タイトル:和歌山茜の帰郷マスター:凪池 シリル

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/08/21 19:09

●オープニング本文


 認めよう。私はとても幸運だった。
 故郷がバグアの手におちたその日、たまたま家族で九州の田舎に遊びに来ていたということは、他の災厄に巻き込まれた人たちから見ればとてもとても幸運なことだったんだろう。
 そのことに、反論や不満を述べるつもりなんて何一つない。
 ただそれでも――。
 遠めに撮影された、蹂躙された街並みの風景を一つ見せられて。もうかつての家に帰れない、と突然言われたそのことに、納得がいかない気持ちがずうっとあった。
 どうか一目でいい。私の街が、家が、どうなったのか。せめて自分のこの目で確かめられたら。
 そんな気持ちがずっと心のそこにあり続けて――だから、私はUPC軍に志願した。
 都合のいい幻想なんて抱いていない。
 実はあの写真は危険地帯に近寄らせないための捏造で、実は私の故郷は奇麗に残ってて、家も実は無事でした、なんて奇跡を期待しているわけじゃない。
 きっと私の町はあの写真の通りに、あの写真以上に、破壊され、失われている事実を知るんだろう。
 それでも‥‥――

 そう、思ってたけど。
 いざそのときが来てみると、結構怖い。
 失われた故郷。その姿を目の当たりにしたとき、私は平気でいられるかなあ?



 ってことで、一見シリアスな空気にあれっと思った皆さん、お待たせしました天の声です。ちゃんとご期待通りに現れますよ。
「ようこそ、和歌山軍曹。秋葉原を中心に貴女の話は少し耳にしてるけど――まあ、やる気のある、能力者の戦力は歓迎するわよ」
 今回、舞台は関東軍基地。指揮官も九州にいたおっさんじゃなくて女性の中尉さんです。
「さいたま市を本格的に攻めることになったわ。と言っても今回はいわば前哨戦だけど」
 連動作戦として発動してた東京開放作戦の舞台にもなったさいたま市っすけど、まだ全然攻略には程遠い状況みたいっす。
 新宿が開放されてトップの敵司令官さんがいなくなった分、今、関東のあちこちは統率を失ってキメラやバグアさんが大手を振って闊歩したり徘徊したり。
 さいたま市も、破壊しきれなかった敵施設がまた復活の兆しを見せてるみたいっす。
 完全に前回の勝利が無駄になる前にたたきたいって話っすね。
「そのためにひとまず、付近のキメラを少しでも減らして突入の足がかりを作る。それが今回の作戦概要よ。貴女は‥‥友軍的な立場がいいでしょうし。これまでと同様、傭兵達と連携して、前後の連絡と報告を担当して頂戴」
 ちょっと扱いに困るかのように士官さんは茜さんに言います。
 まあ文句言える立場でもないんで、茜さんはぴしりと敬礼して命令に従います。

 ‥‥で、なんだ、結局真面目な話になってるじゃん、とお思いかもしれませんが。



 ぐびっ、ぐびっ、ぷはーっと。喉越しのいい音が響きます。
「ひょほ? 人類軍どもに動き?」
 ビール缶片手に、丸い人影が、報告してきた人員に聞き返します。
「ひょほほ。そうかー。このわしのテリトリーに踏み込む不届き者が。ひょほほ、よかろう、久しぶりの釣りを楽しむことにするかのー」
 言って丸い人、腹をゆさゆさ揺らしながら立ち上がります。

「ひょほー! 愚かな雑魚どもは、この与野七禍神衆が一人、『吊り上げ』の恵比寿が始末するかのー!」

 あー‥‥。
 なんか出てきた。
 なんか変なの出てきた。
 そんなわけで、所詮、フレイムバレットの依頼でした。

 よろしくお願いします。

●参加者一覧

ベーオウルフ(ga3640
25歳・♂・PN
鐘依 透(ga6282
22歳・♂・PN
クリアランス(gb6161
17歳・♀・FC
ファリス(gb9339
11歳・♀・PN
セラ(gc2672
10歳・♀・GD
黒木 敬介(gc5024
20歳・♂・PN
片山 琢磨(gc5322
28歳・♂・GP
アルテミス(gc6467
17歳・♂・JG

