タイトル:緊急出撃マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/01/28 01:28

●オープニング本文


 ロサンゼルス。ハリウッドが解放されてから数ヶ月。周りは復興の兆しを見せ始め、映画撮影の企画などが各所で行われていることだった。しかし、解放されたとはいえ周りは未だ競合地区が多く、バグアがまた攻めてくるという可能性は十分にある。
「サンディエゴ方面から動きだと?」
 橋頭堡を守る上官が部下からの偵察情報で眉をひそめる。
「はい、『鯨』が数機降りたという偵察機からの情報です」
「又此処が争いの場になるのか‥‥。バグアめっ!」
 上官は拳を握る。
 常に警戒はしている為に、不意を打たれることはそう無いのだが、復興の兆しのあるこの地域をまた血の海にはしたくないのだ。国民的心情もある。
「しかし、今回奇妙なワームも発見されています」
「なんだ?」
 偵察機から撮った写真は、上官も驚くものだった。
 ビックフィッシュよりは小さいのだが高さ20mのは虫類‥‥恐竜のようなもの物理兵器、砲台などを付けた、完全にキメラにして大きすぎる『生体ワーム』だった。
「ジャパニーズ・アニメなどにあったな‥‥こういう『おもちゃ』や怪獣は‥‥。アメリカでも一部人気がこうじて映画にもなったな‥‥其れで壊すつもりか‥‥この場所を‥‥」
 もし、これが迫ってきたら、戦況が一変しそうな大型砲台となってしまうだろう。
「入電。既にこちらに向かってきます! 亀3、サソリ型5、ノーマルゴーレム5、HW6、キメラ測定不能! そして、あの超大型です!」
 別の部下が偵察兵の暗号を読む。
「戦闘配備! 傭兵を直ぐに呼び出せ!」

 未だ距離にしては50マイルかそれ以上。橋頭堡にあの巨大ワームが近づかないようにするには遊撃に適した傭兵を雇うほか無い。しかし、既にバイパーをはじめとしたKV部隊が、潜行するバグア軍と交戦している。
「君たちを呼んだのは他でもない。この超大型の謎の砲台ワームを倒して貰いたい。おそらく、恐竜は砲撃に特化し手居る外観だが情報はほとんど無い。周りに固めているのは亀全部とゴーレム数機ぐらいと思う‥‥」
 交戦状態の中、橋頭堡部隊の上官が言う。
「他のワームやキメラは我らで倒す。君たちは迂回し、側面からこの巨大ワームを倒してくれ」
 彼は巨大ワームのコマを倒した。


 一方、サンディエゴの豪邸。広場には様々なワームが
「ポスト・タートルワームの生体ワームですか‥‥其れをテストとは‥‥」
 眼鏡をかけ、紳士のような風貌の男が、モニターを眺めている。
「映画は良い。歴史や知識が詰まっている。感動や浪漫もある。人間の愚かさを知るための貴重な資料です」
 ワームに付けているカメラから、全てを見ている。
『アキラ、成果などはしっかり書いて、改善策を考えないと行けません』
 彼より上の存在からの通信。
「分かりました。我が主」
 彼は恭しく答えた。

●参加者一覧

緋室 神音(ga3576
18歳・♀・FT
セージ(ga3997
25歳・♂・AA
緋沼 京夜(ga6138
33歳・♂・AA
砕牙 九郎(ga7366
21歳・♂・AA
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
九条・縁(ga8248
22歳・♂・AA
暁 古鉄(gb0355
22歳・♂・DF
蒼河 拓人(gb2873
16歳・♂・JG

