タイトル:黒光りする、その名は‥マスター:蓮華・水無月

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/04/06 07:04

●オープニング本文


 学園で、一番最初に『ソレ』を目撃したのは女子生徒だった。

「キ、キャアアァァッ!」
「どうした!?」

 突如響き渡った絹を裂くような悲鳴に、近くに居た男子生徒が泡を食って駆けつける。だが彼もまた『ソレ』を前に硬直し、ヒクリ、と頬を引きつらせた。
 場所――校舎裏のちょっとジメジメしたような、言ってしまえば日当たりの悪い空間。とは言え十分明るい昼日向、『ソレ』はある種の威容を持って目撃者達に己の存在を主張する。
 チラ、と2人は互いを伺い見て。

「イヤアアァァァッ! 誰かーッ!?」
「出たーッ!?」

 命がけの心地でその場から脱兎の如く逃げ出したのも、まぁ『ソレ』が相手では無理からぬ事だったかも知れない。





 ある時には寮の廊下で。ある時には人々が談笑を楽しむカフェテラスで。またある時は安らぎの空間であって然るべきバスルームに至るまで。
 『ソレ』は場所と時間を選ばず、続々と目撃された。同時に阿鼻叫喚を上げて逃げ惑う人々の数も増加した。
 『ソレ』。太古の昔からしぶとく生き続け、ジメジメした場所を好み、カサカサと蠢く様は見ている者を恐怖に陥れる絶対の破壊力を持つ。1匹見かければ30匹。うっかり夜中に飛び交う姿なんか目撃した日には、当分一人でトイレに行けない事は請け合いだ。
 仮に『ソレ』を、頭文字を取ってGと呼ぼう。

「一体なにごと‥‥ッ」
「って言うか気持ち悪いしッ! 誰か何とかしてよッ!」

 ちなみに学園に出没したGは、正確にはG型キメラだ。キメラ、と聞くと何かまだマシな気がする辺り、ヤツの存在感は半端ない。
 とは言え見た目はG。しかもキメラだけあってマトモな(?)『ソレ』よりしぶとさもいや増し、大きさも‥‥うん、見ない方が良かったくらい。
 そこそこ腕に覚えがある者も、さすがにビジュアル的な部分で回れ右をしてしまうらしく。この事態を収束させるべく、有志を募って駆除作戦を決行する事となったのだった。





 その頃、キメラ研究所。

「ふ、ふふ‥‥やべぇ、さすがにオレ首かな‥‥」

 虚ろな目で頭を抱えてブツブツ呟いている研究員が居たのだが、不幸にしてその事実に気付いた同僚は居なかった。

●参加者一覧

石動 小夜子(ga0121
20歳・♀・PN
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
木場・純平(ga3277
36歳・♂・PN
九条・陸(ga8254
13歳・♀・AA
桐生院・桜花(gb0837
25歳・♀・DF
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
黒崎 夜宵(gb2736
19歳・♀・EP
ルノア・アラバスター(gb5133
14歳・♀・JG

●リプレイ本文

 仮称G型キメラ。人類より遥か以前から地球上に生息し、湿気を好みゴミを漁る、Gから始まる昆虫の姿の色々な意味で厄介なキメラである。どうってまず見た目的に。ヴィジュアル的にもう駄目。しかも体長1.5mってナニ。
 それは今回のミッション:G殲滅作戦(ルノア・アラバスター(gb5133)命名)に名乗りを上げた面々も同じ気持ちである。

「台所の黒い悪魔は‥‥わりと平気で叩く方。でも、さすがにこの大きさを直視するのは精神に悪いわね」
「‥‥人類にとって最凶の天敵‥‥G‥‥あのうらみ晴らさず置くべきか‥‥」

