タイトル:【AP】四度目の悪夢マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/04/21 23:41

●オープニング本文


※このシナリオはエイプリルフール・シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

 宇宙要塞カンパネラで宇宙キメラの研究に勤しんでいると思われる申 永一(gz0058)だが、カンパネラ分校でもまだ研究することがあると地上に残っている。
 研究生として学園にやって来た当初に比べると、キメラの数は少なくなってきた。というが、研究対象がまったくいなくなったワケではない。
「申くん、ちょっと」
 研究中、研究部責任者が永一を呼ぶ。ちなみにこの責任者、以前、能力者の嫌がらせで腹痛と悪夢に襲われ、げっそり痩せ細ったご本人である。今はすっかり回復して元に戻ったが、性格は相変わらずだ。
「何でしょうか」
「研究用のキメラが少なくなってきたんだよね。きみ、捕まえてきてくれない? どんなのでもいいからさ」
 自分で行けばいいじゃないですかと言おうとしたが、「面倒くさいの嫌だし」とキッパリ。
「本当にどんなのでもいいんですね?」
「いいよ。ちっこいのでもでかいのでも。研究し甲斐のあるヤツ頼むね」
 はぁ‥‥と大きなため息をつき、と渋々キメラ捕縛に向かった。

「さて、どのようなキメラを研究しようか‥‥」
 そう考えていると、研究所に何かが突っ込んできて、その衝撃で永一は吹っ飛ばされた。彼しかいないのが不幸中の幸いだろうか。
 突っ込んできたのは、最近購入したばかりの彼の愛機のタマモだった。
『マスター、キメラがこちらに向かっています。早く倒さないと学園が破壊されてしまいます!』
 KVが喋るのに慣れてしまったのか、まったく驚かない永一。
『私と融合してキメラを倒しましょう』
「融合? どういうことだ?」
 説明する暇はないと、タマモは永一の頭にどでかい指をチョンと置く。すると‥‥
「な、何だこれは!!」
 瞬時に身体が巨大化し、全身に鉄のような間隔が。手を良く見ると‥‥ロボットのようになっていた。
『これが融合です、マスター』
「要するに同化、ということか」
『そうなります。さあ、行きましょう!』

 学園付近を縦横無尽に暴れていたのは、どこかで会ったような気がするキメラだった。
「まさかとは思うが‥‥あいつら、夢で会ったキメラじゃ‥‥」
 そのとーり! と言わんばかりに縄状キメラはウネウネ動き、巨大土偶は両腕を上げてガッツポーズ。
 言うまでもなく、2体のキメラは永一と能力者達にコテンパンにされたものである。
「いい加減、この悪夢やめてもらいたい。面倒臭いから、こいつらを研究材料にしよう」
 研究材料にしてはでかすぎるが、設備が整った学園でなら何とかなるだろう。
 そう思った時だった。
『もしもし、申くん、研究材料が補充されたからそいつら捕まえなくていいよ。思う存分やっつけちゃって。それじゃ、頑張ってね』
 責任者のやたら明るい通信での報告に、永一は「あの人、いつかぶちのめす‥‥!」と怒りを抑えながら呟いた。

●参加者一覧

榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
望月 美汐(gb6693
23歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
レインウォーカー(gc2524
24歳・♂・PN
BEATRICE(gc6758
28歳・♀・ER
D‐58(gc7846
16歳・♀・HD
星月(gc8302
21歳・♂・FT
由里 蒼眞(gc8376
18歳・♂・CA

●リプレイ本文

●人機一体! 出撃せよ!
「まさかの機体との融合が起きるとはな。まさしく何でもありだな」
 まあいいと、榊 兵衛(ga0388)は最高の槍であり、鎧である雷電『忠勝』を直に纏う感覚を確かめる。思っていたより、さほど違和感は無い。寧ろ、しっくりする。
「それだけ馴染んだということか‥‥頼むぞ、我が友、忠勝。目の前に立ち塞がりし敵を共に打ち砕くだかんが為に」