●リプレイ本文

●出撃
「折角復興し始めてるんだ。この場所を戦火になんて曝させないよ」
 蒼河 拓人(gb2873)パイロットスーツに着替え、愛機のミカガミを見上げつつそう呟いた。
 敵はまだ50マイル先。しかし、橋頭堡にはキメラとUPCが戦っている。遊撃できる傭兵が迂回し、超大型のワームを倒さなくてはならない。
「そうだな、こんなのが大暴れしたら大惨事だ。そうなる前に何とかしねぇと!」
 砕牙 九郎(ga7366)が雷電に乗る。
「‥‥一年前の屈辱をはらすぞ‥‥」
 緋沼 京夜(ga6138)はディアブロにのり、1年前の無力さをかみしめて操縦桿を握り、
「緋沼京夜、スルトでる」
 滑走路からディアブロ・スルトを大空に舞い上がらせた。
「く! ‥‥バグアは本気で俺達を潰すつもりなんだな!? 面白い!やってやる!」
 九条・縁(ga8248)が日本の玩具みたいなワームが、何処のデザイン元のことを知っているようで、戦慄と驚きを隠せないまま、飛び立っていった。
「拓人。いくか!」
「うん」
 セージ(ga3997)はシュテルンから、友人の拓人に通信を入れ一緒に飛び立っていった。
 続いて、緋室 神音(ga3576)、飯島 修司(ga7951)、暁 古鉄(gb0355)と、飛び立っていく。

●対峙
 途中、気が付いた橋頭堡を狙うバグア軍が、対空砲火で撃ち落とそうとするも、UPCのバイパー混成部隊によって阻止される戦場を見下ろしながら目的地まで無事たどり着いた。着陸するときに、目標の敵が、プロトン砲を撃って来るも、全く当たらない。おそらく弾幕で着地を邪魔するだけなのだろう。勿論、後方にいたUPC軍の援護があってのことで、全員無傷に着陸し変形した。
『任せたぞ、傭兵諸君!』
「ああ、まかせとけっぱばよ!」
 九郎が答える。
「いくぜ! 挟み撃ちだ!」
「OK」
「魔眼、いきなりかっ飛ばすぜ!」
 左右に4機と4機で展開し、挟み撃ちをする作戦をとっていた。九郎や京夜、修司、縁は右から、セージ、拓人、古鉄、神音は左からである。一気に全員ブーストし、散開した。直後に、奧にいるタートルワームや大型の巨竜砲台、毒針がプロトン砲になっている蠍型のワームの一斉砲撃してきた。もし、二手に分かれる事が遅かったら、何機か酷いことになっていただろう。それも、1秒の差である。しかし、衝撃は、彼らに伝わっていた。
「あぶないわね!」
 神音が毒吐き、3.2cm高分子レーザーで牽制していく。
「これでも喰らえ! ロックキャンセラーON!」
 古鉄が魔眼ブーストし、40m先に向かってG−44グレネードランチャーをゴーレムが屈んでいる所(後ろの砲撃に備えた構えだ)に投げ込んだ。
「暁さん!」
 九郎も反対側で煙幕を張る。辺りは暗闇につつまれて、焦ったように蠍がプロトン砲を撃ち続け始めたようだ。
 煙の中で爆音がするが手応えがあったか分からない。
「いけたか!? うわ!」
 煙の中を急に出てきたゴーレム3機は、九郎と古鉄に肉薄して、剣を振り上げる。その姿は重戦士のようだった。盾が焼けており、爆風を受け止めていたことが分かる。
 ロックオンキャンセラーによりゴーレムの剣筋がずれていく。その隙に古鉄はビームコーティングアクスで叩き斬る! 胴体を袈裟斬りされたゴーレムは反撃に剣を大きく突き、イビルアイズの肩にめり込ませる。九郎の雷電の装甲は堅いのだが、運悪く、ゴーレムが2機出てきて、逆に挟み撃ちされ、片方はセミーサキュアラーで受け止めるも、もう片方は防ぎきれなく深く斬られた。装甲がバックリと、開く。
「ぬおお! こなくそ!」
 衝撃で揺れる九郎。それでも、何とか操縦桿を握りしめ、アクセルを踏み踏ん張り耐えた。
「其処のゴーレム私が相手だ!」
 飯島のディアブロがロンゴミニアトを構え、ゴーレムに突撃しそのままゴーレムもろとも、九郎の視界から消えていく。もう一機は後ろで援護射撃していた、縁のディアブロのハンマーボールが、ゴーレムの左腕を盾ごと潰した。
「九条さん、ありがとだってばよ!」
 九郎は一気に、セミーサキュアラーで真一文字に斬る。大きな爆発とともに、次へと標的を目指そうと向きを変えた。京夜が蠍やタートルワームの暗闇からの砲撃を何回か暗いながらも、踏ん張りつづけ、修司が戦いやすいように援護射撃を続けた。
「飯島が戦いやすい様にするのは俺の役目だ! 思いっきりやれ!」
 神音、京夜が煙幕外から現れたもう1機のゴーレムを牽制攻撃と、狙い撃ちを上手く行う。ゴーレムはかわしたり、盾で受け止めたりするも、徐々に弱体化していることが分かり、後退していく。
 修司とゴーレムは、剣で打ち合いになっている。つばぜり合いが続くも、巧みにハイ・ディフェンダーで受け流してカウンターで斬る修司のディアブロ。しかし、ゴーレムの盾に隠し持っていたガトリング砲を胴体に直撃し怯む。
「そんな隠し球を! しかし、こんな所でやられるわけにはいきません! アグレッシブフォース!」
 修司が、ロンゴミニアトを胴体に突き刺した。直後液体火薬全弾を打ち込むと、ゴーレムは爆発した。
 同時に、神音の援護射撃で古鉄は一旦退いて、セージと拓人が残りの一機のゴーレムと戦う。煙幕から出てきた蠍型が詰め寄ってセージを狙おうとする。拓人のミカガミが機刀「玄双羽」で受け止め、はじき飛ばす拓人に、一歩退いた古鉄の援護射撃で、難を逃れた。蠍は一旦退く。
「サンクス!」
 セージはすぐさま、ヒート・ディフェンダーでゴーレムを斬るが、盾に受け止められる。
「このぉ!」
 相手の反撃が来る前に、蹴り上げて防ぎ、間合いを取った瞬間、拓人が横からのプレスティシモでゴーレムにクリーンヒットさせる。蹌踉めくゴーレムに、セージのヒート・ディフェンダーが縦一文字にゴーレムを斬った。
「流石だぜ! 拓人。ナイスアシスト」
「当然だよ!」
 心の中でハイタッチする親友のセージと拓人。
 蠍は、そのあいだにさらに退いて、超大型を守るようにプロトン砲を撃っていた。運悪く、セージと拓人、神音、古鉄は被弾し、苦痛を伴ったが。しかし未だ動ける。今倒れては、ロスが危ないのだ。

