タイトル:JaFaustNeinSES04マスター:成瀬丈二

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 14 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/16 22:36

●オープニング本文


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 いつもの市長の執務室に、一本のメールが転送された。
 転送元は市立病院の患者用のアドレス。差出人はメルジーネ・モーゼルだ。
 中身を一瞥もせず、市長は言った。
「傭兵に頼め」
「あの‥‥中身は?」
 と、秘書が確認しようとすると、その手を振り払い駄々を捏ねる。
「知らない。知りたくもないわ」
 せっかく、射程外に、列車砲傭兵団“アイゼンファウスト”の主砲である、口径80センチメートル列車砲『アルベリッヒ』を追い遣り、胸をなで下ろしたばかりだというのに、向こうの方から厄介事を持ち込まれるのはごめん被る、というのを幼児的に表現したのであろう。
「そう言えば、メモにファフナーが来るとか、500メートルのドラゴンとか、イロイロあったそうですが? その関係では?」
「我が市に戦力はない。警官のショットガンなどキメラは屁でもないからな───だから、傭兵団に頼む」
 そこへ消防署からのホットラインが繋がった。
 西の方からヘルメットワームが3機潜入しているとの事。全体に頭骸骨を思わせるフォルムを持つ、紺碧の機体。並びに鋭角的なシルエットを持つ銀色の機体が2機であるとの事。
 その骸骨の様なというの聞いて市長は震えだした。
 Черл───ロシア語で頭蓋骨と。
 その紺碧のヘルメットワームはロシア方面で猛威を振るった機体であると市長は知っていた。
「被害を最小限に食い止める為、ナイトフォーゲルの投入を要請───ほら、何にしても傭兵は必要じゃないか?」
 そう言って市長は肩を竦めるのであった。
 目的はヘルメットワームの撃退。周囲への被害は最小限に食い止める事。
 ミッション15スタート。

●参加者一覧

御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
斑鳩・眩(ga1433
30歳・♀・PN
ブレイズ・カーディナル(ga1851
21歳・♂・AA
崎森 玲於奈(ga2010
20歳・♀・FT
緋室 神音(ga3576
18歳・♀・FT
忌咲(ga3867
14歳・♀・ER
南雲 莞爾(ga4272
18歳・♂・GP
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
緋沼 京夜(ga6138
33歳・♂・AA
藍紗・バーウェン(ga6141
12歳・♀・HD
ヴァシュカ(ga7064
20歳・♀・EL
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
レイアーティ(ga7618
26歳・♂・EL
美海(ga7630
13歳・♀・HD

●リプレイ本文

「初のナイトフォーゲル戦の実戦なのですよ。どきどきするのです」
 と、美海(ga7630)が蒼穹の中、愛機のナイトフォーゲルR−01から幼いながらも、緊張を隠せない口調で各ナイトフォーゲルに通信電波を飛ばす。
 その言葉を受けて、周防 誠(ga7131)が───。
「参ったね、最初からそんな逃げ腰じゃ、勝てる戦いも‥‥勝てなくなる」
 そして、一呼吸置き。
「生き残った奴が勝ち───だ」
 御影・朔夜(ga0240)がその会話に対し無造作に割り込む。
「それくらいで。もうすぐ、接敵予定座標───来た。各機、予定通り、髑髏、銀色A、銀色Bにエンゲージ」
 骸骨という意匠が朔夜にはドイツ第三帝国武装親衛隊を連想させた。しかし、SSは独自の指揮系統であって、陸軍ではない。
「こんなヨゴレ仕事ばかり回して、あのヘタレ市長‥‥一回ぶん殴ってやろうか」
 斑鳩・眩(ga1433)が銀Aに向かう一同を代弁して、スロットルを開ける。
「なるほど、こいつは一筋縄には行きそうにないな。
 被害を最小限に‥‥‥ってのも結構難しい注文だぜ。だが、それでもやって見せねぇとな」
 意地を見せ、ブレイズ・カーディナル(ga1851)がナイトフォーゲルR−01で、眩と、南雲 莞爾(ga4272)の血を思わせる紅い色のナイトフォーゲルH−114で三機編隊を組む。
 そのままブレイズは紺碧の機体と銀色の鋭角な二機の間に威嚇射撃を試みるが、間合いを見切られて、編隊に動揺はない。
「こうなりゃ無茶するしかないか?」
「死に急ぐな。上も下も、右も左も敵だらけ‥‥‥だからな」
 電波妨害を試みながら、莞爾はホーミングミサイルを飛ばす。そのジャミングの合間を縫って、銀色の鋭角の機体からフェザー砲が発射され、ホーミングミサイルを撃墜する。
「ちょっと無茶をする。やってやるぜ!」
 と、ブレイズが凶器と化した翼を広げ、ブーストを掛け練力全開でナイトフォーゲルR−01で突進する機会を伺う。
「こちら『Garm』、ブレイズ、チャンスはこちらで創るから‥‥創るから、死に急ぐな。物理攻撃にシフト! セット『スナイパーライフル』」
 高分子レーザーが鏡面で虹の如く、散乱していくのに焦りを感じながら莞爾とブレイズは兵装を取り替え、地獄の猛犬の如く、攻勢に出る。
「ちっ、電子戦では向こうが一枚上手か。ならばスナイパーライフルで───」
 銀Aと銀Bは比翼となり、髑髏が遠距離から撃ってくる。彼らの慣性制御は人間の到達できる制動能力を超えていた。
 崎森 玲於奈(ga2010)が、ナイチンゲールで髑髏に追尾しようとH−12ミサイルポッドから、小型の高機動ミサイルを撃ち放ち、無数の炸裂の合間を縫う様にして接近。
 そして───驚愕。髑髏は全てのミサイルを無駄のない機動で避けていた。
「電子戦は───どうなっている!?」
「相手がエース機だろうが、こっちもそう簡単には落ちたりしないわよ。
――――『Iris』エンゲージ!」
 緋室 神音(ga3576)がディアブロで近接しようとするが、向こうは逃げ水の様に、変幻自在の攻撃をしかけてくる。
 敵と同じ高度を維持しようとする神音は歯ぎしりしつつ、自分のAIに指示を下す。

