タイトル:【コミ】原稿制作の夏マスター:タカキ

シナリオ形態: イベント
難易度: 不明
参加人数: 25 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/06/17 04:13

●オープニング本文


 大規模作戦5月が終わると、今度は世界のヲタクは二次創作への飽くなき野望を胸に夏に向かって戦いに備える。
「我々の望んでいた戦場がキター!」
 何を意味しているかはその創作活動する人々の胸の中である。
 そう、これから又創作意欲、そして野望のために別の戦いが始まろうとしているのだ!

 で、ラストホープのとあるホテル。そのホテルにエスティヴィア(gz0070)が居た。本業の方も一段落付き影響を見ているなかでの気楽な原稿作業だった。
「あー原稿どうしようかねぇ」
 ペンをくわえて、考えている。
「まず、『息娘弄り』の第2アップデートは完了っと。もう数人モデルが欲しいところだけどねぇ」
 いきなりドアが開いた。
「エスティ! これに合うかな?」
 フィアナ・ローデン(gz0020)がうきうきと、どこかの制服コスプレを着ていた。
「おおう、似合う、似合う。でも歳が‥‥いえ、すみません」
 エスティはフィアナに思いっきり睨まれてしまい謝る。フィアナに歳のことを聞くと怖い。

 さて、貴方もコミレザに向けて原稿を書くか、こうした創作活動を手伝いにいくか、夏の戦場への前哨戦が今始まろうとしている。

●参加者一覧

/ ドクター・ウェスト(ga0241) / 伊藤 毅(ga2610) / 葵 コハル(ga3897) / 金城 エンタ(ga4154) / 守原クリア(ga4864) / アルヴァイム(ga5051) / 秋月 祐介(ga6378) / 葛城・観琴(ga8227) / 風間・夕姫(ga8525) / 守原有希(ga8582) / Anbar(ga9009) / 三枝 雄二(ga9107) / ファイナ(gb1342) / リリー・W・オオトリ(gb2834) / アラン・レッドグレイブ(gb3158) / 風雪 時雨(gb3678) / シェリー・クロフィード(gb3701) / ティム・ウェンライト(gb4274) / 鹿島 綾(gb4549) / 風雪 六華(gb6040) / 流叶・デュノフガリオ(gb6275) / 悠夜(gc2930) / 春夏秋冬 立花(gc3009) / ユステズ(gc3154) / ミリア・ウッドフォーク(gc3867

●リプレイ本文

●驚愕
 秋月邸。
「ありのままに起こったことを話そう。体験版を作るつもりが強力なスタッフが揃っていた」
 と、秋月 祐介は驚愕に手を震えさせながら、近くに居る黒子に言う。否、カメラ目線で言った。誰に向かっていって居るのか読者の想像に任せる。
「ふむ、今回はシミュレーションゲームと言う事だが、私はシステム担当でいいのかね?」
 黒子が訊ねると、秋月は「その通りだよ」と眼鏡を光らせて答えた。
 交流場所で様々な人勧誘し、己の野望のために作られたサークル【MODE−AUTUMN】(以降【MA】)のスタッフ人数が多くなっていた。合併参加しようとしても絶対あぶれる。数人はモデルだけど。
「功績が認められるのは嬉しい。なに、全てはシナリオ通りに進むだろう。問題ない」
 秋月はすでに妄想を開始していた。手には壁サークルの次の段階に進む位置を取ったサークル入場証をもっていた。
「まずは、また例の物を移動しなくてはなるまい」
 秋月の書斎や至る所には、一般向け同人誌の他にエッチな同人誌がある。徐々に増えていくのは男の性か。他の純文やら電子戦論文はどうしたというツッコミは受け付けない。とにかく、観琴が来る前に全てを片付けなければならないのだ。
 其処でメールが届く。
「観琴さんからか」
 携帯端末を見ながら、コーヒーを飲む。
『本の移動は別にしなくてもよろしいので、そのままで良いですよ』
 メールを読んだ瞬間、秋月は黒子に向かって飲みかけていたコーヒーを吹き出した。
「げほっ! ごほっ! 先を読まれ‥‥」
「きたないなぁ。まあ良いけど」
 冷静に黒子はタオルで顔を拭いた。
 今更言うまでもないが、この黒子とはアルヴァイムの事である。

