●リプレイ本文
●セクハラキメラ捕獲作戦
フェンシング部の練習を終え、シャワー室で汗を流しているヴェロニク・ヴァルタン(
gb2488)は、何やら騒がしいことに気づいたがシャワーの音で申 永一(gz0058)の放送が聞こえなかった。
制服に着替えるため更衣室に向かうと、女子生徒の悲鳴が聞こえたので何事? と思った矢先、スクナヒコナノミコト(以下:セクハラキメラ)が急にヴェロニクに突撃! 突然の出来事に声が出ないヴェロニクは、手でセクハラキメラを払い除けた。部員達も同様にセクハラキメラの被害にあっていたので、許す訳にはいかないと手近にあった模倣刀剣でハエ叩きよろしく引っ叩き捲って気絶させようとしたが、避けては次なる女子生徒に抱きついたり、身体を撫で回したりしている。どこまでセクハラなんだ、こいつらは‥‥。
「ヴェロニク、さっき放送でキメラ捕獲協力者を募集していたわ。お願い! このヘンタイをとっちめて!」
仲間の頼みとあれば断れないと、ヴェロニクは永一のところへ向かった。
●捕獲協力者達の思考
研究室には、既に数名の協力者が集まっていた。
「バグアはセクハラするキメラまで作り出しているのですか‥‥? 時々、あちらの意図が分からなくなりますね。もしかして相当な好きもの?」
リディス(
ga0022)がいうように、セクハラキメラを作成したバグアは女好きなのだろうか。
「しっかしまぁ‥‥傍迷惑なキメラだ。それも18匹。『スクナヒコナノミコト』だったっけ? このスサノオが退治してやる!」
セクハラキメラ捕獲に人一倍燃えている須佐 武流(
ga1461)だが、スサノオノミコトは何の関係もない。スサノオは名前のもじりだろう。
「このキメラ‥‥小麦色のムキムキマッチョな能力者二人の筋肉の間に挟みこませたいわね‥‥」
女好きキメラにはこの程度のお仕置きが丁度いいです、と黒い笑みを浮かべる緋室 神音(
ga3576)。
「女性にセクハラ行為をするとは、許せないキメラです。一刻も早く捕まえましょう。スクナヒコナノミコトは、イザナギノミコトに関わった神でしたっけ?」
永一に「関わったのは大国主命だ」と訂正された羽鳥・建(
ga5091)は、そうなんですかと感心。
「この時期に、この手の服装は寒いですね‥‥」
囮として、上着を脱いでセクハラキメラが好きそうな露出の多いキャミソールワンピースを着用している櫻杜・眞耶(
ga8467)。
「バグアも、随分と変わったキメラを作ったもんだ。何が面白くて作ったんだか知らないけど、学園内で暴れて貰っちゃ困るってもんだ。面倒だけど、とっとと捕まえて処分してもらわないと」
ブラスト・レナス(
gb2116)の言葉に「研究材料だから処分しないでくれ!」と焦った。
「セクハラキメラと戯ぶ依頼か‥‥面白そう♪ できれば、もっと大きくて元気なお兄さんのが良かったんだけど。張り切ってイクよー♪」
Hカップ巨乳の持ち主、レイチェル・レッドレイ(
gb2739)は佐倉・咲江(
gb1946)と共に女子寮で捕獲するようだ。
「そんなキメラ‥‥誰が作ったんでしょう。面倒ですが、被害者を増やさないようにするには仕方ないです」
かったるそうに言うハイン・ヴィーグリーズ(
gb3522)。
私設チア同好会の勧誘中に放送を聞いた熊谷真帆(
ga3826)は、試着したチア服を着たままで研究室にやって来た。
「セクハラはいけないと思います!」
何か一計を案じたのか、一瞬目がキラーンと光ったような気がした。
●捕獲開始!
