タイトル:仲間になろうよ!マスター:STANZA

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/11/05 02:24

●オープニング本文


 人類とバグアとの戦いは、ひとまずの決着を見た。
 しかし、空に浮かぶ赤い月が視界から消え去っても、地上からその勢力が瞬時にしてなくなる訳ではない。今暫くは、キメラや強化人間などの残党や、独自の目的の為に敢えて地上に残ったバグア等の脅威は残るだろう。
 そして飽きもせず懲りもせず、毎度の如く勘違いした変キメラを作り出しているプラントも、まだまだネタが尽きる気配はなかった。
 もういい加減にしてくれと言われても、ネタが尽きないものは仕方がない。

 ‥‥という訳で。
 今日も今日とて、とある町の繁華街に現れた変キメラ。それは‥‥
「‥‥小便小僧‥‥?」
 そう、小便小僧。ベルギーのブリュッセルにあるものがオリジナルとされる、小さな男の子の放尿スタイルを模した像の事だ。
 それが、町を歩いていた。
 見た目は歩き始めたばかりの赤ん坊くらいか。丸出しの下半身に左手を添え、右手は腰に当てるというお馴染みのポーズを崩さないまま、身体の割には大きな頭を持て余しつつ、短い足でよちよちと歩く。上半身には何故か赤いちゃんちゃんこを羽織っていた。
 いくら丸出しでも、幼児の場合は猥褻物陳列罪に問われる事はない。問われる事はないが‥‥大抵の良識ある大人は、そっと目を逸らす事だろう。
 これが明らかにごく普通の人間の子供だとわかる場合は、目を逸らす前に保護者を探すか、迷子として保護した上でパンツを穿かせたり警察に届けたりするに違いない。
 しかしそれは、黒光りする金属質の肌色をしていた。
 恐らく、どこかの公園にでも置かれていた小便小僧の銅像が、勝手に動き出したのだろう。
 普通に考えれば、それは怪奇現象以外の何物でもないのだが‥‥この町の人々は度重なる変キメラの襲撃のせいで、色々な事に免疫が出来ていた。
 そんな訳で、今回のコレは特に悪さをする事もないらしいと、見て見ぬ振りをする事に決めた彼等ではあったが‥‥

 小便小僧は、きっと寂しかったのだ。
 皆に構って貰いたかったのだ。
 目を逸らしたりしないでボクを見てー、と言いたかったのだ。
 仲間が欲しかったのかもしれない。
 だから‥‥やっちまったのだ。
 ちょこちょこと会社員風の男の足下に歩み寄り、ちょろちょろー‥‥と。
「うわ、このガキ何しやがる!?」
 そりゃ、足にオシッコ掛けられれば誰だって怒る。
 しかしこの場合、怒りはすぐに驚きへと変わり、そこから更に羞恥心へと変貌した。
 何故って‥‥
 下半身の服が、溶け消えてしまったから。
 上は無事だ。ランニングもシャツも、ネクタイも上着も。それに靴も靴下も、ちゃんとある。しかし‥‥
 上着と靴の間にあるべきものが、何もなかった。すっかり秋めいてきた風が、足の間を吹き抜ける。
「うわあぁぁぁっ!?」
 持っていたカバンで、慌てて前を隠した。
 大人の場合、丸出しは明らかに犯罪行為だし‥‥何よりその状態を好む人は、そう多くない。と、思いたい。
 その間に、小便小僧は次のターゲットに狙いを定める。特に選り好みはせず、老若男女の区別も付けなかった。
 たちまち周囲には生足が林立し、阿鼻叫喚の渦と化す。
「だ、誰か! その小僧を捕まえてくれーっ!!」
 必死に前を隠しながら、犠牲者達が叫ぶ。
 しかし、歩く時はよちよちと覚束ない足取りだった小便小僧、走り出すと速いの何の。
 おまけに‥‥増えた。
 目くらましかと思ったら、そうではない。分裂しているのだ。質量保存の法則をまるっきり無視して、全く同じ大きさに。
 一人が二人、二人が四人、四人が八人‥‥しかし分裂に回数には制限がある様で、それ以上は増殖しない様だ。

 さて、この状況‥‥どうしましょ?

