タイトル:【コミ】同人誌・原稿編マスター:タカキ

シナリオ形態: イベント
難易度: 不明
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/12/29 16:35

●オープニング本文


 長きにわたったバグアとの戦いは終わった。戦後処理に負われる中で、何を目指すかを各々が模索していることだろう。しかし、ヲタクの魂は留まることを知らない。
 東京が解放された時にヲタク達の歓喜は凄いモノだった。そして東京で流行っていたアニメなどを吸収し、ゆっくりとだが大阪でのヲタク文化はさらなる発展を遂げている。
 そして、全人類が手を取り合ってバグアを打ち負かし、徐々に平和な日常へと戻ると、必然とお祭りをしたくなるだろう。
 そう、大きな戦いが無くなった今、大阪の中ふ頭・アスタリスク大阪でヲタク文化復活と言うべき『コミック・レザレクション』を開催するというのだ!


「と言うわけで、同人誌を作ろうと思うわけよぉ」
 と、眼鏡を掛けては鬼の形相、そして、インクやトーンまみれになっているエスティヴィア(gz0075)が、親友フィアナ・ローデン(gz0020)に向けて言った。
「既に作っている状態でそういわれたら、『頑張れっ』ってしか言えないよ」
 フィアナは苦笑している。
 ちなみに、場所はラスト・ホープのエスティヴィアがよく缶詰で使うホテルの一室だ。ヲタクな傭兵との交流をするには、ここが一番いいからだ。
 状況が分からないから説明すると、エスティヴィアが同人誌を書くためにラスト・ホープにいる。そして、遊びに来たフィアナがいま、彼女が何をしているのかを把握した所である。
「あたしが手伝えることある?」
「飯スタント。フィアナもヲタクで幾度もあの群衆の中に入った猛者だろうけど、作り手側にはなってないよね?」
「ああ、そうね‥‥」
 フィアナは思い返してみると、あのコミレザの群衆の中に混ざっていたが、サークルとして何かを作って売ると言うことはしていなかった。それをするとまずファンから追いかけ回される。
「フィアナは歌があるから、そっちに力入れて欲しいのもあるし。でも手伝って欲しいという場合は飯スタントという手頃な役があるわけよぉ」
「ご飯ですか‥‥」
「ええ」
「わかった! 健康に良いものつくるからね!」
 和やかというとか、このままではエスティヴィアが倒れかねないという不安もあり、フィアナは手伝うことになる。
 そこで、不運な人もかり出される事もある。

 そして数十分後。
「で、私も何かしなきゃいけないのですか?」
「おねがい!」
 ラスト・ホープのとあるカフェ。買い物袋一杯のフィアナが、真っ先に見つけたのがリズ・A・斉藤(gz0227)。アトランタ解放後、ナッシュビル復興の準備およびメンテナンスでここに来たのが運の尽きだ。彼女に見つかってリズは、エスティヴィアの『仕事』を助けて欲しいとお願いされているのである。
「もう、お祭りは楽しいとは思いますけど、その下準備を‥‥手伝うには」
「色々やったじゃない〜ね? 息抜きに」
「エスティさんの形相を観たら、息抜きとは思えません‥‥でも、考えさせて」
 リズもある意味猛者だった。コスプレもしたからね。それでも、リズは頭を抱えて悩んで居た。
 と、コミレザを期待する猛者達により、このお祭りは大きな物となる。

 ヲタク達は、聖地を目指すために死力を尽くして原稿にいそしむのであった

●参加者一覧

/ ドクター・ウェスト(ga0241) / 辰巳 空(ga4698) / 鈴葉・シロウ(ga4772) / 秋月 祐介(ga6378) / 椎野 のぞみ(ga8736) / 椎野 ひかり(gb2026) / リリー・W・オオトリ(gb2834) / 椎野 こだま(gb4181) / 鹿島 綾(gb4549) / 村雨 紫狼(gc7632

