タイトル:【MTP】楽園の楼閣4マスター:とりる

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2013/03/10 18:00

●オープニング本文


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「ほへぇぇぇ〜〜〜!」
 高度約3万6000km。宇宙船の窓から外――青い地球をまじまじと見つめる、くりくりとした黒い瞳。
 彼女‥‥いや、彼の名は月日星・イカル(gz0493)。モルディブタワー計画(軌道エレベータ建設計画)のイメージキャラクター(アイドル)だ。
「そういえばあなた、宇宙に来るの初めてだっけ」
 イカルの隣に座る彼のマネージャーの女性が言った。
「もちろん、初めてですよ! 僕、ずっと地上で旅をしていましたから!」
 鼻息を荒くしながらイカルはマネージャーの顔を見て答える。マネージャーは苦笑い。
「浮かれるのは良いけど、今回は表敬訪問なんだからね? ちゃんと、よろしく頼むわよ」
「ええと‥‥建設中の静止軌道ステーション‥‥でしたっけ」
 イカルは小首をかしげた。難しいことはよくわからない。
「そうそう。その作業員や、駐留している軍人を激励するのが目的。あなたの歌を皆が待っているわ」
「はい! がんばります!」
 表情を引き締める、いつになくやる気満々のイカルだった。

 ***

 静止軌道ステーション付近。リギルケンタウルス級宇宙輸送艦『アルキオネ』。格納庫。
 ガントリーに固定されたKV‥‥GSS−04『タマモ』のコクピットハッチが開き、パイロットスーツ姿の少女が姿を見せた。
 少女はヘルメットを脱ぎ、ふう、と息を吐く。無重力空間に綺麗なセミロングの青い髪がたなびいた。
 ‥‥少女の名は早乙女・美咲(gz0215)。KV中隊、α−01部隊‥‥通称乙女隊の隊長である。
 と、そこへ。
「お疲れ様です! 隊長!」
 元気な声が響いた。美咲は視線を向ける。‥‥声の主はα−01部隊D小隊所属、岩崎・智里少尉だった。
「うん、ありがと」
 美咲は微笑む。彼女らα−01部隊は16機編成。4機で1小隊を組んでおり、それが4つという具合。
 4小隊でローテーションを組み、建設中の静止軌道ステーションの護衛に当たっている。
「ねえ、智里、訊いてもいいかな?」
 自分の機体へ向かおうとしていた智里を美咲が呼び止める。
「ん? なんですか?」
「うーんとね、なんで除隊しなかったの? 智里達‥‥D小隊の皆なら、別の道もあるんじゃないかな〜って」
「それはあれですよ」
 智里は胸を張る。
「‥‥?」
 軍に留まる理由はなんだろうか。『将官になる!』などの大きな目標でもあるのだろうか。と、美咲は考えた。
「お給料が良いからです!」
 智里はドンと、自分の胸を叩いた。
「再就職と言ってもなかなか難しいですし」
「あはは、それもそうだね」
 美咲は少しだけ笑った。‥‥自分とてそうだ。軍人としての教育しか受けていない。軍人としての生き方しか知らない。
「それに――軍人も良いかなって。戦うのは怖いけれど、皆を守る仕事って良いじゃないですか。戦争が終わっても、世界はまだ完全に平和になったわけじゃないですから」
 キリリとした表情の智里。
「‥‥」
 意外だった。この子がそんなことを考えているなんて。自分も‥‥同じ気持ちだ。
「確かに‥‥その通り。私達の仕事はまだまだたくさんある」
「というわけで行ってきます! ‥‥あ、そういえば噂のスーパーアイドル、イカルちゃんが慰問ライブに来るらしいですよ! 超楽しみですね!」
 そう言って智里は自機のコクピットへ滑り込んだ。
「アイドルかぁ‥‥どんな子なんだろうなぁ」

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
ティリア=シルフィード(gb4903
17歳・♀・PN
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
ゼロ・ゴースト(gb8265
18歳・♂・SN
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
高林 楓(gc3068
20歳・♀・CA
秋姫・フローズン(gc5849
16歳・♀・JG
BEATRICE(gc6758
28歳・♀・ER

