●リプレイ本文
●永一SOS! 能力者集結!
無人の 申 永一(gz0058)機体、ナイトフォーゲルR−01改が最初に向かったのは、自称『通りすがりの英国紳士』ジェイ・ガーランド(
ga9899)のところだった。
『世のため、人のため、バグアの野望を打ち砕く! 星から星に宇宙の始末、お呼びとあらば即参上! この星の輝きを恐れぬのならばどこからでもかかってこい!』
「きみ、どこから飛んできたんですか?」
歩行形態のまま登場し、色々混ざった口上と共に登場した永一機に冷静に突っ込むジェイだったが、地球のピンチとあらば自分も行かなければと『ルーク(城砦)』と名づけたナイトフォーゲルCD−016シュテルンに騎乗し、永一がいる場所に案内してくれと頼んだ。
その途中、2機は大阪を通り過ぎた。
「あれ、ナイトフォーゲルやん」
登校中の樹村・蘭(
gb1798)のもとに着陸した永一機は、彼女にも協力を要請。
「出雲がピンチやて? そら大変やなぁ。うちもナイトフォーゲル呼ばな!」
ナイトフォーゲルS−01、カマーン! と蘭が空に向かって大声で言うと、彼女のS−01がどこからともなく飛んできて騎乗できるようスタンバイ。
『待たせたな、嬢ちゃん。ほな、出雲まで行こか!』
「あいな!」
植松・カルマ(
ga8288)は、瓦礫が飛び交う現場のド真ん中で仁王立ちして腕組み。
「とっとと来やがれ! ディアブ郎!」
ディアブ郎(以下:ブ郎)というのは、カルマ所有のナイトフォーゲルF−108ディアブロの名前だ。
声を上げた瞬間、地面を突き破り、瓦礫を吹き飛ばしながら腕を組んだままのカルマを乗せて立ち上がると『へへッ、待たせたなぁ相棒!』と威勢良くブ郎登場。
「まったく、あんま気が長い方じゃねーんスよ? 俺は。早くコックピットへに乗せやがれ」
『へい! しかし、どこ行くんで?』
どこに行くかねぇと考えたカルマ達の頭上に、ジェイのルークと蘭のS−01が永一機と共に現れた。
『あんたらも出雲に行くんでっか?』
蘭のS−01がブ郎に訊ねる。
『出雲だぁ? そこに行けばいいんだな? 相棒、いくぜっ!』
「おうよっ!」
こうして、カルマとブ郎合流。
『お前、無理はするなよ』
『合点承知でぃ!』
ルークとブ郎は、この時点でウマが合う性格と判明した模様。
新型機を受領したGIN(
gb1904)は、休みの間に慣らしで飛行中、永一機に遭遇。
出雲の危機を永一機から聞くと、新機体のデビュー戦にはもってこいだと出雲に向かうことに。
「シュテルン、キミのデビュー戦だ。気張っていこう‥‥その翼がどんな翼なのか、しっかり見せてくれ。こちら、休み中の通りすがりカンパネラ学園生徒。これより、対キメラ戦に加わります。あの‥‥お年玉って出ます?」
『出ません』
きっぱり返答する永一機。
外見20歳でも、中身は10代後半の学生なGINはお年玉がもらえないと知るなり「えー」とぼやいた。
ご都合主義で呼ばれなくとも、ナイトフォーゲルF−108ディアブロに騎乗して登場の秘色(
ga8202)。
「デイアブロ、出雲に向かうぞえ!」
『合点承知だ! 姐さん!』
こうして、秘色達は永一機に合流。
崔 南斗(
ga4407)は一足先に出雲大社に到着しており、永一機達の着陸誘導をしていた。
「永一君の機体が危機を察知し、皆をここに集結させたんだな。正に以心伝心、人馬一体だな。境内に降りられなければ、松の参道か駐車場を使え。並木を折るなよ! R−01、頼む」
『Ay Sir』
南斗機のナイトフォーゲルR−01改は、米国製なので会話は英語である。
「来たか、俺のR−01改。俺を乗せてくれ!」
『Yes sir』
こうして集結した能力者達は、永一と共に出雲大社神楽殿に急行!
