タイトル:生まれてくる命の危機マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/08/29 07:31

●オープニング本文


 カンパネラ学園は夏休みだが、学園に残っている寮生や教師もいるので食堂は年中無休である。
「あれ? 稗田のおばちゃんは?」
 食堂に稗田・盟子(gz0150)の姿が見えないことに気づいた生徒は、鯖の味噌煮定食を差し出したおばちゃんに訊ねたところ、一昨年結婚した娘が出産間近なので休暇を取ったとのこと。

 盟子の娘、なぎさは現在夫と共に四国で暮らしている。
 夫の両親も四国にいるが、かなり離れて暮らしているので万一のことがあった場合にすぐ駆けつけることができず、夫は多忙なため、出産に立ち会いたいと切に願っているがどうなるかわからない状況にある。
 そこで、何かあったら大変と盟子が臨月のなぎさの側にいることにしたのだった。
「予定日、4日も過ぎているのに生まれそうもないわね〜」
「お母さんったら。私が生まれたのは1週間も遅れたのよ〜って言ってたじゃない」
 膨らんだお腹をいとおしげにさすり、自分が生まれてきた時のことを思い出す娘を見て「大丈夫かしら〜?」と不安になる盟子だった。
 性別だが、娘夫婦は生まれてからのお楽しみということであえて聞いていない。そういうこともあり、どっちが生まれるのかというのが話題の中心だった。
 そろそろ寝ようかという時、なぎさの下腹部が痛み始めた。
「陣痛が始まったみたいね〜。痛みが定期的になったら〜、病院に連絡ね〜」
 入院の支度を整えている間に破水したので、陣痛の間隔を待たずに出産する総合病院に向かうことに。

 20分後、タクシーが到着。時折来る陣痛に不安を感じたのか、なぎさは不安になってきた。
「大丈夫よ〜。あなたはちゃんと赤ちゃんを産めるわよ〜」
 娘の手を握りながら励ます盟子。
 あともう少しで総合病院というところで、タクシーが警官に止められた。病院付近の道路にキメラが出現したので、周囲の道路が通行止めになったというのだ。
 仕方ない、とタクシー運転手は遠回りになるが別ルートで向かうことに。
(「病院に向かっている間に〜キメラが出現したらどうしましょう〜?」)
 初めての出産で不安がっているなぎさを抱きしめながら、盟子は何があっても娘を守る決意をした。
「大丈夫、能力者がなんとかしてくれるわよ。あなたは、赤ちゃんを産むことだけを考えなさい」
 娘をこれ以上不安にさせられないと、しっかりとした口調で励まし続ける盟子。

 キメラ戦が長引くと母子共に危なくなるので、速やかになぎさを病院に搬送する手助けをしてほしい。

●参加者一覧

麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
嵐 一人(gb1968
18歳・♂・HD
天地 明日美(gb2400
16歳・♀・DG
シェラ・シェーヴル(gb2738
34歳・♀・ST
天原大地(gb5927
24歳・♂・AA
星月 歩(gb9056
20歳・♀・DF
サクリファイス(gc0015
28歳・♂・HG
相賀琥珀(gc3214
21歳・♂・PN

●リプレイ本文

●火急
 キメラ出現により、病院へ向かうタクシーはやむなく迂回することに。
 時間はかかるが、稗田・盟子(gz0150)の娘、なぎさを一刻も早く病院に連れて行かなければならない。
(「お願い! 早く病院に着いてちょうだい!」)
 下腹部を押さえながら不安な表情を見せるなぎさを支えながら、盟子は必死に祈っている。
 タクシーが別ルートに向かおうとした時、1台のインデースと3台のバイクが近づいてきた。
 インデースから降りた麻宮 光(ga9696)は、運転席の窓をノックし「ちょっと待ってくれ」と一言。助手席から降りた星月 歩(gb9056)は、用意してきた清潔なタオル類を取り出すとタクシーの後部座席に乗り込んだ。
「稗田さんですね? 護衛として、病院に到着するまでご一緒します」
「お願いするわ。なぎさ、頑張るのよ」
 コクンと頷くなぎさを見て、出産経験がある母の盟子がいるから自分も頑張ろうと決意する歩だった。
「盟子さん、なぎさちゃんの手をしっかりと握ってあげて、絶対に離さないでくださいね。なぎさちゃん、大丈夫よ。キメラのことは心配しないで、元気な赤ちゃんを産みましょうね。先輩ママの私が言えるのはこれくらいね」
 生まれてくる命を必ず守るという思いは皆同じだが、バグア襲来で夫と子供を失ったシェラ・シェーヴル(gb2738)と妻帯者の相賀琥珀(gc3214)は誰よりも強くそう思った。
「僕の妻も、なぎささんと同じ目に遭ったらと思うと他人事ではなくて‥‥」
「そうね、琥珀ちゃん。歩ちゃん、あとはお願いするわね」
「はい、任せてください」
 シェラと琥珀がインデースに乗り込むと、光は運転手と盟子に「ちょっと待ってな。俺達が道を作るから」と告げ、進路を確保すべくキメラ探索に向かった。
(「俺は男だから、出産に対する不安や痛みは一生わからない。だからこそ、俺にできるには道を作ることのみだ。妊婦の側には歩がいるから大丈夫だろう。あいつなら任せても心配はない」)
 一刻を争う事態ということもあり、能力者達は短時間で役割分担を決めた。
 インデースに乗り込んで道を確保すべく一足先に病院付近に向かうのは光、シェラ、サクリファイス(gc0015)、琥珀の4人。
 キメラ襲撃に備え、タクシーを護衛するのは嵐 一人(gb1968)、天地 明日美(gb2400)、SE−445R使用の天原大地(gb5927)の3人。
「さあて、特急便の出発だ。その前に‥‥」
 一人は、タクシー運転手に「緊急時の連絡に便利だと思うからこれ持ってな」とあらかじめ無線機を手渡した。なぎさの様子は歩から聞けるが、ルートに関しては運転手に聞くのが早い。
「バイク班、各位置についたな。いくぜ!」
 一人の号令でバイク班も出発した。

