タイトル:Blitz Tacticsマスター:墨上 古流人

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/03/03 17:19

●オープニング本文



「インドに行きたくはないか?」
 UPCのブリーフィングルーム。
 静かな部屋に座る傭兵達の前に立ち、
 静かな声色で訊ねるのは、傭兵兼情報屋の、井上 雅。

「あー‥いや、別に返事が欲しくて聞いたわけではないというか、そもそもここにいる時点で参加の意思があるとみなす訳であって‥‥くっ、蜜柑の奴め、スピードが大事だなんだと人に仕事を押し付けるとは‥‥」
 だからこういうのは苦手なんだと、ぶつぶつ罰の悪そうにしながら、
 作戦概要の資料に目を通し、しばらくしてから、改めて静かに傭兵達を見据えなおす。 

「今から、君達にはインドのカーティヤワール半島という所に向かってもらう。地図で見ると、左の方に出っ張っているところだ」
 インド国土の一枚板から、ふっくらと、こぶが膨らんだように出来ている地形、
 部屋の前のホワイトボードに張られた地図を、指示棒で指しながら言う。
 そして半島の右側を青く、左側は赤く薄い色ペンで囲い始めた。

「今青で示したのが、我々人類側の勢力だ。そして、この前線から‥‥敵の前線に潜り、少し先のここだ。ジュナガドと言う。この街まで飛び込み、要塞と化した街を陥落させる作戦が、今隣で話し合われている」
 自身の背後へちらりと視線を向けるが、
 その隣では、敵兵の種類ではなく、食べ物の名前が羅列されていることを、この部屋のものは知るよしもない。

「その作戦の中で、後発隊が通る進路の確保、という条件も提示されているはずだ。―――後発隊とは、俺達のことだ」
 普段から鋭い視線を、更に細めて、部屋の傭兵達へと向き直る。

「我々は、先遣隊がジュナガドを叩くのと同時に街の手前まで出動、合図があるまで待機しつつ、合図があり次第、ジュナガドを突破、その先にある、ドラジという補給中継地を叩きに行く」
 地図上、ジュナガドから上に伸びる太い道を辿ると、ドラジと書かれた、ジュナガドより一回り小さい地点があった。

「何故こんな無謀な作戦かと言うと、ジュナガド侵攻の報を受けて、ドラジの補給隊を撤退させない為だ。補給路も物資も潰し、確実に追い詰めていく。その為に、このような作戦が展開された」
 説明している俺の頭が痛くなる、と苦笑する雅。頭を抱えないところを見れば、多少なり自身か勝算があるのだろうか。それとも。

「ジュナガドの先遣隊が、俺達の電撃作戦の為の土台を作ってくれる訳だ。火をつけてもらったら、一気に飛び立つぞ。各自、燃料切れにだけは気をつけるようにな」
 以上だ、の一言の後、部屋の隅のパイプ椅子に座って、空気清浄機のスイッチを入れてから煙草を取り出す。



「‥‥何だ。悪いが、俺は要点しか説明できんぞ。蜜柑みたいなパフォーマンスは、期待しないでくれ。質問は後で答える。‥‥わかったら、それ以上、そんな目で俺を見るな。‥‥慣れん」

●参加者一覧

大泰司 慈海(ga0173
47歳・♂・ER
OZ(ga4015
28歳・♂・JG
東條 夏彦(ga8396
45歳・♂・EP
時枝・悠(ga8810
19歳・♀・AA
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
蒼河 拓人(gb2873
16歳・♂・JG
ウラキ(gb4922
25歳・♂・JG
和泉 澪(gc2284
17歳・♀・PN

●リプレイ本文



「ジュナガドはなんとか抜けれましたね」
 サイレントキラーから、遥か後方になったジュナガドを振り返って、和泉 澪(gc2284)が隣の狐月 銀子(gb2552)に話しかける。
 今も火の手のあがっている後ろの街で戦っている先発隊は、安全重視で行動してくれた。
 少し時間はかかり、無傷と言う程でもないが、一人、一機も欠ける事がなかったのは、評価出来るだろう。
「インドだけにあまい任務じゃないってわけね‥よーし、頑張ろう」
 彼女達は後方へ迂回して、退路を断つ作戦を立てていた。