 望月 美汐(gb6693)の破曉『メフィストフェレス』は、早くキメラを倒したい気持ちを抑え、主に融合を進める。
「随分と変なのが‥‥ですけど、放置する訳には参りませんね」
 ウネウネ動く注連縄、時折ガッツポーズするどでかい土偶に呆れるが、愛機同様、キメラを倒す気は十分。
『ふむ、卿がやる気とは珍しい。では存分に刃を振るおう』
「いきましょう、フェレス」

「イクシオン、行くよ! ルンルンルキア、レリーズ!」
 夢守 ルキア(gb9436)の掛け声で融合した骸龍『イクシオン』は、白のフリフリ服に白い羽根の生えた魔法少女っぽい機体に変身。
「ウェーブレングスγ、アルゴスシステム起動!」
 すかさず『強化特殊電子波長装置γ』と【OR】アルゴスシステム(AS)を起動し、愛機に話しかける。
「それにしても、イクシオン。つくづく魔法少女似合わないね」
『お前のせいだー、お前の! 前にドグーン倒した時は伝説の戦士だったし!』
「いいじゃない。行くよ」
 自らに『煙幕弾発射装置』を使い、それを突っ切るようにキメラに向かう。

 レインウォーカー(gc2524)が抜刀した刀で虚空を斬り裂くと同時に、ペインブラッド『リストレイン』が召喚された。
「ウェイクアップ、リストレイン」
 融合すると同時にリストレインを拘束していたKVサイズの鎖が全て引きちぎられ、頭部のバイザーが上部にスライドし血色のツインアイが現れた。
「目覚めの気分はどうだぁ、リストレイン?」
 最愛の女性に優しく語りかけるように声をかけ、全身で愛機の感覚を楽しむ。
『言葉にしなくても貴方なら分かるはずです、レイン。貴方とひとつになった私の気持ちが』
「やっぱりそうだよねぇ。ホント、最高の気分だぁ。行こうか」
『はい。行きましょう、レイン。私達の敵を討ち倒し』
「この舞台で共に踊ろう」

 BEATRICE(gc6758)の目の前に現れたロングボウII『ミサイルキャリア』は、キメラを倒すため自分に力を貸してほしいと頼む。
「力を貸して‥‥というのはおかしいですね‥‥。一緒に頑張りましょう‥‥? …キャリア‥‥」
 頷いたミサイルキャリアは手を差し出し、目を閉じているBEATRICEをそっと包み込む。目を開けると、彼女は愛機と融合していた。
「さて‥‥Missile Lady‥‥参ります‥‥」
 愛機と一心同体というのも悪くない。こういうのもいいだろうと出撃する。

『マスター、キメラ倒しに行こう〜!』
 D‐58(gc7846)はスカイセイバー『スカイ・フィーニス』にマスターと言われ戸惑う。
「‥‥マスター? 私が?」
『そうだよ〜♪』
 あっけらかんと言うスカイ・フィークス。
「‥‥私は、ある傭兵に居候という形で指揮下にありますので、指揮系統は‥‥」
『? ‥‥あ〜‥‥難しいことはいいんだよ‥‥夢オチだし。あたしと融合しよ〜♪』
 無邪気な愛機に従うことに。
『とにかく! あたしとエアロダンスしたら全部スッキリしちゃうよ〜♪』

