タイトル:校章カレーパン争奪戦!マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/02/16 21:56

●オープニング本文


 食堂のおばちゃんの1人が、メニュー『具でかレー』の残りを使ってカレーパンを作ってみた。
 形は普通では面白味に欠けると、以前稗田・盟子(gz0150)が新入生のために心をこめて作った『カンパネラ学園校章飴』を真似ていたが、盟子は「校章を象ったものは〜いくつあってもいいわよ〜」と寛大な心でメニューに加えることをOKした。
 お味のほうは‥‥。

『おいし〜い♪』

 食堂のおばちゃん達は、全員この言葉を口にした。
「これ、いけるわ〜。メニューに加える前に〜、生徒さん達の反応を見たいから試食販売してみな〜い?」
 いわゆる『限定販売』というやつである。
「最初は6個くらいがいいかしら〜? 多くもなく、少なくもなくで作りやすいでしょう〜?」
 盟子の提案に賛成する食堂のおばちゃん達だったが、ひとつ不安要素があった。
 数が限定されると、取り合いへし合い殴り合いの修羅場になる可能性が十分考えられる。
 そこで盟子が提案したのは、関門テストをいくつか設け、それをクリアした生徒、聴講生6名にパンを販売することだった。
「第1関門はペーパーテストで〜第2関門は食堂のおばちゃんとのじゃんけんで〜第3関門は先生との勝負! ってのはどう〜? 先生は〜体育教師の三崎・裕士(gz0096)先生を推薦するわ〜」
 鬼体育教師と恐れられ、カポエイラの達人である三崎が相手だと簡単に突破はできないだろう。

 盟子は早速、三崎に交渉に。
「うむ、生徒達の鍛錬が目的なら引き受けよう。カレーパン奪取が目的であろうと、戦闘意欲のある生徒と戦えるのだからな」
 こうして、新メニュー『カンパネラ学園校章カレーパン』争奪戦の話がまとまった。

●参加者一覧

水鏡・シメイ(ga0523
21歳・♂・SN
美空(gb1906
13歳・♀・HD
雪代 蛍(gb3625
15歳・♀・ER
風雪 時雨(gb3678
20歳・♂・HD
基町・走太郎(gb3903
16歳・♂・DG
吾妻・コウ(gb4331
19歳・♂・FC

●リプレイ本文

●カレーパン争奪戦に挑む猛者達
「うおーっ! お腹が空きすぎて目が回るでありまーすっ!!」
 ここ最近、傭兵としての仕事が少ないため、収入も少ないという状況下に立たされた美空(gb1906)の財布は大ピンチ!
 入金まであと1日という極限状況で、新メニュー『カンパネラ学園校章カレーパン』争奪戦の話を聞きギラーン! と、美空の目が光ったのはいうまでもない。
 女の子なんですから、垂れかけの涎はちゃんと拭きましょうね?
「はっ!」
 ツッコミ(天の声)が聞こえたのか、美空は口元をハンカチで拭い始めた。
 そんな美空に負けず劣らず、カレーパンゲットする気マンマンなのはゲーム感覚で争奪戦参加の基町・走太郎(gb3903)。
「新しいカレーパンか。普通のカレーパンに飽きたところだから食ってみたい!」
 新作ゲームに挑むが如く闘志をメラメラと燃やしているが、腹はグ〜と鳴っている。
 本能の赴くまま参戦の美空、走太郎とは対照的に、争奪戦前に学園寮正面入り口で今回のルートと作戦の確認をして備えているのは風雪 時雨(gb3678)。
「刺激物は、歌う自分にとっては本当は食べてはいけないのですが‥‥新メニューということですので、今回のは是非食べてみたいですね」
 どのようなものでしょう? とワクワクしている時雨。
 争奪戦の話と美味しいカレーの匂いに釣られてやってききたのは、和服からカンパネラ学園の制服に着替えた水鏡・シメイ(ga0523)。
「水鏡・シメイ? 誰ですか、それ? 私はジョナサン・松本です。それ以上でもそれ以下でもありません。カレーパンは私がいただきますね」
 穏やかな笑みの心の奥底で、走太郎ほどではないがメラメラと闘志の炎を燃やすシメイ、もとい、ジョナサン・松本。
「カレーパン、どんなだろ‥‥楽しみだな‥‥」
 カレーパン食べ過ぎでお腹が痛くなって大変になったことがあったほどカレーパンが大好きな雪代 蛍(gb3625)は、食べ過ぎは駄目だよねと反省しつつ参加。
「とかいって、最近似たようなことしちゃったんだけど‥‥。ここに来た時は、どこにいても、誰かと一緒になりたくなくて浮いてたような能力者嫌いだったけど、食堂は良く来てた気がするな‥‥」
 喉元過ぎれば何とやらだが、ゲットする気は誰よりもある蛍だった。

