タイトル:南部森林地帯防衛戦マスター:真太郎

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 1 人
リプレイ完成日時:
2008/07/12 07:24

●オープニング本文


「今回の依頼は軍からです」
 オペレーターは何時になく深刻な口調で話し始めた。
「現在、北アメリカ南部の森林地帯がじりじりとバグアの進行を受けています。軍も必死の反撃を試みていますが、戦線はじわじわと押し上げられているのが現状です。このままではバグア軍は森林地帯を抜け、都市部にまで進行してくる可能性がでてきました」
 オペレーターはモニターに地図を映し、軍の配置とバグアの予想進行ルートを浮かべる。
「そこで軍は新たな防衛ラインを作り、そこでどうにかバグアの進行を阻止するつもりです。そして、その防衛ラインをさらに強固なものにするため、能力者の力を借りたいとの事です」
 オペレーターは端末を操作し、モニターを防衛ラインの地図に切り替える。
「防衛ラインは横長に2列掘られた塹壕にW字になるよう交互に配置された5部隊で構成されています。皆さんにはその内の一部隊に混ざってもらう共に、他の部隊が突破されそうになった時には援護に向かう遊兵の役も担ってもらうことになります」
 モニター上の地図に2本のラインが引かれ、5つの光点が灯る。
 それぞれの光点の距離はおよそ50メートル程だろうか。
 塹壕の左右正面100メートルの森林は伐採され、見通しがきく様に整地されている。
「こちらの戦力は衛生兵や補給兵、通信兵なども含めた兵隊約120名。武器は回転式30mm機関砲や重機関銃、ロケットランチャーやグレネードランチャー、対戦車ライフル。それとM1戦車が1台です。戦車は通常弾、徹甲弾、榴弾が搭載されています。それらは各部隊からの要請で発射できます」
 モニター上に無骨なM1戦車と各種弾頭の性能が映し出される。
「敵の戦術は、まず飛行できる小型キメラが空襲、すぐ後に足の速い小型キメラが強襲、そして足の遅い小型キメラが多数浸透し、最後に中型キメラで蹂躙するのがセオリーらしいです」
 モニターのデジタルマップに仮想の戦闘シュミレーションが流れてゆく。
「敵戦力は今現在進行してきているモノに限ると小型キメラがおよそ70体、中型キメラが10体足らずといったところです。キメラの種類は飛行型は『蜂型』と『蝙蝠型』。小型で足の速いものは『狼型』と『ネズミ型』。足の遅い小型は『アリ型』、『ヤマアラシ型』。中型キメラは『熊型』、『カブト虫型』、『カマキリ型』、『亀型』と、様々な種類で構成されているようです」
 モニターに確認できた多数のキメラが順々に映されてゆく。
 そして一通りの説明を終えると、オペレーターは手元の端末から顔を上げ、まっすぐに傭兵達を見つめた。
「敵の数も多く、大変危険な任務となります。皆さん、心してかかって下さい」

●参加者一覧

鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
聖・真琴(ga1622
19歳・♀・GP
セラ・インフィールド(ga1889
23歳・♂・AA
新居・やすかず(ga1891
19歳・♂・JG
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
愛輝(ga3159
23歳・♂・PN
リュイン・グンベ(ga3871
23歳・♀・PN
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
九条院つばめ(ga6530
16歳・♀・AA
ゼシュト・ユラファス(ga8555
30歳・♂・DF

●リプレイ本文

 森に掘られた2列の塹壕で兵士達が銃器や弾薬を抱えながら忙しく戦闘準備をしている最中、ゼシュト・ユラファス(ga8555)はアルヴァイム(ga5051)と共に司令部を訪れた。
「初めまして、ここの戦闘指令を務めていますルイス少佐です。実はここの防衛ラインは急造なため十分な戦力が整っていないのが現状です。情けない話ですが、今の我々の戦力だけではおそらく支えきれないでしょう。支えるにはあなた達の力が不可欠です。どうかよろしくお願いします」
「任せてください。私達の力を存分にお貸ししましょう」
「必ずや勝利しよう‥‥約束だ」
「はい」
 ルイス少佐はゼシュトが差し出してきた手をシッカリと握り返し、3人は部隊の運用について協議を始めた。