 インターホンが鳴る。
「はいはい、やあ、来ましたね」
 秋月が受話器に出ると、「こんにちは、風間だ」と色っぽい女性の声が聞こえた。やってきたのは風間・夕姫だ。
「で、ゲームを作ると言うが、どういった物をつくるんだ?」
「こういう物ですよ」
 企画書を見せる。
「ほほう、悪くない。しかし、足りないか? 登場人物のモデルが」
「そこはほれ‥‥」
 黒子がお茶を出して横に割ってはいる。
「なるほど。彼女を引き込めば問題はないな」
 3人で悪巧みをする時の笑いをしていた。
(「こういう息抜きや楽しいことも良いよな」)

●ホテルのエスティ
「ぢゃぢゃ〜ん! こんにちは〜! 元気にしてる?」
 メイド服姿のクリア・サーレクがにこにこ顔でエスティを呼んだ。
「やっほー」
「こんにちは!」
 ホテルのロビーで、エスティは普通の服装のフィアナとお茶をしていた。後ろの方には守原有希とドクター・ウェストが付いてきている。
「元気にしていますか? 結構ゆったりなんですね」
「けひゃひゃひゃひゃ。調子はどうかね?」
「ソフトのアップデート以外ではネタがおもいつかないからねぇ。ネタ探し中なのよぉ」
 一寸お手上げ状態らしい。
「では、可能な限りお手伝いさせて頂きますね」
「ありがと」
 少し遅れて、風雪 時雨と風雪 六華の双子が現れる。
「自分たちも何か手伝うことは‥‥御飯を作ることは出来ますが」
「‥‥守原君が居るからないわねぇ。フィアナとデートすればいいわぁ」
「ちょっと!」
「エスティ!」
 慣れていても、真っ赤になる時雨に、わたわたするフィアナが面白い。
 ドクターは怪訝な顔をするが、守原とクリア、エスティはニコニコしていた。

 そのあと、フィアナと風雪の双子はエスティ達と別れる。エスティはホテルの一室に原稿ではなく、ネタ帳を広げて、守原とあーだこうだと話している。しかしドクターは別の机に座ってから、色々な書類を広げて深く考え込んでいた。紅茶はエスティのルームサービスで持ってきた(どのみち全員必要なので)。
「どうしたの?」
「将軍の一角が死んだ。その遺体はバグアの手に落ちた。今度は彼を相手にすることになりかねないからね‥‥」
「ちょっとぉ。それは大問題なことだけど、今は切り替えようよ」
 エスティは項垂れ、夏に向けた戦いに備えておきたかった。別に今回の大規模作戦の被害を軽く見ているわけではないが。切り替えは必要だと言いたいらしい。
 しかし、集中している彼は静かなのでしばらく好きにさせる。クリアというと、エスティヴィア人形を作っていた。フェルトの可愛い出来である。
「わ、かわいい」
「同人誌のこととかまだよく分からないから、これで、『出かけてます』『釣り銭が足りませんので小銭ご協力を』とホワイトボードを持たせればと思って」
「たすかるわぁ。ありがとう」
 エスティはクリアに抱きついてほっぺをすりすりさせた。
「きゃ、エスティさん!」
 そんな事をしているうちにドクターが一段落したらしい。
「あ、いや、すまない。そんなことより君の仕事だったね〜。ちゃんと表情の付く目鼻口のあるKVが現われて、無双にバグアを倒していくというのはどうだろうか〜。声が『黄金ジッポー』の人を想像するといいね〜、後で未亡人に恋する浪人生役やったりしてたけどね〜」
「うーん、それも良いけど。そのネタはかぶる可能性はあるよねぇ。擬人化流行ってるじゃない」
「そうか〜。良い案だと思ったのだがね〜」
 今度は3人で考え込む。
「あ、もう夕飯だ」
「ではしばらく待ってください」
 守原が一度外に出る。そして戻ってくると、タッパや保温弁当箱に持ってきた。料理を食べながら休憩。
 アジの塩焼き、さんが、なめろう、たたきにフライに、フライ用モルトビネガー。鶏唐揚げの甘酢がけ、牛のタタキ(葱と生姜)、旬の野菜の味噌汁と焼き浸し、デザートはトライフル、無花果や桃のタルトにびわゼリーだ。
「わぁ、いっただきます〜」
 原稿のことより、美味しい御飯にありつけることに至福になっているエスティが居た。
(「大丈夫なのかな〜」)
 3人は不安になってきた。

