タイトル:【HD】函館航空戦マスター:加藤しょこら

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/10/23 01:19

●オープニング本文


●読み
「驚いたな、想像以上に消耗しているのだな‥‥」
 電撃的な攻撃を受け、函館が陥落させられたのが2007年12月初頭。
 それから現在まで石狩平野、下北半島、津軽半島にヘルメットワームによる強襲が繰り返されている。
 だが、その内容は大きく変化している。
「間違いありません」
 副官が提示した資料には、今年1月以降のヘルメットワームの来襲回数と、1回当たりの編隊機数が記されている。
 数値変化が大きい部分がマーカーで色づけられ、強調されている。
 夏季には傭兵による反撃が積極的に行われた。合計にすると相当数を撃墜した事が記録でわかる。
 そして、それ以降、ヘルメットワームが来襲する回数が減少した事は損害を受けた機体が補充されていない可能性を示していた。
 それを裏付けるようにヘルメットワーム来襲の減少分を埋め合わせるように旭川方面からの飛行キメラ、ハーピーの来襲が少しずつ増加している。
「函館の現在の配備数‥‥試算では30機程度だと思われます」
 8月にミグ25偵察中隊が三沢に配備された。以来、中隊によって撮影された多数の画像はバグアの展開兵力の変化を克明に捉えていた。

●若者たち
 三沢基地バンカーに30機のF−15が翼を連ねている。
 パイロットは選抜された16〜18歳までの少年飛行兵だ。
 彼等・彼女らはただ純粋に人類存亡の危機に己が信念と技量、仲間達を信じて戦っている。
「あの機体凄かったな‥‥」
 奥尻攻撃に向かった能力者の機体は少年・少女達の目にするところだった。
「攻撃目標は函館」
 今回の作戦司令長官の大西少将から送られてきた指令を植村大尉がゆっくりと読み上げる。
 函館はバグア軍により基地化されており、海と空の重大な脅威となっている。
 旧函館空港を昼間強襲し、迎撃に上がってきたヘルメットワームを撃滅することで航空優勢を確保することがこの作戦の主目的だ。
「北部戦線の帰趨はまさにこの一戦にある。諸君らには精神主義の高調による一層の奮励を望む」
 植村はそう締めくくると、目を瞑った。彼にとって函館は忘れられ無い思い出の土地だった。

●根回し
「‥‥これっぽっちの戦力で敵基地に強襲だって? ここの偉い人は人の命なんてなんとも思ってないんじゃないかい?」
 機械部品の輸送業務で三沢に来ていたドロナワ・マレーは感じたままを植村にぶつける。
「いや、俺もいったい何が起こっているのか分からんのだが、民間の有志が傭兵を手配しているんだ。しかも少将にKVの使用許可まで取ってな‥‥」

●参加者一覧

綿貫 衛司(ga0056
30歳・♂・AA
ジュエル・ヴァレンタイン(ga1634
28歳・♂・GD
セラ・インフィールド(ga1889
23歳・♂・AA
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
ヴァシュカ(ga7064
20歳・♀・EL
風羽・シン(ga8190
28歳・♂・PN
斑鳩・八雲(ga8672
19歳・♂・AA
紫藤 文(ga9763
30歳・♂・JG

●リプレイ本文

●海峡を越えて
 午前の陽光が右手から差し込む。その輝きに紫藤 文(ga9763)は目を細め、素早く計器に目を走らせる。
「絶対に生きて帰る事、それだけは見失わないようにな」
「ああ、分かってる。帰ったら、みんなで一緒にうまい酒‥‥じゃないな、メシでも食おう」
 文の言葉に植村は一拍おいて応える。その声はどこかぎこちない。
「レーダー異常なしです。不意打ちの心配はないと思います」
 セラ・インフィールド(ga1889)はそう言うとレーダパネルの2点を確認するように指差して撫でる。
 画面には先行組の6機と後続のF−15改、そして岩龍のを表す符号が鮮明に表示されている。
 セラが視線を外に移すと、空の半分は薄い鱗雲に覆われ、その下方には海に突き出した大間崎の先端が見える。
 函館上空まで30km余である。

