タイトル:沖縄因縁序曲マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 7 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/11/26 17:56

●オープニング本文


 大規模作戦【AS】の最中、ソウジ・グンベ(gz0017)はUPC本部に呼び出された。
 カンパネラ学園教師である今、軍人業をこなしていないのに何故と考えたが、理由がまったく見当つかない。
 考えても埒が明かない、出たとこ勝負と足を踏み入れた。
「ソウジ・グンベ中尉、入ります」
 こう名乗ること、敬礼して挨拶するのは何年振りだろう。
 話しておかなければならないことがあると話し出したかつての上官は、沖縄で撮影された2枚の写真を見せた。
 1枚は沖縄上空で発見されたヘルメットワームの集団、もう1枚はUPC沖縄軍演習地付近の様子を撮影したものだった。演習地付近の写真には見覚えのある黒尽くめの男の姿が写っていた。
「この男は‥‥。俺を呼び出したのは、この男に関してですね」
「察しがいいな。そこに写っているのは、3年前きみが捜索を依頼したバグア、ラルフ・ランドルフだ。しばらく姿を見せないと思っていたが、こんなところにいたとは‥‥」

 ラルフ・ランドルフ。
 何らかの手段で戸籍を偽造、数回の検査を潜り抜けラスト・ホープ島を闊歩しカンパネラ学園に潜入したバグア。
 運命の悪戯か、潜入したその日にヨリシロとした男の妻と息子が学園にいたが、ソウジの手回しにより2人に会うことなく逃げるように学園を立ち去った。
 その後、ULTから派遣された捜索隊が手を尽くしたが発見には至らず。
 あれから3年。何故、今頃になって姿を見せたのか。
「ラルフが姿を現すようになってから、バグア勢力下に近い場所の襲撃が増しているそうだ。これは我々の推測だが、その混乱に生じ、強化人間に適してる人間を選んで連れ去ろうとしているのだろう。それと同時期、読谷村のキメラ横行が激しくなったとか」
「バックに強大なバグアがいる、ということでしょうか」
「考えられるのはゼオン・ジハイドあたりだろうが‥‥奴等のほとんどはアメリカで応戦中だ」
 バックのバグアの存在も気になるが、それよりも気にかけているのは男が本当にラルフ本人であるかということだ。
 何か手がかりはとヘルメットワーム集団の写真を改めて見ると、その中に現在は生産終了した1機のS−01が。これもラルフ同様黒尽くめだが、星条旗の中央に疾走する狼のシルエットが象られたエンブレムがあるので生前のラルフの愛機だとわかった。バグアと化してもKVに騎乗しているのは油断させるためだろう。
「この写真はどこで撮影したものですか?」
「読谷村にあるトリイ基地、楚辺通信所付近の上空だ」
 UPC沖縄軍の報告によると、読谷村周辺のバグア勢力が一気に増し、現在は観光どころではないらしい。

「きみを呼び出したのは他でもない。この男がラルフであるかを確認してほしい。奴のことを知っているきみだから頼めることだ。かつての友であった男と対峙するのは気が重いだろうが」
 あの時、ラルフが危険を冒してまでカンパネラ学園に来た時につけられなかった決着を沖縄で。
 黒尽くめの男がラルフ本人であれば、それは避けられないことだろう。
 意を決し、ソウジは上官にUPC沖縄軍転属を願い出る。
「きみは今カンパネラ学園教師で、慕う教え子がいるだろうに。構わないのか?」
「ラルフ確認が最優先です」
 深く頭を下げ頼みこむソウジの熱意に負け、上官はUPC沖縄軍転属手続きを行うことに。

 手続きが終え、正式に転属が決まるなりソウジは任務を遂行すべく動き出した。
 情報によると、読谷村上空では今もヘルメットワームが飛行中とのこと。写真どおり、その中にS−01がいればラルフであるかを確認できるかもしれない。
 3年に渡る因縁を断ち切るべく、ソウジの愛機『エスポワール』は青い空に向かい飛び立った。