「インド?‥‥ああ、紅茶が飲めるなら本気を出さなくもない」
 時枝・悠(ga8810)が、吹き込む風に暴れる髪をおさえながら言う。
 そう言えば、紅茶派だったか、と耳に入った彼女の声に、雅が視線を向ける。
「もしくはアレだ、雅のパフォーマンスでも可」
 何の話だ、と無視したところで、肩に何か乗っかる感触を覚えた。
「情報屋なんだって? オタクん所の伝手で買い手を探せたり出来るか?」
 へらりと絡んできたのは、OZ(ga4015)だった。
「何を買わせたいんだ」
「例えば、武器とかよ」
「応相談、だな。帰ってその気があれば、また聞こう」
 それ以上は語らず、制圧用火器のグリップを握り、外へ向き直った。

「ところで東條くん」
 機内後方にて、いそいそと荷物を漁る大泰司 慈海(ga0173)が、東條 夏彦(ga8396)に話しかける。
「俺たちは、陽動を任されたんだ。目立たないといけないね」
 深みと決意、そして覚悟を漂わせる、真剣な眼差しで夏彦を見据え、

「フェアリー、マーメイド、ナース。好きなのを選んでいいよ。お薦めは、ナースかな」
 三種類の『コスチューム』を取りだす、慈海。

「‥‥ナースをもらおう」
 そして真面目な顔で、ナース服を受け取る夏彦。
 となれば、慈海はフェアリーだろうか。
 機内の会話用ヘッドセットをナースキャップにつけかえ、
 タイツに足を通し、力強くはみ出て主張する、死の香り漂うすね毛。
 ドラジの終わりも、近い。



 街の正面にはバリケードが構えられ、
 建物よりも多くのテントとトーチカ、塹壕が幾つも作られていた。
「行こうか。即行で落とすよ」
 地面に降りた蒼河 拓人(gb2873)が、鋭く見据え、弓につがえた弾頭矢を放つ。
 バリケードにあえて撃ち込めば、土嚢にめり込み、派手に土や有刺鉄線を吹き飛ばし道を開いた。
 その隙に装甲車が飛び込んでゆく。中から歩兵が吐き出され、車を盾にしながら周囲へ展開していった。

「状況を報告しろ!」
「ナースと、妖精が到着しました!」
 俺がいく! いや、俺が! と慌ただしくなる、大きなテント内部。
 それは、テント内に置いてあった通信機からも広く知れ渡ってしまった。

「今この場で私が病院送りにするぞ」
「ふざけてなどおりません! すね毛のナースと、坊主の妖精が‥‥!」
 次の瞬間、テントの天井からすらりと降りてくる、とてつもない長さの刃。
 ばさりとテントが切り開かれると、差し込む外の光を背に、慈海と夏彦が、兵士達の前に立っていた
 慈海が一人、機械の前に座る、軍服姿で無い者を見つけると、咄嗟に伏せさせ、
 夏彦は大きく国士無双を横薙ぎに振るう。
 骨と幌を巻き込み何人か切り払えば、テント内部は静かになる。
「‥チェンジで、頼む‥‥」
 最後に軽口を叩いた男も、事切れた。

 慈海が確保した男も最初こそ怯えていたが、事情を説明してどうにか落ち着きを取り戻させる。
「知ってる事、教えてくれないかな?」
 妖精さんが次々と得た情報を整理し、無線で連絡する様を見て、看護師さんが注射器、ではなく3mの刀を片手に指示を仰ぐ。
「慈海、どうすればいい?」
「近くに敵がいるなら、探しちゃいたいよね」
「それなら、地下倉庫が‥‥」
 男が指示した地下から、蓋を開けて飛び出てくる、一個の塊。
 閃光手榴弾と認識出来たのは、強烈な光を浴びてからだった。



