タイトル:周辺治安マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/05/31 16:19

●オープニング本文


 解放戦により、どちらにも属さなくなったシカゴ周辺とデトロイト。それにより、治安は悪化するばかりで、再びバグアの手に落ちれば、大変なことになるだろうと、軍部は言っている。
 しかし、其処の警備まで、軍が手を回せない状況下は変わらない。犯罪者に対してかなりの厳しい監視と抑制をしていても、凶悪犯からなった能力者による犯罪は起こっていた。
 情報では、競合区域からきたバグア派の人間や、この陸上戦で堕ちた能力者が徒党を組み、好き勝手にやっているという話も聞くのだ。これでは、傭兵の品を疑うことになる。もし、デトロイトまでこうした輩が入り込む、もしくは難民キャンプからできた一つの村に、スパイが入ってきているとなると一大事だ。

「はあ、また強盗事件‥‥。よくやるぜ」
 ぼさぼさの髪の毛を掻いて、軍服をラフに着ていた男が溜息混じりにデスクに座る。暫くすると目の前に綺麗ななりをしているいかにも『上司』が男の前に立った。
「これは上官殿!」
 男は、襟も正し敬礼する。
「ウィルソン少佐。君に頼みたいことがある」
 上司が彼に声をかけた。
「はい、なんでしょうか」
 いきなり言われて、とまどう男は、ウィルソン・斉藤(gz0075)。
 米陸軍やUPCの能力者だ。
「デトロイト周辺の治安が悪くなっているのは分かっているだろう」
「はい。先ほども数名逮捕もしくは、抵抗したことにより射殺しました」
 そう、デトロイト周辺は一般の犯罪は多いのだが、厳しい監視と抑制下に置かれながらにも、再犯を犯す能力者の犯罪が後を絶たないのだ。戦乱に隙を見つけて、逃げた者が多いようである。
「‥‥。その腕を見込んでだ。この徒党のボスのアジトを突き止め、叩いて欲しい」
 指名手配の顔写真と大きな茶封筒。そこには『北米解放戦線:ブルーフリーダム』と書かれている。
「‥‥了解。しかし、徒党についての情報はこれですか?」
 彼は資料を見てから、溜息が出る。情報量がかなり少なかったのだ。
「ひょっとすると、俺が全部調べろと?」
 彼の言葉に、上司は苦笑する。
「ああ、今はこれぐらいしかない。だから君の力が必要不可欠なのだよ。『見つける者』よ」
「はぁ。俺は其処のへんは手を引いたんですけどねぇ。家族すら疑り深くなったもんですから」
「しかし、此は君にしかできない」
「‥‥わかった。‥‥わかりましたっすよ‥‥」
 彼は目の前でため息を吐いた。
 上司は、彼の性格を知っているのか、苦笑するに留まった。
「頼むぞ、斉藤」
 そして、彼の捜査が始まる。

 どうも、機械や残骸を集めていたり、資金源として集落を襲っていたりしていることが分かった。ゴーレム等の操縦するワームも調べているという話もある。また一般戦闘機の機材も盗んでいるようだ。
「うわあ、ジャンク集めて、KVでも動かせるようにしてやがるのかねぇ? まてよ。おい、こいつらどこかを占拠してないか? まてよ。おい、こいつらの中に能力者がいるって話だよな? エミタのメンテとかどうしてるんだ?」
 情報処理の部下に尋ねると、
「その情報は全く、ありませんね」
 そう言う答えが返ってきた。
「そうか、エミタのメンテを受けられないとなると、奴さんは焦っているか、もう諦めたかだな」
 能力者は最低月に一回、UTLの医療機関に向かい、エミタのメンテナンスを行わなければならないのだ。メンテナンス可能の医療機関を占拠することは、警備レベルとして普通の族には事実上不可能である。力も欲しいが、自分の刹那的な自由を優先したのだろう。
 情報をまとめていく。彼の嗅覚は、ものすごいスピードで、情報を手に入れるのだ。