 対面する前からすでに後悔している桐生院・桜花(gb0837)のため息の横では、イスル・イェーガー(gb0925)が何やらブツブツ呟いている。普段クールな彼らしからぬ態度だが、Gとの間に浅からぬ因縁があるものか。
 今回、メンバーは3班に別れてカンパネラ学園を探索、G型キメラを発見次第駆除する手筈となっている。彼らが担当するのは下水地区、Gの聖地(?)。
 もっとも、今1人の下水担当の九条・陸(ga8254)はGに対する恐怖は持ち合わせていない。嫌悪はあるが、ただそれだけ――冷静に対処出来ると自負している。

「Gを狩るのは専門家にお任せしたい所なんですが‥‥」

 生憎専門家の身内が留守で、と溜息を吐きながら、作戦に参加した経緯を語る。こんな時に何故居ない、専門家!(多分全員の心の叫び)
 何れにせよ、そのままの装備で下水に突入するのは色んな意味で危険だ。桜花の提案でマスクとレインコート、それに大量のホウ酸ダンゴやトリモチなどの罠も(効くかどうかはともかく)購入出来れば、と売店に立ち寄った3人を、迎えたおばちゃんは「おや、アンタ達が!」と諸手を広げて歓迎した。

「アタシ達も困ってるんだよ! ええい、お代はまけとくから、是非ともあいつらを退治しとくれ!」

 そんなおばちゃんの切なる願いに寄って、作戦遂行に必要な品々は総て半額となった。差し入れと称したパンやおにぎりまで付いて来る始末。
 両手にビニール袋を提げて売店を出た3人は顔を見合わせ。

「これは失敗出来ませんね」
「やっぱりあんなヤツラ‥‥生かして置いちゃダメなんだ‥‥」
「今のうちに退治してしまわないと、ラストホープが巨大Gの巣窟になりかねませんしね‥‥」

 G殲滅作戦。そこに掛けられた人々の願いは、彼らの双肩に掛かっていた。





 2班は食堂防衛担当である。ここもGの聖地。生ゴミの処理に気を使っても、それでも奴らは湧いて出る。お食事中の方は心からすみません。
 G型キメラがGと同じ行動を取るかは不明だが、目撃証言を付き合わせれば出現率は賭けるまでもなく高い。故に

「はぁ‥‥ここって一番出るところよね‥‥ああ、面倒‥‥」

 ホウ酸ダンゴやケーキなどを仕掛ける黒崎 夜宵(gb2736)がため息をつくのも無理からぬ事だ。現在辺りは無人。G殲滅作戦決行を聞いた関係者一同、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
 幾らなんでも体長1.5mのキメラが、隠れる場所がそうあるとは思えない。だが相手はG。油断は禁物だ、と探査の眼を駆使して絶対に見逃さないよう注視する。
 出来る限りの場所に目張りを施しながら、榊兵衛(ga0388)が怒りの言葉を吐く。

「何というものを野放しにしてくれたんだ! さすがに怖いと言うことはないが、嫌悪感だけはどうにも拭いがたい」

 早々に片を付けねば、という言葉に深く頷く夜宵とルノア。何しろモノがモノ、大きさが大きさ。ましてうっかり繁殖でもされた日には‥‥想像したくない。
 手早く総ての下準備を終え、武器を構えて辺りの気配を伺う。餌以外の食料品はすべて仕舞った。逃げ道になりそうな隙間も可能な限り塞いだ。後はGを待つのみ‥‥出て来て欲しくないが、出て来て貰わねば仕事にならない。
 どれ位待っただろう。うっかり不幸な遭遇をしないよう、GooDLuckも駆使して探索していた夜宵が、ピク、と肩を動かした。向かう視線の先は厨房。

「私の眼からは逃れられないわ‥‥そこよ‥‥正直、見つけたくも無いけどねっ!」

 やけくその様に叫びながらクルメタルの引鉄を引いた。音で刺激しないよう、事前にサプレッサーを装着してある。プシュッ、と気の抜けるような音の直後、ピシッ! と着弾音。
 外したか? いや、当たっている。被弾の衝撃にビクッと跳ね上がる巨体。黒光りする体躯。
 そして――

