タイトル:DLAシリーズ新開発1マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/11/19 14:01

●オープニング本文


 エスティヴィア(gz0070)は、DLA(ドローム・レーザー・アームズ)が順調に進んでいることにより更なる夢への開発に取り組んでいた。決して、コミレザの原稿ばかり描いて、ゲスト報酬で焼肉をたかりに行っている同人作家ではないのだ。彼女の本職はしっかりとしたドローム社の研究員なのである。
 ヴァルキリー級弐番艦でもある『ヴァルトラウテ』についている電磁フィールドの一部は、彼女のピンポイントフィールドを使用した物である。
 上層部に、今のフィールドの開発を持ち込んだところ、OKが出て開発に切り出せたのであった。
 研修として、ディスタンの『アクセルコーティング』を研究し、再度、自らが開発した大画面粒子映像装置の出力を調べては今仁至っている。
「今まで、ビーム兵器に対しての抵抗できる物を作っていたけど、あの時『ゴミを弾いた』ことに、夢が出来たのよねぇ」
 パソコンに色々打ち込み、形状と出力の想定図をだす。そして、試作品出力期を作り出し、自分が持っているKVに装着し、実際に使ってみるという、研究と実験の繰り返しだった。そして今まで使っていた部屋は沢山のパソコンで一杯になり、冬が近いこの土地でも、排熱で暖房が賄えるような、逆にクーラーが必要なほど暑くなっていた。

 今の目標は、バージョンアップされていないKVにガトリング砲を持たせ、それをある程度遮断する所にある。もちろんそれはこのフィールド単品の威力ではなく、装着しているKVの防御を含めた物だ。
 しかし、1人が持つKV所持量は限りがある。様々なKVで研究・実験するには、傭兵に頼む方が良いだろう。エスティは、UPC本部にこう依頼を出したのであった。

『現在、ピンポイントフィールドの第2弾を研究中。それの臨時助手求む。
 今まで非物理に対しての抵抗だけであったが、物理にも適応できる状態に持って行く。つまり、物理と非物理両方に防御を揚げる防御装備の開発だ。

 歓迎資格:KVには全ての装備を外した状態で、ホドホドに改造していないKVを所持する傭兵。
 攻撃、防御、抵抗が無改造なら尚よし。ガチ改造している場合でも構わないが、研究実験の成果が分からなくなるため考慮して欲しい。実験用に使う武器はこちらで用意している』

 使用武器(全て無改造)
 ガトリング砲
 ディフェンダー
 3.2cmレーザー

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
リチャード・ガーランド(ga1631
10歳・♂・ER
守原クリア(ga4864
20歳・♀・JG
阿野次 のもじ(ga5480
16歳・♀・PN
守原有希(ga8582
20歳・♂・AA
水円・一(gb0495
25歳・♂・EP
風雪 時雨(gb3678
20歳・♂・HD
カーディナル(gc1569
28歳・♂・EL

