タイトル:圧壊マスター:真太郎

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/01/04 00:01

●オープニング本文


 ロサンゼルス西海岸からさらに西方の沖合。
 その海域ではバグアの進攻に備えて高速巡視艇が常に航行し、監視と索敵を行っている。
 その日は天気も良く、波も穏やかで絶好の釣り日よりだったのだが、巡視艇の乗組員はただレーダーを見つめ、敵の接近の備える。それ以外の事は許されてはいない。
「ふあぁ〜〜‥‥」
 だが、人間はそんな単純作業を長時間続けていられる様には出来ていない。
 ずっとレーダーを見続けていれば目も疲れてくるし、あくびの一つだって出る。
 もし、このまま目を閉じて居眠りできたら、さぞかし至福の眠りが得られる事だろう。
 などという、つまらない事も考えてしまう。
 そんな何時も通りの退屈な任務をこなしていたレーダーマンだったが、次の瞬間、レーダー上に複数の反応が灯り、彼の目は一気に覚めた。
「レーダーに反応! 数は5。海中からです!」
 彼はレーダー上の情報を瞬時に読みとり、艦長に伝えた。
「敵の種別を確認する。アクティブソナーを打て」
「了解。アクティブソナー打ちます」
 巡視艇からカーンと甲高い音が海中に放たれ、新たな情報がレーダーに表示される。
「敵は海亀型のタートルワームが5体です。まっすぐにロスを目指して海中を航行しています」
「くそっ! タートルワームが相手では我艦の兵装ではまるで歯がたたん。至急ロス基地に傭兵部隊に出動を要請しろ」
「了解」
 艦長の指示を受けた通信士がすぐさまUPC太平洋軍ロサンゼルス基地に無線を飛ばす。
「艦長。俺を出撃させてくれ!」
 この巡視艇に乗船していた唯一の能力者であるエドワード・ルイスが艦長に進言する。
「だが、君一人で5体ものタートルワームの相手などできまい」
「俺のKVは最新型のビーストソウルだ! そう簡単にやられたりしないさ。それに、ロスは俺の生まれ故郷だ。このまま黙ってバグアに荒らされるのを見てはいられない!」
「‥‥分かった。だが、無茶はするなよ。本部から増援が来るまで敵の進攻を押し止めてくれるだけで十分だからな」
「了解だ、艦長」
 ルイスは艦長に親指を立てて笑うと艦橋から駆け足で出ていった。
「我が鑑はルイス機の援護だ! 少しでも敵の足を止めて時間を稼ぐぞ! アスロック準備! 魚雷、発射管開け〜!!」



 そして、高速巡視艇からの連絡を受けたロス基地からの要請を受けて出撃した傭兵達が現場に到着して見たものは、
 悠々と海中を進む4体の海亀型タートルワームと、
 血まみれになって動かなくなっている海亀型タートルワームが一体と、
 火を噴き、今にも沈没しそうな巡視艇と、アチコチに傷を負い、航行不能になって深海の海峡へと沈降している最中のルイスが乗るビーストソウルの姿だった

●参加者一覧

緑川 安則(ga0157
20歳・♂・JG
斑鳩・眩(ga1433
30歳・♀・PN
如月・由梨(ga1805
21歳・♀・AA
マートル・ヴァンテージ(ga3812
42歳・♀・FT
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
鈴葉・シロウ(ga4772
27歳・♂・BM
美海(ga7630
13歳・♀・HD
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD

●リプレイ本文

「今回は勇敢な英雄の救出だ。問題はかなりの打撃を受けていると情報がある以上、頑丈で最新鋭のビーストソウルでも限界深度以前で爆沈の危険性がある。そこで部隊を二つにわける。タートルワームを足止めする者、そして戦線を突破して機動性を生かしてルイス機を救出する者の2つだ」
 現場の海域に急行中に緑川 安則(ga0157)がメンバーに指示を与えてゆく。
 そして現場に海域に到着すると、すぐにエドワード・ルイスから通信が入ってきた。
『よう。やっと着てくれたんだな。待ちくたびれたぜ』
 深く静かに沈降を続ける傷ついたビーストソウルの中でルイスはどうにか機能しているデジタル通信端末を使い、駆けつけてくれた仲間達に海亀型タートルワームのデータを転送した。
『これが今の俺にできる精一杯だ。後は頼む』
「ゲシュペンストよりファングへ。データは受け取った。ディナーまでには連れて帰る。オヤツでも食って待っていろ」
『助けてくれるのか? 敵を食い止めるどころか足手まといになっちまったな。すまねぇ』
「5体1の状況で1体倒しただけでも十分なのであります。すぐに行きますので後少しだけ待っていて欲しいであります」
『あぁ、頼む』
  夜十字・信人(ga8235)や美海(ga7630)に励まされたためか、ルイスの声には安堵が含まれていた。
「艦長。無理をしない程度に、作戦海域の‥‥ソナー、熱源、何でも良い。索敵データをこちらにリアルタイムで転送して下さい」
『了か‥‥今‥‥す‥‥』
 夜十字が直上の海面にいる巡視艇に通信を送ると雑音の向こうから微かに返答がきた。
 そして海中のワームと機雷の配置情報が転送されてくる。
「艦長、感謝します」
 夜十字は受け取ったデータを自機の索敵データと照合、解析し、味方機へリアルタイムで転送。
 これで戦闘準備は整った。
「一刻を争う事態だからな。とっとと片付ける事にしようか」
 威龍(ga3859)が操縦桿を握る手に力を込めると、愛機のテンタクルスを前進させる。
 その左右に美海とマートル・ヴァンテージ(ga3812)のビーストソウルが並ぶ。
 先行する3機に遅れて緑川の雷電、斑鳩・眩(ga1433)のR−01改、夜十字のイビルアイズが続く。
 そして、その6機を囮にし、鈴葉・シロウ(ga4772)のKF−14と如月・由梨(ga1805)のビーストソウルがルイスを救出するため、タートルワームに気づかれぬよう密かに深海方向へ潜ってゆく。
 対するタートルワームはまったく動かず、こちらの動きを窺がっている様に見える。
 そして、前方で突如、薄暗い海中が眩しい程の光で照らしだされた。
 タートルワームのプロトン砲の攻撃が始まったのだ。
 海水を蒸発させ、海中を泡立たせながら飛来したプロトン砲は先行する3機のKVを直撃。激しく機体を揺さぶった。
「やってくれるねぇ〜。こっちも反撃だよ!」
 マーテルはビーストソウルの発射管にミサイルを装填して注水。タートルワームに向かって発射した。
 熱源感知型のホーミングミサイルは狙い違わずタートルワームを直撃する。
 しかし、タートルワームの分厚い装甲に阻まれ、あまりダメージを与えてはいない。
 威龍も同種のホーミングミサイルを放っていたが、こちらも同様だ。
「さぁ、鬼さんこちら手のなる方へ、だ」
 だが、今優先すべきはルイス機の救出に向かっているシロウと由梨から敵の目をこちらに向けさせる事だ。
 その意味では十分な効果を上げていた。
 3機はプロトン砲の奔流に晒され、機体に何度も直撃を受けながらもタートルワームに取り付くために直進を続けた。
 機体の各所では装甲の融解が起こり、コクピットに表示されている機体のステータス画面には各部の損傷を知らせるレッドランプが幾つも点灯する。
 だが、まだ航行不能になる様な致命的ダメージは負っていない。
 3機ともまだ十分戦えた。
 しかし不意に各機の戦術レーダーに無数の反応が現れる。
 それは前方の海中にまるで壁として立ちはだかる様に広がっていった。
「前方海域に機雷散布確認。一番接近しているのは威龍機。距離20m‥‥機雷だけに、帰来して頂きたいものだ」
「‥‥」
「‥‥」
「‥‥」
 夜十字が冗談まじりの軽口を叩くが誰もつっこんではくれなかった。
 その事にちょっとヘコみつつも、構築したレーダー網を使って機雷の散布状況を即座に把握し、その情報を各機に転送してゆく。
「邪魔だ!」
 威龍は送られてきたデータを頼りに機雷を狙ってガウスガンを発射。
 撃ち抜かれた機雷は周りの浮遊していた数発を巻き添えにしながら爆散していった。
「ガウスガン等で十分対処が可能な様だな。各機、弾幕を張って機雷を排除しろ」
 緑川は指示を飛ばしながら自身もスナイパーライフルで狙い撃ってゆく。
「いけっ!」
 斑鳩も機雷のど真ん中にホーミングミサイルを撃ち込み、その爆発で機雷群に大穴を開けた。
 海中に機雷による無数の爆発が起こり、薄暗い海中が何度も明滅を繰り返す。 
 だが機雷が排除された直後から再びプロトン砲が撃ち放たれてきた。
「うわっ!」
「ぐぅ!」
 プロトン砲の直撃を受けるマーテルと威龍。
 マーテルのビーストソウルは遂に装甲を貫通され、内部機構にまで浸水。自身もコクピットの計器が爆発した事で少し傷を負う。
 まだ航行や戦闘に支障はないが、やや危険な状況だ。
 威龍は前面の展開している水中用ディフェンダーのお陰で浸水はないものの、機体ダメージは既に7割を超えていた。
「ははっ。ちょっときつくなってきたかね。でもまだまだいけるさ。ルイスの奴も助けてないしね」
 マーテルは額から流れ落ちてきた血をペロリ舐めると不敵に笑う。 
「なんの! 勇敢な戦友の命を救う為だ。悪いがまだ付き合って貰うぞ」
 威龍も機体各部の損傷チェックを素早く終えると機雷群の穴にテンタクルスを突入させた。


