タイトル:Broken Mindマスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/27 22:36

●オープニング本文


 温かい家庭、優しい両親、大切な思い出、大事な宝物。
 一人の少女は、一瞬にしてそれらを奪われたことで壊れてしまった。身も、心も‥‥。

 競合地域に近いロサンゼルス近辺で、キメラ襲撃事件が起きた。
 至急、能力者達が駆けつけてキメラを殲滅したものの、それまでの間の被害者(死者含む)、全壊家屋多数という大打撃を受けた。
 助かった住民達は「仕方が無いことだ」と、詫びる能力者達を説得した。

 その中に、重傷の少女が一人ぽつんと壊れたオルゴールを持って崩壊した家屋の前に立っていた。
 虚ろな表情なまま、ずっとあそこに立っているのだと住民の一人が言った。
 崩壊した家屋は、少女が暮らしていた家だった。
 大切な思い出がたくさん詰まったかつての家を、光を失った瞳は見つめているのだろうか‥‥。
 少女は、病院に搬送された。病院、といっても、半壊状態なので簡易テントを利用したものだが。

 少女が大切に持っていたオルゴールは、幸いにも修復可能な状態だったので医師の一人がすぐ修理したが、中身までは修理不可能だったため、優しい音楽はところどころ飛んでいる。
 それでも、身体の傷は癒えたものの、心の傷が未だに癒えず、固く心を閉ざしてしまった少女の唯一の支えになっている。

 担当医師は、家族を失い、ひとりぼっちになってしまった少女の心のケアをサンフランシスコにいる日本人女性カウンセラー、碓井梓紗に任せてみたいと申し出た。
 かつてロサンゼルスに在住し、孤児の面倒を見ながらカウンセリングを行っていた彼女なら、少女の心を癒し、言葉を取り戻すことができるはず。そう判断しての提案だった。
 少女が入院している質素な作りの病院だが、ここも、いつキメラに奇襲されるかわからない状況下にある。
 そのため医師、看護師達は、能力者に護衛を兼ねて少女を梓紗の元に連れて行かせよう、という結論に達した。誰一人として反対しなかったので、担当医師は依頼要請しに行こうとしたその時。

「キメラが出たぞー!!」

 住民の一人が、キメラ出現を周囲に知らせる。
 1匹の巨大リスキメラが、少女が収容されている簡易テントに向かおうとしていた。

 少女の心を開かせるためにも、キメラは倒さなければならない。
 それが出来るのは、能力者達にかかっているといっても過言ではない。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
リュス・リクス・リニク(ga6209
14歳・♀・SN
ハルトマン(ga6603
14歳・♀・JG
佐倉夜宵(ga6646
18歳・♀・ST
雷(ga7298
18歳・♂・FT
穂波 遥(ga8161
17歳・♀・ST
リュドレイク(ga8720
29歳・♂・GP

●リプレイ本文

●少女
 ロサンゼルス近辺の被災地にある簡易テント式の病院を訪れた能力者達は、心を閉ざした少女に会いに行く道ずがら、被害状況を確認。
「早く、護衛対象の少女に会いに行こう」
 今回の依頼が初仕事のリュドレイク(ga8720)が、辺りを見回す能力者達を病院に向かわせようと声をかける。

 看護師の案内で、能力者達は少女と担当医がいるテントに辿り着いた。
 テント内には折り畳みベッドが設置され、護衛対象の少女は、身を起こした状態で虚ろな表情をしている。
 担当医立会いのもと、能力者達は、少女が口をきけなくても、自分達の言葉を聞き取り、思いが伝わると信じて順に語りかけた。
「‥‥はじめまして‥‥だな。俺は、西島 百白(ga2123)、宜しく‥‥」
 無口で無表情な百白だが、自分なりの優しさを醸し出して自己紹介。
「リニクは‥‥リュス・リクス・リニク(ga6209)‥‥。宜しく‥‥」
 須佐 武流(ga1461)の後ろに隠れながら、もじもじと自己紹介をするリュス。
「私は、穂波 遥(ga8161)。遥でいいよ。あなたのお名前は?」
「俺は雷(ga7298)ってんだ、宜しく。お嬢、名前は何てぇんだ?」
 遥と雷が名前を尋ねるが、口を利けない少女が名乗れるはすがないので、担当医が代わりに答えた。
「この子の名前は、ステファニーといいます。年齢は10歳、両親はキメラ襲撃時に即死したそうです。彼女は、両親の死を目の当たりにしたことで心を閉ざしてしまったのでしょう」

