●リプレイ本文
●コスプレ無双開始宣言
晴天の下、カンパネラ学園グラウンドでUPC中尉ソウジ・グンベ(gz0017)企画の催し物『コスプレ対戦』が開催されようとしていた。
グラウンドには、カンパネラ学園の生徒達はAU−KVをナイトフォーゲルっぽく見せた仮装、聴講生達は実在していた武将、騎士に扮装して待機。
「普通の祭りは大好きなんだけど、喧嘩祭りも案外好きなんだよね、あたし。参加するからには勝たせてもらうよ!」
武将姿でやる気マンマンの犬塚 綾音(
ga0176)は、早く始まらないかと待ち遠しくて仕方がない。
騎士を思わせる白銀の甲冑に、もともと赤いものをインクで青く塗ったマントを翻しながら『風天の槍』を持つ手に自然が力がこもる旭(
ga6764)は、闘志を抑えているように見える。
「建前は学園祭を盛り上げることですが、お遊びとはいえ、他の能力者と戦える機会なので学べるところを学び、自身の戦い方に取り込むことにしましょう」
大勢の聴講生(他クラス)との対戦は滅多にない機会だ。
これを機に、戦術を学ぼうとする研究熱心な文月(
gb2039)。
「コスプレ楽しそー♪ でも、勝負には負けないから! 人と戦うのが一番楽しい! 皆、頑張ろうー!」
ハイテンションな風花 澪(
gb1573)は、早く始まらないかとワクワクしている。
「コスプレ対戦は俺が盛り上げるぜ! 対戦者が女、子供だろうと容赦はしない。戦いは非情なのだ!」
腕組みをし、豪快に笑いながら宣言する熱血漢のリュウセイ(
ga8181)。
「合戦さながらの模擬戦‥‥どのようなものかワクワクします!」
千祭・刃(
gb1900)は、初めての集団戦にドキドキ状態。
「集団の模擬戦とは、面白そうなことをするな。楽しみだな。しかも、実戦さながらとは。力試しを兼ねて参加させてもらうぞ」
甲冑を身に纏った筋肉質の男ロック・スティル(
ga9875)は、元マフィアの血が騒ぐのを全身で感じ取っている。
「初依頼がこういうのなんて‥‥なんだかワクワクするね」
「おまえも初依頼か? 能力者になって初めての依頼がこういうものだなんてすっげぇ楽しみだぜ、リアルなゲームみたいでさ! 傭兵デビューは白星で飾ってやる! あ、俺、基町・走太郎(
gb3903)」
「ボクは、青海 流真(
gb3715)です」
共に能力者デビューとなる流真と走太郎は、早く始まらないかと胸を躍らせている。
休学し、転校可能であれば転校しようと下見に来た伊達青雷(
ga5019)は、ドラグーンとビーストマンではどう違うかと考えながら学校案内を見てあちこち回っている最中、この催し物があるのを知り飛び入り参加。
「他校の学祭ってのも、面白いな。こっちの芝生は青いぜ」
どこからか法螺貝の音がしたかと思うと、主審である武田信玄に扮したソウジと『風林火山』の旗を持った実行委員4人が登場。
「ただいまより、コスプレ合戦を行う! 皆の者、いざ、尋常に勝負!」
おーっ! と腕を掲げ、参加者達は各々の武器を構える。
「その前に‥‥」
ソウジは実行委員会が持っていた双眼鏡を手にすると‥‥。
「あー、そこのR−01のコスしたキミ、聴講生じゃないのか? ナイトフォーゲルの仮装していいのは学園生徒だけだぞ」
拡声器でそう忠告するが、リュウセイは「R−01の『R』はリュウセイの『R』だから問題ない!」と大声で反論。
その証拠に、彼の全身はR−01然りの力作と見た見事なコスプレ振り!