●リプレイ本文

●荒野のラボ
 肌寒くなった荒野にそびえる管制塔。其処を目指して高速移動艇は降りて、KVが飛行機状態で下ろされる。白衣姿でそれを見ているのはエスティヴィア(gz0070)だ。
「今回は手伝ってくれてありがとうねぇ」
「いやいや、開発の手助けは当然協力しなくてはいけないとおもっていたんだね〜」
 ドクター・ウェスト(ga0241)がケヒャヒャと笑う。
「指定通りのKVで来てくれたのも助かるわぁ」
「指定外の物では無理なんだろ?」
 腕白少年のリチャード・ガーランド(ga1631)が言う。「そうね」とエスティは彼の頭を撫でると「子供扱いするな」と一寸だけ拗ねた。と、ほとんどが顔見知りだが、2名ほどは初対面だった。エスティヴィアに挨拶し、握手を交わす。守原有希(ga8582)とクリア・サーレク(ga4864)を見ると、
「仲良くしてる?」
「仲が良いですよ♪」
 クリアが笑顔でエスティに答える。
「はい、おかげさまで。この鍔を見てください」
 守原は刀にはめている【OR】鍔『龍灯鳳翼』をエスティに見せる。
「クリアさんとの誓いの証ですよ」
「ほほう、それは、それは仲が良いことは良い事よねぇ」
 と、親しい会話をする。
 そして初顔併せである 阿野次 のもじ(ga5480)とカーディナル(gc1569)とも、
「初めまして、ドローム研究員エスティヴィア・マロッコよ。よろしくねぇ」
「私は阿野次 のもじ。SES−200から開発に興味があるので来たの!」
「はじめまして、カーディナルだ」
 握手をする。
「相変わらず、不摂生してるのか?」
「あんたは相変わらずきつい言い方するわねぇ‥‥事実だけど」
 水円・一(gb0495)の言葉にエスティは苦笑する。
「自分はクッキーを持ってきました、休憩には食べてください」
「ありがとう! 風雪君を見習いなさい!」
「いや、俺もチョコトリュフやら持ってきているんだが、いらないのか?」
「ありがとうございます。ゴチになります!」
「「変わり身早っ!」」
 風雪 時雨(gb3678)がクッキーのことを言うと、エスティヴィアが水円に『どうよ、この親切な心!』と言わんばかりだったが、エスティを知る人のほとんどは何かしら持ってきている。
「そうそう、ニッポンでは年末の贈り物を『オセーボ』というのだね。ハムを持ってきたんだね〜」
 ドクターもエスティヴィアに食べ物をもってきたようだ。『オセーボ』(お歳暮)でよくあるギフトセットのハムである。
「お昼には俺の弁当を広げましょう」
「おやつは多くなっちゃったね。モンブランとマロングラッセどうしよう」
 いい人達である。
「このままだと、ピクニックとお茶会だけに終わりそうだな」
 カーディナルがコホンと咳ひとつすると、エスティヴィアもキリッと表情が変わり。
「今回は来てくれてありがとうございます。この実験はDLAの新シリーズを開発するための物です。今まで、ビーム兵器に対してレーザーエネルギーにより抵抗を高めていましたが、物理にも同等の防御力を得る為です。こちらで武器の設定などをしておりますので、怪我の危険性はほとんど無いと思います。しかし、気を付けて実験を手伝って欲しく思います。よろしくお願いします」
 独特の語尾もなく、エスティヴィアは真剣なまなざしで全員に言った。

 そこから、少しブリーフィングに入る。のもじが前もって資料を見ていると、試作型ピンポイントフィールドやDLA−001などの事を理解する。
「これが話に聞く『ネオドロームアーム・レーザーサイクロン・ドロームアームフィールド』
ふっ‥‥なかなかの完成度じゃない。」
「ネオをついてないわよぉ、それだとNLDになっちゃう。もしくはNDLSDAねぇ。って『ドローム』が2つ入ってるわよぉ」
 エスティは突っ込んで苦笑するが。
「大事な事なので2回言った。それはそうと、私のREDCROW(ディアブロ)の防御は改造しているが大丈夫か?」
 のもじが自分の防御を改造している事をエスティに訊ねる。
「ん〜。これぐらいなら他の他機の攻撃力との比率は近いから。大丈夫、問題ないわねぇ」
「それなら、よかった」
 その言葉でのもじは安堵した。
「わざと受けないと行けないというのが、重要だな」
 水円やカーディナルが資料を読み、実験内容を確認しての感想だ。
「ここも久しぶりだなー。昔々、レーザーコーティングメトロニウムシールドを提案したけど、その結果がここまでの進化になったんだねー」
 リチャードはDLA開発計画を聞いて感慨深げに頷いていた。
 倉庫には、ピンポイントフィールドの形をしたサンプルフレームが数台置かれていた。整備員がそれを各機に取り付けている。
「見た目は、DLA系なんだね〜」
「でも入力デバイスがこれね」
 エスティがスマートフォンが少し大きくなった感じのデバイスを見せる。
 早速、取り付けた機械に乗り込んだ傭兵達は開けた滑走路に向かい、攻撃を受ける側と攻撃をする側の班に分かれた。最終的に攻めと受けは逆になる。