●KVふぁんくらぶ
「ファ、ファイナさん。一寸恥ずかしいですね」
 金城エンタがファイ娘‥‥いや、ファイナに周りを見ながら言った。
「場所が取れなかったから仕方ないですよ」
 ファイナが溜息をつく。
「で、前回でモデルになったが、俺たちも何か作るというのか?」
「そう言う事です」
 Anberが2人に訊ねると、頷く。
 ファミレスの一席。様々なKV資料や擬人化の本を並べてドリンクバーでドリンクを入れて飲んでいる3人。前はレスト学園の登場人物のモデルになったこの3人、エンタとファイナを中心に本格的にコミレザデビューを果たすつもりらしい。
「絵のことについてはエスティさんに聞けばいいかも。もしかしたら、ゲスト原稿も描いてくれる知れませんし」
「ふむふむ」
「シナリオはファイナさん、デザインはや実際に描きおこしは僕とAnberさんで」
「了解」
 ドリンクバーでジュースを飲みながら、しばらくファミレスを陣取るようである。
 内容は、KVの擬人化でもっともポピュラーなKV少女‥‥いやここは少年なのか男の娘なのかは別として‥‥彼らの幻想的な戦いとコミカルな日常を描く物らしい。新刊を二冊作るそうだ。

●新規参入
「ゲームプログラミングは任せろ!」
 と、悠夜が秋月邸のドアを勢いよく開いた。
「秋月さんからお話を聞いたのでお手伝いに参上なのですよ――♪」
 シェリー・クロフィードがニコニコやってくる。
「は、はじめてこういう事をやるのですが願いします」
 春夏秋冬 立花とユステズ、アラン・レッドブレイクがどういう物か分からないためおどおどして入ってくる。
「【ミリア亭】のミリアです! よろしくお願いします」
 ミリア・ウッドフォークと、続々秋月邸に入ってくる。
「おじゃまします〜。すでにやってるかな? かな?」
 そのあと、リリー・W・オオトリやティム・ウェンライトの【ウェンライト工房】のデザインメンバーに伊藤毅とその後輩三枝雄二、ほかに葵コハルと皇流叶もモデルとしてこの合併サークルに参加している。どれだけ誘っているのか、そして、秋月の人望の厚さを垣間見るところであった。
「えーっと何人いるのかな?」
 ティムが数えると、15人いた。
「多っ!」
「観琴さんがあとでやってきて掃除と炊事、あとは風間さんとで一人を確保する」
 どこかの総司令のような雰囲気になって、秋月が答えた。
「17人か。大所帯だね〜」
 そして会議を開くことになる。

「鉄(くろがね)の騎士物語・前編。主人公はほとんど女性部隊になっているところに配属された男性准尉。メーアル王国とエルディン帝国、そして他の国の結構シリアスな戦争物だよ。ただ、時代背景は第一次世界大戦ぐらいだ」
「ほう。では戦車や歩兵などだな」
「火力などの配分などは?」
 と、テーマと戦闘判定などのルールをアランや黒子が纏めていく。それに合わせてプログラミング組がメモを起こして、計算式をパソコンに打ち込んでいった。
 一方、リリーやティム、ミリアは秋月のラフなどをみて王国軍服、帝国軍服、メイド、バニーのデザインをおこすのだが、ミリアが首をかしげた。
「一寸待って? なぜメイドやバニー?」
 戦争物(恋愛物)を含むゲームのなかに、なぜ萌え要素? となるのは一瞬考えるだろう。
「中立国での補給時ではコスプレで‥‥まあ仮装と言うべきか、入国を許可されるイベントがあるのだよ」
 さらりと秋月は答える。
「むちゃくちゃダー!」
「あとは、カットイン時に此を実装する! システムの解析と導入手段はもう分かっている!」
 秋月は腕にあるパソコンではなく、別の19インチモニタから、巨乳女性キャラの胸が「たゆん」と動くフリーソフトを起動させた。擬音は「ぷるん」では無く「たゆん」である。
「‥‥」
「秋月さんらしい」
 女性陣沈黙。リリーは別っぽい。
「それを絶対付けるの?」
「当然だ」
 キリリと答える。大規模以上に真面目な目に見えたのは気のせいか?
「あっはっは、秋月らしいな。面白い!」
 風間は腹を抱えて笑った。
 インターホンが鳴る。秋月は我に返って、玄関に行くと、葛城・観琴がやってきたとわかり、
「はい、観琴さん。どうぞお上がりください」
 紳士に彼女を迎え入れる。
「周りのお世話をさせて頂く、葛城ですよろしくお願いしますね」
 彼女はお辞儀をした。

