タイトル:SIN−血と桜−マスター:東雲 ホメル

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/05 04:04

●オープニング本文


 桜は美しい、と思う。
 どうしようもなく堕ちてしまった僕だけれども。
 美意識というか、そういう部分はまだ人間。
 いや、桜をこんなにも愛でるのは僕のルーツが日本に在るからだろうか。

「時期的には少し早い様な気もしますが」
 黒服に身を包んだ少年は顎に手を当て何かを考え込む。
 少しして、溜息を吐く。
「さして重要な事じゃない、ですね‥‥今、僕にとって重要なのは――」
 如何に絶望して死ぬか、という事。
 ただ死ぬのではなく、絶望しながら死ぬという事。
 桜の木を背に、座り込んでいた少年は立ち上がり、立て掛けていた刀を手に取る。
「僕に救済は訪れるのでしょうか?」
 妄信的な信仰心が彼を動かしている。
 神を信じる心のみ。
 その神に具体的な名前など無い。
 壊れた少年が一人で、自分の心の中で作り上げた幻想。
 しかし、彼は神は居ると信じている。
 壊れてしまった自分ですらも救ってくれる神が居ると。
「どうやら気付かれた様ですね」
 カチン、という金属音が響くと同時に桜の木が斜めにずれる。
 土煙と桜の花弁が舞い上がる中、少年は周囲の気配に微笑む。
「皆さんは絶望を、救済を僕に与えてくれるのでしょうか?」
 その微笑は、何処までも優しく、柔らかいものだった。

「最近のガキは派手さ」
 ライカは写真を見て、小声で呆れる。
 桜吹雪と血飛沫、その中央に佇む黒服の少年。
「目標は山中で四名の能力者を斬り殺した後、現在もその場所に留まっている模様です」
 何かを待っているのだろうか。
 怪我でもしたのだろうか。
 それとも、狂気の沙汰と言うやつなのだろうか。
「他に情報は?」
「数匹のキメラを引き連れているという事と、死体が全て一刀両断にされているという事――」
 嫌な情報さ、と溢すとライカは刀で肩を軽く叩く。
 能力者を真っ二つ。
「派手なだけじゃないってか?」
 そう言って、椅子から立ち上がるライカだった。

●参加者一覧

大泰司 慈海(ga0173
47歳・♂・ER
御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
八葉 白雪(gb2228
20歳・♀・AA
蒼河 拓人(gb2873
16歳・♂・JG
天宮(gb4665
22歳・♂・HD
月城 紗夜(gb6417
19歳・♀・HD

●リプレイ本文

 普段とは大分異なった色の風景。
 月城 紗夜(gb6417)は木々の奥の方を睨む。
 情報に因れば、目標は山の中腹に未だ留まっている様子。
 ふざけた奴だ、そう言って暗視スコープを外し、地図を確認する。
 麓の街の警察に連絡して、人が近付かない様に手配した。
 後は、そのふざけた奴を葬り去るだけ。
「大分、近付いたね」
 蒼河 拓人(gb2873)も紗夜と同じ様に暗視スコープを外す。
 能力者を真っ二つにする様な相手だ、油断はならない。
 が、しかし。
「自分達がすべき事は只一つ、だね」
 逃げ腰でも、勇み足でもない。
 普段通りに、冷静に、任務を処理するだけだ。
「ん〜、そろそろいけそうさ〜」
 紗夜の肩越しに地図を覗いていたライカが、白雪(gb2228)に気の抜けた声を掛ける。
 白雪――真白は小さく頷き、弓を準備し始める。
「そうだね、此処なら地形的には然程高低差も無いし」
 大泰司 慈海(ga0173)は目を細め、眼鏡を掛け直す。
 闇に乗じ、遠距離から初手を打つ。
 奇襲。
 真白は見晴らしの良い場所に移動し、目標の姿を確認する。
 能力者の視力でなければ確認出来ない距離。
 白い装束に身を包んだ人型キメラ。
 その標的に狙いを定め、弓を構える。
 きりきりと限界まで弦を引き、気付く。

