タイトル:【BHN】ホープマン マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/01/03 00:23

●オープニング本文


 聖夜の夜、メトロポリタンX跡地に集結する、暖かなファーをふんだんに使った赤い服を纏った者達‥‥。
 白い口ひげを蓄えた初老の男性もいれば、妖艶な妙齢の女性もいる。
 彼ら彼女らは皆、一様にサンタクロースと呼ばれる服装をしている。
 背負っているのは白い大きな袋。
 空いている手に持っているのは‥‥首を狩る得物。
 背後に控えるソリならぬチャリオットを牽く真っ赤なお鼻のトナカイさんも、鼻息が荒くどことなく凶暴そうだ。
 そう、彼ら彼女らはバグアがサンタクロースの物語に基づいて創り上げた、サンタクロースキメラなのだ!
 プレゼントをもらうはずのサンタクロースに狩られる‥‥バグアの襲撃以降、暗い話題が多い中、皆が心待ちにしていた聖夜に悲劇が待ち受けていると知ったら、人々は絶望のどん底へ叩き落とされる事だろう。
 それこそ、バグアの狙いなのだ!
 能力者達よ、人々が平和な新年を迎えられるよう、血塗られたサンタクロースに人々が狩られる前に狩れ!!

 クリスマスの夜。小さな孤児院で大学生ボランティアによる『ホープマン』ショーが行われていた。
 ホープマンとは、LH88星雲からやって来た悪い宇宙人を倒すヒーローだが、普段は地球防衛軍『アース・ガーディアン』のうだつの上がらない新米男性隊員である。
 悪い宇宙人が地球侵略に来ると、彼はこっそりと抜け出し、両腕を天高く掲げ『ホープマン』に変身するのだ!

 今回、ホープマンが倒すのはサンタクロースの姿をした宇宙人。
 鞭を手にし、子供達に向かって「サンタなど、この地球にはいない! 子供達よ、泣き叫べ!」と脅している。
 子供達と職員達は、声を揃えて「ホープマーン、助けてー!」とホープマンを呼ぶ。
 ホープマンが颯爽と登場し、サンタ宇宙人退治‥‥と思われたその時!

「サンタなどいない!」

 声を大にして主張するもう一人のサンタがいきなり出現!
(「おいおい、もう一人サンタがいるなんて聞いてないぞ!!」)
 サンタ宇宙人役のボランティア、ホープマン役のボランティアは、突然のサンタ登場に驚いた。
 良く見ると‥‥そのサンタはキメラだった。「サンタなどいない!」は鳴き声である。
 司会のお姉さんは、その場で気絶してしまった。
 ホープマンショー中止の危機か!? と思われたが‥‥。

『地球防衛軍、アース・ガーディアン参上!!』

 颯爽と現れたのは、ヘルメットを被り、隊員服を身に纏った数名の男女。
「我々は、隊長から「偽者サンタを連行するように」と命令されここに来ました」
「ホープマン、あなたの力を貸してください!」
 実はこの隊員達、能力者の扮装である。

 能力者が孤児院に来る数時間前の話。
「クリスマスだってのに、休みが無いのは辛いね〜。あ、それはキミ達も同じか」
 折角のクリスマスなのに、何で仕事しなきゃならんのだ‥‥と愚痴るUPC士官のソウジ・グンベ。
「今回の依頼だが、孤児院で行われている『ホープマン』ショーの最中に出現したサンタキメラの捕獲だ。捕獲目的なので、退治しないように。そこにいる孤児達の中には、キメラに親兄弟を殺された場面を目の当たりにした子もいるので、武器使用、覚醒による攻撃は禁止する。きわどい場面見て、子供がフラッシュバックを起こしたら大変なことになるだろうが」
 それじゃあ、どうやって攻撃すればいいんですか? と訊ねる能力者の一人。
「UPC支給品の竹刀や巨大ハリセンでの攻撃、ペイント弾による目くらましをすれば良いじゃん。子供達は、偽者サンタが突然現れたと思い込んでいるんだから。ショーをぶち壊しにしないよう、依頼をこなすのがキミ達の仕事だ。あ、司会の女性が気絶したそうだから、誰か代わりに司会やってくれ」
 あくまでも脇役に徹するようにな、と念を押し忘れないソウジ。
「言い忘れてた。弱らせたキメラ捕獲は上層部からの命令だから必ずするように。捕獲したら、俺に連絡してくれ。依頼終了次第、すぐ孤児院に向かう」