●リプレイ本文

●勘違い
「さて、最後の挨拶回りをする為に向かうとするかね〜」
 と、ドクター・ウェスト(ga0241)がスケジューラーを確認してコミック・レザレクションの日程を調べる。
(確か今日のハズなんだが‥‥え〜?)
 スケジューラーを観ると真っ白。そして、端末でコミレザ開催日を検索すると、2月とあった。
「アッレ〜? いつものイベント日程ではなかったのか〜」
 彼は膝を突き口から魂をだして放心した。


●事務所にて
 秋月 祐介(ga6378)とリリー・W・オオトリ(gb2834)が秋月の事務所で『今回の同人誌はどうする?』という会議を開いていた。しかし、今までとは違い、二人に覇気がない。
「ネタが出ないなー、なんかこう、ぐっと来るものがないんだよねー」
「そうですね‥‥どうも筆が進みませんな。まぁ、色々とありましたし」
 二人してはぁとため息をついた。
 ネタが出ない。創作をする上で一番困ったこと。全くネタが出ないのであった。
 秋月が企画を出し、リリーが絵を担当するという構図は昔からなのだが、お互いネタが思いつかないというのは並ならぬ状況だった。
「これではだめだ。現状では良い作品が出せない。ここは既刊だけで乗り切りますか」
「そっかー残念だね」
 また二人でため息。
「忘年会もかねて、すき焼きでもしましょうかね」
 秋月が固まった肩をほぐしながら言うと、リリーは身を乗り出した。
「すき焼き?! 奢り? 奢り? ボク霜降りがいい!」
「いや、皆で持ち寄ってですよ。その方が安上がりです」
「なんだーちぇー」
 と、リリーは少しがっかりすると、インターホンが鳴った。
「? 誰からだろう?」
 秋月が応対するために玄関へ。
「宅配便です〜」
「はい。ありがとうございます」
 荷物は伝票に割れ物注意の所に丸が書かれているだった。差出人は彼が思い出すのに苦労したが大分疎遠になっている知人からだったらしい。
「何が届いたの?」
「お歳暮でしょうか?」
 開けてみると‥‥。
「おお。これは‥‥」
「良いお酒ではないですか」
 届いたのは大吟醸であった。
「何人か呼んで宴会をしましょう!」
「賛成!」

●燃え尽きていないぞ(前編)
 私は鈴葉・シロウ(ga4772)。
 宇宙(そら)での最後の戦いを終えて、私は今ゆっくりと日々を過ごしている。やりきった感のなかで燃え尽きたぜおやっさん。そんな状態だ。しかし、ある告知で私は目覚めた。
『コミック・レザレクション開催のお知らせ』
 我が輩はヲタクである。熱き魂をペンにデザインナイフに込めるのだ!
 こうして、私の戦いは始まった。

 まずは、ラストホープ内で買える漫画と小説を買い、アニメを視聴し、ネットでのはやりを捜しては「ティンと来る」ものを集めていった。そして、ペンに魂を込める。
 タイトルは『KV少女〜決戦』2冊だ!
 全KV少女フル出演。地上編と宇宙編で分けられる。

 あと、コピー本だがこれは今流行の新作アニメをネタにしたモノだ。パロディ色が強いから伏せておこう。

●『KV少女〜決戦』地上編
 ※全部擬人美少女化した設定でお読みください※
 (茶髪ツインテールでアンダーがアスリート風の)R−01が空を駆けて、(ブロンドロングヘアでぴっちりとした軍服の)バイパーが地を駆ける。
「マスドライバーを奪還するよ! それが宇宙へ希望になる!」
 (ブロンドポニーテールで橙色競泳用水着が装甲から見え隠れする)フェニックスが叫ぶ。
「「はい!」」
 (黒髪ロング・黒スク水の)ミカガミが機刀を振りかざし、(赤い髪に豊満な)ディアブロがワーム達を蹴散らしていく!
 マスドライバーの一歩手前まで来た時に‥‥恐ろしい敵ワーム(シルエットで見えない)が!


