タイトル:ぬるぬるウナキメラマスター:STANZA

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/08/11 02:51

●オープニング本文



 今年はウナギが不漁らしい。
 いや、今年に限らず、漁業資源としてのウナギの数は、年々減少の一途を辿っているらしい。このままでは庶民には手の届かない高級食材になる日も、そう遠くないだろう。それどころか絶滅の恐れさえ指摘されていた。

 そんな訳で‥‥今年はウナギが高い。バカ高い。来年はもっと高くなるだろう。おまけに「なんちゃってウナギ」まで出回る始末だ。
 バグアは、そこに目を付けた。

 なんと、ウナギキメラが現れたのだ。

 このウナキメラ、太さは通常のウナギと変わらないが、やたらと長い。蒲焼きにすれば軽く五人前は出来上がるだろうという長さ。ウナギと言うより殆どヘビだ。
 それが、うねうねくねくねと泥の中を這い回り、人の手足に絡み付き、服の隙間から中に入り込んで‥‥後は、ご想像にお任せします。
 しかもこいつ、その体に微弱な電気を纏っている。ビリビリと痺れる様な強烈なものではなく、「じわっ」と「もやっ」と「もぞもぞーん」と。それが体のあんなトコやこんなトコに絡み付いたり潜り込んだりしながら「じわじわもやもや」するもんだから、気分はもう‥‥ご想像にお任せします。

 それ以外は、特に害はないらしい。
 味も‥‥食べた事はないけれど、多分ウナギっぽい気がする。
 きっと、安物のゴムみたいなウナギよりは、よっぽどウナギの味がするに違いない。

 そこに目を付けた業者がいた。
「キメラと言ってもウナギはウナギ、蒲焼きにしてしまえば味の違いなどわかるまい」
 そう考えて、ウナキメラの大量捕獲に乗り出した。
 が、たかがウナギでも、そこはやっぱりキメラ。
 網は破られ仕掛けは壊され、機械は電気系統がショートして使い物にならない。
 おまけに、漸く捕まえた一匹を捌こうとしても包丁の刃が立たない。

 普通に美味そうなウナギを目の前にして食えない、この悔しさ、腹立たしさ。
 そうか、バグアはこれが目当てなのか。「どうだ食えないだろ、ざまーみろ」と影で笑っているのか。
 ‥‥だとしたら‥‥相当にレベルが低い。そんな連中を相手に真面目に戦う事がアホらしくなる程、低い。

 まあ、バグアの真意がどこにあるかは、とりあえず置くとして。

 ここはやはり、能力者の出番の様だ。
 参加者には通常の報酬の他に、ウナキメラの蒲焼きがその場で食べ放題になる特典があるらしい。
 さあ、キミも夢の食べ放題に参加して、暑さに負けない元気な体を作ってみないかっ!?

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
西村・千佳(ga4714
22歳・♀・HA
メティス・ステンノー(ga8243
25歳・♀・EP
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
プリセラ・ヴァステル(gb3835
12歳・♀・HD
リュウナ・セルフィン(gb4746
12歳・♀・SN
東青 龍牙(gb5019
16歳・♀・EP
水晶石(gc8753
20歳・♀・HA

●リプレイ本文

「‥‥」
 西島 百白(ga2123)は、我が目を疑った。
 鰻を捕りに来た筈なのに、湖畔には水着姿の女性達が勢揃いしているではないか。
 これは一体、どうした事か。

「んっ‥‥少しきついかも‥‥♪」
 などと言いつつ、レイチェル・レッドレイ(gb2739)は背中が大きめに開いた紺色のスクール水着(しかも王道の旧型)に包まれた胸や尻をさりげなく強調して見せる。少しなんてものじゃなく、胸に付けた「2−B れいちぇる」と書かれたワッペンが伸びきって、今にも弾け飛びそうだった。
「うにゅにゅ〜久し振りのお仕事なのーお料理するのー♪」
 その隣で張り切っているプリセラ・ヴァステル(gb3835)の胸も、ワンピース型の水着に圧迫されてかなり窮屈そうに見える。
 そのプリセラと誘い合わせて参加した西村・千佳(ga4714)も黄色い水着姿だが、胸元の様子はよくわからなかった。しかし、敢えてビキニで来るという辺り、それなりに自信があるに違いない。
 そして三人の少女達以上に目を惹くのが、二人のお姉様方だった。
 薄青色のワンピース型水着を着た水晶石(gc8753)は、お胸の辺りがちょっときついご様子だ。
 メティス・ステンノー(ga8243)は水着ではないが、伸縮性が高い迷彩模様のランニングの胸元は、これでもかと言う程に伸びきっている。

