●リプレイ本文
●コスプレKV少女勢揃い
「な‥‥! マジでコレ着なきゃなんねぇのかよ!?」
学園祭実行委員長に手渡された衣装を見て、ソウジ・グンベ(gz0017)が驚く。
自分だけコスプレしないなんてずるい、という意見は尤であるが、指定された衣装を着るのは相当気が重い。
しつこく迫られたソウジは観念し、コスプレ対決が始まる前にこそっと着替えることに。
その頃、闘技場ではKV少女のコスチュームに身を包んだ参加者達が揃っていた。
「KV少女コスプレか‥‥。コスプレマスターを目指す身として、こりゃあ参加しないわけにはいかねぇぜ!」
一番乗りした夜刀(
gb9204)の衣装は、膝上丈のタイトスカート、靴は脚部装甲をミリタリーブーツ風にアレンジした暗緑色の軍服。勝気な軍人娘という設定のKV少女オウガに扮している。モノアイは右目に黒い眼帯を付けて表現し、髪を束ねている紐を解いている。
Impalpsに加入したことでアイドルになったリュイン・カミーユ(
ga3871)だが、このことはまだソウジに話していないので知った時に少しでも妬いてくれれば嬉しいと思っている。彼女が扮するのは、巫女装束の戦巫女といった感じのKV少女雷電。オリジナルはナイスバディだが露出は少ないらしいので、リュインもそれに倣う。露出は少ないが、出るところは十分出ているのでリュイン自身の魅力を十分引き出している。
「‥‥役者魂が疼きますね、色々な意味で。わたしの実力を試させてもらいますよ」
演劇部員ということもあり、【OR】変装セットとコスチューム「ガンマン」を組み合わせて黒い猫耳ガンマン風美少女のKV少女リンクスに扮したソウマ(
gc0505)は、対決前からショートカットのスレンダー少女になりきっている。
「この服はどうなのでしょうね?」
あらゆる状況下での戦闘に慣れることを目的とした有村隼人(
gc1736)が扮するのは、委員長タイプなセーラー服眼鏡っ娘のKV少女ウーフー。読書好きという設定なのでバトルブックを持っている。今回の対決は、目的にはもってこいだ。
「竜牙布教のいいチャンスですわ。楽しく戦って、竜牙の魅力を世に伝えるお手伝いですの」
擬人化ではあるが、大好きな竜牙に扮することができるのでミリハナク(
gc4008)は対決を楽しむことに。コスプレはプラックフォーマルのKV少女竜牙。黒のロングドレスに、顔を覆い隠す黒のベールという喪服でブラックフォーマルなKV少女竜牙に。葬る相手に対し、彼女の趣味でイメージした衣装である。
「竜牙のコンセプトと同じく、火力大好きで試合に挑みますわ」
「おかしい話ですが‥‥わたくし、一度、お姉様と真剣に戦ってみたかったのですよ」
KV少女フィギュアを参考に、スカート丈の短いウェディングドレス風の衣装でKV少女アンジェリカに扮したラナ・ヴェクサー(
gc1748)が勝負を挑む。
「ふふっ、私に勝てるかしら?」
「勝てるかどうかはわかりませんが‥‥本気で戦います」
強気に出たが、KV少女に拘ってのコスプレなので胸に詰めたパッドがこぼれてしまわないか、下着まで精巧なフィギュアと聞いたので綺麗なショーツを穿いたのは良いが見えてしまわないかどうか気になるラナだった。
(「こうしないと、フィギュアに似ないとは‥‥歯痒いですね」)
メイドなKV少女スピリットゴーストに扮する矢神小雪(
gb3650)は、背後から熱い視線を感じた‥‥ような気がした。
その視線の正体は、髪の長い女性に扮し、ツインテールにして勝気少女な衣装とフィギュアとほぼ同じのKV少女ディアブロに扮した紅 和騎(
gc4354)。
