●リプレイ本文
●
リズ・A・斉藤(gz0227)は傭兵達が来ると「急いで!」と叫んで、砦のバリケードまで案内する。
「待たせたな!」
館山 西土朗(
gb8573)が、前身の傷口を赤く光らせて叫ぶ。銃撃や悲鳴や怒号の中でも響き渡った。援軍が来たことに希望砦の人々の士気は上がって、銃撃の音も激しくなっていく。
「リズも狙われるようになったのか。ま、護りは俺らに任せろ。しかし正念場だからな」
セージ(
ga3997)はリズに握手を求めるが、
「増援の配置は?」
「傭兵が血路を開いて、指揮官を討つ。その援護と防衛を」
リズは、指揮で忙しいらしく、握手は今回もからぶった。
「待てィ! 闇夜に蠢く以下省略。今が昼でも気にしない。てめぇらまとめてぶっとばしてやるぜ!」
フーノ・タチバナ(
gb8011)が、バリケードで比較的足場のある柱部分に立ってからそう叫ぶ。しかし、相手はキメラだった。
「アホか、キメラに言葉が通じるか」
湊 獅子鷹(
gc0233)がぼそりとフーノだけに聞こえるように突っ込む。
「気分ダヨ! 気分! 聞いてくれる奴がいれば嬉しいけどな!」
「この騒音で聞こえるかよ」
等と言い合いながらも、バリケードに迫り来るキメラを倒して行く。
「血路を開くわ!」
後衛でペルラン・ロワ(
gc3792)が銃器を持ってバリケード越しからキメラを撃つ。ペルランが制圧射撃を行ったあと、
「さて、死への片道切符の舞踏を味わうがいい」
セージが死のダンスを舞い、鹿嶋 悠(
gb1333)がリズを護るように牛鬼蛇神でやってきたタイツ姿の人型キメラや猟犬キメラを薙ぎ払った。道が出来ると、終夜・無月(
ga3084)とフーノと湊、フェイト・グラスベル(
gb5417)と館山がすぐに走っていく。
「此はバイクじゃなく、装着して行ったほうがいいね」
フェイトは170cmの女性になって、ミカエルの装着準備をする。その間にリズに向かって親指を上に上げて一言言った。
「リズさん、今日は頑張ってお手伝いさせて貰うです!」
それから装着が終わったところで、走っていった。
「感謝します」
彼女はそう呟くと、スコーピオンを構えてやってくる人型キメラを迎え撃った。
キメラの群は上から見るとおそらくアリが砂糖に群がるような光景だろう。そのアリのような絨毯を切り裂くのは終夜を先頭にした迎撃班だった。彼にかかればこの雑魚キメラなど石ころに等しい。明鏡止水の美しい刀身は、血に染まっていく。
フーノは湊と背中合わせでキメラを投げ、殴り蹴る。湊は無言で菫を振るう。刀身日がつくことに歓喜していた。
「お前はヒーロー気取りすぎるんだよ。素直に暴れたいって言えば良いんだ」
「それじゃあ、だめだ!」
フーノが左のキメラを殴ると、追い打ちに湊が突き入れる。
「つうかしばらくみないうちに、変わったな‥‥?」
「戦えば誰だって変わる。刃が肉を切り裂く時の快感は止められねぇよ」
「ばか、それじゃ殺人狂と同じだ。お前にも仲間がいるだろう!」
喧嘩のような言い合いをしながらも、相手の呼吸を知りキメラを確実に仕留めていった。
「ほう、コンビネーションがいいな!」
館山がメイスを垂直に振りキメラを撲殺していく。防護陣で受け止めてからカウンターでキメラを吹っ飛ばす。ライナーで飛んでいくキメラに迫り来るキメラも一緒に吹っ飛んだ。
「‥‥こんな雑魚でどうにかできるとでも?」
フェイトが着込むミカエルの騎士鎧がベオウルフをぶうんっと振るう。回りを囲むキメラはそれで吹き飛ばされる。
フーノと湊の方向が徐々に道が開けてくる。大きな棍棒を持った指揮官らしき男への道が出来た。
「こしゃくな人間共め! このゴステロ様が相手してくれる!」
「やってみるならやってみろ! 俺がここの指揮官だ!」
フーノが堂々とした態度でゴステロにむかって言い放った。
「向こうはあんじょうやってるな」
セージが迫ってくる残りのキメラを屠りながら一旦バリケードの中に入る。リズは指揮に忙しくなってきたようで、狙い撃ちされないよう、鹿嶋が護っていた。
「敵は指揮官の方に戻ってる? 指揮官影武者作戦成功なのね」
リズは伝令を聞いて、ふむとかんがえ、それに併せた布陣の展開に急ぐ。
「伝令兵を使うよりもっと手っ取り早いこともあります」
鹿嶋がそう言うと、
「照明銃ですね? 簡易的な物ならそれで」
「分かってくれてよかった」
しかし、希望砦を襲いかかってくるキメラの数、勢いは減っていない。おそらく指揮官が倒されないと撤退はないのだろう。
「こう、数が多いと、やっかいよね!」
制圧射撃とブローンポジションの切り替えを行いながらペルランはキメラの侵攻を阻んでいた。
キメラの脳天に銃弾が当たったとき、
「ビンゴ〜」
と、彼女は喜ぶ。
「陣は安定していますが注意してください。指揮官が倒されていません」
リズも銃をもって、迫ってくるキメラを倒して行った。
フーノと湊いがいの戦士たちには必要以上のキメラが覆い被さるように襲ってくるためにフーノ視界からは終夜の姿は見えない。
