タイトル:【FF】チャタヌーガ解放マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/07/15 18:36

●オープニング本文


 アトランタ東での戦闘は、徐々にUPC軍優勢へと傾いていった。不気味なほどに統率のとれた無人ワーム群と士気の高い有人機の連携は人類を苦しめたが、精鋭対精鋭の戦いで有人機が数を減らすにつれて無人機群がまず後退。やがて、有人機部隊もアトランタを囲む環状285号線内へと撤退して行った。
 ジャミング増幅装置の破壊や、敵がナッシュビル方面へ戦力を割いた事も、戦局の変化に影響している。
 一方、アトランタの都市防衛システムについても、諜報員の帰還によって明らかとなっていた。
 敵将の名は、『アルヴィト』。都市防衛迎撃システム『アルヴィト』のメインコンピュータに機械融合し、広域の索敵から戦況の把握、無数の無人機械の同時操作、防衛と迎撃までを一人で行える能力を得たバグアである。
 特に、285号線内と外周20km圏内は高度に機械化され、その範囲内では都市防衛の主役が無人機械となり、誇り高く勇猛なバグア指揮官ですら、その下に配されるという。

 北中央軍は、まず20号線・85号線と285号線の交差ポイントに攻撃を仕掛け、敵の多くをそこに集めた。
 その上で、輸送機に偽装したガリーニン4機を飛ばし、戦場到達寸前で針路変更。アルヴィトの『目』とも言える285号線沿いの大型レーダーのうち、20号線・85号線の中間の1基を狙い、突撃させたのである。
 結果、3機が撃墜されたものの、G4弾頭を抱えた1機が突撃に成功。
 レーダーと敵防衛網の一部破壊に成功した北中央軍は、アルヴィトの『破壊』を目指し、その穴からKVや生身部隊を次々に送り込んだ。

 チャタヌーガの偵察からの判断により、ナッシュビルの義勇軍とUPC軍の混成部隊は、アトランタ攻略の第二波としてチャタヌーガを攻略、しかる後もう一つの戦線にする事を決めた。そして、アトランタ方面の戦闘が開始されたほぼ同日に、チャタヌーガも戦闘に入った。戦いは始まったばかりであり、まだ戦況を覆すには充分とたり得なかった。
「勇気ある傭兵諸君に感謝する」
 UPC軍のロマードが君達を見つめて、感謝の意を述べた。
「今回の作戦は、現在戦闘中のチャタヌーガの解放と戦線確保にある。貴君らはKVと混成部隊の波状攻撃で一網打尽にするが、今の案である。偵察で分かった事は敵のワームの数はゴーレムが5機、ヘルメットワームが5機編成の3部隊以上、後方に数機のキューブワーム。キメラの数は不明だ。生物と金属の合成のような城壁を構えて、ナッシュビルからの攻撃を警戒しているように見える。司令部を叩きたいところだが、偵察ではその司令部を見つけることは出来なかった。だが、そこを発見し叩くことも視野に入れて貰いたい。この『The Final Battle for the Freedom』は人類の命運を賭けた作戦である」
 彼は少し偉そうに言っては、間をおいてこういう。
「一応の作戦はこうではあるが、傭兵諸君に良いアイデアがあるならそれを採用しよう」
 つまり、傭兵のアイデアを取り入れて、より柔軟に対応するということらしい。
「こちらの戦力だ。義勇軍の方は、様々なKVで10機参加する、UPC軍はS−01COP7、イビルアイズ2、ワイズマン1、合わせて20機だ。私の話は以上だ。他には?」
 ロマードの話が終えた時、隣にいた長身の少女が前に出た。リズ・A・斉藤(gz0227)である。
「この作戦に私は参加します」
 彼女は出撃することを望んだ。
 故郷の解放と同じように、この戦いが如何に重要か分かっているから、志願したのだろう。
「みなさん、力を貸してください!」

 この作戦が成功するのは傭兵達にかかっている。

●参加者一覧

セージ(ga3997
25歳・♂・AA
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
フェリア(ga9011
10歳・♀・AA
鹿嶋 悠(gb1333
24歳・♂・AA
リック・オルコット(gc4548
20歳・♂・HD
ラーン=テゴス(gc4981
17歳・♀・DG
BEATRICE(gc6758
28歳・♀・ER
入間 来栖(gc8854
13歳・♀・ER