「‥‥注連縄って空、飛んだっけか‥‥。やたらでっかい土偶もいるし‥‥」
 やや現実逃避気味な星月(gc8302)だったが、アレがキメラだと理解すると気を取り直す。
「仕方ない。さて、行くか、相かっ!?」
 相方と言おうとした矢先、誰かに後ろから襟首を引っ張られた。振り向くと見覚えのある顔が。
「見ーつーけーたぁー」
 地を這うような声音で襟首を引っ張る由里 蒼眞(gc8376)に対し、星月はとぼける。
「あー‥‥青年? 誰かと勘違いしていないか? 私は七星月という者だが」
「七星月って‥‥日本語読みしたら一発だろ!? 隠すつもりないだろ斎さん!」
 どういうことかというと、フルネーム「チィ・シンユエ」の日本語読みは七星月、カタカナ表記は「ナナセイツキ」、それを漢字にすると「七瀬斎」になるのだそうで。
「とりあえず、この戦いが終わったら覚悟しといて下さいよ」
 蒼眞にはバレているが、愉快なキメラをどうにかしてから話を聞くことにする星月。
「では改めて。行くか。相方。ユニゾン。千本桜。ふむ。スフィーダってェのはこんな感覚なのか」
 愛機をじっくり見て、星月は融合の感覚を実感。
「逃げないでくださいね? とっとと終わらせるぞ、古鉄」
『Roger、MyMaster』
 目を閉じ、アヌビス(真)と融合した蒼眞は、星月から片時も目を離さない。

●悪夢再び! 復活したキメラ!
 倒されたはずの注連縄とドグーンは、その鬱憤を晴らすかのように分校周辺を破壊しまくっている。時々ドグーンが注連縄を鷲掴みにしてぶん回す荒業を繰り出しているが、注連縄は大丈夫なのだろうか。
「以前より凶悪になっているような‥‥」
 タマモと融合した申 永一(gz0058)は、またこいつらの相手をするのかと思うと気が重くなった。
『早く能力者が来て、自分の代わりに倒してほしいと考えていますね? マスター』
 何故わかった! と突っ込もうとした時、1機の雷電がブーストで駆け付けた。
「榊 兵衛、愛機、忠勝と加勢する!」
 一番乗りした兵衛は、仲間が合流するまでドグーンとの距離を詰めることに。
 それまでの間、52mm対空砲「ギアツィント」 による砲撃と試作型「スラスターライフル」 による銃撃で可能な限りダメージを蓄積させる。
「どぐーん!」
 相変わらずな叫び声を上げ、ドグーンが土偶パンチと土偶ソードを交互に繰り出すが間合い外から機槍「千鳥十文字」による攻撃をくらい体勢を崩す。
「倒れろ!」
 攻撃の手を休めず、兵衛は一方的に攻撃を掛ける戦法に。
 易々と内懐に入り込まれないようにファランンクス・アテナイによる自動迎撃を活用してはブーストを起動し、疑似慣性制御による機体機動で敵の死角を的確に突いて痛打を与える攻撃を繰り返す。
「優先目標は‥‥土偶です‥‥」
 合流したBEATRICEはやや間合いをとり、真スラスターライフルをメインにドグーンの手を中心に攻撃し、パンチやソードの攻撃力、攻撃範囲の低下を狙う。

「お前らの方も万全みたいだねぇ、ルキア」
「そっちこそ、まず、ドグーンを何とかしよう」
 ルキアが前衛陣が戦っている間に遠距離からD−013ロングレンジライフルで狙撃。
 基本的に低空なりで飛行、注連縄は十式高性能長距離バルカンで弾幕張って対処。
 上下左右に回避を行うが、目障りと言わんばかりにドグーンの標的にされ、体当たりをくらいそうなピンチに。
「イクシオン、体当たりが来るよっ。敵は大きいから直線行動の方が得意な筈――斜め前方に動いて!」
『注文多いっ!』
 そう言いつつ器用にかわし、斜めに動いてはピアッシングキャノンで反撃する。
「大丈夫かぁ?」
 機体各所のスラスターを駆使し、レインウォーカーがノワール・デヴァステイター2丁で牽制しながら接近し練鎌「リビティナ」で軽やかに、踊る様に動いて加勢する。
 味方が苦戦しているようなので、ルキアは『煙幕弾発射装置』を敵に撃ち援護を。
「プラチナスモーク!」
『それ、デュスノミア(ルキアの幻龍)のパクリじゃ』
「え? 何か言った?」
『ごめんなさい』