(「うわ、御大が見えねぇよ‥‥次の作戦に移れねぇな」)
終夜も無言で戦っているため、全行動で群がるキメラを倒す事で手一杯で何かしらサインを送る余裕がない。館山とフェイトが合流して戦っているが障害となるキメラの群と距離的に到達は無理であった。
「ほほう、潔いな。お前が砦のリーダーか」
「おう! ビビッてんのかかってこいよ!」
フーノは悠々と構える。
湊はやれやれという顔はせず(内心思っているのだろうが)、副官らしい位置の態度を取る。さらに不意打ちでキメラが後ろから来ないかを警戒していた。
(「で、そのあとはどうするんだ?」)
(「かっこよく行こうぜ」)
(「戦いだけで良いじゃねぇかよ」)
と、フーノと湊はアイコンタクトで言い合う。
「よく、自ら出陣した! ならこちらから行くぞ!」
両手持ちと思う棍棒を思いっきり振り上げては、フーノを狙う! フーノと湊は横飛びで回避するも風圧で転がった。
「うわっちゃ! 強化人間だけはあるな!」
「はっはっは! バグアは人間を進化へ導くのだ! これぐらい造作もないこと!」
「バカかてめぇ! 自分の力と努力で進化してこそだろ!」
こんなバカ力を普通の人間は持ってない。自ずと強化人間と分かる。ミカエルの装甲がなければ重体だと思った。湊の方は運良く躱しているが風圧や石つぶてによって怪我を負った。
(「戦いはこうでなくてはな」)
反撃に転じる二人。その渾身の一撃が棍棒で受け止められて、棍棒の反撃をくらう。
「うお!」
「くそう!」
しかし、フーノは竜の鱗を発動して耐え、湊は菫で受けながしてそして、するりと抜ける。こうした一進一退の攻防が続く。
しかし、2人の連携が功を奏し、ゴステロに隙が生じるところに、湊がすぐに踏み込む。
「この程度の踏み込みで!」
ゴステロが棍棒を振るうが空を切った! 湊の姿はない。
「よう、デカブツ目障りなんだ‥‥一撃で殺してやるから、刀の錆になっちまえ」
死角に入っての流し斬り。ゴステロの脇腹に菫の刃が食い込んだ。
「ぐはあ!!」
ゴステロは叫ぶ。湊は更に連撃で切り裂く。その側面からフーノも連撃で拳と脚甲つきの蹴りを見舞う。ゴステロはその衝動でよろめき後ずさった!
「いまだ! 必殺、タチバナンキックゥ!」
AU−KVが全体にスパークをほとばしる! それが、ゴステロの胸に当たりそのまま彼を吹き飛ばした! ドスンとゴステロの巨体が大地に落ちてはねた。
「ぐおおお! まさか! ま、まさか‥‥このゴステロが!」
血を吐き、苦しみながらバタリと倒れた。
湊が真デヴァステイターを構えて警戒。
「やったか?」
フーノも立ち上がって敵をみる。
しばらくすると、ゴステロから大量の血が流れている。そして周りにいたキメラも小さな爆発と共に燃え尽きていった。
「倒した!」
希望砦から歓声が上がった。
●
フーノと湊は英雄扱いを受けていた。
「いたたたた! いひゃっほー!」
「ええい、よ、よるな!」
ノリノリなのはフーノで、肩車をされて意気揚々だ。しかし、湊の方は機嫌が悪い。しかし、人の好意をむげには出来ないために、フーノの小さなパレードっぽい何かに付き合っていた。リズは戦いに参加してくれた傭兵達に握手を交わしてありがとうという。
それが一段落ついた後、けが人が運ばれ治療を施すことやバリケードの修復、後処理を行っていく。館山が応急処置や負傷兵の治療のために手伝ってくれている。ペルランは疲労ですでに眠っており、他の傭兵も怪我の手当の後、バリケードの立て直しなど力仕事を手伝っていた。
「一度メンテに戻らないと」
エミタの定期メンテが近づいている。リズは今後どうするか考えた。
「リズさんお久しぶりです!」
「フェイトさん。お久しぶり」
「お元気そうで何よりです」
姉妹みたいに見えるリズとフェイトはLHで起こったことなどを話しながら後片付けの仕事をしていた。その2人の間にセージがやってくる。
「リズ。教えて欲しい事があるんだけど」
「セージさん、なんでしょうか?」
純真な動物のような笑顔でリズは首をかしげると。
「なあ、鹿嶋さんとは何処までいった‥‥」
「あ、後ろ」
フェイトが指さす。
そこには、『鹿嶋さん』が二刀小太刀「牛鬼蛇神」に紅蓮の炎を纏わせて、殺気をこめて立っていました。
「いや、これはね‥‥だから待って‥‥」
そして鹿嶋に引きずられていくセージくん。
「いってらっしゃい〜」
ニコニコとフェイトはハンカチを振っている。しばらくするとテントの角でセージの悲鳴が聞こえたが誰も気にしなかった。
「前になかったっかな」
「そうなんですか?」
リズは溜息をついた。しばらくこう言うのは続くのかと。
●
ゴステロが倒されたことにより、ガドルはアーベストを呼んだ。
「なにをしているか! ゴステロなど役にたたんではないか!」
ガドルは怒りをアーベストにたたきつける。
「申し訳ありません閣下‥‥。今度は抜かり有りません」
「‥‥失敗をしないようにな‥‥」
「はっ!」
まだ、ナッシュビル解放までは遠い。