「ステファニーですかー、可愛くて良い名前ですねー。もう大丈夫ですよー。私達が来たからにはー、誰も怪我させませんー」
 佐倉夜宵(ga6646)が、太陽のような明るい笑顔でステファニーを励ます。
「‥‥大丈夫。‥‥何も‥‥心配、ない」
 包帯を巻かれたステファニーに語りかけながら、リュスは彼女に誤った道を進ませないよう、強く生きて欲しいと願い、そう言った。
「俺の背中には、いろんなものがあるってことかぁ? リニク、俺、約束したよなぁ? キメラは俺が必ず倒す、おまえは俺が守るって‥‥その約束、必ず果たすからな!」
 拳を握り締め、キメラを倒す気マンマンの武流。

●音色
「‥‥その手に‥‥大事そうに持っている物は何だ‥‥?」
 百白は、ステファニーが大事そうに抱えて持っているオルゴールに興味を示したので訊ねたが、当然、無反応。
 オルゴールの曲は、ショパン作の『ノクターン(夜想曲)2番 変ホ長調』。
 曲名を知らなくても、聞いたことがあるクラシックのフレーズに能力者達は耳を傾けた。
 病院育ちの遥は、その様子をノートに事細かく書き記している。ページの端を折ったり、要点を纏めるだけの内容にならないよう心がけている。
 サンフランシスコに着いた際、カウンセリングを担当する碓井梓紗に手渡し、一日も早くステファニーの心を開いて欲しいと願っての行動である。
 ひびが入った水瓶のような状態のステファニーの心は、いつ砕け散るか誰にも分からない。水瓶が砕け、中身が零れ出してしまったら、能力者達は「心」という名の水を掬ってあげなければならない。
 遥は、ステファニーが泣こうが、暴れようが、すべてを受け止めてゆっくり話を聞こうと思っていたのだが、実際に会って、それができないことを残念に思った。
 そのような状況であっても穏やかな笑みを絶やさず、優しく頭を撫でて「大丈夫、皆がなんとかしてくれるからね」と励ました。

●避難
「大変だ! キメラがここに近づいて来るぞ!」
 病院近くの避難所で生活している男が、医師団と担当医、能力者達にキメラ接近を知らせた。
「いよいよキメラとの対決かぁ、腕が鳴るぜ!」
 両手をポキポキ鳴らし、いつでも戦闘OKモードの武流。
「キメラは‥‥俺達が引き付ける‥‥。その間‥‥先生と‥‥ステファニーは‥‥避難しろ‥‥」
 護衛担当のリュス、遥、リュドレイクに「その子を‥‥守ってくれ‥‥」と頼む百白が囮になっている隙に、護衛班は2人を連れて避難。
「時間稼ぎ‥‥上手くいったな‥‥。任務‥‥開始‥‥。これ以上‥‥近づけさせてたまるか!」
 無口な百白にしては、最後は珍しく声を荒げた。
「ステファニーにはー、キメラ戦はー、お見せしたくないですねー。なのでー、女の子のエスコートはー、リニクさんにお任せしますー」
 リュスに関しては、とても優しいと武流から聞いているので安心して任せられる。
「ステファニーと先生をー、安全なところに逃げ切るまでー、私達が足止めしますー」
 そう言うと、リュスにステファニーの護衛を任せる夜宵。

「この子と先生の避難誘導は、俺達がするから安心してくれ」
 リュドレイクを先頭に、護衛班はキメラ接近を知らせてくれた男の案内で安全な場所に向かう。
「この子には、キメラ戦を見せたくはないな」
 ステファニーをそっと抱きしめながら「‥‥大丈夫。‥‥リニク達が‥‥守ってあげるから‥‥」と、リュスは優しく声をかけながら、一緒に安全な場所に移動。
 護衛対象のステファニーと護衛班メンバーをリラックスさせようと、リュスはオルゴールの蓋を開けるとネジを巻くと、飛び飛びの音色を鳴らした。
「今は‥‥あなたの‥‥大切、な‥‥この音‥‥だけを‥‥聞いて、いて‥‥」
 遥は、病院付近に現地人が残っていないかどうかを確認しつつ、戦闘班がキメラを足止めしている間に幸いにも原型を留めているビルに避難するよう促した。
「皆さん、あのビルの中に逃げてください! 早く!」
 精一杯声を張り上げ、残された人々を安全な場所に誘導。

●阻止
「おっと。こっから先は、げっ歯類立ち入りはお断りだぜ?」
 雷が矢を放ち接近を阻止したキメラは、2メートル近くあるビッグロリス。
 凶暴化しているので、愛らしい外見が台無しである。
 威嚇射撃後、洋弓「ルーネ」をコンユンクシオに持ち替え、ビッグロリスを挑発。

「可愛いらしい外見に擬態するというのがー、何となくむかつきますぅー」
 ビッグロリスを見て、ぷぅと頬を膨らませながら愛らしく怒る夜宵。
「皆さーん、怪我したらー、ちゃんと言ってくださいねー。私ー、とろいので気付かないかもですよー?」
 口ではそう言うが、夜宵は、仲間のアイコンタクトで誰が怪我をしたのかがすぐにわかるが、合図が無い場合は、有無を言わさず強引に『練成治療』で回復させるつもりでいる。
 覚醒すると髪を束ねていたゴムが切れ、長い黒髪がふわりと風になびく。