 同じ頃、先行する6機は目標上空の手前10km付近を飛行中である。
 左手前方には函館山の輪郭がはっきりと見える。間もなく目標だ。
「この辺りは懐かしいねえ。初めてのKV実戦はツガル海峡だったんだよな」
 ジュエル・ヴァレンタイン(ga1634)は記憶の中の思い出を紐解く。地上からの砲撃は未だ無い。静かな空だった。
(「‥‥分からんな、確かに好機には違いなかろうが)」
 風羽・シン(ga8190)は不審に思っていた。ナイトフォーゲル(KV)は民間人が出動を依頼する事は基本的に出来ないはずだから。
(「だからって熨斗紙よろしくKV付けて傭兵を送り込める有志って、どこのどいつよ?」)
 今回の作戦のスポンサーは石狩鉱山開発(株)。北海道の海運、鉄道、鉱山経営を軸に北海道の主要産業を傘下に収める企業である。
「前方10kmにヘルメットワーム×8。来たわね。‥‥んじゃまぁひとつ、ドーンっといってみましょか!」
 ヴァシュカ(ga7064)の言葉を契機に威龍(ga3859)が操縦桿を引くと機体は緩やかに上昇しながら左旋回に入る。
 一行は僚機を確認しながら戦闘態勢に入る。
「さて、俺たちが一機でも多くのHWを落とす事が出来れば、後に続く者たちがそれだけ楽が出来るからな。今日はせいぜい頑張らせて貰うぜ」
 威龍は言う。空の半分を覆う雲をバックに8機のヘルメットワームが4機ずつの二群に分かれるのが見えた。
「さて、僕らとのダンスに付き合っていただきましょう」
 斑鳩・八雲(ga8672)が軽口を叩いた刹那、全速力で距離を詰めてきたヘルメットワームが吼えた。

●見えていた攻撃
 一瞬の出来事に綿貫 衛司(ga0056)が乗る雷電にまず2発、直後に2発、合計4発の光線が命中した。
『ポーン、ポーン』
 被弾のアラームがけたたましく鳴り響いた。ヘルメットワームは通り過ぎると、すぐさま上昇しほぼ直角に急旋回を切る。
(「手強いな」)
 衛司は思う。剥がれた装甲が脱落する。攻撃の予測はできていた。だが、何故か対応する余裕が無かった。
 冷静にダメージを確認すると10%程度の装甲が破壊されていた。
「こちらウィンドフェザー、敵の動き‥‥なんか、俺たちの動きに似ていないか?」
 シンは背後を取られまいと螺旋上昇の動きをとる、被弾を重ねた機体から装甲の残骸が脱落してゆく。
「どこからみても、フィンガーフォー‥‥シュヴァルム戦法だな」
 衛司は高初速滑腔砲をヘルメットワームに向けて放ち、続けての攻撃を繰り出そうとしながら言った。
 シュヴァルム戦法と呼ばれる空中戦の技法は2機+2機2つの組(ロッテ)が相互に支援し合う事で敵機を撃破する事を目指す戦闘技法。一般的に最も効率の良い対戦闘機戦法であると言われている。
 だがKV戦においてはロッテ戦術の有効性については疑問視されている。
 KVの特徴は能力者のAI制御による並外れた機動性だ。
 制御の及ばない『僚機』との連携や異なる機体間の運動性能の差異はKVが本来の持つ機動性の足枷になる場合もある。
 対して、同機種を揃え機体相互のコントロールも比較的容易なバグア軍にとって、この技法はリスクも無く費用を掛けずに自軍を強化できる都合の良いものだった。
 そんなややこしい事を誰かが考えようとした刹那、アンジェリカから放たれた光の筋がヘルメットワームに命中した。
 追う者から追われる者へ、ヘルメットワームの編隊は回避行動に入る。内1機は煙の筋を曳いている。
 ジュエルに威龍、ヴァシュカに八雲の4機が立ち直る猶予を与えまいと射撃を開始。
「‥‥分かってると思うけど、戦ってるのはキミらだけと思わないで。周りの皆を信じてね」
 無線からヴァシュカの声が聞こえた。仲間達だけではなく戦闘機乗りの少年・少女達にも向けられたものだ。
 被弾しながらも衛司の滑空砲を耐えた敵が、再び攻撃を繰り出そうとくるりと向き直る。
 刹那、爆発。八雲の放ったミサイルが命中し敵は大きく弾き飛ばされた。
「曲がりなりにもバグアの拠点、油断召されぬように」
「にがさねぇよ」
 射程外に逃れようとするヘルメットワームにジュエルの放った弾丸が命中する。
 装甲に穴が開き、煙を吐き出しながら大きく左右に揺れ、動きの精細を失う。
 直後、威龍の繰り出すレーザーがそれを捉えた。爆発、煙の筋を曳いて海へ向かって墜ちてゆく。撃墜1機目。
 防御的な分離行動の取決めには不安を抱えていたが、傭兵達は押し気味に空戦を展開する。
『ポーン、ポーン』
 新たな敵機出現のアラーム。撃破されたヘルメットワームはすぐに補充された。
「空港からですね!」
 素早い敵の対応にセラが呆れたように言う。
 その声に疑いを挟むことなく反射的に操縦桿を捻る衛司。戦いは始まったばかりだ。