 大きな公園の背もたれのないベンチでぼうっと座っているウィルソンの隣に、彼と反対方向で座る小柄でみすぼらしい男が座る。暫くすると、その男が口を開いた。
「お久しぶりですね、旦那」
「うるさい。持ってきたのか?」
 クレジットを数枚渡すのはウィルソン。
 男、情報屋は頷いて、札を数えるとニヤニヤ笑う。
「ほほう、大きなヤマって事ですか‥‥?」
「ああ、なにかねぇか?」
「それはですねぇ‥‥、やっぱ、能力者辞めて好きかってするようですぜ‥‥。じつは‥‥奴らは無茶もするそうで、えっと、その‥‥」
 情報を教えてくれる情報屋は、手で『足りない』という仕草をする。
「ぼったくりか‥‥くそっ」
 ウィルソンは渋々、もう一つクレジットを払う。
 情報屋は嬉しそうに続きを話す。
「そうか、わかった世話になったな」
「へへ、ありがとうごぜえます、旦那」

 こうした手段を使い込み、情報をまとめ上げていく。
「なにが『北米解放前線』だよ。ただの山賊だろが。大きな花火を上げたがっている馬鹿どもだ」
 ウィルソンは舌打ちする。
 そう、この山賊の親玉は、逃げ出してからあと、最高一ヶ月でエミタに支障が起こり、能力者として活動できなくなるのだ。しかし、KV自身はSESに関連するシステムと装備を使わなければ、普通の戦闘機より一つ頭を飛び抜けるレベルの戦力として使えるのだ。
「しかし、奴らが、数体のKVを稼働域にするまでに叩くしかねぇか‥‥。場所って‥‥ここか。」
 フィアナ・ローデンが訪れた難民キャンプから更に南、競合地区ギリギリの小さな廃墟の町のようだった。もし、この徒党が、手始めに難民キャンプを襲うとするならば一刻を争う。
「‥‥‥俺1人じゃダメだな‥‥。強行班で傭兵を雇うか」
 彼は上司に依頼を出す申請をし、すぐさま行動に出た。

●参加者一覧

花=シルエイト(ga0053
17歳・♀・PN
鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
比留間・トナリノ(ga1355
17歳・♀・SN
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
瞳 豹雅(ga4592
20歳・♀・GP
八神零(ga7992
22歳・♂・FT
月村・心(ga8293
25歳・♂・DF
優(ga8480
23歳・♀・DF

●リプレイ本文

●荒野にたたずむ廃墟
 元は小麦畑だったのだろう。枯れた穂が垂れている。
 ジープとバイクのエンジン音と砂煙。風が枯れ葉を丸めていく。まだ解放戦の爪痕が残る荒野に、8人の猛者が立っていた。目標地点の距離まで約200ヤードと言ったところだ。
 比留間・トナリノ(ga1355)が、双眼鏡から遠くを眺める。
「ありましたです。うっうー!」
 ウィルソン・斉藤(gz0075)の情報通りに、農家の家が点在し、まともな一軒家と納屋が見える。良い遮蔽となるだろう。勿論山賊ブルーフリーダムの移動車両数台も発見した。
「では、計画通りに3つに別れて素早く対処しましょう」
 優(ga8480)が、トナリノから双眼鏡を借りて眺めている。前もって計画した3つに分散し、正面班が派手に暴れ、移動手段とKVを破壊した後に挟撃という作戦である。彼女の黒髪が、風になびいていた。
「ああ、前の仕事の時と変わらないことをするような物だ。しかし能力者では勝手が違うだろうな」
 SWAT、PMCからの出身である月村・心(ga8293)が言った。状況などはあまり変わらないが能力者というだけで、何か飛躍的な物が変わるだろう。昔の時間の流れと今との流れを考える‥‥。
「人を撃つのは気乗りしないけど‥‥」
 月森 花(ga0053)が戸惑いがちにいう。いつもキメラだワームだと戦っていたが、流石に人間を撃つのは罪悪感を持つ。しかし、彼女が覚醒するとそう言う感情はなく戦闘マシーンとなる。故に誰もそれに文句は言わない。
 既に2名は別行動に移って、今居るのは6人。
 トナリノが、周りに鳴子、自動トラップがないかを注意深く探す。そして、見つけると気を付けるようにサインを送り、慎重に罠を外す。
「クリアーです! うっうー!」
 後ろに待機していたメンバーは『Good JoB』のサインをだす。
「少し斜めから向かうのでいい?」
 日本人だがエミタ移植により金髪になった女性、瞳 豹雅(ga4592)が言う。

