●リプレイ本文
●行動
復興作業中の市街地にキメラが接近しているという報せを聞き、復興作業や炊き出しの手伝いの手を止めて駆けつけた傭兵達が糸井・創璃(gz0186)、UPC中国軍と共に進入を阻止すべく集まった。
パプリカ(
gc6613)は、そんな危機的状況下でぼんやりとしているが懐かしい記憶を思い出す。物心ついた頃から難民キャンプで生活を送っていたこともあり、復興支援にあたる市民を守りたいと誰よりも強く願う。
「市街地の復興に役立ち、一人でも多くの人々の心を労わる。これが今、私がすべきことなんだ」
救急セットを持つ手は緊張のせいか、微かに震えた。
「折角バグアの手から解放できたのだから、敵襲から護ってみせるさ。雑魚キメラなんぞにそう易々と侵入を許すものか。ここは‥‥俺の国なのだから」
中国出身ゆえ、防衛の決意は誰よりも強い宵藍(
gb4961)。
「市街地が順調に復興しているというのに、キメラが襲ってくるなんて‥‥。街に近付けさせるわけにはいきません」
「同感、せっかく勝利して取り戻した街だ。今更、キメラなんぞに荒らさせるわけにはいかないな。皆、ここは絶対に守り抜くぞ!」
キメラを排除すべく駆けつけた神棟星嵐(
gc1022)と炊き出しの手伝いを抜け出してきたヘイル(
gc4085)はAU−KVを装着。
「くそっ! 相変わらず嫌な予感だけは当たるな! 戦いが終わり、復興支援の手伝いをきた矢先にこれか!」
1体でも多くキメラを倒し、市街地と復興作業にあたっている民間人を護らねば! と大群を鋭く見据える堺・清四郎(
gb3564)。
「アフリカ侵攻戦以来だね、糸井さん、今度は生身の地上戦か‥‥。気をつけて頑張ろうね!」
北柴 航三郎(
ga4410)が双眼鏡片手に励ますが、創璃と傭兵達は引いた目線で彼、というより、彼が身に着けている衣装を見ている。
「この格好ですか? 変な格好で本当にすみません‥‥これもすべて練力確保のためなんです‥‥! 本当なんです! 僕の趣味じゃないんです! そうじゃなきゃこんな痛い格好しませんって!」
涙目で言い訳しながら、何故コスチューム「アリス」に練力ボーナスがついているのだろう‥‥と泣きたい気分に。
「あらあら、解放したのは良いけどキメラ駆逐と復興作業を同時にやらないとなんて。人手が足りなくて忙しいの極みよねー。だからこそ、お姉ちゃんが手伝いに来たわけだけど」
防衛依頼を請け負った樹・籐子(
gc0214)は、激しい戦闘で撤退を余儀なくされた傭兵、中国軍兵士の回復を引き受けた。
「怪我人の運搬はあたしに任せて! 皆、あたしがいる戦場で死ぬなんて絶対許さねぇぞ!」
吉田 友紀(
gc6253)は負傷者の治療、重傷者を安全な場所に搬送することを買って出た。犠牲が出ることをとても嫌っているため、自身が危険に晒されても味方を守るという決意は固い。
「またキメラ襲撃か。せっかく綺麗にしようって時に‥‥。だ・か・ら‥‥誰のせいで片付かないと思ってるんだ‥‥! 聞いているのか風祭・鈴音ぇー!!」
以前、鈴音がけしかけた大型キメラ『九尾の狐』退治に関わったユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)は「これ以上、俺を手間を取らせるなぁー!」と不満を爆発させた。
中国軍兵士によると、大群は市街地の四方を囲むように接近しているとのことなので
集まった16人の傭兵は、四方に分かれてキメラを阻止することに。
