タイトル:クリスタルな栗拾いマスター:STANZA

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 5 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/10/04 03:36

●オープニング本文



 農園の栗の木は、今年も大粒の実をたわわに付けていた。
「こりゃ良い栗が出来た、いつもよりうんと甘くて大きいぞ」
 収穫するにはまだ少し早い木々を見上げて、おじさんは満足そうな笑みを浮かべる。
 この辺りの木も、あと数日もすれば良い具合に熟すだろう。
 収穫の日が楽しみだった。

 ところが――
 その日の朝、おじさんが栗畑に来てみると‥‥何やら畑全体がキラキラと輝いている。
「なんだ、こりゃ?」
 下草に付いた朝露が陽の光を受けて輝いているのだろうか。いや、それにしては‥‥何と言うか、豪華で派手すぎる。
「朝露ってのは、もっとこう‥‥慎ましやかに、しっとりと儚げに光るモンだよな」
 おじさんは、よーく目を凝らしてみた。いや、目を凝らさなくても、それはすぐに目に入った。
 光っているのは、栗のイガだった。
「‥‥はぁ?」
 勿論、普通のイガではない。形と大きさは栗のイガそのものだが、全てが透明で、ガラスの様にキラキラと輝いている。真ん中にある実の部分も透明で、その中には何か栗の甘露煮の様にも見える黄色い塊が入っていた。
 それが、普通の栗に混じって何個も何個も‥‥大量に落ちている。
 おじさんは試しにひとつ、イガを剥いてみる事にした。
 普通の栗と同じ様に、長靴をはいた足で踏んづけ‥‥ようとした、その時。
「いででででッ!」
 透明なトゲが、おじさん目掛けて飛んで来た!
「こ、こりゃあ‥‥キメラだ!」
 透明な栗のキメラなんて聞いた事もないが、普通じゃないもの、常識では説明の付かないものは、全てキメラだ。

 そんな訳で、おじさんは早速ULTに連絡を入れた。
「このままじゃ栗の収穫が出来ん! 早いとこ、あのキラキラした奴を片付けてくれ‥‥!」
 お礼に自慢の栗をご馳走すると付け加える。
 そして‥‥
「うちの母ちゃんの料理は美味いぞぉ?」
 と、しっかり惚気るのも忘れなかった。

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
リュウナ・セルフィン(gb4746
12歳・♀・SN
東青 龍牙(gb5019
16歳・♀・EP
御名方 理奈(gc8915
10歳・♀・SF
エイルアード・ギーベリ(gc8960
10歳・♂・FT

