タイトル:カメレオンシステムマスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/11/23 08:30

●オープニング本文


 大型映像プロジェクトがエスティヴィア(gz0070)のマロッコ機関で開発中であった。しかし、大げさにそのプロジェクトを持ち上げているわけでもなく水面下である。大規模作戦もあり、軍もメガ・コーポ各社も大忙しなのだ。
 ハロウィンをしこたま楽しんだと思われるエスティは、相変わらずデスクの下で丸くなって眠っている。そこで、電子音ではなく、日本に良くあった黒電話の着信音がなった。彼女はまだ寝足りないような不機嫌さで電話を取る。
「はいー。えーっと、そうか‥‥。ふむふ」
 仕事の話と分かった途端に、目が冴えたようだ。
「では、ちょうどいい戦場に設置してください。例えば、牧場を荒らす狼キメラの群などに」
 さて、彼女は何を考えているのだろう?

 傭兵が呼び出され、本来軍の尉官あたりが状況を説明するはずなのだが、エスティヴィアが綺麗な格好で目の前に立っていた。彼女的に『かなりおめかししてます』で、胸のあたりが印象大きめで。

「今回はのキメラ退治に、この大型プロジェクション『カメレオン』をつかって、バグアのレーダーも多少ジャミングし、視覚困難にての塹壕戦をやって欲しいんだ。目標はこの地区の牧場を襲っている狼キメラの群(12匹?)に、ダチョウキメラ数羽、人の形をしているが、手がチェーンソーになっている殺人鬼型もいる」
 大きさは2mていどの四角いなぞの装置にキャスターを付けているようだ。
「これを塹壕にした地点に4つほど設置している。中には簡易型ジャミング中和装置も入れているが、実際KV並の動力がないと動かせないので、この装置の電気供給のことは考えなくていい」
 ここはUPCとドロームで配線をしたのだろう。

 一例を彼女の開発した映像装置でみせると。牧草地の一部分に人が4人ぐらいは入れる塹壕にその装置が置かれている。スイッチを入れたら、塹壕が消えて、『まわり』に溶け込んだ。
「誤解を生みたくないので、光学迷彩と全く違うのよねぇ。私の開発中の映像技術で、大凡おなじ風景を装置から映しだしているの」
 此にはすでに欠点があり、虫が飛んでいるシーンが映し出される。囲っている部分に入った虫はそのまま消えるのだが。
「まあ、あいての目視などを若干ごまかすことと、若干のジャミング中和装置で重力レーダーを少しだけ押さえ込んでいるだけねぇ。個人使用には向かないのよぉ。でも、アイデア的におもしろいから、テストで使って欲しいわけぇ」
 エスティヴィアは苦笑して説明した。
 つまり、此を使って、キメラを狩れという事だ。
「あ、情報によると各種キメラは、自爆する奴もいるから気をつけてね」

 一寸変わった実験も含めたキメラ退治が始まった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
優(ga8480
23歳・♀・DF
高坂 旭(gb1941
22歳・♀・DG
真上銀斗(gb8516
21歳・♂・JG
飲兵衛(gb8895
29歳・♂・JG
ユーフォルビア(gb9529
16歳・♀・SF

●リプレイ本文

●広大な草原
 広大な草原に、いくつか穴がある。塹壕のようだ。キメラ達は姿を現していないが、また家畜たちを襲ってくるかも知れない。しかし、その塹壕が何のためにあるのかというと、ドローム社のエスティヴィア(gz0070)の開発品を試すためにあった。
 いつもの顔ぶれの他に初めて顔を合わせる者、数度あった人物の姉などと様々だ。
「なかなか面白いシステムだね〜」
 レクチャーを聞く前から、そのことに興味を持っていたドクター・ウェスト(ga0241)はけひゃひゃと笑う。今は十字架を外している。
 ほとんどの傭兵はこのシステムに興味があるようだった。
「光学迷彩ではなく、あたりの風景を映し出して隠しているのか?」
「そうよぉ」
 須佐 武流(ga1461)は、結果を知るために待機しているエスティヴィアに聞くと、彼女はそう答える。
「俺は一人でやろうと思うが良いか?」
「はいはい、ソロね? そんな事もあろうかと、遠くの方に塹壕を掘ってるから。でもそっちには設置してないので自力で持って行ってねぇ」
「わかった」
 かなり大きな装置だが、覚醒して持ち運べば多少、問題はない大きさだ。しかし一個だけとはと首をひねるが、
「目に見えている塹壕の方に設置しているのよぉ。ほい」
 何かスイッチを押すと、塹壕が徐々に姿を消して、周りにどうかする映像が映された。まるでかき消えるかのような物だった。
「おおっ!」
「コレは凄い」
 現実で見ると、仕掛けが分かっていても驚くことになる。
「質問ですけど〜」
 ユーフォルビア(gb9529)がエスティヴィアに訊ねる。
「なにかなぁ?」
「超機械の使用にお互い影響は出るのですか?」
「ああ、それは大丈夫よ〜。バグアの電磁派とSESの物では違うし、超機械で装置がおかしくなることもなければ、その逆も無いからぁ」
「ああ〜よかったです」
「さて、心配事もないようだし、作戦通りにいこうかねぇ」
「はい」
「ふむ、そうだな。それにこれの展開に期待は出来そうだ」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が煙草を消して、準備のために取りかかった。
 さて、どのような狩りになるだろう。