●誘導
 キメラ襲来に備え、光のインデースを先頭に一人率いるバイク班がタクシーを誘導しつつ護衛。
 タクシー前方には一人、右側には明日美、左側には大地が襲撃に警戒しつつ位置についている。
「お世話になっている食堂のおばちゃんと、生まれてくる赤ちゃんのために精一杯頑張りますよっ!」
「張り切ってるじゃねぇか、明日美。ちゃっちゃとやっつけちまおうぜ」
 なぎさに悲壮さを感じさせない、爆発しそうな怒りを抑えつつ大地は盟子達に安心感を与えるため無線で軽口を叩いた。
 タクシーに同乗している歩は、なぎさの座席にタオルを敷き詰めていた。
「すでに破水していると聞きましたので、羊水が漏れても大丈夫なようにタオルをいっぱい持ってきてきました。なぎささん、心配しなくても大丈夫です。お兄ちゃん達が道を作ってくれますので安心してくださいね」
 長時間タクシーに乗っているかもしれないので、破水対策はこれが効果的だろう。
 歩には「お兄ちゃん」と慕う光や頼りになる仲間がたくさんいるが、初めての出産に怯えるなぎさには母である盟子しか頼れる人がいない。
 光達が何とかしてくれると信じているので、歩はキメラへの不安はできるだけさせないように声をかけ、なぎさには出産のことだけを考えさせるよう頑張っている。
 病院まであと少しという地点でも、警察とUPC軍による道路閉鎖が行われていた。
 光はキメラ発見、戦闘に備えインデースのヘッドライトをつけたままにし、ウィンドウを開け自分達は能力者で、産気づいた妊婦を急いでこの先の病院に搬送しているでこの先を通してほしいと頼んだ。
「あれは‥‥」
 助手席に乗っていたサクリファイスは目を凝らし、迫りくる何かを見た。
 ヘッドライトに照らされたのは、秋刀「魚」を振り回しながら突進してきた頭は鰹、身体は人間といった姿の2体のキメラだった。
「あらあら、あのキメラ、カツオちゃんなのにサンマちゃんなのかしら? ん、サンマちゃんなのにカツオちゃん? 良くわからないけど、何かのメッセージなのかしらね。とても気になるわ」
「呑気なことを言っている場合ではないでしょう、シェラさん。早く母子共に助けましょう!」
 サクリファイス、シェラ、琥珀は急いで降りて戦闘態勢に。
「キメラ戦で負傷者が出ないとも限りませんよね? 早く救急車を呼んでください、3秒以内に」
 UPC軍はともかく、警察官の負傷者が出るかもしれないと思いサクリファイスはUPC軍に遠距離からの援護を要請した。
「こちら車両班の光、キメラ2体確認。場所は総合病院付近の閉鎖された道路だ。俺達がキメラを足止めするから、一人達はタクシーを病院に向かわせてくれ」
 キメラは2体なので、車両班は二手に分かれて進行路の確保を優先し対応にあたることに。
「悪いが、さっさとご退場願うぜ。これから新しい命が生まれてくるんでな」

