タイトル:【ACE】昆虫軍進撃マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/08 01:29

●オープニング本文


 大規模作戦が一段落してから暫くの事だった。
 ロサンゼルス内部は比較的平和なのだが、周りが危険と言うことは変わりない。なにより、橋頭堡がステアーの被害を被ったことにより防衛能力が激減しているからだ。
 サン・フランシスコで、待機命令をうけていたジェームス・ブレスト(gz0047)は、偵察KVの情報をいち早く聞きつけ、いまはロサンゼルスにいた。もし、UPC北中央軍が全戦力をロシアに向ければ、余計に危機にさらすようなものだ。それが、彼が此処に残っている最大の理由であった。彼が守るという壱にいることで士気は一定に保たれていた。
「偵察兵から入電。メキシコからバグアのワームの群が進軍を開始したようです」
「やはり、こちらの隙をついて、壊れた橋頭堡を落とすつもりだったか」
 急いで彼は身支度をする。
「ラスト・ホープにも連絡入れておけ。緊急だ」
 彼はそう言って、今回の状況を把握する。

「奴さんは何機だ?」
「砲台蠍ワームが5、クワガタワームが4、トノサマバッタワーム3です」
「おおいな」
 上空から偵察したウーフーの情報によると、トノサマバッタは恐ろしい跳躍力で先行しては、周りを破壊しまくっている。クワガタは大きな顎で林を伐採しながら突き進む。蠍は偶に地下に潜って、どこからともなく現れる動きを見せていた。威嚇射撃には蠍の地中から放つ不意打ちプロトン砲や、バッタの超跳躍の蹴り(何とか回避)などがあって厄介らしい。蠍以外は、何らかの形で飛べるようだが、空中専用機ほどではないらしい。
「まるまる、昆虫部隊かよ。そんまんまでは、捻りがないよな。まあいい‥‥、標本針で展示しがいがあるんじゃないか? 野郎ども、昆虫採集の開始だぜ」
 先行し彼が部下と共にKVにて出撃する。
 こんかいは、彼の隊と、傭兵達で挟み撃ちするという作戦に出たのだ。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
アッシュ・リーゲン(ga3804
28歳・♂・JG
熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
九条・縁(ga8248
22歳・♂・AA
火絵 楓(gb0095
20歳・♀・DF
仮染 勇輝(gb1239
17歳・♂・PN
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA
ルノア・アラバスター(gb5133
14歳・♀・JG

●リプレイ本文

●ジェームス達の足止め
「傭兵達は?」
「今出発したところです」
「OK! OK! 俺たちはここから先にワーム共を止めるぜ!」
「了解!」
 ガトリング砲での弾幕で徐々に距離を詰めていくジェームス・ブレスト(gz0047)のKV達。プロトン砲が来ると回避やピンポイントフィールドでのダメージ軽減をはかり、一歩も動かなかった。ワーム達も先に進めない苛立ちを隠せないでいる。

「伊織よろしぴね〜♪ サソリにクワガタ、さらにはバッタかぁ〜本当に昆虫採集みたいな敵さんだね〜♪」
 火絵 楓(gb0095)がロッテを組むことになった鳴神 伊織(ga0421)に話かけていた。
「はい、よろしくお願いします。しかし巨大キメラなら分かるのですが、ワームとは‥‥」
「‥‥でも気にしない方がいいかもね! さっさと倒そうよ」
「ですね。‥‥いつものことですね」
 常に明るい楓と落ち着きのある伊織の対照的なコンビは、どの様に活躍するだろうか。