●超大型ワームの脅威
「固まったと言うことはこっちが有利になります!」
 修司が煙幕銃でまた辺りを闇に包む。しかし、タートルワームの砲撃も彼に命中させた、体の一部がとけていた。
「此処は何とかするってばよ!」
 九郎が、スラスターライフルを撃って、接近する隙をうかがう。
 また、煙の闇の中で爆発する。神音のディアブロが投げたG−44が炸裂したようだ。レーダーでは、まだワーム達は動いてこちらの位置をみているようだ。
「しかし、あのでかさだと‥‥うわぁ!」
 かなり的確に、上からの光の帯が九郎を狙う。掠った程度だが、それでも威力は尋常じゃなかった。
「まさか、煙を越えて?」
「いや、レーダーかもしれない!」
 京夜が援護射撃をする。
「これはやばい、セージ、拓人、亀を任せる!」
 古鉄がセージと拓人に通信を入れた。
「わかった」
「いくよ、セージ君」
「おうよ!」
 セージと拓人の華麗な連携で煙の中でも確実に亀を1体倒した。
「やはり、亀自身はレーザー系に弱いんだな!」
 煙が晴れてから、蠍が、ディアブロとミカガミに襲いかかるが、なんとか持ちこたえる。他の亀は全て撃ち尽くしたのか、手も足も甲羅の中に収め、ピクリとも動かないようだ。京夜と古鉄、神音、修司が襲ってくる蠍を迎撃するあいだに、九郎がブーストで超大型恐竜ワームに横から吶喊する!
「ぬおおお! ばにしんぐなっこぉぉ、サイガクラッシャー!」
 とか、叫びながらバニシングナックルで、ワームを殴りつけた。電流が走り、蜥蜴か蛙かよく分からない気味悪い叫び声がする。しかし、それでも怯まず、九郎に向けて口から、真っ黒い何かをはき出す!
「ええっ! まるっきり怪獣だってばよ!」
 黒い球は九郎の雷電を直撃、中にいる九郎は、何とも言えない倦怠感と吐き気に襲われる。まるで、生命力が奪い取られるような感じだ。
「砕牙!」
「九郎!?」
「九郎さん!」
 仲間が心配して援護射撃や斬りかかったり、突撃してたりしても、ワームは見向きもしなかった。ワームはセージと拓人のKVを尻尾でなぎ払い、吹き飛ばす。咄嗟の判断で、セージはシュテルンのPRMを起動し、運良くかわすも、拓人と修司が直撃し、ミカガミとディアブロが転がっていく。
「拓人ぉ! このお!」
 ビームコーティングアクスで、尾を叩き斬るも、あまり効果がないように思えた。
「こいつを止められないのか!」
 セージが叫ぶ。
 そのまま雷電が墜ちそうな状態だったが、中にいる九郎は敵を睨み、操縦桿を、思いっきり前に倒す!
「ここで、踏ん張らずに、Titaniaの盾になれるかってんだぁ!」
 踏ん張る九郎。雷電はしっかり立つ。
 しかし、相手は目の前だ。この距離からだとかわしきれない。ワームは雷電に噛み付き、そのまま又あの黒球を直撃させるつもりだ。
「はっ! このときを待ってたぜ!」
 九郎の雷電は残ったG44を投げ入れ爆発させる! 爆炎で周りが見えなくなっていくが、口が砕けたワームはまだそれでも怯まず、爪で九郎の雷電に襲いかかる!
「まだ、倒せねえならこれで!」
 襲いかかるワームに九郎は、無理矢理ワームの傷口にスラスターライフルを差し込んだ。
 G−44の爆発の上に更に、大爆発が起こった。