●リプレイ本文

●静止軌道ステーション
 α−01部隊母艦、リギルケンタウルス級宇宙輸送艦『アルキオネ』が静止軌道ステーションに接舷、固定用アーム接続、補給作業を開始。

 ステーションの格納庫から『アルキオネ』のKVハンガーへ、先に到着していた傭兵達のKVが搬入されていく。

 その様子を見つめる、空色の髪をした少女、ティリア=シルフィード(gb4903)。
(宇宙に上がるのは久しぶり‥‥最近は地上での仕事の方が多かったし。久しぶりと言えば、乙女隊の皆は元気にしてるかな? この前の宇宙での決戦以来、美咲さん達には会ってないから‥‥会うの、楽しみだな)
 戦友達の顔を思い浮かべると、ついつい笑みがこぼれてしまう。
(あ、勿論最優先は依頼を無事完了させる事、ですけど‥‥)
 と、緩んだ表情を引き締めたところで、
「乙女隊の皆さんはお元気そうで。何よりですね」
 ティリアの恋人、浅黄色の髪をした少年、ノエル・アレノア(ga0237)が声をかけて来た。
 彼が指さす方を見てみれば、物資の搬入口からこちらに向かって手を振る早乙女・美咲(gz0215)ら、α−01部隊‥‥通称乙女隊の面々の姿があった。
 ノエルの言う通り、皆元気な様子だ。ティリアはノエルの手を取り、床を蹴って美咲達の方へ移動する。

「へぇ、イカルちゃんもここに来るの? って事はこのステーションが軌道エレベータのプラットホームになるのかな」
 スタッフから話を聴いたソーニャ(gb5824)はふむりとあごに手を当てる。
(この前は偶然、一緒にパフェ食べる事ができたけど、今回も会えるな? 彼女はアイドルだからそれは無理かな)
 デビューして間もないとは言え、イカルはモルディブタワー計画のイメージキャラクターを立派に務めている。人気もそれ相応に鰻登りだ。
(イカルちゃんって同じ女の子なのに一緒にいるとドキドキするんだよね。スターのカリスマ性かな?)
 何故だか判らないトクントクンとする心臓の鼓動。ソーニャはそっと自分の胸に手を当てた。

 黒髪にメガネの――少年と青年の中間にある、まだ幼さの残る顔つきの――ゼロ・ゴースト(gb8265)は格納庫内を見渡す。
「ここが‥‥静止軌道ステーション‥‥」
 格納庫内は各種物資コンテナやら建設資材やら、KVやらが所狭しと並べられている。
 ゼロは次に、手近な端末を操作し、直下の地球をモニターに表示した。‥‥美しい青の水の星。
 バグアとの戦争が一応の終結を迎え、これからの‥‥平和であってほしいと願う未来に繋がる軌道エレベータ建設計画。
 今、自分が居る建設中の静止軌道ステーションはその重要施設だ。野良キメラごときに邪魔をされるわけにはいかない。必ず、守り通さなければ。ゼロはそのように考え、思った。

「やはり軌道エレベータ建設ともなれば宇宙での任務があるのも当然なのよねー」
 初期、全貌が公開される前から【MTP】――モルディブタワー計画に携わってきた樹・籐子(gc0214)は感慨深そうに言った。
 宇宙でのステーション建設も始まり、計画は‥‥順調に進んでいると言えるだろう。
 ここで躓くわけにはいかない。‥‥まあ、今回はただの野良キメラ狩りのようだが。気は抜けない。油断して足をすくわれたら大変だ。

「ソラ、か‥‥」
 男装の麗人、高林 楓(gc3068)はゼロと同じように端末のモニターでステーションの建設風景を眺めていた。
 中には退役し作業用に転用されたKVなども居り、せわしなく動き回っている。
 ‥‥戦後ならではの風景。と言えるのか、と楓は思案する。
 自分にも‥‥また別の生き方もあるかもしれないと楓は考えた。
 ともあれ。
(イカルの関わるこの計画に支障を出すわけにはいかない。今回の依頼も無事こなさなければ)