 どうして、アレは一体なのか。

 真白がそう思うと同時に、生温い風が吹く。
「僕も唯待っていた訳ではない、という事ですよ」
 全員の背後より、闇から溶け出す様に少年は現れる。
 そして、鈍い金属音が響く。
 白い影が、飛び出して来て、真白に斬りかかったのだ。
 が、天宮(gb4665)がそれを阻む。
 あぁ、と少年は声を漏らす。
「何時ぞやはどうも‥‥僕を救いに来てくれたんですか?」
「‥‥死んで償う前にすべき事があるのではないですか?」
 肩を竦め、苦笑する少年。
 根本的な考え方の違いが其処には在った。
 キメラの太刀を弾き、下がりながら天宮は少年を哀れに思う。
 歪んだ信仰心、それと殺戮を続けるその業。
 それらを全て絶つには――
「残念です、戦わなければならないとは‥‥」
「そのつもりだったのでしょう?」
 もう一つ、白い影が上から降ってくる。
 御影・朔夜(ga0240)を襲う白刃。
 朔夜はその刃を事も無く避け、短くなった煙草を深く吸う。
「仕方ないな」
 朔夜の低い呟きに、各々が自身の得物を構える。
 月明かりの中、もう一度生温い風が吹く。


 照明弾が放つ光の中、あまり離れない様に散開する面々。
「それじゃ、ライカ君はそっちを頼むね」
 拓人が指す方向に居たのは野太刀を肩に担いだキメラ。
 先程の照明弾に因る合図で、夜桜観賞用の電飾が点き鮮明にその姿を捉える事が出来る。
 頭を掻き、アレか、などと呟きライカは刀を抜き放つ。
「しっかり援護頼むさ」
 柄を高く上げ、刃を上にし、峰に左手を添え、低く腰を落とし、走る。
「任せてよ」
 拓人はいつもとは違い、少し大人びた雰囲気を醸し出し、銃の引鉄を引く。
 実体の無い弾丸は瞬間的にキメラの足を止めるが、それだけ。
 ライカの放った突きは野太刀に受け流され、火花を散らしただけだった。
「どうやら何処も一筋縄ではいかない様だな」
 淡く光る刀身を振るい、寄って来たキメラとの間合いを取る。
 敵の得物が小太刀という形状なのが幸いした。
 楯で防ぎ易く、張り付かれたとしても戦える。
 短く息を吐き、AU−KVの脚部をスパークさせる。
 初手こそは取られたものの、未だ序盤。
 腕か足を狙い、戦闘力を削げれば後がかなり楽になる。
 紗夜は一気に間合いを詰め、キメラの目の前に姿を現す。
 咄嗟に防御の体勢を取ったキメラだったが、足はがら空き。
 紗夜は下段から蛍火を斬り上げる。
 刹那、斬線を読んだキメラが小太刀を下げ紗夜の一太刀を何とか防ぐ。
 しかし、完璧にとはいかず、切っ先が僅かに腿を裂く。
 機動力の低下とまではいかないが、確実にダメージを与えた結果となった。
「次だ!」
 紗夜はキメラの反撃を楯で防ぎつつ、脳天目掛けて刀を振り下ろす。

 拓人の射線が太刀を持ったキメラを捉える。
 キメラは動きを止め、低く唸る。
 その隙に天宮の鎌が首の位置目掛けて横に薙がれる。
 流石に、それは受けまいとキメラは首と鎌の間に太刀を差込み、死を回避する。
 キメラはそのまま身体を捻り、後方へと刀を一閃。
 天宮の胸部を斬撃が掠め、後退を余儀なくされる。
 追撃を加えようと、完全に天宮の方向に向き直ったキメラは地面を蹴る。
 そのまま体当りを喰らわせ、更に突きを繰り出す。
「っ!」
 息を吐きつつ、太刀を鎌の柄で受け、思い切り太刀を弾く。
 首が駄目ならば、頭。
 キメラは上方からの斬撃に対して半身になって回避行動に移る。
 しかし、天宮の動作の方が僅かに早く、キメラの肩口を斬り裂き、黒い血を撒き散らせる。
 キメラは反撃に出ようとするも、拓人の銃撃がそれを阻む。
「まだまだだね」

