タイトル:【JTFM】偵察マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/11/04 00:53

●オープニング本文


2009年10月

膠着した南米戦線に一つの変化が訪れた。
独立戦争時に南米で身柄を拘束したルイス・モントーヤが自白し、バグアの基地や戦力の情報が明らかになったのである。
UPC南中央軍のジャンゴ・コルテス大佐はこれを元にコロンビアへの先手を撃つことで流れを変えようと動き出した。

作戦コードは【JTFM=ジャングル・ザ・フロントミッション】。
泥臭いジャングルに傭兵達が集う‥‥。


 とるUPC南中央軍の尉官が、まさに泥臭いジャングルに、足を踏み入れる勇者はいないかと、作戦の一端を説明した。
「今回のミッションは、我々UPC南中央軍の陸戦部隊が進める陸路を確保するため、偵察を行って貰いたい」
 少数にて、遭難せずにルイスからの自白で得られている情報を元にある、各所の見張り区画の完全な把握をするのだ。いわゆる「戦場の地図描き」である。
 ジャングルにより、巧妙にカモフラージュされた小さな砦は多々あるだろうし、さらにはどっちの派なのか分からないゲリラの集落は数え切れない。ルイスは本拠の情報は詳しいとしても、拘束されている間に拡張された事は知らないだろう。
 幸い、先手を打つ形な為、中継拠点などが丸ごと移動している事はまず無いが‥‥。危険きわまりない。
 今回の敵はバグアだけではない。ジャングルという自然だ。
 バグア侵略前でも、ジャングルは未開の地であり、危険がある。傭兵がいつも使う移動手段がほとんど使えない。遭難、底なし沼、毒きのこ、強大な野生生物。そして、疑心暗鬼に陥った人間達。

 UPC南中央軍の兵力や、補給力は、北中央に比べると貧弱すぎる。故に、
「情報を持って帰るまで、補給はできないと思ってくれ。確実にサイエンティストか医療技術に長けた傭兵。己で自己回復が可能な能力者が居る方が良い」
 と、いう言葉が出る。
 敵拠点までは6日だ。そのあいだ、6人だけの厳しい戦いが待っている。なお、各種レーダーがあルのは分かっているがその拠点の敵勢力が不明なため、かなり詳細な数を求められる。

「情報を期待して待って居るぞ」

●参加者一覧

綿貫 衛司(ga0056
30歳・♂・AA
国谷 真彼(ga2331
34歳・♂・ST
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
優(ga8480
23歳・♀・DF
リュドレイク(ga8720
29歳・♂・GP

●リプレイ本文

●出発
 熱帯雨林などのジャングルは湿っぽく、鬱蒼と生い茂る熱帯植物と、蒸し暑さは、定住していない者にとって過酷とも言える。
 傭兵一行は、軍からレーションと防虫スプレー、浄水キット、大きな通信装置を受け取り、それをバックパックに丁寧に入れる。それでもかなりの量であり、嵩張りで、動きづらくなった。
「グラナダ以来ですね、長距離・長時間の偵察は」
 リュドレイク(ga8720)がそう言って、後は黙々と準備をしている。
 行動計画の大半はアルヴァイム(ga5051)による物だが、実際行動を起こすのは、本職でもある綿貫 衛司(ga0056)に頼ることになるだろう。元・陸自レンジャーの衛司のほうが、経験と知識は大きな助けとなるかもしれない。ただ、医療に関しては、国谷 真彼(ga2331)とエレナ・クルック(ga4247)が専門となる。
 二人のサイエンティストを守るのは優(ga8480)の仕事になりそうだ。
「大変ですががんばりましょう〜」
 エレナがニッコリ微笑むと、
「そうですね」
 真彼が微笑み返す。
 敵領域に入れば、無駄話は難しくなる。しかし、国谷としては、切羽詰まった状況こそ、何かしらユーモアがいると思っているのだ。