 ほんわりな雰囲気の少女、秋姫・フローズン(gc5849)は何やらわくわくしている様子。
「依頼の後のパーティー‥‥楽しみですね‥‥! ‥‥そのためには‥‥依頼を完遂しないと‥‥いけませんが‥‥」
 大量のキメラがステーションに押し寄せ、依頼失敗! パーティーは中止! などという可能性は低いのだが、依頼を受けた傭兵達はやる気まんまんだった。秋姫もまたしかり。
 だが事前の観測により、ステーション周囲のキメラは然程多くない事が判明している。

 長い白髪に黒い眼帯をした長身の美女、BEATRICE(gc6758)もまた、野良宇宙キメラの駆逐に意気込みを見せている一人である。
 表情も振る舞いも、とても落ち着いているが戦意は旺盛。今日も大量のミサイルをぶっ放すつもり。『ミサイル愛』の心を持つ彼女である。

●掃討作戦 前半
 補給作業を終えた『アルキオネ』は静止軌道ステーションを出港。‥‥そしてステーション付近・作戦宙域に到着。
「簡易ブースト起動。針路固定。‥‥傭兵部隊のKV各機、発艦開始」
 片瀬・歩美艦長の指示により、艦の女性オペレーターから傭兵達に通信が送られる。
「了解です。傭兵部隊各機は発艦して下さい」
 若い女性オペレーターの耳触りの良い声が傭兵達に伝わる。傭兵達は既に機体へ搭乗し、発艦準備を完了済み。

「了解。『ゼロ』、発艦します」
 ノエルの機体はヴァダーナフ『ゼロ』。
(‥‥ふむ。これから、ですか。僕もあの決戦後から、ふと考える時があります‥‥。僕もまだまだ傭兵としての仕事は続きそうだけど‥‥この先も愛する人と一緒になれたら良いな)
「‥‥とと、いけない。護衛任務、護衛任務。それに集中! 気を引き締めていきますよ!」
「ふふ、ノエルさんったら。‥‥こちらも行きます!」
 ティリアの機体はニェーバ『Hedgehog』。――ヴァダーナフとニェーバが同時に発艦。

 ソーニャの機体はロビン改『エルシアン』。
「さぁがんばろう、エルシアン」
 ゼロの機体はフィーニクス『ファントム』。
「‥‥行きます」
 ロビン改とフィーニクスが同時に発艦。

 籐子の機体はクラーケン『クリオネ』。
「野良宇宙キメラの数は少なくなっているとは言え、襲って来るなら脅威には変わりないわねー。『クリオネ』、行くわよー」
 秋姫の機体はクラーケン『アラクネ』。
「そうですね‥‥籐子さん‥‥。脅威は‥‥排除しないと‥‥。頑張りましょうか‥‥『アラクネ』‥‥」
 クラーケン二機が同時に発艦。

 楓の機体はドレイク。
「被害を出すわけにはいかない。攻撃される前にステーション周囲のキメラを掃討させて貰う。こちら高林機、発艦する!」
 BEATRICEの機体はロングボウII『ミサイルキャリア』。
「‥‥野良宇宙キメラって‥‥一体何を食べて生きているんでしょうか‥‥?」
 キメラとは生体兵器。その肉体に溜め込んだ養分を使い果たし、死するまで戦い続ける、まさしく兵器‥‥。
 消化器官を持つ例外的な個体も存在するが。
「‥‥とにかく、発艦ですね‥‥。行きます‥‥」
 ドレイクとロングボウIIが同時に発艦。

 ***

 事前の打ち合わせにより、傭兵部隊とα−01部隊は役割を分担。
 α−01部隊は引き続き静止軌道ステーションの防衛に当たり、傭兵部隊は小型宇宙輸送艦の護衛に当たる事となった。

 傭兵達は更に、対応するキメラによって部隊を細分化。
 砲撃型キメラの対応を優先的に行うのはゼロ機とBEATRICE機。
 突撃型キメラの対応を優先的に行うのはノエル機と楓機。
 遊撃を行うのはソーニャ機と秋姫機。
 小型宇宙輸送艦の護衛を優先するのはティリア機と籐子機。