(「フフフ‥‥まさか、参加者の中に盗撮者がいるとは思うまい‥‥」)
和騎が参加したのはコスプレ参加者の写真を撮り、コレクションに加えることであった。
「全員揃ったな? 東軍、西軍に分けるためのくじ引きやるぞ。くじに奇数番号が書いてあったら東軍、偶数番号が書いてあったら西軍な」
1人ずつ、ソウジが持っている箱からくじを引き番号を確認する。
くじ引きの結果、東軍は夜刀、ソウマ、隼人、ラナ。西軍はリュイン、小雪、ミリハナク、和騎に決まった。
チーム編成が決まった時点で基町・走太郎(gb3903)が意気込んで参加申し込みに来たが、既に締め切られていた。特別枠での参加したいと要求したが、ソウジに却下された。
「KV少女の皆さん、頑張ってください」
所属している研究所の所長から画像データを収めるよう命じられたジョー・マロウ(ga8570)は、探偵の営業スマイルで女性陣に花一輪をプレゼント。
●KV少女達の戦い
「軍人オウガな男の娘こと夜刀ちゃんだよっと! そこのきみ、記念に俺の写真1枚どうかな?」
カメラを取り出し、手をブンブン振ったりウィンクしたりして観客にサービスする夜刀。ちなみに現在の服装は少尉バージョンである。
「あ、あの‥‥それは校則違反では‥‥」
ハトルブックを手にし、少し弱めの声で注意する隼人。
「いいじゃないか、減るもんじゃなし」
「ふ、風紀が乱れますっ! 委員長の言うことを聞かないなら制裁ですっ!」
その様子を、参加できない鬱憤を晴らすため写真を加工して売ることにした走太郎がすかさず撮影。
観客がざわめく中、黒マントで全身を覆ったソウジが鞭を手に闘技場に現れた。鞭を地面に叩きつけ、黒マントを放り投げたソウジの衣装は‥‥ボンデージファッション、いわゆる女王様スタイルのKV少女アヌビスだった。
(「は、恥ずかしいー! だが、これも盛り上げるため‥‥!」)
羞恥心がどうこうと言っていられない、と「さあ、試合を始めるよ!」とヤケで試合開始宣言をするとダッシュで立ち去った。
「な、情けない‥‥。気を取り直して。さあ、ガッツリ戦えよ」
ソウジの合図直後、自分を含めた西軍全員に『練成強化』を使用するリュイン。
「全‥‥力‥‥全‥‥壊!」
小雪は『竜の爪』発動後、【OR】銀葬雪歌(ぎんそうせっか)で広範囲砲撃支援体勢に入ると、仲間に砲撃すると告げた。
「火砲支援、入りますっ!」
砲撃を避けつつ、辺りの様子を見ているラナは仲間と声を掛け合い、連携を密に動くことに。
「こちらは女性が私だけですか‥‥。まぁいい。行きましょう、皆さん」
一斉に動く東軍、特に女装している男性陣にミリハナクが放つ『ソニックブーム』が炸裂。衝撃破による陣形を崩しての連携阻止は成功した。
「女としては、勝負事で男性には負けたくはありませんわ」
炎斧「インフェルノ」を構え前衛で敵の引き付け役を買って出たミリハナクは、西軍を攻撃しようものなら間に入って阻止して攻撃する相手を力で捻じ伏せて押し返すことに。受防での頑丈さと『活性化』に頼って攻撃しやすい状況を作り、西軍の勝利を目指す。
「や、やったなー!」
極力体力を消耗しないように【OR】小手鎧「阿弖流爲」でのいなし攻撃をメインとした夜刀が、後方への奇襲を警戒しつつ反撃。
「近づけさせません‥‥」
夜刀が動きやすいよう、隼人は超機械「シャドウオーブ」で牽制。
「やるからには、相手を疲弊させて自陣に突出しすぎないようにとな。委員長、援護頼むぜ!」
体力調整に注意しつつ、軍人娘の意地にかけてと夜刀は積極的に攻め込む。
「少し強引ですが‥‥」
牽制していたが、近づきすぎたため接近戦となったので隼人は大鎌「紫苑」に持ち替え『両断剣』で追撃。