●1日目
 鬱蒼と生い茂るジャングルを一行は進む。しかもほとんどが無言。ピクニックではない。大きな作戦の大事な任務な為、大きな音を出して進むわけにはいかないのだ。
「この獣道と‥‥先ほどの小径は、陸路として使えるかもしれないですね」
 僅かにある、獣道を見つけた衛司は、地図に赤く線を引く。
 双眼鏡を使うにも、一面密林なため、アルヴァイムが木に登り周りをみる。しかし、鬱蒼と生い茂るジャングルの緑で、先が見えない。
 下の方でリュドレイクが目で『どうですか?』と訊いているが、アルヴァイムは首を振るだけだった。
「お昼出来ましたよー」
 可愛い声でエレナが呼ぶ。
 不味いレーションを暖めて、少しは味付けなどでごまかそうとしても、さすがに不味い表情をするしかなかった。本当に、支給品のレーションを持ってきて良かったと思う。衛司だけはなにも不平はなく、その不味いレーションを食べる。
「おわったら、ご馳走作らないと」
 涙目のエレナが言った。それほど不味いのだ。
 しかし、耳障りな音がする。
「ああ、もう! 虫が鬱陶しい!」
 誰かが叫ぶ。全身は武装で肌をさらしてはないが耳や顔はむき出しになる。さすがに其処に直接スプレーをつけると、目をやられる。リュドレイクが虫除けの水を用意してそれを水鉄砲に入れ、一定範囲に巻いていた。それでも、上空の蚊は飛んでいる。
 先行を、衛司とアルヴァイムの後退で、殿をリュドレイクと優で国谷とエレナを守りながら進む。遠くの方で、猿らしい叫び越えや、鳥の声が聞こえる中‥‥、6人はほとんど沈黙している。声をだすと、あたりにばれてしまうからだが、
「エルドラドも周りはこういう感じでしたね」
 エレナがぽつりとつぶやく。
「‥‥今は平和になっているが、今後どうなるかは彼ら次第だな」
 珍しくアルヴァイムがしゃべった。
「ですね」
 幼い看護師は頷く。

「まだ敵と遭遇していない事は幸いですが‥‥虫除けが余り効きませんね‥‥」
 優がさすがに不快感で。羽虫の音が、神経をとがらせてしまうのだ。
「乱用すると、こっちも危ないですからね、被れてしまう」
 リュドレイクが苦笑する。
「一寸落ち着きましょうか?」
 国谷がにこりと微笑み、水筒からお茶を注いで差し出した。劇的な環境の中での精神的ストレスを抑える物は、お茶などの苦みがありながらリラックスできる物か、ココアなどの甘い物だ。
「あ、ありがとうございます」
 そろそろ、1時間。休憩するころだ。
「おーい、こっちに良い感じの巨木をみつけました。そっちで休みましょう」
 衛司が声をかけた。全員其処に向かうことにした。
 確かに巨木の根の部分に、数人が入れる洞(うろ)がある。雨風を一時はしのげる、好都合なものだ。

 常にこうしたところを駆け回る地元の人間でないと、亜熱帯は劣悪な環境である。観光や植物採取など平和的な行動ならばいい(それでも危険はあるが)、しかし、何度も言うようだが、此は偵察。より一層、神経をすり減らしてしまうのだ。
「ここまででは、車が通れそうではないですね‥‥」
 進んでいくなかでみえる、自然の驚異と道筋をチェックしながら、自分たちが迷っていないかも確認し、休憩を終えて再出発する。
 見つからないように全員は迷彩処理もしている。遠くで足音がすれば、全員身をかがめて足跡が過ぎるのを待った。そのとき、全員の心臓が聞こえるぐらい、静寂になった気がする。
「ふぅ‥‥ドキドキしますね‥‥」
 エレナは、かくれんぼの感覚を思い出す。ニッコリ微笑む代わりに、安堵の溜息だ。しかし、彼女はしっかり、その足音の先を見て、移動ルートの予測情報を頭にたたき込んでいる。
 そうして、1日が過ぎていく