 ――カサカサカサッ!
「こっち来たーッ!」

 Gは疾走を開始した。優雅な食事の一時を邪魔された恨み、はらさで置くべきか‥‥と思ったかどうかは知らないが、被弾し傷付いた腹部から黄色い何かを撒き散らしながら、真っ直ぐこちらに向かってきた。

「気をつけて、飛ぶかも、しれません!」

 気配を感じたルノアが警告と同時に狙撃。同時に兵衛がロングスピアで急所突きを仕掛ける。リーチがあるとは言え、元が元なので結構間近で見てしまった。うわぁ。
 この隙のない連携攻撃はさしものGも堪えた様子だ。コロン、とひっくり返って腹を天井に向け、6本の足をヒクヒクと蠢かせている――そう、丁度普通のGが息絶えるその瞬間が、体長1.5mで再現していると思って欲しい。かなりシュールな光景だ。
 とにかくまずは1体を撃破。幸先良いスタートだ、と顔を見合わせてから気付いた――蠢かせている?
 チラ、と視線を向けると、Gは腹を天に向けたまま、今まさに薄羽を広げて最後の力を振り絞ろうとしていた。同時に夜宵が目視してしまう――天井、真上に、居る。何がなんて言いたくない。しかも、壁にも張り付いて‥‥?

「〜〜〜ッ!!」
「新手かッ!?」
「煙を、使用すれば、大丈夫、大丈夫‥‥ダメ、かも?」
「ダメって何がッ!?」

 G殲滅作戦。戦火は今まさに切って落とされたばかりだった。





 残る1班、石動 小夜子(ga0121)と木場・純平(ga3277)のペアは、特に防衛拠点を定める事なく学園内を回る、言うなれば遊撃部隊として動いていた。

「食堂の方は、大変そう‥‥ですね」
「健闘を祈るしかないな」

 トランシーバーから聞こえてくる阿鼻叫喚と悲鳴の渦に、無言で黙祷を捧げて通信を切断する。まあ、彼らには祈るしか出来ない。
 もとより虫が苦手な小夜子は、タオルで口元を隠し、売店のおばちゃんの切なる願いが込もったレインコートとゴーグルを身につけた完全装備。さらに手には中性洗剤を詰めた霧吹きを持ち、いつでもかかって来い、といういでたちだ。よく見るとちょっと涙目。
 それでも彼女が決死の覚悟で望んだ理由は

(自由にさせて増えられてはたまりませんもの)

 体長1.5mのGがそこらかしこをカサカサと蠢く光景――想像するだけで嫌。て言うか想像するのも嫌。
 その為にも殲滅せねば、と決意する小夜子には、子供時分にGを捕まえて触角を取り「偽カブトムシ〜」と友達と遊んだ事など、口が裂けても言えない、と思う純平である。いや、あの頃は若かった。
 Gを誘き出す罠や餌は、すでに仲間が仕掛けてくれている。それを見て回るような形で学園内を巡回し、行き会った生徒などに話を聞く2人の耳に、不意に届く、絹を裂くような悲鳴!

「イヤアァァッ!」
「‥‥ッ、Gですか」
「あっちだ」

 慌てて悲鳴の方、校舎の裏へ走っていくと、まさにドンピシャ、1人の女生徒がヘナヘナへたり込んでいるすぐ傍に件の巨大Gが居た。居て、しまった。

「う‥‥ッ」

 その巨大な体躯と、黒々と光る甲殻と、ぴくぴく動く触角に思わず小夜子の腰も引ける。覚悟は決めてきたが、百聞は一見にしかず。足に生えるトゲトゲまでリアルに見えてしまうこの光景――グロテスク、以外にどんな表現をすれば良いのか。
 純平が瞬天足で素早く駆け寄り、まずは先制攻撃で一発お見舞いした。動物で言えば鼻面を引っ叩かれた形になるGが怯んだ隙に、腰が抜けたのだろう、動けずに居る女生徒を引っ張り上げて退避する。