●リプレイ本文

●作戦開始
 ナッシュビルからKVが飛び立とうとしている。格納庫の中で慌ただしく動く整備員達。作戦会議室では、リズ・A・斉藤(gz0227)とロマードが8人の傭兵と作戦を練っていた。
「ナッシュビル義勇軍とUPC軍を陸、空で分けて展開して頂けないでしょうか?」
 鹿嶋 悠(gb1333)が要請する。
「陸空でリズさんが全指揮を執ることになりますが、お願いできますでしょうか?」
「ふむ、全指揮はリズくん、負担になるが、それで良いのかね?」
 ロマードが問うと、
「大丈夫です」
 リズは大丈夫だと頷いた。
 その案は取り入れられた。義勇軍とUPC軍の班分けと指揮の統制ができれば、あとは傭兵がどちらに回るかである。
「俺とセージさんは陸上を義勇軍とともに進軍しますが、陸戦を希望する方はいませんか?」
「私も陸戦を選ぶのですよ」
 小さな少女フェリア(ga9011)が挙手する。
「あたしも陸戦を希望だ」
 ラーン=テゴス(gc4981)も手を挙げた。
「直ぐに決まるならそれで問題はない。私は空戦を希望しよう。そこから戦況を観て全員に指示を出す」
 平静にアルヴァイム(ga5051)が言った。
「じゃ、他のメンツは空戦で良いか?」
 セージ(ga3997)が残り3人に訊く。
「かまわないぜ」
「そうですね。問題ありません」
「ろじゃーです!」
 順に、リック・オルコット(gc4548)、BEATRICE(gc6758)、入間 来栖(gc8854)がそれぞれ返事をした。
 綿密に作戦を練る。大まかに言えば、陸戦はゴーレムを叩き、空戦はCWを破壊してはHWがやってくるのを攻撃。陸戦が危機になれば爆撃という。混成軍はその後方支援だ。
「混成軍は後方支援を頼む」
 ラーンは本当なら義勇軍やUPC軍兵士達『見学』と言いたいところだが、この大事な時に関係を悪くすることは良くないと思い、冷静をつとめる。彼女は(言葉って難しいよな)と思った。
(現場の軍部の人は‥‥それほど悪い感じではないのですが‥‥どこから変わるのでしょう?)
 BEATRICEは、ロマードやリズを観ては謎に思っていた。
(必要なことは、みんな言ってくれるから楽だ。戦況みて指示を出し、無事に返す事が出来ればいい)
 と、アルヴァイムは思っていた。戦闘になると非常に無口・冷静になる。

 リックがリズと鹿嶋が陸戦のルートを相談している時にやって来た。
「お二人とも、大丈夫だと思うけど、お互い大事な人がいるんだから無茶はしないように」
 と、声を掛ける。
「ええ、分かっています。しかし、あなたの方もしっかり生きて帰ってきてください」
「はい、ありがとうございます」
「分かってるって。こっちはアルヴァイムの旦那が居るんだ。結構安心してるぜ」
 次に、セージがコックピットとから身を乗り出して、
「おう、鹿嶋。行こうぜ」
 と、言った。
「はい!」
 出撃の時が来た。


●陸戦
 ナッシュビルから一気に飛び出す29機。1分もしないうちにチャタヌーガが見える。相手も空から何かが来たことを察知し、HWが10機空に向かった。アルヴァイムが想定したチャタヌーガから200〜300m圏内で戦闘となる。
「敵機、エンゲージ。陸戦はそのまま頼む」
 アルヴァイムからの通信から、陸戦班は突き進む。
 チャタヌーガから100mでキメラと残ったHW5機が近寄ってくる。HWはプロトン砲を放っていくが、全機回避する。
「さて、今回は最初から全力で行かせて貰いましょうか」 
 帝虎の顎部が開き、鹿嶋は本気モードとなる。
「失せろ!」
 腕部のG−44グレネードランチャーが発射され、前進してくるキメラを掃討。残って突進してくるキメラは、風のように舞うセージのリゲルの機刀「建御雷」が切り裂く。
「奴さん(ゴーレム)は壁からぴくりともし無いぜ」
「先にここのキメラやワームを破壊すれば良いだけのこと」
「そりゃそうだ」
 通信で、余裕のやり取りをみせる二人である。
「わあ。はやくも半分ぐらいのキメラを倒しませんでした? すごいですねー。負けてられませんよ!」
「そうだな! あたしたちも負けてられない!」
 プロトン砲を放ってくるHWにジンロウランと輝4号が接敵。敵は直ぐ大ばさみでKV2機を捕まえようとするが、ジンロウランの獅子王がぶった切り、輝4号が凪を突き刺し、WS−4機関砲で穴が開いたところを狙い撃ち。とどめが、ジンロウランの獅子王で横一文字に切り裂く事でHWを破壊した。
「どうです! って、えええ?!」
 フェリアがガッツポーズをとっているのもつかの間、帝虎は1機でHWと対峙して撃破し、リゲルも同じようにHWをツバメ返しで切り払った。
 フェリアが驚くにも無理はない。
「現在3機撃破」
 鹿嶋が通信で援護射撃をしている義勇軍に向かって連絡。
「進撃! しかし地面にきをつけて!」
 徐々に、陸戦班は壁に近づいてきている。そして、残るHWも確実に1機減っていった。