 子供達が楽しみにしているヒーローショーの雰囲気を壊さないよう、注意して依頼遂行するように。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
沢村 五郎(ga1749
27歳・♂・FT
西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
武田大地(ga2276
23歳・♂・ST
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
寿 源次(ga3427
30歳・♂・ST
南部 祐希(ga4390
28歳・♀・SF
ラルス・フェルセン(ga5133
30歳・♂・PN

●リプレイ本文

●どの隊員を?
 ホープマンショーの手伝いという名目で依頼を受けた能力者達は、地球防衛軍『アース・ガーディアン』の隊員、司会を誰がやるか話し合っている。
「覚醒についてですが、問題があるのではないでしょうか? 未覚醒状態であればSESは稼働しないはずです。能力者用に調整されていても、竹刀はただの棒きれに過ぎません。覚醒しなければ、能力者は一般人と変わりないのですよ?」
 南部 祐希(ga4390)の言うことは尤もだが、依頼は偽サンタにされたサンタキメラ捕獲だ。
「フォースフィールドはどうするんですか? 覚醒による攻撃は禁止とのことですが、私はスキル使用禁止と読み替えているので覚醒します」
 覚醒しても身体的変化が無い祐希なら、していても見た目は変化無しなので問題ない。
「私は反対しませんよ〜。私の武器は竹刀とメガホンです〜。竹刀は武器に見えるように改良して、メガホンは『超音波武器』にしてぇ〜キメラの耳元でシャウト! といきましょうか〜。音波でダメージを与えたように演出したいです〜」
 ヒーローショーは子供の夢であり、浪漫であると語り張り切っているラルス・フェルセン(ga5133)。
「楽しいクリスマスを楽しいままで〜無事にショーを終わらせましょうね〜」
「俺は、子供達の純真な心を守るためにアース・ガーディアンに扮してサンタキメラを成敗する。得物は竹刀だが、銀紙を巻けば武器に見えるだろう。希望はレッド隊員にしておく。「アカシ」という名の優男だ。イエロー隊員でも構わないのだが」
 沢村 五郎(ga1749)は、真剣にサンタキメラを倒す工夫を考えている。
「子供達が楽しみにしている『ホープマン』ショーをブチ壊させてなるものか」
 内心、ヒーローショーに参加できることを喜んでいる寿 源次(ga3427)。
「五郎君がレッド隊員なら〜私はブリリアントグリーン隊員です〜。滑舌が辛いようなら〜黄緑にします〜」
「黄緑は不自然だから緑にしておけ。グリーン隊員は「リョク」という名前の陽気な性格の男だ」
「五郎君〜やけに詳しいねぇ〜。どうしてかな〜?」
 ラルスの言葉にドキっとなった五郎がこっそり手にしていたのは『ホープマン大百科』だった。なりきりの参考にと、恥ずかしい思いをして購入したのだ。
 それをひったくり、パラパラと読んだラルスは「五郎君、リーダーのレッド隊員役宜しく〜」と彼の肩をポンと叩いた。
 五郎は、自分がイエロー隊員「キヤマ」になってしまったら、激辛カレー好きなひょうきん者を演じなければならないのかと不安だったが、アカシに決まったのでホッとした。
 地球防衛軍の隊員なのに、何故全員戦隊モノのような設定なのか。
 特撮ヒーロー大好きな日本人原作者の趣味、というか拘りだから(未公開製作話)。
「俺は‥‥暇を潰すために来た。サンタキメラの捕獲の中心に行動する‥‥。ところで‥‥接近戦での戦闘を中心とする隊員は誰‥‥?」
 西島 百白(ga2123)の質問に、五郎は「唯一の10代で、リョクの弟であるホワイト隊員「シハク」は、アースソードでの接近戦が得意だ。竹刀に銀紙を巻けば、それらしく見える」と返答。
 そんなので良いのか‥‥と思う百白だったが、反対はしなかった。
「自分は「こげ茶」をやりたい」
 設定に無い色を言い出す源次の意見を尊重した五郎は、彼をオリジナルのベテラン隊員、セピア隊員「ブラウン」役に決めた。
「祐希はアースガンの名手、紅一点のピンク隊員「モモカ」をやってくれ」
 役を勝手に決めないでくださいと文句を言う祐希だったが、仕方ありませんねと引き受けた。