 その頃、深海をブーストを駆使して進むシロウのKF−14と由梨のビーストソウルはタートルワームの真下を通過しようとしていた。
 頭上では何度もプロトン砲の光が走り、ミサイルや機雷が爆発する度に2人の機体をビリビリと振るわせる。
 その度に2人は仲間の安否が気になったが、今は仲間を信じて1秒でも早くルイスの元に辿り着く事が先決だ。
 そして2機は遂にタートルワームの下を潜り抜けた。
「よし! 抜けた!」
「大丈夫ですか! 応答してください!」
『大丈夫とは言い難いな。さっきから機体がミシミシ言ってやがるんだ』
 由梨がルイスに無線を飛ばすと少し気弱になったルイスの声が返ってきた。
『オマケにさっき水圧で外部カメラが壊れたらしくって何も見えねぇ。レーダーもとっくぶっ壊れてるんで、そっちの位置を確認できない。今どこまで来てくれてるんだ?』
「現在、距離50mの所まで来ています。こちらも全力で救いにいきますので。そちらも1mでも浮上して、1秒でも沈降を止めて、こちらの手を握り返せるように励んでください」
『‥‥分かった。操縦系統は全て死んでるっぽいが何とか足掻いてみる』
 シロウの声に勇気づけられたのか、ルイスの声に少し力が戻っている様に聞こえた。
 だがその直後、2人のコクピット内に警戒を知らせる赤ランプが明滅を始めた。
「鈴葉機、如月機。魚雷だ! 数は4、距離8m。なんとか振り切れ!」
 夜十字から戦術データが転送されてくる。
「どうやら気づかれてしまった様ですね」
「ここまで来といて今更沈められて堪りますかっての!」
 今回シロウはスピードを重視するため、KF−14の武装を殆どパージして来ている。
 もし集中攻撃などを受ければ自分までルイスの仲間入りを果たしかねない。
 シロウはKF−14を全速力まで加速させたが、それでも魚雷の方が早く振り切る事はできない。
「もう少し‥‥後ちょっと‥‥」
 シロウは魚雷をギリギリまで引き付け、そこで急制動をかけて避けようとしていた。
 しかし、その魚雷はKF−14の手前で弾け、大きくネットを広げながら覆いかぶさってきた。
「くそっ! 鋼線ネットかい!」
 咄嗟に回避行動に入ったシロウだが、もう間に合うタイミングではない。
 鋼線ネットがKF−14が絡みつき、その重みで機動力がガクンと落ちた。
「くっ!」
 シロウは操縦桿を動かしアイアンクローでネットを断ち切ろうとしたが、その前に2本目の魚雷が命中し、その衝撃でコクピット内がシェイクされる。
「うおぉ?」
 その際に頭が左右に振られて計器類にぶつけたが、毛皮のお陰でそれほど痛くはなかった。
「鈴葉さん!」
 由梨は自分に向かってきた鋼線ネットと魚雷を3機の高出力ブースターを駆使して避けると、シロウのKF−14に接近し、レーザークロウで絡んだネットを切断してゆく。
「大丈夫ですか?」
「はいな〜。い〜のを1発貰っちまって危うくパンチドランカーになりそうでしたが、俺ぁまだまだいけますぜぃ」
 外から見た限りではKF−14の損傷は軽微でシロウも元気そうなので由梨はほっと息をつく。
「ここは私が引き受けます。鈴葉さんはルイス機の救出に向かってください」
 由梨はこちらに向きを変え始めている1体のタートルワームに機首を向けながら言う。
「了解!」
 シロウはKF−14を一気に加速させ、ルイスの救出に向かった。
 そんなシロウに向かってタートルキメラは再び魚雷を発射したが、由梨はガウスガンで撃ち落とす。
「亀ごときに、邪魔はさせませんっ!」
 そしてこちらもホーミングミサイルを発射しつつ、一気に加速。
 タートルワームに懐に入ったところで人型に変形すると、腕部から高分子レーザークローを伸ばしてタートルワームの腹を引き裂いた。
 タートルワームの腹から噴き出した体液でモニターが一瞬赤く染まる。
 タートルワームは由梨から距離をとろうとするが、由梨は逃がさず、さらにレーザークローを腹に抉りこむ。
 そのまま体内を引き裂きながら腕を抜くとタートルワームの体液で辺りが赤く染まり、タートルワームは動かなくなった。