 秋姫機――
「こちらはまだ‥‥異常‥‥ありません‥‥」
 レーダーをじっと見つめるが、まだ敵性反応は――と、そのとき。レーダーに赤い光点が表示される。敵機の接近警報。
「敵の襲撃です‥‥! 小型種が多数‥‥!」
 それなりの数だ。秋姫はすぐに仲間へ連絡。
 傭兵部隊と野良宇宙キメラはまもなく接敵し、戦闘状態に突入した。

 ゼロ機――
「敵は密集していますね‥‥。この程度の数なら発射後の性能低下も許容範囲内。それならまずは一つ、薙ぎ払います」
 機体特殊能力を選択。トリガーを引く。
「プロトディメントレーザー‥‥発射」
 連結されたフィーニクス・レイから眩い光条が放たれた。‥‥小型種の群れを光線が貫き、焼き払う。

 ゼロ機の後方に位置するBEATRICE機――
 敵群を外縁部から挟み込むように軌道を設定し、ミサイルレリーズを押し込み、K−02ミサイルを発射。
「これで‥‥PDレーザーの効果が上がれば良いのですが‥‥」
 着弾。多数の火球が生まれる。

 楓機――
「近接攻撃しか出来ないのであれば‥‥近づく前に落とす!」
 敵をロックオン。知覚ミサイルを発射。着弾してエネルギーの爆発が起こり、小型キメラが爆ぜる。

 ノエル機――
「そうですね。接近前になるべく数を減らします‥‥!」
 楓機に合わせて、同じく知覚ミサイルを全弾発射。
 全KV中最高レベルの攻撃性能を誇るヴァダーナフから放たれた誘導弾は小型キメラ数体を蹴散らした。

 ソーニャ機――
 アリスシステムとブーストを常時起動。
(君達は生存の意味を失ったのかな。それとも自由になったのかな)
 目標、小型種複数をマルチロック。知覚ミサイルを一斉発射。‥‥着弾。激しいエネルギーの爆発が巻き起こり、目標が蒸発する。

 秋姫機――
「弾幕‥‥行きます‥‥!」
 こちらはミサイルポッドを使用。ミサイルの連打。
「ジェノサイド‥‥パーティー‥‥!」
 爆発の連続。この時点で多数の小型キメラが撃破された。

 ***

 マスドライバーから打ち上げられてきた物資を回収し、ステーションまで移送する輸送艦に張り付いている籐子機とティリア機。
 他の班の奮戦のおかげで、こちらにはまだキメラの到達は無い。
「わお、皆気合入ってるわねー。お姉ちゃん達の出番はまだみたいねー」
「気は抜けません。小型種は浸透してくる可能性があります」
「了解了解。ちゃんと警戒はするわよー」

●掃討作戦 後半
 ゼロ機とBEATRICE機――
「砲撃型を確認しました。二体だけですね。冷却は終了。再度PDレーザーを使用します」
「‥‥了解しました。対応は先ほどと同様に」
 光条が奔り、多数の誘導弾が放たれ、砲撃型は即座に撃破された。

 楓機――
「ん、突撃型か? あれの対応に向かう。『High Mobility Boost』起動、一気に行く!」
 突出する楓機。突撃型に肉薄し知覚砲を浴びせる。
 ノエル機もブーストを噴かせそれに追随。
「はあああっ!」
 人型に変形、Fアセンションを使用し、爪を一閃。もう一体の突撃型を両断した。

 ソーニャ機――
(出会えば殺し合うしかない。自然界ではよくある事)
 知覚砲で正確に射撃し残存の小型種を潰す。
(ただ精一杯生きる。ただの生き物として。せめて、そう思いたい)

 秋姫機――
「逃がし‥‥ません‥‥」
 ブラストテンタクルを使用。こちらも同様に残存の敵を撃破。
「エクスキューション‥‥!」
 そうして敵は全滅。この宙域の野良キメラは掃討された。
「敵の殲滅‥‥完了です‥‥」

 ***

 ティリア機と籐子機は輸送艦を無事、ステーションまで送り届けた。
「戦闘は終わったようですね‥‥」
「こっちは静かなものだったわねー。まあ輸送艦が無事で何よりって事でー」
「ええ。皆と合流して帰投しましょう」

●パーティー
 任務を完了した傭兵達は静止軌道ステーションに帰還。少し休憩した後に多目的ホールへ移動。
 これからここでささやかなパーティーが催される。‥‥暫くしてイカルとマネージャーも到着し、いよいよ開始!