●であって
「久しぶりのLHだけど、時間はないよ! ほらはやく!」
 椎野 のぞみ(ga8736)と椎野 ひかり(gb2026)、椎野 こだま(gb4181)は姉妹で買い物を楽しんでいた。滅多にない姉妹水入らず。しかし、これから大事な仕事が待っていた。こだま主導でなにやらするらしい。
「まさか、コミレザでコスプレ本を出すなんて」
「こだまが楽しそうなら良いでしょう。でも、流石に‥‥」
「「プロのカメラマン呼ぶのはねえ」」
 と、のぞみとひかりはため息をついた。
 こだまはテンションが高くよそ見をしながら走っている。はやくはやくと姉たちをせっついている。
「こだまっ! あぶないよっ!」
「こだま〜そんなに走ると危ないですわよ〜」
 のぞみとひかりが走るこだまを笑顔で止める。しかし、
「時間がないから急いで! いてっ!」
「きゃっ」
 と、誰かにぶつかった。
「いたたた。ごめんなさい」
「いたたた。大丈夫?」
 お互い尻餅をついて起き上がろうとしていた。急いでのぞみとひかりは駆け寄る。
「ああ! ごめんなさい! 怪我はありませんか‥‥ってリズさん?」
 駆け寄ったのぞみが妹とぶつかった相手の名を呼んだ。
「‥‥のぞみさん! ‥‥よっと‥‥、お久しぶり」
 リズ・A・斉藤(gz0227)はこだまを起こしながら軽く挨拶する。
「え? のぞねえの知り合い? ‥‥ごめんなさい!」
「いいの。怪我もしてないし。でも、前をきをつけてね」
「はい」
 こだまが謝るとリズは微笑んだ。
「この方はナッシュビル義勇軍のリーダー、リズさん」
「リズ・A・斉藤です。はじめまして」
 と、握手を求めた。ひかりとこだまは握手をして、
「椎野 ひかりと申します」
「椎野 こだまだよ!」
 と、こだまはリズの全身見て、両の手でリズの手を握った。
「え?」
「ねえ、リズさんうちコスプレ写真集を出すのだけど、手伝ってもらえませんか! マールのコスプレをのぞねえにするとパット何枚あってもたり‥‥はっ!?」
「こだま‥‥それはどういう事かな‥‥? ちょっと肉体言語で説明して貰いましょうか‥‥?」
 怒気を込めてのぞみが指を鳴らしていた。
「あ、しまった! ごめんだよー! わー」
 そしてその場で姉妹が追いかけ回す。
「何があったの?」
 フィアナ・ローデン(gz0020)と辰巳 空(ga4698)がやって来て、状況を分析しているようだ。
「フィアナさん、辰巳さん。どうしましょう」
 リズが困った顔をしている。
「まてー! って、フィアナ‥‥さんも?」
 と、そこで追いかけっこは中断し、再び自己紹介の流れになった。
 そして、ホテルの待合室で、状況を説明する。
「と言うことは、リズさんがコスプレにスカウトされたと」
 フィアナがうんうんと状況を把握した。
「いやですよ! はずかしい!」
「無理にとは言いません! でも、のぞねえだとマールの衣装は‥‥」
「だーかーらー」
 のぞみがこだまをヘッドロックする。
「マールって?」
「東京でやっていたアニメ、『剣士マール』ってこういうの」
 と、フィアナが持っているタブレットでイラストを見せると、リズは真っ赤になった。
「い、いやです! は、恥ずかしい!」
 過去にエスティヴィア(gz0070)にコスプレをねだられた時も断った。その時はフェニックスのKV少女化だったが。
「うーん、残念」
 こだまはガックリうなだれた。

