●リプレイ本文
●湯万寿へいらっしゃーい
キメラ退治の依頼を受けた能力者ご一行様のご到着!
「温泉にナメクジキメラとはねぇ‥‥災難というか何と言うか。ともかく、さっさと片付けてゆっくりしたいわ」
スリムな体型の和服美人、皇 千糸(
ga0843)はそう呟いた。
「こんにちは、お女将さん。安心して、今回もキメラは凛達が残らずやっつけるから!」
「ええ、毎度すみません。宜しくお願い致します」
湯万寿の女将に向かって口を開いたのは勇姫 凛(
ga5063)である。きりっとした表情をしているが、内心は温泉を楽しむ気まんまんだった。そんな事とは露知らず、頭を下げる女将。
「我‥麗華と、共に‥戦う‥」
「わたくしもヴァサーゴと一緒に戦いますわ。‥‥しかし、ここはよく変なキメラに襲われるらしいですわね。変態キメラを作るバグアは一体何を考えていますのかしら?」
「バグアの思考‥いや‥嗜好‥理解‥不能」
無表情にたどたどしく言うL3・ヴァサーゴ(
ga7281)と、汗を垂らす大鳥居・麗華(
gb0839)。
ヴァサーゴはゴスロリ服が似合う、大人しそうな線の細い黒髪の美少女で、麗華は金髪のゴージャスなお嬢様といった印象。
「久しぶりに来ましたけれど、またキメラですか? 大変ですねえ‥‥」
榊 菫(
gb4318)はおっとりのんびりマイペースな様子。
(「姉さん、事件です」)
心の中で呟く黒崎 アリス(
gb6944)。
(「ここが日本の温泉宿なんだ‥‥風情があって綺麗なところ‥‥。敵はふざけたキメラだけど、気を抜かないで退治頑張る。見ていて、姉さん!」)
アリスはぎゅっと拳を握る。彼女は若干シスコン気味のようだ。ちなみに彼女が姉と慕う人物は健在である。
「いいところだ‥‥できれば休暇に来たかったな」
刀を携え、黒衣を身に纏った赤髪の青年、アーヴァス・レイン(
gb6961)が言った。残念ながら今回はキメラ退治が目的。まあ、終わった後には温泉が貸し切りとなるが‥‥。
「ここが例の温泉ね。仕事で来れるなんてついてるわ」
腰まで伸ばした艶やかな黒髪が特徴の女性、黒羽 葵(
gb7284)は嬉しそうであった。
以前、従妹が湯万寿を訪れたことがあり、話を聞いていた為である。
「‥‥それにしても豊胸効果ねぇ‥‥。あんまり大きくなられても‥‥」
葵は自分の、二つのたわわな膨らみに目をやり、少し揉んでみた。むにむにむにむに。
「「‥‥」」
その様子をうらめしそうに見つめる千糸。そして座敷でお茶を啜りながら、ちらりと横目で見る智覇(gz0258)の姿。
二人の共通点は――いや、ここは黙っておくことにしよう。
共闘する智覇と挨拶を済ませた後、能力者一行は問題の風呂場へ向かうのだった。
●VS蛞蝓キメラ
脱衣場――
一行は蛞蝓キメラとの戦闘に備え、各自水着に着替えていた。
千糸は露出の多い紐水着を選択。スマートながらも均整の取れた肉体を惜しげもなく晒している。
「うう、恥ずかしい‥‥というか、何で普通に水着レンタルしてるのこの温泉宿」
細かい事を気にしてはいけない!