●リプレイ本文

 すっきりと晴れ上がった秋空の下、キラキラと光るクリスタルな栗キメラ、略してクリラ。
 このクリラを退治するのが、今回の任務な訳だが‥‥
「わーい! エイル君と栗拾いデートだ!」
 御名方 理奈(gc8915)は、もうすっかりデート気分ではしゃいでいた。
「り、理奈‥‥僕達は遊びに来たわけじゃないんだよ‥‥? これは依頼で‥‥」
 生真面目な彼氏エイルアード・ギーベリ(gc8960)は、そんな彼女の態度を窘めようとするが‥‥
「‥‥エイル君はあたしとデートしたくないんだね」
 ジト目で見返されてしまった。
「この前の依頼でも胸の大きな人をいやらしい目で見てたし‥‥理奈の事嫌いなんだ! うわーん!」
 理奈は両手で目を覆うと、大袈裟すぎる程の大声で泣き始めた。端から見ればどう見ても嘘泣きだとわかる泣きっぷりだが、素直なエイルアードは信じた。信じてしまった‥‥いつもの様に。
「‥‥って! ちち違うよ! 僕だって理奈とデートしたいよ!」
「ほんと?」
 ちらり、指の間から覗き見ると、こくこくと高速で頷く恋人の姿が見えた。
「やったー♪」
 思いっきり抱き付いて、ぺろりと舌を出す。ついでに小声で呟いた。
「‥‥ちょろいね」
「う‥‥」
 いつもの様に押し切られたエイルアード。だが、まんざら悪い気はしない。と言うか、これで良いのだ、うん。
 そんな微笑ましいやりとりを眺めていた東青 龍牙(gb5019)が小声でぽつりと呟く。
「デートですか‥‥良いなぁ」
 だがしかし、そんな呟きが聞こえる前から、リュウナ・セルフィン(gb4746)は準備万端整えていた。
「龍ちゃん! 安心するのら!」
 思いっきりのドヤ顔で言う。
「龍ちゃんが寂しそうだったから、ひゃくしろを呼んでおいたのら!」
「‥‥」
 呼ばれた西島 百白(ga2123)は、にこりともせずに二人の背後に立っていた。
 つまりそれは、向こうのカップルに張り合って、二人でイチャつけという事だろうか。龍牙と百白の二人にとって、そのシチュエーションは‥‥どうなんだろう。そういうアレな展開に、なるんだろうか。
 しかし、百白は相も変わらぬ無表情。そしてやっぱり、面倒臭そうに‥‥
「栗拾い‥‥か‥‥。暇つぶしには‥‥なるな‥‥」
 とか言いつつ、両腕に抱えた収穫用のコンテナには、農園のおじさんに借りた栗拾い用の道具が満載されている。しっかりやる気満々のスタイルだった。
「にゅ? くりひろいって何か特別な道具必要なりか?」
 リュウナが首を傾げる。でも、必要なら龍牙が用意してくれるから安心‥‥え、用意してない?
「じゃあ、ひゃくしろに借りるのにゃ!」
「‥‥」
 ごそごそ。百白は黙って道具を取り出し、二人に手渡す。元々「皆で使うように」と渡されたものだ、この場合は又貸しでも問題はない。
 さて、準備が整ったところで‥‥毎度お馴染み(?)リュウナと龍牙の開会宣言!
「にゃー!」
「「第一回なのかどうか解らないけど! 取りあえず第一回! なぬっ! 能力者だらけのクリ! 拾い大会!」」
「張り切って行くのらー!」
「張り切って行きましょー!」
 いざ、栗拾いスタート!
 ところで‥‥
(今日も西島さんのツンデレ見れますかね?)
 チラッ。