「お〜い、2人ともちょっといいかな?」
 E部隊で戦闘準備をしていた聖・真琴(ga1622)と九条院つばめ(ga6530)の所に新居・やすかず(ga1891)が1人の兵士を連れてやってきた。
「あ〜〜! あの時の隊長さん!!」
 その兵士は以前3人が請け負った依頼で助けた兵士の1人で、偶然やすかずと同じ部隊になり、2人にも挨拶がしたいからと連れて来たのだ。
「久しぶりだな、おふたりさん。あの時はありがとうな。お陰であいつらはちゃんと家族のもとに返してやれたよ。家族達は‥‥喜んではいなかったが感謝はしてくれた。運んでくれた傭兵さんにもありがとうと伝えてくれってな」
「そうですか‥‥」
 つばめは少し複雑そうな顔をしながらも微笑む。
「‥‥また、誰かの亡骸を背負って帰るなんて、私はもう嫌です‥‥。皆さんも、どうかお気をつけて‥‥」
「あぁ、嬢ちゃんも気をつけろよ。俺も嬢ちゃん達の死に顔なんて見たくねぇからな」
「うん! 班は違うけど、今度は一緒に戦います。一緒に、アイツらを止めよう。宜しく♪」
「僕も一緒に戦います。がんばりましょう」
「あぁ、お互い生きて再会しようぜ」
 4人は笑顔で再会を誓い合うと、それぞれの部隊へ戻っていった。



 無数とも言える銃火器の砲身が突き出た塹壕に100以上の兵が息を潜めて前方の森を睨んでいた。
「来ました!! 飛行型キメラ多数接近」
 そんな最中、観測班の叫びが無線から響き、戦場の空気が一気に引き締まる。
「位置は!?」
「左翼です。敵は左翼を中心に展開しています!」
 観測班の報告を裏付けるように、A部隊の前方の森が俄かに騒がしくなる。
「迎撃準備!!」
 司令官の号令と共に、各部隊でガチャガチャと銃火器の安全装置が外され、弾薬がセットされる。
 そして遂に不気味な羽音を立てながら蝙蝠型と蜂型キメラが森を突き破って現れた。
 ガァン
 と甲高いを音を立てて、まずは一番射程の長い対戦車ライフルが火を噴く。
 続いて回転式30mm機関砲がモーター音を響かせながら猛烈な勢いで弾丸をばら撒いてゆき、ロケット弾が煙の尾を引いて空を飛ぶ。
 目の前が火薬の煙が霞む程の猛烈な火戦だが、フォースフィールドを持つキメラには十分なダメージは与えられず、キメラはどんどん塹壕に接近してくる。
 それを目にした兵士達の数人が少なからず動揺した。
 だがその時、ゼシュトのアラルトライフルの放った1発の弾丸がフォースフィールドを易々と貫き、蜂型キメラを撃ち落とす。
「総員、撃てっー!」
 ゼシュトの号令で鳴神 伊織(ga0421)、愛輝(ga3159)、リュイン・カミーユ(ga3871)、セラ・インフィールド(ga1889)が一斉に塹壕から顔を出し、それぞれの武器を発砲。次々と飛行型キメラを撃ち落してゆく。
「団体さんの御出座しですね」
「小物が多いとは言え、流石にキツそうです」
「飛んで火に入る‥‥何だか忘れたが、ソレだ!」
 そして傭兵達だけで瞬く間に全滅させたのだった。
「うぉぉおおおーーー!!」
 能力者達の力を目の当たりにした兵士達の士気はいやがおうにも高まり、塹壕内が一気に活気づく。
 しかし、飛行型キメラ後ろからは既にネズミ型と狼型が迫っていた。
 ドンッ
 と重低音を響かせながら、M1戦車が敵の動きに併せて榴弾を発射。
 無数の弾丸がキメラ達の中心で雨のように降り注ぐが、この攻撃でさえフォースフィールドに阻まれ、足止め程度にしかならない。
「野郎ども、ここでガッツリ食い止めるぞ!」
「おぉーー!!」
 リュインの鼓舞で士気のますます上がった兵達の手で再び弾幕の壁も作られるが、これも決定打に欠けるため、キメラはどんどん接近してくる。

