タイトル:ももももももマスター:仁科 あずみ

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 24 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/03 00:47

●オープニング本文


 雨のそぼ降る夏の入口のこの季節。
 そう、アレのシーズンである。


 二人の子供が歩いている。学校帰りのランドセルを背負った少年二人ははしゃぎ回りながら笑い声を上げ住宅街を闊歩していた。
 始まりは、そんなよくある日常の風景からだった。
「‥‥‥あれ?」
「どうしたよ?」
 少年の一人が足を止める。それにつられもう一人の少年も足を止めると先に足を止めた少年が道の端をマジマジと見詰めていた。
「これって」
 其処にはぽよんとしたゲル状の丸い物体が鎮座している。微かに香るは桃の香り、少年二人の顔色がみるみる変わると、
『うわぁ!』
 そのゲル状の物体がひとりでにぷるるんと震えた。間違いない。
 最初に発見されたのは中国福建省、その後一度ここ町内会で出没しひょんな所から缶詰に詰まり能力者により開封、退治、食された―――
 バグアによる人類勘違いの産物、生で食べられるスライム「ピーチゼリー」である。
 ‥‥‥‥勘違いでなければ舐めているのだろう。ちなみに味は普通のピーチゼリーとなんら変わらない。
「すげぇー俺初めて見た。これ食えんだよな?」
「おいやめろよ、そいつ顔めがけて張り付いてくるし、キメラにはフォースフィールドがあるからピーチゼリーの調理は能力者と一緒にやってね♪ って、前の報告書のキメラ簡単オヤツレシピにも書いてあっただろ?」
「えーって……」
 不平の声を上げた少年の一人がぎょっと目を見開く。
「お前、後ろ……」
「え?」
 少年の刺した指の先にも又、ピーチゼリーがプルプルと佇んでた。すると、指さされた少年も驚きに目を見開く。
「って、お前、そっちにも!」
「え?ええええええ!!?」
 気が付けば、街のあちこちにピーチゼリーが大量発生していた。
「こ、こーいうときはどうするんだっけ?……」
「こーいう時は、アレだろ?」


 ―――――――助けて下さい
 UPC本部、電光板にその文字が躍るなりその場にいた能力者並びに職員が顔を俯け「又来たよ」と切なげに振る。だが、文面を読むにつれその場にいた者達があんぐりと口を開けた。
 依頼主は某所に存在する町の町内会。その依頼文面は以下の通りである。

 我が町内会にピーチゼリーが大量発生。発見した小学生二人によりすぐ様対応、町人には独自の連絡網とスピーカーによる警戒警報発令により即刻の退避を指令。
 作戦C、街全体が危険になっちゃったぜ作戦発動、危険レベルは2、市民は常に準備させている持ち運び可能な最低限の財産と防災袋を持ち各所最寄りの避難所に避難。現在全員の生存確認。退避場所は普通に暮らして三週間程の水と食料、物資を有しているが、相手はキメラなので此方が準備している防衛線がどの程度持つのかは不明。
 ちなみにキメラ駆除し終えたらUPC通してこの依頼の発信元に連絡下さい。それまではもう大人しく外出ないね。

 それじゃ、早く助けに来てね。

 準備いいなおい‥‥‥

 既に町内会のレベルを超えた避難っぷりに感心通り越して頭痛のしてきた能力者達が半眼で文面を見やる。CというならAもBもあるのかと気になる所だ。更に言うなら、ここにこうして通報があったという事はその避難所とやらに此方に連絡の取れる手段を準備していたという事だろう。比較的治安の良い地域の筈なのにこの周到さ。此処の人達はどうやら本気で何処までも助かりたい様である。
 そして最後の一文にはしかと彼等の強かさが現れていた。

 P.S狩ったキメラで食べられそうなのは残しといて下さい。

 ‥‥‥‥食べる気だ

●参加者一覧

/ 里見・さやか(ga0153) / 伊藤 毅(ga2610) / 夏 炎西(ga4178) / リゼット・ランドルフ(ga5171) / 玖堂 鷹秀(ga5346) / シーヴ・王(ga5638) / アンドレアス・ラーセン(ga6523) / 不知火真琴(ga7201) / 番 朝(ga7743) / 百地・悠季(ga8270) / 紫藤 文(ga9763) / 最上 憐 (gb0002) / 美環 響(gb2863) / 鳳覚羅(gb3095) / 矢神小雪(gb3650) / サンディ(gb4343) / ルノア・アラバスター(gb5133) / 天原大地(gb5927) / 商居 宗仁(gb6046) / フィー(gb6429) / 日向江 真輝(gb6538) / 安藤ツバメ(gb6657) / 相賀翡翠(gb6789) / ソリス(gb6908