 ノエルとティリアは寄り添い、語らう。
「イカルくんはやっぱり歌うみたい‥‥僕も歌は大好きだし、楽しみだね」
「そうですね‥‥前に聴いたときは熱い曲でしたけど、今回はどんな曲を歌うんだろ?」

 そこでステージ上に秋姫とイカルが登場。続けて二人の歌が披露された。
 秋姫は情熱的な曲、イカルは癒されるような曲‥‥。
「ふふ、楽しいパーティーだね。これできっと皆の心の疲れが吹き飛ぶはず‥‥」
 ノエルはリズムに乗って身体を軽く揺らしつつ、ティリアの背中を抱き寄せた。
「はい‥‥ノエルさん‥‥」
 ティリアは頬を染め、頷いた。

(イカルちゃん、こんな小さな子に大人のボクがドキドキするなんてね)
 うっとりとイカルの歌声に耳を傾けるソーニャ。
(でも思うんだ。この子は芸能界に限らず、もっと大きな空へ飛び立つ翼を持つ子だって。もっと遠くの未来を見つけ出す子じゃないかって)
 イカルの揺れる艶やかな黒髪と、くりくりとした黒い瞳はライトを浴びてキラキラと輝いている。
(その瞳がそう思わせるのかな。ボクの勝手な幻想の投影。だからアイドルなのかな。会えてうれしいよ)

「宇宙食というと‥‥物凄い乾燥した苺とかバナナとかが浮かぶのですが‥‥そういう物だけではないのですね‥‥」
 BEATRICEは最新の宇宙食を堪能中。
 人類が本格的に宇宙に進出し始めた事で宇宙食は格段に進化を遂げた。フリーズドライの宇宙食は最早過去の物である。

 ゼロはα−01部隊D小隊所属の岩崎・智里少尉と談笑中。

「お姉ちゃんはねー、年下の子なら性別関係なく可愛がれるのよねー」
 籐子は歌い終わってステージを降りたイカルをだぎゅっとハグ。当然イカルはあわあわ。
「軌道エレベータ‥‥お姉ちゃんが生きている間に完成してほしいわよねー」

「モルディブのアース・ポートが‥‥いつか、ここと繋がる‥‥。それがいつになるか分からないけど、完成した時は‥‥ノエルさん、また一緒に来られると良いですね」
 頭をノエルの肩に預けて、ティリアが囁く。
「うん、軌道エレベータはまさに人類の希望。完全稼働には半世紀近くかかるという話も聞いたけど‥‥その頃には家族が増えてるといいね」
 ノエルは恋人の手をぎゅっと握った。

 一方、楓は‥‥。
「宇宙でのパーティーか。派手ではないがこういうのもなかなか良いな‥‥」
 と、そこで籐子から解放されたイカルに声をかける。
「イカル、お疲れ。宇宙での仕事はどうだ?」
「そうですね〜楽しいです! 作業員の皆さんも生き生きしていました!」
 にっこり天使の笑顔を浮かべるイカル。
「‥‥俺はいつでもお前を守るからな」
 楓はイカルの頭にぽんと手を乗せた。そして。
「そういえば、SPか何かの仕事でもあれば良いのだが‥‥」
 頬をぽりぽりとかきながら言ってみる。
「SP‥‥ボディーガードですか? 楓さんなら大歓迎です! 心強いです! すごく頼りになります! ちょっと待って下さいね」
 イカルは何やらマネージャーとごにょごにょして、すぐに戻って来た。
「話が付きました。僕と同じく大歓迎だそうです。でもライセンスが必要で、試験は大変でしょうけど‥‥それでもやってくれますか?」
 楓は‥‥強く頷いた。

 その後に楓は試験を受け、ボディーガードのライセンスを無事取得。
 更に数か月後‥‥楓宛てにイカルのSPとして採用する旨の通知が届いたそうな。