●リプレイ本文

「や、キレイなおねえさん。暇だったら俺と遊ばない。軍隊の中ばっかりだと息が詰まるでしょ?」
 黒木 敬介(gc5024)は、軍と合流するなり、きれいどころを見つけてはナンパに精を出している。
 だが、軽薄を装いながらも――いや、100%芝居、というわけでもないのだろうが――良く見れば、彼の瞳にはこの後の戦いに向けた意思が常に見え隠れしている。
 軍人の家系である彼の両親も、今、東京で戦っている。近郊のこの戦場で戦うことは、そのまま両親の支援になると考えていた。
 それに、気付いているのかいないのか。
「‥‥ふふ。そうね。遊ぶ暇を作ってくれることを期待しているわ?」
 作戦指揮をする女性中尉は、唇に綺麗な笑みを形作って答えた。
 ひとまず満足して、彼は和歌山 茜(gz0402)にも視線を向ける。
 だが、二人の少女がその近くに居るのを見て、ナンパは自重する。
「茜姉様、今回もよろしくお願いしますの」
 少女のうちの一人、ファリス(gb9339)はいつもの通り天真爛漫に茜に挨拶している。頑張るの! と張り切る彼女に、笑顔で宜しくね、と答える茜の表情は、いつもよりどこか固い。
 その茜の表情を一度ちらりと見て、それから遠い風景に目をやるのはは鐘依 透(ga6282)。
(酷いよな‥‥)
 内心で呟く。透は本来、戦いは憎むほど嫌いだ。それでも、矛盾を抱えながら彼は戦場にやってきた。故郷の人がまた笑えるように尽力したい、と。
(早く戦後の戦いがしたいな‥‥ドンパチなんて終わらせて‥‥)
 願う彼の横で、ちょうどベーオウルフ(ga3640)が「埼玉か、久しいな」と零していた。
 ベーオウルフは、生まれは本人も知らないが育ちは埼玉だ。
 侵略された時、彼はすでに傭兵として世界を回っていた。戻るのは10年ぶりくらいか。
(まぁ、それだけでそれ以上の感情は沸かないな)
 だがそこに、茜や、透が感じるほどの感慨はないようだった。
「さて、早々に終わらせるか」
 淡々と述べる。彼はここで、あくまで傭兵だった。
「故郷かー‥‥スラム出身だから、あんまりいい思い出が、ね」
 最後にクリアランス(gb6161)がどこかさびしげに呟く。
 ――穢れているからこそ浮かべられる微笑もあるんだよ、と。



 ‥‥と言ったあたりで、真面目シーン終ー了ー!
 はーい、こっからはあっし、天の声でお届けしますよー!
 ってなわけで細かいシーンははしょって戦場! 戦闘開始直前!
 となりますとまず。
 ざっと地面を踏みしめる音と共に、現れる三人の影。

「天を覆う闇のヴェールを、光の弾丸が穿つ!」
 ばっと空に向けられる右手の拳銃。赤いスカーフとワンピースの裾が翻り。そして最後に左手で、ぽふんと軍帽をかぶりますれば。
「魔弾少女隊、マジカル☆リボルバー! フレイムバレット! さぁじぇんと・ぷりずむー!」

「闇に覆われしこの世界を貫く、正義の光の一閃!」
 ちゃき、とナイト・ゴールドマスクを装着すると同時に、柔らかな光と共に現れる天使の羽。
「光に導かれ、魔槍少女ファリス、ここに参上なの!」
 そして、槍を振り回して決めポーズ。
「立ち塞がる敵はこの槍で一撃必滅なの!」

「光の旋律身に纏い。煌く拳を天に掲げる!」
 身にまとうはきらめく金色の衣装。その周りに水晶の粒が浮かび上がっております。背中からも水晶が現れ、それが羽根の形をかたどれば。
「魔奏少女(Ver.ナックル) シャイニィ☆リリック」
 決めポーズと同時に、周囲の水晶の一つがはじけて、「リィィン」とかなりました。
「悪い子は浄化のリズムでK.Oするぞ☆」