●参加者一覧

リュイン・グンベ(ga3871
23歳・♀・PN
風閂(ga8357
30歳・♂・AA
ジャック・ジェリア(gc0672
25歳・♂・GD
サウル・リズメリア(gc1031
21歳・♂・AA
ジリオン・L・C(gc1321
24歳・♂・CA
レインウォーカー(gc2524
24歳・♂・PN
音桐 奏(gc6293
26歳・♂・JG

●リプレイ本文

●開幕
 澄み切った読谷村の青い空を無造作に飛び交うヘルメットワーム集団をディアマントシュタオプ『エスポワール』のコックピットで見据えるソウジ・グンベ(gz0017)は、中央部にいる黒いS−01に騎乗しているのがかつての先輩であり、友であったラルフ・ランドルフ本人かどうかを気にかけている。
「ラルフ・ランドルフ‥‥か。カンパネラに姿を見せて以来になるな」
 3年前、ソウジの依頼で変装してカンパネラ学園に侵入したラルフに関わったリュイン・カミーユ(ga3871)は、今頃、何のために現れたのかを考えながらソウジの苦悩の日々が再び始まることに心を痛めていた。
(ソウジ、1人で抱え込むな。我がいる事を忘れるな。汝の心の重荷は、我も分かち合う)
 そんな彼女の憂いを吹き飛ばすかのように、ジリオン・L・C(gc1321)のガネット『超! 魁! 未来勇者号!』が颯爽と現れた。
「とーーーぅ! 俺様は! ジリオン! ラヴ! クラフトゥ! この俺様のガァァァネットの勇姿と俺様のこのいと熱き魂で‥‥!!」
 どこかにいる黒いS−01をビシッと指差し「導いて、やるぜ!」とコックピット内で決めポーズ。
「沖縄バグア軍が本格的に動き出したか‥‥」
 故郷である読谷村依頼に何度か関わった風閂(ga8357)だったが、ヘルメットワーム集団を見て沖縄での戦闘が激しくなりそうなことを実感した。
 レインウォーカー(gc2524)は腐れ縁の相棒の音桐 奏(gc6293)、小隊仲間で悪友のサウル・リズメリア(gc1031)とある目的のために参戦。
「頑張れ、なんて言わないぞ。お前らならやってくれるって分かってるからねぇ」
「信頼されているようですね、私達は。なら、それに応えないといけませんね、サウルさん」
「そう期待されてもなー」
 肩を竦めるサウルだったが、来たからには真面目に戦い、やれるだけやると応えてみることに。
 そんな彼らは、ラルフのバックにいると思われるバグアが大規模作戦で幾度となく戦ったゼオン・ジハイドの11、風祭・鈴音ではないかと勘付いている。
(何でかなぁ、根拠なんて何にもないのに風祭の顔が浮かぶのはぁ。まあいい、道化の勘が当たるかどうか試してみるのも悪くない)
 そんなレインウォーカー同様、真っ先に鈴音を思いついた奏は面白くなってきたと微笑む。
「なあ、ソウジ、全員に分かるように人相モンタージュ写真作ってる方がいいんじゃね?」
 そのほうが手っ取り早いだろうとサウルが意見するが、ラルフは変装の名人だ。
 カンパネラ学園に来た時も変装していたが、面識あるソウジがかろうじて声で判別できたほどだ。沖縄でも変装している可能性があるので、場合によってはソウジでも判別が難しいかもしれない。

 沖縄軍の加勢があるとはいえ、目標確保しながら多数のヘルメットワーム対応は難しいので二手に分かれようという奏の案でそれぞれの行動に。
 ヘルメットワーム対応班はリュイン、風閂、ジリオン、レインウォーカー。
 目標確保班はサウル、奏。ソウジは2人にサポートしてもらいながら確認を。
 ジャック・ジェリア(gc0672)は対応班と同じように動くが、遊撃を担当。
「故郷を襲撃しようとするものは、1体残らず蹴散らしてやるわ。青い空を汚されてたまるものか! 鳴鏡、参るぞ!」
 そう意気込むが、入手したてのシコン『鳴鏡』の初陣ということもあり落ち着かない風閂だった。