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
西村・千佳(ga4714
22歳・♀・HA
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
プリセラ・ヴァステル(gb3835
12歳・♀・HD
リュウナ・セルフィン(gb4746
12歳・♀・SN
東青 龍牙(gb5019
16歳・♀・EP
未名月 璃々(gb9751
16歳・♀・ER
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST

●リプレイ本文

「なんかまた面白そうなキメラが出たねー」
「うん、変なキメラはバグアがいなくなっても出るんだね‥‥」
 他人事だと思ってか、楽しそうに言うレイチェル・レッドレイ(gb2739)に、西村・千佳(ga4714)は額に汗を浮かべながら応える。
 しかし割と呑気な二人とは違い、プリセラ・ヴァステル(gb3835)は憤慨していた。
「うにゅにゅ〜なんていけないキメラ達なのよぉ〜!」
 バトルハリセンをしゃきーんっと構え、キリリと戦場を見据える。
「皆が迷惑しているの。此のまま放置は出来ないの〜! 千佳ちゃん、レイチェルちゃん、一緒にやっつけるのよ〜!!」
「そ、そうだね、とりあえずさっさと倒してしまおうにゃっ」
 千佳も巨大ぴこぴこハンマーを取り出し、覚醒。
 二人とも得物はアレだが、殺る気は満々だった。例え見た目が赤ん坊でも、キメラが相手なら赤子の手だって平気で捻る。
 しかし、ここで当然声を揃える筈のレイチェルのノリが微妙に悪いのが気がかりだが‥‥今は置いといて。
「キメラ発見にゃ!」
「うにゅにゅ! 悪い子にはお仕置きなのよ〜!!」
 千佳とプリセラは、周囲への聞き込みや現場の勘を総動員して発見した小便小僧に突撃する。
 その様子を、レイチェルは物陰に隠れてこっそりと観察していた。
「こーゆーのももう長くは見れないだろうし、今のうちに楽しんでおかないとね♪」
 ちゃんと仕事はするけれど、まずは一通り楽しむのが先だ。何もしない‥‥いや、されないまま倒すなんて、勿体ない。
 そんなレイチェルの目の前で、事件は起きた。
「先手必勝、溶かされる前に倒してしまえばどうということはないにゃ!」
 ピコーン!
 まずは先手必勝とばかりに飛び出した千佳の攻撃が、小便小僧の脳天にヒットした。続いて、スパーンと景気の良い音を響かせて、プリセラがハリセンでシバき倒す。
 だが、どちらも音こそ派手だが所詮はネタ武器。攻撃力は大した事がない。
「みみっ!? 倒しきれなかったにゃ‥‥みゃー!?」
「うにゅにゅ!? 千佳ちゃん、危ないのぉ〜!」
 プリセラの警告も時既に遅く、千佳の足下に謎の液体が降りかかった!
 着ていたオーバーオールが一瞬にして消え去り、残された純白のタンクトップの裾からは、見えてはいけない何かがチラリと顔を覗かせる。
「やぁーん、なの!」
 思わず両手で目を覆ったプリセラは、ハリセンをばさりと取り落とした。イタズラ小便小僧がそのチャンスを逃す筈もない。
「うにゅっ!?」
 生温かい液体がプリセラの足を伝い落ち、次の瞬間にはカンパネラ学園の制服姿で下半身は裸という地味にマニアックな姿に!
 その時――
 パシャ!
 やけに楽しげなシャッター音が、二人の耳に届いた。
「はい、美味しい瞬間いただきましたー」
 振り向くと、カメラを構えた未名月 璃々(gb9751)が満足げな微笑みを浮かべている。
 激写されてしまった。丸出しの瞬間を。
 しかし、今は二人共それを気にする余裕はなかった。
 とりあえずこの元凶を速攻で片付けようと、千佳はイタズラ小僧をピコピコ叩きまくる。が、当の小僧はそれを遊んで貰っているものと勘違いしているらしく、キャッキャと笑いながら逃げ回っていた。
 ‥‥もう無理。これ以上、この姿を晒し続けるなんて無理。
「と、とりあえず何か隠すものを‥‥っ」
 千佳はタンクトップの裾を引き下げて精一杯隠しながら助けを求める。
 プリセラは戦う事などとっくに放棄し、拾い上げたハリセンでひたすら前を隠していた。
 そんな二人に差し出された、妙な形の肌色の物体。
「はい、危険な所はこれで隠そうね!」
 こんな事もあろうかとレイチェルが用意したそれは、俗に言う前貼り。映画やドラマなどのヌード撮影で使われるアレだ。
「レイチェルさん、なんでこれを持ってたのにゃ」
 千佳が恐る恐るソレをつまんでみる。一般人がコレを付けるのは‥‥ちょっと勇気が要るかもしれない。何しろ「隠している事がわからない様に隠す」為のアイテムなのだから。
 ぺたりと貼り付けてみたが、やはり安心感はない。ある筈がない。しかし‥‥
「うにゅ! レイチェルちゃん、有難うなの! 此れで大丈夫なの〜!」
 プリセラはそれですっかり安心したらしい。
 本当か? 本当に大丈夫なのか? より一層危険な香りがするのは気のせいか!?
 しかし、本人は見えてないから大丈夫という謎の安心感を抱いている様だ。
 その勇姿を目の当たりにして、千佳も覚悟を決めた。
「な、ないよりはマシかにゃ。一応隠れてるし‥‥」
 そうとなれば‥‥
「と、とにかく残りのキメラをさっさと倒してしまうのにゃ! でないと恥ずかしいにゃ」
「うにゅ〜! キメラは全滅あるのみ、なの!」
 いたいけな幼児にピコハンとハリセンが迫る! しかし‥‥!
「おいで?」
 レイチェルがその間に割って入り、両腕を広げた。
 彼女のワンピースは既になく、下には前貼り上には絆創膏という、際どすぎる格好になっている。
 レイチェルは敵の攻撃を甘んじて受けたのだ。そして武力による報復ではなく、愛をもってその行動を制しようとした‥‥のかどうかは定かではないが、とりあえず抱き上げてむぎゅっと抱き締めてみる。
 ‥‥柔らかい。ぽわぽわだ。
「この姿で触り心地が本物と同じなんて、びっくりだよー」
 思わず楽しげに頬擦りなどしてしまう。小便小僧も何だかご機嫌な様子だ。
「あ、歩き始めたばっかりの赤ちゃんなら、おっぱいが恋しいかもしれないねぇ‥‥」
 レイチェルは胸の絆創膏をぺりっと剥がし、その豊満な胸を突き出してみた。
「ふふ、ボクの吸ってみる? ミルクは出ないけど‥‥♪」
 すると‥‥
「ぁン♪」
 むちゅっと吸い付かれた。なんだか気持ち良い。
 その様子を、千佳とプリセラは呆然と眺めていた。
 それ退治したいんだけど‥‥なんかダメっぽい?