――なんと言う、切り替えの速さだ。

 ここにいる新規メンバーは驚いていた。

 さて、秋月と風間が「もう一人モデルを呼ぶ」と出かけるため、しばらくは黒子が後を仕切る。まだモデル側の人達はすることがないため、葛城と一緒に周りの掃除をする者と、大所帯故、食料の買い出しなどに向かっていった。
 とあるカフェ。そこに鹿島綾が待っていた。手を振って、2人を呼ぶ。2人はゆっくり椅子に座って、コーヒーを頼む。
「丁度来たな。俺にしかできないことがあるって聞いたけど」
「そうだとも、君にしか頼めない事だ」
「ああ、報酬ははずむらしいよ」
 2人がうまい話だと思わせながら、なおかつ鹿島でないと出来ない事を強調して誘う。
「ほう、おもしろい。どんな仕事だ?」
 鹿島は少し乗り気になる。
「それは、家で話そう」
「?」
 そして、秋月邸に戻ると、作戦会議より壮絶さが有りそうな仕事場風景を見た。黙々と絵を描く人、システムどうこうを語る人、服を作ってる人と割とカオスだった。
「な、何をするつもりだ?」
「君には、このゲームの登場人物になって貰いたい。コミレザのために!」
「なにぃ!」
 秋月が後ろで、眼鏡を光らせて鹿島に言った。
「面白いからやってみると良いよ〜」
 コハルたちが手招きする。
(「謀られた!」)
 鹿島はショックを隠しきれない。
「しかたねぇな。ここまで来たら参加してやるよ。で、何すればいい?」
 彼女は渋々参加をすることになったようだ。

●KVふぁんくらぶとエスティ
 ファイナとエンタ、Anberがエスティヴィアの居るホテルにやってきた。
「すみません、絵を教えて欲しいのですが」
「ネタ詰まっ‥‥ってそれぐらいならいいわぁ」
 エスティが何か向こうの方で叫びそうになってから、3人を見る。
「え? すみません!」
「ごめんごめん、新しいネタがなくてね‥‥えっと描き方よね?」
 とほほ顔でも3人に絵を教えて行く。
「ああ、KV擬人化は普通にあるわねぇ」
「ホントだね〜」
 ドクターも少し参加しての、絵の講習会になった。
「ほうほう、こうなってるのか〜」
 クリアは、その光景をしっかり見ていた。少し退屈かなとおもったところで、
「ねね、差し入れだけど、カレーパン食べる?」
 彼女はみんなに尋ねると、
「そっか、おやつの時間かな? いただきます」
 と、みんなで食べ始めた結果。
「うわああああ!」
 辛かった。スパイスをふんだんに盛り込んだ激辛カレーパンだった。どれだけ辛いというと、急いで水をがぶ飲みしたいぐらいだ。辛さのあまりけいれんしている人の中で、一名『当たり』のハヤシパンを食べていたのは、有希だった。
「クリアさん‥‥みなさん、大丈夫?」
「み、みずー」
 何とか回復したメンバーは、KVふぁんくらぶとエスティで原稿を書き始める。流石に急にエスティのゲスト原稿はもらえなかったがノウハウを教わって、描き上げる。そして、エスティも秋月用のゲスト原稿を仕上げて、一度は秋月邸に向かう事となった。

●コミレザの頂
 ミリアが驚いた。
「え、秋月さん所はまだ壁じゃないのですか?!」
「実績は徐々に認められているようですが、あなたも頑張ってください」
 休憩時に配属位置について話していた。
 連続出場で好評である【MA】と【ウェンライト工房】は壁近くの島の角。一方、【ミリア亭】は島の中でサークルチケットを手に入れている。
「壁を期待してたのに!」
「其処がコミレザの厳しいところだよ、ミリアくん。遙かなる栄光の頂(壁)はまだまだだ。実績と積み重ねていく努力で為せる事だと信じていますよ」
「むむ〜」

●『KVこみっくす・KVクリスタル戦記』から抜粋
 これは遠い異世界での物語‥‥。その世界の、某国。
 ある日、クリスタルを用いて、武具を格納できる技術が確立された。
『これでこの戦争は、優位に立てる』
 新技術に、人々は喜んだ。
 だが、武器を取り出そうとしたその時、はるか遠方では‥‥クリスタル使用者の負の心『影』が一緒に実体化してしまっていた。
 数年後‥‥。
 『影』は、国を脅かすことになる。
 かくして‥‥世界は、災厄に見舞われた‥‥‥