●信じられない! でも一応キメラなんだ!
敵の怯んだ隙に、流れ込むように現場一番乗りの到着いたのは覚醒状態でナイトフォーゲルF−108ディアブロで現場に駆け付けるなり、キメラ『注連縄』に狙撃攻撃を行っているのは櫻杜・眞耶(
ga8467)と、ナイトフォーゲルXF−08D雷電で駆けつけた櫻小路・あやめ(
ga8899)。
「正月と言えど、注連縄のキメラと言うのは馬鹿馬鹿しい言うか‥‥コメントのしようがありません。早々に片付けてコタツでミカンを‥‥いえ、何でもありません。被害を最小限に留めましょう!」
慌てて取り繕うつばめに『ほな、さっそと片付けよか!』と話しかける眞耶のディアブロは、口調が大阪のおばちゃんの如く活発に喋る。
「いきますよ、オバちゃん」
『任せとき!』
眞耶とオバちゃんの息の合った攻撃は容赦なく注連縄キメラに叩き込まれたが、その最中、倒れたんだことで眞耶は気を失いかけていたその時‥‥。
(「あ‥‥永一兄はんの声が聞こえる‥‥」)
空耳かと思ったが、永一機に支えられていた。眞耶機のコックピットが開くと同時に、永一が駆け込んできた。
「大丈夫か!」
「は、は‥‥い‥‥」
眞耶は意識を失う前に永一の腕の中に倒れ込んだかと思えばこみ、聞こえないように謝罪の言葉を口にしつつ意識を失った。
「ディアブロ、眞耶君を守ってあげてくれ」
『わかったわ。あんさんも気ぃつけや』
永一はR−01に乗り込むと、神楽殿に向かっている能力者達を待った。
その頃‥‥。
『さあお前ら、デカブツ退治のお時間だ!』
ルークの合図で、上空で待機している秘色を除いた人型変形したナイトフォーゲル達は各自戦闘準備に取り掛かった。
『こちとらチャキチャキの江戸っ子でぃ! キメラにゃ負けやしねぇぜ!』
「そのとおりッスよ、ブ郎! あんな奴、マジ半端ねぇ必殺の一撃! と洒落込みたいッスね!」
何だかんだと言いつつ、息が合うカルマとブ郎。
『俺達だって負けへんで! なあ、嬢ちゃん』
「当然や!」
蘭とS−01はやる気マンマン。
「目標は銅鳥居をくぐって左だ。前衛を支援するぞ。注連縄を大社に近づけるな!」
『Yes Sir. Now you have control.』
神楽殿に乗り込むとジェイは敵の正面、遠距離に配置。
「まずは小手調べといこうか」
『了解した、ヘビーガトリング砲と3.2cm高分子レーザー砲を使用する?』
どちらがよりダメージを与えるか両方の兵装で確認したところ、ヘビーガトリング砲が有効と判断したので、これによる一斉射撃攻撃に。
「一発必中‥‥」
『‥‥一撃必殺!』
ジェイとルークの人馬一体ならぬ人機一体の攻撃は、注連縄キメラの先端部分にダメージを与えた。
それに怒ったかのように、注連縄キメラは大きな縄を上下に動かして反撃! といわんばかりに体当たり!
「敵の攻撃を回避できそうにないなら、盾防御だ。体当たり、そらせるか?」
『アブスタナットシールドを使う。防いでみせよう!』
ルークはアブスタナットシールドを使用して間一髪のところで体当たりを防いだが、その勢いは凄まじく完全に防ぎきれなかったのでよろめいた。
『畜生‥‥!』
『注連縄が大暴れたぁ、こいつぁ驚いたね』
「うむ、何でもキメラ化するのじゃなぁ」
『感心してる場合じゃないっすよ、姐さん』
ディアブロと会話しつつ、非常形態から人型形態に変形し、永一と合流。
「きみ達の協力、待っていた。神楽殿に急ぐぞ!」
『兄さん、合点承知だぜ! こちとら既にお見通しよ!』
永一の呼びかけに、既に話は分かっていたとばかりにディアブロが威勢良く答えた。
「皆、待たせてすまない! 一気に倒すぞ!」
『一気に片付けましょう!』
永一、永一のR−01改の呼びかけに注連縄キメラを倒すべく、能力者達が駆るナイトフォーゲルが勢揃い。気を失った眞耶機を除いては。
●ありえないキメラ戦! 絶対に負けられない!