●司会は誰?
 何をするかまだ決めてないのは、ノリノリ傭兵須佐 武流(ga1461)、漸 王零(ga2930)、武田大地(ga2276)の三人。
「我は‥‥一度で良いから、ショーの司会をやってみたい」
「俺も司会したい! 演出だけど、偽サンタがさっさとやられてハイ、おしまいってオチはどうだい?」
 アイデアを出しつつ、司会を担当したいと主張する武流。
「子供を怖がらせないためにも、アレがキメラだとわからないようにしなきゃいけないということが最低条件だな。そのためには、偽サンタキメラの台詞は、全部俺がアドリブで吹き替えで言う必要がある!」
 その時「ちょっと待ってください〜!」とラルスが待ったを。
「サンタキメラの吹替えですが〜、私にさせてください〜。司会をしながら〜吹き替えをこなすのは大変ですよ〜」
 そうだな、とラルスの説明に納得するかと思いきや‥‥武流は自分がやるときかない。
「須佐がサンタキメラの吹き替え、ラルスがサンタ宇宙人の吹き替えをすれば良かろう」
 そういうことなら、と王零に従う二人。

「ストーリー展開なんだけどさー、サンタキメラは、孤児院の前に前に置いてある世界的に超有名なファーストフード店前の横に置いてある銀髪オールバック、瓶底眼鏡をかけたメタボおっさん人形を自分の同胞だと思い込み、助けに来たいう設定を考えたんだけど‥‥」
「それは面白いが、何故人形を?」
 源次の質問に、適当と言えない武流は困った。
「いいや、サンタはほんまにおる! 死んだじいちゃんの知り合いは、現役バリバリのサンタや! 司会が、こないなカンジで人形の説明すればええんちゃう?」
 大真面目で言い切るの大地の案はナイス! と感心する武流。
「面白そうだな。サンタ宇宙人とサンタキメラがタッグを組み、ホープマンと地球防衛軍『アース・ガーディアン』の戦いするように仕向け、子供達が怖がらないように気をつけながら実況と煽りをすれば盛り上がるかと。武流、我は汝の吹き替えに違和感がないように上手く合わせるよう努める。大地、汝は何をするのだ?」
「せやな‥‥イエロー隊員「キヤマ」やらせてもらうわ。地でやれるし」
「これで、全員何をするか決まったな」
 五郎は『アース・ガーディアン』の衣装を隊員役の能力者達に手渡した。
「我も、張り切らねばな。お約束である子供達の声援コールは、ホープマンだけでなく我らにも力を与えてくれる」
 武流とは正反対な性格の王零だが、やる気は十分。

●いざ出動!
 ホープマン役のボランティアとサンタ宇宙人役のボランティアは、ステージ中央で直立不動状態で「サンタなどいない!」と鳴くサンタキメラをどうしたら良いのか困惑していた。
 子供達は「つまんなーい!」「ホープマン、よっわーい!」とブーイング。
 泣いてしまった女の子がいたので、サンタキメラがその子供を襲おうとしたその時!

『地球防衛軍、アース・ガーディアン只今参上!!』

 それぞれのカラーヘルメットを被り、隊員服を身に纏った六名の男女が登場!

