タイトル:クレーンドラゴンマスター:沼波 連

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/16 15:45

●オープニング本文


 コンテナの積み卸しが始まった。水平線から太陽が出て山のようなコンテナ船の巨体を照らし出した。港には巨人の腕のようなクレーンが何台も設置されてあり、コンテナ船から港へ、港からコンテナ船へコンテナを運んだ。
 群立つクレーンのひとつ、根本にある運転台に1人の男が近づいた。丈の長いコートで身体を覆い、首からは関係者なのを示す認識証を下げている。認識証には貿易商と表示されていた。
 ちょうど男の荷物は宙にあった。コンテナ船から港に降ろされる最中でクレーンに吊り上げられていた。
 男は運転台のドアを叩いた。運転手に開けるように促したが、運転手は作業中なので無視した。荷物を持ち上げているときは雑談に興じてはいけないという規約があったし、雑談がもとで事故を起こした仲間を知っていた。
 貿易商の男は首をふると運転台のドアをこじ開けた。ロックが吹っ飛んで地面にころがった。
 運転手はクレーンを止めながら抗議した。
「今、作業中だ。終わるまで待っていろ。あとそのドアの修理代は請求してやるからな。名前を教えろ。まったくなにをしにきたんだ」
「もちろん荷物を確認しにきた」と貿易商は運転手の剣幕を右から左に流していった。「ここで開封することになっている」
「知ったことか。素人め。あんたみたいな奴は事務所に引っ込んでろ。現場に出てくると事故のもとなんだよ。くそう、ドアどうするんだよ。まだ朝方さむい時期なんだぜ」
 貿易商の男はコートの内側に手を入れながらいった。
「問題ない。保険金が降りるだろう。ここはドローム社傘下の保険会社に入っている。あそこはバグアの被害でも補償する」
 ふざけてんじぇねえよ。運転手は眉を吊り上げた。よどみなく喋る貿易商を突き飛ばそうとするが、やられてしまった。
 運転手は驚いた。貿易商の手にはマシンガンらしきものがあり、自分の胸が赤く染まり始めた。胸に穴が空いて噴水のように血がこぼれていた。それが信じられなかった。
 運転手は信じられないまま死んだ。
 貿易商の男はコンテナを降ろすと解除キーを打ち込み、観音開きになっている扉を開けた。すると中から粘性のある液体が吹き出した。
 コンテナの液体はアスファルトをそろそろと動き、貿易商の男のところへたどりつくと、触手をのばして飼い主の臭いを嗅ぐ犬のように触れた。
 貿易商の男は液体にスラックスを溶かされて飛び退いたものの、犬のような懐きっぷりにおもわずほほえんだ。そして朝焼けにそびえ立つクレーンを指さして命じた。
「スライムよ、クレーンを竜に変えよ。破壊をばらまけ、バグアの意志を示すのだ」
 スライムは身体を丸めるとゴムボールのように跳ね飛び、クレーンのフレームにまとわりついた。即座に制御系を掌握、骨材を文字通り骨として、自身を筋肉として活動開始、地面から生えた巨大な蛇となった。そして巨大なあごで仲間の入っているコンテナをコンテナ船からだすと隣のクレーンへ放り投げた。
 コンテナはアスファルトを滑って火花を散らした。このときになると作業員や警備員が異常に気づいてこの場に集まってきていたのだが、コンテナはこれらの人々を吹き飛ばし、轢き潰した。血と肉片まみれのコンテナ、衝撃で歪んだのその隙間から、スライムが飛び出して、周囲の人間を巻き込みながら、クレーンにまとわりついた。
 貿易商の男は港に生えた2匹の竜をみあげた。貿易商の男はあまりの巨大さに首が痛くなってきたが、竜が犬のように頭を下げたので助けられた。
「コンテナ船に乗せろ」
 貿易商の男は1匹の竜の頭らしき部位に乗った。竜は骨組みが透けてみた。中身のクレーンが丸見えだ。持ち上げられながら貿易商の男は港では集まってくる警備員や逃げる作業員、海では巡視艇を確認した。
 もう一匹の竜が首を伸ばして巡視艇に近づき、咥えていたコンテナを落とした。雨のように降ってくるコンテナ、小さな船体のうえにコンテナの山が築かれて、巡視艇は沈んだ。
 貿易商の男は竜の戦果を確認しつつ、コンテナ船に降り立った。
「俺の竜どもよ、よくやった。しかし調子に乗ってはいけない。お前たちの天敵たる能力者がもうすぐ現れるだろう。しかし安心しろ、俺がなんとかする。お前たちは地上を制圧して能力者を海上から侵攻させるんだ。そのときが奴らの最期だ」
 そういって貿易商の男はコンテナ船の船底へ降りていった。