「故意でないにしろ、セクハラキメラが逃げ出したのは事実だ。俺はその責任を取らされたので、トイレに行く時以外は研究室から一歩も出られない。小さいキメラだが、フォースフィールドが張られているのでメトロニウム合金製の虫かごに入れてあった。それを、今から皆に渡す。キメラは素手で捕獲できる。全部捕獲は大変だと思うが、頑張ってほしい」
永一の説明を聞き終えた協力者達は、それぞれの捕獲場所へ。
一足先に行動し、職員室に向かったのは女教師に扮していたリディスだった。
教師志願だった彼女は、こんな形で学校を訪れることになるとは思わなかったので激しく微妙な気分だった。
(「出来れば本職としてきたかったものです」)
そう思った矢先、セクハラキメラ一匹出現!
リディスのお尻に触ろうとしたが、彼女は即座に気づきパッと捕まえた。メトロニウム合金手袋をはめているので、触れても大丈夫。
「夫以外のものに触られるというのは嫌な気分です‥‥」
そう言うと、虫かごのポイッと入れた。
「女と見れば誰彼構わず襲うとは‥‥スーツで決めていてもされるのですね。今年で30になるのに‥‥と、愚痴ばかりですね」
他の場所にもいると思うので捕獲協力をしようと別の場所に移動しようとしたが、離れたところから女性の悲鳴が聞こえたので、セクハラキメラの被害に遭っているだろうと思い、声がしたほうに駆けつけた。
「アイテール‥‥限定解除、戦闘モードに移行‥‥」
神音は覚醒し、感覚を底上げしているが目立たない様に翼が出ないように力を抑えている。感覚を上げ、セクハラキメラを察知するためだ。
「今のところ、セクハラキメラはいないようね。職員室が無人なのが幸いです。逃げ出さないよう、出入り口を封鎖して密室にしましょう」
三人は職員室を密室にした後、ゼフィル・ラングレン(
ga6674)は囮役として、神音とハインに見られないよう隠れて女装し始めた。服装は、眞耶チョイスのフリーサイズのワンピース。
「キ、キメラっ!」
ゼフィルにお触り中のセクハラキメラ二匹を手で払った神音は、自分の射程内に入ると『先手必勝』『流し斬り』を使用して捕獲準備。セクハラキメラが弱ったのを確認すると、捕獲して虫かごに放り込んだ。
「まだいるようだ」
ハインの一言に鬱陶しくなった神音は、未使用の下着を使用して誘き寄せ作戦。上手くいくのか? と思われたが、セクハラキメラは見事に下着に飛びついた!
「この変態キメラが!」
ハインは下着にしがみついているセクハラキメラを捕まえると虫かごに放り込んだ。
セクハラキメラは「下着ちょうだ〜い!」と訴えているようだった。
「下着にまで反応するなんて、救いようのない変態キメラですね。あの‥‥着替えてもいいですか?」
駄目、と神音とハインにキッパリ言われてへこむゼフィル。
「こちらゼフィルです。職員室で三匹のセクハラキメラ捕獲しました」
無線機での報告を終えると、三人は女子生徒達にキメラに気をつけるよう忠告した。
食堂に来たのは武流と建。
(「食堂の後は、更衣室や女子寮に捜しに行くか。さすがの俺でも、簡単には踏み込めそうもないがな‥‥と言うものの、助けを呼ぶ悲鳴があれば行かなければ‥‥」)
武流がそう考えている最中、建は食堂のおばちゃん達がセクハラキメラの被害に遭ったかどうか訊ねた。
「私達は大丈夫だけど〜食材が駄目になったの〜! それにしても〜私達に何もしないなんて失礼ね〜!」
食材を齧られたことより、自分達に見向きしなかったことに激怒する稗田・盟子と食堂のおばちゃん達だった。
「食材ですが、どの程度の被害ですか?」
「ネズミが齧った程度だったから〜その部分を削ぎ落とせば使えるわ〜。齧られた食材は多かったけど〜」
食材が使い物にならなくて良かった、と安心する建だった。
「すみませんが、キメラを誘き寄せるために食材を分けてくれませんか?」
「何に使うんだよ? キメラは女に食いつくんだろ? 食い物に釣られるわけ‥‥」
武流が話しかけている最中、セクハラキメラ三匹が建が持っている食材めがけて飛んできた!