 悠はテント群外部を堂々と進んでゆく。
 空に向かって砲撃中の対空砲は、目に付く限り突撃、砲身を向けられる前に、鋼鉄の本体をプリンのように叩き切った。

「この野郎、喰らえ!!」
 両サイドの塹壕から、一斉に飛び出してきた敵兵が、マシンガンを悠に向かい掃射するが、
 腕で頭部を覆うだけで、活性化に身を任せながら片方へと歩み寄り、服数人を巻き込みながら、一閃。
「隠密行動は、得意な部類ではなくてな」
 銃を構えて辺りを見回し、まだ敵がいないか確認する。
 飛び込んでくる車両を確認、叩き切ろうかと逡巡すると、

 拓人が放った矢がタイヤに突き立ち、ハンドルを取られたトラックは、塹壕へ頭から突っ込んでしまった。
 拓人が駆け足で悠へと近づき、弓を構えて言う。
「道は吹き飛ばして開く。あとは存分に暴れてくれ」
 そして、先へ伸びている塹壕へと弾頭矢を撃ち込んだ

 塹壕は上からの攻撃には弱い。
 山形の軌道を描け、更に爆発も扱える弓矢は、この場に置いて中々に優秀な兵器となっていた。
 そのまま、拓人は兵を連れて周辺建物、拠点制圧へ向かい、悠は引き続きあらゆる抵抗を薙ぎ払いながら、進もうとする。
 
 一歩踏み出した直後、町からやや離れた、西の空でずしん、と重い爆発音が響く。
 昼間でもわかる程の、その炎の明かりに目を向ければ、
 一機のサイレントキラーが、黒煙を上げながら体を回転させ、吸いこまれるように地面に落ちて行くのが見えた。



「防ぎきれなかったか‥‥二の舞になる。陽動班が脅威を排除するまで、エピメーテウスも出せん」
 建物に上る敵へバルカンを掃射しながら、雅が言う。
 聞くや否や、裏手に行くはずだったOZはヘッドセットをぽいと投げ捨て、ロープをするするとラフに降りて行った。
 対して、ウラキ(gb4922)はしっかりとラベリングの姿勢を取ってから、雅に声をかける。
「‥‥また後で」
「任せろ。だから、任せたぞ」
 含みを持ったグッドラックを聞いてから、ウラキも着地点に群がる敵めがけてSMGの弾をばら撒きつつ、降りていった。

 OZは着地してすぐに隠密潜行を発動。
 街の後方に辿りつくと、後方から猛スピードで突っ込んでくるトラックの荷台に、数十人の非武装の人影が見えた。
 トラックの運転手は笑みを浮かべて、OZを引き殺す勢いで、アクセルを踏み込み突進してくる。
 そして、OZはそれを冷静に、スコープの中で見ていた。
 静かに一発、響く銃声。フロントガラスに蜘蛛の巣状の割れ目を描き、運転手の血が白いヒビを染め上げた。


「‥何をしているんだ」
 味方兵を連れて追いついたウラキが、呆れたような顔をして荷台のOZを見上げる。
「物資の確保は依頼内容に入ってねえ。軍に手ェ入れられる前に貰っとかねえとよ」
「‥やる事やる奴の支援は楽で良いね‥‥」
 横流し出来そうな綺麗な品々を、次々と懐へ詰め込んでゆく様を見限るように、
 背中を向けて辺りの警戒を始める。

『そこのイェーガー二人。大型がまた猛スピードで近づいている。キップを切ってやってくれ』
 ウラキの耳に雅の言葉が飛び込むと、無茶な急ハンドルで大きなトラックが現れた。
 呼吸を整え、力を抜く。刹那の挙動にも関わらず、落ち着いて射撃態勢を取り、ハンドルを撃ち抜くと、
 トラックは建物に酷い音を立てて突っ込んだ。
「‥くそっ、そのトラックをよこせ!!」
 瓦礫の中から現れる、肥えた体を持つ男が、雅が上空で扱っていた程の大型火器を構えて、傭兵達に掃射しだした。
 音を立て、抉るように描かれる弾痕に、慌てふためき動き出す一般人。
 従軍させた兵士が何とか連れてゆこうと誘導するが、人の波は斜線を遮る。


