タイトル:【OMG】銀河侍魂マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/02/19 22:17

●オープニング本文


 とある日のラストホープ――。
 少年傭兵、カレン・M・クオンジが広場の前を通りかかると、
「カレン・M・クオンジ! やっと会えた!」
 呼び止められた。
 声のしたほうを向くと‥‥艶々とした赤褐色の肌の、身なりの良い美しい少女の姿。
 容姿を見るに、カレンよりもいくつか年上。
「‥‥ファルリン・ヌーリ‥‥さん?」
 いつだったか、同じこの場所で出会った‥‥確か富豪の娘と彼女は言っていた気がする。
 確認をしていないので今のところカレンの中では『自称・富豪の娘』だが――
 漂う品格から、嘘ではないのだろうと思う。
「そう! 覚えていてくれたのね!」
 ファルリンと呼ばれた少女は両手を合わせ、嬉しそうに愛らしく笑みを浮かべた。
「今、お時間はあります? 良ければ少しお茶をしながらお話を――」
「すみませんが、今から仕事なので。失礼します」
 少女の言葉を遮り、カレンは視線を進路上に戻し、歩を進める。
 しかし。
「待って!」
 やはり。
 ファルリンは小走りに、カレンの目の前に両手を広げて立ち塞がった。
「本当に仕事なんです。遅れるといけないので、どいてください」
「‥‥」
 ファルリンはあからさまにしょんぼりした表情になる。
 謎の罪悪感に苛まれるカレン。
「それでは、また」
「また‥‥?」
「‥‥」
 カレンはそのままファルリンの身を避けて、歩き去って行った。
「良いですわ‥‥また‥‥会えるのなら‥‥」
 その場に残されたファルリンはぽつんと立ったまま、少し瞳を潤ませた――。

 ***

 銀河重工・LH支社。KVハンガー。
「今日、君をここへ呼んだ理由は他でもない、この機体を君に預けたい」
 薄暗い格納庫内。男性の声と共に、一斉にライトが灯り、
 ――漆黒の鎧武者が姿を現した。
 後部に展開する九尾のようなテールスタビライザーが特徴的である。
「‥‥シコン」
 ぽつりとカレンが言う。
「その通り。この機体はXGSS‐03A『シコン』の改良型、
 XGSS‐03B『シコン改』‥‥の、試作機だ。
 機体本体は若干兵装搭載量を向上させた程度だが、
 固定武装を改良型に換装してある」
「‥‥何故、シコン? 銀河重工さん的には、
 今はGSS‐04『タマモ』を売り出したいんじゃないんですか?」
「うむ‥‥」
 それを聞き、カレンの傍に立つ、
 スーツに白衣を纏った長身の男は感心したような表情を浮かべた。
「確かにそうだ。しかし宇宙対応機以前の、
 我が社の集大成とも言えるこの機体を蔑ろにするわけにはいかない。
 要するにVU。君にはこの機体の性能試験を行って貰いたい」
 ‥‥理由は解った。だが‥‥。
「何故、僕に?」
「ん? ‥‥ああ、君自身は知らないのか。
 君の名は、それなりに有名なんだよ」
「‥‥」
 今までただひたすらに戦ってきた。敵も多く撃破した。
 考えたことも無かったが、名が売れて当然なのかもしれない。
 どうでも良いことだが‥‥。
「まあ、気負わなくて良い。他の傭兵も手配する予定だ。
 場所はインド南部、バンガロールにある工場」
「工場?」
 カレンは首を傾げ‥‥すぐに思い当たる。
「防衛任務ですか?」
「君は察しが良くて話し易いな。その通り。
 工場では‥‥君も耳にしていると思うが‥‥月面基地建設に使う資材を製造していてね。
 それを嗅ぎ付けたバグアが、襲撃をかけてくる可能性は大、と言う訳だ」
 ‥‥ほぼ確実に敵が来る。確かに、性能試験には持って来いだ。
 カレンは顎に手を当て、そのように考えた。
「工場防衛の依頼がULTに出されることになっている。
 同時に性能試験もやってしまおうということだ。
 そして、集まってくれた傭兵の意見も聴こうと思う」
「‥‥了解しました。その依頼、引き受けます」
 キッと表情を引き締めるカレン。
「頼んだよ。これでも大気圏内最高峰の性能を誇る機体だ。
 良いVUにしたい」
 白衣で長身の男の言葉に、カレンは頷いた。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
レア・デュラン(ga6212
12歳・♀・SN
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
アルテミス(gc6467
17歳・♂・JG