凛は持参した女子用のスクール水着を着用。ちなみに旧タイプだ。
「吸い付いてくるって聞いたから、あんまり肌を露出してない方がいいかと思って‥‥りっ、凛の趣味じゃないんだからなっ」
顔を真っ赤にしてもじもじしている。外見上はまったく違和感が無かった。
「‥麗華と‥体型、比較すると‥少々‥悲しい」
「ヴァサーゴは可愛いですから、それを補って余りありますわ」
ゴスロリ風の装飾が施された黒ビキニ姿のヴァサーゴと、露出の多めの赤いビキニ姿の麗華。
そして菫はパレオ付きの水色のビキニで、アリスは黒のビキニ。
「久々に水着を着たな」
アーヴァスは膝丈くらいまでのハーフパンツ水着。
葵は麗華などと同じく露出が多めの青色のビキニであった。水蜜桃が二つ、これでもかと自己主張している。
智覇は新タイプのスクール水着。胸は控えめであったがそのスタイルは抜群。
‥‥準備が整った能力者達は、封印の扉を開き、いよいよ風呂場へと足を踏み入れる。
「きゃあああっ!!?」
途端に、悲鳴が上がった。アリスだ。いきなり蛞蝓キメラが飛び掛ってきたのだ。
身体中に無数の蛞蝓キメラが張り付き、ちゅーちゅーと吸い付いてくる。
「わたっ、私‥‥もうだめぇ‥‥ね、姉さん‥‥っ!」
一輪の椿から、一片の花弁が落ちるイメージが浮かぶ――。
「あらあら、まあまあ」
目の前で仲間が襲われているというのにあくまでマイペースの菫。
「きゃっ!? いやぁ‥‥!!」
しかし彼女も蛞蝓キメラに群がられ、粘液まみれになりながら吸われる。
「多っ! そしてキモっ!」
目の前の光景に思わず叫ぶ千糸。‥‥そう、既に温泉は完全に蛞蝓キメラの支配下となっていたのだ。数え切れないほどの蛞蝓キメラが犇いている。
「く、来るなぁぁぁっ!」
迫り来る蛞蝓キメラを兎刀「忍迅」で払う千糸であったが、手元が狂って隣に居た葵のビキニを切ってしまう。束縛から解放され、ぽよんと揺れる豊かな双丘。
「なにをするんですか!」
「ご、ごめん!」
‥‥実に不幸な事故だ。致し方あるまい。
「っ! 見るなー! 左で殴るわよ!?」
アーヴァスの視線を感じた葵が片手で胸を隠しながら顔を染める。
「おっと、それは困るな」
壱式を振るいながら目を背けるアーヴァス。そんなことをしていると‥‥
「「きゃーーーっ!!」」
千糸と葵が蛞蝓キメラの群れに呑み込まれた。二人の悲鳴が重なる。
「ひゃぅ!? ぃや、んんぁ‥‥っ!」
「このっ‥‥、調子に乗るんじゃ‥‥にゃぁ!? ちょっ、ちょっと待‥‥あぁん!!」
全身、特に敏感な処を吸われ、悶える千糸と――抵抗を試みるも次第に快楽の虜になっていく葵。二人とも既に水着は脱げてしまっている。といっても、蛞蝓キメラに群がられているので良く見えない。だが、それがいい。
「‥‥!」
二人を助けようとするアーヴァス。しかし一瞬気が逸れた隙に蛞蝓キメラに張り付かれる。
「ぐっ、粘液が気持ち悪い‥‥最悪だ‥‥早く離れろ‥‥。ぬあああっ!?」
取り払おうとするも、そのまま蛞蝓キメラの波に沈んでしまった。
「万事休す‥救出‥急ぐ‥」
フランベルジュを手に救出へ向かうヴァサーゴであったが、粘液に滑って転び、その拍子に麗華の水着のホックを外してしまう。零れ落ち、ぷるりんと弾む二つの果実。
「くうう、やはり数が‥‥え? きゃぁ!? 何をしますの‥‥って、ひゃ!?」
隙を見せたらアウト。というわけで二人も蛞蝓キメラの餌食となった。
「んくぅ‥♪ な‥に、この‥感じ‥。ふぁ‥やぁぁ‥っ、其方‥駄目‥っ♪」
ヴァサーゴの無垢な肉体を蛞蝓キメラが這いずり回る。
「す、吸い付くんじゃ‥‥ひゃぁぁ!?」
麗華も同様。蛞蝓キメラは突起物を集中的に狙ってくる。‥‥全身を激しく吸われ、嬌声を上げる二人。
「皆!? ‥‥凛は、負けないんだからなっ。猫槍円舞‥‥なんだからなっ!」
当初、ランスで戦おうとした凛だったが、持ってきていたのは猫槍「エノコロ」だけ。しかし柄の部分を使い、なんとか今まで凌いでいた。するとそこへ――ゆらりと黒い影が現れる。
「アーヴァス! 無事だったんだな!」
そう、そこにあったのはアーヴァスの姿。‥‥でも、なにやら様子がおかしい。
――よく見ると全身に蛞蝓キメラを張り付かせている!