●第1関門突破せよ!
『ただいまより、カンパネラ学園食堂新メニューである『カンパネラ学園校章カレーパン』争奪戦を開催します。参加者は、速やかに寮の正面玄関前に集合してください』
 食堂のおばちゃんのアナウンスが、争奪戦開催の合図である。
 正面玄関前には、スターターとして体育教師の三崎・裕士(gz0096)がスタンバイ。
「位置について‥‥」
 ピーッ! と三崎がホイッスルが高らかに鳴らすと参加者全員ダッシュで寮へ!

 最初の難関は、カンパネラ学園に関するペーパーテスト。
 問題は全3問だが、飢えた狼と化している大半の参加者には100問以上の問題に思えるだろう。
 空腹堪えながら状態の美空にとっては、かなり酷な難関かもしれない。
 そんな中、余裕でテストを解き採点者の食堂のおばちゃんに提出したのは吾妻・コウ(gb4331)。
「なかなか難しい問題でしたね」
 と言いつつ、冷静なのは何故だろう?
「吾妻・コウくん、第一関門合格! 次へどうぞ」
 採点し終えた食堂のおばちゃんは、コウを通過者第1号に認定。
『な、何ぃー!?』
 早々と通過者が出たことで、他の参加者はかなり焦った!

「これぐらい解らない無いと駄目だよね‥‥」
 冷静さを装いつつ、次に提出した蛍も第1関門を無事通過。
「やった‥‥」
 カレーパンに一歩近づけたことが嬉しくなり、蛍はつい、そう呟いた。

「ううう‥‥美空は今、とってもボケたい気分であります! でも、そしたらそしたら〜!」
 ボケ解答をしてしまってはカレーパンをゲットできず、空きっ腹を抱える羽目になりカッコ悪い状態になってしまう。
 そんなのは嫌であります! と、美空は真面目に解答することに。
 用紙を埋められた解答はボケの誘惑に負けることなく無事に書け、解答欄のズレや無記名といったポカミスがないかどうかはしっかりチェック!
 命にかかわる選択、背に腹は変えられないという非常事態の中、決意を込めて頑張ってペーパーテスト通過に挑む美空。
「美空さん、第1関門合格! 次へどうぞ」
 良かったであります! とホッとしつつ、美空は第2関門へ。

「第1関門はペーパーテストだぁー!?」
 そう叫んだ後に一瞬固った走太郎だったが、適当に埋めれば1問くらいは当たるだろうと気軽に考えながらウケ解答狙いで提出。
 駄目だろうと思っていたが、無事通過できたのでガッツポーズで走太郎は大喜び。
 難しいですねぇと言いつつ、解答欄を埋めたシメイも無事通過。
 最後に提出した時雨も、無事第1関門通過できたので一安心。

<ペーパーテスト正解>
 問1:カンパネラ学園の学園長は誰?
 答1:作成した稗田・盟子(gz0150)がわかっていないので不正解でも無問題。
 問2:カンパネラ学園が生徒募集したのは何年何月?
 答2:2008年7月。
 問3:AU−KVの生みの親は誰?
 答3:トマス・スチムソン博士、ジュリア・ラナン、カプロイア伯爵のいずれか。
(カプロイア伯爵は金銭面で関わっているため、生みの親の1人としてカウント)

<おまけの珍解答>
 問1解答:花壇の手入れを毎日している用務員のおじさん(解答者:水鏡・シメイ)
 問1解答:ボインなドローム社社長のミユ・ベルナール!(解答者:基町・走太郎)

 残念ながら問2、問3はボケ解答無し。
 余談。ペーパーテストだが、完璧な全問正解者は1人としていなかった。

●第2関門突破せよ!
 次なる関門は、盟子とのじゃんけん。
「待ってたわよ〜。カレーパンが食べたかったら〜私に勝つのよ〜!」
 両手に腰をあてながら仁王立ちして参加者達の前に立ち塞がる盟子だったが、迫力があまり‥‥というか、かなりない。
 順番は、ペーパーテストクリア順に行われたのでトップバッターはコウ。
「素敵なレディには勝たせたいところですが、カレーパンのためです。退くわけにはいきません。手加減無しでいきますよ」
 あら〜レディだなんて〜♪ と全身をクネクネさせながら照れる盟子だったが、勝負であることを思い出し「負けないわよ〜!」とあっさり元に戻った。立ち直り早いね。
「いくわよ〜。最初はグ〜‥‥じゃんけん」
『ポン!』
 コウはチョキ、盟子もチョキ。
 最初はあいこだったが、2回目、3回目はコウの勝ちで終わった。
「すみません、レディ。これもカレーパンのためです」
 ああ、勝負とは非情なり‥‥。