 伊織と愛輝とリュインはキメラがある程度の距離まで接近すると武器をそれぞれ手に馴染んだ近接武器に持ち替え、塹壕を乗り越えて敵陣に向かって突撃を開始。
「貴方の相手をしている暇はありません、この一撃で逝きなさい」
 伊織はキメラ達の前に静かに立ち塞がると、右手に軽く握られていた月詠を目に留まらぬ動きで閃かせ、前と左右3匹のネズミ型の頭をほぼ同時に斬り飛ばした。
 辺りにはキメラから迸った血が飛び散るが、伊織には一滴たりともかからない。

「此処から先は通さない!」
 愛輝は走りながら胸の前で交差させていたディガイアを開くようにして目の前の狼型を切り裂き、さらに身体を回転させて右にいたネズミの頭を吹き飛ばし、そのままの勢いで左にいた狼の足も切り裂く。

 リュインはわざと敵の群れの中に飛び込み、常に移動しながらすれ違い様にキメラの足を鬼蛍で切り裂き、時に足に装着した刹那の爪で蹴り飛ばしながら敵中を駆け抜ける。
「むざむざと囲まれてやる気は無い」

 ゼシュト、セラ、やすかずもそれぞれの武器で狙撃して敵の数を減らし、兵達には傭兵の手の回らない箇所に弾幕を張って敵を喰い止めてもらっているが、既に後続のアリ型キメラの群れが森を抜け、塹壕に向かって迫ってきている。このままだと数で押し切られる可能性があった。

「王零さん、つばめちゃん。ちょっと行ってくるね♪」
 それを見て取った真琴がC部隊の援護に向かうべく、2人にウィンクしながら立ち上がる。
 瞳を金色に輝かせ、手の甲から肘にかけて真紅のトライバルが浮き出させながら『瞬天速』を発動。一気に敵中に突撃した。
「さぁ『ガチバトル』の始まりだぁ! 気合い入れていくよっ! Its a Showtime☆!」
 真琴は『瞬天速』の勢いを保ったまま、まず目の前にいたネズミに飛び蹴り。
 着地と同時に移動を開始。常に移動しながら目に付いたキメラの足をローキックでへし折り、時に踏み抜いて潰す。
 そうして主にキメラの機動力を削ぐ事に終始した。
「動きは止める! トドメは任せたよ♪」

 真琴の参戦により一旦は支え直した戦線だったが、アリ型キメラが多数浸透してきた事により再び押され始める。
 アリ1体1体は弱いものの、その数がハンパではない。
 M1戦車がアリに対しても榴弾を発射して喰い止めようとするものの、アリの進行範囲全てをカバーする事はできない。
 それに、アリに混ざって時々突き出てくる針山。ヤマアラシ型が意外と手ごわい。
 それでもA部隊は能力者が3人いる事もあり、戦線を支えつつキメラを駆逐する事ができている。
 しかしそのため、敵部隊がA部隊前面から徐々にC部隊の方へと流れていった。
 そしてC部隊は能力者がもともと2人と少なく、さらにリュインが塹壕を出て近接戦闘に移行しているため少し火戦が薄くなっていた。
 そのため、遂にC部隊の塹壕にネズミ型2匹の進入を許してしまう。
「助けてくれぇ〜!」
 ここまで接近されると有効な武器は重機関銃しかなく、それ以外の武器を持つ兵士は途端に恐慌状態に陥った。
「しまった!!」
 リュインは自分が前に出すぎていた事に気づき、すぐに踵を返してC部隊まで駆け戻る。
「くそっ!」
 セラも武器をレイピアに持ち替えると、すぐ近くの兵士に襲いかかろうとしていたネズミに突き立て、1匹仕留めた。
 もう1匹のネズミも、戻ってきたリュインが塹壕の上から跳躍、そのままの勢いで一気に切り裂き、何とか事なきを得る。
 この襲撃による混乱は時間にすれば僅かな間で、人的被害はほとんどなかったのだが、その間に敵部隊はC部隊のすぐ目の前にまで接近しつつあった。
 しかもアリの一部は塹壕の手前で足を止め、口から酸を吐く攻撃を始めた。
 この酸攻撃は塹壕に身を潜めている兵達にはほとんど当たらなかったのだが、唯1人、C部隊の回転式30mm機関砲の給弾手に運悪く命中。
「ぐわぁぁぁ!!」
 給弾手は焼け爛れた皮膚をおさえながら塹壕内を転げまわる。
 だが、そこに衛生兵として参加していた能力者の寿 源次(ga3427)が駆けつけ、すぐに『練成治療』で治療開始。
 本来なら重傷だっただろう給弾手の傷をたちまち癒した。
「自分がいる限り、重傷者は出させん」
 源次の能力と力強いセリフは怯みかけていたC部隊の兵士達の士気を持ち直させ、再び猛烈な火戦を形成させた。