 夕方近くになった。いったんここでキャンプを張る。
 国谷は、匂いがきつそうな枯れ枝を集めるなかで、エレナや男達が、迷彩処理を施しておいた、テントに枝などをかぶせるか引っかけるようにして、藪のようにした。こうすることで、目立たないようにするのだ。中には防虫スプレーを塗布したハンモックを吊している。
「できましたー」
「此で何とか過ごしやすくはなるでしょう」
 黙々とレーションを食べて、国谷が各人の健康チェックをする。
「異常はないですね? 蚊にも刺されていないし‥‥」
 国谷とエレナは、隅々まで、傭兵達のチェックを行う。もちろん、リラックス刺せるために穏やかに、話しかけていた。彼らはそれが本当の役目であると思っているのだ。
「こう順調であればいいのですが‥‥」
 優がつぶやく。
「奥に進むと、危険度は増す。気をつけましょう」
 小さな声で、話し合う。
 この行動が何度も続くのだ、ずっと無言で進むことは、精神上好ましくないと、国谷は言った。

●3日目
 同じ事を繰り返し、進むこと3日目。急に大雨が降ってくる。国谷はレインコートを広げて、数名でそれを拡げた。
「‥‥飲料水?」
 リュドレイクが尋ねると、
「そうですよ」
 彼はウィンクして答える。
 ここまで、水の温存も考えて必要最低限しか飲まないことにしているが、熱帯雨林でも実際、かなり汗をかくこともある。今回のような行軍と偵察だと、ゲリラ対策などに神経をすり減らす分、余計に汗をかくだろう。一気に降る雨を様々な物で防ぐのだが、ここは飲料水として利用する事がいいかもしれないし、大体、それが大凡正しい。水たまりの水では、有毒を発している細菌がいる可能性が高いのだ。
「この雨で、足場がゆるみます。足跡が残るのは敵にも好都合ですが、迷うことは減るでしょうね」
 衛司が言う。
 その場で待っていること10分、雨は止んだ。数人分の飲料水がレインコートにたまっていた。浄水キットで浄水することもない、貴重な水分である。大事に使っていこうと言う気持ちでいっぱいになった。
 今の雨のお陰か、羽音はしばらくしなくなるが、今度は行軍に足下を注意することになる。ぬかるみが酷くなったのだ。
 衛司は、密林の中に何かしら違和感を感じ取る。一部、開けた場所があったが、そこに草が生えていない。
「向こうに底なし沼らしい境目がありますね、迂回していきましょう」
 衛司が警告する。それを、優やリュドレイクがチェックしていく。
 徐々に、赤い道筋が、侵攻ルートにも見えるようで、ある種の興奮を覚えるのだが、無事に帰ってからだ。まだ、虎の子の支給品レーションは手を付けず、軍のレーションで我慢する。
「ほんとうに、美味しい物作らないといけません」
 同じようにキャンプを張って、また一日が過ぎていく。余り変わらない風景に、不安がのしかかり始めるのであった。