キメラ殲滅勢は十分足りているようだと、籐子は市街地にある詰め所でそれぞれの状況具合の連絡、報告担当に。その際、回復急務の呼び声に応え、必要なところに出向く手筈を整え、航三郎はトランシーバーをオンにし、いつでも連絡できるようスタンバイを。
●準備
「皆が頑張って立ち直ろうとしてるってのに‥‥。許せない! 行くよ、宗助! 出撃だぁ〜っ!」
「了解です! レティアさん、西側に向かいましょう!」
今回の防衛戦が初めての白兵戦、成功しなければという思いが強い宗助(
gc5981)はLetia Bar(
ga6313)と西側に向かうが、途中で表情が堅くなった。
「宗助、表情が堅いよ。リラ〜ックス!」
笑顔のLetiaに脇をくすぐられたことで緊張の糸が切れたのか、宗助はやる気を取り戻した。
「ははっ、くすぐったいですって! 了解です! レティアさん、俺のサポート頼みます!」
「その意気だ、宗助。包囲も侵入もさせない、絶対にここで止めるぞ!」
キメラを市街地に侵入させるか! とスブロフで火炎瓶を作りながら意気込む那月 ケイ(
gc4469)。
「キメラはまだ見えないようだな」
宵藍と北側の守備につくヘイルは双眼鏡で周囲の警戒をし、中国軍兵士の手を借りバリケードを構築中。
「さて、戦いに復興に頑張る‥‥か」
「やれやれ、キメラ群が相手か。復興作業の邪魔だ、しばき倒すか」
東側にいる魔津度 狂津輝(
gc0914)と佐賀繁紀(
gc0126)は、簡単な打ち合わせを行いつつM−121ガトリング砲に弾を込めいつでも射撃できるよう準備を。
航三郎は市街地中央の高所から双眼鏡で状況確認、籐子と友紀は詰め所で待機。
中央と詰め所にいつでも駆けつけられるように距離を置くパプリカはマーシナリーボウを手にし、防衛網突破に備え中国軍に避難ポイントを準備してもらった。
市民を班分けし、そこに誘導する際に指示を出す。
「4〜5人のグループを作り避難所に行って。そこに着き次第、グループの無事、いない人の報告をして。単独行動を避け、なるべく中国軍の手が届くところにいるように」
その最中、キメラ襲撃に怯え泣いている子供を元気付ける。
「泣かないで。私の仲間と兵隊さんがここを守ってくれてるから大丈夫よ、心配しないで。キメラをやっつけたら一緒に街を直そうね」
約束、と泣き止んだ子供と指きりげんまん。
北側で立ち込める砂煙を見たヘイルは、軍用双眼鏡で何事かと確認。砂煙は、突進してきたキメラが発したものだった。
「‥‥来たか。こちらヘイル、キメラを確認。これより交戦を開始する。皆も交戦体勢を整えてくれ」
各方面で待機している仲間にトランシーバーで連絡するが、東にいる2人は持っていないので伝わらなかったが大丈夫だろう。
伝達し終えると中国軍兵士に侵攻ルートを狭めるよう弾幕を形成し、キメラをなるべく正面に集めるよう要請。
「バグアの置き土産共か‥‥ここから先は俺達人類の領域だ。1ミリたりとも通してはやらんぞ。いくぞ、宵藍」
「ああ。皆が復興を頑張ってるんだ、ここから先へは通すものか」
●奮戦
大群が真っ先に押し寄せたのは南側だった。
「復興作業中に敵が押しかけてくるなんて、どこの二次元の世界なんでしょうか。と言っている場合ではないですね」
迫りくるキメラの大群を目視確認し、AL−011「ミカエル」を装着した星嵐は敏捷性のあるキメラ、防衛網を強引に突破しようとするキメラを優先的に狙う。
「自分が前に出て足の速いものを優先して潰します。抜けたキメラがいたらすぐ知らせますので」
防衛網にて待機している中国軍兵士に、突破してきたキメラ討伐を頼むと『竜の爪』『竜の翼』を発動し頭部、顔を機械剣「サザンクロス」と神斬の一撃で潰すよう心がける。