●空戦
 陸戦は派手にやっている。しかし、空はドッグファイトになって苦戦を強いられているようだ。しかし、実はそうではない。
「陸に降りさせはしない!」
 空戦班は今の陸戦の快進撃を止めないようにHWをマークしているのだ。そして、機を狙っている。
 そして、
「今から撃ちます」
 BEATRICEが通信。全機離れる。即座にミサイルキャリアからK−02小型ミサイル500発が5機のHWを捕らえては命中。耐え凌いだ機は、素早く【字】が確実に1機を仕留めた。残る5機。
「本当ならCWにとっておきたかったが!」
 リック機がトライデントを発射。見事に1機撃墜させる。残る4機。
 入間のCyaが蓮華の結界輪を展開しながら、陸空に新たな敵がいないかを確認する。
「だいじょうぶです。増援の可能性ありません」
 入間が通信で全機に伝える。
「また撃ちますので、撃破お願いします」
 BEATRICEが残る4機にK−02小型ミサイルを発射。4機とも命中し、バランスが崩れたところに‥‥。
「とどめだ!」
「‥‥」
「とどめです」
 リック機、【字】、ミサイルキャリアの追加攻撃で見事にHWを撃破した。
「つぎは、CW破壊作戦に移る」
「「了解」」
「ろじゃーです!」
 空戦班はそのまま壁がある上空まで進む。
 そこには生物と金属でできた不気味なオブジェとおぼしき壁があり、そこにゴーレムとCWが必死に守っていた広範囲のCWのジャミングと頭痛に苛まされる。
「あの壁は一体‥‥生物なのでしょうか?」
 入間は身をこわばらせた。しかし、しっかり操縦桿を持って、狙いの獲物を見定める。
「アレさえ壊せば!」
 彼らの狙いはゴーレムではなくCW。CWは陸ギリギリで浮いている。
「一斉射撃を行う」
 【字】からの通信。
「なら俺の出番だな!」
 各機展開し、リック機が84mm8連装ロケット弾ランチャーで爆撃。陸のゴーレムが対空砲化しようとしても届かない。追い打ちにCayのロケット弾ランチャーでCWを狙い撃った。爆炎と砂煙のなかで地上がよく見えない。
「頭痛が治まった?」
 感覚的にはCW全部を倒したかもしれない。
 しかし、まだ数体残っていたのを入間は見逃さなかった。
「残ってます!」
「もういっちょだ!」
 リックと入間はもう一度ロケット弾ランチャーを撃ち、完全にCWを沈黙させた。
「これより陸戦の援護に回る。これより陸戦の援護に回る」
 と、【字】の通信をリズが受け取り、彼女はさらなる戦況展開に指示をだした。