●蛇
 徹底した睡眠をしていても、この悪環境の中ではなかなか眠れない。
「ふみゃう」
 エレナが起きた。
「どうしたのですか?」
 今は優が歩哨中だった。隣に国谷が匂いのきつい枝を燃やしている。火は小さく、明かりは余り漏れてはないが、猛獣などが嫌がる匂いらしい。
「眠れないです〜」
 しょぼくれるエレナに、国谷がココアを差し出した。
「ありがとうなのです、真彼さん」
 幼い笑顔でお礼を言う。
「もう少しすれば、敵の拠点です。飲んだから眠りなさい」
「は〜い」
 そう言っている中、少し歓談し、20分ぐらい経つと、エレナがウトウトし始めた。
 優と、周りを見ていた衛司が木の枝に影を見る。
(「蛇っ!」)
 闇に忍び寄り、エレナが座っている場所の真上にそれはいた。大きさはそれほどない。このままだと‥‥蛇はエレナに落ちる。
「危ない!」
「ふにゃ!? きゃうー」
 優がエレナに抱きついて、転がった。その直後に蛇が落ちてきた。その蛇はキメラではなく、普通の物だった。すぐに、衛司がナイフで仕留めた。
「此は毒を抜けば食べられるものだな‥‥」
 と、言いながら後で捌こうと考えていた。
 は虫類は、大体鳥の肉のアジに近いと言う。しかし、臭みは尋常じゃないだろう。
「たすけられました、ありがとうですよ」
「怪我はなくて良かった」
「でも、消毒などはしよう。うん」
 まずはエレナの怪我がないかのチェックだ。一寸した傷でもここは菌が多いため、消毒するのは必然である。エレナはほとんど肌を隠しているため、顔にも腕にも怪我はなかった。消毒液を混ぜた水などで顔を拭いて、おわりだ。
 朝、アルヴァイムの腹に蛇が居る事に気がつき、一瞬驚くわけだが、前もって「蛇が起きて、立ち去るまでそのままにいよう」と言うことを知っているか、徹底しているため、蛇に噛まれて毒に犯されることはなかった。
「結構、ハードだな。蛇対策は考えてなかったかもしれない」
「しかし蛇は何を嫌うのでした?」
「ふむむ‥‥たしか‥‥」
 ココアで気持ちを落ち着ける。快適ハンモックは、蛇にとっても快適だったらしい。


●偵察作戦
 6日目。
 迷うことなく、目的の場所にたどり着こうとしていた。
「あれをみろ」
 先行している、アルヴァイムと衛司が戻ってくる。茂みから顔を覗かせると、切り開かれた場所に、有刺鉄線のバリケードがかなり長く長く周りを囲んでいた。
「かなり大きな拠点だな」
「調べる甲斐があるって物ですよー」
 エレナが【OR】カメラでこの拠点の各所を納めながら、あたりを屈みながら写真を撮っていた。
「じ〜」
 さらには、双眼鏡を使いエレナが見張り台にいるバグア兵を監察していた。
 唇までは見えなく、大声で叫ぶ見張り兵がいるが、言葉が全く分からない。色々な言語が混ざった風に聞こえるのだが、雰囲気的に、見張り交代の確認だったようだ。
「じー」
 エレナは、こうやって、確実に見張り台の交代手順を、調べていく。
 リュドレイクは軍用通信機を使い、中の情報を傍受しようと試みたが、向こうは周波数を上手く変えていることと、ジャミングのせいで、『こっちからの傍受は難しい』と舌打ちする。しかし、彼はあきらめない。
「たしか、重力波も使う通信じゃないのか?」
 色々、推測もでる。通信関係の優位性は相変わらず向こうが上なのだろう。しかし、何かしら情報などは入ってくる。雑音の中で、補給のこと、近辺の事だ。それには、まだ、こちらの全体攻撃などの話は入ってないようである。
「しかし、まてよ? 近くに何カ所か‥‥小屋がありますね」
 彼は拠点のノイズだらけの傍受で、見張り小屋などを見つけることに成功した。あと、内部の細部までは分からないが、大体、四隅に各種レーダーの塔があり、その中央に、総合の重力レーダーを備えているのではと推測もできた。
「小屋の中には誰もいないですね‥‥」
 各地の小屋を遠くから見ては、パトロールに見つからないようにして、チェックを入れていく、リュドレイク。遠くから見える仲間とサインで躱しながら、周辺偵察を順調に行っていった。
「いつ見つかるか不安になるけど、まだいけますね」
 泥まみれになって人間の匂いも曖昧になっている事が逆に、功を奏していると思われる。20m先の遠くからの犬型キメラを引き連れた警備をみたのだが、風下に立ったために、その犬キメラは彼らに気づくことなく、去っていく。さすがに、見つかるか不安にもなったが、息を殺し、何とかくぐり抜けたのだ。