 ULTのオペレーターは能力者たちにいった。
「港湾地区の管理委員会から依頼が入りました。現在、コンテナ港がキメラによって襲撃されています。被害の拡大するまえに排除して下さい」
「現場の記録により今回は犯人が判明しています。犯人の名前はフランツ・センスワンダー、貿易商です。アメリカに滞在中、行方不明となり、半年前にカリフォルニア湾で漂流しているのを発見されました。行方不明中にバグアから洗脳を受けたのはほぼ間違いないとおもわれます」
「コンテナ港ですが、現在、混乱中です。陸からクレーンにまとわりついたスライムまで近づくのは難しいでしょう。実際、警備隊が接近、コンテナを投下されて撃退されています」
「モーターボート及び水上バイクの貸与許可を得ましたので、これらを活用して水上から接近するのが得策かとおもわれます」
「それでは早急な事態の解決を願います」

●参加者一覧

御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
霞澄 セラフィエル(ga0495
17歳・♀・JG
崎森 玲於奈(ga2010
20歳・♀・FT
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
ジーン・ロスヴァイセ(ga4903
63歳・♀・GP
瓜生 巴(ga5119
20歳・♀・DG
阿木 慧斗(ga7542
14歳・♂・ST
エメラルド・イーグル(ga8650
22歳・♀・EP

●リプレイ本文

●罠

 未明のコンテナ港に2匹の竜が現れる。船からコンテナを運び出すクレーンがスライムに乗っ取られたものだ。スライムはクレーンを骨組みに自身を筋肉として暴れ回る。クレーンドラゴンはあごでコンテナをくわえて持ち上げると、首をふって放り投げた。
 港の入り口にバリケードを気づいている警官隊にコンテナは落下する。蜘蛛の子を散らしたように警官たちは逃げ出した。コンテナに潰されたパトカーが燃え上がる。
 この事件の犯人フランツ・センスワンダーはコンテナ船の船底へ向かっていた。傾斜の急な階段を落下するように降りて機関部へ到達する。エンジンに燃料を送るパイプに爆弾を設置、さらに船殻にも設置した。それから船の上層へとって返した。
 センスワンダーはつぶやく。
「海上封鎖の準備は整った。着火する」
 そういって船上へあがるとコンテナの影に隠れた。伏せてグレネードランチャー付きのマシンガンを構えた。榴弾の代わりに焼夷弾が装填されていた。