「で、どうして辰巳さんがいるのですか?」
 素朴な疑問だ。
「彼女の体調管理でここにいます」
「もう、心配性でね。あたしは大丈夫ですよといっても、うるさいんです」
 頬を膨らませてフィアナが言う。
「原稿作成の手伝いをするというではないですか。腱鞘炎や寝不足は敵ですよ」
 辰巳がフィアナに小言を言う。
「また、そんなことを‥‥漫画をかく事じゃなく、飯スタントなんだから、大丈夫だって」
 フィアナが機嫌を悪くしていく。
「あの〜話が見えなくなってきたんですが‥‥」
 ひかりが割って入る。
「友達が今、コミレザ向けの原稿描いてて‥‥」
「コミレザ!?」
 こだまが思いっきり反応した。
 エスティヴィアが現在ホテルで原稿を描いているという説明をすると、こだまが目を輝かせていた。そしてその手伝いをするフィアナとリズなのだが、アシスタントではなく食事担当なのに、辰巳がついてきていることだ。
「なんと言う偶然! これはお手伝いしなきゃ!」
 こだまは目を輝かせて言う。
「コスプレは?」
 のぞみが訊ねると、
「する!」
「リズさんの友達の手伝いも?」
 ひかりが訊ねると、
「する!」
 もう、こだまを止めることは出来そうにない。
 姉二人はため息をついて、
「じゃあ、手伝いは5日の休暇期間でね」
「うん!」
 まずはコスプレをすることになった。


●お誘い
 秋月はいつも世話になっているメンバーを呼んだが、色々忙しいのか集まりが悪かった。捕まえることが出来たのは鹿島 綾(gb4549)ぐらいであった。
『いつごろするの?』
「12月●日。自分の事務所で」
『わかった。買い出しは任せて』
 と、鹿島と約束を取り付けたのは良いが‥‥。
「ふむ、これは本当にピンチだ。ここまで人が集まらないのも問題だ」
 秋月は頭を抱え込む。
「ほんと人がいないねー」
 リリーは苦笑する。
「エスティさんが居れば多分芋づる式に何人か‥‥」
 エスティヴィアに電話を掛ける。
『もしもし』
「おひさしぶりです、秋月です」
『おーひさしぶりよぉ』
「じつは●日にすきやきをしようと言う話になりましてね」
『いくいくー! それまでに原稿片付けるから!』
「手伝ってくれている人も呼んでいただいてもかまいませんので、場所は自分の事務所で。飲み物や具材は持ち込みです」
『ほいほーい』
 と、軽く話して電話を切った。
「わびしいすき焼きにはならなかったのが救いだ」
 秋月は安堵のため息をついた。


●KV愛
 村雨 紫狼(gc7632)は自宅のパソコンで編集作業を行っている。
「待っていろよみんな。俺の愛機の様々な設定を盛り込んでやるからな」
 と、彼の愛機、つまり魔導鳥神ダイバード及び、魔装龍騎ガンドラゴンの詳細な図解や改造時にKV工房に持ち込んだ初期のデザインラフと写真、イラストだった。
 どのような経緯で今の状態になったのかをアニメ風の図解、イラスト入りで説明するというモノらしい。それは光学メディアにも保存され、光学メディアには彼が歌った歌も入るという代物だ。

『闘え!魔導鳥神ダイバード!』

大空に灼熱の太陽 
青空に輝く勇姿
夜空に真っ赤な月が 
世界闇に塗り替えてく

裂けた大地に 
ひび割れた海に
光を差す者は誰だ

守りたい人 救いたい人
大切な人 
その瞳に強く強く
焼きつけて

(二天一流 ダイブレード!)

魔導鳥神 魔導鳥神
くじけるな 泪見せるな
魔導鳥神 魔導鳥神
闘うのさ 駆け抜けるのさ
魔導鳥神 魔導鳥神  

魔導鳥神ダイバード

 更に愛機のフィギュアも作ると、12月のスケジュールに色々盛り込んでいた。
 数日後。
「さあて! 原稿は出来た! あとはフィギュア量産だけだ!」
 と意気込んでフィギュアの量産に取りかかる。
 しかし、フィギュアの量産は、個人で何とか出来るモノではない。慣れない仕事で苦戦していた。
「うう、上手くいかんもんだな‥‥しかし俺はやるぜ! KV愛好家が待っている!」
 と、彼は徹夜覚悟でフィギュア量産にいそしむであった。