「‥‥依頼‥‥間違えたか?」
 ぼそり、百白が呟いた。
 そう思うのも無理はないが、しかし間違ってはいない。その証拠に‥‥
「にゃー!」
「「第何(ニャン)回ドキ☆能力者だらけのウナ(ニャ)ギ掴み取り大会ー!」」
「チクショー!」
 リュウナ・セルフィン(gb4746)と東青 龍牙(gb5019)が、声を揃えて(今イチ揃ってなかった気もするが)宣言した。
 ほら、やっぱり鰻の掴み取り大会だ。何となく微妙に違う気もするが、水着コンテストやきょぬー自慢大会ではない事は確かだった。
 それは良いとして‥‥チクショーって、何?
「にゃ! 参加選手紹介は面倒だからやらないなり! 絶対にやらないのら! ムキーッ!」
 リュウナさん、何やらご立腹の様子。え、選手紹介してくれないの? 字数の関係で省略? まあ、それは記録係も助かる、けど。
「大きい人が多いのら!」
 ‥‥何が?
「何なりか! チクショー! 負けてたまるかー!」
「さぁ、リュウナ様! 大きい人達より沢山ウナギを捕まえましょうね♪」
 どうやら龍牙はわかっている様子だが‥‥ここは深く突っ込まない方が良さそうな気がする。

 そんな訳で‥‥さあ、競技(?)開始だ!


「え、ええと‥‥ウナギのキメラ? 敵はそんな妙なものまで‥‥どんな意図があって?」
 水晶石が困惑顔で首を傾げる。
 しかしタッグを組んだメティスは、バグアの意図など全く意に介さない様子だった。
「さて、ウナギのキメラとはまた狙ったかのようにバグアも出してきたわね」
 出されたものは、美味しく頂くのが礼儀だろう。問題はどうやってこのヌルヌルを捕まえるか、だが。
 普通の魚なら電流を流して痺れさせ、浮いた所を一網打尽という手も使えるのだが。どうやらこの鰻は自ら電気を発するらしい。それなら、電撃には耐性がありそうだ。
「網や仕掛けは壊されちゃうらしいし、やっぱ手掴みしかないかぁ」
 ならば自分がメティスの方に追い立ててやろうと、水晶石は泥沼と化した湖へずぶずぶと入って行く。ずぶずぶ‥‥ずるっ!
「見事に転んだわね。だいじょ‥‥っ!?」
 泥まみれになった水晶石を助け起こそうと、メティスが手を伸ばす。が‥‥
「やっ、ちょ‥‥足に絡み付いてくる!?」
 太くて長いモノが絡み付き、這い上がり、服の隙間から入り込んだ。
「んっ‥‥いやん、そんなとこから‥‥んあぁ」
 そんなとこって、どんなとこだろう。
「ん‥‥っ、あはんっ」
 あまりの気持ちよさに耐えかねて、泥の中にぺたりと座り込む。そのチャンスを、鰻達が逃す筈もなかった。
 わらわらうにょうにょ取り付いて、攻めまくる。もう、どうにかなっちゃいそうだ。
 しかしそれでも気力を振り絞って、メティスは頬を紅潮させつつ服の中に手を突っ込む。何やら艶めかしいポーズで、入り込んだ鰻をにゅるにゅると引っ張り出した。
「んっ‥‥くっ、やっと‥‥一匹」
 しかし、入り込んだのは一匹だけではなかった。モヤモヤビリビリとした感覚がヘソの辺りから全身に広がって行く。
「んあぁ、らめぇぇぇぇぇ!」
 メティスさん、昇天?
 そして、泥の中に倒れ込んだ水晶石はと言えば‥‥
「ひぁぅっ‥‥何です、これっ‥‥やぁっ、水着の中に入ってき‥‥っだめぇっ、ぬるぬるして‥‥っ」
 既に手遅れな程、どうにかなっちゃっていた。
「やひっ、電気、ぴりぴりって‥‥んぁぅ、そんな‥‥っ。はぅっ、へ、変なところ噛まない、で‥‥っ」
 生温かい泥と、冷たい鰻。二つのヌルヌルが相乗効果を生み出したところに、微妙な電気刺激と甘噛みが加わる。もう、意識が飛びそうだ。
 しかし、こんな事で負けてはいられない。鰻を待っている人々の為に、頑張るのだ! がん、ば‥‥
「あんっ、だめ、気持ちよくなんてなっちゃいけないのに‥‥っ」
 気が付けば、いつの間にかメティスと絡まり合っている。びりびりされて、かぷってされて。ぬるぬるしつつ抱き合ったまま二人で気持ち良く‥‥はっ!
「す、すみません‥‥っ」
 慌てて離れようとするが、今度はメティスが離してくれない。
 超機械を持って来ていた事を思い出すが、身動きが取れなかった。
 さて、どうしましょう。
 やっぱりこのまま、二人で気持ち良く‥‥?