●リプレイ本文

「ほら、打ち落としてみな」

 ぴと

 文の放ったソレがソリスの顔に張り付いた。
「!?」
 驚くソリスに進み出てくるのはさやかだ。
「ああ、張り付かれちゃいましたか!」
 言いながらオロオロしつつ手には物騒なマジシャンズロッドを構えている。
「!?」
 それを見るなりソリスが脱兎の如く逃げ出した。その背後をさやかが全力疾走で追い回す。
「駄目です逃げないで下さい! ‥‥くっ、こ、こうなったら頑張って追いかけます。元海上自衛官の名にかけて!」

 ‥‥其処にはちょっとした阿鼻地獄が展開されていた。


●♪♪♪キメラ・立食パーティースイーツ♪♪♪ 監修 町内会
 〜ピーチゼリー大量発生♪〜

「コレは、アレだ。俺が初めて受けた依頼の、アレだ‥‥!」
「はい、あれから早1年と4ヶ月‥‥ここまで人口に膾炙してくるとは思いませんでしたね」
「今回は食いやがるです? アンドレアス」
 初めてのピーチゼリー以下PJ発生地福建省に居合わせ慣れた感のする三人とは対照的に、新鮮な反応を見せるのは真琴である。
「食べると美味しい、ピーチゼリー‥‥ですか。なんか面白そうですねっ」
「はい‥‥私も、シーヴさんに『美味かったから食いに行かねぇです?』‥‥って誘われて、退治じゃ、なしに? っては、思ったんですが‥‥」
「私も以前、所属している小隊で食べた事ならあります‥‥確か、生食でしたね」
 答えたのはルノアに、遠い目をするリゼットだ。その様を、アンドレアスは微妙な表情で、シーヴは力強く一つ頷き、炎西は笑って眺めていた。その様をざっと見てふむと息を吐くと鷹秀が口を開く。
「まあ状況としては笑って過ごせるものでも無いのでキッチリ仕事をこなすとしましょう」
 それに「ええ」と頷いたのは響だ。
「傭兵とはクライアントの味方です。例えどんな依頼だろうと契約したら最善を尽くしますよ。ピーチゼリーが食べたいというのなら、その願い叶えましょう」
 するとレインボーローズ片手に微笑し、
「ここに告げる、イッツ、ショータイム!」
 そう言って薔薇を放ると、空から美しい花吹雪が舞い散った。


●材料捕獲!
 騒ぐさやか達を背景に、あるものでバリケードを張り小銃を構えるのは毅である。
「ここの治安が悪くなると、せっかくのストレス発散の機会が減ってs‥‥ナンデモナイデスヨ?」
 どうやら此処の治安が悪くなるとストレス発散の機会が失われてしまい困るらしく、彼は目に付いたPJを食える様に等と配慮せず撃ち殺していく。
 そこに顔にキメラを張りつかせたソリスが横切った。それにもキメラ目がけ一発容赦なく弾を入れソリスがその場に凍り付く。すると彼女を追っかけていた文とさやかが「よし!」と拳を握った。
「支援射撃行くぞ! たまらねーなおい!」
「ナイス毅さん! ほら、里見先輩は誠実だから信頼しなっ」
 その隙を狙って文がソリスを羽交い絞めにする。そしてくぐもった悲鳴が聞こえた気がしたがそちらには背を向け、毅は引き続きキメラを撃ち続けた。
 一方、食す事を考えキメラを駆除しているのはサンディである。剣で切り裂いて適当な場所に積み上げる彼女だが、その彼女にも文からポンと何かが投げられた。
「な!?」
 驚いて叩き落とすサンディだが、文を見やると、
「このぉ!よくもやったな!」
 彼女もまたブヨブヨしたものを鷲掴みにしそれを文へと投げ返した。だがそれは文には当たらずそのまま、
「きゃあ!?」
 さやかの頭にへばり付く。「あ!?」と声を上げた時にはもう遅い、さやかも又無言でキメラを鷲掴みにしている。
「逃げるのはキメラだ、逃げねーのはよく調教されたキメラだ! ホント戦場は地獄だぜ! ヒャッハー!!」
 枕投げならぬキメラ投げをしてのける彼等を背後に、毅が銃を乱射しながら叫んだ。
 ホント戦場は地獄である。


