タイトル:あひるぱんちゅマスター:STANZA

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/10/08 01:26

●オープニング本文


 くぁっ! くぁっ!

 鳴いている。
 俺の股間が、鳴いている。
 何故か、アヒルの声で。

 下を見‥‥いや、メタボな腹が邪魔をして、そこは見えない。
 近くの姿見で確認すると、パンツ一枚で突っ立っている中年男が俺を見返して来た。
 そして、白いパンツの前には黄色いアヒルの嘴がくっついていた。
 そいつが鳴いているのだ。

 しかし、これは俺のパンツじゃない。
 俺はこんなものを好んで穿く様な痛い人ではない。
 しかし‥‥何だろう、このふんわりと包み込む様な、絶妙なホールド感。
 クセになりそうな心地良さだ。

 そう思った時、俺は何故か両腕をピンと伸ばして両脇に付け、直立不動の姿勢を取っていた。
 そして、腕と背筋を伸ばしたまま、腰が90度の角度に曲がる。
 くるり、横を向いた。
 鏡には後ろに突き出した尻が映る。
 そこには、某有名アヒルキャラの様なふさふさの尾羽が生え揃っていた。

 くぁっ! くぁっ! くぁっ!

 俺は歩き出した。
 腰を曲げ、尻を突き出した格好で、手首から先だけを短い翼の様にパタパタと動かしながら‥‥膝を曲げず、体を左右に揺らす形で。
 周囲を見ると、俺の他にも同じ格好をした男達がいた。

 ぞろぞろ、くぁっ、くぁっ!

 それはまるで、アヒルの行列。
 何処に行こうとしているのか、何をするつもりなのか‥‥全くわからない。
 わからないまま、俺の意識はそこで途切れた。
 そこから先の事は、記憶にない。


―――――


「‥‥という訳なんですよ!」
 とある町の、それなりに繁盛しているスーパー銭湯の前。
 そこには、経営者の男性が血相を変えて警察に事情を説明する姿があった。
「なるほど、男性用の館内着に何かおかしな物が紛れ込んでいた、と‥‥」
「そうなんですよ! 館内着にパンツ‥‥下着のパンツなんて、普通は付けないでしょう!?」
 言われてみれば、確かに普通は上着とズボンだけの組み合わせで、下着を着けずにそのまま着るのが一般的だろう。
「でしょ!? そこにパンツが付いてたら、何か変だと思いますよね、普通! 例え最初はごく普通のブリーフに見えたとしても!」
 そう、畳んで置かれている時はごく普通の白くて清潔そうなブリーフだったのだ。
 それが、穿いた途端に‥‥あひるぱんつに変わったと、目撃者はそう証言した。
「その、パンツを穿いちゃったウッカリな人達は、建物の中に閉じ込めてあります」
「それは、何と言うか‥‥賢明なご判断で」
 警察官の言葉に、経営者は鼻の穴を膨らませた。
「そうでしょう! だって、あれはどう考えても普通じゃありませんからね! キメラですよ、パンツ型キメラ!!」
 それを穿いて、くぁくぁぱたぱた歩く男達も、普通じゃない。
 パンツを穿いていても危険だ。色んな意味で。
「それで、被害に遭ったのは男性だけなんですね?」
「はい、残念な‥‥ぁ、いや、幸いな、事に」
 思わず本音が漏れそうになった経営者は、慌てて言い直した。
「そして、彼等は今‥‥この館内にいる、と」
「そうです」
「中の様子はわかりますか?」
「館内着で歩ける場所には監視カメラが付いていますが‥‥浴室内は、ちょっと」
「今、何をしているかは‥‥」
「歩いてます、くぁくぁと」
「それだけ、ですか?」
 困惑した様な警察官の問いに、経営者は意味もなく厳かに頷き返した。

 とにかく‥‥これは多分、ULTの管轄だ。
 目的はわからないが、こんなアホな事をやらかすのはバグアしかいない。
 勝手にそう決め込んだ警察から、ULT本部に連絡が入った。

「至急、あひるぱんつの排除、及び被害者の保護を!」

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
柚紀 美音(gb8029
16歳・♀・SN
ルディ・ローラン(gc6655
10歳・♂・HA
ビリティス・カニンガム(gc6900
10歳・♀・AA
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST
一条 薫(gc7932
21歳・♂・DG