「此処が山だ! 何としてでも持ち堪えろ! 全員で勝鬨をあげるんだ!」
 ゼシュトがアサルトライフルを左右に掃射して弾幕を張りながら、さらに全軍の士気を上げようと無線機を使って兵士達を鼓舞する。
 伊織と愛輝は敵部隊に左側から確実に敵を切り崩し、リュインは再び塹壕から飛び出すと、敵の前面に姿をさらし、兵士達の盾となって獅子奮迅の戦いを繰り広げる。
 やすかずはスナイパーライフルの射程を生かして酸攻撃を続けているアリを狙撃、1匹ずつ確実に倒して兵士達を援護。
 真琴はアルヴァイムの指示に従って敵中を駆け回りつつ敵の足止め及び分断を行い、孤立させたキメラはC、D、Eの部隊からの集中攻撃で確実に各個撃破させていた。

 そうして敵の数を確実に減らし、ようやく勝機が見え始めた頃、森から地響きを立てながら遂に中型キメラ群が姿を現した。
「‥‥ラストフェイズ! 征くぞ!」
「うぉぉおおおーーー!!」
 ゼシュトが最後の一押しとばかりに声を張り上げ、兵士達もそれに応える。

「あれらは我に任せろ。‥‥ここは頼むぞ」
 E部隊には敵が来ず、ずっと沈黙を保っていた漸 王零(ga2930)が遂に動いた。
 E部隊をつばめに任せ、自分は塹壕を乗り越えて全速力で前方に現れた亀型と蟷螂型の中型キメラへ突撃して行く。
「我が名は漸王零!! 万魂を断ち斬り葬る刃なりっ!! 貴様らに許されるは我が刃にて死ぬまで舞い狂う事のみと知れ!!」
 王零はまず先頭にいる亀型の首を狙って国士無双を斬りつけたが亀は首を引っ込めて防御。
 だが王零は亀の横に回り込むと月詠も使って手足を切断、まず亀の動きを止めた。
 しかし、その間に亀の後ろにいた蟷螂型が跳躍し、亀を飛び越えて一気にE部隊に向かって疾走する。
「しまった」
 王零は反射的に蟷螂の後を追おうとしたが、殺気を感じて左に跳躍。
 直後、王零が立っていた場所を2発の火球が通り過ぎてゆく。
 どうやら亀が火球を放ってきたらしく、口を大きく開けて王零に向けている。
 そして次弾を放つべき咽の奥に煌々と赤い光が灯ったが、それより先に王零の国士無双が今度こそ亀の首を斬り飛ばし、息の根を止めた。

