タイトル:漁港の魚人襲来マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/08/19 23:53

●オープニング本文


 近畿の南にある漁港。活きの良い魚介類が捕れて今も賑わっていた。旬の魚、いつも食卓に並ぶ魚、エビにカニ、貝などと様々だ。
 しかし、そんな平和な漁港に危機が訪れた。

 大漁で帰ってきた船をみて、手を振っていた港の人々。船員達も手を振って応えているところ、近くの海面から不気味に光る影が現れたのだ
「うわーばけものだー!」
「ひいいい!」
 その、化け物は鮪だった。数mもあるような鮪が海面から顔を覗かせては、口から水圧カッターのような物を吐き出し、漁船を両断したのである。そのまま海に放り出された漁師や船員はほかの鮪の顔をしたキメラに食べられてしまった。
「ぎょえええええ!」
 鮪の化け物は奇妙で不気味な声を出し、近くの防波堤にへばりつく。鮪の胴体は毒々しく、腹の部分にトカゲと人を合わさったような不気味な四肢を生やしていた。その鮪達はそのまま口から吐き出す水圧カッターで漁協の建物や船を破壊していく。もしくは漁師達を食べるのであった。

 この被害を大事と思ったUPCは早急に傭兵を派遣し、鮪魚人を跡形もなく排除することにしたのであった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
天空橋 雅(gc0864
20歳・♀・ER
如月 芹佳(gc0928
17歳・♀・FC
エメルト・ヴェンツェル(gc4185
25歳・♂・DF
ジョシュア・キルストン(gc4215
24歳・♂・PN
ダンテ・トスターナ(gc4409
18歳・♂・GP
リック・オルコット(gc4548
20歳・♂・HD

●リプレイ本文

●漁港
 依頼のあった漁港。そこに白衣の男が立っていた。
「ふ〜、まだまだ暑いね〜」
 白衣に赤ビキニパンツに背中に試作型水陸両用アサルトライフルとエネルギーガンを背負っているドクター・ウェスト(ga0241)である。
「ふむ、手足があるようだね〜。滝でも登ってみたいのかね〜」
 マグロが滝を登りたいかはどうかともかく、今居るキメラは排除しなければならない。
「気味の悪い相手だし、さっさと片付けちゃいたいね」
 如月 芹佳(gc0928)が武器のアロンダイトを持って、現場を眺める。
「いいですか、く・れ・ぐ・れ・も、キメラ退治頑張りましょうね?」
「いやあ、仕事はしますよ仕事は、うん」
 エメルト・ヴェンツェル(gc4185)はサボりそうで心配なジョシュア・キルストン(gc4215)に注意をしていた。それを、ジョシュアは軽い返事で返していた。
(「化け物退治と行きますか。正面からの戦いってのは柄じゃないね、本当に」)
 リック・オルコット(gc4548)は心の中で呟いている。
「傭兵デビューの初戦っス。気合入れていくっスよー!」
 ダンテ・トスターナ(gc4409)は初のキメラ退治、初の水中戦に気合いを入れる。
「バグアもグロテスクなキメラを作るモノだな。だが、被害が出ている以上速やかな排除をしなくてはなるまい。微力を尽くすこととしよう」
 榊 兵衛(ga0388)は静かに言う。
「ドクター、皆さん、作戦はあの通りですね?」
「そのとおりだね〜。水中から追い出して、陸で仕留める! 『コイノボリ阻止作戦』だ〜」
 天空橋 雅(gc0864)が作戦の確認をすると、ドクターが『作戦名』を付けていた。
 ほとんどの傭兵達が水着を着ており、水中戦になる、もしくは海に落ちることを予想している格好だった。エメルトはドクターからダイバースーツや水中用武装を借りている。
 走ってしばらくする港で悲鳴が聞こえている。再びキメラが暴れ出しているようだ。
「では急ごう」
「うむ!」
 8人は走り出した。