対決の場に向けビデオカメラをセットしたジョーは、着替えを済ませ闘技場に戻ってきたソウジの隣にやる気なく座ると煙草を咥え、ジッポを取り出そうとしたがコホン、と咳払いされたので禁煙であることに気づきしまい込んだ。
「まずは得体の知れないソウマを潰しておくか。奴のキョウ運とやらは侮れん‥‥自滅もあるようだが」
肩を痛めれば上半身に力が入らない、と東軍の後方で遠距離射撃でサポートするソウマに『瞬天速』で一気に間合いを詰めて死角に回り込み『二連撃』で両肩を攻撃しようとしたが、キョウ運発動による神がかり的な第六感を得たソウマは予知していたので避けた。
「ざ〜んねんっ♪」
ひょいと身をかわし、気まぐれな猫のようにリュインをからかう。
標的をラナに切り替えようとしたその時、リュインの側面からカメラのシャッター音が。
「よし、いいアングルだ‥‥。観客には、こんな写真は撮れまい‥‥」
控えめに戦闘に参加し、シャッターチャンスが来たら参加者の写真撮影を繰り返している和騎だったが、調子に乗って撮影に夢中になりすぎたため相手チームだけでなく、仲間の攻撃もくらう羽目に。
「あっ、ごめーん。わざとじゃないからね?」
誤射と見せかけての砲撃をしながら注意する小雪に謝る和騎だったが、凝りもせずチャンスを窺う。
「汝という奴は‥‥とっとと戦えっ!」
リュインの跳び蹴りが和騎にクリーンヒットしたところで前半終了。
●戦いは熱く、可憐に、全力で!
「ギャラリー諸君、こっからが軍人娘夜刀ちゃんの本番さ! 盛り上がりなよ!」
後半開始前に専用機カラーという設定の赤い軍服に着替えた夜刀は、前半開始前同様、観客にアピール。専用機カラー時の階級は大佐ということなので、今後の活躍が期待できそうだ。
後半試合開始の合図は、ソウジが「絶対に嫌だ!」とゴネたのでピンクのナースKV少女ナイチンゲールに扮した女子実行委員がした。
「さあ、楽しい楽しい狩の時間の始まりだよ♪」
開始早々、クスリと笑いながら獲物を狙うネコ科の猛獣のような表情をしながら誰にも気付かれないようにボソリと呟いたソウマは、奇襲による一撃離脱の接近戦に持ち込む。
「後半もガッツリ戦え」
前半に引き続き『練成強化』で仲間の武器を強化したリュインは、エネルギーガンでの援護射撃や鬼蛍での支援で足を掻き回しつつ、連携して確実に1人ずつ仕留めることにしたので距離を置く。
小雪は『竜の爪』『静寂の蒼龍』を使用し、広範囲砲撃支援体勢に。
「ふふっ、素敵な舞踏会ですわね。皆さん、楽しんでいるかしら?」
スカートを翻し、踊るように前衛で炎斧「インフェルノ」を振りかざすミリハナクに挑んできたのは身体を前に倒し、地を這うように『瞬天速』で一気に疾走したソウマと『強刃』で攻め込む夜刀。反応できないスピードで接近したのだが、キョウ運をもってしてもミリハナクの『流し斬り』によるカウンターを回避できずソウマは転倒。夜刀は、寸でのところでバク転で回避。パフォーマンスを売りにしたアイドルでいることを心掛けているので、常に魅せる戦いを念頭に攻撃や回避を行っている。
「雑技団の出なんでね、盛り上がる攻防の展開は心得てるさ! お姉様、少しは楽しんでいただけたか?」
「ええ、十分過ぎるほどに」
まだまだ楽しめそうと微笑むミリハナクに、壁を蹴り、『瞬天速』で一気に間合いを詰めたラナが挑んできた。
「行きますよ‥‥お姉様ああぁっ!」
跳躍を利用して背後にダイブし、着地と同時にライトニングクローで攻撃するもワルツを踊るかのように避けられたので黒いドレスを引き裂く程度に終わった。
「まだまだっ!」