「裸の男の子型キメラなんて最高ね♪」
 同じ頃、別の場所では雁久良 霧依(gc7839)が上機嫌で小便小僧を探す‥‥までもなかった。
 それは霧依の目の前で立ち止まり、ちょこんと小首を傾げる。
「きゃーん可愛い♪」
 愛か。愛が呼んだのか。
「ねぇ、かけてかけて♪ 霧依にかけてー♪」
 霧依は無防備な格好で路上に横たわると、鼻息も荒く小便小僧を見つめた。
 すると、小さな突起から謎の液体が迸る。
「あああ‥‥♪ いっぱい出てるぅ‥‥♪」
 霧依はうっとりと恍惚の表情でそれを受けた。黒のスリングショット水着も、上に羽織った白衣も、あっという間に消え失せる。
 暫く堪能すると、霧依はくるりと向きを変えた。迸る噴水の真ん前で大口を開け‥‥
「ごきゅごきゅ‥‥ぷっはー!」
 飲んだ。断っておくが、これは所謂HENTAIプレイではない。経口摂取が無害かどうかを確かめる為の、体を張った実験なのだ。多分。
「味はしないわね‥‥ん?」
 丁度その時、何処かの商店から飛ばされてきた、一枚のPOPが目に入った。
「裏に両面テープ貼ってあるし、大きさも丁度いいわね」
 ぺたり。それを股間に貼り付ける。
「‥‥ご自由にどうぞって書いてあるわね♪」
 街の人の視線が痛いけど気にしない♪ 上の方は髪で隠せば問題ないし♪
 そのままの格好で小便小僧を手招きし、用意していたでんでん太鼓やガラガラを振ってみる。
「雁久良さん、写真いりますー?」
 そんな折、ここにもやっぱり出没した霧依が声をかけた。
「あ、未名月さん、折角だから写真撮って♪」
 霧依は小便小僧と一緒にイイ笑顔でピースを作る。
 その後も被写体になりつつ、霧依は小便小僧と遊び続けた。その楽しげな雰囲気に誘われて、近くにいた仲間が集まってくる。子守唄を歌ってやると、眠り込んでしまう子もいた。
「良い子ねー、授乳してみようっと♪」
 霧依が胸に練乳を塗りつけると、あっという間に吸い付かれた。
「ん‥‥♪」
 その頭を愛おしそうに撫でる霧依の姿は、まるで聖母の様だった‥‥場所と状況その他諸々さえ違っていれば。