 一方、蟷螂に襲来されたE部隊は、つばめを中心にして必死の防衛戦を行っていた。
「今まで兵隊さんたちが必死に守り抜いてきたこの防衛線、突破されるわけには行きません‥‥! 何としても、死守してみせます!」
 蟷螂に向かって全火力を集中させ、少しでも足を鈍らせながら自分もS−01を撃ち続ける。
 しかし、蟷螂は傷つきながらも速度を緩めずどんどん迫ってくる。
 ドォン
 M1戦車も要請に従って徹甲弾を発射。
 これにはさすがの蟷螂もぐらついたが、ダメージは外殻にヒビが入った程度だ。
 しかし、アルヴァイムにはそれで十分だった。
 SMGでヒビが入った箇所を中心にフルオートで狙撃。
 蟷螂は派手に体液を撒き散らしながらE部隊に到達する寸前で沈黙した。

 その頃左翼では伊織が1人で3匹の中型キメラ相手に戦っていた。
 一見すると絶体絶命の危機だが、伊織はまるで気負いのない自然な足取りで、目の前の熊型に無造作に接近。
 熊は後ろ足で立ち上がり、腕を大きく振りかぶって打ち下ろしてくるが、伊織はさらりと避けて左右の手に携えた月詠と蛇剋を一閃。
 熊の胸を十字に切り裂き、開いた胸に月詠を突き立てて心臓を貫き、息の根を止める。
 続いて左手側から蟷螂型が鎌を振るって攻撃してくるが、すかさず左手の蛇剋で防御。
 もう一方の鎌も振るわれてくるが、それは熊から引き抜いたばかりの月詠で鎌ごと斬り飛ばす。
 そして返す刀で蟷螂の首も斬り飛ばした。
 最後はカブトムシ型が酸を吐きながら体当たりをしてくるが、華麗な体捌きで避けながらカブトムシの右手に周り、左右の刀を閃かせて4本の足を斬り落とす。
 そうして動けなくしてから月詠で首を斬り落とし、トドメを刺した。

 C部隊の前方に現れたカブトムシ型はリュインが側面に回り込むと同時に刹那の爪で胴体を蹴り上げ、剥きだしになった柔らかい腹部を鬼蛍で斬り裂いて倒した。
「簡単に抜けると思ったら‥‥大間違いだ」

 熊型は愛輝が菖蒲を顔面に向かって投擲。
 菖蒲は顔に浅く傷をつけた程度だったが、その隙に懐に飛び込み、ディガイアで腹部と足を攻撃。
 動きが鈍った所でやすかずの援護射撃を受けながらヒットアンドアウェイを繰り返して倒す。

 もう一匹の熊型はまずセラにスコーピオンで気を引いてもらい、熊の気が完全に真琴から反れた隙に懐に飛び込み、身体をキメラに密着させた状態から足が地面に沈み込むほど踏み込み、その反作用で熊を突き飛ばす。
 さらにそのまま追従して跳躍。踵落としで打ち落として地面に這いつくばらさせると、その頭蓋骨を足で踏み抜いてトドメをさした。
 足の裏から骨の硬さと脳髄の柔らかさが伝わってくるが、その感触が覚醒中の真琴には心地よく感じられ、真琴に凄惨な笑みを浮かばせるのだった。
 
 こうして南部森林地帯防衛戦は、塹壕前に累々たるキメラの屍の山を築き、終了した。



 戦後処理の行われているB部隊の塹壕に真琴とつばめはアルヴァイムに淹れてもらったコーヒーを持って訪れた。
 目的はもちろん、戦闘前に交わした約束を果たすためだ。
「お疲れさま♪‥‥私達、お役に立てたかな?」
「あぁ、もちろんだ」
 真琴が笑顔で差し出したコーヒーを笑顔で受け取る隊長。
「みんな無事でなりよりでした」
 やすかずもつばめからコーヒーを受け取り、ほっと一息つく。
「怪我人も少なくてよかったです。‥‥この前の兵隊さんが私たちを護ってくれた‥‥なんて感想、子供じみてますかね?」
 他の兵士達にもコーヒーを配り終えたつばめが小さく苦笑する。
「いや、本当にそうかもしれないぜ」
「隊長さんって意外とロマンチストだね」
「そんなんじゃねぇよ。そう考えた方が、あいつらもうかばれるだろう‥‥」
 隊長は空を仰ぎ、皮肉気に笑うと、ほろ苦い味のするコーヒーに口をつけた。