 理奈とエイルアードは、ぴったりくっついてイチャイチャしながら栗を拾い歩いていた。
 盾を構えた理奈は超機械「魂鎮」の先端でクリラの透明なイガをツンツン。その隣で、エイルアードもメトロニウム合金製の盾、雲外鏡を構えながら尖剣「スピネル」の先でツンツン。
 ‥‥すると、危険を感じたクリラは全身のトゲを一斉に飛ばして来た。
 しかし、そんな攻撃は既にお見通し。二人は構えた盾でそれを全て弾き落とし、丸裸になった実を拾って袋に入れる。落ちたトゲは別の袋に纏めて入れて、後で外殻と一緒に捨てれば良い。
 ついでに普通の栗も拾って、また別の袋に入れる。こちらは後でおじさんに渡せば、きっと喜んでくれるだろう。
 二人の収穫作業は順調だった。覚醒しなくても問題ないくらいに順調だった。
 しかし、もし順調ではなかったとしても、今日のエイルアードは覚醒出来ない。
 覚醒すると人格が変わり、エイルアードはリンスガルトという少女になる。それは良いのだが、問題がひとつ。リンスガルトは衣装に拘りがあるのだ。それはもう、とんでもなく。
(この服装で覚醒したら、リンスガルトは激高して‥‥)
 なんとださい服じゃ! 着ていられるか! と、全部脱いでしまうだろう。
 もっとも、自分で脱がなくても結局はそれと似た様な目に遭いそうな予感は、ひしひしと感じるのだが。
 と、エイルアードがそんな事を考えつつも真面目にクリラ退治に精を出していた、その時。
 傍らの理奈は‥‥
(やっぱハプニングは必要だよね)
 そう、これでは余りに順調すぎる。こんなドッキリも何もない展開、面白くないじゃないか。
 という事で。
「きゃーつまづいちゃったー」
 思いっきり棒読みな台詞と共に、理奈は傍らのエイルアードを突き飛ばした。
「理奈どうした‥‥うわっ!」
 予期せぬ攻撃を喰らってよろけたエイルアードは‥‥
「‥‥あんぎゃあああああ!」
 勢いよく尻餅をついた。しかも、鋭いトゲをキラリと光らせたクリラの群れの真ん中に。
 ぷすり。ぷすぷす。ぐっさり。クリラのトゲが深々と刺さる。
 しかし、それだけでは済まなかった。突然の絶叫に反応した周囲のクリラが一斉にトゲを飛ばし‥‥何故か、その全てがエイルアードの尻に!
「ぎゃおおおおおん!」
 覚醒してなきゃ、そりゃ痛いよね。
「あ‥‥やば‥‥」
 余りの痛さに飛び上がるその姿を見て、ちょっとだけ後悔‥‥したかどうかは定かではないが、理奈は慌てて恋人の元へ駆け寄った。
「大丈夫エイル君!?」
 わざとらしく聞こえるのは、きっと気のせいじゃない。
「お尻がヤマアラシみたいだよ!」
「ひぐっ、酷いよ理奈っ!」
 人の好いエイルアードも、流石にこの仕打ちには抗議せずにはいられなかった様だ。しかし理奈はすました顔をして、がしっとズボンに手をかけた。
「刺さってるとこ確認するからパンツ脱いで!」
「‥‥え? いやちょっとそれはってなんで手をかけてるのー!」
「恥ずかしがらなくていいよ♪ リンスちゃんはあたしの前で平気で脱いでるよ? 夕べだって先に全部脱いで‥‥次はそなたじゃ、脱がして進ぜよう、って‥‥」
 理奈はぽっと頬を染める。って言うか何してたんですか君達は。
「わーわー! 違う! それは僕じゃない僕がやった事で!」
 ええい、往生際が悪い。観念せーい!
「えい♪」
「アッー!」
 ぺろん。
「わ〜♪ 可愛いお尻ぃ♪」
 ぷりぷりの桃尻をじっくり観察しつつ、トゲを丁寧に抜いて、仕上げに拡張練成治療。
「はああ‥‥気持ちイイ‥‥♪」
「はーい穿きまちょうね♪」
 するんと上げて、ぽんぽん叩いて‥‥はい、おしまい。
 って言うか、さ。
「‥‥初めから練成治療使えば済んだんじゃない? 脱がす必要あったの‥‥?」
「こまけぇ事はいいんだよ♪」
「うう‥‥」
 逆らえない。勝てない。きっと一生ムリ。
 そんな事を思いつつ、耳まで真っ赤に染まる少年の秋。