「ごめんなさい!」
「!?」
 此方は此方で修羅場っているのが、可憐な金髪を揺らし思いきりバトルブックを振り上げたリゼットと、顔にPJを貼りつかせた覚羅である。
「まさか床下に顔を覗かせた所を狙うとは、侮れませんねぇ」
 その後ろで呑気にそう言うのは炎西だ。住宅地の民家の庭、リゼットの「えい!」という掛声と共に、分厚い本が振り下ろされた。
 ぶよ〜ん
『‥‥‥』
 床に叩きつけられ落ちるゼリーを見詰め、数秒経過。
「俺‥‥生きてる?」
 覚羅がそう言うと、リゼットがほーっと息を吐いた。すると覚羅がアルティメット包丁を取り出し二刀流に構え微笑する。
「なら、此処から本領発揮、かな?」
 そうしてすぐ側のキメラに斬りかかる。
「とりあえず君達は一口サイズに刻んで上げるよ‥‥」
 そう言うとスパスパと手際よく一口サイズに切り分け、渡されたビニール袋に回収する。流石自称キメラ料理人、鮮やかな手つきである。きっと町民も大喜びだ。炎西も懐中電灯に電源を入れながら呟いた。
「植込みの影等も良く探しましょう、此処にキメラが残っていると町の人が帰れませんからね」


 一方こちらでは、気だるげに悠季が半眼で呟いた。
「よりによって初めての積極的に生身戦闘する依頼がこれなの‥‥」
「ずいぶんと‥‥うん‥‥頑張ろう」
 何かを言い掛けて小雪も口を閉じる。それに溜息を吐くと悠季が続ける。
「ももも〜とか自分の苗字と似通ってるからって衝動的に飛び込むものじゃないわね」
「‥‥それマジ?」
 翡翠が悠季をみやるが、悠季はヤレヤレと言わんばかりに首を振った。どうやらマジらしい。「あはは」と小雪が笑うと気を取り直す様にこう言った。
「立食パーティーか、皆喜んでくれるといいな〜♪」
「おうよ、今宵の蛍火はゼリーに飢えておるわぁ‥‥」
 大地は大地で、食べ物絡みの為妙に燃えている。そこにぽよんぽよんと音を立てて数体のゼリーが迫りくる。
『!』
 各々臨戦態勢、
「刃筋を立てて全力で振れ、だっけ?」
 翡翠が大地に軽く目を配らせると大きく剣を振るった。すると綺麗にゼリーが真っ二つに裂ける。
「ビンゴ! 刀は慣れねえけど、コツ掴みゃ何とかなんな!」
「示現の刃‥‥見せるッ!!」
 一方大暴れしているのが大地である。ずっぱずっぱゼリーを切り、ビニール袋に放り込んでいく。が、
 ぽよん
『あ』
 その大地の顔面にゼリーがジャストフィット。
「大地さん!?」
「付いちゃったのね‥‥いい? 動かないで」
 フライパンにゼリーを張りつかせた小雪と、今しがた流し切りでゼリーを仕留めた悠季が振り向く、が、大地はそれを手で制した。そして、
「この程度で俺をどうにかできると思うなッッ!!」
 自分で顔面を壁にがっつんがっつんぶつけだす。
「天原‥‥」
 それを「戻ってこーい」と言いたげな目で翡翠が見詰めていた。