●接近

 そのころ能力者たちは海上からの接近を試みていた。8人を3つのチームに編成し、2つはチームはクレーンドラゴンを、残りは犯人の確保および救助の役割を担当する。
 朝日で輝く海をモーターボートが突っ切る。
 船上には3人の人影がある。黒ずくめの男が操船しているが、少年に舵を任せて、自分は防水シートで保護した銃を手にする。
 運転を代わった少年のネコミミフードが風で外れる。阿木 慧斗(ga7542)だ。
 阿木はいう。
「速攻で片付ける。船は使い捨てるよ」
 銀髪の美青年終夜・無月(ga3084)がこたえる。
「了解した。狙撃準備をする」
「いささか派手な展開だな。船で突撃、港に飛び降りて即座に攻撃する。どこかでみた覚えがある」
 御影・朔夜(ga0240)がスナイパーライフルから防水シートをはがした。
 阿木が付け加える。
「港は大事だ。物流の要だから。早く解放しなきゃ。それに船の人たちも」
 すると終夜が阿木の頭をわしゃわしゃとなでた。阿木はほほを染めると終夜の手を払ってネコミミフードで頭を守った。
「照れるな。阿木くんはよい子だ」
 御影は2人のやりとりに口角をあげた。
「ああ、もう。接敵するんだからね!」
 そう阿木がわめく。コンテナ船越しにクレーンドラゴンがコンテナを投げているのがみえる。船尾よりのクレーンドラゴンへ船首が向けられる。終夜と御影は狙撃を開始する。
「‥‥アンカーは基部に埋め込まれている。スナイパーライフルでは破壊不可能だ」
 そういう終夜に御影はこたえる。
「対物ライフルでもあればよかったんだがな。私は制御系のコードを狙うとしよう」
「アームの関節部も狙って」と阿木はサイエンティストらしくいう。「コンテナを投げるなんて動作を想定してないから損耗しているはずだよ。それに的も大きい」
「‥‥やはり阿木くんはよい子だ」と終夜。
「ああもう! 頭なでないでよ!」
「‥‥あまり笑わさないでくれたまえ。指が震えるのだよ」
 そういって御影は発砲する。口のわりには銃弾はクレーンドラゴンに命中し、火花が散った。電気系統が切断されてクレーンの上部にある赤色灯がきれる。
 阿木は視界を横に走らす。海上を5台の水上バイクが走っている。仲間だ。
「よし。上手く連携できそうだ」
 そういった瞬間、腹にこたえる爆音があがった。コンテナ船の腹部が吹っ飛び、燃える破片が海面に落下、水柱があがる。
「ほう」と御影がもらす。「既視感がある。速度をゆるめな。もっと出せ。次の攻撃が来るぞ」
 阿木は頭を下げたまま船をさらに加速させる。御影は狙撃を中止して伏せる。
「終夜も伏せたまえ。燃料の臭いがする。火がつけられるぞ」
 終夜が伏せた瞬間、海上が燃え上がった。船から流出した燃料が海面を覆い、燃え上がった。炎の舌が能力者たちをねぶりまわす。

●突破

 船体腹部が爆砕された。炎が横殴りに噴き出し、破片で水柱があがる。
 水上バイクに瓜生 巴(ga5119)が抱きつく。波打つ海面に翻弄される。
(「陸上を封鎖された以上、海上でなにかあるとおもいましたが、やはり!」)
 瓜生は仲間へ叫ぶ。ハンドサインも繰り出す。
「ハリィハリィハリィ! 第2攻撃が来る前に上陸して下さい!」
 海面に光の翼が広がる。覚醒した霞澄 セラフィエル(ga0495)が低空飛行する戦天使のように突撃する。誘爆を起こして破片が降ってくるが、回避運動をとらず加速することで落下地点から逃れた。水上バイクが波に乗ってジャンプ、空中に翼が広がった。
「瓜生、船体上部になにかいるぞ!」と崎森 玲於奈(ga2010)が叫ぶ。
 瓜生は船体を右から左へ走査した。
(「艦橋にはいない。コンテナ倉にもいない。いや、なにかいる。あれがフランツ・センスワンダーとやらか!」)
 コンテナ倉の男は丈の短い銃器を構えている。その先端になにか機器がついている。瓜生はグレネードランチャーと判断する。
(「まずい。いま打ち込まれたら燃料に着火する。この状況で狙撃はとても」)
「主導権をとるんだ。やられる前にやれ。私は対空防御する」
 崎森のエミタが高稼働する。双眸が青く輝く。同じ色の光が右手から刀に伝わる。
 瓜生は意図を理解して発砲する。同時に頭を下げる。
 瓜生の銃弾は破れた船体に命中して火花を飛ばした。その回りには流出中の燃料がある。もちろん一部はすでに気化している。
 海上が爆発した。
 崎森は瓜生を先導するように海面を走る。燃える破片が飛んでくるが、剣先で弾く。海面に影が映る。頭上に圧迫感のある破片が落下してくる。崎森の腕から剣光が迸った。破片は両断される。同時に剣圧で波が割れた。
 霞澄、瓜生、埼森はクレーンへ到達した。