 作戦会議で、彼女はこう言っていた。
「陽動と言っても、真正面から堂々と行くのは、露骨すぎるし相手に失礼ですわ」
 彼女の考えはシンプルであった。
「ああ、本当は拡声器で警告することだったんだが。‥‥それで良いだろう」
「その分、攻撃時は派手に、側面から来る2人の仕事がしやすいようにしよう‥‥まったく、力を得たのに何を考えているのか‥‥。愚かな」
 八神零(ga7992)が溜息混じりで言った。
 何かの動機。犯罪者だが、罪を償う道を選んだ者はいる。しかし、様々な理由で最悪な抜け出し方をすると言う。結末が決まっているのに。


●ミッションスタート
「カウント‥‥。5、4、3、2、1」
「スタート!」
 6人は覚醒し走る。若干、正面より斜めから‥‥。
 36ヤード、そこで相手は気付く。屋内が慌ただしくなるのがよく分かり、一気に銃声が辺りに響いた。一気に散開し、散らばっているテーブルや廃車に隠れてやり過ごし、接近戦に向かう者が一気に詰め寄りたいが、弾幕がきつく、足止めを喰らっている。
 トナリノが叫ぶ。
「!? 手榴弾です! うっうー!」
 窓から何かを飛んできたのだ。
「させない!」
 花が、宙に浮いたままの手榴弾を撃ち着弾前に破壊。爆発音と爆風が辺りを包む! その隙に、トナリノは隠密潜伏をつかいじわりと詰め寄っていく。
 母屋や納屋から出来てきた山賊に対し、スナイパー陣のトナリノと花が、銃を撃つ。的確に命中し倒していく。しかし、数が多くて、すぐに弾幕で隠れなければならない。
「かなり一般人がおおい!」
「上手く近寄れるように、何とかしないと行けません! うっうー!」
「なら、私に任せて下さい」
 優が立ち上がる。
 銃弾がかすめることもあるが、臆せず、彼女は月詠を上段に構えて‥‥、気合い一閃にてソニックブームを一気に4発放つ! そこで何かが分かる。
 すぐに飛び退いて致命傷を逃れたものが、能力者と。外に出ているのでは5人だ。
「ならば!」
 八神が飛び出し、構え直す能力者山賊に斬りかかる。相手も能力者で、剣で受け止めようとするが、彼は、すぐに後ろに回り込む! 流し斬りだ!
「はああ!」
「ちぃ!」
 しかし、相手もしぶとく、受け止めた。だが、八神の力が強く、渾身の一太刀で相手のSES製の剣すら破壊し、絶命させた。
「‥‥逃さない。ねらい撃つ‥‥っ!」
 花が、強弾撃を込めてもう1人の能力者をねらい撃つ。相手は吹っ飛び、ぴくりともしなくなった。

 一方、瞳は5人とは少しずれて‥‥瞬天速をつかい、接近していた。
(「うーん、どれが能力者か分かりませんなぁ」)
 隠れて窓から見ている。手には菖蒲とスコーピオン。
 相手は、銃撃戦で彼女に気がついてないようだ。
(「では、これで」)
 照明銃に持ち替え、もう片方で転がっている物を投げ入れて相手の注意をそらす。その瞬間に、照明銃を撃った。
 部屋内に眩しい光が満ちる
「うわ! まぶっ!」
 屋内の山賊が怯む。
 瞳の素早い菖蒲の斬撃、忍術で培った体術・暗殺術でそのフロアにいた全員を始末した。
「1フロア制圧。そのまま続ける」
 異常を知った別の部屋の連中が入ってくる。ここまで視認できれば気配で分かる。雑魚ばかりだ。
「さて、汚れは引き受けます。ニンニン」
 瞳は無表情に、山賊を蹴散らしていった。