「ところで俺のモノを見てくれ。こいつをどう思う?」
アーヴァスの股間には、一際巨大な蛞蝓キメラが吸い付いていた。
「すごく‥‥大きいです‥‥」
ぽっと頬を赤らめる凛。
「だろう? 男は度胸。なんでもやってみるものさ」
そう言って、巨大な蛞蝓キメラを凛の頬にぐいぐい押し当ててくる。
(「ぬらぬらしていて‥‥ぴくぴく動いて‥‥太くて‥‥生臭い‥‥」)
スクール水着姿で、見た目完璧美少女の凛が‥‥するのは、実にアレだ!
どうやらアーヴァスは全身を吸われすぎてちょっとおかしくなってしまったらしい。
「らめえ‥‥! 姉さぁん! 姉さぁぁぁん!」
「もうやめてぇ‥‥ひゃあ! ひぃぃぃん!!」
「いやぁ‥‥あぁぁ‥‥」
尚も全身を吸われ続け、アリス・千糸・葵は息も絶え絶えの様子。
「もっとぉ‥もっとぉ‥♪」
細い肢体をくねらせるヴァサーゴ。
「ヴァサーゴの顔‥‥いやらしいですわぁ‥‥」
だらしない表情を浮かべ、ヴァサーゴの唇を奪う麗華。
二人とも、例によって身体中に蛞蝓キメラを張り付かせ、その粘液でぬるぬるの状態だ。これはひどい。
「だめぇっ‥‥凛の唇は‥‥だけの物‥‥なんだからなっ‥‥」
唇だけは防衛しつつも、凛も最早されるがままになっていた。
「‥‥」
皆がそんなことになっている一方、智覇は隅のほうで黙々と蛞蝓キメラを退治中。
――依頼を受けてやってきた能力者はこの有り様。このまま敗北してしまうのか?
否である。
「この下種が、このあたしの素肌晒したんだ。覚悟できているんだろうね!」
覚醒し、女王様モードになった菫(水着はとっくに脱げて生まれたままの姿)が蛞蝓キメラをげしげしと踏みつけていた。両手には太くて長い蛞蝓キメラを握り締めている。その姿は素晴らしく扇情的だ。
「俺は一体なにを‥‥? くっ、せぇいっ!」
正気に戻ったアーヴァスも頭痛に悩まされながら、機械剣αと壱式の二刀流で蛞蝓キメラを薙ぎ払う。
ヴァサーゴと麗華も武器を手に加わる。
――そして長時間に渡る激戦の末、なんとか蛞蝓キメラの殲滅に成功したのだった。
●掃除
「はぁぁぁ〜‥‥酷い目に遭った‥‥」
バトルモップで床を擦りながら溜息をつく千糸。蛞蝓キメラの責めであんなによがってしまった。そんな自分が恥ずかしい。でも‥‥良かったかも。
他の者達も粘液をホースの水で洗い流したり、大量の蛞蝓キメラの死骸を片付けたりしていた。なにせ、本当に大量にあるので時間が掛かる。――終わった頃には日が暮れ、夕方になっていた。
●温泉と紫陽花
「ふぅ‥‥」
バスタオルを巻き、温泉に浸かって疲れを癒すアリス。今日は大変だった。色々な意味で。
(「姉さんに、油断して酷い目にあったとか言ったら‥‥地獄の特訓が待ってるんだろうなぁ‥‥」)
そう考えると、憂鬱な気分になる。今は忘れよう‥‥。そういえばこの温泉、美肌と豊胸効果があるんだっけ。
「‥‥」
思い出して、アリスは無言で自分の胸に湯をかけてみたりした。
(「‥‥もう少しくらい欲しいかな‥‥」)
アーヴァスはお湯に浸かりながら紫陽花を眺めている。
「綺麗な紫陽花だ‥‥絵に描きたいな」
雨露にきらめく紫陽花は実に美しい。
(「いつもの右腕の疼きが止まった‥‥心が癒されているのか?」)
義手を撫でるアーヴァス。そこへ――
「ほんと、綺麗ですね」
隣に、バスタオルを巻いた葵がやってきた。
「ああ」
「そういえば気になっていたんですけど、その腕‥‥」
「昔‥‥色々あってな」
「同じ、ですね」
左腕を見せる葵。
「フム。俺も気になっていた。義手仲間か‥‥。あまり嬉しいものではないがな」
アーヴァスは苦笑する。
「それもそうですね」