●コスプレ開始
 会議室を借りての撮影。セットはスタジオより貧相だが、こだまの熱意はすごいもので、コスプレ衣装は100着ぐらいレンタル・自作・通販で手に入れたものだった。そしてプロのカメラマンを呼んでいる。
「どれから始めようかな〜」
「ボクはこれにしよう」
 こだまはティピー・リュースのコスをして挑み、のぞみは美少女ゲームの学生服を選んだ。
「あたしはこれで」
 ひかりはマールのコスプレをする。
 そして、1人ずつ様々なポーズを撮って写真を撮ることに。
 それを、エスティヴィアの手伝い以外(要は食事)の時間は暇なフィアナとリズは見学していた。
「恥ずかしいのに、どうしてコスプレをするんだろう」
 リズは自分の気持ちを吐露する。
「恥ずかしくないよ! とっても楽しいよ!」
 と、こだまが駆け寄って言った。
「変身願望かな。新しい世界を垣間見られるから!」
 こだまが動機をリズに説明する。
「そ、そうなんですか?」
「うん。コスプレは楽しいよ。あたしの友達には多いよ。あたしもしたことがあるし」
 と、フィアナが言った。
「そうなのですか」
 リズはむむと考え込む。
 ちなみに、あの人混みの中に何度も居るリズも猛者と言えば猛者なのだが、完全には染まってなかったのだ。


●『KV少女〜決戦』宇宙編
 ※全部擬人美少女化した設定でお読みください※
 マスドライバーの奪取に成功した地上組の活躍により、宇宙KV組が赤い本星に向かって飛び立つ。
(プラチナブロンドで銀のスマートな宇宙服の)リヴァティーが軽やかに宇宙(そら)を踊り。(ゴシックを着た知的美女風の)クルーエルが巨大レーザー砲で敵機をなぎ払う。そして、(豊満な日本人女性的な)タマモが暴れる。その後ろで、電子隊のKV少女が密に連絡を取っていた。
「あと、一歩! 後一歩だよ!」
「これでもくらいな!」
 激戦のなか傷つき倒れようとしても立ち上がり、ブライトンのいる中心部へと皆は向かう!


●エスティの中の戦闘
「そこベタ!」
「はい!」
「背景仕上げて!」
「はい!」
 エスティと辰巳は漫画家さながらの修羅場のような空気で同人誌原稿を描いていた。そこで、のほほんとフィアナとリズがドアを開けて袋いっぱいのコンビニ弁当などを買ってきた。
「コンビニ弁当だと栄養管理が‥‥」
「だって作れる場所ないもん」
 辰巳がため息をついた。
「ホテルというのがネックだったわぁ‥‥」
 エスティは遠い目をした。
「でも、これで引きこもって原稿描ける」
 と、エスティはペンを握る。
「手伝いに来ましたー!」
 椎野三姉妹がやって来た。撮影が終わったらしい。
「絵に自信有る?」
「あります!」
 こだまが手を挙げる。
「じゃ、背景おねがい!」
 エスティがこだまに原稿を渡す
「らじゃ!」
「元気が良いなあ。ボクが出来る事ありませんか?」
 のぞみが腕まくりをして、緊迫している空気に入る。

 フィアナとリズは邪魔にならないように、ドリンクやご飯を置いていく。
 そこで、ひかりが2人を呼んだ。
「なんでしょうか?」
「まあでも、のぞみがあれだけ笑顔を見せるようになったのは、色んな人に出会えて、心の傷を塞いでくれたからかな‥‥お二人とも、のぞみに出会ってくれてありがとう」
 ひかりは微笑んだ。
「そんな、色々お世話になっているのは」
「私たちの方ですよ」
 と、フィアナとリズは照れた。

 途中、エスティの電話がかかる。エスティが電話を取った。
『もしもし‥‥おーひさしぶりよぉ。‥‥‥‥いくいくー! それまでに原稿片付けるから!‥‥‥‥‥‥ほいほーい』
 そして、全員がエスティを見ると。
「みんなー。●日に秋月Pのところでスキヤキよぉ」
 と言うと、辰巳以外はわーと拍手が起こった。
「●日には用事が有るので済みませんが辞退します」
 辰巳が残念そうに答えた。
「用事があるなら仕方ないか‥‥」
 エスティはしょんぼりする。
「そのかわり、『辰巳式漫画に於ける人間描写法』を差し上げます」
「うん、ありがとう」