 外にいる能力者は、3名。しかし、花と八神、優、トナリノ、月村の連携でものの2〜30秒にて1名に。その状態を見た雑魚は逃げるが、トナリノと花の銃弾から逃れることはなかった。
「こいつ強いね。」
 花が、背中に背負うライフルを構えて逃げていく
 相手は、無口な巨漢の男だった。そう、この山賊の頭領ボビー・ブラックベアだ。
 今対峙しているのは、月村。ナイフ二刀流で構えている。
「‥‥」
 月村は、長髪でナイフを自分ののど元に当てて斬るような動作をする。
 しかし、相手は『挑発』であるとわかり、すぐに仕掛けてこない。
「‥‥‥流石ボスと言いたいところ‥‥だが!」
「ぬん!」
 2人が爆ぜる。
 武器と蹴り、様々な格闘技術の接戦。他の仲間も割り込みたいが、間違って仲間を撃てない。さらには、遠くの方から、まだ雑魚が抵抗している。
「此処は任せろ!」
 月村が叫ぶ。
 その言葉で全員はかけていった。そこでまた1対1の戦い。
 お互い傷を負うのだが、月村は気合いを入れる。するとボビーから受けた傷が回復していく。
「俺はもう自由に生きるんだ! バグアとかもう関係ない! 世界がどうこう関係ないんだよ!」
 今まで無口だったボビーが叫ぶ。
「愚かなことだ!」
 月村は、冷静にボビーの爪をかわし、アーミーナイフで一撃が、全てを終わらせていた。月村の両断斬が、ボビーのルベウスの爪を破壊し、心の臓に届いていた。
「終わりだ‥‥」
 同時に、納屋を中心に爆発音が聞こえ、こちらに、強風が彼の髪をなでていった。