 それを見ていたプリセラが声を上げた。
「うにゅ? な、何だか変なの‥‥こんな狩りは初めてなのー!」
 隣を見れば、レイチェルは一人黙々と鰻を掴んでは、自分のスク水の中に突っ込んでるし。
 胸元を広げ、にゅるり。腹部の水抜きから、にゅるり。あのスク水は、魚籠代わりなのだろうか。
 もこもこと、スク水のあちこちが極太のミミズ腫れの様に盛り上がっている。それが胸元を這い回り、背中に周り、前から後ろから‥‥そのまま下に向かわせれば、そこには丁度良い隠れ家が。
「ほら、ウナギって穴に潜り込む習性があるって言うし♪」
 な、なんの穴だろう。スク水の中にポケットでも仕込んであるのだろうか。うん、きっとそうだ。
 アホ毛をピコピコさせながら、その様子に見入るプリセラ。ちょっと寒気を感じるのは気のせいだろうか。
「うにゅ! 此れも立派な‥‥えぇっと、立派なお仕事なの〜」
 そう、なんだろうか。
 その時。ヌルヌルビリビリの感触を一通り堪能したレイチェルの目が光る。
「久し振りの依頼だけど、何かとっても嫌な予感がするよ」
 千佳がそう呟きつつも、鰻捕獲に挑戦しようとした瞬間、予感は現実になった。
「うう、ヌルヌルして本当に掴みづらい‥‥わひゃ!?」
 トップスの隙間から突っ込まれたヌルヌルの物体が、谷間を滑り落ちてボトムの中へ。しかし収まりきれずに、あちこちから色々ハミ出していた。
 更に、プリセラの背中にも‥‥ぬるり。
「うにゅにゅ! にゅるにゅるなの〜‥‥うにゅ!? レイチェルちゃん、何するのぉ〜!?」
 暴れている。ワンピースの中で巨大鰻が暴れている。目を白黒させながら身悶え、引っ張り出そうとするが‥‥どうにも掴み所がない。
「ほらー、気持ちいいでしょー♪」
 どさくさに紛れて、レイチェルは二人の体に触りまくる。ついでに自分の体を押し付けてみたり。
 べたべた、すりすり、にゅるにゅる。
「よくもやってくれたね。お返しだよっ」
 千佳は何とか捕まえて引っ張り出した二人分の鰻を、レイチェルの水着に前後から突っ込んだ。が。
「え? ボクの中にも入れるの? いいよー♪」
「‥‥って、悦んでる」
 レイチェルは、嬉しそうにぷりぷりとお尻まで振って見せる始末。駄目じゃん。
 二人は諦めて仕事に戻る事にした。本格的なお仕置きは、これが終わってからだ。
 しかしこの鰻達、悪戯の為なら素直に捕まるが、本気を出せば敏感に察知して、食われてたまるかと必死で逃げ回り、反撃に出る。
「あ、改めて捕獲を‥‥って、きゃっ!? ちょ、身体を這わないで、きゃぁ!?」
 転んだ拍子に体中に絡み付かれた千佳は、電撃を浴び、かぷりと噛み付かれた。黄色いトップスがふわりと外れ、泥の中へ落ちる。
「‥‥っ!?」
 でも残念‥‥いや、大丈夫。転んで泥まみれだから、大事なところは見えない!
 って言うか、鰻のヌルヌルも気持ち良いけど‥‥泥のヌルヌルも結構良い、かも?
「う、うにゅううぅぅっ♪ ピリピリくるのぉ‥‥で、でも、頑張るのぉ――って、其処はダメなのぉ〜!?」
 プリセラも泥まみれで頑張っている。
 しかし、彼等の反撃は容赦なかった。まるで相手のツボを知り尽くしているかの様に攻めまくり、相手の理性を奪い、骨抜きにする。もう二度と、鰻を捕まえて食おうなどという不埒な気を起こさせない為に。
 だが、それでも‥‥どうにかこうにか捕まえ‥‥られると、良いんだけど。