●リプレイ本文

●資材工場防衛任務+改良試作機運用試験
 インド南部、バンガロール郊外。資材工場。
 その敷地内の一角に設けられた仮設KVハンガー。
 今回の運用試験の為に銀河重工スタッフが設営した物である。

 仮設ハンガー内には漆黒の巨人――鎧武者の姿。
 シコン改の試作機が全部で6機、人型形態で固定されている。
 その足元では整備員達が忙しなく作業中。

 ***

 一方、今回の運用試験、および工場防衛任務の依頼を受けた、
 カレンを含めた7名の傭兵達は休憩室の1つを借り受け、
 敵の襲撃があるまで待機中。

「シコンとは開発依頼でお手伝いした縁もありますので、今回もしっかりとお手伝い致します」
 おっとりマイペース、おしとやかなお嬢様、櫻小路・なでしこ(ga3607)が言った。
 彼女の可憐な容姿、そして身に纏う柔らかな雰囲気により、
 室内は出撃前だというのに、和やかな空気に満たされていた。

 なでしこは待機中の空き時間を利用して、
 予測される戦域の地形などの情報を把握。仲間と共有しておく。
「ここを第1、ここを第2、ここを最終防衛ラインに設定しましょう」
 他のメンバーと共に作戦を詰める。

 長く美しい明るい色の金髪を後ろで結わえ、
 頭にベレー帽をちょこんと乗っけた小さな少女は‥‥、
 おどおどしつつも、意を決して口を開いた。
「シコンの事は‥‥あ、あまり詳しくないですけど‥‥が、がんばります!」
 彼女の名はレア・デュラン(ga6212)という。大砲が大好きらしい。

「夜十字傭兵中尉です。元シコン乗りで恐縮ですが」
 銀河重工のスタッフに対し、敬礼して見せる仏頂面の男、夜十字・信人(ga8235)。
 傭兵が階級を名乗るのは珍しい事かもしれない。
 指揮系統に属さないとは言え、中尉ともなれば結構な戦功を挙げているのだろう。
 と、銀河重工のスタッフは思った。

「シコンのVUか‥‥。
 開発段階から色々と関わってきた俺としては感慨深いモノがあるぜ。
 より使い易い様になってくれると良いな」
 赤褐色の肌に琥珀色の瞳の美少年、Anbar(ga9009)はその様に言う。
「久しぶりだな、兄弟。一緒に頑張ろうぜ!」
 そして彼はカレンに声をかける。それは明るい声だったが、
 カレンは対照的に「ええ、仕事ですから」とだけ、短く返答した。
 外見に関しては共通点の多い2人だが、性格など内面は異なる点も多い。

「銀河重工の高性能機であるシコンのVUですか。
 一度操縦してみたいとは思っていましたので、良い機会に恵まれました」
 カンパネラ学園の制服を身に纏った青年は笑みを浮かべている。
 彼の名は神棟星嵐(gc1022)。精悍な顔つきの青年だ。要するにイケメンだ。
「実戦で得られるデータこそ活用出来ますから、きちんとテストしませんとね」
 模擬戦よりも実戦データのほうが有用なのは確か。
「それに、月に基地を増やせばカンパネラの負担も軽くなるでしょうから、
 大切な資材をしっかり守りませんと」
 現在、人類の宇宙における拠点は宇宙要塞カンパネラだけと言って良い。
 小規模な宇宙ステーションは他にも存在するが、
 月面基地程の拠点を確保出来ればバグアとの戦いも大きく前進する事だろう。

「狙撃屋さんとして、シコンの種子島には興味あったんだよね」
 三日月の髪飾りを付けた、流れる様な銀髪の美少女――
 ではなく、美少年のアルテミス(gc6467)。
 彼女‥‥でははなくて彼は「狙撃屋さんとして」と言っているが、
 種子島は一直線上に範囲攻撃を行う物であり、狙撃とは性質がかなり異なる。

