもスライムが侵入。口内がどろどろとした粘液で満たされ、苦しくなった繭華は咳き込みながら吐き出した。口から垂れた白い粘液が胸の谷間に溜まってゆく‥‥。
スライムに拘束され、快楽に呑まれつつある能力者達――。
もうダメか? そう思われたが‥‥
「グルァアアアアアアアアア!!」
興奮状態が長く続いたために白い猛虎と化した剣が、渾身の力でスライムを振り払った。
脱出した剣は次々と囚われている仲間を救出し、一気に反撃に出る!
「むー、また恥ずかしい目にあわせたキメラには天誅だよ!」
「も、もう許さないですっ! 白・粘・断・罪・剣ッ!」
「うぅ‥‥身体中ぬるぬる‥‥。なんか恥ずかしいな‥‥。よくも!」
「お返し、ですの!」
「はあ‥‥はあ‥‥かっ、覚悟ッ!」
「ふぁ‥‥まだ‥‥戦えます‥‥」
一斉攻撃に末、なんとかスライムの殲滅に成功した。
●白濁の湯
スライムを倒し、残った粘液の掃除を終えた能力者達は温泉に浸かる!
剣はお湯に入りながら熱燗をちびちびちとやっている。
「いい風呂じゃん。苦労した甲斐があったぜ、本当によ」
げらげらと笑う剣。すっかり出来上がっている様子だ。
「はぁ、エラい目にあった‥‥」
温泉にだらりと浸かって疲れを癒すあすみ。
「あんなの二度と相手にしたくないよ。相手にしたくないけど‥‥うん、相手にしたくない!」
しかし一瞬「もう一度だけなら」とも思ってしまった。
すぐさま我に返り、ぶんぶんと頭を振る。
(「まったく‥‥何考えてんだあたしは‥‥」)
必死に否定。
(「でも‥‥気持ちよかったかも‥‥」)
思考は堂々巡りである。
「はふ‥‥気持ちいいし美肌効果は嬉しいんですけど‥‥」
メイプルも湯に浸かってまったり。
(「また‥‥大きくなったかなあ‥‥」)
視線を下げ、成長著しい自分の胸に目をやる。
「入ってみると‥‥肌がすべすべになる気がしますが‥‥。肌よりも‥‥胸の方が‥‥」
音夢はお湯を楽しみつつも、メイプルの胸を羨ましそうにじぃっと見つめる――。
「ふえっ!? その‥‥あんまり見られると恥ずかしいです‥‥」
視線に気付いたメイプルはぽっと頬を赤らめた。
「一体どうやったらそこまで‥‥」
自分の胸との差に、不満そうな音夢。
「ふぅ‥‥それにしてもホント名物みたくなってるのがなぁ‥‥。癖になったわけじゃないからな‥‥」
ぶくぶくと湯に顔を沈める空。
やはり本音が出ている辺り、可愛らしい。
「とーぅ!!」
そこへ現れる影! しゅばしゅばっと皆のタオルを奪ってゆく。
「今回もタオルゲットなのだ♪」
やはり光だった。腰に手を当て、勝利のポーズ。
皆から悲鳴が上がる。
「ちょっ! 返せ、返せぇっ!」
取り返そうと必死に手を伸ばすあすみ。
――そんなあすみを無視し、光は智覇の隣にちゃぷんと入る。
「そういえば智覇さんもここの温泉よく来るよね? キメラの出現するときに。‥‥智覇さん、実はああいうキメラが好き?」
「‥‥いいえ。私はキメラが出ないときにも来ています。皆さんと会うのは偶々。それにキメラは倒すべきものです。断じて好きなどではありません」
智覇は淡々と言った。少し不機嫌そうに見えるのは気のせい?
「ち、智覇お姉ちゃん‥‥!」
そこへ身体を念入りに洗い終えた繭華が胸をたゆんたゆんと揺らしながらやってくる。
お湯に入り、智覇に抱きついてきた。ぴったりくっ付いて、離れない。
むにゅりとした柔らかな感触に戸惑った様子の智覇であったが‥‥すぐに穏やかな笑みを浮かべ、繭華の頭を優しく撫でた‥‥。
●ホワイトチョコとおまんじゅう
白濁湯を満喫した皆は、倒したスライムを使い、厨房で女将と一緒にホワイトチョコを作る。
「はー、スライムがチョコになっちゃうんですねぇ‥‥」
大きな鍋でぐつぐつと煮えるスライムだったものを興味深そうに見つめるメイプル。
「お姉ちゃん‥‥こ、こんな感じすればいいですか?」
繭華は女将を手伝っていた。砂糖を入れ、かき混ぜる。
「はい。上手ですよ」
割烹着姿の女将は繭華の顔を見てにっこり笑った。
しばらくして‥‥ホワイトチョコが完成。皆で試食する。
「んっ、甘くておいしいです〜」
「これは‥‥うん、普通に食べれるね!」
メイプルとあすみが声を上げた。
口に入った時は濃くて、少し苦味があったが‥‥加工後は美味だ。
「美味しいのだー。どんどんいけるねー」
「これなら‥‥また溶かせばケーキ作りに使えそうですね‥‥」
光と音夢も予想外のおいしさに頬を緩める。
「むぅ‥‥あんなことやこんなことをされたキメラを食べるのはアレだけど…確かに美味い」
空も、まんざらでもない様子。皆はぱくぱくと口に運ぶ。
残ったホワイトチョコは全員に配られた。
その後、剣と繭華は売店でお土産に温泉まんじゅうを購入。
やはり温泉といえばこれである。
「うー、頭痛い」
酔いつぶれた剣はホワイトチョコ作りには参加せず、時間一杯まで部屋を借りて休んでいたのだ。
酒は好きだが強くは無いらしい。
「‥‥お、お姉ちゃん、次はお客さんとして温泉に入りに来ますの」
繭華はおずおずと女将に向かって言う。
「ええ、お待ちしておりますね」
優しく微笑み、繭華の手を握る女将。
こんな感じで温泉をたっぷりと満喫した能力者ご一行様はお土産を手に、ほくほくと帰路に着くのだった。