「ジェームス隊のウーフーとデータリンク完了。こちらの計測器は設置完了だね〜」
 ドクター・ウェスト(ga0241)が雷電から地殻変化計測器を地面にセットし、ジェームス隊のウーフーにリンクする。ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)と熊谷真帆(ga3826)もウーフーからリンクして、戦況を空から警戒、索敵を開始し、ワーム達の動きに目を見張る。
「空は真帆ちゃんのお庭みたいな物です。でも、ゴールデンウィークでもお勉強なのです。優等生はいつも勉強なのです」
 真帆が雷電で空を飛び、陸上から見えない些細な点も見逃さない。サソリの数が少ないのは恐らく潜っているからだろう。どこからでるかは未だ分からないが注意が必要だ。
「距離を取って、迂回してくださいです。コースを送りますです」
 ウーフー経由で、全班に通達した。
「ほう、流石ジェームス。上手いこと食い止めているな」
 ロッテを組んでいるホアキンが弧を描くように、戦域を見ている。バッタが威嚇で光線を放ってくるが、回避する。相手の気が、空中班とジェームスに向けられている。此は好都合だ。
「俺は計測器をこっちに設置します」
「任せたよ〜」
 仮染 勇輝(gb1239)のR−01が地殻変化計測器をドクターの測定位置に被らないように設置し、移動を開始。暫くして、地殻の変動のアラームが鳴る。
「サソリがここからでる! 気をつけろ!」
 勇輝は尽かさず、ウーフーと僚機に通信を入れた。

 迂回している6機は、丁度サソリがでるところを通っていた。
「あっちも迂回し、攻略するつもりだったのか?」
 九条・縁(ga8248)が舌打ちする。彼のディアブロが、ブレーキをかけて3.2cm高分子レーザー砲を構えた。
 データの解析により特定された場所から土が盛り上がり、機械と生体が融合された不気味な物がでてきた。その数は2本で、プロトン砲が発射される。幸い能力者の反応が早く回避する。こっちも銃などで反撃するが、直ぐに地面に潜った為、かわされてしまった。
「あぶないな‥‥」
 鹿島 綾(gb4549)のが僚機ルノア・アラバスター(gb5133)の阿修羅を庇いながら、機盾「レグルス」を構えていた。
「まだ、潜っています、ね‥‥」
 ルノアの阿修羅が匂いを嗅ぐような仕草をしている。こちらも足止めされた感じになった。
「諸君! 奴らを纏めることはできないかねぇ?」
 ウェストの声。
「やってみよう」
 アッシュ・リーゲン(ga3804)のロビンの『リアノン』が動いた。
「楓と伊織は先に挟撃ポイントに!」
「了解!」
「分かりました」
 ドクターは何か案があるのだろう。計測器から位置を予測し‥‥、
「よしよし‥‥いまだ! よけるんだね〜!」
 ドクターの叫び声。一気に散開すると。地面からボコっと大きな物体‥‥サソリの針‥‥が出てくる。芽が生えてきたような風にも見えた。
「(1匹だけしか、出てこなかったか。でもいいか‥‥)今必殺の〜、帯電粒子加速砲〜!!」
 ドクターの雷電から帯電粒子砲が発射される。丁度其れが、一番近い針に命中し、爆発する。苦痛に訴えるようにサソリワームが体を出してくる。怒りにまかせて暴れているようだ。
「行くぞ『リアノン』」
 アッシュが、ロビンで練剣『白雪』を思いっきり振って、悶えるサソリを焼く。
「虫けらは膾にさせてもらう!」
 縁が真ツインブレイドでサソリを切り裂く。回転した刃が、尾や胴体を切り裂き、文字通り膾にした。
「よし、後1機っ!」
 機体の背中に爆発を背負い、縁とアッシュは残っているサソリワームを探す。
「‥‥ここ、です!」
 ルノアの阿修羅が、綾の死角を狙っていたサソリに気付いて飛びかかる。
「ルノア?!」
 ネコ科の動物が獲物を押さえ込むように阿修羅は動く。サソリはぶんぶんと阿修羅を振り落とそうと躍起になり、しまいには尾で叩く。しかしルノアの阿修羅はしがみついて離れない。
「ドリルアタック、一気に、貫きます‥‥!」
 尾の根元に向かって前足に着いているレッグドリルを突き刺す。機械部品と虫の液が飛び散るなか、サソリは更に暴れて、ルノアの阿修羅を投げ飛ばす。阿修羅はゴロゴロ転がっていく。
「あうっ! きゃう、きゅー!」
 ルノアはコクピットの天と地が逆になるなか、尾があまり動いていないことまで破壊できたという手応えを感じる。
「よくもルノアを!」
 綾のディアブロがソードウィングで、今にも千切れそうな尾を切断する。そのあと、至近距離からの試作型「スラスターライフル」 が火を噴いた。サソリはそれで沈黙し、小爆発を起こす。
「大丈夫か? ルノア!」
 綾は彼女を心配しルノアの阿修羅に駆け寄るが、阿修羅は、大丈夫というように起きあがった。
「未だ、大丈夫です。転がった‥‥、だけですから」
「そうか、なら行こう」
「はい」