「龍ちゃん! 頑張るなりよ! 絶対に負けられないのら!」
 小さい人の意地と誇りにかけて!
「大きいのは敵にゃ! 行け! うにゃぎキメラ!」
「安心して下さい! リュウナ様の分もこのイグニートで串刺しにして捕まえますから♪」
 龍牙は探査の眼で鰻の居場所を探る。
「さぁ、ドコですか〜?」
 って、探さなくてもそこらへんにウヨウヨいるし。
「そこですか!」
 イグニートを銛の様に突き刺すと、見事に命中した!
「リュウナ様! ウナギゲットしましたよ!」
「にゃー! リュウナも捕るのにゃー!」
 張り合う様に、泥の中に手を突っ込むリュウナ。
「にゃ! にゅるにゅるするのら! 負けてたまるかー! にゃー!」
 捕まえた!
「流石です! リュウナ様! おめでとうございます♪」
 ここぞとばかりに褒めちぎる龍牙。
 しかし、にゅるんと逃げられた!
「こらー! うにゃぎー! 逃げるにゃー!」
 ばしゃばしゃぬるぬる追いかける!
「って! フニャッ!」
 転んだ!
「フニャー! うにゃぎがー!」
 そしてやっぱり、服の中に入って来る鰻達。大きくても小さくても、関係ないらしい。
「フニャー! フニャー! メーデー! メーデー! にゃー!」
「って! ウナギキメラ! 私のリュウナ様に、何してるんですか! 成敗!」
 次々と串刺しにされる哀れな鰻達。龍牙の逆鱗に触れると、こうなるのだ。本日の鰻捕りMVPかも?
「にゅ〜、助かったのら〜。あとチョット遅かったら、違う世界に行ってたのら〜」
「さあリュウナ様、まだまだ沢山いますので、どんどん捕りましょうね♪」
 しかし二人共、そこではたと閃いた。
 服の中に潜り込むこのウナキメラ、無表情の人にやったらどうなるのだろう。
 チラリ、二人は傍らの百白に目を向け‥‥頷き合った。
「龍ちゃん! ゴー!」
「あー! ウナギのヌルヌルで手が滑って偶然にも西島さんのところにー!」
 思いっきり棒読みの台詞が湖畔に響く。