●ドクターと水円の場合
 まずはドクターが受け手となる。
「まずは1:1:1(比率の順は、物理:非物理:消費練力)でだね〜。そのあと調整して行くつもりだね〜。3回ほど頼むよ〜、シグレ君」
 デバイスから強度と出力を入力し、展開させる。ほのかにドクターの機体がピンク色に染まった。
「はい」
 風雪がアルバトロスに装備したガトリング砲でドクターのワイズマンに攻撃を仕掛ける。しかしながらピンク色の膜がその弾丸を弾いているという感じはなく、その衝撃にワイズマンが予想以上によろめいている。
「いたたた! さすがに低すぎだね〜。練力をあげていこう」
 タイムを取ってから少しだけ消費練力あげていくのだが、それを行っても物理に実際の効果を得ることはなかった。もちろん、非物理の抵抗が機能しているかも調べていたがそれも効果がない。
「1:1:1〜1:1:3では無理と‥‥」
 エスティヴィアがメモを入れる。
「ドクター。只の映像装置出力しか出ていないかもしれないわぁ〜」
「な、なんだってー!」
 ドクター魂が抜けてしまう。
 水円のR−01でも、出力は1:4:1。非物理に比重を置いたためか結局ドクターと同じ結果に終わる。練力をあげていても同じだった。
「む、やはり物理の出力比率をあげないと無理なのか」
 水円は考え込んだ。

●リチャードとクリアの場合
「3:3:1でやってみよう!」
 ミカガミに乗るリチャードが意気揚々と立ち上がる。攻撃側は、ミカガミの防御を考慮して、ドクターのワイズマンがガトリング砲を持って攻撃した。
 はっきりフィールドが何発か弾いているが、すぐにフィールドが落ちる。それを3回ほど繰り返しても同じ結果になった。
 クリアも機体を動かす
「さて、クノスペの初出撃なんだよー♪」
 出力は8:1:1だ。しかし、リチャードとほぼ同じ結果であった。消費練力が追いついていないのである。
「練力不足かな?」
「そうとしか考えられないかな」
「バランス取りは本当に難しいね〜」
「みたいよねぇ。1は映像装置レベルの出力しかないのかもねぇ」
 リチャードとクリア、先に行ったドクターと水円はエスティがこの比率の出力では長時間つかえないと話合った。

●風雪と守原、カーディナルの場合。
「ではいきます」
 守原のアルバトロスが立つ。地上に立つアルバトロスというのもシュールかも知れない。しかし、今後、水中を視野に入れるなら重要なデータになるだろう。
「はじめます」
 守原は4:1:3で物理と練力を多めに設定して、攻撃を待つ。ガトリングの砲撃を何とか耐える。振動が強いが、未装備と比べると弾丸を弾いていると感じを受ける。
「‥‥いい感じの出力じゃないかねぇ?」
「しかし、本体への損傷は期待値より多く出てますね」
 見学している傭兵とエスティは、攻撃を受けているアルバトロスを見てはそう漏らす。非物理の検証も行うと、4:1:3ではDLA−002とほぼ同じ程度の抵抗を引き出せなく、先ほどのレーザー映像装置レベルで防護兵装として役に立たないと分かる。そこで4:4:3にすると、ほどよい稼働時間はあるのだが、あまり効果は得られなかった。
 時雨のハヤブサの結果はと言うと(3:3:4)、守原の結果に近い形だったが、やはり物理防御効果が物足りなさを残す結果となる。
 カーディナルもアルバトロスでサンプルフィールドを装備して立っている。デバイスに入力した比率は最初4:4:3のつもりだったが、先の守原が出した総合比率とかぶるため、4:4:6で調べる。
「2:2:3でも試したいが同じ比率では効果がなかったと言うし‥‥。練力が追いついていないというのも問題だな」
 という理由もある。
 確かに練力が多ければ長時間稼働できる。しかし、この比率では消費連力が大きくなり、バッテリー残量というべきメータがーぐんぐん減っていくのが分かった。効果は守原や風雪が出したものと変わらなかった。
「このままではガス欠になる!」
 燃費が悪ければ兵装として問題があるものだ。
「バランスを取るのが難しいですね」
「どれぐらいがいいのか‥‥」
「でも、いい感じにデータはとれたわよぉ」
「それは良かったです」
「やはり調整というのは難しいものだね」