●混戦
 対応班は沖縄軍と共にHWと戦闘し、数を減らしつつS−01が逃げやすいルートを作り追い込み、確保班は逃走ルートに入った目標機の進行上で待機、接近すると同時に行動を開始し確保を狙うという方針で各自動き出した。
「S−01のパイロットを確認する為には、周囲のヘルメットワームが邪魔だ。対応班は数を減らし、且つS−01を誘導するべく故意に逃走ルートを作り出すぞ」
 確認するソウジの負担を少しでも減らそうとリュインの雷電『chardon』が我先にと動こうとしたが、遮るように未来勇者号が突進していった。
「一番槍は戦場の華! ここは勇者な俺様に任せておくがよい! 「燭陰」を叩き込むぞ!」
 使うのは今しかあるまい! と『ガネットオーラ』を発動。
「喰らえ! 超必殺ゥ‥‥! 超絶勇者絢爛砲‥‥!」
 超大型対艦誘導弾「燭陰」が発射されると、炎上するような幻影の炎と共に『超! 絶! 勇! 者! 絢! 爛! 砲!』と熱い筆文字が青い空に描き出され、機体から翡翠色のオーラが奔流のように湧き上がった。
「ハーッハッハッハ! 汚い花火だーっ!」
 ドヤ顔で派手に決まった必殺技の手ごたえを感じるジリオン。これによりヘルメットワーム集団の一部が蹴散らされた。
「奴らの足並みは乱れたな! 行くぞ! 勇者パーティー!!」
 この調子で更に数を減らそうとしたが、派手な必殺技を繰り出したことが災いし、未来勇者号はヘルメットワームの標的に。
「うおお! 撃て! 撃て!」
 必死で反撃したものの、避けきれないほど数体に囲まれ攻撃されてしまった。
 それでも友軍の周りで被弾を抑えるべく回避に専念しつつ、味方機が撃ちやすいように8.8cm高分子レーザーライフル、ファランクス・アテナイで数を減らしていく未来勇者号。
「たすけろー! 勇者ぱーてぃー!!」
 必死に叫んでいると、ジャックのジャックのスピリットゴースト・ファントム『ジャックランタン』がやって来たので助かった! と安心する。
「助けにきたわけじゃないんだが。まあ、いいか。数は多いが落すのはそれほど難しくも無いか? 条件付きなのが面倒だな」
 ヘルメットワーム集団にD−03ミサイルポッドを先制発射すると交戦空域が定まった所で空域外ギリギリに迂回し、空域内のヘルメットワームに射撃を浴びせ、外周を転回しS−01の挙動に注意しつつ援護攻撃。
「こっちだ!」
 注意を引き付け、少しでも攻撃を自機に向けられるよう射程内全機に射撃。幾度と無く的にされたが、数を減らすべく攻撃の手を休めない。
 ジャックランタンの遊撃により生じた隙間を潜り抜けた鳴鏡は沖縄軍に後を任せると『ストライク・アクセラレータ』を使い、集団を蜂の子を散らすようショットライフルMG−01で蹴散らすが一向に減らないので高出力レーザー砲「種子島」を使うことに。
「皆、種子島を使う。巻き込まれぬよう注意致せ」
 味方機と沖縄軍が鳴鏡から離れるのを確認し発射。一直線上に位置するヘルメットワーム数体放たれたレーザーにより墜落。
 慣れないKV戦のため狙いを定めるのに精神を集中したこともあり、敵機接近に気づかず背後から反撃された。
「くっ‥‥ただでは倒れぬぞ!」
 接近してきたものをソードウィングで反撃すると同時に反転し、他の対応班を援護すべく動き出す。