 慈海は少年を見つめ、しばらく何かを考えていた様だった。
 桜の花弁が舞い散る中、静かに佇むその少年の姿を。
「君は日本人? 桜は好きなのかな? 名前は‥‥?」
 少年は慈海の質問に苦笑しながら一つずつ丁寧に答える。
「あはは、そんなに一度に質問されても‥‥そうですね――」
 僕は日本人。
 桜は好きです。
 そう答えた後に少し悩む。
「名前は‥‥捨てました。その時に代わりの名前を貰ったのですが‥‥」
 うーん、と唸って、少年はまた苦笑する。
「この戦いが終わる前に思い出せると良いですね」
 他人事の様に言ってのけた。
 殺してくれる、という言い方に少年の望んでいる事の一端が見える。
「どちらが途方も無い罪から救われるか‥‥心の底から絶望して死んでいけるか‥‥」
 そう言って少年は刀に手を掛ける。
「絶望と救済は相反する。絶望とは全ての望みが断たれる事だ。救済を乞いながら絶望には至れん‥‥解るか?」
 朔夜は新しい煙草を咥え、何処からとも無く発生させた黒い炎で点火する。
 少年は微動だにせず、無言で微笑む。
 少し腰を落とし、少年は沈黙する。
 刀の射程内に入ったら斬る、それだけ。
 静の刀技。
 真白はじりじりと前進し、慎重に間合いを探る。
 何とも言えない圧力を感じながら、身体で作った死角から小太刀を投げる。
 一の小太刀、雪兎が綺麗な射線を描き、少年の喉下を狙う。
 が、甲高い音と同時に地面に叩き落される。
 見えない何かに因って。
 そしてもう一つ。
「小細工ではどうしようもないですよ?」
 地面に落ちた二の小太刀、八咫を真白の『居た』場所へ蹴ってやる。
 少年の視界に、既に真白は居なかったのだ。
 少年は右手で刀を振るうので、どうしても構えた時に身体が左に閉じてしまう。
 それを利用して、真白は少年の右手側に回り込む。
 そうすると自然と少年の背中を取る形になる。
 必殺。
 そう言う類のタイミングだった。
 しかし、真白の斬撃が少年に届く事は無い。
 首筋に迫る刃の冷たい気配に、少年は反応したのだ。
 血桜は少年に因って、物凄い勢いで弾かれる。
 その反動で後ずさりする真白を追おうと、今度は少年が動こうとする。
 これも必殺のタイミングに違いなかった――
 が、朔夜の放った黒い炎が少年を取り囲み、その場で動けなくさせた。
 炎の中、少年は更に低く腰を落とし、深く息を吐く。
「どうやら、本当に僕を救ってくれそうですね」
 少年はそう呟いて、周囲の炎を一閃した。