●クワガタの脅威
「向こうが2機を撃破か?」
 ジェームスが飛んでくるバッタワームの腹をハイ・ディフェンダーで切り裂く。バッタワームは空で爆発した。
「残機は?」
「まだまだ多いです」
「気を引き締めろよ」
「了解!」

 クワガタワームがしつこいジェームス達の壁を飛び越そうとして、離陸してきた! 数は3!
「やばいな、飛んで来やがった。しかし、遠しはせん」
 ホアキンのK−02小型ホーミングミサイルが、空を覆う。そのミサイルの雨霰を被弾しながらも、クワガタワームは怯まない。しかしかなり深手は負っているようだ。
「宵越しの弾は持たないですよ!」
 真帆が一気にミサイルを全発射し、K02の直撃で弱まったクワガタ1体を確実に撃墜した。
「頑張っているんです! ってきゃああ!」
 別のクワガタが、真帆の雷電を大顎で挟み込みチャージをしている。真帆は操縦桿をしっかり持ちながらも激しく前後にゆれる。
「くうっ、油断大敵なのですねっ!」
 真帆は操縦桿を握りしめて自力に脱出し。クワガタは少し旋回して真帆の雷電を追う。真帆を援護するようにホアキンの雷電が超接近し、ソードウィングによりクワガタを切り裂いた。空中でクワガタは爆発する。
「危なかったのです。助かりました。敵は意外に素早かったです。まだまだ勉強しないと行けないです」
「そうだな、次行くぞ!」
 そして、2人は連携して、もう一機を撃墜させる。
「逃してしまいました!」
「後ろには‥‥勇輝、ドクター?!」
 逃してしまったようだが、K−02の直撃でかなり痛手を負っているはず‥‥。大丈夫だろうか?

「後ろに逃したのか!?」
 誰かの荒げた声。後ろにはドクターと勇輝しかいない。
「こっちまできたか! 通さないよ〜」
 ドクターが接近する。帯電粒子砲のチャージを待っていることは出来ない。
「前の俺とは違うんだ!」
 勇輝は、クワガタワームを目視したと同時に、3.2cm高分子レーザーを撃ちながら接近する。
「‥‥そこ!」
「ヴィガードリル! レッグドリル!」
 激しい格闘戦となっていく。勇輝の援護射撃とドクターのドリル攻撃のなか、クワガタもチャージなどで反撃してきた。お互い傷を負いながらの戦いになるとおもったが、クワガタは先の空戦で傷を負っていた。最後には勇輝のディフェンダーがドクターのドリル各種が、クワガタワームの脆い部分に直撃。そのままクワガタは動かなくなり、爆発した。
「‥‥ふぅ、何とかこの後ろを守ったよ〜」
「しかし油断できないな‥‥」
 しかし、未だ緊張感は持っている。