「ステファニーには、戦闘シーンを見せたくないな」
 万一の時に備え、リュドレイクはすぐ避難できる中間地点でビッグロリスの様子を窺っている。攻撃班と支援班、両方の位置の把握、ビッグロリスの動きをチェックしないといけないので下手な行動はできない。
 心を閉ざしているとはいえ、ステファニーがキメラを見るとフラッシュバック(過去の記憶が突然よみがえる現象)で混乱し、能力者達のもとを逃げ出してしまうことも考えられると推測したリュドレイクは、ステファニーの視界を隠すように立ち位置に気を配った。

(「今回は、新米もいるようだから、そいつらには今後のためにも頑張ってもらわねぇと。戦闘に慣れてもらうためには、俺が上手いことフォローしてやらないとな?」)
 爪の刃を叩いてカチカチ鳴らしながら、武流は戦闘態勢を取る。
「最初は覚醒しねぇでいくぜっ! 牙、爪、尻尾! いかなる攻撃、被弾厭わずっ!」
 熱血漢の雷は、接近戦に持ち込み、コンユンクシオでひたすら攻撃。狙いは、ビッグロリスの胴体。
「どてっ腹めがけていくぜぇ!」
 地面を踏みしめて回避ゼロの距離まで接近したのは良いが、ビッグロリスの尻尾が雷を直撃かと思いきや‥‥。
「危ねぇ!」
 それに気づいた武流が『瞬天足』で駆けつけ、雷を身を挺して彼を庇った。
「須佐っ、大丈夫か!?」
「心配すんなって‥‥!」
 武流に駆け寄った夜宵は、急いで『練成治療』で武流を治療。

●撃破
 覚醒し終えた百白は『ソニックブーム』と『紅蓮衝撃』で一気に攻撃。
「‥‥どこを見ている? 貴様には‥‥絶対に解らぬだろう‥‥。大切な家族を‥‥優しい温もりを‥‥大事な思い出を‥‥何もかも奪われた者の気持ちがっ!」
 覚醒したことで全身が白く光り、獣のような鋭い視線、凶暴かつ残忍な性格となった百白は、容赦の無い『流し斬り』で追撃。その姿は、猛る白虎そのものだった。

 覚醒した雷は『紅蓮衝撃』『豪破斬撃』でコンユンクシオの威力を上げ、全身を燃やし尽くすかのような渾身の一撃をビッグロリスに食らわせた。
「皆っ、支援を頼むぜぇ! 喰らえ! 一意専心、穿つ閃光! 奥義・龍突牙ぁ!!」
 深く突き刺さったコンユンクシオが抜けないように捻って手を離すとバックステップし、それと同時に武流に後を任せた。
「須佐の大将、後は頼むぜぇ!」
「おうよっ!」
 刹那の爪を使った連続蹴り、ジャックで牽制と防御を繰り返しながら攻撃していた武流は、試したい攻撃方法があった。
 ひとつは、ビッグロリスの尻尾を掴むなり回して投げ飛ばし、空中で掴んでバックドロップで落下させる。この方法は、敏捷性に長けたビッグロリスには通用しないとわかったのでやめた。
 もうひとつは、空中から体勢を立て直して飛び蹴りをし、そこから拳と蹴りの連打。とどめに『急所突き』を付与した腕のジャックを使い、心臓めがけて突きを繰り出す方法。
(「これならいけるっ!」)
 そう確信した武流は『限界突破』を使用して行動力を上げると、もうひとつの戦法を試みた。

 ビッグロリスの視線がステファニーを捉えたことを察知したリュスは、覚醒して少女を守る盾となった。
(「この子に手を出すことだけは‥‥絶対に許しません‥‥!」)
 俺がおまえを守る。そう言った武流の言葉を信じて。

 武流は『限界突破』で行動力を上げると『瞬天速』で接近し、地面を思いっきり蹴ってハイジャンプ。空中で一回転して体勢を整えると同時にビッグロリスの頭部めがけて飛び蹴り。ヒットした手ごたえを感じた後、拳と蹴りで交互に連打!
「武流さんー、バッチリ決めてぇくださいねー!」
 おう! と夜宵に親指を立てて合図する武流。

「おまえに大事なものを奪われたステファニーの痛み、存分に思い知りやがれっ!」

 とどめの『急所突き』を付与した腕のジャックが、心臓に食い込んだ。
 ビッグロリスは断末魔の声をあげることなく、事切れた。
「ステファニー! 両親の仇はとったぜぇぇぇ!」
 雷の勝利の雄叫びが、周囲に響き渡る。