体勢を立て直し、少し離れて超機械「シャドウオーブ」で追撃。これは避けきれず。
「不意打ちだけど、戦いってこういうことですよね‥‥いただきました!」
対戦中の2人から離れたソウマは、キョウ運でミリハナクの胸の谷間、ラナのくっきりとしたショーツラインを見たが役得とは思わなかった。
気づかれないよう『隠密潜行』で小雪に接近すると、目を欺いて死角に移動し奇襲に。
「いった〜いっ!」
「あなたでは、わたしの姿を捉えることができないみたいだね」
頭をさする小雪にそう言うと、次の標的を探し始めた。
ラスト1分に差し掛ると体力が激しく消耗したり、怪我を『活性化』で回復に集中する参加者がいる中、和騎だけは元気良く動き回り撮影に夢中に。
夢中になりすぎ、気を抜いている間に足を滑らせ、隠し持っていたカメラを落としたことで盗撮が小雪に発覚。
「撮影してないでさ‥‥真面目にタタカオウヨ?」
『不敗の黄金龍』で攻撃力と命中を上昇させ、怒りのオーラを漂わせて訊ねる。
「汝、まだ盗撮していたのか‥‥」
鬼蛍の切っ先を突きつけるリュインの背後には、対決の手を止めて睨むラナとミリハナクが。
「あ‥‥そ、その‥‥ち、違うんだ! これは‥‥!」
「乱射するけど良いよね? 答えは聞かないけどさっ!!」
小雪の砲撃が引き金となり、女性陣の一斉攻撃が始まった。
「隙あり!」
フラフラになった和騎は、様々な偶然が重なったソウマの会心の一撃『紅蓮衝撃』で倒された。
「あっさり決まっちゃった。つまんないの〜」
和騎の巻き添えになり、対戦の様子を間近で撮影していた走太郎はデジカメを壊され「これ、高かったのに!!」とショックを受け、ビデオカメラに流れ弾が当たり画像データが破損してしまったジョーは、所長にどう言い訳しようか考えていた。
その様子を遠くから見た夜刀と隼人は、女は怒らせると怖いことを学習したのか震えていた。
盗撮騒動でバタバタしたが、残り時間わずかであるが試合再開。
両チーム、最後まで諦めずに全力で対戦に臨んだが、試合終了宣言を聞くと身体の力が抜けその場にへたりこんだ。
勝負の結果は、両チームの実力、体力消耗が同等と判断した実行委員会は引き分けと判定。
●長い戦いが終わって‥‥
「どうやらまた、新しい伝説を作ってしまったようですね」
闘技場の中央で、ソウマは肩を竦めクールに呟く。
「へへっ、真に良い勝負でありました! ってね♪」
「良い勝負だったね〜」
夜刀と小雪は、対決を十分楽しみ満足したようだ。
「だっ‥‥大丈夫ですか!? 熱が入りすぎたようで‥‥」
救急セットでボロボロのドレス姿のミリハナクの手当てをするラナは、激しい対決で敗れたドレスの隙間からショーツが見えるのが恥ずかしかった。
盗撮騒動でボコにされた和騎だったが、凝りもせずこっそり2人を撮影。
「皆さん、派手に暴れてはいけません! 委員長の言うことを聞いてください!」
治療を行いながらも説教する隼人は、まだKV少女気分でいるようだ。
「収穫がありましたから良しとしますが、もう少し、戦い方を考えた方がいいのでしょうか?」
後片付けを終えたのを見計らい、リュインはソウジに詰め寄る。
「‥‥似合うか? コスプレは少々恥ずかしいが、アイドルになったのでしてみた。まぁ、この先もこういった機会はあるだろうがな」
アイドルになったのか!? と驚いたが、照れ隠しのため闘技場に残っている参加者全員を労うソウジを見て思惑通りと微笑んだ。
そんなソウジから、甲乙つけがたかったので引き分けにしたこと、観客にウケが良かったことを知った参加者達は、参加して良かったと大喜び。
KV少女コスプレ対決だが、観客に大好評だったので来年も行われることが決まった。