●函館上空戦
 敵機とすれ違った瞬間にループを打つウーフ。2機のヘルメットワームは後ろを取られまいとくるりと回転する。
「このウーフー、多少の攻撃なら十分に耐えれる位には強化済みだしな。食らった分、お返しを受けて貰うぜ」
 だが、威龍の放ったレーザーがそれを捉える。命中した光の筋は着実なダメージを刻んだ。
 6機と8機、14機が入り乱れてのドッグファイト。
 ジュエルが狙いを定めて弾丸を放つと、間髪を入れずに八雲も無数の弾丸を放つ。
 サッチウェーブだ。交互に繰り出される集中攻撃に、防御限界を上回るダメージ受けたヘルメットワームは大爆発を起こす。
 積極的に動くヘルメットワームの捕捉は難しかったが、一行の攻撃は順調にダメージを与え、時に集中打を交え着実にスコアを伸ばす。戦いの中、次第に洗練されていく能力者達の精神が敵を凌駕しているのだろうか?
 そんなタイミングで到着した20機のF−15改は、5つの小隊に別れ函館の空を乱舞し始める。
(「若年パイロットまで使って攻勢とはな‥‥何処もジリ貧なのか、それとも熟練を出し渋ったのか」)
 連続した攻撃を加えながら衛司は思う。だが果敢に敵に向かう彼等・彼女らの姿は国民国家・人類存亡の危機に立ち向かう戦士のであった。
「こちらSid。落ち着いていけよ、志を持った精鋭部隊だってバグアに教えてやれ」
 合流を果たしたF−15改の編隊。無線から文の檄が飛ぶ。函館の空は人類が取り戻したかのように見えた。
 一方、ロケット弾で爆装した別働隊、10機のF−15改は高度を下げながら5つの編隊に分かれ対地攻撃の態勢に入る。
「ある意味、オレらだってあんたらと大差ないと思うんで、頼りにさせてもらうぜ」
(「考えて見りゃオレらだってまだKVに乗って一年ちょっとだ」)
 そんな事を思ってジュエルは言う。
 爆撃隊は上空を傭兵達、そして仲間の戦闘機に護られながらロケット弾を発射した。
「成功させて、みんなで帰ろうな!」
 植村が力強く応えた。先導から上空での支援へ移行‥‥、一瞬の隙を見せた岩龍に左右から合計4筋の光線が直撃した。
 融解した装甲が木の葉のように飛び散り、急激に高度を下げてゆく岩龍。
 コックピットの警告灯が真っ赤に点灯した重大な損傷を示すアラームが鳴り響く。
 爆撃の火炎が地表を舐め、煙が拡がった。刹那、煙に覆われた地上から空に向けての砲撃が始まった。
 空に向けられた凶弾が弾け大気を揺さぶる。その中を怯むことなく乱舞するF−15改は次々とロケット弾を放つ。
 煙に覆われた先、遠く視界の向こうに格納庫の一つが爆炎を上げて吹き飛ぶ様子が見えた。その炎の中から巨大なヘルメットワーム現れた。
「大型きたわよ〜!」
 ヴァシュカがいち早く声を上げると、ブースト空戦スタビライザーを発動させ、さらにSESエンハンサーの力を上乗せする。
「好き勝手暴れさせるわけにはいかないな」
 文がそう言うと、セラ、ジュエル、威龍、八雲もヴァシュカの後に続いてに大型ヘルメットワームへと攻撃を集束させる。
 攻撃がまさに当たろうとしたとき、大型ヘルメットワームは光を帯びた。
 一時的に高められた能力が、殺到した猛攻をを防ぎきった。
 僅かに八雲の繰り出した渾身の一撃とヴァシュカの放った攻撃が目に見えるダメージを刻んだに過ぎない。
「そ、そんな!」
 衝撃、荒く耳を打つ呼吸音と鼓動を感じながら八雲は叫ぶ。
『ははっ! かかったな!』
 無線への割り込み。敵のパイロットの嘲笑が響いた。
『ピィーー』
 ミサイルのロックオンアラートが鳴り響く。
 上空の8機のヘルメットワームから無数の小型ミサイルが放たれた。