●完成したのは良いが‥‥
 村雨は青ざめて机に突っ伏していた。
 本は完成した、メディアも揃えた。しかし、フィギュアが‥‥完成したが、連続徹夜に不精がたたって疲労困憊になっていたのだ。これでは他の事に差し支える。
「だ、誰か助っ人を頼むべき‥‥だった‥‥」
 がくりと彼は意識を失った。
 教訓:こういう時は同好の士を集おう。


●すき焼きの日
 各々の原稿を仕上げ、あとは製本を待つだけとなったエスティと椎野三姉妹、フィアナとリズは秋月の事務所を訪れた。沢山の買い物袋を手に。
 そこで、同じような姿の鹿島に出会ってお互いこんにちはと挨拶する。
「秋月Pの所はどうするのかわかるぅ?」
 エスティが鹿島に尋ねた。
「電話の時は、既刊でいこうと言う話になっていたよ」
 鹿島は肩をすくめる。
「そっかぁ」

「「秋月さーん」」
 インターホンを鳴らして秋月を呼ぶ。すると、秋月が出迎えてくれた。奥の方でリリーが居る。
「ようこそいらっしゃいました」
「おじゃましますー」
「おお、こんなに沢山」
 9人も集まると、7人だけでも結構な量となる。
「久々の集まりと言うこともあって、一寸奮発しちゃったわ」
 と、鹿島が言った。
「ありがとう。作る準備を始めましょうか」
「「は〜い」」
 各々がエプロンを着けて、秋月の事務所の台所に集中したが、包丁や鍋が足りなさそうなので、急遽買い出し班を結成する。のぞみ、フィアナ、リズが追加の鍋とコンロなどを買いに出かけた。
「そういえば、今回はどうなっているの? 新刊は出せないって聞いたのだけれど」
 鹿島は秋月に尋ねると、
「一応顔出しはする予定です。しかし、こうもネタがないと‥‥」
「スランプなのか」
 鹿島は心配そうに言うと、
「そうかもしれません。当日に突発本が出せれば御の字なのですが」
 秋月は思い悩んでいるように見える。
「ボクは諦めないよー」
 リリーがエプロン姿でビールを冷蔵庫に入れる。
「すき焼き食べながら考えるよー」
「エスティヴィアさんの方は?」
 鹿島はエスティに訊ねると、
「新刊ばっちり!」
 と、トーンクズとインクの染みた手で親指を立てた。
「おー」
「でも何の本なのかは内緒」
「当日楽しみにしています」

 そこで秋月は気がついた。
(まて‥‥この状況、このシチュエーション。自分以外女性ばかりではないか! 今までこんなことはあったか? いや、ほとんど女性ばかりじゃなかったか? ‥‥落ち着け自分! かつて自分は敗北主義者共を粛清していたはずだ‥‥。だが、解を得て安らぎを得る‥‥いや、この‥‥こんなハーレム展開を自分は望んでない。自分は大丈夫だろうか?)
 普通の男ならかなりの確率でこのハーレム状況を喜んだだろう。しかし、一寸彼は考え方が違うため、『気がつけば周りがハーレム』と言うドリーム状態を受け入れ落ち着く事が出来ないだろう。肩身が狭く感じる。しかし、彼は狂気を得て安らぎを得た経験をもつ。至極真っ当に冷静に対応しようと努める。
(‥‥何とかなるだろう。あの『作品』さえ見つからなければ)
 と、彼はある解を見いだした。

 そして、買いだし班も帰ってきて滞りなく準備が出来ると、各自自己紹介を始めた。
「椎野 のぞみです。こちらが双子のひかり、妹のこだまです」
「そうですか、秋月です。どうもはじめまして」
 と、しばらく秋月の視線が三姉妹の胸の部分を『凝視』して、(のぞみが貧、ひかりが豊、こだまが標準)
「どう見ても格差社会です本当に‥‥ごふぅ」
 横にいた鹿島のレバーブローが入った。
「初対面に何てことを言うか!」
 鹿島が青筋立てた。
「教授は教授だった。平常運転で何より」
 エスティはくっくっくとわらった。
 状況が飲み込めてないのはのぞみとひかりだが、こだまだけは分かった笑い出していた。
 そんな微笑ましい(?)やり取りを終えて、エスティは辰巳から貰った本を教授達に配り、ジュースやお酒をついでは、
「皆さんお疲れ様でした!」
「「かんぱーい」」
 と、宴会が始まった。