 易しいものだった。
 完璧では無いけれども、捌く事は可能だった。
 過去に一度見た少年の剣筋からすれば、キメラ如きの攻撃など大した事でも無かったのだ。
 紗夜は小太刀を楯で上手く受け止め、そのまま左へと弾く。
 がら空きになった腹部に蛍火を捻じ込む様に突く。
 引き抜き、薙ぎ払う様に刀を振るい、キメラとの間合いを取る。
 刀に滴る黒い血。
 キメラは大きく跳び、空中から連撃を浴びせながら、奇妙な笑い声を上げた。
「失せろ」
 連撃の合間、紗夜の蛍火がキメラの片腕を斬り飛ばす。
 自らの血で黒く染まる白い装束。
 痛みの為か動きの止まったキメラに追撃が飛ぶ。
 拓人のエネルギーガンがキメラの頭部を直撃したのだった。
 面に皹が入り、そして割れ落ちる。
「趣味はあんまり良くないみたいだね」
 拓人は無表情で呟き、紗夜は舌打ちをするのみだった。
 正しく人間の顔を持ったソレは、泣いていたのだ。
 泣きながら笑っていたのだった。
 感情ではなく、プログラム的な物の一種だろう。
 殆ど戦える状態ではないキメラは紗夜に肉薄する。
「哀れだな、お前も」
 キメラの小太刀は空しく空を切り、紗夜の刀は見事キメラの首を刎ねた。

 太刀が天宮の頬を掠め、赤く染める。
 天宮は器用に柄の先で、キメラの太刀を持った腕を跳ね上げ、鳩尾の部分を突く。
 キメラは後に倒れ込みながら、身体を反らし、そのままバク転。
 夥しい量の血を流している為か動きにキレは無い。
 好機、そう考えた天宮は一度体勢を整え、キメラに迫る。
 寸での所でキメラの繰り出した突きをかわし、鎌を大きく振りかぶる。
 拓人の援護も有り、キメラはその攻撃を避ける事も出来ず、受ける事も出来なかった。
 致命傷、のはずだがキメラは未だ立ち続ける。
 黒いローブをはためかせ、天宮のAU−KVは全身をスパークさせる。
 何かを感じ取り、キメラは天宮の鎌を太刀で受けるが、それが命取り。
 強力な力で後方の桜の木の幹に叩きつけられる。
 そして、一発の弾丸で決着が着けられた。
 天宮はライフルの銃口をキメラの頭部から外す。
 文字通り木に磔になっていたキメラが崩れ落ちる様を見ずに、少年の方に向き直る。

「成る程、中々に強い‥‥ならば、私もここからは本気で臨ませてもらおうか」
 朔夜は相変わらず煙草を吸いながら、不敵に溢す。
 二つの銃を取り出し、少年に狙いを定める。
 完全に右の背を此方側に向けたままの少年。
 微笑の表情も消え、完全に無表情になった少年を眺め真白は思う。
(「美しいわね。儚いものほど美しい‥‥なんて、感傷なのでしょうね」)
 まるで風に散りやすい桜の如く。
 尋常ではない緊張感の中、慈海は七色の光を真白に与える。
 それを確認した後、真白は跳ねる様に飛び出し、一気にお互いの間合いに入る。
 微かな剣圧を感じ、目の前に刀を構え、少年の斬撃を回避する。
 刀と刀がぶつかり合う金属音と共に、発砲音。
 朔夜の真・デヴァステイターから放たれた三発の銃弾は少年の肩を掠め、鮮血を飛び散らせる。
 しかし、少年は構えを崩す事無く、真白に二撃目を加える。
 真白は少年から一度距離を取り、体勢を整える。
 何度目かの沈黙。
「僕は、戦闘狂なんかではないのですが‥‥勝てないかもしれない、死ぬかもしれない――」
 少年は初めて、目に見える形でその狂気を表した。
「そういった絶望しか無い状況下に追い込まれるのが、この上なく喜ばしいのですよ」
 光の無い目を見開き、口を大きく開けて笑う。
 化け物だった。
「絶望を望んでいる? 随分な事ね。貴方の生はそれほどまで幸せに満ちているのかしら?」
 真白の言葉に少年が笑うのを止める。
「いえ、特には。どうしてそう思うのですか?」
 どうしても噛み合わない。
 少年との間には何か溝の様な思想の違いが在るらしい。
「僕がそれを望む理由は贖罪に在る。最初の人間が原罪なんてものを神から受けた。僕らはそれを背負っているのですよ?」
 僕は潔癖症ですので、と一言付け加える。
「絶望に依る死が贖罪? 貴様はそれこそ神になったつもりか」
 背後から紗夜が現れる。
 少年はやはり動かないまま答える。
「僕が神? 神は悩むのでしょうか? 全知全能たる存在が悩む?」
 少年は、うーんと唸りながら考え込んでしまう。
 慈海は、そんな少年の姿を見て声を掛ける。
「信教の自由って言うけれども‥‥それでも自分の考えを人に強要したり、剰え人の命を奪うことは許されない」
 俺はそう思うよ、とだけ。
「根本的な考え方が違いますね‥‥あぁ、そうだ」
 少年はそう言って跳ぶ。
 慈海の目の前に降り立った少年が一言。
「良かったですね、貰った名前を思い出しました」
 慈海の腿を斬り、地面に転がした後でにっこりと微笑む。