 土煙がまだ収まらないなか、九郎のモニタ越しで安否を確かめる全員。
「九郎! 大丈夫か!」
 セージが叫ぶ。
「‥‥無茶するから‥‥」
 神音が呟く。
「‥‥だ‥‥じょうぶだってばよ」
 通信がした。
 煙が晴れると、そこには顔が無くなった超大型ワームの亡骸と、同じように顔と両腕のない雷電があった。装甲の塗装もはげて、鈍い金属色なっている。先ほどの爆発で、周りの亀や蠍も自身も焼き殺されたように焦げている。
「頑丈だけが‥‥げほげほ‥‥とりえだってば」
 皆に心配かけないように笑って、九郎は無事であると答えた。
 ‥‥雷電は大破したが、ロスの危機を食い止めた英雄である。

●戦い終わって
「ぎゃあ! いたいって! もう一寸優しくして!」
「はいはいはい、叫ぶ元気があれば安心だわな。麻酔打つだけで、わめくなって」
 医務室で泣き叫ぶ、九郎。
「ああ、ホント元気な奴だ」
「‥‥いつもあんな感じなのですか?」
 修司が訊くと、セージは頷く。
「皆に愛されてるからな。けっこう弄りの方向で」
 セージの言葉に拓人は苦笑していた。
「不死身の男か? しかし生きていて良かったな」
 京夜が言う。
 九郎は、暫く絶対安静確定だと、医者は言った。雷電の修理や武装の修理も暫くかかるだろう。
「彼は‥‥いろいろゆっくりした方が良いわね」
 神音はふぅとため息を吐く。
「あそこまで、日本玩具を再現されては困るな‥‥。あの帝国でも作るのか?」
「それは‥‥困るなぁ」
 日本人の男は今回のことで子供時代を思い出し、其れと戦うことが、何か複雑な心境になった。

 かくして、ロスの危機はひとまず去ったのだった。


●サンディエゴ
「行動的に鈍いことが判明しています。ただ、防御全般に於いて、外部からの攻撃をほぼはね除けていることが分かりました」
 アキラが電話らしいもので、誰かと話していた。
『わかりました、報告書をまとめ、帰還しなさい』
「了解」
 彼は、すっと立ち上がり、サンディエゴから姿を消した。