●船上

 フランツ・センスワンダーは伏せたまま目を覆う。視界が真っ白い。2度目の爆発を直視してしまったからだ。
 燃料が海に広がってから着火するつもりだった。しかし能力者は燃料流出箇所に火をつけることで燃料の拡散を無理やり停め、海上に火が回るのを防いだ。
(「まさか能力者め、こんなに思い切りがいいとは」)
 センスワンダーはコンテナを支えにして立ち上がった。目をこする。マシンガンを強く握った。

 瞬天速!
 ジーン・ロスヴァイセ(ga4903)は覚醒、皺がなくなって若いころの姿に戻る。同時に水上バイクからコンテナ船上へ移動した。コンテナに身を寄せながら周囲を索敵する。
 敵の気配がないのでロスヴァイセは海上へ手をふった。
 エメラルド・イーグル(ga8650)が船上へ上がった。顔が煤けている。拭うと隈取りのようになってしまった。
「危ないところでした。それでは探索を開始します」
「頼んだよ。歳のせいかあたしは目が弱くてね」
「その冗談の出来、判定しませんよ」
「やれやれ。最近の若者は‥‥」
 2人は横跳びしてコンテナに隠れる。銃弾を浴びて盾にされたコンテナから火花が散った。ロスヴァイセが銃口を突きだして応射する。
 ロスヴァイセの銃が弾切れになる。合わせてイーグルが射撃する。イーグルのギュイターはホースから水をまくように弾丸をぶちまける。
「私の見立てでは罠はありません。頭を押さえているうちに捕縛して下さい」
「了解した」とロスヴァイセは再び瞬天速を使用する。姿がかき消える。
 影がコンテナの上を走る。銃声にコンテナを駆け抜ける音が被さった。
 ロスヴァイセはマシンガンを再装填中の男を発見、上空から奇襲をかける。
 男は銃口を突如出現した女に向ける。が、女の拳が一閃して腕の自由が利かなくなる。男は女の腕が右鎖骨のあたりにめり込んでいるのをみて失神した。
 ロスヴァイセは拳をセンスワンダーの身体から引き抜いた。
「やれやれだらしのない男だね」そしてスライムのまとわりついたクレーンをみて「あちらは面倒そうだね」

●クレーンドラゴン

 霞澄が水上バイクを加速、波に乗り上げて跳躍する。エミタが高稼働して光の翼が展開する。霞澄は水上バイクからさらに跳躍する。堤防で転がる。
 霞澄は立ち上がる。朝日に照らされて長い影ができる。影が唐突に大きくなる。クレーンドラゴンがコンテナを投下してきたからだ。反射的に前方へ跳んだ。さらにその前にコンテナを投下される。右か左に逃げようとして霞澄はクレーンドラゴンに動きを読まれてしまったことに気づく。
 クレーンドラゴンのあごが天使に迫る。
「オマエが破壊の意志を示すのならば、こちらからは絶望を示さねばなるまい。渇望の皇が剣を担う者として。‥‥紅蓮衝撃!」
 赤い閃光がクレーンドラゴンの首をなぎ払った。フレームが明後日の方向へ曲がり、まとわりついていたスライムの一部が剥落した。
 やったのは崎森だ。霞澄へ叫ぶ。
「ここは任せろ。電源を掌握するのだ」
「すいません。お任せします」と霞澄は姿を消した。
「近接して下さい。支援します」と瓜生がコンテナの影から叫ぶ。
 瓜生はコンテナの影から影へ移動しながら発砲する。崎森の接近する隙をつくる。
「やれやれ。効いている様子がありません。でもこれだけ大きいと外れなくて助かります」
 瓜生はつぶやく。コンテナのあいだから崎森がクレーンドラゴンに飛びついたのを確認する。銃を捨てて瓜生もまた近接攻撃すべく突進した。