●挟撃?
「先には行かせません」
「それいっけぇ!」
 伊織と楓のロッテが、斜め後ろから攻撃を開始する。バッタは後ろを振り向こうとしたところ、別角度からの綾とルノアの班が援護射撃し、光線はあらぬ方向に発射された。サソリはプロトン砲弾幕を仕掛けてくる。
 周りを囲まれたと思ったワーム達は、一気に突破攻撃を仕掛けてくる。バッタは跳躍し、相手のKVを踏みつける。しかし、一行は、脚に狙いを定めて、打ち抜いて無力化させようとしていった。しかしそれでも、装甲が堅く、サソリの潜伏砲撃で苦戦する。プロトン砲をかわすと、バッタの目からの光線や、クワガタの大顎がまっており、其れを掠めてしまうか直撃をくらうのだ。
「虫にしては頭いいな、こいつら!」
 縁がクワガタの大顎攻撃で武器を落とした。しかし、一旦間合いを離れて別の武器で反撃する。
「チャージOKだよ〜。諸君よけて〜」
 ドクターの通信だ。帯電粒子砲のチャージが終了し発射するようだ。
「みなよけろ!」
 屈み込む者、横に飛ぶ者で、一匹のバッタがドクターと目が合う。
「もう一撃だよ〜!」
 帯電粒子砲が、バッタの目を焼き切った。
「援護するよ!」
 帯電粒子砲の威力で転がるバッタに、楓がR−P1マシンガンの二丁同時発射で、他のワームを寄せ付けない。
 そこで、伊織のシュテルンのウアスが、バッタの甲羅を破壊し、ジェームスのシュテルンのハイ・ディフェンダーがバッタを切り裂いた。バッタは爆発炎上する。
「む、逃げるようだね〜」
 ドクターがレーダーを見ると、残ったワームが撤退を始める、クワガタは低空で飛んでいき、残ったバッタは跳躍して逃げ、サソリも地面に潜って地殻変化計測器の外側に出て行く。あらかじめドクターや楓達が広範囲に計測器を設置しているため、サソリの移動方向を考えると、逃げたと言える。戦況を調べる空戦班から、数十秒後に、目視にて(陸に於いての)戦闘範囲外に、サソリを発見した。
「何とか守り通したな」
 アッシュが、シートにもたれかかってため息を吐いた。
 そこで、通信回線がオープンになり、スピーカー越しで大きな声で楓の声が響いた。
「ようやくおわり〜‥‥。ふへ〜。 もう限界〜!! もうイヤ〜!! 昆虫採取なんて、大嫌いだ〜〜〜!!」
 我慢していたのだろう。

●俺に言われてもな
 戦いのなかで負傷した一行は、ドクターの練成治癒にて、有る程度回復した。完治とまでは行かなかったようだが。
 休憩中に、ジェームスがラフな格好でやってくる。
「やあ、助かったぜ! あんたらが直ぐ来てくれたから、撃退できた」
「殲滅はできなかったけどな」
 各々がそう言う意味を込めていった。
「なに、トリッキーに動く奴を撃退できたらよしとしようぜ。季節はずれの昆虫採集だったな」
 アッシュが言うと。ジェームスも頷いた。
「そうだな」
 そこで、練力を限界まで使い、汗をかいているドクターがジェームスに向かって、
「けひゃひゃ、我が輩がドクター・ウェストだ〜」
「おお、噂には聞いている西研の‥‥。 ‥‥何怒ってるんだ?」
 しかし、どうも怒気を感じるので、ジェームスは戸惑っていた。
「君のお父さんには、かなり世話になっていてね〜」
 そう、ドクターは強化がなかなか成功しない上色々あって怒気混じりなのだ。
「それは‥‥俺に言われても困る。俺もブーツがくず鉄にされたし‥‥」
 ジェームスはこめかみを抑えて、片方で、ドクターの肩を叩いていた。
「なんと、ジェームス君、君もか!」
 彼の表情から彼も『犠牲者』だというなら、流石に怒る先は本人だけと言うことが良いだろう。子に罪はないだろう。

 勇輝がジェームスに近づいてくると、
「勇輝、よくやったな」
 ジェームスは彼を褒めた。
「あ、ありがとうございます!」
 その言葉で彼は救われた気がした。
 基地内にジェームスを呼ぶ放送が聞こえる。
「む、又何か俺に指令のようだな、じゃ、お前ら、ゆっくり休めよ!」
 と、彼は颯爽と去っていった。