 そんな茜さんとファリスさんとセラ(gc2672)さん――セラさんは今アイリスさん。
「ああ、いつものことか‥‥」
 呟いたのは片山 琢磨(gc5322)さんっす。ええ、いつものことっすね。そろそろこの三人の登場バンクシーンにしてもいいんじゃないかと思うっす。
「へえ、そういう覚醒なんだ。大丈夫。俺は気にしないよ。可愛いね」
 優しい声でいうのは敬介さん。染みるっすね。後から染みてきそうですね。いろんな意味で。
(さて‥‥あの辺はどうしたものか)
 ベーオウルフさんは、アレらに触れたものかそうでないか、わりと真面目に考えていました。
「うわぁ、うわぁ、うわぁー♪」
「いいなぁ、魔法少女。ボクもなりたい! んー、どんな呼び名がいいか一緒に考えてね♪」
 そんな中いまだ興奮される方もいるようです。楽しげな声を上げたのはクリアランスさんとアルテミス(gc6467)さん。
 お二方とも、そこまで他意はなく素直に面白がっているようです。
「うんうん、期待以上の楽しそうなお姉さんだね♪ ‥‥さーて」
 ですがクリアランスさん、そこで覚醒するとスッと目つきが変わります。
「ボクも、楽しまなくちゃ‥‥ね?」
 言葉がねっとりとした艶を帯びます。
 ちょっとした手足の動きにもどこか色っぽさを帯びていくっすね。絡め取るような視線を、キメラたちに向けていきます。
 そうなんす。ここ戦場でした。アホなことやってないでそろそろ戦闘開始っす。
 魔法少女(一名(?)つき)御三方が目立ったおかげで敵、集めまくってるっす。まあ殲滅任務としてはいいのかも知れねっすけど。
 そんなわけで、敵に突っ込んでいく一同。
 主に突っ込んでいくのは魔法少女三人です。
「フレイム・バレット! ファリスが援護するから思う存分戦うの!」
 っていうか、茜さんが突っ込むからそうなるんですな。毎度フォローご苦労様っす。
 茜さんが二丁拳銃で目の前の敵に銃弾を叩き込み続ける中、ファリスさんが遠くから来る敵にエアスマッシュを放って気を引きます。
「必殺! シャイニィ☆インパクト!」
 セラさん、ってかアイリスさんは、別の敵に張り付きます。なんか今日はいつもに増してノリノリ?
 しかし悪ふざけしてるかと思いきや、これで冷静に相手の挙動を見て、ウォーターカッターの発動に合わせて横面をはたき、狙いを逸らしたり、攻撃一手一手も弱点を探しながらと侮れねえ動きしてるんすよこれが。
 透さんも、はじめは銃で牽制しつつ敵に近づくと、アイリスさんと同じく主にウォーターカッター使用時の挙動に合わせて戦ってるようっすね。
 まあ体当たりの時は口閉じる、ウォーターカッターの時は大きく開けると、良く見てれば分かりやすい合図はすぐに見つかるっす。キメラがそれを利用したフェイントなんて高度なことしてくるはずもなく。相手の攻撃特性に合わせて回避、しかる後に側面に回り込んで反撃、の流れがあっさり組み上がります。出来ればウォーターカッターの発動直前に攻撃して内部爆発‥‥なんてのも狙ってたみたいっすけど、さすがにそこまでのんびりした挙動ではなかったっすね。