 
 一方、由梨と別れたシロウはルイス機目掛けて全速力で航行していた。
 現在の深度は70m。
 KF−14の能力では後5m以上沈まれたら追う事はできなくなってしまう。
「間に合えぇーーー!!」
 シロウは残っていた練力を使ってブーストを点火。
 一気にルイス機との距離を詰める。

 その頃ルイスは暗闇の中にいた。
「くそっ! 照明が切れた。遂に電源部も完全に死んだか。深度は今70m‥‥もうダメかもな」
 そうして諦めかけた時だった。

 ガクン

 と、軽い衝撃がコクピットを揺さぶり、今まで沈降していた機体が止まった。
「おっまたせぇ〜」
 接触回線でコクピット内にシロウの声が響く。
「こちらシロウ。該者を確保した。総員、亀をたこ殴りにしろ〜!」
『了解!』



 シロウの報告を聞いた先行部隊は一気にタートルワームに肉薄し、後続の3機もそれぞれの武器で援護の体勢に入る。
「1人、1殺といきたいですが手が足りないなのであります」
 美海はガトリング砲で弾幕を張りながら接近すると、人型に変形してタートルワームに張り付いた。
 そして『サーベイジ』を発動し、両腕にそれぞれレーザークローを生やすと、まず敵の前足を粉砕する。
 そこからタートルワームに張り付いたまま移動し、今度は後ろのヒレを粉砕して動きを止める
「今なのです」
「了解! 魚雷全弾発射! 残りのミサイルもくれてやるよ!」
 動きの止まったタートルワームに斑鳩は重量魚雷、及びホーミングミサイルを撃ち込んでゆく。
 タートルワームは避ける事も叶わず無数の爆発に包まれ、爆発が収まった後には無残な姿となって海中を漂った。