●落とし穴
 4つある塹壕を二つだけ落とし穴にして、残りを隠れる人様にした7人。3人が陽動をし、残る4人が塹壕で待機するのだ。ドクターと真上銀斗(gb8516)、ホアキンと優(ga8480)で別れている。陽動班は、高坂 旭(gb1941)と飲兵衛(gb8895)、ユーフォルビアである。
「さて、中に入ったときの状態は〜。ふむ、色は問題だがまあ試作品だから仕方ないのかね〜」
「わー、周りがピンクです〜でも。面白い仕掛けですね〜」
 試しに入った、ユーフォルビアが、可愛く感想を言う。
 まず確認するべきは、内部から外が見えるか、だ。見えていなければ、話にならない。そこは、エスティヴィアが考えたらしく、映像粒子噴霧エリアの内側には発生しないようになっている。ただ、噴霧している漁師は都合上によりピンクであった。実際些細な出来事だが、映像照射の都合上のものだろう。
 地面から腰の高さまで映像を出しているらしく、立ったときなどに首だけ状態になることはないようだが、一寸した悪ふざけで、『手だけ』が宙にういているなども可能なようだ。それを見ている側ではシュールか恐い。
「動作確認OK。これより作戦開始!」
「了解!」
 陽動班が森の中へ入っていった。
 すでに、又狩りを行おうとしていた狼キメラが、3人をいち早く見つけると、遠吠えを始めた。
「うわ、もう見つかった!」
 飲兵衛が直ぐにライフルを構えて、距離を取る。
 12頭入ると言われているが、森の中では正確な数は分からない。飲兵衛は旭と威嚇射撃と気を引きつける射撃を繰り返し、ユーフォルビアは2人の怪我具合を見極めてフォローに回る。直ぐに囲まれないよう、逃げるようにしているが、遠くの茂みから、ドドドドと轟音が聞こえてくる。
「なんだ? うわあ!」
 旭が驚くのも無理はない。ダチョウ3羽がものすごい勢いで突撃してきたからだ。目の前の自分より低い木や藪をなぎ倒して、しまいには狼キメラも巻き添えにしての突進だった。3人は逃げて、おびき寄せるように撃っては少しずつ数も減らしていく。
(「貫通弾は要りそうにないな」)
 飲兵衛はそう思いながら、50mの距離をなんとか保持していくが、さすがに平地に出たダチョウを相手するには、走っていくしかない!
「にげるですよ〜。こっちですよ〜!」
 鬼ごっこの様に招きならが、キメラ達をおびき寄せ‥‥。第一の落とし穴を飛び越える。
 6頭ほどの狼がいきなり消えて、「きゃうん!」と鳴いている。獲物を気にしすぎたのか中に落ちたようだ。しかしダチョウは足幅があったのか軽々飛び越えていく。残る狼キメラは『危険』を察知したのか散開するが、
「予想通りの範囲だ、しかしまだ来るはずだぞ」
 口調が変わったドクターが、練成強化で銀斗のアサルトライフルを強化する。銀斗のアサルトライフルは、警戒している狼に狙いを定めるが、陽動からのOKがでるまで待機する。
 ダチョウが2羽、次の落とし穴に見事に足を取られ、ヘッドスライディングをしていた。それと同時に陽動班が、「いまです!」と叫ぶ。そして残った狼たちと、起き上がりかけのダチョウたちを一気に総攻撃を開始する。
 数が半減したキメラの士気はガタガタであり、また、いきなり地面から飛び出し現れた優などの『異様な光景』に本能が追いつかないキメラは瞬く間に斬り倒された。
 落とし穴に落ちたキメラも、這い上がってきたところに、銀斗が狙い撃ち仕留めていく。ホアキンと優の塹壕は、落とし穴と近く、ちょうど挟撃出来る位置だったので、塹壕から超機械ドクターの方は状況有利として、錬成強化を徹底している。陽動班の飲兵衛と旭は飛び道具しかないため、距離を取りつつも、常に撃ち、ダチョウを倒すが、ダチョウは絶命と同時に自爆した。隣にいるダチョウがこんがりと焼かれるが、焦げ肉になっている。
「ダチョウ食べられるのに!」
 飲兵衛が悲しい悲鳴を上げるのに対し、
「キメラの肉なんか食べるものか! 遺伝子汚染ってレベルじゃない!」
 ドクターの怒鳴り声と、宙に顔。顔が映像範囲からはみ出たため、首だけ宙に浮いているため、
「うおあ! こわああ!」
 飲兵衛が大げさに驚いた。
「まったく、この辺は改良するべきなのか?」
 塹壕の高さなどを考慮すると、長身のドクターは立ち上がったりすると、顔が映像範囲から出たりするのだ。悪気がないので、それぐらいにする。誰にもこだわりがあるので討論はなしだ。
「わー! おもしろいです! って、お仕事です! お怪我はありませんか?」
 ユーフォルビアがその首だけ宙に浮いているように見えるドクターに、驚きもするが、直ぐにキメラ退治に集中する。キメラの数は少なくなって、そうした会話の余裕もできるのだが。それに、今回は食材キメラと言ってはない(「食材キメラって聞いてないからねぇ」と苦笑しているエスティは横に置くとしよう)。
 連携でキメラを屠った一行は、倒した数を数えるも、
「数が足りないな‥‥」
「ですね〜」
 数匹こっちにおびき寄せられなかったようだ。
「我が輩も思っていた」
 狼キメラの数は合っている、ダチョウ1羽と殺人鬼キメラだ。
「殺人鬼キメラだな‥‥もしか向こう‥‥?」
「彼一人なら問題なかろう」
 カメレオンシステムに傷はないかの確認をしているドクターが言った。