●戦闘
 手加減無用! と光は『疾風脚』を効果が常時継続するよう使い、『瞬天速』での移動を有効に使いキメラの側面、背面、死角を狙い、後から来るバイク班とタクシーが安全に進行できるよう車道から極力離れてつつ月詠での接近戦を中心に戦闘を。
「現在、キメラと戦闘中だ。来る時は注意してくれ」
 バイク班に連絡し終えると、再び攻撃開始。
「皆さん、攻撃方法がわかりませんので迂闊に近づかないようにしてくださいね」
「わかってるわ。琥珀ちゃん、サクリファイスちゃん、いくわよ」
 2人に『練成強化』をかけたシェラは、キメラの行動を観察し、解明されていない能力の解析を行いながら様子見を。
「邪魔はさせません!」
 琥珀は『迅雷』で敵の背後に回りこみ夜刀神で攻撃し、常に敵の行動に注視してシェラから得たデータを元に行動。キメラの攻撃に警戒しつつ、仲間と攻撃タイミングをずらして攻撃を繰り返し翻弄させ、余裕を与えないよう心がけた。キメラが怯んだ隙に『刹那』で突きそのまま『円閃』で切り裂いた。
「逃がしません!」
 逃走しようとしたキメラは『迅雷』ですり抜け様に斬撃し、前に出て砂錐の爪で『円閃』を蹴り込み吹き飛ばした。
「援護はお任せを」
 積極的に声をかけながら、サクリファイスは琥珀を優先に援護射撃を。
「‥‥と言っている側から俺のところに来ましたか」
 援護射撃を行おうと動いた時、キメラが尾びれを振り回そうとしたので『強弾撃』を使い反撃。それに怒ったキメラは接近するとサクリファイスの腕に牙を突き立てた。
「大丈夫? 今治療するわね」
 駆けつけたシェラがサクリファイスの腕を『練成治癒』で回復させようとしたが、隙あり! と言わんばかりにキメラが口を大きく開け牙で噛み付こうとした。
「私自身はまったく戦えないけど、狙われたら一応反撃はするわよ。超軽量超機械の電磁波をお召し上がりなさい」
 超機械「00−5」を至近距離でくらったキメラはのたうちまくりながら逃走。
「すべての女の子にはね、幸せになる権利があるの。キメラとはいえ、それをむやみに奪わないで頂戴ね」
 キメラが自分達から離れたのを確認したシェラは、急いでサクリファイスの治療を始めた。

●突破
 2体のキメラと戦闘中だったが、タクシーを引き連れたバイク班が車両班と合流。
「早く病院に行ってください」
 サクリファイスが『豪力発現』でバリケードを除去して道を拓き、バイク班はタクシーを一気に突破させるため持ち場を離れた。
「止まるな! 一気に突き抜けろ! 明日美、タクシーの護衛を頼む!」
「わかりましたっ!」
 一人は突進してきたキメラが邪魔しようとしたのでAU−KVを装着して『竜の翼』で急接近、エンジェルシールドで体当たりしつつ『竜の咆哮』で吹き飛ばし道を拓いた。
「体を張ってでもタクシーを守りますよっ!」
 万一のキメラ戦に備えて『竜の瞳』『竜の爪』で命中と武器の威力を、『竜の鱗』で守りを固めた明日美は、キメラとタクシーの中間に入り、タクシーが安全に通過できるまで最大の警戒に努めた。
「行ってくれおばちゃん! 歩、頼んだぞ!」
 大地は、トランシーバーでタクシー運転手に病院に急ぐよう指示した。
 タクシーと明日美が無事通過したのを見届けた車両班と一人、大地は本格的なキメラ退治に臨んだ。
「邪魔するなよ、これからが大変らしいんでな‥‥。おまえらにゃ、とっとと静かにしててもらうぜ!」
 一人は脚部装輪全開で突撃するとエンジェルシールドで体当たりや尾びれでの張り倒し攻撃を流してから機械脚甲「スコル」で回し蹴り。
「たたきと三枚おろし、どっちが好みだ? 面倒だ、丸焼きに決定だ! まあ、食う気はないけどな!」
 蹴りで怯んだキメラをエンジェルシールドを捨て、試作型機械刀と蹴りの連続攻撃で一気に仕留めに。
 大地は覚醒すると、炎のような怒りを燃やした。
「一般人を巻き込んだこと、新しい命を危険に晒したことは許さねぇ‥‥覚悟はできてんだろうな?」
 一人との連携を徹底しつつ、キメラから受けたダメージを無視して徹底的に蛍火で攻撃。その間、一人が止めを刺そうとしたキメラに反撃されそうだったので拳銃「バラキエル」を使用。
 サクリファイスは、アサルトライフルで弾幕を形成し、援護しつつキメラの足止めを。近づかれたら鱗の無さそうな目や足を狙おうかと考えていたら、接近したキメラに尾びれで張り倒された。
「痛いですね」
 張り倒したのは、先程腕を噛んだキメラだった。かろうじて留まったが、体勢を立て直すのに時間がかかりそうなので伏せ擬似的なプローン・ポジションで狙撃し、アサルトライフルで受防しつつ膝を立てて一気に立ち上がった。
「琥珀、止めといくぜ」
「わかりました」
 光は『瞬天速』、琥珀は『迅雷』を駆使して側面、背面の死角を集中攻撃。それにサクリファイスの援護射撃が加わったことでキメラは倒された。
「僕は拠り所を失いました。主も、大切な女性も。このような場所で綺麗事は申しません。ただ、邪魔なので撃つだけです。敵の不幸は望んでも、それ以外の不幸を望む暇などありませんから」 
 倒れたキメラを見つめながら、タクシーは無事病院に着いたのだろうかと思うサクリファイスだった。
 残る1体は、一人の猛攻撃で立っているのがやっとの状態だった。
「止め刺してやるぜ。咲き誇れ――『蛍桜』!」
 大地は血桜を装備すると、蛍火との二刀流で『両断剣』『二段撃』を使用してキメラに激しい攻撃を繰り出した。
 これにより、キメラは全身くまなく切り刻まれた状態で倒された。