 マートルもガトリングで牽制しながらタートルワームに接近し、レーザークローを顔面に叩きつけた。
 レーザークローで顔半分を抉り取られたタートルワームは大口を開けて噛み付こうとしてきたが、マートルは武器をツインジャイロに換装して受け止め、そのままタートルワームの首筋にツインジャイロを抉りこんだ。
 ツインジャイロの猛烈な回転から産み出された破壊力がタートルワームの皮を裂き、肉を抉り、骨を砕き、遂にはその首を貫通して引き千切った。
「抉り込むようにぃ打つべし! ってね!」

 
 そして残る1体には威龍が水中用ディフェンダーで斬りかかって行く。

 ガキン
 
 しかし、ディフェンダーはタートルワームの甲羅を浅く傷つけただけで跳ね返されてしまった。
 そして威龍のテンタクルスとの距離が僅かに開いたところでタートルワームは鋼線ネットを発射。
「しまった!」
 威龍はすぐさま絡んだネットをディフェンダーで断ち切ろうとしたが、その前にプロトン砲の砲門がテンタクルスに向けられる。
「くっ!」
 威龍はディフェンダーを盾として構え衝撃に備えた。
 そして威龍にテンタクルスはプロトン砲の光に包まれた。
 ディフェンダーで防ぎきれない箇所が徐々に融解してゆき、ステータス画面に損傷を知らせる赤ランプが次々に点灯。コクピット内も激しい振動に見舞われる。
 その衝撃により、威龍自身も脇腹に損傷を受けた。
「ぐっ! これはアバラの1本か2本はやったかもしれんな‥‥」
「威龍! そこは危険だ。一旦退がれ!」
 緑川はスナイパーライフルでタートルワームを狙い撃ち、威龍が後退するための隙を作る。
「く‥‥仕方ない」
 威龍はネットをディフェンダーで切り裂くとタートルワームにガウスガンを浴びせながら少し距離を開ける。
 そして駆けつけてきた美海がレーザークローをタートルキメラに突き立て、切り裂いてゆく。
「目標補足、狙い撃つ!」
 さらに緑川が美海が作った傷口を狙ってスナイパーライフルで撃ち放つ。
 水中を切り裂いて飛来したライフル弾は甲羅にできた裂け目を潜り抜け、その奥の柔らかい臓器に喰い込み、破壊した。
 この一撃が致命傷となり、タートルキメラは息絶え、深海へと沈んでいった。



 なんとか消火活動も終わり、沈没は免れた巡視艇のクレーンにルイスにビーストソウルが吊るされている。
 外から見ただけでもその損傷度は酷いもので、これでよく生きていたなと皆を感心させる程だった。
「よく頑張ったのであります。ささ、温かい甘酒などをぐぐっと一杯行くのでありますよ?」
 美海は出撃前に温めておいた甘酒をルイスに景気よく振舞った。
「あぁ、いただくよ」
 ルイスは美海から甘酒を受け取り、両手で持った。
 冷え切っていた指先が甘酒の熱で温められて痛痒いが、それが妙に気持ちいい。
 そして一口飲んだ甘酒は身体を中から温めてくれた。
「みんな、助けてくれてありがとう」
「いいってことさ。困った時はお互い様ってね」
「でも、次からはこんな無茶しないでよ」
「勇気と無謀は別のものだ。履き違えるなよ」
 ルイスがペコリと頭を下げると皆が笑って応えてくれた。
 ルイスはその笑顔を見てようやく実感した。
 自分は助かったのだと‥‥。