●努力友情勝利も7:3:5
「防御じゃなく、受動防御に絞ってみたいんだけど」
「うん? それは盾で受ける(受防)と言う意味でいいの? かまわないわよぉ。シールドのサンプルも作っていたから」
 のもじとエスティはそういって、のもじのREDCROWにはシールドタイプ(受防・抵抗オンリー)を追加で装備する。試運転でシールドを展開すると、ロボマニアなどは「格好いい!」とわいわい歓喜。
「ピンク色だけどねぇ」
 エスティは色が水色に変わればいいかなぁとか考えていた。
「つまり、このネオ(ry)」
「だからDLAだっていまはいいけどぉ‥‥」
 のもじに勝手に名前を付けられるのもどうかと思うエスティだった。

 そんなやり取りもしながら真面目に検証。
 のもじが設定した比率は7:3:5で盾をなにやら拳法の構えを取る。
「このGOD真拳の構えは無敵だ!」
 のもじはノリノリであった。
「ならばこの攻撃を受けるがいい!」
 守原のアルバトロスのディフェンダーが唸る。そこで真拳白刃取りをすれば格好いい。しかし、今回は『盾』で受けなければならなかったので装備していた腕で受ける。金属音が響くかと思えば、そうでもなく、しっかりレーザーシールドが受け止めていた。
「おお! これは!」
 その大仰な受け方をしたから体がお留守だった。
「ならばがら空きのボディに!」
 ゼロ距離ガトリングを放つ。確かにそれもフィールドが弾いていた。
「おお、いい感じの比率?」
「すごいものだね〜」
 効果がはっきりと現れていることに皆はのもじのREDCROWを眺めている。
「力場発生にやっぱり、パワー出力やタイミングムラがあるわね。発動、一番いいタイミングで頼む」
 のもじは一度距離を置いてからREDCROWが何と「水鳥の舞」をし始める。全員が唖然とするが、彼女は前にこういった。
「現実の被弾はノーマル状態だけで測れない。そこで機体で様々なポーズをとりネオ(略)を発動したい」
 と。
 「撃て」と言わんばかりのアピールなので、ガトリングと高分子レーザーで撃ってみる。見事に被弾する、REDCROW自体にあまり被害は及んでないとエスティのコンピューターは計算を出したのだ。
「これは良い感じよ!」
 と、エスティが言った瞬間、
「コクピットが暑い! きゃああ!」
 ディアブロのあちこち関節から煙が上がっている!
「まさか、オーバーヒート?!」
 練力切れではなく、オーバーヒートになってしまったらしい。急いでのもじは脱出する。暑いと言っても、能力者が覚醒した状態でサウナに入った程度のため、大事には至ってない。機動停止した後KVの煙も熱も早く収まったようだ。
「デバイスが言っている。出力を上げすぎだと‥‥」
 のもじが呟きへたり込んだ。

●データ取りが終わり
 データを取る合間に休憩を挟んで昼ご飯にし(守原の自作の弁当が主役)、また幾度か実験と検証を重ねていくと、ほどよくデータは取れたようだった。簡単にデータを纏めたエスティは時計を見ると15時ぐらいになっていた。そろそろ実験も終わらせるのにちょうど良いだろう。
「今日はお疲れ様ねぇ‥‥と言うわけで、シャワーなど浴びた後お茶会をしようかしらねぇ。皆、お疲れさまよぉ」

 クリアのお茶と御菓子、水円の用意した御菓子でゆっくりティータイムとなった。
 子供のリチャードは大喜びで御菓子を食べ、カーディナルやのもじもエスティに色々開発について訊ね親睦を深めていく。
 もっとも、結構親しい仲との交流はというと。
「ところで、キスまでは?」
「そ、そそんなこときかないでください!」
 エスティは守原をからかい、クリアはポッと頬を染める。
「エスティヴィア君はカミハラ君をからかうのが好きだね‥‥」
 ドクターは紅茶を飲んで落ち着いている。サイトーハムのオセーボを渡した後、他愛のない話しもしていたが、恋愛話になるとドクターは若干不機嫌となる。
 水円がエスティに「コミレザはどういう予定だ?」と訊ねると、
「またゲストと一寸した手伝いになるのかもしれないわねぇ。そのときはゲスト先でSUSHIをゴチになろうかとおもうわぁ。でも何か予定などが欲しいなら先に言ってねぇ」
 彼女はそう答えた。

 ほどよいデータが取れたことだが、まだまだ今回のDLAが形になるのは遠い話らしい。