「クランゼル・インダイスです。改めまして、よろしくお願いします」

「あっぶねぇさ!!」
 暗がりから猛スピードでライカが飛び出してくる。
 逆方向からは天宮。
 躊躇無しに少年、クランゼルの間合いに飛び込み、攻撃を加える。
 少年は後方に大きく跳び、真白達の頭上を越える。
 着地と同時に樹上から拓人が弾丸を放つ。
 クランゼルの動きが一気に制限されるのを確認すると、それぞれが一斉に動き出す。
「――本気でいくぞ」
 朔夜は煙を吐き出すと、驚異的なスピードで引鉄を引く。
 勿論、如何にクランゼルと言えども全てを回避できるほど甘い攻撃ではない。
 何発か被弾し、足元に血が飛び散る。
「オォォォォ!」
 気合と共に真白が激烈な打ち込みを見舞う。
 それと同時に紗夜が少年の右側面より襲い掛かる。
 クランゼルは、先に紗夜の出足を挫く為に身体を回転させながら、抜刀。
 全力で紗夜を弾いた。
 が、真白の攻撃に対してはギリギリ反応出来た、というレベルだった。
「それが貴様の刀か」
 あまりの衝撃で地面に転がりながらも、紗夜は鼻で笑う。
「あ‥‥」
 真白の刀を受け、抜刀状態のままクランゼルは固まる。
 そして声を上げて笑う。
「あはははははははははは‥‥! 初めてです! 僕が刃を他人に見せるなんて!」
 真白を蹴り飛ばし、刀を繁々と見つめる。
「あぁ、やはり貴方達は素晴らしい。けれど、少し足りない」
 左肩を天宮の鎌が襲うが、簡単に避けられ、天宮は反撃の一太刀を浴びてしまう。
 その天宮を退け、後ろに迫っていたライカを斬り伏せる。
 更には、朔夜の放つ銃弾の嵐を抜け、一刀、二刀。
 真白が体勢を立て直し、銃に込めた貫通弾を放ち命中させるも、未だ倒れない。
 ボロボロになりながらもクランゼルは包囲されていた状況から抜け出す。
「どうしますか? 僕としては貴方達を救ってあげたいのですが」
 この場合、クランゼルの指す救いとは――
 ライカは舌打ちをして、紗夜に告げる。
「撤退さ‥‥消耗が激しい、このままやっても真っ二つ、がオチさ」
 同じ様に舌打ちをして紗夜は閃光手榴弾を適当に投げる。


 閃光の中、拓人は此方に跳び上がってくる気配に呟く。
「君には希望がない。絶たれる望みがないのに絶望なんて不可能だよ」
 刹那の出来事だったが、拓人には確実に聞こえた。
「先程も煙草を吸ってる方に言われましたが‥‥在りますよ。貴方達が希望です。僕をいつか救ってくれると信じていますよ」
 異常な剣圧を察知して樹上から飛び降りる、拓人。
 拓人はその場を少し離れた後、朝日に照らされる足の裂傷に気付いた。