●ゴーレム戦
 帝虎とリゲルを先頭に、キメラを屠って進む。その後に、輝4号、ジンロウランが続く。キメラの群を突き進む姿は、無双と言うより他はない。斬ってはちぎれて突いては吹き飛び、はね飛ばして進む。
 生物じみた壁まで近づくと、マシンガンの迎撃に遭うが、回避か受け止めて難を逃れる。
「残るは、お前らだけだぞ。それでも守り通すというなら‥‥、その場で破壊されるが誇りか?」
 と、リゲルに乗ったセージが突き進む準備に入った。
「待ってください」
 鹿嶋が止める。
「このまま言って撃破すれば‥‥ってまさか!」
「用心しています」
 帝虎とジンロウランから地殻変化計測器を設置、地下の内部に何か居ないかを調べる。その間に、帝虎含む3機は銃器で威嚇射撃していた(ジンロウランは銃器を装備していない)。
「ありません! 行きましょう!」
「いくぜ!」
 鹿嶋の号令で、5機とも飛び出す。
 ほぼ1対1で戦う事になる。
「銃は距離が開いている時のみって言うわけじゃねぇ。こういう使い方もあるんだよ!」
 と、リゲルは試作型「スラスターライフル」を至近距離から放ち、敵ゴーレムの左肩を盾ごと吹き飛ばす。そこによろめいたところを建御雷で袈裟斬り。しかし、相手もしぶとく大きな剣で受けきった。それでも吹き飛ばされ体勢を立て直す事が難しくなっている。そこに追撃で追うリゲル。逆袈裟で右腕も切り落とし、舞うようにしてコアの部分を貫いた。そこでゴーレムは爆発炎上する。
 一方、フェリアのジンロウランも負けてはいない。建御雷と玄双羽から獅子王の3連撃をみせ、敵のシールドを破壊する。バックステップで逃げようとする所、脚爪「シリウス」でゴーレムの脚を踏んづける。
「にがさないのです!」
 とばかりに顔に獅子王の一撃だ。これは効いた。しかし、ゴーレムはそれでもこの土地を死守しようとジンロウランを大きな剣で叩き切ろうとするが、建御雷で受け流して、突き刺さったままの獅子王をつかみ、力任せに両断する。そこで、戦いは決まった。フェリアはジンロウランにポーズをとらせて、後ろでゴーレムが爆発する。
 ラーンの輝4号は近づきなら、奉天製20mmとWS−4で弾幕を張る。ゴーレムは盾を構えて守るが、守るので精一杯に見える。
「これぐらいの動き! 高速装輪走行でもいける!」
 スピードを出して、輝4号が後ろに回って「凪」で貫く。それでも動くゴーレムだったので、凪を抜いて一撃離脱。そして、横からコアがあるとおぼしきところに「凪」を突き入れた。しかし、ゴーレムも負けてはいない。大きな剣で輝4号を叩き切る。
「ここでやられるわけには!」
 受防最適化機能発動。上手く防ぎだが衝撃はラーンを苦しめた。
「こなくそお!」
 と、突き刺したままの「凪」を更に押し込み、ゴーレムを完全に沈黙させた。
 鹿嶋の帝虎は2体相手になった。
 ゴーレムは挟み撃ちで帝虎を切り刻もうとする。しかし負けじと、受け流し、または躱す。
「無人機か有人機かは分からないですが! 容赦はしません!」
 と、拳で一体を吹き飛ばす。その反動を利用し、半回転。デモンズ・オブ・ラウンドをそのままもう一体のゴーレムの脳天をたたき割る。真っ二つになり爆発四散するゴーレム。殴られた側は、よろめきから回復して大きな剣で帝虎の胴を狙う。それが辺り、衝撃が鹿嶋に届いた。
「痛っ。それでも!」
 帝虎のデモンズ・オブ・ラウンドは吠える獅子のようにゴーレムを襲う。何とか回避して腕だけ切断されるが、それで帝虎の猛攻が済むわけがない。直ぐに間合いを詰められて、剣がゴーレムの腹部に突き刺さる。そして爆破。

 これがチャタヌーガを完全解放に導くことが出来る合図となった。


●戦士の休息
 司令室もわかりそこを制圧する。そのあとは、ロマードの部下や同僚が全てを引き継ぐと言うことらしいので、今回戦った傭兵や義勇軍は一度ナッシュビルに戻ることとなった。
「いや、結構すんなりいったもんだな。楽勝だぜ」
 ラーンは意気揚々としている。
 それぞれの休息を過ごしているなか、
「リズ、今度は天気予報士にもなれそうだ」
「そんな事ないですよ」
「今度、式には酒を持ってくるよ」
「ありがとう。でも私は飲めないから、多分悠さんが‥‥って式ってまだ早いです!」
 と、セージ、リズ、リックが談笑している。
「式についての準備はありがたいですが、まだ早いと思ってます」
「そうだよな、結婚の約束って死亡フラグだからな」
 セージがうんうんと言う。
「それも、そうだな。しかし、その死亡フラグを叩きおるのが俺たちだ‥‥。え?」
 屈強な男の声に同意するセージとリックの2人。屈強な男の声はもちろん鹿嶋だ。
「「うわ! 鹿嶋(リーダー)!」」
「悠さん♪」
 鹿嶋は将来のことを考えて、頬を染めていたが、殺気などは放ってなかった。リックの口調から、からかいではなく本気で祝ってくれているからだ。
「リズさん、時間良いですか?」
「はい♪」
 セージ、リックはそのまますごすご退散。これ以上ちょっかいだすと、鹿嶋が本気で怒りかねないからだ。
「な、祝杯の酒を飲まないか?」
「いいな」
 と、2人は別の場所に向かった。

 ラスト・ホープやエイジアなどの都市圏に比べると、非常に見劣りのするナッシュビルだが、カフェらしいものは出来ていた。鹿嶋とリズはコーヒーを頼んで、ゆっくりしている。
「今回もお疲れ様です」
「また助けていただきました。ありがとう」
 リズがお礼を言う。とても素敵な笑顔で。
 そして、悠はそのかわいらしさから照れてしまい、
「あの、今度余裕が出来た時で良いですが、ゆっくりどこか行きませんか?」
「どこかって?」
「えっと、デートのような‥‥」
 その言葉で、2人とも顔を真っ赤にしてしまった。
「は、はい、喜んで」
 純真な二人であった。

●状況報告
 チャタヌーガ解放・成功。
 軍の損害は微弱。
 今後【FF】最終目的にたいして、補給線として、24号、75号を使用可能となる。