「――――見きれない? ならば、アイテール『アグレッシブ・フォース』起動。当てるわよ!」
 UNKNOWN(ga4276)がその声をレシーバーを通して聞き、待ったをかける。
「2秒待て、G放電装置で隙を創る」
「誰だ?」
「―──私かね? 私は‥‥13番目の傭兵だよ」
 レイアーティ(ga7618)が、H−12にタイミングを合わせて、攪乱していた、牽制を主目的なG−01ミサイルや短距離高速型AAMに加えて、G放電装置は攻撃を受けている味方機の援護など、緊急を要する場合に使用するつもりであり、今、今こそがその時であった。
「やらせませんよ!」
 電磁場のフィールドが干渉しあい、空気中に異様な光が溢れる。
(音声機械的に変声されてる? それだけ氏素性を知られたくない、という事か)
 ヴァシュカ(ga7064)が朔夜とロッテを組み───。
「‥‥髑髏のヘルメットワーム‥‥強そうですね‥‥でも、気圧される訳にはいきません‥‥ヴァシュカ出ますっ! fleur du fleur(覚醒)」
 勿忘草色の機体が髑髏側にエンゲージしようとする。
「‥‥あらゆる状況を考えて、動じぬ心の手練れたれ‥‥Sleight of Mind」
 藍紗・T・ディートリヒ(ga6141)が、緋沼 京夜(ga6138)がエンゲージするのにタイミングを合わせ───。
「やはり京夜の側が一番落ち着く」
(ロシアを荒らした噂のワームが敵さんか。
 必ず倒せるなんて言い切るほど驕っちゃいねえが、都市は必ず守りきってみせるぜっ。
 翼並べる悪魔の力───見せてやる!)
「一気に決めるぞ、京夜!」
 藍紗と行動タイミングを合わせ、藍紗のアグレッシブフォースと高速対空ミサイル。京夜のアグレッシブ・フォースのG放電を重ね当てし。物理と非物理の高威力同時牽制を行う。
「アグレッシブ・フォース展開! 3・2・1!」
 だが、それすらもフェイントに過ぎず、フェイントで隙を作り、連続でアグレッシブフォースと集積砲、藍紗のアグレッシブフォースと粒子砲を撃ちこむ。当たりさえすれば最強の攻撃である。ただし、こちらにはUNKNOWNのサポートがあるのだ。
「ツインフォースストライク!!」
(うーむ、最近のバグアは3機編成のエースがはやりなのかのぅ‥‥先日の三つ子の悪魔といい今回といい‥‥じゃが、こちらとてやられ続けているわけではない‥‥我と京夜が、翼並べるとき‥‥負けは無し!)
「全力全開! 手加減抜きじゃ!」
 必殺のツインフォースストライクが呻って光る、バグアを倒せととどろき叫ぶ!
 フェイントも含め都合4発の波状飽和攻撃で髑髏は沈んだ。
 忌咲(ga3867)が、銀Bを銀Aとの連携を崩そうと。
「KV戦闘か。あんまり得意じゃないんだけど、まあ修羅場は伊達に潜っていないという事で、美海さん、誠さん行きますよ」
「ぎゅいにゅーー、怖い怖いのですよ〜」
 美海は急激なGで顔面歪みまくりで、顔を引きつらせつつ。高Gで特注のシートに体を沈み込ませる。そこへ誠が声をかける。
「怖いのはみんな一緒です。要はそのまま倒れ伏すのか、自ら立ち上がるかの違いです。でも、あなたにはみんなという差し伸べてくれる手を出す仲間がいるじゃありませんか?」
「じゃあ、頑張ります。誠さんのその手を信じて───ラージフレア射出。こっちの方に攻撃寄ります様に」
 忌咲を狙っていたポジトロン砲がラージフレアをねらい打つ。
 その隙にと、スナイパーライフルで銀Bの機体を削っていく。
(後は電子戦頼りか───)
「当たれ!」
 銀Bに対して、誠の虎の子である高速型対空ミサイルが先端を対空摩擦で真っ赤になるまで熱せられながらも命中。
 髑髏を潰され、不利と見たのか銀Aと銀Bは一同から離脱しようとする。

 皆が追うべきか否かを考えたが、ヴァシュカが、マドーナ市のレンネンカンプ市長から下された依頼内容は撃退であって、殲滅しろという事ではないと確認する。
 無駄弾、燃料をそこまでは面倒は見てくれないだろう。いいとこ勲章でもくれる位か?

 誠が飛び去った彼方を強化された双眼鏡で眺めていると、閃光が一瞬走るのが伺える。レーダーではフォローしきれないが、覚醒した誠の目と強化された双眼鏡の視界には全長500メートルの黒い竜が、銀色のヘルメットワームを1体は鷲掴みにし、残り一機に食らいつき、そのまま口からはき出した全長100メートルに及ぶ炎で嘗め尽くす様が伺えた。
「───なーに、ギガワームに比べれば可愛いものさ」
 誠の表情筋が強張っていく。
「どうしたの誠? 大丈夫?」
 忌咲の言葉が響いた。
 これが巨竜の伝説の始まりである。