「影を滅ぼさないと行けないな!」
 Anberが迫り来る『影』を目にしてシラヌイの装甲を来た少年となって立ちはだかる。
 S−01H(白ファイナ)の少女が静かに頷いた。
「沢山いるね。思いっきり戦おうか!」
 ディアブロの格好となっているエンタが腕を鳴らした。
「この世に光を‥‥」
 クリスタルから力がわき出し、それが、自分の体の数倍もある武器(剣や弓など)を召還する!
「はあ!」
「きえろ!」
 『影』がその武器で霧散する。
 エンタだけはクリスタルの力を使わずに、直接、拳や武器で影を砕いていった。
「せぇ‥‥のぉっ! 砕けなさい!」
 数ある謎と冒険を繰り返す少年少女達。

 一方、影の本拠地では、黒いスーツに不気味な笑顔のファイナが遠見の水晶越しから、彼らを見ていた。
「さあ、戦いがいい。光と影の永遠の戦いはまだ終わらないぞ! はっはっはっは!」
 彼らと影の戦いはまだ続く。

●トラブル
 鉄の騎士物語の配役に、トラブル発生。
「この戦争の元凶の設定、深く決まってないけどいいの?!」
 ストーリー担当ユステズが泣き叫ぶ。
「それは後半でも良いかなって〜。いやプログラムに忙しいし」
 暢気に戦闘プログラムを打つ黒子が元凶だった!
「ぎゃああそれっぽいことでっち上げて書き直しだ!」
 システム面のほうは大まかにOKだったのだが、ストーリーの根幹などとなる「どうしてそうなったか」が一寸抜け落ちており、いまだストーリーを仕上がってなかった。帝国のうち元凶の誰かが野望に満ちて戦いを始めているだけでも今のところいいのだが、
「それは追々つなげる。後の話でなんとかする!」
 秋月の言葉で物語の流れは大きく変更しなかった。
 一方、チュートリアル的物語のほうはほぼ作り終えており、三枝がチェックして‥‥、
「S1の時点で致命的なフラグミスが3ヶ所、問題はないけど細々としたシステムミスが21ヶ所有ります」
「えー。しかたない‥‥直すか」
「ぎゃああ! プログラムはそれがきついんだぁ!」
 黒子と悠夜叫んだ。

 コハルに流叶はコハル個人サークルでコスプレ本を出す予定なので、プログラム側と同じく忙しかった。それでも、しっかり両国側の軍服を縫っている。あと、KV少女コスの素材で自宅も秋月邸も凄いことになっている。しばらくは、秋月邸と行ったり来たりと忙しいだろう。
「忙しいけど楽しいな。葵殿」
「るかにゃん一緒に参加してくれてありがとう。パラディンのKV少女でおねがいね」
「う、わ、わかった」
 少し照れる流叶にコハルは萌えていた。

 鹿島と風間はキャラのモデルで動かない日々が続くので別の意味で疲れてきたが、休憩時の暇つぶしのアイテムは事欠かなかった。本がいっぱいある分、読むものは困らない
「やっぱり、教授は巨乳好きなんだな」
「それは隠していたHな同人誌! どこから!」
 と、二人して教授の秘密を暴く楽しみもある。
 もともと、家事担当の観琴はもちろんだが、アラン、ユステズ、ゲスト原稿の提出を終えたミリアは掃除に食事の提供だった。流叶も飲み物を提供してくれたが足りないために、アランが買い出しによく向かう。流石17人の大所帯というところだ。
 絵を描く側も、モデルと同じく描いてチェックして書き直しの連続。最終的にコンピューターに取り込む事になるため、付けペンではなくマウスかペンタブになっていく。
「今度は此もしっかり勉強しないと」
 ウェイラント一族はそう呟きながら、OKの立ち絵などを取り込んでは仕上げにかかっていた。