セクハラキメラは食材を齧ろうとしたが、建の手に噛み付いてしまった。
「痛いですね‥‥」
覚醒した建はセクハラキメラ一匹を乱暴に捕まえると虫かごに放り込んだが、逃げた二匹を捕獲すべく『瞬速縮地』で追いかけた。
「逃がしません!」
追いついたセクハラキメラを即座に捕まえると叩きつけるようにして虫かごに入れたが、まだ一匹の凝っている。
武流も建同様『瞬天速』で逃げるセクハラキメラに接近し、手で掴んで気絶させた。
「須佐さん、やりすぎです」
「手加減したから心配すんな。本気でやったら、木っ端微塵になっちまう」
そう言うと、気絶したセクハラキメラを虫かごに放り入れた。
「羽鳥です。食堂にいたキメラ三匹捕獲しました」
建は仲間に報告すると他の場所に向かったが、武流は既に食堂を去っていた。
リディスとブラストが食堂に辿り着いた時には、既にセクハラキメラが捕獲された後だったのでがっかりした様子だった。
●女性特有の捕獲法
真帆は、キメラを誘うため大股歩きで更衣室に続く廊下を歩いていた。
「廊下は走っていません、あくまで競歩です」
真帆の作戦は、スカートの裾からブルマをチラ見せさせ『豪力発現』で力の限り大量に捕獲し、運ぶというものだった。
「この服は動きにくいです」
聞こえるように言うと、それにひっかかったセクハラキメラ一匹が突撃!
「待ってました!」
作戦成功! と言わんばかりに真帆は器用に捕まえ、虫かごに入れた。
「破廉恥なキメラに、研究価値があるのでしょうか?」
怒りに身を任せたヴェロニクは、DN−01「リンドヴルム」を装着し猛烈な勢いで部室、更衣室を片っ端から捜した。
「人型限定ですがAU−KV使っちゃ駄目ですか? いいですよね? キメラ相手ですし。使わないとスキル使えませんから。大丈夫です、壁壊したり、キメラを握り潰しちゃったりなんかしませんから」
そういうヴェロニクには、未来から来た某ロボット登場の音楽が似合いそうな迫力だった。
「無茶しないでくださいね?」
そういう眞耶はセクハラキメラが現れたら、近くの部屋の中へ誘導し、室内に閉じ込めたところで覚醒して捕獲行動に移る計画だ。
真帆は「この服は動きにくいです」とセクハラキメラに聞こえるように言い放ち、更衣室に鍵をかけてセクハラキメラが逃げられないようにした。
「こ、こういう時、武道でいう‥‥し、心頭滅却‥‥」
声を上擦らせ、恥ずかしげに言うが、内心では「恥ずかしくないもん!」と震える手で緩慢にスカーフを外してセクハラキメラを釣ろうとしている。
チア服は上から被るだけ、スカートの下はブルマという姿の真帆は、顔を赤らめながらスカートを脱いだ。その途端、四匹のセクハラキメラが真帆めがけて飛んできた!
「ええいっ!」
スカートで全部捕まえようと思ったが、二匹しか捕まえられなかった。それらを素早くメトロニウム合金製虫かごに入れた。
「変なとこを触られなくて良かったです‥‥って!」
残るセクハラキメラが、真帆のお尻や太ももを撫でているではないか!