「大丈夫ですか」
「ははははいいいぃ〜ッ」

 助けられた事で安心したのだろう、ようやく恐怖にガクガク震え出した女生徒を校舎の角から覗いていた友人らしき生徒に預け、再びGとの対決に戻る。Gはすでにダメージから立ち直り、現れた乱入者をジッと観察している――様に見えた。何しろ複眼がよく解らないのだが、ピクピク動きまくる触角がそんなイメージだった。
 素早く辺りを伺い、他の個体が居ない事を確かめる。相手は1体。ならば落ち着けば十分に対処できる相手だ。多分。

「とにかく騒ぎを鎮めなくては、な!」

 今度は疾風脚で肉薄、だが今度はGも気付いている。振り被った拳は回避され、だがすぐさまそれを追って2撃、3撃。しゃにむに足を引っつかみ、エイや、と投げ打って背中から地に叩きつける。
 ワシャワシャと6本の足が宙を掻いて蠢いた。ダメージこそなかったようだが、さすがに咄嗟には起き上がれない様子。その光景にまた顔を引きつらせながら、小夜子は蝉時雨をチャキリと構える。

「覚悟です‥‥ッ」

 瞬天足で一気に近付き、蠢く足を1本スパリと切り飛ばした。後で念入りに刀を手入れする事を心に誓う。ついでに霧吹きに持参した中性洗剤もかけて見る――が、効いているのか居ないのか。過去に同型キメラが出た時には有効だった、と聞いているが、本物のG同様、G型キメラも弱点に対して耐性を持ってしまうのか。
 ならば純粋に、肉弾戦のみ。純平がヒステリックペールで鬼人の如き猛攻を仕掛け、小夜子の蝉時雨が唸りを上げてGの足やら触角やらを切り飛ばす。全身をしならせ、パクリと大顎を開いて噛み付かれるのを紙一重で回避。薄羽を広げて逃れようとするのは全身で阻止する。飛んだら時速200キロ超。絶対嫌だ。
 デカイ、キモイ、おまけに噛み付いてくる――しぶとい生命力を持つG型キメラに、対する2人も全力をかけて止めを刺すべく、技を繰り出しまくっていた。





 さて、Gの聖地・下水道では。

「いきなり飛んでますね‥‥」

 繰り広げられている光景に、何故か感心したように陸が呟いた。その言葉通り、すでに壁から壁へ、床から天井へと凄い勢いで黒い巨体が飛び交っている。ヒイイィィ、と思わず頭を抱えた桜花を誰も責められやしない。
 何だか持ってきた罠が無駄だった気はするが、ここに居るものがすべてという訳でもないし、退治した後に仕掛ければ良いだろう。手にしたランタンと持っていたビニール袋を床に置き、滑らないように気をつけながら、陸は剣を構えて油断なくGを見据えた。イスルも同様にライフルを手に、視界を失わぬ程度の光源を確保して狙いを構え。

「うう‥‥ッ、せ、せめて陸クンを守らなきゃ‥‥ッ」

 必死に自分に言い聞かせ、モチベーションを維持しようとしている女性が1人。実際に守らなければならないかどうかではない、ようは彼女のやる気の問題である。
 とは言え、ベルセルクをすらりと構える様は落ち着いた戦士のもの。表情がちょっとやけくそ気味だが、そこは仕方がない、相手が相手だ。
 Gの動きを油断なく見つめ、間合いを計る前衛2人を援護すべく、ライフルを構えたイスルも鋭い眼差しで飛び交うGを睨みつける。

(‥‥よくも僕の限定特製ケーキを‥‥)

 やっぱり過去、何かあったみたいです。うん、やる気に満ちているのは良い事だ。
 ぬめる床を物ともせず、方や冷静に、方や死地に赴く気持ちで駆け出した陸と桜花。時速200キロ超で飛び交うGの間に割って入るのは、それだけで立派に勇気ある行動だ。