●暴力の応酬
 暴力がより強大な暴力によって排除されるのは、歴史の銘だと言ったのは誰だったか?
 早期の決着を狙った能力者達の目論見は外され、戦闘は泥沼の様相を呈しはじめた。
 延々と終わりの見えない空中戦が続く。双方とも必殺の契機を逃し続けるなか、大型ヘルメットワームが繰り出す強力な光線は強大な装甲を誇るヴァシュカやジュエルの機体装甲をも確実に削りとる。
 剣の力を宿したセラのディスタンと八雲のディアブロは正に輝く剣となって函館の空を舞い、自らも傷つきながらも敵と翼を交わし続けた。
 破片をまき散らしながら落下してゆくヘルメットワーム。
 目標8機‥‥誰がそんな事を決めたのか?
 決死の覚悟で敵に挑むF−15改がまた煙の筋を曳きながら落ちてゆく。14機が墜とされていた。
 だが、激しい戦いはバグア側にも、拭っても消えない傷を刻みつけている。
「被害甚大! 撤退を!」
 衛司の要請が飛ぶ。瞬間、虹色を帯びた光線が彼の機体を包んだ。脱落し残り少なくなった装甲に撤退の決意が固まる。
「最後のチャンスかしらね」
 交錯したヴァシュカのレーザが大型のヘルメットワームに吸い込まれるように命中した。
 突如の閃光と、機体を通してすら感じる空気の振動。大型ヘルメットワームが火を噴いている。
「全機、離脱するぞ。後方警戒!」
 すでに装甲の殆どを失っている植村が信号弾を打ち上げた。撤退の号令だ。
「大尉、後ろにヘルメットワーム×4機!!」
 すぐに植村は右に左に相手の攻撃を交わしながら活路を探す。
 パシュッと軽い音ととも植村の頭上のキャノピーが真っ白に染まった。
 瞬間、白熱の地獄と化すコックピット‥‥ヴァシュカから貰った鈴蘭の押し花が燃え始め、全ての計器が砕けた。
 直後、ここまで無茶を重ね続けた植村の岩龍は遂に力尽き、炎の尾を引きながら南の方角に墜ちてゆく。
『先生!』『Teacher!』
 無線に植村を呼ぶ声が響く。
「めそめそするんじゃねぇ!」
 ジュエルが秘めた怒りを込めて煙幕弾を放つ。吹き出した煙は急速に広まってゆく。
 撤退命令、先導機の撃墜。誰が指揮をとるのか? 目まぐるしく変わる状況に対応しなければならない。
「俺がお前さん達に望む事はただひとつ――死に急ぐな。最後の最後まで生き足掻け」
 シンが呼びかける。そして、混迷の空を、少年兵の命を繋ぎとめる為の僅かな隙を探して足掻き続けた。
「六時方向に新手×2」
 刹那、白く輝く刃の翼を広げたヘルメットワームは、シンが操るディアブロを切り裂く。
「ソードウィングだ!」
 文がそう叫んだ時にはシンの機体は主翼の半分を失った、