「一撃で仕留めれば屠れる敵が増える! 一分一秒とて無駄には出来ないのです!」
「そのとおりだ! 来い、キメラ共! 我が刀は、牙無きものの盾となることなり!」
腰まで伸びた白髪を靡かせ、清四郎は1人でも多くの民間人を逃がし、1体でもキメラを侵入させまいと立ちはだかる。
「団体さんのお出ましか! まったく、パンダは動物園でタイヤと戯れていろ!」
突進してきた群れの先頭にいるパンダに集中攻撃、倒すと放り投げ、後に続くキメラを転倒させた。
「少しでも時間を稼ぐぞ!」
「了解、まずは防衛優先だな」
ユーリは射程に入り次第、大口径ガトリング砲の弾幕でキメラの数を減らし始めた。
「わかってるとは思うけど、念のため弾幕掃射中は前に出るなよ? うっかり誤射とかシャレにならないから。軍の人たちもね?」
そう言いながら、防衛網を踏み越えたキメラが射程距離を詰めるまでリロードしつつ弾幕を維持。
飛び道具を持っている仲間に「一緒に弾幕頼む」と協力を仰ぐと、拳銃「ジャッジメント」で押し込まれないよう射撃する清四郎が加わった。その最中、弾切れになったので加勢している兵士に「装填を頼む!」と手渡し、少しでも早く攻撃できるようにする。
「おそらく乱戦になるだろうから、軍の人たちは後詰めよろしく!」
キメラに詰め寄られたユーリは『抜刀・瞬』で機械剣「ウリエル」に素早く持ち換えると接近戦体勢に。
「抜かせるか!」
1体後方に抜けたので『瞬天速』で追いすがり、市街地に行かせないよう仕留める。
東側では繁紀と狂津輝がM−121ガトリング砲を構えながら覚醒。
「突破させねぇ! ここでミンチなるんだよ、てめぇらは!」
繁紀は『強弾撃』で威力を高めてから『制圧射撃』で大群の足止め、狂津輝は『竜の息』で力を最大限に高めてから先制射撃。
「射撃なんて久し振り過ぎて意味無く興奮するぜ。ヒャッハー!」
装輪移動しながら『竜の瞳』『竜の爪』を使用し弾幕射撃をしつつ機動防御するが、その最中「パンダや虎の敷物がめっさ出来そうだぜ」と皮算用。
繁紀は『援護射撃』を使い狂津輝を援護し射撃支援し、その後は連携しながら防衛し、中国軍兵士が駆けつけるまでキメラを1体たりとも侵入させなかった。
西側ではLetiaがSMG「ターミネーター」、宗助は小銃「S−01」で弾幕を張ると同時にキメラの足を狙い、潰して少しでも進行を遅らせようと前衛を陣取る中国軍兵士と後衛で奮闘中。
「おー、やるねぇ!」
ケイは弾幕を眺めながら、火炎瓶を投げるチャンスを窺い、攻撃が一旦止んだところで覚醒すると『先手必勝』で周囲にいる兵士達に合図。
それを確認したLetiaと宗助は、巻き込まれないようしっかりと目と耳を防御する。
「いくぞ! 1‥‥2の‥‥3っ!」
大群目前に閃光手榴弾を投げ込んだケイは防御態勢に。
強烈な閃光に目が眩んだキメラの隙をつき、前衛に合流した宗助はゼロに持ち替え動きが止まっているキメラから迎撃するも反撃されそうに。
「危ない!」
駆けつけたケイは『ボディガード』で庇い、追撃をスキュータムで受け流してから隙を作り、急所を狙いカミツレでダメージを与えた。
「ねーさん、抜けた奴らの対応は任せた!」
「わかったー! ここから先は立入り禁止! 絶対に入れさせないからね!」
突出しないよう注意して『強弾撃』を使って確実に仕留め、『援護射撃』でサポートするLetiaはキメラの四肢、頭部を狙い隙を作ったり、攻撃を当てやすい、回避しやすいよう『制圧射撃』で一斉攻撃。