「仕方ねぇなぁ。今回は特別だぞー」
頭が痛くなったソウジが右手に持った軍配を振り下ろすと、再び法螺貝の音がグラウンドに響いた。
「合戦の始まりなり!」
●五虎大将軍対VSディスタン
「趙雲子龍、只今見参! 我が槍を恐れぬ者、どこからでもかかって来るが良いわ!」
周囲に当たらぬように『三国志』の豪傑、趙雲に扮した旭は『風天の槍』を回した後に構えて決めポーズ。マントを塗りつつ考え、鏡の前で一生懸命練習していたのは本人のみ知る秘密。
趙雲子龍は、諸葛量亮孔明の進言により劉備玄徳が古参・新参を問わず信頼と功績ある5人の武将に授けられた称号『五虎大将軍』の1人で、軍事の中心的存在な武将である。
「五虎大将軍のお1人ですか。相手にとって不足はありません。と言うより、私が相手として不足しているようですね」
文月はAU−KVを『ナイトフォーゲルFG−106 ディスタン』に見せるよう白を基調に塗装し、背中に羽根的な物をつけてそれなりに見えるよう作成。
旭が演出重視でいくのであれば、自分は常識的な範囲でそれに便乗、ガチ戦闘の場合は、先輩傭兵の胸を借りるつもりで勝負に挑む文月。
旭も接近戦仕様の場合、熱が入る可能性が非常に高い。
旭は趙雲らしくスキルを使用せず『風天の槍』で挑み、文月の戦い方をよく見ながら戦っている。
「これはガチ戦闘ですね」
旭が繰り出す突き、斬り、払い、打ち、蹴りと素早く、多彩な連続攻撃を連続で仕掛けたが、文月がプロテクトシールドを利用して全て受け止めた後に『竜の鱗』使用。
「竜のう‥‥もとい、アクセル・コーティングッ! すみません‥‥熱が入る余り、イベントであることを忘れていました‥‥」
これが、ディスタンに扮した文月版『竜の鱗』だ。
接近戦に持ち込めたので『月詠』で交戦。
無用な硬直を晒さないように、手数重視の小振りな攻撃で細やかな攻撃を繰り返しつつ制限時間内の活動に必要な練力を残し、後は『竜の爪』『竜の瞳』を惜しみなく発動させた。
形勢逆転し、不利な立場になった旭はいったん距離を置き、武器を『風天の槍』から右手に『月詠』、左手に『小銃「S−01」』とうう変則二刀流に変更。
「いきますよ!」
遠距離主体、近距離主体、どちらもこなすにしても接近して矢継ぎ早に切りかかり、離脱しようとしたら『小銃「S−01」』牽制し、文月が接近したら『流し斬り』でカウンター。
「やりますね。ですが、勝負はまだ終わっていません!」
●オルレアンの乙女対R−01
「能力者と戦える機会なんてあんまりないし、楽しもー♪」
澪の扮装はジャンヌ・ダルク。
教会で大天使ミカエルの声を聞き、それに従い百年戦争の際にオルレアン解放に貢献し、シャルル7世をランスで戴冠させ、フランスの勝利に導いた少女騎士だ。
ジャンヌのコスプレとはいえ全身を甲冑に包んではおらず、動きやすいようにちょっとした銀の鎧っぽいのを胸周りから首にかけての急所と。腹部から下半身をスカートのようにみえる鎧にして着用。鎧には、蝶や薔薇などの装飾を施し、髪は後ろで髪留めを使いポニーテール状態に。
一方のリュウセイは、聴講生でありながらR−01に扮装。『カールセル』ををベースに装着し、グレートソードでセミーサキュアラーを再現、レッドマントも翻してカッコ良く登場!
「天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! コスプレしろと俺を呼ぶ! 天下無敵の器用貧乏リュウセイ、ここに参上っ! とおっ!」
ジャンプして着地すると、レプリカのグレートソードを振り回しながら『探査の眼』で不意打ちなどを警戒中。
直情型であるリュウセイらしい攻め重視に対し、澪は回避主体の戦法で、接近戦だが戦闘スタイルに型はなく、反射神経と殺し屋の経験を活かし戦っている。
しばらく戦ってるうちにポニーテールが鬱陶しくなったのか、解き始めた。
ヒット&アウェイで無理せず確実にダメージを! とリュウセイに突っ込んだが、レプリカソードから『激熱』に装備変更したリュウセイにガードされた。
「こいつの別名は『漢の勲章』だ。熱い漢を甘く見るな!」
澪の『月詠』を跳ね返すと反撃に転じたが、一瞬の隙を見た澪は『流し斬り』で攻撃!