 そこから少し離れた所では‥‥
「‥‥見事なまでの‥‥クリスタル‥‥だな‥‥」
 クリラを前に、百白はひとりごちる。
「‥‥炸裂するって‥‥言ってたな‥‥」
 ちょっと、つついてみようか。
「‥‥」
 つんつん、ジャイアントクローで少し衝撃を与えてみる。と、透明な針が一斉に飛んで来た。
 百白の身体能力なら、そんなものは余裕で避けられただろう。しかし、その背後には龍牙がいた。避ければトゲが彼女に‥‥
「‥‥」
 百白は自ら盾となり、黙ってそのトゲを全身に受けた。大して痛くはない、が‥‥
「む! リュウナ様! クリラを発見しました!」
 龍牙さん気付いてないし。
「にゃ! くり発見にゃ! 回収にゃ!」
「回収する前に、トゲを排除しておきましょう!」
 すっかり二人の世界になっている。
 しかし百白は「呼ばれて来た俺の立場はどうなる」などと、セコい事は考えなかった。
 この場は二人に任せて場所を変えようと足を踏み出した、その時。
「‥‥!?」
 ぶつけた。木に生っているイガに頭をぶつけた。気を付けていたのに、不覚。
 その間も、背後では呑気な会話が交わされていた。
「バグアも、キメラのネタ切れですかね?」
 多分、そうだと思います。
「何でクリスタルな栗なんでしょうか?」
 語感が面白い、とか思ったんじゃないかな。
「にゅ〜、大規模な作戦以外で最近KVに乗って戦ってないのら〜‥‥」
「そういえば、そうですね」
「どっかで大型キメラかゴーレムでも暴れてないなりかね?」
 そんな事言ってると、ホントに出ちゃいますよ?
「でも、その分平和って意味なりかね〜♪」
「まぁ、平和に近づいてる証拠ですね♪」
 そうそう。
 なんて事を言いながら、リュウナは炸裂に備えて少し離れた所から‥‥近くにある別の栗を撃つ。
 キラキラと輝きを放ちながら、トゲが四方八方に飛び散った。
「超! エキサイティン!」
 そして丸裸になったクリラを回収。
「この調子で沢山回収するのら! オー!」
 しかし、そう毎回狙った通りにトゲが飛ぶとは限らない。
「危ないです! リュウナ様!」
 リュウナに向かって飛び散るトゲ。その前に立ちはだかる龍牙。しかし‥‥!
「‥‥」
 そのトゲは全て、百白が受け止めてくれた。
「ありがとうございます、西島さん」
 良かった、今度は気付いて貰えた。
 だが、百白は‥‥
「‥‥何の事だ?」
 すっとぼけていた。ツン、確認。
「さぁ、リュウナ様! 沢山栗を回収しましょう♪」
「にゃ! 普通の栗も回収にゃ!」
 普通の栗とクリラは、分けて回収した方が良いか。クリラは変なのあるし。
「フニャッ!」
 リュウナが素っ頓狂な声を上げた。
「龍ちゃん! このクリラの中の形! アレにゃ!」
 え、アレって何?
「モザイク処理の必要がある形ニャ!」
「リュ・リュウナ! このクリラは危険です! 色んな意味で危険です!」
 え、ちょ、待ってよ。何? 何が入ってるの? 見せ‥‥
「大変にゃ! 埋めるのら! 一刻も早く埋めるのら!」
「埋めましょう! 今すぐ埋めましょう!」
 ‥‥あー、埋めちゃった。
 一体何が入ってたんだろう。謎すぎるぞクリラ。