 キメラ退治:成功!

●誕生
「歩です。たった今、病院に到着しました」
 歩が病院に到着したことをトランシーバーで報告すると、光からキメラを倒したと連絡が入った。
「あ、おばちゃん! キメラ、退治されました! あの、娘さんと赤ちゃん‥‥大丈夫ですか?」
 明日美が心配するのは無理もない。陣痛の間隔が短くなってきたので、なぎさは苦痛に顔を歪めているのだから。
「そろそろ生まれるかもしれないわね。なぎさ、しっかりしなさい。もう少しで赤ちゃんに会えるのよ」
 盟子だけでは大変だろうと、歩と明日美も付き添ってなぎさを病室に連れて行った。
「後は‥‥出産が無事に終了するのを祈るだけですね。赤ちゃん、元気に生まれてください」
「大丈夫です、きっと‥‥」
 仲間が合流するまで、2人は産科病棟のデイルームでなぎさと赤ちゃんの無事を祈った。
 その頃、一人は盟子に頼まれ、なぎさの夫を迎えに行っていた。
「流石に気になるからな、少しくらい遠くても行ってくるぜ。サービスでな。父親無しじゃ格好つかないし」
 無事にいけば、これからも食堂で美味いメシが食えるだろうしな! と照れを隠し、バイクを飛ばして夫がいる会社に向かった。夫だが、なぎさの側にいたいのはやまやまだが、大事なプロジェクトを任されているということもあり仕事を休めない状況だった。
 一人を除く全員は、歩の案内でデイルームに集まっていた。深手ではないが、キメラ戦で負傷しているので明日美が救急セットで手当てを始めた。
「出産は長い戦いと聞きます。無事にお子さんが生まれてくれると良いのですが‥‥。
母は強し、ですね。自らに別の命を宿すのですから」
 まだ先の話になるだろうが、琥珀は大切な人を護れる父親になるため強くなりたいと願った。
 一人に連れられた夫が駆けつけた時、タイミング良く助産師が来てご主人は来ていますかと訊ねた。なぎさが分娩室に入ったので立ち会ってほしいとのこと。
 能力者達と盟子は、分娩室の前で出産の時を待っていた。
(「赤ちゃん、元気に生まれてください!」)
 歩は必死に祈った。
 30分後。
 夫の立会いのもと、なぎさは無事出産した。陣痛が始まってから4時間のスピード出産だった。
 産声を聞いた皆は「やった!」と大喜び。
 助産師に呼ばれ、盟子が分娩室に。生まれたのは2864グラムの元気な男の子だった。
 夫に手を握られたなぎさは、一仕事終えて安心した表情に。
「なぎさ、おめでと〜う、頑張ったわね〜!」
 安心した盟子は、いつもの口調に戻っていた。
「ありがとう、お母さん‥‥」
 なぎさのお腹の上でうつぶせになっている生まれたての命は、小さいながらも一生懸命生きているように見えた。
 親子3人だけにしておこうと、盟子は初孫の顔を見ると早々に分娩室を出た。
「良かったな、おばちゃん。元気な子じゃねぇか」
 大きな産声なので、元気良く生まれてきたといっていいだろう。
「礼はいらねぇよ。その代わり、今度何かうめぇモンでも食わせてくれ。じゃあな」
 誕生を見届けた能力者達は病院を出た頃にはすっかり夜が明けていた。
「朝日が眩しいぜ。こういうのは、自分のことでなくても嬉しく思えるもんだ。俺が自分の子‥‥とかは全然想像つかないが、今はこんな世の中だが元気に育ってほしいよな」
「お兄ちゃんも、いつか自分の子供って欲しい?」
 自分もいつかはこんな風に妊娠して、出産する機会が来ると想像した歩は、ちょっと気になるので光に聞いてみたが何も言われなかった。

 数日後。能力者に護られて生まれた赤ちゃんは『新』と名づけられた。