「‥‥んでんで、カレンきゅん! また一緒の依頼だね! これって運命だね♪」
 そしてアルテミスはカレンに背後から抱き付いた。
 だがしかし。
「‥‥」
 無反応。
「別段、運命を感じるほどの事ではないと思いますが。
 そして、『きゅん』は止めて下さい。それから離れて下さい」
「えー、やだやだ。もっとこうしてるー!」
「‥‥離れて下さい」
 などというやり取り。

 数十分後――アラートが鳴り響いた。
 UPCインド軍より通信。
 哨戒中の早期予兆警戒機が敵機を補足したのと連絡。
 種別は大型HW。針路は勿論、この工場。
 すぐさま傭兵達にスクランブルが掛けられた。
 仮設ハンガーへと急ぐ。

 ***

 傭兵達はレアを除く全員がシコン改(改良試作機)に搭乗。
 レアは自分の機体、ゼカリア改『ルクレール』のコクピットに滑り込む。

 シコン改のコクピットにて、システムチェックを行う信人。
 一時期乗っていた事のある機体だけに、その手際は良かった。
(大気圏内の戦闘でこの装備か‥‥。
 シコンは宇宙でも通用する、開発側としてはそういう意地もあるんだろうな)
 メインモニターにシステムオールグリーンの表示。
 機体を起動させる。他の傭兵達も同様。
 九尾を持つ漆黒の鎧武者の目――頭部カメラに光が灯り、碧く発光。
「まあ、宇宙用兵装は一般流通品でも高性能だ。では、行くか」
 搭乗者の操作に答えて、6機の鎧武者が動き出す。
 それに続く巨砲を備えた戦車。
 全機出撃。

●フルバースト
 仮設ハンガーを出ると、風切り音。上空を飛行物体が通過して行った。
 カメラで追う。‥‥大型HWだ。かなり大きい。200mはあるだろうか。
 UPC軍の対空砲火を受けたのか、機体のあちこちから火を噴いている。
 前方、レーダーに反応。大型HWが投下して行ったらしい敵部隊を捕捉。
「敵機を視認しました。敵は‥‥機械化された虎型キメラが多数。
 ‥‥その後方にゴーレム1機を確認。恐らく指揮官機と思われます」
 なでしこ機から全機へ通信。
 傭兵部隊は事前に設定した第1防衛ライン上に並び、敵を迎え撃つ。
「今ならば敵はある程度密集しているな。散開される前に出鼻を挫くか」
 但し信人機は初撃で十字砲火を行う為、敵部隊側面へ移動。

 星嵐機。
「こちらの種子島はいつでも撃てます。タイミングを合わせますのでどうぞ」

 アルテミス機。
「種子島壱式改、スタンバイ。発射準備OK!」

 そしてカレン機。
「こちらも準備完了です」

 シコン改全機が種子島壱式改を構え、砲口を敵部隊へ向ける。
「よし、行くぜ――種子島壱式改・フルバースト!!」
 Anbarが叫び、他のシコン改に搭乗する者もほぼ同時にトリガーを引く。
 6機のシコン改による高出力レーザー砲『種子島壱式改』の一斉掃射。
 砲口から放たれた五条の閃光が駆け抜け、
 その上に一条の閃光が重なり、敵部隊を呑み込んだ。
 続いてレア機が対空榴弾を連続発射。敵密集地点で榴弾が炸裂する。
「もう1発だ!」
 Anbar機は再度掃射を行う。

 ‥‥なでしこはレーダーを確認。
 敵機を示す赤いマーカーの数は明らかに減っていた。
 カメラでも確認。高出力レーザーの高熱により、
 大半の敵が大ダメージを受けた様子。
「敵部隊は大損害を受けた模様。初撃は成功ですね」
 各機へ通信。

「敵の気勢は削いだ、このまま指揮官機を一気に叩く!」
「では、ここからはゴーレムに向かいますので、キメラの対応は頼みました」
 ゴーレムの対応へ向かうAnbar機と星嵐機。