戦闘ポジションは、南斗、秘色、カルマ。後衛は蘭、ジェイ。あやめは遠からず近すぎずの距離にスタンバイ。
「いくぞえ!」
秘色は後衛の援護射撃を受けながら、ヒートディフェンダーでチマチマと注連縄キメラを削り斬っている。
『姐さん、何でザックリ斬らないんで?』
「最初からザックリいっても面白うないしのう。お楽しみは、最後にとっておくものじゃよ」
「そこ、話している暇はないぞ!」
秘色達に話しかけた南斗は、ガトリング砲で支援しつつ、注連縄キメラの動きを弾幕で押し込め制限するように、仲間のサポートをしつつ敵の攻撃を鈍らせた。
カルマは注連縄キメラの攻撃を引き付けつつ、攻撃をかます感じでブ郎を駆使している。
「突撃! っつっても正面立って棒立ちしてなけりゃ避ける事は不可能じゃねーと思うッス。なもんで、なるだけ側面に回りこんで攻撃してくッス!」
突撃だけに気を取られ、注連縄の端部分で薙ぎ払いとか食らったら目も当てられないと、仲間に攻撃を向けられている、確実な隙を見つけた時は半端でない必殺の一撃としゃれ込みたいと考えているのは内緒。
「出雲大社って、ごっつでかい神社やなー。これやと、注連縄が日本一でかいんも納得できるわ」
『呑気なこと言うとる場合ちゃうで、嬢ちゃん』
「わかっとるわ。いくで!」
蘭は突撃仕様ガドリング砲で「オラオラァー!」と叫びつつ、仲間に当たらないよう気をつけながらも問答無用で撃ちまくり!
あやめは、注連縄キメラを相手に派手に攻撃を仕掛け、前衛に付かず離れずのギリギリの間合いからH12ミサイルポッドと122mm2連装ロケット弾ランチャーで攻撃を繰り広げつつ、時折3.2cm高分子高分子レーザー砲での知覚系攻撃を織り交ぜまた。
「キメラの動きを止めます!」
止めは試作型「ブリューナク」を近い間合いから撃ち込んだが、どういうワケか仲間を注連縄キメラの巻き添えにしてしまった。
「ご、ごめんなさいっ! 流れ弾で辺り一帯に被害が拡大し、巻き添えの発生に‥‥。あ、あのう‥‥だ、大丈夫‥‥ですよね?」
汗をかきながら、最終的には自己完結的に誤魔化しつつ雷電と共に頭をペコペコ下げるあやめであった。
「そんなこと気にしないで」
現場到着、機体能力使用で交戦地にギリギリに愛機を寄せて着地するGINは、135mm対戦車砲を放ちながら間合いを詰め、レーザーガトリング砲メインで前衛を援護している。
「キメラですが、特徴がないのが特徴ですか。なぁに、十二分にしてやれるですよ」
『ブゥン』
まだ生まれて間もないナイトフォーゲルCD−016シュテルンなので、基本会話は肯定は「ブゥン」、否定は「ブゥゥゥン」とエンジンの唸り音のような声の長短でしかできない。
GINが覚醒している状態なので、シュテルンの頭部と瞳のスリットが点滅している。それだけ、シンクロしていることだろう。
『よし、いいぞっ! 一気に畳み掛けてやれ!』
「ルーク、私の出番を取るな!」
●くらえ必殺! トリプルドリルキック!