(敵だけを撃つ――‥そのために鍛えた、腕だ)
 膝を付き、ストックを肩に痛い程押しつけ、照準を安定させる。鋭覚狙撃も発動。
 あと数秒も無い。この人波が切れた時が、あの敵の最期だ――。

 響く銃声。スコープの中で、一人の女性が白い服を真っ赤に染める。
 耳を疑い自身の銃を見るが、違う。
 人を貫通しながらもなお火を吹いていたのは、OZのSMGだった。
「何を――!」
「関係ねえよ。連中の保護は依頼されてねえ。邪魔なら殺っちまえばいいだろーが」
 涼しい声で、リズムよくSMGをバーストしているOZ。
 それを力の無い目で見るウラキ。
 この男は、眉ひとつ動かさず、理性も感情も宿らない、無機質な視線のままでいるのは何故だ。
 こういう男だと割りきったはず――。
 銃口を向ける背中を違えてはいけない。いや、間違っているのか。目の前のこの男は、敵なのか。敵とは――何だ。

 ウラキの逡巡は、OZが撃ち落としたグレネードの衝撃で現実に引き戻された。
 呼吸を整え直す。そして、重火器をどっしりと構えて動かない膝に、一発。
 機械の様に正確な高速充填で、薬室に弾を滑りこませる。
 レティクルの中心で捉えた、鋭い起動が、OZの脇を通り抜け、もう片方の膝を穿つ。
 
「やれば出来んじゃねえか」
 背後の味方の成果に僅かな笑みを浮かべてから、
 両膝から崩れ落ちた男の顔面に、殴るように銃口を叩きつけ、引きっぱなしにするトリガー。
 テープの逆再生の様な不思議な悲鳴をあげながら、強化人間は動かなくなった。
 

「ウラキ君が、裏の制圧でもう少し張るってさ!」
「了解だ、後はこいつをどうにかしねえと‥!」
 通信を受けた慈海の前では、隻眼の男と歯を食いしばって、夏彦が鍔迫り合いをしていた。
 大剣・大百足の刺刃に、相手の刀を絡ませ、相手の隙を探す。
 先に動いたのは、敵の男だった。刃を弾き、後方に飛び間合いを広げる。
 慈海がエネルギーガンで追い撃ちをかけると、宙で喰らった男は態勢を崩す。
 膝をついた男が、ブーツから短刀を数本抜き、投げつけた。
 夏彦は自身障壁で軽く済ませたが、慈海は何本か服の上から突き立てられてしまう。

 その隙をつき、姿勢を低くし、一気に間合いを詰める男。
 地を蹴ったその瞬間、体が激しい爆炎に包まれた。
「吹き飛べ‥‥跡形も無く!」
 建物、拠点を巡っていた拓人が、
 隠密潜行でそのままテント内部に潜み、弾頭矢を惜しみなく使う死点射で、猛攻を浴びせたのだ。
 煙の中から短刀が飛んでくるが、横に飛んで回避。
 そこへ夏彦が大百足を突きこむ。
 顔を逸らし避けられるが、そのまま手を思い切り下に引き、削るように肩を抉った。
 苦痛に顔をゆがめた男へ、駆け付けた悠が全力で切りかかる。
 打ちあげるように振り抜いた刀の軌道は、切り裂くだけでなく、殺し切らない勢いに体を持っていかれてしまう。
 飛ばされた男が背中を打って着地したのは、装甲車の上だった。

 弾頭矢を、機械の隙間に鋭く狙い撃つ拓人。その奥には、燃料タンク。
 引火し、激しく燃え上がる装甲車を棺として、強化人間はその場で力尽きた。

「次のポイント‥‥には、向かえないかもね」
「誰のせいだ、誰の」
 慈海がとほほと苦笑して辺りを見回す。
 ナースと妖精、という退屈な戦場に不思議な通信が漏れたせいで、そこにはかなりの応援が寄せられてきたのだった。
 収めようとした刀を、落ち着いた顔で再び構え直す悠。
「何にせよ、いつも通りだ。程々に気張って行こう」
 先遣隊が上手くやったのだから、期待に応えねば――
 傷もそこそこに、4人は迫りくる包囲網へと四散し突撃するのだった。 