 残りの5機は迫るキメラを叩く。
 ここからは2手に分かれての行動。

 なでしこ機はレーザーガンで射撃しつつ、
 接近する敵は練機刀で斬り伏せる。
 近接から中距離まで、臨機応変に対処。
 尚も距離を詰めてくる敵。工場の破壊が目的なのだから当然。
 アクチュエータを使用し回避運動から反撃の斬撃。
 胴体を真っ二つにされる虎型キメラ。
 それからなでしこは索敵。敵密集地点を探す。
「見つけた‥‥!」
 SAを使用。一気に駆け、『種子島壱式改』の射線に入れて、掃射。
 高出力レーザーに焼かれてキメラ数体が撃破された。

 前衛を担当する信人機。
「では、推して参るぞ。背中は任せる」
 機体の両手に練機刀とライフルを携えて敵前列へ斬り込む。
 工場が敵の射程内に入るのを何としても防ぐ為、
 戦線を押し上げ、兎に角敵の数を減らす事に専念。
「カレン君だったか? 腕が立つらしいな。
 俺が動き回って連中を引き付ける。君が確実に仕留めてくれ」
 カレン機へ通信。「了解」との返答。
 威嚇射撃で牽制。少しでも多く敵の気を引き、突破を阻止。
 その間にカレン機は二刀で黙々とキメラを斬り捨てていた。

 アルテミスは後衛を担当。
 前衛の行動を把握しつつ、ライフルで射撃、敵を誘導。
 敵を密集させ、射線を確保すると――2発目の『種子島壱式改』を発射。
 ‥‥射線上に居たキメラ数体が沈黙。
「わぁ♪ このサイズに威力と掃射機能を纏めるなんてすごいや。
 命中はあまり高くないけれど、銀河重工の自信作だろーね♪」
 その後はライフルにて前衛の援護に徹する。

 レア機は‥‥戦域の端から主砲による火力支援を行っていた。
 彼女は目標の優先順位を設定し、対応。
 主に味方へ攻撃を行おうとする敵に砲火を加える。
 キメラが密集していれば、徹甲散弾を使用。
「目標、照準‥‥ターゲットインサイト‥‥弾種APFSDS‥‥ファイア!」
 着弾。キメラ1体を撃破。
「こ、効力射です! えっと‥‥次弾装填、弾種類変わらず‥‥」
 再び砲撃。

 未だ敵を引き付けている信人機だったが‥‥敵に包囲されてしまう。
 フェザー砲の集中砲火が来る。――AECを使用。
 なんとか防ぎ切るが、冷や汗ものだ。
「流石に、前列での囮役は身の丈に合わんな」
 信人機はライフルで全力射撃し、一点突破。
 その後にブーストを使用。疑似慣性制御を得て、即座に反転。
「‥‥お返しだ」
 照準。トリガーを引く。『種子島一式改』による掃射。

●武士の魂
 ゴーレム対応の2機――。
 Anbar機はSAを使用して一気に間合いを詰め、近接戦闘。
 アクチュエータも併用し、練機刀で斬撃を繰り出す。
 プロトン砲はAECで受け止め、真っ向勝負。

 星嵐機はライフルとレーザーガンで牽制射撃を行いつつ接近戦に移行。
 兵装を切り替え。機刀を正眼に、練機刀を逆手持ちで腰の高さで構える。
「一旦距離を」
 Anbar機へ通信。下がる僚機。
 ゴーレムが剣を振り被る。連続の斬撃。
 機刀でそれを受け流そうとする星嵐機。
 しかし、機刀『陰』は受けには適していない。
 この場合は受けに適している練機刀『陽』を用いるべきだった。
「‥‥っ」
 受け止めきれず、ダメージを受ける。
 だが反撃。練機刀で突きを放ち、続いて袈裟斬り。
 Anbar機のライフルによる援護射撃もあり、ゴーレムは一度後退。
「逃がさない」
 星嵐機は二刀を構えて突撃。そのまま斬撃。
 剣と盾で受け止めるゴーレム。
 ここぞとばかりに星嵐はブーストを点火。
 敵を押し込み、体勢を崩させようとするが、
 ゴーレムは慣性制御を用いて対抗。機体が赤く発光。
 逆に当て身を喰らい、体勢を崩す星嵐機。
 追撃の斬撃が来るが、これはAnbar機が前に出て防いだ。