 続いての相手は蛍。
「あたしは絶対に負けないからね! おばちゃん、勝負です!」
「臨むところよ〜! 最初はグ〜!」
 1回目は、チョキを出した蛍の勝ち。
「あと2回勝てばカレーパンだ! 頑張るぞー!」
 2回目は引き分け、3回目は蛍の勝ち。
「最後の勝負! いきます!」
 4回目、勝利への執念の差で蛍、勝利!
「やったぁ!」
 カレーパンに近づいた、とスキップして蛍は次なる関門へ。

 カレーパンゲットの執念は、美空も負けてはいない。
「やったであります!」
 ストレート勝ちで難なく次なる関門に向かった美空は、参加者の中で最も強運といえよう。

「勝負だ、おばちゃん! あんたに勝ってカレーパンをもらう!」
「私だって〜これ以上負けるワケにはいかないわよ〜!」
 互いに火花散らすじゃんけん勝負は、飢えた狼と化した走太郎が制した。
「よっしゃ! カレーパンゲットー!」
 関門はまだ残っているんですが‥‥。

「よろしくお願いしますね、盟子さん」
「むむ‥‥もう負けられないわ!」
 ここで負けたら、食堂のおばちゃんの名が泣くわ! と気合いを入れて勝負に挑む盟子だったが‥‥。
 パーを連続で出したシメイに敵わなかった。
「すみません。でも、これも勝負ですから」
 申し訳なさげに頭を下げた後、シメイは次なる関門に向かった。

「じゃんけんですか‥‥。自分は弱いので心配ですね‥‥」
 この子になら勝てる! と時雨に勝負を挑んだ盟子だったが‥‥。
「そ、そんなっ!!」
 ストレート負けしたことで、完全に燃え尽きてしまった。
「真っ白になったようですね‥‥」
 