「もっと数を減らすぞ。遅れを取るなよ、沖縄軍」
 chardonはK−02小型ホーミングミサイルを2セット、合計10機に照準を定め発射。一斉掃射として派手に行く作戦だ。
「まだまだ!」
 沖縄軍の攻撃に間髪入れずスナイパーライフルD−02でダメージ蓄積させた後、84mm8連装ロケット弾ランチャー、8式螺旋弾頭ミサイルで味方の射線を遮らぬよう留意し確実に仕留めていく。
 猛攻撃を運良く避けたヘルメットワームが背後から接近してきたが、それに気づくと緩やかに操縦桿を引き、横倒しにして斜め下に愛機を倒すと急上昇。
「我はそう簡単には捕まらん。返礼だ、喰らっておけ!」
 降下して敵機の下部を取ると接近し、試作型「スラスターライフル」で装甲を削り撃墜させた。

●確認
 対応班と沖縄軍の交戦、未来勇者号の必殺技、鳴鏡の高出力レーザー砲「種子島」で逃走ルートを確保したS−01が中央部から離脱するのを見逃さなかったレインウォーカーは、ペインブラッド改『リストレイン』の全兵装と『強化型SES増幅装置『ブラックハーツ』』を使用して邪魔なヘルメットワームの数を減らしていく。
「強行突破するのかぁ。逃がしはしない、お前には色々聞きたいことがあるんだからさぁ。全機行動開始と行こうかぁ」
「作戦開始、といったところだな」
 装甲圧の厚い所で受けるために回避するジャックランタンは、S−01逃亡を阻止すべくPCB−01ガトリング砲主体で牽制すると『ファルコン・スナイプA』の軌道予測を利用して動先への先制攻撃。
「S−01にとってヘルメットワームは逃走の障害とはならんだろうから、攻撃を行なわないルートを作り出そう」
 その前に翼程度は狙撃しておいても良かろうと狙うchardonだったが、感づかれたのか逃げられてしまった。
「皆で奴の『道』を切り拓くぞ、勝利につながる道をねぇ」
 ブーストで逃走するS−01に接近すると『真雷光破』を発動するが、わざと外して更に追い込んでいく。

「追い込みが成功したようですね。私達が弾幕を張って足止めしますから目標の確認お願いしますよ、ソウジさん」
 奏のガンスリンガー『ディスコード』のファランクス・アテナイ、太陽王のガトリング砲「嵐」が集中攻撃。その際に発生した弾幕が目くらましになったのか一瞬止まったが、ブーストで弾幕を切り抜けた。
「逃げんなって、喧嘩は男の嗜みなんだぜ!」
「そう簡単にはいきませんね。ブーストで追跡します、付いてきてくださいお二方」
「了解」
 サウルはファランクス・ソウルで攻撃した後に『宙空変形スタビライザーA』で追従し、回り込んでから『宙空人型機動制御システム「エアロサーカス」』を発動すると太陽王を変形。
「やる気ですね、サウルさん。支援します」
 変形の隙に逃げ出さないようディスコードはΔ・レーザーライフルで周囲にいる味方機を誤射しないよう注意しながら牽制援護。
「あなた方はお呼びでないんですよ」
「逃がすものか! 今度は確実に撃つ!」
 ブーストで側面に回り込んだchardonの狙撃、太陽王の機槌「明けの明星」を翼に叩き込まれたS−01は不時着しようと動き出す。
「今のうちにもう一度弾幕を張りますよ」
「了解。さて、思ったとおりに動いてくれよ。中途半端な逃げ方すると結構痛い目見るぞ」
 合流したジャックランタンとchardonが加わり、先程に比べると広範囲の弾幕がばら撒かれた。
「我らが援護する故、しかとその目で確かめろよ、ソウジ」
「わかった」 
 リュインに促され、確認すべくエスポワールが動き出す。
 接近を邪魔するかのようにヘルメットワームが近づいてきたが、太陽王の援護で倒された。
「奏ー、俺、観察向いてねーや。ヘルメットワーム殴るわ」

●確信
 S−01の動きが鈍くなってきたので、確認には手間取らなかった。
 ソウジは目を凝らし、S−01のコックピットを覗き込む。
「あと少し‥‥見えた!」
 コックピットにいたのは‥‥ラルフ・ランドルフ本人だった。