「‥‥ん。ゼリー。おいしそう。楽しみ」
 憐がそう言いながらシャッターの締め切られた商店街を歩く。
「‥‥ん。カレー屋は。私が。護る」
 そしてどうも彼女が商店街に来た理由はコレらしい。頼むから他の店も守って頂きたいもんである。そこにざざざ、と何かが這ってくる音が聞こえた。
「来やがったです」
 ぽよん、と勢い良く跳ねたそれを振り向き様大剣でガード撃ち返し、一方ではルノアが勢いよく開いた傘でゼリーをガード。何とこちらは傘二刀流である。それにシーヴが「おー」と拍手を送っていた。
「しかし、傘で戦う日が来るとは思いませんでしたが」
 言いながら傘を振りゼリーをべちゃりと叩きつける。更にもう片方の手に持っていた傘を突き立て攻撃した。ふうと、息を吐くと憐がくるりと踵を返す。
「‥‥ん。私の。感では。あとあっちの。定食屋が。おいしそう‥‥じゃなくて。怪しいかも」
 憐がそう言って目を付けた定食屋の前へと走った。ほどなく、其処に震えるPJを発見。メニューの見本品の下に小さくなって佇んでいた。それを草刈宜しく、大鎌ですぱりと刈り取る。
「‥‥ん。捕獲。完了。どんどん。行こう」
 それを手際良くシーヴ達の準備したポリバケツに放り投げ、彼女は残りのキメラの索敵を始めた。


「俺、番朝だ、宜しくな」
 屈託なくにぱっと笑い、朝が挨拶する。それに鷹秀は柔和に笑うと「玖堂です」と名乗った「がんばるぞ」と意気込む朝に、にこにこと鷹秀が笑みを浮かべる。そして、
「お二人は何故又この町に興味を?」
 この町とは色々‥‥色々な鷹秀がそう尋ねると、フィーが訥々と語った。
「‥‥美味しそうな‥‥匂い‥‥したから‥‥」
 それに「ほう」と鷹秀が頷く。するとフィーがこう続けた。
「‥‥甘いもの‥‥大好き‥‥」
「俺は学校ってのが探検してみたかったんだ。っていっても、今はシャッター閉まっちゃって中は入れないけど」
 それに「そうですか」と鷹秀が頷くと、後方よりぽよんぽよんと緊張感の無い音がしてくる。すかさず三人が覚醒した。
 覚醒により突如表情の消えた朝が樹を振りまわす。だがそれより先に、
「出されたモンは残さず食うタチでな! 勿体無ぇマネさせんじゃよ!!」
 人格の変わり果てた鷹秀がまずは敵を練成弱体。
「‥‥凄く‥‥桃の‥‥匂い‥‥してる‥‥さっさと‥‥狩って‥‥美味しく食べる‥‥!」
 ククリナイフを持ったフィーが前線を務めた。


「さって、食z‥‥じゃなくてキメラはどこかな?」
 鳥居をくぐり意気揚揚と辺りを見回すのはツバメだ。どうやら此方でもPJは食材扱いの様だ。
「俺、できるなら機械剣aを試してみたかったんだけど」
 真輝がそう呟くと「話だと、熱通すと柔らかくなっちゃうんだっけー?」とツバメが返した。
「うん、焦げ付かせるわけにはいかないし」
 そう言って真輝が苦笑するとツバメが屈託なく笑う。
 言うと同時に、二人の前にポヨンとPJが現れた。それにツバメが瞳を輝かせる。
「まずは一品‥‥じゃなくて一匹目!」
 素早く覚醒しそれに距離を詰め殴りかかると、ゼリーは勢い良く跳ねツバメの攻撃をかわした。そしてそのまま真輝の顔に、
 ぴと
「ひなっち!?」
 ツバメが勢い良く振り返り、そちらへと向かう。
「!」
 何かを言おうと真輝が声を出すが、驚きとゼリーのせいで言葉にならない。ツバメがそれにぐっと拳を握り、
「待ってて、今すぐって、え?」
 叩き落とそうとするが、真輝が首を振るとツバメの手に自分のアーミーナイフを握らせる。
「解った! 後は私を信じて!」
 受け取ったナイフを握り、ツバメが勢い良く振り被った。


 高校の門の前を歩くのは響である。
「私達の持ち場は此処ですね」
 歩きながらそう呟く横で、ひたすらにこにこしているのは宗仁である。
「はい、上手く回収しましょう」
 そう言ってPJを持って帰る為のトレーとラップが光った。商居 宗仁、彼の目的はPJの商品化。とは言っても安定して供給できるものではないので商品化するには無理がありそうだが、それでも彼の眼は商魂に輝いている。それに響が付け加える。
「およそ50匹ですからね、残さず駆除しませんと」
「なに、ピーチゼリーの在庫整理と思えば何のことはありません」
 清々しく宗仁が言うと。「それは頼もしいですね」と響きが微笑した。
 そこに忍び寄る、桃の陰。
 すると響がレインボーローズを取り出し振る。舞う花弁の中、その手には何時の間にやら武器が握られていた。
 一方、宗仁はにこにこと大鎌を取り出した。
「それではいきましょうか」
「ええ、労災だけは気をつけましょう」
 そう言うと、二人は覚醒した。