 戦闘開始早々『メテオ・ブースト』で突撃し、ルキアが作った弾幕を掻い潜る星月は、高機動でフェイントなど交えつつ【SP】ナイトハルバードで攻め込む。
「あからさまにデカブツな土偶だな。スフィーダの機動力で撹乱するか」
 一撃でも攻撃をくらったら終いだろうと懸念し、トップスピードをできる限り維持して仲間の邪魔にならないよう更に攻撃する。
「さて、私と千本桜の足に付いてこれるか?」

 仲間の動きに気を付けながら、BEATRICEは誤射の危険がある場合のみ離れた場所を狙い、兵衛の攻撃後、離れるまで援護射撃等でフォロー。
「切り札は‥‥大切にしませんとね‥‥」
 220mm6連装ロケットランチャーは弾数が少ないので、体勢が崩れたり、キメラが他者に気をとられている時等が当てやすいチャンスを狙い胴体に撃ち込む。その際、『複合式ミサイル誘導システムII』の併用も視野に入れる。

●決着をつけろ! 勝利せよ!
『あの注連縄やっつけちゃいましょう、マスター』
 D‐58は愛機に促され、飛行形態でブーストで突っ込み、『エアロダンサー改』からの『アグレッシブトルネード改』併用でマッドハウンドの三連撃という不意討ちを。これは愛機の発案だ。
『ね? 気持ち良かったでしょ♪』
「‥‥悪くありませんね‥‥」
 注連縄にヒットしたのでやって良かったと思いつつ『アサルトフォーミュラB』を使用しつつ、体当たりに警戒し、距離を取って帯電粒子加速砲とレーザーライフルで攻撃を。その間、ドグーン側の動きに最小限の注意を払う。

 深呼吸し、ノワール・デヴァステイター2丁拳銃で牽制しつつ注連縄に接近する美汐の戦いぶりをメフィストフェレスは楽しみにしている。
『では、お手並み拝見と行こうか』
 白兵距離まで近づいたらノワールをサブアームで装備し、両手で双機刀「臥竜鳳雛」を持ち、焔刃「鳳」の使用準備を。
「白兵マニューバ『奴奈比売』‥‥起動します」
『ふむ、サブアームの操作は私が補助しよう。時に卿、悪魔の名を冠しながら、何故、技の名が和風なのかね?』
「え? 文字数節約のためですけど?」
『‥‥随分と世知辛い話だな』

 美汐同様、近接戦闘を挑む蒼眞は古鉄の右腕に付けたルプス・ジガンティクスの抜き手をメインで攻め込むと『フレキシブルモーション「神天速」A』を発動し、隙を見ながら攻撃を加えていく。
「盛大な隙を見つけたら固結びにしてやろう。縄状態よりは多少当てやすくなるはず。きっと」
 チャンス! と注連縄を掴んで固結びにしようとするが、鰻のようにニュルニュル動くのでで掴みにくい。
「いてっ! 叩きつけるな!」
 それだけならまだしも、全身に蛇のように絡み付いてきた。
「今、助けます」
 ブーストで注連縄に急接近した美汐は、二翼二刀二銃による多角多段攻撃で注連縄の意識を揺さぶり、端から少しずつ削っていく。
「右の一刀」
『銃撃、三点斉射』
「左の一翼」
『銃剣、刺突』
『「二刀十文字!」』
 削られた注連縄は、千切りキャベツみたいな姿になった。
「助かった、ありがと‥‥って、何ぃ!?」
 千切り状態が徐々に集まり、ゆっくりと元にに戻りつつある注連縄に驚く蒼眞。
「隙を見せるな」
 兵衛の忠告し、完全に元通りになるには時間がかかるのか、ウネウネしながら滞空する注連縄に52mm対空砲「ギアツィント」の砲撃、試作型「スラスターライフル」による弾幕射撃でドグーンの加勢を阻止。
「榊さん‥‥土偶が来ます‥‥」
 BEATRICEの連絡後、弾幕を掻い潜ったドグーンが兵衛に迫る。体当たりに備え肘鉄を加え、タイミングを計り機槍「千鳥十文字」機槍による刺突攻撃を加える。
「注連縄の相手は私が。榊さんは土偶をお願いします」
 兵衛にドグーン攻撃を専念させるべく、美汐は機刀「獅子王」を抜き『超限界稼動』を起動する。
「一気に止めを狙います、フェレス。これで決めますよ、リミテッドリリース!」
『永劫なる星の速さと共に、今こそ疾走して駆け抜けよう。自由な民と自由な世界で、どうかこの刹那に言わせて欲しい』
 主人と愛機の声が重なり、注連縄を切り裂き、止めを刺す。
「『時よ止まれ。いかにもお前は美しい』」