 別のところで国谷とアルヴァイムが周りを偵察する。
「此が門ですか」
 有刺鉄線のフェンスの他に、ジャングルの蔦も絡まっていた。そこにある大がかりな門には、探知をもつらしい、植物キメラが動いており、出入りするものをチェックしているようだ。人間の姿も確認で生きており、数人で見張りが付いているようである。
 地図にあるとおりに、バグア領へ通じる道を発見、トラックも行き来している。小さな軽快に歩く肉食恐竜に乗った兵士もいる。おそらく、その恐竜キメラがジャングル用のパトロール乗騎なのだろう。見つかってあれで追いかけられた場合、逃げられるかどうか、分からない。
「小さい、レックスキャノンに見えなくもない、な」

 全体の大きさは、半径1マイルに大きい。中央まで入るのは、難しいと判断したが、3時間程度の偵察は、敵にも見つからずに難なく事を進めることが出来た。
「少し強行軍して、ある程度離れましょう」
 リュドレイクが言う。
 拠点を調べたときに付いている足跡を消す処理も衛司が行い、先にアルヴァイムと国谷、優が5日目にキャンプを張った場所に戻る。
 そこでまた、小さなカエルをのみ込んでいる蛇を見つけるが、蛇は満足したらしく、彼らを無視してどこかに去っていく。
「‥‥蛇とまた寝るのはごめんだな」
 アルヴァイムがぽつりと言うと、優と国谷は苦笑した。
 無事に、衛司とエレナ、リュドレイクも戻ってきた
「つけれてはないです」
「OK、このまま帰還しよう」
「りょうかいですよ」
「わかりました。急ぎましょう」
 まずは拠点の調査はまずまずだ。あとは、無事に帰れるかになる。ここからが本当の戦いだ。敵は自然である。
 一行はまた迷彩を施したテントを張って、交代制で眠り、健康チェックも怠らず、眠りについたのであった。見張りの交代もしっかり行い、尾行はいないかに神経をとがらせていた。しかし、かなり幸運で、バグアに見つかることはなかったようである。


●遭難?!
 7日目の昼頃。
「おかしい‥‥ここに目印はつけていたはず‥‥」
 衛司がさぁと青ざめた。
 一定距離で木に傷を付けているか、リボンで目印を付けていたのだが、それがないのだ。いや、何かの爪で上書きされている。
「何かが争った跡がありますね」
 リュドレイクが、足元を見る。
「キメラだな、この足‥‥」
 血の臭いもする。
「狩りか?」
 近くには猛獣らしい血痕が残っていた。何があったのかは実際のところ不明だが、争った跡があると言うことは分かる。しかしここまでパトロールが来ているというなら、急いでここから離れないといけないだろう。
「あ、こっちです!」
 優が、別地点で目印を見つけたことで、遭難しなくて済んだことに、全員がほっとした。
 しかし、災難はかなり続く様である。

 安堵した瞬間に大雨が降ってきた。此は先日の雨より強い。レインコートは完全に水を溢れさせて、全員がびしょ濡れだ。全員の不快指数はアップしている。
「この雨は酷い!」
「近くに雨風がしのげる巨木があったはずです!」
「そこに逃げよう! ああ、パトロールに見つかりませんように!」
 着替えたい欲求を我慢し、雨が止むまで急いで急遽その巨木に向かい、雨宿りをした。今までの足跡も、此で流れることを祈りながら‥‥。
 止んでから、一時間後、出発する。先行はアルヴァイムだった。
「この道だな‥‥」
 アルヴァイムがすすむと、一気に地面が抜けた錯覚がする。一気に腰まで埋まってしまう。
「馬鹿なこんな所に底なし沼‥‥だとっ!」
 先ほどの雨で、沼が拡張したのか、あたらしい沼が出来たようだった。
「‥‥っ」
 彼は冷静である。そこで足掻かず、身を任せる。
「ここに良い蔦が」
 国谷が冷静にダガーで蔦を切り取りロープにし、アルヴァイムに投げ込む。彼が掴むと、急いで優とリュドレイク、衛司が覚醒して引っ張り上げた。
「せーの!」
「おもい――っ!」
「うおおおりゃああ!」
 アルヴァイムが引き上げられたと同時に、蔦は強靱さを失ってちぎれてしまった。危機一髪である。
「く、うかつだった。助かった」
 今回の最大の敵がこの大自然である事を、再認識するしかない。その沼を考えると、陸路を開発するのはかなり苦労すると、全員は思ったにちがいない。
 獣道を見つけ出し、そこから移動し、行き3日前のキャンプに無事たどり着いた。
「蛇さんがいたところですねー」
 あのときは危なかったですーありがとうですよーと、再び優にお礼を言うエレナに、優は少し微笑んで、エレナをなでるのであった。
「水で防虫スプレーが流れているから付け直さないと‥‥」
「余り付けすぎるとかぶれちゃうけど‥‥」
 羽虫の音がまだジャングルでは聞こえる。大雨のせいで、乾いた薪はなく、獣が嫌う匂いを出すたき火は無理になった。