 役所近辺の、道の隅やジメジメした所をひたすら追っているのはアンドレアスである。
「特殊部隊との作戦経験を活かす‥‥って程じゃねぇか」
 ぼやきつつ、湿り気を追う。ふいに「なあおい」と真琴に話を振った。
「はい?」
 真琴が返事をすると、アンドレアスが話す。
「去年の夏、俺は依頼中に2人の怪我人を救助した1人は軽傷の子供、1人は瀕死のオッサン。オッサンは練成治療をかけても意識を取り戻さなかった」
「はい」
 ここにもいないか、と心中呟きながらアンドレアスの話に耳を傾ける真琴。
「夜間だし動くのも危ない。子供の気を紛らわす為に面白キメラの話を沢山してやった。そしたらPJの話になった所で‥‥」
 噂をすればなんとやら、そこまで話した所でぽんよぽんよと間の抜けた音が聞こえてくる。
「来ましたねっ!」
「ああ」
 話を中断する二人の前には、三体のPJが現れた。すぐ様アンドレアスが練成弱体を掛けると真琴は勢い良く雲隠れで串刺しにする。二人は残る二体の攻撃をかわすと、立て続けにそのまま残りの二体も片付けた。
 そして、真琴が促す。
「それで? どうなったんです?」
「チャイニーズは逞しいな、なんつってオッサンが起き上がったんだよ」
 そう言ってため息を吐く。とはいえ此処町内会ジャパニーズも逞しい。結局の所食欲に国境は無いのだろう。二人は駆除したゼリー食べられる様回収した。


●パーティーです
 互いに無線を使って連絡を取り合いそれぞれのキメラを駆除した事を確認した能力者達はその旨ULTに連絡。町内会に結果が報告された。
 報告された町民の対応は早かった。受け取ったキメラを素早く、以下省略するが、宴の準備を整えると料理と共に調理したピーチゼリーを並べる。
 その中には能力者が創作した者も混ざっており、
「例のあれ、再現してみましたよ。どうですか、今度は?」
「‥‥決めた。食う」
「アスさんっ、これも美味しそうですよっ」
「出来れば、お土産用に少し分けて頂きたいのですが‥‥」
 上から、元祖ピーチサンデーをお盆に並べた炎西、アンドレアス、真琴、リゼット。
「あ、私も欲しいな。すみません、タッパーとかあります?」
「え? 本気? それ、美味しいの?」
「人‥‥いっぱい、で‥‥食べると‥‥幸せ」
 ツバメ、真輝、フィー、
「ハート、星、雪の結晶。各種取り揃えておりますよ」
「あ、こっちにも! じゃあ俺星ね!」
「美味しい。キメラって、こんなに美味しいんだね」
「‥‥がつがつむしゃむしゃ」
 調理に参加したさやか、朝、サンディ、狩る時に一切配慮の無かった毅が遠慮なく食べまくる。
「‥‥ん。おかわり。おかわり。どんどん。おかわり」
「それでは頂きましょうか」
「材料がアレなキメラでも俺にかかればスウィーツに早替わりだよ」
「桃」
 憐に響、自作の料理を差し出す覚羅に翡翠である。
「これは職人技っしょー」
「‥‥器用なんですね、すごいです」
「無事回収できて何よりです」
 プルプルのバラを作った文にソリスが歓声を上げ、鷹秀が息を吐く。
「美味しく、作り、ましょう、ね」
「‥‥ふむ、やっぱ美味ぇですよ」
「料理お待ち〜自信作だよ〜」
「なんっっでカレーがどろぶよどろぶよしてんだよ!」
「そっちは? 料理いる?」
 ルノア、シーヴ、小雪、大地、配膳をしている悠季。

 そして、その少し離れた所で、
「使ったら清掃する、基本でございます」
 宗仁が食べられそうにないキメラの掃除をにこにこしながらこなしていた。