 爆発。コンソールパネルが一斉に砕けた。激しいスパークが起こり炎が吹き出す。飛散した破片が腹部に突き刺さった。
 0.1秒にも満たない刹那、死神の刃を広げたヘルメットワームがスローモーションのように飛び去ってゆく。
「血がとまらねぇ。熱い‥‥機体が燃えているんだ。こんな終わり方‥‥ざまぁねぇな」
 熱を帯びた煙が辺りを包む、肺が焼けるように熱い。刹那、座席の周囲からガスが吹き出し風防が吹き飛ばされた。予備の消火装置が作動したのだ。奇跡は偶然ではなかった。万一の可能性にまで備えたクルメタルの技術者達の信念だ。
「Sid急げ! ここは俺たちだけでも抑えきれる!」
 衛司が敵の照準を逸らそうミサイルポッドを放つ。
「脱出に専念してください。貴方達の後ろは私が守ります」
 セラのいつもと変わらない声が聞こえる。だが、視界の端に左手から接近する敵の姿が掠めた。
 生き残っていた全てのF−15改は既に戦闘空域を逃れた。残るは殿となった傭兵達だけだ。
 二機のヘルメットワームがシンと文に止めを刺そうと忍び寄る。
「お悪戯はいけませんよ」
 直後、無数の傷が刻まれたアンジェリカが忍び寄る敵にレーザーを放ち、標的との間に割り込んだ。
「おっと、俺のことを忘れてもらっちゃ困るな」
 ジュエルもまた、ヘビーガトリング砲で弾丸をばらまきながら割り込んでくる。
 各々が自らの力を解放し、盾となり刃となった。
 こうして、態勢を立て直した文とシンは激戦区を後にする。
 八雲は背後を振り返りながら、再び距離を詰める敵機に気付く、反射的にバレル・ロールに入れた。
 刃の力の備えた八雲のディアブロが急激に反転するのと同時に全速で駆け抜けようとするヘルメットワームが接触した。
 直後、敵は2つに割れて爆発した。

 結果、9機のヘルメットワームを撃墜し、1機の大型ヘルメットワームを大破させた。
 しかし、14機のF−15改、1機の岩龍を失った。そしてパイロットの生死は定かではない。
 だが、間もなくして哨戒中の潜水艦が大間崎沖で漂流していた岩龍の残骸から、植村大尉を救助したという報告が入る。

 ヘルメットワームの新戦術に兵装転換。さらにはパイロットを投入してきた事は今後の作戦の実行を困難にする可能性が高かった。
 その事実は報告された。しかし、大西少将を始め司令部は作戦継続の姿勢を保ったままである。
 付けっぱなしにされたラジオから、正午のニュースに続いてUPC軍の定時放送が始まった。
 そして勇ましいマーチとともに脚色された戦果の報告が行われ、一連の作戦が初期目標を達成したと高らかに謳われていた。