●クレーンドラゴン2

 炎上する海をボートは押し割るように突進する。勢い余って堤防へ乗り上げて滑り、クレーンドラゴンの根本にぶつかって横転した。
 クレーンドラゴンはボートにくわえると、持ち上げてメリメリバリバリとかみ砕いた。
 ボートのエンジンが爆発してクレーンドラゴンの頭部が燃え上がった。
 3人の能力者の影が堤防に映る。
「‥‥アクセス」と御影の双眸が金色になる。「『双月の狼』を舐めるなよ。私と無月が組んで出来ない事などない」
「双月の狼の真髄をみせてやろう。いくぞ」
 御影と終夜の両手が跳ね上がる。それぞれの銃が火を噴く。竜の吐息のような銃撃を受けてクレーンドラゴンから無数のスライムが剥落する。
 阿木は落ちたスライムを電撃で焼き払いつつ、駆動系にも攻撃する。
「ハハハハッハハ。その流動体の身、何処まで削れば息絶えるか拝ませて貰おうか!」
「‥‥長期戦になるかもしれない。体力を温存するんだ」
 阿木が叫ぶ。
「敵の動きが鈍っています。霞澄さんがやってくれました!」
 コンテナをくわえたクレーンドラゴンの身体が傾げていく。
 クレーンの駆動音がなくなっている。電源を落とされて緊急停止したからだ。
 クレーンドラゴンはコンテナとスライムの自重をモーターの補助無しで支えられない。地響きを立てて横たわった。
「まな板の鯉だな」と御影が笑った。
 能力者たちは無力化したクレーンドラゴンへ襲いかかった。
 
●エピローグ

「やれやれ。終わりましたね。水上バイク、どうしましょう」
 瓜生は眉を寄せた。貸与された水上バイクは何台か沈没してしまった。スライムにまとわりつかれたクレーンをみると根本に見覚えのあるボートの残骸が転がっている。
 ロスヴァイセが瓜生の背をばしばし叩いた。
「たかだか始末書1枚や10枚やオペレーターからお小言をいわれる程度のことさ。大したことじゃない。気にするもんじゃないよ。若いんだから」
「ULTも決して裕福ではありません。この調子で依頼毎に高価な機材を消費するようならば、遠からず貸与申請の許可が難しくなるかもしれません。それは我々には死活問題です」ホークは無表情に続ける。「私のみるところ若者よりも老人のほうがおおざっぱです。死期が近いので雑事から逃げられるからでしょうか。それともすでに人生を楽しんだからでしょうか」
 ホークは無表情過ぎて意図不明だが、あまりの弁舌に瓜生は顔色を失う。しかしロスヴァイセは吹き出した、ホークは毒舌ねと。
 ホークは少しだけ口を尖らせた。
「毒舌ではありません。人生に関するシリアスな問いです」
 するとロスヴァイセはいよいよ笑い出す。こらえきれなかったらしい。ホークはかわいいといいながら能力者へいった。目尻に涙がたまっている。
「そろそろあたしたちは帰投しよう。傭兵は邪魔よ」
 能力者たちはうなずいた。
 港湾関係者たちは復旧作業を始めていた。ブルドーザーが瓦礫を取り除き、港湾関係者が配線を調べている。
 復旧作業の物音に紛れて能力者たちは姿を消すと、新たな戦場へ向かった。