「宗助、今だよ! おもいっきりやっちゃいなーっ!」
「はい!」
『疾風脚』でスピード上昇させて大群に近づくと『急所突き』によるカウンターを狙うも数が多すぎる。
「くっ‥‥数が多すぎる‥‥!」
殲滅が追いつかないのでトランシーバーで兵士に応援を要請し、駆けつけるまでの足止めとケイは『先手必勝』を使い、火炎瓶を大群に投げつけてキメラを妨害。
●援護
トランシーバーで戦力強化を要請された航三郎は、ジーザリオで各方面を移動中。
「お待たせしました。火力が欲しい人は『練成強化』しますよー」
「助かります、ありがとうございます」
北側付近にいる創璃と兵士数名を強化し他方面に向かおうとするが、負傷した兵士がいたので『練成治療』で治療。中には重傷の兵士がいるので友紀に搬送を依頼。
「わかった、すぐ行く!」
炊き出しのつまみ食い、もとい、手伝いをしながら待機していた友紀は即座にDN−01「リンドヴルム」をバイクにし駆けつけ、救急セットで治療を。
「重傷者はどうすることもできないな‥‥。街にいるお姉ちゃんに任せるか。こちら友紀、今から重傷者を連れて来るから手当てよろしく」
動ける兵士に頼み重傷者をAU−KVに慎重に乗せると、詰め所にいる籐子に連絡してから飛ばしすぎないよう注意し詰め所に向かう。
「邪魔させませんよー」
AU−KVに突進するキメラを見逃さなかった航三郎は、超機械「シャドウオーブ」で防御力が高そうなものから狙う。
詰め所に到着した重傷者を『蘇生術』で回復しようとするが、兵士が可愛い外見だったのでおもわずぎゅーっと抱きしめてしまった。
「ご、ごめんなさいね? すぐ治療するから」
「お姉ちゃん、趣味に走ってない?」
「友紀ちゃん、そう言わないの。好きなものこそ上手になりけりよ?」
好きこそ物の上手なれ、の意味を履き違えているようで‥‥。
その後も詰め所に来た軽傷者は救急セット、重傷者は『蘇生術』と使い分けて治療を。
「ほーら、痛い痛いのなんか飛んでちゃうわよー。治療はお姉ちゃんに任せなさーい」
パプリカはキメラ襲撃に市民を巻き込まないよう避難誘導を。
「パニくらない! はぐれない! でも急いで逃げるのよ! GOGOGO!」
班分けする際に念入りに人数を確認していたため、何人か足りないことに気づいた。
「逃げ遅れたようね。何人か逃げ遅れた市民がいるみたい。捜すから協力をお願い!」
市街地内を護衛している兵士に頼み、逃げ遅れた市民を探索する。キメラが来たら『影撃ち』を駆使して対処しないと、と考えるが、各方面で傭兵達が頑張っているのか1体も侵入してこなかった。とはいえ、油断は禁物である。
「私は‥‥おそらく戦うことが好き、なのでしょうね。いつか、それで身を滅ぼすことになるかもしれませんが。それでも、この力で人を、誰かを救えるのなら‥‥。きっと、それで良いのでしょう」
「由梨‥‥」
大群を見て呟く如月・由梨(
ga1805)を心配そうに見つめる終夜・無月(
ga3084)は【OR】情報端末「天照」で戦域内の状況を探り、最も数が多いのは東側と把握。
「乗って‥‥行こう‥‥」
SE−445Rの後部座席に由梨を乗せ、東側に急ぐ。
「少し、寒いですね。動いているうちに温まるでしょう」
到着後、由梨は2人の武器に『練成強化』をかけてから最前線に突っ込んだ。
「ふふっ、この緊迫した空気、たまりませんね!」
ある程度周りを囲まれたが、それを無視しキメラを薙ぎ払う。
明鏡止水を体の一部のように扱い、持ち前の力を駆使して小回りの効きがたいことがないよう無月は体捌きも合わせ、付け入る隙がないよう可能な限り急所を狙い確実に損傷を与える方針で攻撃を。