●リプレイ本文

「あひるがモドキがいっぱい‥‥」
 ロビーに足を踏み入れた柚紀 美音(gb8029)は、暫し呆然とその光景を見つめていた。
「相変わらずこの手のは何を考えて作ったのか悩みますわね」
 その隣で、大鳥居・麗華(gb0839)は謎すぎるキメラに呆れ果てた様子で首を振る。
 その二人と共に参戦した伊万里 冬無(ga8209)は楽しげに目を輝かせ、指をワキワキと動かしていた。
「此れはまた楽しそうなキメラです♪」
「バグアって偶にこういうおふざけをしてくれるわよねぇ」
 雁久良 霧依(gc7839)が頷き、一言。
「このセンスは人類も見習うべきかもね」
「えー?」
 ぴらっ。そこら辺に余っていたらしいパンツを指先で摘み上げ、ルディ・ローラン(gc6655)が抗議の声を上げた。
「取り敢えずさー。何でもいーけどブリーフはないよね」
 そこか。異議を唱えるのはそこなのか少年。
「だって僕、トランクス派だもん。ていうかこのパンツ、誰か持ち込んだのかな‥‥それとも自然発生?」
 あひる歩きで誰か持ってきたというのもアレだが、自然発生もイヤすぎる。
「どーでもいいから、さっさとやっつけちまおうぜ」
 片手に盾を持ち、空いた手でタオルをぶんぶん回しながら、ビリティス・カニンガム(gc6900)が言った。
 因みにこの盾、自分の身を守る為のものではない。脱がせる相手の行動を抑え、絶対に怪我などさせない様にと用意したものだ。抵抗されてもみ合いになり転倒でもされたら大変だ。いくら能力三倍でもそれは痛かろう。
「でも全ての能力が三倍か‥‥試してみてぇな」
 仕事が片付いたら穿いてみようか。意識を保ったままで能力が三倍になるなら、すごい能力アップアイテムになるに違いない‥‥見た目さえ気にしなければ。
「赤くないのに‥‥三倍‥‥なのか?」
 西島 百白(ga2123)が、ぽつり。赤ければ良いのだろうか、見た目がアレでも。いや、多分そういう意味じゃないと思うけど。
「‥‥面倒だな‥‥このキメラ‥‥」
 思わず深い溜息が漏れる。
 そこに別の誰かの溜息が重なった。
「はあ、やっぱ来ないほうがよかったか‥‥?」
 隅っこでぶつぶつ呟いているのは、一条 薫(gc7932)。今回の任務、受けたは良いが‥‥いざ現場に来てみると、どうにも気が乗らない。と言うか、どんどん気力が萎えてくる気がする。
 アレか。アレのせいか。くぁくぁ歩き回るアレは、見た者の気力を萎えさせるのか。だとしたら、恐ろしい兵器だが‥‥女性やお子様達がヤル気満々な所を見ると、どうもそうではないらしい。
 受ける依頼、間違えたか。