 盟子が完全に燃え尽きてしまったので、その後のじゃんけん勝負は無しに。
 時雨の後の参加者は、ものすごくラッキーな存在である。

●第3関門突破せよ!
 カレーパンが待っているカンパネラ学園食堂前には、盟子以上の強敵が腕組みをして待ち受けていた。
「待っていたぞ。カレーパンが欲しければ、自分を完膚なきまでに叩きのめすことだ。遠慮無くかかってくるが良い!」
 格闘ゲームでいう『ラスボス』クラスの強敵は、カポエイラの達人である体育教師の三崎・裕士(gz0096)。
 達人に敵うわけがないので、最初に辿りついたコウはとにかく走って逃げることに。
 同じようなことを考えていた後続の男子生徒、聴講生達も同じようなことを考えて実行したが、三崎の蹴り技を喰らって気絶!
「‥‥怖いですね。とりあえず、走りましょう」
 他の男性陣に負けるつもりはないが、必死になって三崎の蹴り技を避けようとしている女子生徒、聴講生、途中で転倒している参加者を見ると助けてしまうコウであった。
「その優しさ、仇になると思え!」
「僕は、こんなところで簡単に脱落しませんよ」
 武器などなくとも、器用に達人の蹴りを避けながらコウはカレーパンゲットを目指し走り出した。
「ここが1番の難関かぁ。あたしの身体じゃ受け流すにしても、ピコハンが吹っ飛ぶかも。でもやるしかない!」
 巨大ピコピコハンマーを振りかぶって三崎に攻撃するも、蹴りの勢いで吹っ飛ばされてしまう蛍。
「いったぁーい! これがカポエラの威力‥‥。でも絶対通り抜くからね!」
 今度こそ! と蛍が攻撃するかと見せかけたが、巨大ピコピコハンマーを三崎の顔面に投げつけた。
「今だ‥‥!」
 三崎が怯んだ隙に軸足の方からすり抜けそのまま逃げ切けた蛍は、一目散に第3関門を突破。
「あたしじゃ倒すのは、いくらなんでも無理だからこうするしかないもん。ごめん、先生」
「ひ、卑怯な‥‥!」
 その隙をつけば修羅場を潜り抜けられるのだが、美空は果敢に挑んだ。
「3年B組カポエイラ先生を突破するのは困難でありますが、美空は攻めるであります!」
 からめ手から攻めることにした美空の戦法は至って簡単。
 体の小ささを利用し、囮になって三崎を誘いだした後に閉じ込めてしまおうというものだったが‥‥作戦は見事に失敗。
「逃がさん!」
「捕まってたまるか! であります!」
 捕まる寸でのところで、ちょこまかとした動きで三崎を翻弄してうまいこと逃げる美空であった。
「最後の関門に、なんであのカタブツ教師がいるんだ!」
 スターターの三崎がいることに驚く走太郎も、他の参加者同様、蹴り技をヒョイヒョイ避ける戦法しか思いつかなかった。
「そう簡単に避けられそうもないしなぁ‥‥。そうだ」
 ニヤリと笑い、走太郎はブレザーに忍ばせていた露出度高めのグラビアアイドルの写真を開くと、おもむろに三崎に見せ付けた。
「ぬおぉ!」
 一瞬、赤面してたじろぐ三崎の隙をつき、カタブツオヤジにはこの手段が一番! と喜んで関門突破する走太郎だった。
 シメイは、シールドを手にして特攻という強行手段で突破に挑んだ。
「この先にカレーパンがあるのでしたら、方法はただひとつ! 突き進むのみ!」
 ここまでは順調だったが、食堂へ辿り着く一歩手前で彼の特殊能力『方向音痴』が発動! 
 あともう少しでゴール! というところで明後日の方向に走り出してしまった。
 時雨は、カポエイラ特有の円軌道の攻撃を軌道にあわせて避けることに。
 踏み出すような蹴りには注意して避け、避け切れなかった場合は巨大ハリセンで軌道を変えた。
「すみません、三崎先生。ここは通らせてもらいます!」
「そうはさせん!」
 かろうじて抜けられたものの、三崎の追撃が時雨にヒット! かと思いきや‥‥上手いこと盾に持ち替えて防御し、再び強行突破を計った。
「お先に失礼しますね」
 微笑みながら「やりました」と喜ぶ時雨であった。
 
 激しい第3関門を突破したのは、遅れて到着したシメイを含めた6名。

●勝利のカレーパン
「皆〜待ってたわよ〜♪ 関門突破、おめでと〜う♪」
 食堂で待っていた盟子と食堂のおばちゃんは、6名の生徒、聴講生達にカレーパンを手渡した。

『いただきます!』

 カレーパンをゲットした参加者達は、早速1口。
「美味しいですね」
 無事手に入れた喜び、美味しさに感激したコウは、残りはフェンサロンの仲間が分けられるよう取っておいた。
 食いしん坊達にどうやってわけるか。それが問題だったが。

「美味しい。疲れてるから尚更かもしれないけど」
 口ではそう言いながらも、美味しそうに少しずつ食べる蛍の顔は幸せそうだった。

「カレーパン、ゲーット! なのであります! 美味しいであります!」
 カレーの刺激は空腹にはきついものがあったが、カレーパンを入手できた美空。
「これで、なんとか今日を生き延びられたであります」

「ふまひっ♪」
 カレーパンを頬張りながら、美空同様、カレーパン入手に喜ぶ走太郎。
「美味いよ、これ! おばちゃん、販売されたら絶対に買いに来るからな!」

「美味しいです。来た甲斐があったというものです」
 シメイも、カレーパンを食べられたことに喜んでいた。

「刺激が強いですが、美味しいです」
 喉を痛めないよう、慎重に一口ずつ味わう時雨。

 美味しそうに食べる6名を見ながら、校章カレーパンを作った食堂のおばちゃんは大喜び。
「次は『カンパネラ学園校章チョココルネ』でも作ってみな〜い?」
「メロンパンも良いわよ」
「次は焼きそばパンでしょう!」
 食堂のおばちゃん達は、早くも次のパン構想論で盛り上がっていた。
 新メニューパンができたら、またしても抗争になるのだろうか?

<争奪戦のおまけ>
「三崎先生〜お疲れ様〜」
 憎まれ役を買って出た三崎にも、カレーパンが手渡された。
 早速1口食べた三崎の感想は、もう少し辛いほうが‥‥であった。
 南米で激辛に慣れてしまった彼にとって、カレーパンの辛さは物足りなかったようで。
「自分は、生徒達に対して辛い存在だっただろうな‥‥」
 全て食べ終えた後、ふとそう思う三崎だった。