 琢磨さんは己の機動力を生かすよう、周囲に障害物が少ない所に陣取って、やってきた敵を迎撃してるっす。ウォーターカッター対策は一撃離脱戦法。一撃当てると即座に相手の射線から外れます。正面に立たねえってことは、体当たりの的にもなりずらいっすね。上手く敵の反撃を逸らしつつダメージを重ねてるようっす。
「あはっ♪」
 その、琢磨さんの長身の影から、クリアランスさんが不意打ちでエアスマッシュを放ちました。丁度、遠距離攻撃手段のない琢磨さんのサポートをする形になるッすね。囲まれたり側面からの攻撃を防いだりと、隙を補う形で協力します。
「たまんなぃ‥‥濡れちゃいそ♪」
 そういう覚醒なのか、攻撃を重ねれば重ねるほど、なんだか挙動の艶っぽさが増して行ったりもして‥‥こう、段々と顔が上気していったり汗ばんだりなんかしてきてですね。は。あっしもたまらねえっす。
 ベーオウルフさんも、近接しつつも、どちらかというとサポート意識で、慎重に立ち回ります。武器を新調しただけに。‥‥すみません。
 右手の、篭手と一体化した剣は正確性を重視、まず当てることを第一目的として牽制と相手の体勢を崩しに、そうして、味方の銃撃と合わせて隙を見出すと、左の手甲からバンカーを繰り出します。
「ちっ、未改造ではこの程度か」
 手ごたえにちょっと舌打ちするベーオウルフさん。確かに武器の攻撃力としてはまだまだっすね。‥‥ご本人の攻撃力が十分すぎるんで、きっちりとキメラを仕留めていってるっすけど。
 敬介さんもフォロー気味の前衛。小銃とダガーでの応戦っす。キメラ相手に太刀筋をなるべくさらしたくないって考えみたいっすね。まあ実際、キメラ相手ならダガーでも何とかなる実力ではあるっす。味方に追撃する形で、確実にダメージを重ねていってるっすね。
 前衛系がそろう中、アルテミスさんはうしろでガトリングを撃ちまくってます。こちらは完全にサポート専念っすね。敵の数の多さを踏まえて、倒すことよりも弾幕により動きを鈍らせることに集中。各個撃破は完全に前に出た人にお任せ。この割り切りは中々きっちりと、いい仕事してるっす。
 そんな感じで順調にキメラを駆っていく一同。目に見えてその数が減っていくっす。
「天界でもごく一部しか知らないリリックの可能性」
 戦いも終盤が見えてきたあたりで、アイリスさんがなんか高らかに言い始めました。
「シャイニィの力に合わせる事は出来るかい、フレイム・バレット!」
 合体技とか狙ってるようです。
「ふっ‥‥よかろうリリック、耳に刻むがいい! 魔弾軍曹の銃声の行進曲!」
 茜さん、二丁拳銃でタタタっと、何か一応それっぽくリズムを刻みながらキメラの動きを阻害する中、アイリスさんが近付いていきます。
「究極! シャイニィ☆コメットパンチ!」
 アイリスさんの攻撃で地に落ちるキメラ。
「処刑! サージェント☆スナイプシュート!」
 そこに、茜さんの銃弾による追撃が入ります。キメラはその一撃を受けて、ピクリとも動きませんでした。
 もしかして:アイリスさんの攻撃で死んでた。
 合体攻撃‥‥かな?
 いやまあ、茜さんもなんだかんだで周りに合わせるようになってきたとは思うっすよ、うん。