「あまーいっ!」
その後、バックステップして『ソニックブーム』を放った。
「くっ! なかなかやるな! 奥義発動といくぜっ!」
リュウセイは戦闘ポーズをビシッ! と決めた後、澪に駆け寄った。
「くらえ! 奥義! 電攻刹火!」
ここぞとばかりに『瞬即撃』を連続で叩き込むリュウセイ。それにより、澪はグラウンドに倒れこんだが即座に立ち上がった。
「元殺し屋の僕を、甘く見ないでね♪」
●公孫対ディアブロ
「我が鉄壁の守備、破れるかな?」
綾音の扮装は、『三国志』から北平太守の『公孫』。
白馬将軍と言われていることから、白い鎧に白マントを翻し、白馬に跨って登場。
その雰囲気は、バックに薔薇の花びらが舞ってるような感じのナルシスト風なイメージだった。
「実際そんな武将じゃないけど、インパクトは大事だしね」
騎乗している白馬だが、乗馬部から借りたもの。対戦の途中に大事な馬が傷ついたら大変と、乗馬部員は急いで白馬をクラウンドから出した。
綾音扮する公孫とは、三国時代(魏、呉、蜀)において栄えた氏族の1人だ。
対する刃は、AU−KVを『ナイトフォーゲルF−108 ディアブロ』に改造。
AU−KVに赤いカラーリングを施し、後はディアブロに見えるよう細かい部品をくっつけて完成‥‥といった出来だったが、身に纏っている本人は闘志を漲らせている。
綾音の戦法は、最初は刃の太刀筋を見るのも兼ね、様子見で防御に徹していた。
刃の刀捌きは無駄な動きひとつ見せず、綾音に一太刀、と隙を見せず猛攻撃!
「動き、読めた! 押せ押せムードで一気に反撃だよ!」
ガンガンぶっ込んでくんで夜露死苦! といった感じで綾音の反撃開始!
いざというときは『蛍火』に『紅蓮衝撃』を付加するが、スキルは隠し玉扱いで、絶体絶命のピンチ、ここ一番で決めたい時の切り札に。
「これは勝負だから、女の人が相手でも真剣に戦います!」
相手が女性であろうと、真剣に勝負を挑んでいるのだから手加減するのは失礼だと思った刃は『竜の爪』『竜の鱗』を同時発動して『長刀「乱れ桜」』で攻撃開始!
「今ならとーちゃん直伝の『千祭流剣技』で攻撃できますね」
刃はジャンプすると、綾音の頭上めがけて『長刀「乱れ桜」』を振り下ろした!
「千祭流剣技、一気闘戦っ!」
このまま直撃か!? と思われたが、綾音は寸でのところで交わした。
●鉄腕ゲッツ対テンタクスル
ロックが扮したのは、神聖ローマ帝国の一部の騎士、ゲッツ・フォン・ベルヒリンゲン。『鉄腕ゲッツ』の異名を持つ右腕が義手の騎士だ。
それっぽく演出したのか、主兵装は『エクリュの爪』で副兵装は『カイキアスの盾』という見事なまでのなりきり振りだ。
「アメリカ人の俺が、ドイツ人の騎士の仮装をしてもおかしくなかろう?」
「はい、良く似合います。歴戦の強者と対戦できて嬉しいです」
対する流真のコスプレはナイトフォーゲルW−01テンタクルス。泳ぎが好きな彼らしいナイトフォーゲル選択といえる。
「ボク、泳ぐの大好きだから水戦用のKVに憧れあるんだ」
「そうか。おまえの実力、みせてもらおう」
ロックは『自身障壁』と『GooDLuck』を発動させると、流真の攻撃を『カイキアスの盾』で防いで防御に徹している。どのような攻撃をするのかわからない相手は、防御して攻撃パターンを読んでから反撃するしかない。
少しずつ行動パターンが読めたので、ロックは『エクリュの爪』で反撃開始!