●思い
 戦闘終了後、リュスが心配になった武流は彼女のもとに駆け寄った。
「ステファニー、オルゴール‥‥俺にも聞かせてくれないか? 何の曲だかわかんねぇけど。それ、両親からもらったのか?」
 僅かだが、ステファニーは首を横に振った。
「じゃ、お父さんか?」
 コクンと頷くステファニー。
「そっか。お父さんは、ステファニーにとっては、とても大切な人だったんだな。大事にするんだぞ? そのオルゴールには、それをくれたお父さんの心がある。だから絶対に無くすなよ?」
 ウィンクしながらニカっと笑う武流の言葉に何かを感じ取ったのか、ステファニーの虚ろな瞳が潤み始めた。
「自分には思い出なんて残ってなんかない‥‥とでも思っている目だな‥‥。‥‥その手に‥‥持っている物は何だ‥‥? それが‥‥『思い出』なのでは‥‥ないのか?」
 オルゴールを包み込むように持っているステファニーの小さな手を取りながら、百白は話続ける。
「自分を偽るのは‥‥もうやめろ‥‥。きみの‥‥両親は‥‥それを‥‥望んでいるのか‥‥? 泣きたいときに泣き‥‥怒りたい時に怒り‥‥笑いたい時に笑え‥‥。それが‥‥家族の‥‥望みでは‥‥ないのか‥‥?」
 潤んでいた瞳から、無意識のうちにステファニーは涙を流した。
「泣ける時に‥‥泣ける強さを持て‥‥。俺には‥‥もう何も‥‥残されて‥‥いないからな‥‥」
 残されているステファニーが羨ましい、と思う百白だった。

 夜宵は、覚醒ではじけ飛んだゴムの代わりをポケットから取り出すと、髪を結い直した。
「オルゴールは壊れてもー、音楽は無くなりませんー。いつかー、途切れないノクターンを聞けることを祈ってますねー」
 美しい音色は、心に残ると語りかける夜宵。

 雷は、ステファニーの頭に大きな手を載せると、しゃがんで目線を合わせながら、ゆっくりと低い声で、皆の、ステファニーの胸に響くように語りかけた。
「昔の人の名言で悪いが、俺から掛けられる言葉はこれだけだ。『Let us then be up and doing With a heart for any fate』。誰の名言かは忘れちまったが、これだけは覚えているんだよなぁ‥‥」
 ハハっ、と笑って誤魔化す雷を見て、能力者達は釣られて笑った。

●別れ
 それぞれの思いを伝え終えると、能力者達とステファニーは、高速艇で碓井梓紗がいるサンフランシスコへと向かった。
「これで‥‥どこに‥‥いても‥‥リニクと‥‥あなた、は‥‥お友‥‥達‥‥。忘れない‥‥でね‥‥?」
 そう言いながら、リュスは腕に付けていたプロミスリングを外し、すぐに心が開いて欲しいとは望まないが、この子に再び笑顔と温もりを‥‥と願いを込めながらステファニーのか細い腕に付けてあげた。
「これ‥‥あげる‥‥。大切に‥‥して‥‥ね‥‥?」
 コクン、と頷くステファニーの瞳はまだ虚ろだが、心は徐々に開きつつある。

 数十分後。高速艇はサンフランシスコに到着した。
「能力者の皆さんですね、お待ちしてました」
 カウンセラーの碓井梓紗は、ステファニーを見かけると「こんにちは」と笑顔で挨拶した。
「碓井さん、この子の心のケアはカウンセラーのあんたに任せるが、これだけが言っておきます。『生き残ったのなら、生きる意味があるってことだ、亡くなった人の分まで、価値のある人生を送るのが、生き残った者の義務だと俺は思っている』から。これが、同じ経験をした俺のアドバイスです」
 ステファニーと同じ歳の頃に時に親を亡くしたリュドレイクは、誰よりも彼女の辛さ、痛みがわかる。父親の形見である指輪をペンダントを見せながら、リュドレイクはステファニーに話しかけた。
「ステファニー、天国にいるご両親は、きみの姿を見たらきっと悲しむと思うな。ご両親を安心させるためにも、笑顔を取り戻して欲しい」

 遥は、梓紗にステファニーのことを書きとめたノートを手渡した。
「これを参考に、カウンセリングをしてください。私は、言ったままを聞いてあげるのが大事だって病院の先生から聞きました」
 ノートを受け取った梓紗は、その通りですねと答えた。
 能力者達が高速艇に乗り込んだ時、梓紗の傍にいたステファニーが走り出し、右手を挙げると左右に振り始めた。

『バイバイ‥‥』

 声にならなくても、ステファニーの気持ちは、能力者達の心に染み入るかのように伝わっただろう。