「‥‥」
 ツナギの襟元から鰻を突っ込まれた百白は、相変わらず無表情だった。
 内心はどうだったとしても、とりあえず無表情。
 だって、もう何匹も入っちゃってるし。今更一匹増えたところで、どうという事もない。
 取り出すのも面倒、だし。
 という事で、服の中では何匹もの鰻に絡まれながら、素知らぬ顔で鰻獲りに精を出す。
「さて‥‥面倒だが‥‥飯の為だ‥‥」
 2m以上もある槍、グラーヴェを足場の良い手近な所に突き刺し、出来る限り素手で取ろうと身構えた。
「市販の‥‥高いから‥‥な‥‥」
 しかし‥‥暫く頑張ってみるものの、これがなかなか難しい。
「‥‥、‥‥‥‥ガゥ」
 ちょっとヘコんだ。しかしすぐに気を取り直して、鮭をとる時の熊のポーズで獲物を定める。
 そのまま腕を振り下ろし、爪で引っかけ‥‥引っかからない。ジャイアントクローは着替える時に更衣室に置いてきたんだっけ。
 空振りついでに、転んだ。
「ガウ!?」
 諦めて、グラーヴェで突いた方が早そうな気がする‥‥


 そうして各人各様に鰻と格闘する事、暫し。
「さっきはよくもやってくれたわね、気持ちよすぎて変な事言っちゃったじゃない!」
 怒りを込めて、メティスは鰻の頭をまな板に撃ちつける。
 勿論、血抜き等の下処理済みだ。このキメラも同じかどうかはわからないが、鰻の血は毒なのだ。
「流石に難しいわね‥‥何とか均等に開くので精一杯だわ」
 それでも何匹か捌くうちに、少しは形の良いものが出来る様になって来た。
「焼き上がるまで、肝焼きと焼酎で一杯やって待ってるわね」
 一方、百白は堂に入った包丁捌きを見せていた。
 気絶させた鰻の頭を目打ちして頭を固定し、エラの後ろに切れ込みを入れる。背側から一気に切り開き、内臓や骨、頭を外し、軽く洗って‥‥
「‥‥頼む」
 待ち構えていた職人に渡した。
 後は狩りの前に水を吸わせておいた米を飯盒で炊きながら、出来上がるのを待つばかりだ。

「むぅ、ドロドロになっちゃったよ。あ、プリセラちゃん達も一緒にシャワー浴びよう?」
 その間に、千佳はプリセラとレイチェルを誘ってシャワー室へ。
 しかし、そこでも一騒動起きるのはお約束。
「千佳ちゃん、抑えててなの〜! 仕返しなのーっ!!」
 二人がかりでレイチェルを押さえ付け、プリセラは持ち前の整体技術を駆使して『効く』場所を徹底的にグリグリと抉り押し込み刺激しまくる! ‥‥が。
「やぁん激しいー♪」
 レイチェルさん悦んでるし! やっぱり駄目じゃん!

 そしてお待ちかねのお食事タイム。
「わたくしは初めてですので‥‥その、食べてみても?」
 遠慮がちに訊ねた水晶石の前に、どかんと置かれた超メガ盛りの鰻重。
 お味の方は‥‥運動の後でしかも空腹だったせいか、意外に美味い、気がする。結構頑張ってる、かも。
 あくまでもキメラの割には、だが。
「にゃ! かばやき出来たなりか! にゃー! 食べるのらー♪」
「はい、リュウナ様♪ あ〜ん♪」
 少なくとも、龍牙が大事なリュウナに食べさせても大丈夫だと判断する程度には美味いらしい。
 メティスは、今度は肝吸いと一緒に舌鼓を打っている。
「シャワー室でまで体力消耗すると思わなかったよ‥‥こうなったら嫌って言うほど食べるよっ」
 ヤケクソ気味に食べまくる千佳は、プリセラとレイチェルの口にも問答無用で詰め込んでいった。
「もご、報酬を貰えて鰻も食べ放題なんて、最高なの〜」
 プリセラは上機嫌で、詰め込まれた鰻を頬張っている。
 依頼人は商魂逞しいと言うか、色々と間違っている気がするけれど、結果オーライ。とは言っても、多分売り物にはならないと思うけど。
「これだけいっぱいウナギを食べれば、きっとパワー全開だよね! 色んな意味で!」
 いや、レイチェルさんは、これ以上パワーアップしなくていいと思います‥‥どんな意味でも。