「終わりか?」
 やがて静かになってきた周囲を見渡しながら、琢磨さんが言います。あの、その台詞はフラグ狙いっすか。
「ひょほー! やはりキメラごときでは相手にならんか!」
 ほーら、そんなこと言うから終わらない。
「! エビス様なの! 何でエビス様が現れるのかな?」
 思わず槍の穂先で指さすファリスさん。まあ容姿は確かに、七福神の恵比寿に見えます。コスチュームだけなら。うんすんません、恵比寿様はこんなに胡散臭くないと思うっす。
「検討を讃えて、この与野七禍神衆の恵比寿が直々に葬ってやるひょほー!」
 言って手にした釣竿を振り回す恵比寿。
「神様の姿を真似るなんて、罰が当たる行為なの! ファリスがエビス様に変わって罰を与えるの!」
 ファリスさんが憤る横で。
(恵比寿‥‥連想できるのはビール、釣竿、鯛、水、鯨位なものか。敵の得物からして罠の使い手か? それとも‥‥)
 ベーオウルフさんは、相手の特徴からひとまず、特性を導き出そうとしますが。
「‥‥知るか。突っ込むぞ」
 ひとまずはそう結論して突撃していきます。
 罠ははまって踏みつぶせ、の漢探知っすね。その意気や‥‥実際の戦場では、あんまりよくねえかもっす。
 透さんもその時、同時に接近してました。釣竿糸に注意、軌道や背後死角には注意してたんすけど‥‥お二人とも、接近を果たす前に異変が起こります。
 手前20mのあたりで、足を絡め捕られた二人、そのまま片足から血飛沫があがると、次の瞬間ふわりと全身が持ち上げられ地に叩きつけられました。
 『罠』『釣竿』お二人の考えが合わさってればこの答えは導けた気はするんすけど‥‥ひとまず突っ込んでしまっていってはまあ、この結果になるっすね。
 透さんが立ち上がりながらはっと再び恵比寿に注意を向けるっす。釣竿だけじゃない、恵比寿の所持品は他にもあって、透さんはそれにもきちんと警戒はしてました。
 鯛を小脇に抱えているのが見えます。鈍器かキャノンか、と透さんは見ていましたが‥‥。
「鯛ビィィイイイイムっ!」
 放たれたのはビームでした。惜しい。とはいえ遠距離攻撃の予測は立てていたので、反応は可能です。足にダメージは追いましたが、回転舞を発動してぎりぎりで回避。
 と、それを庇うように敬介さんが前に出ます。
「ボスクラスの一人も倒せば女の子相手に株も上がるよね」
 軽口なんか叩きながら前進。
「軍曹、こいつ食ったら個人的に追加報酬出してよ。俺と一晩とかどう?」
「私と一晩‥‥? ふ、そうか、戦場ヶ原の一晩特訓コースを所望する若者がまだいたとはな! 良かろう、マジカル軍曹が全力で相手してやるとも!」
 うん、茜さん今これですから。タイミング見てまたどうぞ。まあ多分無理っすけど。
 やれやれと肩をすくめて距離を縮めていく敬介さん。警戒しつつ進みながら、ですが先ほどのお二方の活躍は決して無駄ではない様子、今回は、罠は先ほどので打ち止めでしょうか、接近を果たします。
 ファリスさんの援護も受けながら、敬介さんが挑むのは真っ向勝負。
 純粋に、自分の実力と相手の実力を比べようというもののようです。確かに情報収集と割り切るなら悪くない。
「ひょほっ?」
 もう一匹の隊を振り回しつつ応戦する恵比寿。鈍器正解です透さん。敬介さんの攻撃は当たる。ダメージは通るけど浅いっすね。
「くっ‥‥」
 そんでもって、相手の反撃。これもしっかり、機敏さには自信があるはずの敬介さんに当ててきます。そんで、敬介さんの防御にはかなりヘビィな威力が入ってますねー。
「! 強いの! 次の機会まで勝負は預けておくの!」
 状況を見て、ファリスさんが叫びます。
「逃がすかひょほっ!」
 当然のように恵比寿が叫びかえすわけですが。
「ひょほっ!?」
 直後、額に銃弾を受けてのけぞります。
 きょろきょろしますが、完全に不意打ちだった上にそう簡単には見つかりません。何せアンチマテリアルライフルによる250m離れた先からの超遠距離狙撃。
「狙撃屋さんは狙撃がお仕事♪」
 銃弾を放ったアルテミスさんがひっそりと呟いてました。
 ‥‥とはいえ超遠距離狙撃、そうそう錬力が続くものではなく。
 気付かれないうちにもう一撃放つと、前に出ていた面々は一斉に撤退を計ります。



 かくして、なんとか振りきりに成功。
 敵の情報をもちかえった一同っす。

「与野七禍神衆、ねえ‥‥七人、居るのかしら」
 報告を受けた中尉さんが呟きます。
「まあ、与野七福神巡りに合わせたなら‥‥居る可能性、高いですね‥‥」
 茜さん、念のため言っておくと軍服に着替えてます、が、俯きやや声を震わせて答えました。
 ちなみに声が震えてるのは予想される敵戦力におののいて、というよりは。

「覚悟してたとは言え、こういう蹂躙はやめろーーーー!?」

 嗚呼変わり果てた故郷。涙。