「にゃー! 今回のリュウナの目的は! しょんべんこぞうキメラを捕まえる事にゃ!」
 そしてまた別の場所では、リュウナ・セルフィン(gb4746)が気合いを入れていた。
「さぁ、リュウナ様! 行きますよ!」
 いつも一緒の東青 龍牙(gb5019)は、勿論今日も一緒だ。そして今日は、いつも以上に燃えていた。
(リュウナ様の可愛らしい下装備だけを溶かして露出させるキメラなんて、許せません! 場所によっては許せません!)
 しかしキメラを探すのは探査の眼を使えば良いとして、問題は周囲の一般人達の目だ。
(リュウナ様の可愛らしい部位が出現してしまい、周りの獣達に見られてしまう可能性が‥‥!)
 出来る事なら、その危険を未然に防ぎたい。今すぐこの場で、野獣どもを一掃してしまいたい。しかし‥‥
(チッ! 一般人には手を出せない! どうすれば!)
 ‥‥閃いた。
 倒せないなら、目を潰してしまえば良いのだ。勿論、物理的に潰すのはマズイから、閃光手榴弾で。それならきっと、ギリギリセーフだ。多分。
 という事で、西島 百白(ga2123)から強奪‥‥いや、拝借する。
「ありがとうございます♪」
 よし、準備完了!
「にゅ! 『ろしつきょう』を捕まえるのら! 龍ちゃん! 一緒に頑張るなりよ!」
「はい、リュウナ様♪」
 ところで、ろしつきょうって何だろう。『卿』って付いてるから貴族の親戚だろうか。え、違う? じゃあ何?
「ねぇねぇ、ひゃくにぃ‥‥にゃ?」
 いない。百白がいない。さっきまでそこに居たのに‥‥まあ良いか。
「にゃ! ろしつきょう発見にゃ!」
 意味はわからないけど、見付けた。
「こーせーわいせつざいで逮捕にゃ!」
 これも意味はわからないけど、何となくそれっぽいから言ってみる。
「私は、周囲の安全確保に向かいます!」
 龍牙のサポートを受け、リュウナは出来るだけ攻撃されないように素早く近付いて、捕まえ‥‥っ!
「にゃっ!?」
 溶けた。
 間髪を入れず、龍牙が閃光手榴弾を投げ付ける。たちまち、周囲はキメラによる攻撃以上の阿鼻叫喚の渦となるが、気にしない。
 周囲の安全確保とは何だったのか。いや、それも気にしてはいけない。
「こらー! パンツ履くのらー! にゃー!」
 小さなパンツを手に、小便小僧を追いかけ回すリュウナ。その前に、自分がパンツ穿くとか何かで隠すとか‥‥した方が良いと思うんだけど。
「にゃ! 暴れるニャ!」
 どうにか捕獲してパンツを穿かせ、次のキメラを‥‥いや、だからその前に‥‥!