 しかし、緊張は抜けきってはない。自然は容赦なく彼らをいじめ抜いて、帰路を阻むように立ちふさがってくる。雨、野獣の回避、羽虫。ここで、エキスパートのGoodLuckや、各人の機転がなければ、無事に南中央軍に戻ることは出来なかったであろう。

 司令塔や、その周りを囲む集落が見えたとき、エレナがへなへなと地面にへたり込む。優が彼女をおんぶして、報告のためにそのまま指令室に向かうのであった。

●報告後
 エレナの写真と、全員で書いた地図の詳細、ルート、規模、様々な情報を、士官に報告する。アルヴァイムは後にそれを文書でまとめるというので、士官は期待していると言った。
 最後に「疲れただろう、ゆっくり休め」と、言った。

 女性陣が先に向かうのは、シャワールームだ。12日以上も風呂に入っていなく、心身共に「お風呂に入りたい」と思うのは当然だろう。
「この後にお料理ご馳走しますからね!」
 エレナがそう言って、女子更衣室とシャワーに駆け込んでいった。
「私たちも先に、着替えましょうか」
「そうだな。さすがに泥まみれで資料を書くのは厳しい」
「俺も賛成〜」
 男達もさすがにこの不快感をぬぐいたいために、シャワーをかりて、さっぱりする。

「結局、軍用レーションでたりちゃったね」
 と、エレナが優と一緒にサラダとか、肉料理などを作って、12日ぶりのまともな食事を堪能する。
「コロンビアだから、解放するとコロンビア豆のコーヒーがでるのだろうか?」
「でるといいですねー」
 コーヒー好きには、コロンビアは外せない地域だ。解放して安定すれば、是非欲しい。と、アルヴァイムは思う。
 沢山食べて飲んだあと、数日間は眠りこける一行だが、休息中でも、資料のまとめを全員で行った。主に書くのはアルヴァイムだが。こうしたことは上手い。
「写真みせてくれ」
「はーい」
「こっちの道がこうだったですよね?」
「ええ、ここに底なし沼で‥‥迂回して‥‥あの足跡が、パトロールのキメラのものなら‥‥」

●報告書の結果
 上官達がそれを見たときかなり感心したようである。敵の規模もある程度分かった事、道の開拓を後回しにしても、あの拠点を叩けば、かなり有利に進められると判断したようだ。
「諸君の偵察お陰で、解放戦に有利に動けるかもしれない。感謝する」
 と、エマージェンシーキットなどの消耗した燃料や消費した分を補填してくれたのであった。
「おお、太っ腹ですね」
「レポートが秀逸だったからな、ボーナスだ‥‥かなり厳しかったが‥‥」
 士官はそう言うと、レポートをもって、本作戦司令部に向かっていった。
 今から第二作戦を考えるようである。

 傭兵達の過酷な行軍はひとまず終了した。しかし、まだコロンビアの解放は始まったばかりである。
 それまで、休めるときは休むことが、戦士として重要な仕事になるだろう。