 距離を取り、二刀を構える2機のシコン改。
 先に飛び出したのはSAを使用した星嵐機。
 練機刀で横に薙ぎ、その勢いで回転して機刀の斬撃。
「ここが狙い目! このまま両断します!」
 しかし斬撃を受けてもゴーレムは健在。機刀は盾で受け止められていた。
「だが、これで終わりだ!」
 Anbar機が突進。二刀で上段から斬り下ろす。
 肩口から両腕を落とされたゴーレムは沈黙。数秒後爆発四散した。

「ふう。パワーがあるだけでなく、スタビライザーが9基もあるおかげで、
 機動性も気になるほど遅くない。良い機体です」
「キメラも粗方片付いたみたいだ。
 ‥‥で、シコンは高速機に分類されるぞ? 機動(移動)力はむしろ高い。
 SAもある。それに運動性(回避)も高水準。
 まあ、高コストなだけの性能は持っているって事だ」
 星嵐の感想にAnbarが返す。
 星嵐は現役のシコン乗りの言葉に成程と頷いた。

●XGSS−03B シコン改
 工場防衛任務は無事完了。被害が出る事も無かった。
 傭兵達と銀河重工のスタッフ数名は、今度は広めの部屋を借り、
 シコンのVUに対する意見聴取に移る。

「あ、あの‥‥サンドイッチを作ってきたんです‥‥けど」
 おずおずとレアがランチバスケットを差し出した。
 なでしこが手伝って皆に配り、軽く食事をしながら意見聴取をする事に。

 傭兵達は意見を述べていく。

 なでしこは――
「VU案はA案を推します」
 とだけ言う。

 信人もA案を推した。
「自分がシコンを降りた理由は、虎の子の種子島の回数制約でした。
 重量武器を扱う人間として、装弾数1発はデッドウェイトに近いものでしたので」

 AnbarもA案を支持。
「シコンは固定武装の種子島で兵装搭載量が圧迫されているのが大きな欠点だし、
 しかもその種子島が1発限りというのがシコンを使い難くしていたからな。
 兵装搭載量を向上させて負担を軽減、種子島も複数回使えるようになれば、
 使い勝手が大幅に向上すると思うぜ」

 星嵐もA案に1票。
「リロード不可を考えれば多数撃てる方が使い易いと思います」

 アルテミスもA案に1票。
「掃射モードは対精鋭には使い難い攻撃だから、
 数撃って雑魚掃討に使うのが効果的だよ。
 他社の練力バカ食いで多発出来ないKVに乗ってる身としての実体験〜」

 レアは――
「つ、追加装甲と外部動力を付けて、種子島のエネルギーを、
 外部パックジュネレータから供給できないでしょうか‥‥?」
 AとB、どちらを支持するかではなく、その様に述べる。
 スタッフは「それはB案に近いな」と答える。
 説明によればB案は宇宙での運用を強く意識した物らしい。
 装備強化による固定武装の負荷軽減、
 エネルギーパック方式に変更する事により、練力消費を無くす。
 更に搭載燃料を増やし、活動時間を延長。

 しかし、傭兵達は種子島の使用回数を増やすA案を支持。

 そこでなでしこが疑問を投げかける。
「差し支えなければ、今回の試験で使用したシコンの改良試作機が、
 宇宙用の装備で固められていた理由を伺いたいです」
「それは上の意向でね。銀河重工の新製品の宣伝だ。
 そして宇宙用フレームを装備した際の負荷の検証。
 性能が低下した状態でまともに戦えるか、というテストもある。
 結果を見るに問題は無い様だ。君たちの腕もあるかもしれないが」
 と、スタッフは答える。

 そして、シコンのVUはA案に決定。

 ***

「あぅ‥‥チョ、チョコレートです!」
 意見聴取終了後、レアはバレンタインデーが近いという事で皆にチョコを配る。

 ***

 男性用シャワー室――。
「もう怪我は大丈夫? 生きてる? 傷が残ってたら責任取るから!?」
 アルテミスはカレンの身体をべたべたと触り、
 以前の依頼で庇って貰った事、言えなかった一言。
 怪我をさせた事に対し謝るのではなく、
 助けてくれた事への感謝の気持ちを込めて、
「ありがとう」
 と、愛らしく微笑んで、言った。