葵も釣られて笑う。どうやら意気投合した様である。
その横で――
「皆さん、胸大きいです」
ちょっぴり溜息をつく菫。その視線の先にあるのは、汗ばんだ葵の豊満な胸元。
「はふ‥‥」
羨ましいなあ、と思う菫であった。
「凛、男なのに‥‥」
女性陣の真ん中でお湯に浸かっている凛であったが、まったく警戒されないので少し悔しそう。でも‥‥いつもタオルを奪いに掛ってくる温泉奉行が居ないので油断しきっていた。温泉‥‥気持ちいい。ほんわ〜とリラックスしまくりの凛でした。
そのとき――風呂場の戸がガラガラっと開いて、ヴァサーゴと麗華が入ってきた。
二人は男性の居ない時間帯を選んだつもりであり‥‥
「この時間であればきっと男性はいませんわ。タオルは確か着けてはいけないと言っていましたわね」
「日本の伝統‥文化‥大切」
全裸だった。タオルも持たず、一切身体を隠していない。
「あら、人影‥‥誰ですかしら‥‥って、え? きゃっ!?」
湯気でよく見えなかったが目を凝らしてみると‥‥凛とアーヴァスを発見。驚いて、尻餅をついてしまう麗華。しかも――大股開きで。
「‥‥痛たた。足を滑らせてしまいましたわ。‥‥ん? え? え? ‥‥ぁ、きゃああああ!!!!」
状況に気付いた麗華の悲鳴が風呂場に響く。時既に遅し。ばっちり見られちゃいました。
「り、凛は何も見ていないんだからなっ!!」
とか言いつつ、ぼっと顔を真っ赤にしている凛。
「‥‥」
アーヴァスは無言。
「男性‥確認‥。何とか、して、身体‥隠さない、と‥。麗華も、隠さないと‥」
自分の大事な処を隠しつつ、麗華の大事な処も隠そうとするヴァサーゴであったが、同じく足を滑らせてむにゅりと麗華の胸を鷲掴みにしてしまう。また悲鳴。もう何が何やら。風呂場は大パニックである。
「智覇さんとは是非ともお友達になりたいわ。何故かしら、私達は仲良くなれるような気がするの」
その一方、千糸と智覇は騒ぎを気にせず、一緒に温泉に入っていた。
「共に戦った時点で、私達は戦友です」
淡々と言う智覇。
「嬉しいこと言ってくれるじゃない!」
智覇に抱き付く千糸。
「苦しいです」
「ふふ、キレイな肌‥‥食べちゃいたいくらい」
智覇のほっぺに頬擦りする千糸。確かに智覇の肌は透き通るように白く、美しい。だが千糸も負けてはいない。
「なにを、するんです‥‥」
スキンシップに慣れていない智覇は‥‥ほんの少しだけ頬を紅潮させた。
「この温泉、胸が大きくなるらしいわね」
「ええ、そのような話も耳にしました」
「智覇さんはそれが目的で来てたんじゃないの?」
「いえ、単なる休暇です。千糸さんは、その‥‥気にしていらっしゃるのですか」
慎ましい千糸の胸に目をやる智覇。その智覇の胸も慎ましいが。
「うん‥‥」
ぶくぶくと湯に顔を沈める千糸。
「私は、特に気にしていません。戦闘には適していますし。これも特徴の一つではないでしょうか。これに魅力を感じる男性も居るという話です。ですから、千糸さんも‥‥」
「智覇たんは優しいなー」
今度はほっぺにキスしようとする千糸。これにはさすがの智覇もたじろいだ。
湯上りの能力者達――
座敷に座り、のぼせたアリスを膝枕してうちわで扇ぐ菫。
「もうお嫁に行けませんわ‥‥」
「あれは‥不慮の事故‥気にする必要なし‥」
隅で体育座りしてずぅーんと落ち込む麗華を慰めるヴァサーゴ。
「こくこく‥‥、ふぅ‥‥。美味しいわね、この牛乳。噂通りね」
湯万寿自慢のコーヒー牛乳を飲み干す葵。今度は是非オフの時に来たいものだ。
そんなこんなでキメラ退治は無事終了。すっかり夜になっていたので能力者達は湯万寿に一泊したそうな。