「準備おっけー。じゃ、始めよーか」
 さて、ルディの掛け声で作戦開始。まずはロビーをウロつくアヒル達から子守唄で眠らせ‥‥眠って、くれない。
「‥‥面倒な」
 ぼそ。百白が呟く。
「‥‥面倒は‥‥嫌いなんだが‥‥仕方ないか」
 そもそも、銭湯に浸かりたいが為にこの仕事を受けたのだ。これを片付けない限り、風呂には入れない。風呂上がりの牛乳もお預けだ。
「ガウ!」
 百白は手近なアヒルもどきにタックルをかます。
「くぁっ!」
 しかし怪我をさせてはいけないと加減をしすぎたのか、アヒルは華麗な体裁きでひらりとかわし、逃げていく。
「‥‥逃がすか!」
 どかーん! 今度は手加減を加減して、飛びかかる。組み伏せ、動きを止め‥‥パンツに手をかけた。
「くぁっ! くぁくぁくぁっ」
 抵抗している。腰を突き上げ、クチバシを激しく振りながら。じたばた、ぶんぶん。
 しかし抵抗も虚しく、パンツは一気にズリ下げられる!
「はいっ」
 ルディがタイミング良く差し出した袋に突っ込まれると、パンツは大人しくなった‥‥が、男はまだ暴れている。
「うわあぁぁっ!?」
 どうやら正気に戻った様だが、今度は自分が男に組み伏せられている――しかも全裸で、という異常事態にパニックを起こした様だ。
「‥‥見せては‥‥いけない‥‥な」
「はいはい、おやすみなさーい」
 百白が危険物をタオルで隠した所で、ルディが子守唄を歌って落ち着かせる‥‥と言うか、とりあえず寝かせて転がしておく。
 続いて薫が、危険を感じて逃げようとしたアヒルに足払いをかけ、床に転がした。抵抗される前に素早く馬乗りになり、仰向けに引っ繰り返った相手の両腕を床に押さえ付ける。
 どうも、端から見ると何ともアレな格好だが‥‥別に襲ってる訳じゃないんだ、うん。
「早く、誰かパンツを!」
 仲間に手助けを頼んだ、その時。
「くぁ‥‥ん(はぁと」
 組み敷いた男の股間から、妙に熱っぽい声が聞こえた。見ると、白いパンツがほんのりピンクに染まっている。このパンツ、いや、体の持ち主の方かもしれないが‥‥もしかして、そっちの趣味‥‥なのか?
 ぞわわわーっ。薫の全身を鳥肌が駆け抜けた。これが、そのケのない男でも思わずその気になっちゃう様な美少年とか男の娘とか、そんな相手ならまだしも。今自分の体の下で腰をクネらせているのは、その対極に位置する様なオッサンだ。
 動揺のせいか、腕を押さえ付けた薫の手が緩む。と、オッサンはその機を逃さず、剛毛の生い茂った逞しい腕を薫の首に回して絡みついてきた!
「――っ!!?」
 声にならない悲鳴を上げ、バネ仕掛けの如く飛び退く薫! 逃がすものかと追いすがるオッサン! しかし!
「おっさん、大人しくしてねーとケガするぜ?」
 がいーん! オッサンは割って入ったビリティスが突き出したライオットシールドにぶち当たった!
「ん? おい、どうしたおっさん?」
 オッサンは何故か額にコブを作って床に伸びている。おかしい、ただ抑えるつもりだったのに。
 しかし浴場のタイルと違いロビーの床は板張りで、分厚いカーペットも敷いてある。転んで頭を打ったとしても大した怪我にはならないだろう。おでこのコブは目立つが、後で治療すれば問題はなさそうだった。
 それよりも、怪我の功名‥‥オッサンがノビている今がチャンスだ!
「そぉーれ!」
 剥ぎ役の冬無が嬉々としてパンツを引きずり下ろすと、ビリティスは露わになった『見てはいけないモノ』に素早くタオルを掛ける。
「キノコ隠しの女、ビリティス・カニンガム! 参る!」
 自身はそんなモノどーってことないのだが、ここは素早く視界から消さないと色々と拙い事になるらしいから。
(ビリたん、なんてカッコ可愛いのっ)
 そんな霧依のアツい眼差しを受けつつ、後は用意した普通のトランクスを穿かせて、一丁上がり。タイミング良く目を覚ました彼に、ビリティスはイイ笑顔で嘘八百を並べ立てた。
「‥‥ああこれ? 新種のアトラクションさ。運がいいぜおっさん、アトラクションの試遊会に居合わせるなんてさ。隅で見学しててくれな?」
 うん、問題なし。