「にゅ〜、大変だったけど普通の栗とクリラを拾えたのら!」
 大きな袋に一杯の収穫を引きずる様にして、傭兵達が戻って来た。
「いやー、収穫までやって貰って悪いなぁ」
 上機嫌で出迎えたおじさんは、天気も良いし、外で食べた方が美味いだろうと、庭先に広げたテーブルに次々とお菓子や料理を運んで来た。
「にゃにゃにゃ〜♪ にゃ〜♪」
 リュウナは鼻をヒクヒク。
「今回は覚醒の必要がニャイから、お腹いっぱい食べれるのら〜♪ ひゃくしろ! 龍ちゃん! お料理期待してるのら!」
「リュウナ様は、待ってて下さいね♪ 今から作りますから♪」
 ‥‥西島さんが。
 という訳で、リュウナと龍牙、二人の期待に満ちた視線が百白に注がれる。
「栗といえば‥‥栗ご飯‥‥だな‥‥」
 百白は既に準備を整えていた。
 充分に水を含んだ米4合に、大さじ二杯の酒と小さじ一杯のミリンを入れて普通に水加減。そこに塩を小さじ一と三分の一杯を入れて軽くまぜ、栗を35個と5cm角に切った昆布を入れる。
 庭の隅にあった石窯を借りて飯盒を火にかければ、後はのんびり待つだけだ。
 さて、その間にクリラの味見といこうか。
「‥‥このクリラ平気なんですかね?」
 その手元を、龍牙が覗き込む。
「このクリラなんて、口では言えない色してますし‥‥」
「‥‥どれ」
 龍牙が指差したモノを、百白が口に入れてみる。
「‥‥ゴフッ!?」
 ハズレだったらしい。思いっきり。何やら口では言えない味だった、とか。
 気を取り直して、次‥‥
「‥‥」
 少し囓って、龍牙に差し出した。食べかけだけど、良いんだろうか。
「え? あ〜ん♪」
 ‥‥良いらしい。龍牙は素直に口を開け、ぱくり。
「モグモグ‥‥大丈夫ですね♪」
 もしかしてこれは、ウニ? まあ確かに、姿形は似ている気がしないでもない、けど。
 味わっているうちに、百白からは次々とクリラの中身が手渡される。栗きんとんに、渋皮煮、モンブラン‥‥オムライスやミートソース‥‥とりあえず、どれも美味い。味だけなら三つ星レストラン級かもしれない。
 そんな美味いものばかり、選り分けて渡しているのだとしたら‥‥デレか。これがデレなのか百白兄さん。
 その向こうでは、もう一方のカップルがクリラの中身を調査していた
「‥‥んっ! この中身ボルシチだ!」
 エイルアードは嬉しそうに顔を輝かせ、それを傍らの理奈に差し出した。
「しかもかなり美味しいよ! 理奈食べてみて!」
「え、中身ボルシチ?」
 ぱくり。
「わぁ美味しい♪」
 と、その口元に赤いソースが‥‥
「‥‥ぁ‥‥」
 どうしよう、ティッシュで拭いてあげようか。いやしかし、ここは‥‥!
 ‥‥ちゅっ。
 意を決して、唇で吸ってみた。
「あ‥‥」
 予想外の事に、理奈も思わず赤くなる。
「ぼ、僕だってたまには積極的に‥‥ね‥‥」
 その反応を見て、エイルアードも頬を赤らめた。
「エイル君ってば‥‥もうっ♪」
 ‥‥ちゅっ。
 今度はほっぺに、お返しのちゅー。
「ひゃあ‥‥」
 はい、茹で上がりました。良いやねぇ、初々しくて。
「大好きだよっ♪」
「うん‥‥好きだよ‥‥理奈‥‥」
 抱き付いてすりすりと頬擦りする理奈を抱き返し、エイルアードはその頭を優しくなでなで。
 もう完全に、世界は二人だけのものだった。栗ご飯が出来たと呼ぶ、仲間の声も聞こえない。
 ‥‥リア充は放置で良いよね、うん。
「にゃ! 出来たなりか!」
「はい、皆で食べましょうね♪」
 龍牙が皿を並べ、百白が取り分ける。あそこでイチャついてる二人の分も、一応。
「はい、リュウナ様♪ あ〜ん♪」
 差し出された栗ご飯を、リュウナは美味しそうにモグモグ。
「食べてるリュウナ様、可愛いです♪」
 いつも可愛いけど、特に。‥‥と、鼻の奥から何やら生温かいものが。
 いけない、また鼻血が。
 さりげなくハンカチを鼻に当てた龍牙の隣で、今度はリュウナが‥‥
「はい、ひゃくしろ! あ〜ん♪」
「‥‥」
 ここは観念するしかないでしょう。はい、口開けてー。
「よし! 今日からひゃくしろの事を『ひゃくにぃ』って呼ぶのら!」
 ひゃく兄。反論は認めない。


 やがて秋の陽が西に傾き始めた頃。
「ひゃくにぃ! お腹いっぱいだからオンブしてほしいのら!」
 言うが早いか、リュウナはテーブルに突っ伏してしまった。
「にゅ〜‥‥むにゃむにゃ」
 結局、覚醒しなくても眠くなる様だ。
 さて、たっぷり食べたし、お土産に栗も貰ったし、そろそろ帰ろうか。
 ‥‥まだイチャついてるリア充は、このまま放置で‥‥良いよね?