●ソロ
 森の中を歩く須佐。藪をかき分けて、視界には見あたらなかった。
「‥‥どこだ?」
 何か、寒気がする。ああ、殺気だけはわかる。しかし、コレは獲物を狩るときの物だろう。彼は後ろに向かって回し蹴りをする。
 金属音とチェーンソーの起動音が不協和音をだした。
「殺人鬼は後ろからと相場が決まっている!」
 そのまま襲いかかる殺人鬼キメラを刹那の爪で蹴り上げると、殺人鬼はよろけながら、逃げる。
「こっちを狙って潜んでいたが逃げるとは‥‥まさか?」
 遠くから轟音が聞こえる。ダチョウに乗った殺人鬼キメラが叫びながら迫ってくるのだ。
「ホラーでも何でもないな‥‥」
 追いかけてくるなら好都合、この3体をおびき寄せ、自分の仕掛けた落とし穴まで誘導していく。
 受けるか躱しながら、一気にある場所で飛ぶと、3匹は足を取られて、姿を消した。ダチョウだけ首だけが見える。しかも空中に。
「さて‥‥ここから俺の時間だ」
 顔だけ出ているダチョウに蹴りを入れ、吹き飛ばす。その一撃で自爆したため、須佐はやけどを負ってしまうも、あとは、穴から這い上がる殺人鬼を簡単に仕留めるだけだった。弱体化した状態で須佐にかなうわけもない。

 こうして、無事にキメラを撃退した。

●感想会
 装置の回収はドロームのスタッフに任せると、エスティヴィアの用意したコーヒーとサンドウィッチで感想を聞くことになる。飲兵衛がレーションを食べると言うが、「大事なときに取って起きなさい」と言われた。軍用レーションは、普通、長時間のミッション時の小休憩で使う物か、補給のない時に使われる物だからだ。
「使い勝手はどうだった?」
「電磁派問題は解消されているので、面白い物だと思うです〜」
 ユーフォルビアが、きゃっきゃっと感想を述べる。
「ふむ、色々作戦が広がるので、一つ提案を」
 ホアキンが言う。
「携帯しやすくなるといいのだが。潜入などに使えそうだ」
「あ、それは俺も考えていました!」
 飲兵衛も同じく訊ねてきた。
 しかし、
「うーんそれは、小型化は粒子量の問題で無理かもねぇ。元々平和利用も兼ねていた装置だからね〜」
 申し訳なさそうにエスティは言う。
 そう、この装置の原典は‥‥、空間に平面画像を映し出すものだ。SESの使用で今は何とかなっているらしい。
「そうかそれは残念だ」
「もしかしたら‥‥大きくして、KVを隠すためか?」
 須佐が訊ねると、
「そうそう、今回はそれの低燃費版。ほら、コレ使ってKV塹壕だと、お空から目立っちゃうっしょ?」
 エスティは察しが良いねぇと笑顔で答える。
「なるほどな」
「ただ、単品では使えないから、ドローム社の中和装置を併用して使うことになりそうねぇ」
「もともと、映像技術から出てきた物だからね〜」
 ドクターがウンウン頷いている。
「質問です。KVを隠すとかをいうのですが」
「なに?」
「CWなどのジャミングには通用するのでしょうか?」
 旭が訊ねる。
「うーん、あの脳波に届く悪影響のものねぇ‥‥。あれは別物らしいから、無理かも。元々、これらは小型化の予定はないし、大がかりな施設を一時だけ隠すなどの秘密基地や、須佐君が言うKVをこっそり隠すための装置なのよねぇ。アクセサリとしての発展はコストなどで問題があるから出来るとは上手く言えないわぁ」
「そうですか残念です」
 この後も、映像装置の談義が続くも、エスティはデータ採取が待っている。
「では、あたしはコレで失礼するわねぇ」
「またです〜」
「ああ、今度はコミレザかね〜」
 と、科学者と傭兵達は別れを告げた。

 この装置が世に出るのは、まだ分からないが好感触なのは確かだった。