●エスティの方では
「ふむ、KVや傭兵は今回横に置いて、大戦時代のゲストもあったし」
 エスティはじーっとクリアと有希をみる。
「?」
「なんでしょうか?」
「2人の恋物語をモデルに描くのも良いかな〜」
 エスティは宣言した。今回の新刊は恋物語?
「そ、それはだめです――っ!!」
 有希は大反対。クリアは真っ赤になってワタワタする。
「え〜、あんたたち見てて仲良くてさぁ、萌え萌えきゅんな展開や砂糖なシーンが描けそうだし」
「あう〜そ、それは‥‥」
「半分冗談だけど、駄目そうだからモデルは止めておくわぁ でも、テーマはキマリかな」
 うんうんとエスティは頷いて世界に没頭し始めている。
「しかし、モデルの方、考えておいてねぇと」
「それだと我が輩は、手伝うことは少ないかな」
 ドクターもすることもないので、今回は去ることにした。
 結局エスティヴィアの新刊は『息娘弄り』のアップデートバージョン以外は無い危険があった。
 一度、エスティやドクターと別れた有希とクリアは、
「不安になってきたです。原稿落とさなきゃいいけど」
「色々お話聞いて、勉強になったよ。原稿落とさなきゃいいよね」
「もし落としそうになったら、手伝いに行かないと行けませんね」
「あはは‥‥」
 苦笑する有希。
「あ、そうだ。これから、デートしませんか」
 さりげなく有希はクリアを誘う。
「え? う、うん」
 クリアは少し頬を赤らめて頷く。
「甘えていいですから。うちはクリアさんを一番大好きで愛しています」
 有希は赤面を堪えて、クリアの目をじっと見て‥‥微笑んだ。
「存分に甘えるよ!」
 クリアは彼の腕に自分の腕を絡めて寄り添ってきた。

●フィアナとデート
 エスティヴィアの仕事の雑用をと希望したが、すでに先客が居たことで、風雪兄妹は暇となっていた。
「さてどうしましょう」
「デートでいいじゃない」
 妹の方はしっかりしている。
「私は一寸姉さんに聞きたかったことが」
 六華がフィアナに訊ねる。
「なんでしょ?」
「コスプレしてなかった?」
「え? まあ、うんしてた」
 我に返って、フィアナが頷く。一寸恥ずかしかったらしい。
「まあ、でもいいかな、変装するし」
 広場を経由してアーケードをうろうろしながら、途中カフェである作戦を練る。
 つまり、コミレザにいくフィアナにとって、変装は必須要項なのだ。
「今変装のコスを考えているけど、同じテーマっていいかもと」
「ふんふん」
「ゴシックは前にやったはずだし、メイド・執事もかぶっちゃうし」
 衣装の話で、女の子は盛り上がる。時雨の方は話しについて行けなくなってしまった。
「私たち女性が男装、兄さんが女装という案もあるけど」
「それは駄目じゃない?」
 あっさりフィアナは却下を出す。
「え?」
「コミレザ覚醒禁止よ?」
「あ〜そうだったわね‥‥ぬかったわ」
 舌打ちする六華。なにか悪巧みを考えていたらしい。結局、普通にウィッグ付けて眼鏡をかけた普通の格好であるが、それでもテーマ当たりはアリでと落ち着いた。

 六華が少し離れた時、
「最近調子はどうですか? 自分はあまり事務所に顔を出せない状態だったので、心配はしていたのですが」
 申し訳なさそうに、時雨はフィアナに言った。
「大丈夫。元気にしてる」
 と、ニッコリ笑うフィアナだった。

●『鉄の騎士物語』抜粋
 准尉となった少年は女性部隊だらけのある小隊に配属される。
「〜くん! 久しぶり!」
「‥‥。まさか」
「おまえなのか? シェリー!」
「お久しぶり! 立派になって」
「ああ、まさかお前が居るなんてな」
 と、幼なじみシェリーとの再会、又新しい仲間、リリー、葵、ティム、立花と自己紹介。
「私は風間。よろしく」
「よろしく〜」
「よろしく、指揮は俺が執っていくことになるけど」
「頼りにしてますよ! 准尉殿」
 部屋などの案内をされる中でコハルが戦争に巻き込まれた話をしていく。