「これはお仕事なのよ‥‥ッ!」
「速やかに滅ぼさせて頂きますよ」

 気合一発、流し切りから両断剣へと技の連係を見せて打ちかかる桜花と、同じく流し切りを多用して駿足のGに確実に当てていく陸。まずは地上に引き摺り落とし、羽根を封じるのが得策か。
 G達が小さな敵の存在に気付き、せわしなく触角を蠢かせた。カサカサカサカサ、床に天井に壁に張り付いた個体が6本の足で軽やかに迫り、宙を飛ぶものはブンッ! と下水の澱んだ空気を唸らせて肉薄する。ガチーン、ガチーン、と大顎が開閉する音が聞こえるのは気のせいだと思いたい。
 まさに怪獣決戦。奇しくも食堂でGと戦うルノアが表現した通りの光景が、カンパネラ学園地下下水道で繰り広げられていた。何故あの巨体で足音がカサカサと軽いのか、そこを疑問に思う余裕もない。何故なんだ。

「‥‥30個限定でやっと並んで買ったのに‥‥せっかくとってあったのに‥‥!」

 静かに、静かに怒りを吐きながらライフルをぶっ放すイスル・イェーガー、16歳。Gへの恨み辛みは恐怖や嫌悪を超越し、すでにモードはお仕事というよりは私怨晴らし大会。お気持ち、よく解ります。
 そんな3人組の働きにより、実は何処よりも早くこの地点のGが全滅に追い込まれ、キメラのみならず普通のGや鼠も一掃されたと言うのは、ここだけの話である。とかく、食べ物の恨みは恐ろしいのであった。





 阿鼻叫喚、悲喜交々のG殲滅作戦は、集まった傭兵達にも(色んな意味で)確実に被害を齎しながら終了した。驚くべき速度で当初の依頼の15体を殲滅した彼らは、さらに餌などを念入りに仕掛け、捜索をして残党が居ない事を確かめ、

「本っ当ーにッ! もう出ませんかッ!?」
「もう大丈夫よ」
「ホントのホントのホントにッ!? もうシャワー使っても大丈夫ッ!?」
「ホントのホントのホントに大丈夫‥‥って言うか‥‥今まで使ってなかったの‥‥?」

 必死の表情で何度も確認する生徒達に、何度も頷いて安心させる事に務めた。ちなみにシャワーは友人同士で見張ったり、最悪の場合はお湯で絞ったタオルで身体を拭くなどして対応していたらしい。まあ、入浴中のあられのない無防備な姿でG型キメラと対面してしまったら、その恐怖は計り知れない。
 そして、総てを終えた彼らは今、最期に遣り残した仕事をやり遂げるべく、学園内キメラ研究所を訪れていた。

「すみませんもうしませんごめんなさい‥‥」

 彼らの前には1人の研究員が、床に額をこすりつけて土下座している。傭兵達が研究所を訪れた理由を察し、逃げ出そうとした所を捕まった。

「Gの死体は合金軍手を使って回収して焼却処分したが」
「精神的苦痛は計り知れません」
「きついお仕置きもやむを得ませんね」

 主に自分達も精神的苦痛を受けた3人が向ける怒りの眼差しに、ますます小さくなって謝り倒す研究員。好奇心でG型キメラを研究してみたものの、うっかり逃げ出された‥‥というのが事の真相らしい。
 彼はその後、一番苦手なアボガドを皿一杯食べさせられ、戦闘の後片付けに奔走する事となった。その程度で許して貰えるのなら御の字とも言える。

「まあ‥‥次はこんな事はないようにして下さいね」
「失敗も経験のうちですからね」
「そうね‥‥今回は見逃してあげるけど、次は無いと思いなさい‥‥」

 慰めと共に向けられた言葉に、研究員は顔を真っ青にしてブンブン頷いたと言う。





 G殲滅作戦。それはこんな風に幕を閉じたのだった。