回避されても即時に追撃し、回避先に合せ続け、回避不能な攻撃で追い詰めては『豪力発現』を付加して圧倒し叩き伏せ、『刹那』で確実な回避不可の急所攻撃をキメラの行動洞察を把握し、攻撃や隙をつき危険察知と回避等に活用している。
キメラの攻撃は受け流し、体捌きで体勢を崩しては隙をついて反撃に繋げる戦法をしていたが、多数のキメラを相手にしているのですべてを攻撃しきれない。そのうえ、由梨が戦闘に夢中となり背後の敵の攻撃に晒されたので『瞬天速』で割って入り、自らの身で攻撃を受け止めた。
「無月さん! あ‥‥あぁ‥‥わ、私は‥‥!」
「由梨‥‥戦うことに呑まれ、魅入られては駄目です‥‥。常に敵だけでなく、自分と戦わないと‥‥」
「私のせいで‥‥ごめんなさい‥‥!」
自分せいでと混乱するが、急所が外れていたので大事には至らなかったことを知ると落ち着きを取り戻し『練成治療』で治療を。それが終わると、2人は再び戦いへ。
●一掃
「俺に構うな! お前達じゃ無理だから、囲まれる前に撤退しろ!」
南側は白兵戦距離にキメラが到達したので、獅子牡丹に持ち替えた清四郎が兵士達を下がらせる。
「タフネスな俺だが、持ち堪えられるかどうかだな!」
ユーリ、星嵐と連携し、己の体力が持ち堪えるまで大群を相手に奮闘する。
北側では宵藍はキメラの大群がSMG「ターミネーター」の射程に入り次第、トラとパンダの脚部を狙い弾幕を展開し、移動手段である足削ることで事で進攻を阻害する。
「わらわらと鬱陶しい‥‥この弾幕、抜けられると思うなよ。宵藍、左の奴は俺が抑える。お前は右から来る虎型を倒してくれ!」
「わかった。皆が復興を頑張ってるんだ、ここから先へは通すものか」
弾幕で敵勢を削り、キメラとの距離が縮まったところを月詠をメインに『急所突き』で柔らかい腹部を狙い斬りつけ、『豪破斬撃』で上段から振り下ろし勢い斬る。
「‥‥見えた。胴体ががら空きだぜ?」
接近して『円閃』の一撃を叩き込んだ直後、逆手でSMG「ターミネーター」を至近距離で撃ちこみダメージを蓄積させ、練力を考慮しながら『豪破斬撃』を。
「創璃と中国軍の皆は、敵の侵攻を抑えてくれ。奴らをまとめてくれれば、俺と宵藍で片づける。無理はしないでいい、この街を復興するのにもあなた方の力が必要なのでな。ただ、弾幕を途切れさせないよう気を付けてくれ」
ヘイルにそう言われた兵士は、途絶えることなく弾幕を張り続けた。創璃は銃器の類を持っていないので、邪魔させないよう1体ずつ狙いを定めて倒す。
宵藍、ヘイルの息の合った連携、兵士達の協力もあり北側掃討は終わった。
「宵藍だ、北側は片付いた。そっちはどうだ?」
「南側の堺だ。全部食べてしまったぞ?」
そう報告する清四郎は死骸の上に座り、紙で獅子牡丹の血を拭っている。
「星嵐です、ひとまず脅威は去りました。後続も無いようなので市街地に戻って復興作業の手伝いをしますね」
その後、西側のケイからもキメラ掃討終了の報告があった。
「たまには楽な戦がしたいものだな」
「そうだな。さて、敷物に使えそうな残骸を探さないと」
東側もキメラ掃討が終わったようだ。敷物に使えそうなものがあるかと期待していた狂津輝だったが、激しい銃撃で皮がボロボロになり、使い物にならなかったのでガックリ。
「皆さん、キメラは去っていきましたよ。もう大丈夫ですよ」
キメラ掃討を航三郎から聞いた市民達は、これで復興作業が再開できると喜んだ。
市街地防衛、キメラ掃討:成功!