 某日。敵国の進撃に主人公の隊が出撃。ミリアの隊が攻めてきたのだ!
「ふっふっふ、ギャフンと言わせてやるですぅ♪」
 大胆不敵に戦車の上から部隊を見下ろしている感じで現れたようだ。
「初陣だな。しっかりやれよ」
 伊藤が戦闘方法を教授して、作戦行動も教える主人公は、戦いの重さを噛みしめながら。
「了解、全軍前進!」
 戦いに挑んだ。
「戦闘中に何馬鹿ほざいてる! その首もらうぞ!!」
「やてみるならやってみなさぁい♪」
 風間とミリアの戦いはしばらく続くが、ミリアの作戦ミスで隙が生じて風間が勝つ。
「ぎゃふん! おぼえてやがれです〜!」
 ミリアは規格外の速さで逃走。唖然とする隊員達の中で主人公と風間だけが、
「逃げ足の速い奴め!」
 と、舌打ちした。
 こうして、帝国軍のミリアと戦い此を勝利する。

 しかし、戦いは悪化の一途を辿る。帝国の力は王国を飲み込もうとしていることが伺えた。
 またもミリアと戦うが此を撃退、悪化を防ぐことが出来るが、まだまだ戦いは続いている。

 帝国軍のアランが陣営の秘密回線にてこの戦争の元凶に通信をしていた。
「状況は予定通りです。戦争は、我々の小さな掌の上から、一滴たりとおこぼれ落ちてはいません」
 そして激化する中、
「偵察に行ってきます!」
 コハルが偵察に志願するも、
「まて、それは別部隊が行うはずだ! 行く必要はない!」
 一度コハルを止める主人公だが、
「准尉‥‥すみません」
 しかし、コハルは命令を無視していこうとする。そこで、アラン率いる部隊と遭遇、重傷を負った。
「ご、ごめんなさい‥‥命令無視をして‥‥」

 その一方、フリー傭兵の鹿島と幼なじみのシェリーが激戦を繰り広げる。
「中々に出来ると聞いている。見せて貰おうか、その実力を」
「ええい! なに、そっちに勢力? なら‥‥こっちは!」
「荒削りではあるが‥‥なるほど、噂通りか」
 戦い甲斐のある相手と巡り会えて微笑む鹿島。
 しかし、鹿島も負傷し撤退、アランの方も消耗が激しくなったため、戦いは王国側に勝利をもたらした。
 そのときに、
「まもともに勝負しなさい! ひきょーものーっ!!」
 シェリーが鹿島を罵るも、鹿島は冷静になって言い返す。
「力押しだけでは勝てないよ。使えるものは使わないとな?」
「〜っ! ボクより栄養が胸だけに行ってるくせに!」
「む、胸の大きさは関係ないだろ! それに、お前だって十分に大きいだろうに!」
 低レベルな戦いは続いていた! 『たゆん』度合いの決戦もあるのだろうか?


 中立地帯での補給の時、秋月外交官が、
「こんな事もあろうかと、中立地域へは慰問団の入場で話を回しておいた、後は臨機応変に対応してくれ給え」
 と、様々な衣装を用意して去っていく。
「えー! こういうの着るの?!」
 隊員達は超ブーイング。
 命令なので渋々着替えていくのだが、主人公はうっかりティムの着替えを覗いてしまった!
「うわ、すまない!」
「あ、いいから」
「え?」
「俺‥‥実は男なんだ!」
「ええええええ!」
 衝撃の事実。女性ばかりと思ったら、体の事情で女体化しているだけの男の娘!
 メイドやナースなどになってどういうイベントがあるのかは本編を!(投げた?!)
 そして、様々などたばたを中立地域で堪能した後、再び戦場へ‥‥。実質囮部隊に任命されたことで、風間達が不満を言う。王国は何を考えているのか? 淡々と状況を話すだけの秋月外交官に不満が募っていく。
 激化していく戦い、補給もなく徐々に疲弊する中、主人公はある重要な選択を迫られていくのだった。
 それは‥‥、帝国に投降か、それでも戦い続けるか、新しい勢力として立ち上がるか‥‥だった。
 帝国と王国の戦いは又激しさを増していく中、少年は決断に迫られる‥‥。

(アナウンス:行動により、小隊の中にスパイ(ミリア)発見や、必ず死亡してしまうキャラが続けてつかえる様になる、なんとティムを恋愛(?)対象に! などの楽しいイベントが発生します。やりこんでみてください)