 そしてロビーのアヒルを片付け、戦場はいよいよ欲じょ‥‥いや浴場へ。
「‥‥姉ちゃんたち、なんて格好してんだよ」
 下着姿の女性陣に、ルディは呆れ顔。彼にとっては濡れるとちょっと危険な麗華の黒レースも、露出度がやたらと高い冬無の勝負下着も、オバチャンのズロースと一括りの「ただの下着」にしか見えないらしい。
「服が濡れるのも嫌ですし仕方ありませんが‥‥男性陣は見ないように!」
 でもルディは別。見ても良い。ってゆーか、見て?
 ‥‥と言っても見てくれないので、仕方なく(?)作戦開始。まずは大浴場でのんびり泳ぐアヒル達から。傭兵達は二手に分かれ、逃げ道を塞ぐ様にそろりと近付いて行く。
「くぁっ!」
 一羽(?)が異変に気付くと、アヒル達は盛大な飛沫を上げて一斉に立ち上がった。湯の深さは膝上程度だが、水の抵抗もあって素早い動きは出来ない。もたもた、ばしゃばしゃ‥‥一網打尽のチャンス。
 浴槽を包囲しようと駆け出した傭兵達。しかし――
「ガウ!?」
 つるん、ごーん! 石鹸を踏んだ百白が、勢い良くすっ転んだ!
「くぁっくぁっくぁっ!」
 アヒルが笑っている。今時、固形石鹸を置いておくスーパー銭湯はないから、これはきっと彼等が仕掛けた罠だ。
 頭の上でお星様を回している百白をその場に残し、仲間達は足下に注意しながらアヒルに近付いて行った。
「さあ、楽しい狩りの時間です♪」
 冬無が背中から飛び付き羽交い締めにすると、アヒル男は湯を蹴散らしながら足をバタつかせて必死の抵抗を試みる。
「あはははっ♪ 抵抗されると燃えてきますです♪」
 冬無は腕に力を込め、片足を相手の足に絡めて動きを封じた。しかし、後ろから押さえた場合‥‥必然的に剥ぎ役は前に回る事に。
「ともかく前から剥ぐのだけはやめたいですわね‥‥」
 もう二度と。思いっきり前からズリ下ろし、暫しの硬直から復帰した麗華が口直しならぬ目直しの為にルディをガン見しながら溜息。
 そしてフォロー役の美音は顔を真っ赤にしながら頑張っていた。タオルは見ないと上手く巻けない。でも、見たくない。結果‥‥
「美音、見てないですから! 見て‥‥いやー!」
 ぽろり。ちゃんと隠したつもりが、なんかハミ出てる。その上から更にタオルを巻き付け、オムツ状態に。しかし男は自身が置かれた状況とその哀れな姿を把握する間も与えられず、ルディの子守唄で眠らされた。
「寝てるこの方は、端っこによせておきましょう」
 起きたらきっとパニックになるだろうけど‥‥その時はその時、で。
 そして霧依はビリティスの白ビキニに心を持って行かれつつも、仕事はきちんとこなしていた。マイクロビキニに白衣という組み合わせは、成人男性の動きを止めるには絶大な効果を発揮するらしい。硬直した標的に真っ正面から近付き、優しく抱き留めて‥‥その正気を奪い去る。いや、元々ない気もするけど。
 虜にされた男は脱がされた事にも気付かない。その隙にタオルを巻き、新しいパンツを穿かせ‥‥
「もう大丈夫よ‥‥」
 相手の顔を自慢のたわわな果実の間に挟む様に抱き、頭を撫でながら囁く。
「さあ、向こうで待ってて‥‥。大人しくしてたら、またぎゅってしてあげるから‥‥ね?」
「くぁ‥‥」
 パンツの名残か、男は一声鳴くと素直に浴場から出て行く。しかし、そこで待っていたのは。
「‥‥邪魔だ‥‥服着て‥‥早く行け‥‥」
 痛む後頭部をさすりながら睨みをきかせる百白の姿だったそうな。