●実際見ると
 実際にマグロキメラを見た傭兵達から正直な感想はと言うと、
「うわ、本当に気持ち悪い!」
 である。
 手足が生えた魚というのは、やはり不気味であるのだ。いまは数匹海面から水圧カッターを放っては近くの建造物を破壊している。
 ドクター、榊、如月、エメルトは港から飛び込んで泳ぎ、標的を追い立てる。陸上班は水圧カッターを躱しながら銃器や電磁派で倒そうとする。しかし、すぐに海面に隠れるために外れてしまう。
「なかなか当たらない!」
「水中班を信じるしかない」
 潜った4人は慣れない水の中で接近を試みる。ドクターはエネルギーガンでキメラを撃とうとするが、決定的なダメージを与えていないことに気付いた。試作型水陸両用アサルトライフルのほうはしっかり手応えはあった。
(「むむ、エネルギーガンは水中用じゃないから無理なのかね〜」)
 泳いで接近した榊が試作型水陸両用槍「蛟」を構え、一気に突き刺すが、相手は不気味なクロールで躱して榊に体当たりしてきた。
(「うわっと!」)
 榊は何とか躱す。鰭が四肢になっているためか異様な不気味さである。
(「早く片付けないと」)
 如月が突っ込んでくる鮪にアロンダイトの刃を振り上げる。
(「たああ!」)
 振り下ろした刃は鮪の腕を斬り堕とす。鮮血に染まる水中でキメラは苦しみ、そのまま勢いよく海面から飛び出し、陸地でじたばたする。其処で待っていたのは陸上班のダンテ、ジョシュア、天空橋、リックであった。
「一匹目!」
 ダンテが飛び出し、エラの部分にむかって殴りつける。バランスを崩したところで天空橋がスパークマシンαで焼く。香ばしさもない、焦げ臭さをまき散らすキメラは水圧カッターを口から吐き出すも、4人は軽く躱し、リックが銃で足止めした。
「さてと、給料分は働かないといけませんねぇ」
 そしてジョシュアが火尖槍をくるくる回し、急所をひと突きする。鮪キメラはそれで動かなくなった。
「まずは一匹ですか」
「まだくるぞ! 気を引き締めよう!」
 そのまま、続々飛び跳ねてくる鮪。これが普通の鮪なら大漁だとおもうだろう。

●水中戦
 水中では、慣れない中で戦いは続いていた。何しろ数が多い。その数で体当たりされて来たときは、躱すので精一杯であり、掠っただけでもトラックにはねられた衝撃が体に走る。ドクターはすぐに練成治療にとりかかり、仲間の怪我を治した。
(「これは、動きを見きらなければ」)
 全員が思った。
 まずは動きを読んで、対応する。水中では水圧カッターは出してこないようだ。相手が距離を取り、Uターンで向かってくる所を見極め、それを倒す事になった。
(「【槍の兵衛】としては、ここはやはり、水中でも槍で戦えることを示しておかねばなるまいな」)
 榊は「蛟」を構え、敵が接近する瞬間、流し斬りと豪破斬撃を発動し、後ろに回り込み渾身の一撃を与える。それが致命傷になったのか、鮪はぷかーっと浮いていく。
(「ヒョウエ君だと本気になるとそれぐらいはかるいかね〜」)
 ドクターや如月、エメルトは他の鮪を陸に追い立てていった。少し傷を与えただけで、鮪たちは陸に逃げていくようだ。周りは赤く染まって視界も悪くなるが、相手の動きははっきりと分かっているためやりやすい。
 一方、陸上班は確実に一匹一匹ずつ仕留めているが、あがってきた鮪が又水に逃げ込む事だけは避けられなく、また、水圧カッターに当たって吹き飛ぶこともあった。
「いつつ、AU−KVが無ければやばかった」
 リックが水圧カッターに当たってしまい、転がる。しかし、すぐに受け身を取って、体勢を立て直す。他の仲間がフォローに回って、確実に倒して行く。
「一匹逃げた!」
「水中班が倒してくれました」
 一匹程逃げたが、すぐに海面に浮かんでくる。それは二枚おろしにされていた。
 戻ってきたキメラを待ち構えていた如月が、アロンダイトを思いっきり振り上げ攻撃。見事に二枚おろしにしたのであった。相手の動きをよく見てなしえた結果である。
(「普通に食べられる物なら、よかったんだけど。こんなキメラだから‥‥」)
 如月はそう思いながら、次に戻ってくる鮪へ対応するために待ち構えた。

 こうして、確実に陸と海にて鮪キメラの群を倒して行った傭兵達であった。


●並べられるキメラ
「助けが遅れ、犠牲を食い止められなかったことを申し訳なく思います。怪物は退治されました。一日でも早い復興を願っております」
「いや、それでもたすかった。ありがとう」
 天空橋が漁港の関係者に報告している。
「オーライ、オーライ」
「それにしてもイッパイいたなぁ」
 漁港にはイッパイに鮪が並べられた。しかし、どれもグロテクスな色・模様で人間の手足があるため鮪かどうかと言われると返答に困るが形だけは鮪その物であった。三枚おろしや二枚おろしになっているものもある。毒々しいため最終的には焼却処分となるのだが、一部はドクターが持ち帰り、キメラの研究所に運ばれるようである。
「詳しく分かればいいのだがね〜」

 戦闘で受けた傷の治療も終わって、一息ついた傭兵達は帰りの高速移動艇が着くまで、思い思いの行動を起こしていた。
「無事に解決して良かったですね。それはさておきどうでしょう、この青い海を共に満喫しませんか?」
「結構です」
 ジョシュアは女性に声をかけたものの、見事に断られてしまう。エメルトはそれを見て溜息をついていた。
 如月は海がとても綺麗だったので泳いでいた。
「気持ちがいい‥‥」
 戦場とは結構離れている場所の砂浜で浮かんで青い空を眺めていた。
 リックは漁協の人にお勧めの魚介類を訊いては、それをつまみとして買っていた。

 戦いが終わった漁協に平和が訪れたのだった。