 その頃、百白は迷子になっていた。
「‥‥面倒だな‥‥今回も‥‥」
 おまけに、現在位置がわからない。
「‥‥迷った‥‥のか?」
 はい、完全に。
 仕方ない、通行人にキメラの情報を訊くついでに、道も教えて貰おう。
「‥‥知らない‥‥か? ‥‥どう‥‥行けば?」
 なるほど、そっちか。
「面倒だが‥‥こっちは‥‥任せろ」
 無線で仲間に連絡を入れると、百白は教えられた方角に向かって歩き出す。
「目標確認‥‥」
 しかし、そこには先客がいた。
「いいですよー、いいですよー」
 カメラを構えた璃々だ。
 近くから、遠くから、様々な角度で撮りまくる。接近戦を挑まれないように注意しつつ、それでも挑まれたら謎の液体は脚力を高めて華麗にかわし、シャッターを押す。
 試しにシールドで受けてみたが、やはり下半身の装備以外に効果はないらしかった。
 それにしても、いい感じの変態キメラだ。
「無邪気に変態、いいじゃないですかぁー」
 褒められて、小便小僧も悪い気はしない様だ。なにげにポーズなど取っている。
 ‥‥あのー‥‥、そろそろ、捕獲しても良いかな? 良い? では‥‥
「‥‥捕獲‥‥開始‥‥」
 百白は姿勢を低くして身構えた。
「逃げるなよ? ‥‥喰われたく‥‥無かったら‥‥な?」
 一気に近付き、その小さな体を羽交い締めに‥‥出来なかった。
「‥‥ガウ!?」
 百白の腕からするりと抜け出した小便小僧は、仕返しとばかりに謎の液体をひっかける。
「‥‥」
 しかし百白は、慌てず騒がず上着を脱いで腰に巻き付けた。そして再び突撃するが‥‥
「‥‥ガゥ↓」
 腰を覆うものは全てが下半身装備と認識されるらしく、上着も溶けてしまった。シャツもランニングも次々に溶かされ、もう隠す物がない。
「‥‥面倒な」
 物陰に隠れて僧衣に着替える。
「‥‥? ‥‥気のせいか?」
 誰かに見られている気がしたのは、多分気のせい。シャッター音が聞こえたのも。


「‥‥暴れるなよ?」
 どうにか捕獲に成功した百白は、小便小僧を肩に担いで集合場所へ向かった。
 僧衣も既になく、被害者が殺到したせいで商店の在庫も尽きていた為、その体に衣類と呼べる物は纏っていないが、隠すべき所は隠れているから大丈夫。
「‥‥疲れた‥‥面倒な‥‥」
 そこには既に、残る七体の小便小僧が集められていた。
 八人の小僧は、分身の術が解ける様に合体して一人に戻る。大きさは変わらない。体も、その股間のモノも。
 それをじぃっと見つめて、リュウナが無邪気な一言を発した。
「‥‥ひゃくにぃのもコレくらいの大きさなりか?」
 いや、それはいくら何でも‥‥
「写真ならありますよー?」
 実物は見せてくれそうもない百白に代わって、やっぱり撮ってた璃々が申し出る。
「‥‥」
 しかし、それも見せちゃダメらしい。プレゼントも遠慮されてしまった。
 仕方ないから自分のコレクションにしようか。大丈夫、顔とかはモザイク修整するし。
 そして、小便小僧は然るべき施設、つまりはXの珍獣研究所に預けるという事で話が纏まった。
「変態キメラは、財産ですよ」
 バグアの変態的な部分を、そして人間の変態的部分を形にした有形財産なのだと璃々。
「そうね、大きな戦いは終わったし、無害なキメラを討伐する必要はないわ」
 霧依が言った。それに青カビからペニシリンが作られた様に、キメラが有益な物質を産する可能性もあるし。
「謎の液体、解析出来たらすごく役に立ちそう♪」
 何に使うのかは、敢えて言わないが。
「ちょっと寂しいけど、お仕事だしね」
 仕方がないと、レイチェルが名残惜しそうにその頭を撫でた。
(‥‥ボクも、赤ちゃん欲しいかも)
 ところで‥‥
「撮影データ、分けて貰えるかな?」
 折角の思い出だからと申し出たレイチェルの要請を璃々が断る筈もない。
「そう言えば、晒された気分はどうでしょう?」
 三人分のデータ転送を待つ間、璃々はちょっとしたインタビューを試みてみた。
「うー‥‥凄い恥ずかしかったよ」
 千佳が真っ赤な顔で答える。その下半身に巻かれた布には「大売り出し」の文字が躍っていた。
「うにゅ〜疲れたのぉ‥‥千佳ちゃーん、レイチェルちゃぁーん」
 友人達にもたれかかったプリセラの下半身は前貼りのままだが、周囲の格好が似たり寄ったりなせいか、特に違和感もないのが恐ろしい。
 この場の集合写真も一枚、どうですか‥‥?