●配役(ショー出演中は、隊員役能力者は役名で表記)
 アカシ(レッド隊員):沢村 五郎
 リョク(グリーン隊員):ラルス・フェルセン
 キヤマ(イエロー隊員):武田大地
 シハク(ホワイト隊員):西島 百白
 ブラウン(セピア隊員):寿 源次
 モモカ(ピンク隊員):南部 祐希
 偽サンタ、人形の声:須佐 武流
 サンタ宇宙人の声:ラルス・フェルセン
 司会:須佐 武流、漸 王零

 王零は、場を盛り上げようと率先してステージに上がった。
「皆、ホープマンは汝‥‥もとい、きみ達を守るためにLH88星雲からはるばるやって来たのだぞ。それなのに、非難するとは何事か。ホープマンを元気づけるため、応援するのだ」
 恥ずかしいが「ホープマン、頑張れ!」と王零が大声で声援を送ると、子供達も徐々に声援し始めた。
 雰囲気が緩やかに戻りつつあるボランティア達は喜ぶと同時に驚いたところに、ブラウンとリョクがステージに。
 ブラウンは、ホープマンとサンタ宇宙人役のボランティア、側にいる裏方達に「驚かせて済まない、急遽決まったことなんで連絡が遅れた。彼(サンタキメラ)と暫く盛り上げるから、少し休んでいてくれ」と耳打ち。大騒ぎになると困るのでキメラの事は伏せて状況説明。
 リョクは、自分達はシナリオ急遽変更のサプライズ友情出演者と言い「私達が演出合図しますから〜タイミング良く動いてください〜。サンタの台詞は〜私達が担当しますので〜」と伝えた。

●戦闘開始!
「サンタ宇宙人、覚悟!」
 ブラウンは手にしていたアースガン(ペイント弾による蛍光塗料が噴射する仕掛け)でサンタキメラの目を眩まそうとしたが、レーザーは襟元に当たった。
『そんなものは効かん!』
 サンタキメラはパンチで反撃しようとしたが、加勢に来たモモカがアースソード(竹刀)をブラウンに手渡した。他の隊員は、その横でサンタ宇宙人を(手加減して)一斉攻撃中。
『おのれ、アース・ガーディアン共め!』
 サンタ宇宙人は、手も足も出ないので悔しがっている。

「これでどうだ!」
 ブラウンがサンタ宇宙人の胴体をアースソードで斬る(叩きつけ)と同時に、サンタ袋がブラウンの腹部に直撃したため相打ちに。
「しっかりしてください!」
 倒れたブラウンを支えたモモカの台詞(合図)を聞いたアカシとキヤマは、ブラウンとサンタ宇宙人を引き摺って退場‥‥かと思いきや、キヤマは一旦戻りこっそり『練成弱体』をかけた後、いきなりアカシに頭突き、コブラツイストをかまし、サンタキメラの尻にアースソードを叩きつけようとしたのだが、間違えてアカシの尻を叩いてしまった。
 この意外な演出は、かなり受けた。

「ラルス、武流、良かったぞ」
 サンタ宇宙人役と源次は一時休憩。
「武田さん、スキル使いましたね? 良いのですか?」
「かまへんて。攻撃系ちゃうし」
 サイエンティストで良かったわ〜と一瞬考えた大地。