『こんなところで会うとはな‥‥ソウジ。まだ生きていたか、しぶとい奴だ』

 コックピット越しに見た忘れられない顔、通信での聞き覚えのある声がラルフであってほしくないという願いを無残に打ち砕いた。
 厳しい現実を突きつけられたが、気丈に振る舞いブーストで駆けつけ、S−01を逃がさないよう包囲している傭兵達に通達する。
「全機に告ぐ。たった今、S−01搭乗者をラルフ・ランドルフ本人であることを確認した。これにて任務終了とする。ヘルメットワームと交戦中の傭兵、沖縄軍はただちに撤退するように。逃亡するものは追わず、迫り来るもののみ攻撃してくれ。以上だ」
 残りのヘルメットワームを片付けようとしたジャックだったが、機体損傷が予想以上ということもありソウジの指示に従うことに。
 機体損傷が激しいのは、多数のヘルメットワーム相手に奮闘したソウジを含む全員も同じことだ。

 レインウォーカーは、撤退前にラルフと会話したいと持ちかけてきた。
「奴と話したいんだがいいかぁ?」
「手短に頼む」
 ソウジの了解を得たので、かねてからの疑問を口にする。
「ラルフとかいったなぁ。ひとつ質問だぁ。お前を支援している奴は‥‥ゼオン・ジハイドの風祭・鈴音だなぁ?」
『風祭‥‥? ああ、あの女か。その通りだが、貴様の言う支援とは少し違う。俺は、俺自身の目的のためにそいつといるだけだ』
 ククッと笑いながら答えるラルフに「やっぱりかぁ」とレインウォーカーは道化の勘も案外当たるもんだと笑う。
「やっぱりそうでしたか。面白いことになりそうですね」
 奏も勘が当たり、面白いことになりそうだと微笑む。
(ここで楽しめそうだなぁ。お前もだろ、風祭ぃ?)
 沖縄のどこかにいると思われる鈴音に、彼の思いは届くだろうか。
『貴様らに用はない、どけ!』
 吐き捨てるようにラルフが言うと同時に、S−01は強行突破で読谷村上空を立ち去った。というが、翼をやられた状態では長く飛べないだろうから、どこかに不時着せざるを得ない。
「つーか、コレって囮っつーオチはないよなー。あんたもそう思わない?」
「いや、それはないだろう」
 サウルのぼやきのそう言う風閂は、ラルフは撤退したが、いずれは倒さねばならない敵だと確信した。
「はーっはっは! ラルフは立ち去ったが俺様の無敵街道はまだまだ続くぞ! 沖縄の彷徨える魂達よ!! 俺様の勇姿をしかとその目に焼き付けておくのだぞー!!」
「彷徨える魂達って一体何だよ」
 サウルの突っ込みが聞こえていないジリオンは、誰よりも素直に任務終了を喜んだ。

●苦悩
 数時間後、沖縄軍本部に不時着したS−01発見の知らせが。
 それを聞いたソウジは、一緒に行くときかないリュインと共に不時着現場に向かった。
 写真で見ただけでは黒尽くめの機体がラルフのものかどうか自信無かったが、直に見て、改めてラルフの愛機であることがわかった。

『俺は、俺自身の目的のためにそいつといるだけだ』

 レインウォーカーの質問に対してのラルフの答えが、ソウジの頭を過ぎる。
 ラルフの目的は何なのか。何故、鈴音の後ろ盾のもと沖縄にいるのか。
 愛機を乗り捨て、沖縄のどこかに逃亡したかつての友との避けられない戦いにどうすればいいのか。
 苦悩しているのだろうとそっと傍に寄り添うリュインに気づくことなく、ソウジは愁いを帯びた瞳で損傷激しいS−01を見つめている。

 沖縄での本格的なバグア軍との戦いは始まったばかりだ。
 青い空、青い海は、激しい戦いでバグア本星の赤に染まるのだろうか。