『ちょいと待ったぁ! うちらのこと忘れたらあかんで! 眞耶ちゃん、行くで!』
「はい、オバちゃん!」
意識を取り戻した眞耶が、ディアブロと共に能力者と永一のもとに駆けつけた。
「はっ! 不要な注連縄は燃やして灰にするって、昔から決まってるんだよっ!」
攻撃時は注連縄キメラの不審な動きに気をつけつつ、素早く動いて気絶させた怒りをぶつけているかのように反撃。
「ブ郎、マジ半端ねぇアグレッシブフォースを使うッス!」
『アレだな? わかったぜ、相棒!』
ブ郎は真ツインブレイドを頭上で回転させつつ、一気に跳躍!
『三千世界の魑魅魍魎、黄泉へと還すはこの一刀!』
ブ郎と声を会わせ、更に真ブレイドを回転させる。、
『キメラ両・断・剣ッ! ツインッ! ブレーーーーーーードッ!』
加速をつけて一気に振り下ろした! ‥‥が、端が切れただけだった。
「カッコ悪いじゃん! 俺!」
『気にするな、相棒! あいつ、相当もがいてるぜ!』
注連縄キメラが蛇の如くウネウネ動いているので、ダメージをくらってのたうちまくっていると見たブ郎。
「なかなかやるのう、若造と江戸っ子ディアブロ! 後はわしと南斗に任せるが良い! 参るぞえ、ディアブロ!」
『合点承知だぁ!』
「R−01改、俺たちも行くぞ!」
『Yes sir』
2人だけでは攻撃力が足りないと、南斗は永一に自分達の技に加わって欲しいと頼んだ。
「俺もですか? い、いいんですか?」
『いきましょう、マスター。協力することも、戦術のひとつですよ』
自機に諭され、協力しますと承諾した永一。
「南斗、永一、トリプルジャンピングキック攻撃じゃ!」
「「おう!」」
3機は各自のブーストを使用し、タイミングを合わせて『ブースト+レッグドリル+特殊能力』の3連コンボを叩き込んだ。
ブーストで一気に注連縄キメラに近づくと、南斗、秘色の2人が渾身の力を込めたレッグドリル攻撃!
『Come on buddy let‘s get together! Gung−hoo!』
「止めいくぞえっ! 天誅キィーック!!」
『くらえ、我らの渾身トリプルジャンピングキック!』
「これが釜山傭兵の底力だ!」
ジャンピングキックは綺麗に決まったものの、掛け声はバラバラだったが大目に見てほしい。
『成、敗ッ!!』
止めを刺したのは自分達ではないが、真ツインブレイドをビシッ! と構えてキメポーズをとるブ郎。
「さっすが、俺の相棒! ナイスッスよ!」
腕を組み、豪快に笑うカルマは大満足だった。
●退治終了! 現実世界へGO!
「これで、大社も平和になるな」
戦い終えて、ボロボロになった注連縄キメラをじっと見る南斗。
戦闘終了後、永一達との会話を終えたら、
「これで出雲の平和は守られたのう。ではな」
『あいな、姐さん。じゃあ兄さん、達者でな!』
永一に別れを告げ、颯爽と飛び去って行く秘色とディアブロ。
「戦いが終わったので、お年玉ください」
シュテルンの手を差し出し、GINは永一のR−01改に再びお年玉をねだるが『ありませんといったはずです』と再び断られた。
「折角出雲大社まで来たのですから、お参りといきましょうか」
出雲大社の参拝の作法にのっとって二拝四柏手一拝するも、ルークに騎乗したままのジェイ。無精者だねと言いたいところだが、ルークが真似ているので良しとしよう。
蘭もR−01に騎乗したままジェイに倣ってお参りしたが、すぐ降りると社務所に向かった。
「神社いうたら、やっぱおみくじやろ‥‥って、な、何か、空間歪んどるような‥‥」
大破した神楽殿周辺が即座に修復されたことに、あまりにも都合が良すぎると訝しんだあやめは、申に訊ねてみた。
「申殿、まさかと思いますが、これって夢ではありませんか?」
「さ、さあ‥‥」
永一がはぐらかした後、全員の目の前が歪んだ。
気がついたら、能力者達は全員布団、あるいはベッドの中にいた。
翌朝。
夢のことに気づいているか、学園を訪れた眞耶は、ばったり会った永一がどんな反応を見せるか楽しみで、何事もなかったように挨拶をした。