「く‥‥っ」
 ふらふらと、壊れたヘリの残骸から這い出で、愛刀『隼煌沁紅』を支えに立ちあがるのは澪。
 理解の追いつかない状況が、次第に頭の中で整理される。
 街を迂回させてヘリを移動させると言う事は、迂回に『距離』がかかってしまう以上、敵の照準に入る時間はどうしても長くなってしまう。
 対空砲に注意したとはいえ、補給拠点ゆえに物資――とりわけ武器等も豊富。
 ジュナガドを抜ける際の重なった傷も祟り、歩兵が扱うロケットランチャーに、サイレントキラーは落とされてしまった。

「操縦士もやられてた。敵も集まるだろうし、急がないとね‥‥」
 銀子が残骸の陰から、既に装甲を纏い現れる。
 二人とも傷が酷いが、治療をする暇はなさそうだ。
 次々と、ヘリの騒ぎに敵がかけつけてくる。
 少数行動の利点は、敵を気にせず高速移動が可能で、少数で身を隠し易い所があるが、
 一度見つかってしまうと、脆いのが欠点でもある。

 銀子は急ぎヘリの残骸に隠れ、エネルギーキャノンを固定して構えた。
「2040ミリの花火、火傷じゃ済まないわよっ‥と!」
 駆け付け一発、飛びかかる知覚の衝撃。
 まともに食らった戦闘の兵士が思い切り吹き飛び、周りの列が少し乱れた。
 倒れる人の群れの中、地を蹴り常人ではあり得ない跳躍で迫ってくる一人の兵士がいた。

「先手必勝っ。鳴隼一刀流・隼々双奏!」
 強化人間の機動に気付き、いの一番に切りかかる澪。 
 宙でぶつかり合う刀とナイフ、弾ける火花と、響く音。
 二連撃で切り込むが、空いた手でナイフを抜き、いなされる。
 落ちゆく体に身を任せるよう、回転し斬りさげると、
 ナイフでは重みに負けて女は体に刃を引きこんでしまう。
 そして着地時を逃さず、キャノンを背中に叩きこむ銀子。
 不意打ちに血を吐き崩れる強化人間。どうにか沈める事は出来たが、迫りくる多勢を前に、無勢となる訳にはいかない。
 
 二人を前に、扇状に広がり、武器を構える兵士達。
「御荷物捨てて退散するなら、こっちも楽なんだけど?」
「飛び込んできた『お荷物』はどっちだ、傭兵め」
 ふらふらの照準を向けて、なおも強気に居直る銀子。
 澪も愛刀を構える。幾度も死線を潜り抜けた信頼が、柄から伝わり力へと代わる。
「ハヤブサの前から逃げ延びれると思わないで下さいね?」
 意を決して、ボロボロの体で駆けだす二人。
 
 その敵との間に、激しい銃撃の嵐が上空から吹いてきた。
『生きてるだけでもよくやった。援軍を呼んだから、今は下がれ』
 雅の声と、大口径のガトリングの音が辺りに響く。
 そして、次々と晴れ間の開く人の群れから、仲間達の奮戦する姿が霞んで見えた。

「ま、結果オーライで、ね」
 銀子が呟くが最後、二人は砂だらけの地面の上に、倒れ込んでしまった。

 

 OZが荷台の人々から聞いた話では、
 情報と言うのは、この戦域にこれだけ配備されているので、何がどれだけ必要等、
 事細かな補給先の戦闘状況や味方戦力内訳が記されたりしているので、一番大事らしい。
 だが情報は、既に処分されてしまったと言う。
 ちなみに、その話を聞きながら、彼がちょろまかそうとした物品は、
 回収した物資、情報の中から出てきた、目録と照らし合わせた結果、見つかって回収されてしまった。

「これまた無茶な作戦だったね。まっ、それに応えてこその傭兵かな?」 
 拓人が窓の外を見ながら言う。
 傭兵達の、地を隔て奮戦したコンビネーションのおかげで、半島の前線は、また一歩、押し上げられたのだった。