●爆破作戦
 枯れ葉の草原に、唐草模様のマントみたいなものが動く。
 自動車を破壊し側面攻撃をする担当の、漸 王零(ga2930)だ。
「ふむ、向こうはうまくやっているな」
 手榴弾が宙で爆発するのをみながら、忍び足にて歩く。
 納屋から、数名飛び出しては、銃弾に倒れている。
 その瞬間に、漸が駆ける。
「【狂える仮面】よ! 我が元に!」
 仮面が現れ、それを被る。
「行こう、国士無双」
 手に入れた国士無双。
 それを使うときが来た。
 一気に走り抜け、国士無双にて、途中にあった車を切り捨てていく。その威力は絶大。鉄を斬り、ハンドルまで切り裂いた。
 ぞろぞろ出てくる雑魚達はいきなりの横からの襲来に、驚きを隠せない。
「横からだと!」
 反応したのは能力者だ。漸は確信した。数は、3か?
「我が名は漸王零!! 万魂を断ち斬り葬る刃なりっ!! 貴様らに許されるは我が刃にて死ぬまで舞い狂う事のみと知れ!!」
 とまどっている雑魚をなぎ払い、そのまま能力者3人に肉薄する。1人の屈強な山賊が、大きな剣で国士無双を受け止めるが吹っ飛ばされている。奇妙な機械を持った男が、その吹っ飛ばされた者にかけよって、練成治癒をしていた。
 かなり数が多い。しかし、雑魚は雑魚。漸は何も動じない。
 納屋に元からあった、耕運機が迫り狂う。漸はそれに飛び乗り、国士無双を運転している者に突き刺した。インテークから煙が出る。同時に耕運機は止まった。
 彼めがけて一気に周りから銃声と、滑車つきクレーンフックが迫る。
「!?」
 滑車は、彼と耕運機もろとも破壊されたかのように見えた。
 しかし、落ちてきたのは、上に来ていた唐草模様のマントのようで何か異なる『何か』。周りの者はそれが何だったか分からない‥‥。
 漸はフックに上手く飛び乗っていた、多少、衝撃で怪我を負ったが、かすり傷。この不意打ちをのがれ‥‥‥、3人の能力者のまえに飛び降りる!
「!? 生きている!」
 誰かが叫ぶ。
「悪魂聖浄‥‥流派裏奥義‥‥無明、我が刃にて聖闇へと還るがいい!!」
 漸は飛び降りざまに、超機械を持った男は突き殺した。残るは先ほどの剣使いと、クレーンをうごかしていたスナイパーらしき男だ。
 更にもう2人加勢に来た。腕が光るのでよく分かる。しかし、マシンガンで威嚇射撃するだけだ。漸は耕運機に隠れる。
「逃げるぞ! 分が悪い!」
「ああ、わかった!」
 そのまま退散する残りの能力者山賊。
 だが、後ろの綺麗な着物女性が立っていることに気付くのが遅かった。
 和服美人にて鬼戦姫、鳴神 伊織(ga0421)。彼女の体から青白い炎が溢れていた。
「‥‥。追いつめました。終わりです」
 そう言うや否や、月詠が5人を切り裂く。
 その太刀は、華麗で戦慄を覚える。彼女が敵でないことが、安堵するものだと感じずに居られないだろう。
 雑魚は、それに恐怖する前に、漸の国士無双の錆となった。
「さて、KVは?」
「ここに来るまでに、3機ほど」
「早く破壊するか」
「そうしましょう、色々厄介になります」
 2人はKVを見ると、装備に呆れる。
 機体はR−01やS−01などの装甲、機器を無理矢理くっつけたようないびつさで、SES装備ではない兵装だった。斉藤から聞くところでは、KVは人型やSES兵装以外でなくても、かなり高性能な機体として空を駆れるというのだ。それを思い出せば納得いくものだ。
「能力者の寿命が無くなると考えれば、納得いく装備だろうな」
 納屋にあったKVの燃料タンクや、ガソリンをばらまく漸。
 人が使える武器庫ないようだが、普通の火薬を使う航空兵装だけはたくさんあるようだ。下手に弄れば大惨事になるミサイルなどがある。
「確かに此一個で十分のようですね」
「ああ、上手く設置しよう」
 誘爆する用上手く爆弾を設置し、2人は母屋のほうに向かう。1分で爆発するようにした。
 丁度、5人が、母屋を完全制圧したようだ。
「こっちは準備OKだ。離脱する!」
 全員が離れたあと、納屋を中心に、大爆発が起こった。山賊退治を成功した合図でもあった。

 少し治療の後、回収できるエミタは回収する。
 優は、彼らの墓を建てていた。
 誰かが「なぜ?」と訊くと、
「敵(バグア)なら墓など作りませんが、彼らは敵ではありませんので‥‥」
 と、答えるのみだった。
 彼女の考えを否定するわけも行かない。
 彼女の名前は優。『優しい』の優なのだから‥‥。


●斉藤は
 無事に帰ってきた一行は、対策本部はかなり慌ただしいものに驚く。斉藤のデスクは書類の山。部屋は数多い段ボール箱の山。とパソコン多数。引っ越しでもするかのようだ。
「なんなんだ? これ?」
 漸。
「忙しそうですね」
 伊織。
「なにか、始める気なのかな?」
 花。
 この本部の慌ただしさ。誰もがそういう感想を口にしてしまうほどだ。
「あ、これは、俺の新部隊の準備だよ。詳しいことはまだ言えないけどな」
 苦笑している斉藤は、癖毛な頭をぼりぼりと掻いている。どうも、先にある事件が厄介ごとらしく悩んでいるようだ。デスクに書類の山が重みで崩れ落ちる。事務員らしい人が急いでそれをかき集めていた。
「さて、今回の任務は有能過ぎる君たちなので、簡単だったな。事後処理はこちらで任せろ。本当ご苦労だった。又何かあったら、頼む」
 彼は皆に労をねぎらった。
「後々クレジットは振り込まれる。今回の報酬はこれぐらいだ」
 と、彼は言う。
「今度ともよろしくな。おっと電話がかかってきた。一寸失礼」
 彼は、丁度電話がかかってきたため、対応に追われていた。時には怒鳴っている。

 どうも、この先長い縁があるだろうと、思う傭兵達であった。