「片腕攻撃なのはハンデじゃない、ゲッツに倣ってだ。獅子は、いかなる相手であろうと全力を持って戦う。それが相手に対する礼儀というものだ、覚えておけ」
これは、ロックなりのアドバイスだった。
「ロックさんが大きいのに対し、ボクはちっちゃい‥‥。弁慶と牛若丸の戦いみたいに細かく動いて、ヒラリと攻撃を避けようかな?」
そう言うと『竜の鱗』『竜の瞳』を発動させた後に『龍の咆哮』を使い、ロックを吹き飛ばした。これは反則ではないので、使っても問題無し。
2人は、学園祭の催し物であるのを忘れて真剣勝負中。
●伊達政宗対翔幻
青雷の扮装は、彼の家の遠い先祖にあたる伊達政宗。
伊達政宗といえば、幼少時に疱瘡(天然痘)に罹り右目を失明し、鍔の眼帯をしていたことから『独眼竜伊達政宗』の異名を持つ。
覚醒後に防具をつけ、右目に眼帯をつけて武者鎧を着て二足歩行。
「青い竜人ってことは‥‥ビーストマンか。クリーチャーかと思っていたけど、案外普通なんだな」
「クリーチャーって何すかっ!」
AU−KVに『ナイトフォーゲルHA−118 翔幻』の装飾を施した走太郎の挑発に突っ込む青雷の武器は『ハルバード』。
「ルールを守り、全力で勝負するっす! タイマンとはいえ乱戦に近い状態だけどな」
「実戦経験はあんたのほうが上だろうけど、俺だって伊達や酔狂でドラグーンになったワケじゃねぇ! 新米の根性見せてやるっ!」
戦う気マンマンの走太郎は『ツーハンドソード』を構え、青雷を見据えている。
『いざ、勝負っ!』
青雷の武器『ハルバード』は間合いを取って攻め込まなければならないという欠点があるが、走太郎の攻撃を武器で受けとめるにはもってこいだ。
『竜の爪』『竜の鱗』を即座に発動させた走太郎は『ツーハンドソード』で青雷を斬りつけるか、叩きつけるかしか攻撃パターンがなかったが、自分が不利になっても攻撃の手を休めない。
「チャンス!」
「しまった!」
焦った攻撃を仕掛けるあまり、走太郎は自ら青雷の懐に入っていた。
走太郎は『獣突』で突き飛ばされた後、後ろに回りこまれて『流し斬り』を喰らい、『急所突き』でAU−KVを装甲をぶち抜くという必殺コンボでカウンター。
「まだ時間はある! 何度でも挑戦してやる、天才ゲーマーの意地にかけても!」
そう言うものの、ベテラン能力者に勝てない自覚している。
一度プレイしたゲームは難易度が高くても一度でクリアできる天才ゲーマーの走太郎にとって、これは先が読めないリアルなゲームそのものだった。
●合戦状況
現在のところ、ナイトフォーゲルの仮装をした東軍より、ベテラン傭兵が多い武将、騎士に仮装した西軍のほうが圧倒的有利である。
まだ時間があるので、形勢逆転ということもあるが、法螺貝が鳴り、残念ながら合戦終了の合図が。
「合戦終了なり! 各々方、各陣地に戻られい!」
大人数の実行委員会が、双眼鏡で勝敗をチェック。
「結果を申し渡す! 勝者、西軍!」
趙雲旭とディスタン文月の勝負は、『竜の鱗』をフル活用しら文月の勝利!
負けた旭は、トボトボとマントを洗濯しに行った。
ジャンヌ澪とS−01リュウセイの勝負は、『ソニックブーム相殺』作戦に出た澪の勝利!
公孫綾音とディアブロ刃の勝負は、歴戦の差もあり綾音の勝利!
「我が白馬義従の前では、ナイトフォーゲルなど赤子も同然よ!」
なりきり勝利宣言は勇まく!
ケッツロックとテンタクスル流真の勝負は、力と体格差でロックの勝利!
政宗青雷と翔幻走太郎の勝負は、これも歴戦の差で青雷の勝利!
ドラグーン達にとって、ベテラン傭兵とのコスプレ合戦は良い特訓となったはず。