●数週間後‥‥
 秋月の企画である、『鉄の騎士物語』は全てのデバック、チェック、販売促進のコスプレ衣装も完成した。
「教授、教授」
 秋月を誰かが起こす。
「え? 観琴?」
「恋人じゃなくて済まんな」
 彼を起こしたのは黒子だった。
「‥‥済まない、少し眠っていたらしい」
 マスターアップした前半の主要データ。見る限りバグはない。客に出せるものだろう。
「完成したか!」
 プログラム担当の悠夜と三枝と伊藤や、家事などこなしていた観琴とアラン達がニッコリと笑う。設定資料集の原稿も完成していた。ウェンライト家とミリアは自宅に戻って最後の仕上げをしており、風間や鹿島のモデルも一旦家に戻っているらしい。
「一度全員休憩した後、ステーキショップに行こう。打ち上げだ。もちろん自分の奢りで!」
 メールなどで通知すると歓声の返事がメールで返ってきた。

 エスティの方はと言うと、
「いい恋バナがないー」
 ホテルでじたばた藻掻いていた。
 しかししっかり、秋月との約束は果たしており、個人的な問題になっただけ。
「ステーキ食えば力が付きそうだ」
 と、秋月のサークルがゲームを完成させたと聞いてそっちに向かった。

 ステーキショップでは、どんどん頼む人やゆっくり味わって頼む人と様々だった。今回は現金払いじゃなく、ツケでいいというステーキショップの粋な計らいにより、秋月は安堵と後の恐怖の板挟みになっていた。しかし、出来た作品は良作なので酒が旨い。
「あのさ、教授」
「ん? なんだね?」
 鹿島が一寸ゲームをしたそうだが‥‥。
「今時のゲームはこういうのが流行っているのか?」
 『たゆん』のところを見せてジト眼の鹿島。
「趣味で自分の野望がですよ」
「‥‥ステーキだけじゃ物足りない。ケーキも奢れ、そして爆ぜろ」
「何故または爆ぜなきゃ行けない!」
 ツケにして貰ってよかった。
 焼肉ではなくてステーキショップなため、風間は落ち着いて食べていた。そして、どんどん酒のお代わりをする。
「ふう、いい息抜きかな」
 色々あったなと、他の人と話しながら大人の雰囲気で、疲れを癒していた。
 しかし、酒の値段を見た秋月は少し青ざめる。
(「ツケでよかった」)
 隣で、忙しなく観琴はお酌をして忙しいが、アランは
「ヲタとは‥‥お、奥深きものなり‥‥っ」
 疲労と酒で轟沈していた。
 ユステズが未成年に飲ませようとすることろを、ミリアが止める。しかしその中にリリーもいたので、
「ボク、大台だから大丈夫」
 身分証をみせたリリーに、ユステズ、ミリアは驚愕した。大台です。何が大台って? 乙女の秘密で。
 ティムは高い肉のステーキを頼んで余裕があればと又頼む。
 静かな混沌の中を風間がニヤニヤ見ていた。
(「ツケでよかった」)
 今回、鉄の騎士物語に関わった人々は、思い思いに楽しんで、食べて会話している中で、秋月は観琴に元気がないことに気付く。
「大丈夫ですか?」
「あ、祐介さん‥‥」
 二人は賑やかな所を抜けて、外に涼みに行った。
「観琴さん。大丈夫ですか?」
「ええ、だいじょ‥‥」
 少しふらつく彼女を、彼はそっと支えた。
「あ‥‥」
「無理をしてはいけません‥‥しかし僕が無理をさせている‥‥すみません」
「いいえ、好きでやっていますから。楽しい友達ができて私も嬉しいですよ」
「あはは」
 少し、夜空を見上げてから。
「あの、観琴さん」
「はい?」
「僕は‥‥こういう日々もいいかなと思うんです」
「いいことだと思います。いつも戦いですから」
 正面を向き合う二人。
「あの‥‥これを‥‥」
 秋月は大事に仕舞っていた指輪の箱を観琴に差し出した。
「わあ! ありがとうございます!」
 観琴の笑顔に、秋月は心疲れなどが消し飛んだ気分になった。
(しかしそこで、風間と鹿島がこっそり覗いていた事に気付かなかった)
 ステーキショップでは、秋月と観琴のいないことで、
「偵察完了!」
「やっぱ教授爆ぜろ?」
 エスティが言う。
「ここは爆ぜないと駄目でしょう」
「爆ぜるべきなのか、教授は?」
「いやぁ、美味しいところもあっていいんじゃね?」
「恋人さんだったのですね〜」
 彼らの関係の話で盛り上がっていた。
 ついでに、おみや代も増えてます。ティムが注文したのである。
(「ツケで本当によかった」)

 あと1ヶ月後には本当の戦場が待っている。それまで休むがいい‥‥コミレザの戦士達よ!