 鹿島が卵を割って、そこに砂糖を投下すると、皆が凝視した。
「んー。やっぱり、この位の甘さじゃ無いと物足りないわね‥‥‥‥何よ? あ、もしかして、貴方も砂糖を入れたいの?」
「「いれない!」」

「にくうまいわぁ!」
 エスティが肉ばかり食べていると、
「ダメよ、肉ばかり食べちゃ」
「えー、にくがいいー」
 鹿島がたしなめる。

「ささ、一杯」
「どうも、リリーさん」
 ある程度食べたリリーはもうお腹いっぱいになり、いまは秋月の酌をしている。

 のぞみはリズとフィアナとで他愛のない女の子らしい話をしている。ファッションのことやメイクなどの話だ。ただ、フィアナはヲタクなので、どうしてもヲタク話にシフトしてしまうらしい。

 秋月が、鹿島に日本酒を勧める。
「実はお歳暮に貰った、かなりいい感じのお酒なんです」
「ほほう。ではいただこうかな」
 お猪口で飲むと「うまい」と言っておかわり。またおかわり。
 そして、
「ふふ〜、お酒も美味しくて幸せ〜♪」
 出来上がった。

 リリーはというと、
「あ、すき焼きの擬人化をすれば行けるかもしれない!」
 と、少し酔った状態で閃いた。
「祐介さん、メモ用紙とボールペン貸して!」
「はい、いいですよ」
 リリーはイラストやら設定を書き出す。
「しらたきさんは頭がしらたきで、色が白いから病弱系美少女だよね」
「問題は牛肉さんか‥‥」
「巨乳系お姉さん」
 誰からノリで言った。
「それ! しかしひねりがないなあ。乳牛と肉牛では違うからなあ‥‥」
 頭をかいて考えるが良いネタが浮かばない。
「うがー! 煮詰まったー! すき焼きだけに!」
「うまい! 座布団いちまい!」
 フィアナが受けて笑った。
「いいネタ募集だよー‥‥」

 そして酔っぱらった鹿島が暑いと言い始めて服を脱ぐ。そして下着が見えそうなところで、リズが止めた。そこで、のぞみが隅っこでしくしく泣き始める。
「いいんだ‥‥いいんだ。‥‥ボクは貧乳だよ」
 姉妹に負けて目の前の酔っぱらいにも負けている。泣くしかない。二十歳なら飲んでも良いだろう。
「何をやっているんだ、いいぞもっとやれー」
 鹿島が脱ぐのを酔っぱらった秋月が煽る。しかし、それはリズに止められた。


●燃え尽きていないぞ(後編)
「できた! コピー誌も万全! いざゆかん!」
 私は完成した本とフィギュアを持ち、駆けだした。いざゆかん、アスタリスク大阪へ。そこにはかつての戦友達が待っている! 胸が高鳴る!
 しかし、LHも穏やかで、たどり着いたアスタリスクもヲタクであふれていない。
「おかしいなぜだ? 今日のハズ‥‥」
 携帯端末からスケジュールを調べる。
『コミック・レザレクション開催のお知らせ。〜〜2月×日に開催!』
「日にちがちがうだと!」
 私は、呆然とした。日程を間違えて居るではないかっ! この熱意何処にぶつければいいのだ!
「‥‥腹が減った‥‥」
 まずは、ご飯を食べよう。そして、2月に備えるのだ。そうしよう。


●おまけ
 秋月P事務所の客間で鹿島が熟睡から目を覚ました。
「もしかして、私‥‥またやっちゃった!?」
 真っ赤になって状況に焦る。
 リビングでは、朝のコーヒーを飲む秋月とリリーがいた。
「おはよう」
「おはようだよー」
 2人は、鹿島の表情から、色々弄ろうと画策していた。