(「セクハラに耐え、時間稼ぎです」)
仲間の捕獲を支援するため、真帆は必死に耐えた。
「真帆はん、今、助けます!」
手で捕まえて捕獲しようとした眞耶だったが、セクハラキメラがちょこまかと逃げるので巨大ハリセンで殴り飛ばし、動きを抑えた。フォースフィールドが張られているので、この程度では死なない。
「タダでお触りしようだなんて百年早いわっ!」
耐久性が弱いため、巨大ハリセンを喰らっただけでもヘロヘロなセクハラキメラ。弱ったところを見計らい、眞耶は虫かごに放り入れた。
残る一匹は、AU−KVを纏ったヴェロニクに捕らえられヘロヘロ状態。そのセクハラキメラは、眞耶の虫かごにポイッ。
「こちらヴェロニク。更衣室でセクハラキメラ四匹捕獲完了!」
どことなく期限が悪いヴェロニクだった。
ブラストは女子トイレを探索し始めた。
「ここに出たら阿鼻叫喚だわな‥‥。ここにいるようなら誘ってみるか。女子が騒ぐ反応を楽しむようなキメラだから、誘われるかが疑問だねぇ。その時は触られてる女子に「捕まえるから協力して」と頼んで捕獲といきますか」
その場合は、相手の動きを良く見て捕縛するしかない。
「ここにいたらセクハラ通り越して変態キメラだっつ〜の。見られた子は御愁傷様ってね」
そう言った途端、トイレから出てきて洗面所で手を洗おうとした三人組の女子生徒がセクハラキメラの被害に遭っていた。
「出てきたわね、変態キメラ! 皆、早く逃げて!」
セクハラキメラを追い払うと、ブラストは杖で刺されないよう腕を押さえ込んで捕獲し、虫かごにポイポイ入れた。
「ブラストだよ、キメラ一匹捕獲成功!」
●禁断の捕獲法?
咲江とレイチェルは、女子寮を捕獲場所に選び、囮役となった。
咲江は初めての依頼なので、無表情だが、気合いを入れてセクハラキメラを捕獲しようと張り切っている。
二人の衣装はカンパネラ学園の制服だが、スカートは股下10センチ、ブレザーは身体にピッタリ密着+胸元露出という改造服で、それを脱ぎ、下着姿で寝た振りをしてセクハラキメラを誘うという大胆な作戦だった。
二人は昼寝をしている振りをしつつ、寝返りを打っては胸の谷間やお尻を強調している。
レイチェルは咲江に抱きついたり、胸やお尻やお股に手を這わせたりとちょっぴり悪戯を。
「レイチェル、何してるの‥‥?」
「ダメだよ、咲江ちゃん‥‥。声出したら気付かれちゃう」
小声でそう言うレイチェル。
その時、寮のドアの隙間(わざと開けた)からセクハラキメラ五匹が侵入!
レイチェルは寝ぼけたフリで起き上がり、セクハラキメラを胸に埋めた。なんて大胆な‥‥。
「ぬいぐるみ〜‥‥」
レイチェルの豊満な胸の谷間に埋められたセクハラキメラは、ヘロヘロ〜となり落下。しかも鼻血を垂らしながら。それを、咲江が虫かごにすかさず入れた。
残るセクハラキメラはというと‥‥レイチェルの寝惚けお色気作戦、咲江のスカートで一網打尽に。スカートで捕まえたセクハラキメラは逃げられないように慎重に虫かごに入れた。
こうして、セクハラキメラ全18匹捕獲に成功した。
●セクハラキメラ捕獲後
「皆、ご苦労様。大変だっただろう。本来なら、俺が責任持ってすべて捕獲しなければならないのだが‥‥」
俯きながら、協力者全員に謝る永一。
「申さんは悪くありません! 虫かごを落とした私が悪いんです! それなのに、申さんは‥‥」
虫かごを落としたため、セクハラキメラの最初の犠牲者となった女性研究員が事情を話そうとしたが、永一に止められた。
「きみのせいじゃない。管理を怠った俺が悪いんだ‥‥」
あなたのせいじゃないですよ、と、協力者達は永一を慰めた。
「申さん、俺はあなたの研究の協力をしたいと思います。同じ探求者として‥‥」
「永一兄はん、お願いですから、今後はキメラの取り扱いにくれぐれも気をつけてくださいね?」
建の協力、眞耶の心遣いに永一は「カムサハムニダ(韓国語の「ありがとう)」と母国語で皆に礼を述べた。
言葉はわからなくとも、感謝の気持ちは協力者全員に伝わったことだろう。