●ホープマン復活!
「私はサンタ宇宙人に負けない! きみ達の応援がある限り!」
 いつものホープマンだー! と楽しさを取り戻した子供達は、次々に応援し始めた。
 その隙に武流は、サンタ服を着せたメタボおっさん人形をステージの中央にと置くと、その場で喋り始めた。
『ソリ!? トナカイ!? それに、何故私はサンタ服を‥‥。おまえらの仕業か!』
 サンタ宇宙人とサンタキメラ洗脳された一般人、という設定らしい人形。
『私はサンタでも、超有名な人形でもない! これでも痩せて脱メタボになったんだ! その証拠を見せるために、ホープマンがこいつらを倒したら店先にある人形と私を見比べさせてやる』
 場の雰囲気にまったく合ってない台詞が受けたのか、子供達は笑った。
「ここにいるサンタは悪い宇宙人なんだ! ホープマンの側にいるサンタは偽者で、宇宙人の手下。ステージの中央にいるのは、サンタ宇宙人に仲間と勘違いされた可哀相なおっさんなんだ。本物はね、悪い宇宙人をやっつけたらここに来るんだよ。ついでだけど、俺の死んだおじいちゃんの知り合いも、サンタのお仕事をしているんだ」
 中央に置いてあるのはあくまでも人形である。
 それを宇宙人と勘違いされた人間だと主張する武流の演出は見事だが、他の能力者達は「本物のサンタ登場なんて聞いてないよ!」と驚いた。
「子供達は自分が守る! ホープマン、気張りや!」
「あなた一人では心配ですから、私も守ります」
 サンタキメラの注意を自分達に引き付け、盾役になるキヤマとアースガンを構えるモモカ。
 モモカは、子供が逃げることがあれば共に行動するが、それはサンタ宇宙人から逃げるための演出。
 ホープマンは、偽者と思い込んでいるサンタキメラとにアースフィストをお見舞い。
 リョクは、サンタキメラがよろけたのを見てヴォイスウェポン(メガホン)で援護攻撃。
「正義は勝ぁ〜つっ!!」
 大音量の台詞は『練成弱体』により、弱体化したサンタキメラにダメージを与えることに成功。音響担当の手により、シャウトしている演出は成功。
 ホープマンメインなので、リョクは立ち位置に配慮し、ステージの隅にいる。
「ホープマンを休ませるため、我等アース・ガーディアンズがサンタ宇宙人の相手だ! アースガーディアンセピア隊員、ブラウンの攻撃を受けろ!」
 サンタキメラに本気で挑んだブラウンだったが、足払いをされ転倒。
「うわぁ!」
「ブラウンの敵、覚悟〜!」
 リョクはアースソードでサンタ宇宙人を手加減無しでこれでもかと、シハクは「面倒‥‥だな‥‥本当に‥‥」とぼやきながら本気で攻撃。
「皆、後は私に任せてくれ!」
 ホープマンは中央に移動すると同時に、ステージは薄い煙幕に包まれた。
 演出用の煙幕があると裏方から聞いた大地が「ホープマン登場をカッコよう見せたいんやったら、それつこたほうがええで」とアドバイス。

●ショー成功
『皆、ホープマンをパワーアップさせるには応援パワーが必要です! アース・ガーディアン隊員と一緒に応援しましょう!』
 声を合わせ、ホープマンを応援する隊員一同。
「解説しよう。ホープマンは、純真な子供達の声援でより強い力を得るのだ。ホープマンがサンタ宇宙人を倒せるよう、アース・ガーディアンの隊員達と共に声援せよ!」
 王零は拳を握り、力強く解説した。
「いくよー! 頑張れ、ホープマーン!」
 武流が声援し始めると、子供達と隊員達は協力して応援した。
「まだ足りない! もっとだ!」
 アカシが必死で、声援を送るよう頼む。
「まだパワーが足りない! もっと応援パワーを!」
 ブラウンも頼む。

 ホープマーン!! 悪い宇宙人をやっつけてー!!

 子供達の声が見事に揃うと同時に、ホープマンはパワーアップ!
「くらえ! ホープ・ギャラクシィ・キィーック!!」
 ホープマンの必殺技を喰らったサンタキメラはぶっ倒れた。
 一般人の力では普通無理なのだが、能力者の力添えがあったからこそできたことだ。
 サンタ宇宙人は、隊員達がやっつけた。
「きみ達のおかげで、地球に平和が訪れた。ありがとう! ホープマンにお礼を!」
 王零にそう言われた子供達は「ありがとうー!」とお礼を言った。

●本物サンタ登場?
 無事ショーが終わった数時間後、孤児院の前にUPC軍の貨物車両が到着した。
 祐希が、依頼を終えたことをUPC本部に連絡したからだ。

 その助手席に乗っていたのは、サンタだった。
 貨物車両から降りると、サンタは子供達の元にやって来て袋からプレゼントを取り出し、一人ずつに手渡した。
「おまえ、ソウジ中尉だな?」
 サンタに近づいた五郎は、サンタ帽をひったくり、白髭を強引に引っ張った。
「痛っ!!」
「割に合わん依頼を成功させたんだ。文句言うな」
 五郎の後ろには、袋に詰められたサンタキメラがいた。
「上層部は何故、俺達に捕獲を命じた?」
「そのことだが、俺も知らん。「捕獲しろ」としか言われてねぇから」
 サンタ姿のソウジは、五郎にそう答えるとUPCの隊員にキメラを運び込むよう指示した。キメラの行き先は、彼もわからない。

 キメラ捕獲理由は謎のままだが、能力者達は子供達の笑顔を見て微笑み、結果は良しだろうと言い聞かせた。