●支援
キメラ殲滅後、Letiaと宗助、ヘイル、パプリカは稗田・盟子(gz0150)の手伝いを。
「さあ、できたわよ〜。皆〜これを運んでちょうだ〜い」
盟子が作ったのは水餃子とシュアンヤンロウ(羊の肉を薄く切ったものを鍋のスープにくぐらせたしゃぶしゃぶの元祖と言われる料理)。
「温かいスープと粥ができた。街の人や中国軍に配ってくれ」
「美味しそうね〜。皆、喜んでくれるわよ〜」
「そ、そうか?」
盟子に褒められ照れるヘイル。粥とスープには、皆に元気になってほしいという彼の思いがたくさん詰まっていることだろう。多くの人に食べてほしいと、口ずさみながら粥やスープはこぼれないよう慎重にAU−KVで各所に配達を。
「美味しいご飯は笑顔のもと! たっくさん食べてって!」
「皆さん、しっかり食べてください。何をするにも食事は重要ですから」
Letiaと宗助は笑顔で休憩中の市民、兵士に温かい料理を手渡す。
「はい、美味しいわよ〜。ほら、これでも食べてあったまって」
市民を守れてよかった、と安心したパプリカも笑顔で料理を運ぶ。
「ケイくん、食事持ってきたよ〜」
詰め所で防衛戦で負傷した仲間と兵士を救急セットと『錬成治療』で手当てするケイにも料理を。
「サンキュー、ねーさん」
「大変だね、疲れない?」
「怪我人を全員治療してまわる勢いで疲れたなんて言ってられないさ」
その頃、繁紀、狂津輝、星嵐の3人は復興作業を手伝っている。
「重いものは俺達傭兵が受け持ちますので、気軽に言ってください」
キメラをやっつけた後なのに大丈夫かい? と星嵐を心配する市民もいたが「大丈夫です」と気丈に振舞う。
「あー‥‥どこで何をすればいいんだ?」
AU−KVを纏って重量物運搬や土木作業に従事する狂津輝だったが、戦闘ではないので一生懸命、というよりダラダラと作業を。
繁紀は重量物の運搬、土木作業の手伝いを行い、適度に休憩を挟んで作業が少しでも早く終わるように頑張っているが、決して天狗のお面を外さない。
「天狗のお面は見事だろ? 要は自慢だな!」
キラッ☆ポーズで市民達にお面を見せびらかすのだった。
籐子と友紀は、手が足りていないところのお手伝いをし、宵藍は兵士と配給の手伝いを。
それらが一通り終わると、傭兵達は食事休憩を。
「炊き出し、ご馳走様。美味しかったわー」
腹八分目ですませた籐子は詰め所に戻り、負傷者の手当てを再開。
「宗助、今日はよくやったよ! これからの傭兵生活も宗助なら乗り切れるねっ。私よりもしっかりしてるし‥‥。まっ、とにかく、しっかり生き残る事! OK?」
「OKです。でもレティアさん、これからも色々あると思うのでその時はまた手伝ってくださいよ?」
皆が料理を食べている時、宵藍は二胡を奏でながら歌う。
♪冷たい雨が心まで凍えさせても
♪忘れないで キミは一人じゃない
♪哀しみ洗い流したい
♪雨のち笑顔になれ
皆が一番親しみのある言葉を歌詞に入れ歌って心のケアを。中国語だが、アイドルである彼の歌声は聞いた人々の心に響いた。
「良い歌だな」
水餃子で温まった清四郎が目を細め微笑む。
傭兵達の思いはただひとつ。北京が無事、破壊前のように復興しますように‥‥。