●さらば強敵(と書いてキメラと読む)! さらば悪夢!
「榊が食い止めている間にアレをやるぞ、ルキア。ボクとお前の切り札を」
「アレだね?」
 勝負を決める時が来たので、2人は合体技を実行することに。
「合体技いくよ!」
 ルキアが十式高性能長距離バルカンで弾幕を張った後、レインウォーカーがブーストと『強化型SES増幅装置『ブラックハーツ』』を発動し突撃。
『出力全開です。私の全力についてこれますか、レイン』
「当然だぁ」
 マスク部が展開し、獣の様に荒々しくなったリストレインは練爪「セクメト」でドグーンを引き裂き、距離を取り、ルキアと同タイミングで『真雷光破』発動。
「汝のあるべき姿に戻れ、ドグーン!」
 それと同時に、レインウォーカーとリストレインの声が重なる。
「『嗤え』」

「これで仕舞いだ!」
 ブーストをフル稼働した兵衛が機槍「千鳥十文字」による格闘戦で、ドグーンを確実に撃破。
「どぐーん!」
 断末魔の叫びもコレである。ドグーンは最後までマヌケで情けないキメラだった。
「今回も俺の出番が‥‥」
『主役は彼らですよ、マスター』
 カッコイイ出番ひとつも無しな永一が項垂れる。タマモが言うように、夢の主役は能力者達である。

 戦いが終わったので、能力者と愛機は分離して元の姿に戻った。
「ありがとう、我が友。また戦おう」
 兵衛の言葉に無言で頷く忠勝。

『ようやく答えを得たか、これで私も戦場に出る機会が増えるというものだ。ではな、卿。研鑽を忘れぬよう』
「フェレス、これからもよろしくお願いします」
 美汐は愛機との絆を確かめることができたようだ。

『魔法少女も伝説の戦士もこりごりだ!』
「そう言わないでよイクシオン。楽しかったよ」
 と言いつつ、次はどんな格好させようかと企むルキア。

「お前と踊れて楽しかったよぉ、リストレイン」
『私もです、レイン。では、私はこれで』
 別れの時を惜しむレインウォーカー。

「‥‥楽しい、夢でした‥‥」
『あたしも楽しかったよ、マスター♪』
 友達と呼べる人が周囲に少なかったので、夢でもKVと会話できたことを嬉しく感じるD‐58。

「やれやれ‥‥やっぱり‥‥自分の体を動かすよりも‥‥操縦する方が楽なようですよ‥‥」
 地上戦というのが少し残念だったBEATRICEだが、空を飛ぶのは気持ちが良さそうと満更でもない様子だ。
「どちらにしても‥‥お疲れ様です‥‥キャリア‥‥」 
 システム停止中の愛機を撫でて労う。

「さァて‥‥斎さん? こうして俺はアンタを見つけた。だから賭けは俺の勝ちですよね?」
 古鉄と別れると、蒼眞は即座に星月に迫る。
「ああ、確かに私は七瀬斎だ。けどな、残念ながらこれは夢なんでね。賭けは無効だ」
「何だって? これは夢だから賭けは無効? 上等。俺はアンタの姿も声も、偽名だってわかったんだ。現実でもすぐ捕まえてやりますよ」
「実際に私を見つけるのはいつになるだろうな?」
「夢だろうが、現実だろうが、俺は必ずアンタを捕まえてみせます!」
 2人の追いかけっこは、夢でも現実でも続いているようだ。

 千本桜のままだったら星月は捕まらないだろう‥‥多分。どうなるかは乞う御期待ということで。