 やがてアヒル達の残りも少なくなって来た頃。
「あれ‥‥? なんか、あひるパンツが可愛く思えてきたような‥‥」
 アヒルに洗脳されたのか、美音はあひるぱんちゅが何だか可愛く見えてきた。しかし、今はまだ仕事中だ。最後の一匹が‥‥
「いました、サウナの中に!」
 ぐったりと伸びたアヒル男を、薫と冬無が引っ張って来た。とりあえず水風呂の水をぶっかけ、薫が何故か持参していた水筒の水を飲ませてやる。
 良かった、使わないだろうと思っていたアーミーナイフとスコーピオンはやっぱり使わなかったけど、何となく持ってきた水筒はちゃんと役に立った!
 しかし、このパンツ。穿いたらどうなるんだろう。能力者でも同じ様になってしまうのだろうか。試してみたい。確か、まだ誰も穿いてないパンツがあった筈だ‥‥
 好奇心に駆られた薫が己の欲求と戦っていた、その時。
「もぉ〜美音さんたら、駄目ですよ♪ 私だって我慢してますです」
 欲求に駆られたのは自分だけではなかったらしい。
「ちょ、美音!? 流石に履いたらダメですわよ!? ‥‥って、あっちはもう履いてますわ!?」
「あぁぁ、な、何て羨ましい事を――こほん♪」
 見ると、そこにはあひる幼女の姿が。
 勿論、霧依は見ていた。腰にタオルを巻いてビキニの下を脱ぐ所から、あひるぱんちゅを穿く所まで、その一部始終を‥‥余す所なく、涎を垂らしながら。
 見ていたなら止めろ? 誰がそんな勿体ない事を!
 止めるのは穿いた後。これは幼女のパンツを合法的に脱がすチャンスなのだ。
「くぁっ、くぁっ」
 何もかも忘れてアヒルになりきったビリティスの可愛らしさに悶絶する霧依。暫しそれを堪能すると、咆吼と共に真っ正面から飛び掛かる! 抵抗されても反撃を喰らっても、ひたすら突っ込む!
 最初はその様子を呆然と見ていた仲間達が加勢に入り、やがてバトルは何が何だかわからない混戦状態に。大人も子供もお姉さんも、皆でパンツに飛び掛かる。相手は同じ能力者、手加減は無用!
「でも女の子がブリーフってどーなの?」
 そして‥‥脱がせる前からボロボロになったパンツを摘み上げ、ルディが一言。って、そこか少年。
 最後に狩り取ったパンツを皆で寄ってたかって切り刻んだり銃で吹き飛ばしたり‥‥で、一件落着。
「はい‥‥大丈夫ですよ。何も起きてないです」
 美音は目を覚まし再びパニックに陥った男達の顔をふくよかな胸に押し付け、もふもふぱふぱふ。
「‥‥雄叫び‥‥上げる気力すら‥‥無いな」
 その姿を視界の片隅に捉え、百白は力なく呟く。‥‥早く風呂に入りたい。


 そして‥‥
「あら、ルディは女湯の方がよかったですかしら?」
 今にもポロリしそうな危ない水着を着た麗華がにこり。
「えー、僕女湯行かないよー」
「では、混浴がいいですね♪」
 がしっ。青のフリルビキニを着た美音が右腕を、Tバックのローライズビキニ姿の冬無が左腕を抱え、いざ混浴に。因みに、麗華と美音の分を用意したのは冬無である事を付け加えておく――自分で選んだ訳では、ないのだ。
 そしてビキニのお姉さん達に囲まれたルディは、膝に乗せられたりぎゅうぎゅうされたり、弄られ放題。
「〜♪ ああ、私はとっても今幸せですわ〜♪」
「麗華さんはショタ好きですから♪ うふふ、可愛い反応です♪」
 つんつんぷにぷに、冬無は麗華の膝に乗ったルディのほっぺを突っついてみる。
「おねえさんが体洗ってあげようか‥‥」
 美音が下心満載の笑顔でスポンジを持った手をそきそき。
 しかし、その方面ではまだまだお子様のルディは、構って貰う事を素直に楽しんでいた。ぽろり寸前の麗華の胸に顔を挟まれて、うふふあはは‥‥
「おや。薫さん、真っ赤になって如何しましたですか♪」
 時折、冬無は隅っこの方でモジモジしている薫に浮気してみたり。ちょっと悩殺ポーズなんか決めてみようか。
 途端‥‥ざぶんと水音が。女子の視線に耐えかねた薫が湯船に飛び込んだのだ。
「あ、あんまり見ないでくださいよ!」
 お湯から顔だけ出しているが、入ったばかりなのに既に茹で蛸。
 その脇では霧依が至福の時を過ごしていた。ビリティスに洗髪帽子を被せ、その金色の髪を念入りに洗う。そして体も‥‥水着着用なのは残念だが、贅沢は言うまい。

 そして、楽しげに賑わう混浴の隣では。
「‥‥ふう」
 硬派な百白が、一人男湯に浸かっていた。周りには誰も居ない。貸切だ。
「いろんな意味で‥‥疲れた‥‥」
 湯上がりには腰に手を当て、牛乳を一気飲み。
 けれど、混浴からはまだ誰も出て来ない。遠くから笑い声が響いて来る。
 広いロビーも暫くは貸切‥‥だね、きっと。