タイトル:【東京】魔弾軍曹in秋葉マスター:凪池 シリル

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/05/15 13:39

●オープニング本文


 ども、天の声です。
「――和歌山君。『東京解放戦』が発令されているのは知ってるね?」
 場所はとりあえず九州基地。話をするのはいつものおっさんです。
「当面は、ULTの傭兵たちを主戦力とし、大規模な兵力は動かさない形で展開していた等作戦だが‥‥横浜の解放を受け、UPCも各地域から戦力を集めつつあるわけ、だよ」
 話を聞きながら、神妙に頷くのは茜さんです。
「‥‥君は、志願する気はあるかね?」
「私が‥‥ですか?」
 茜さん、戸惑いの顔を浮かべます。行きたい気持ちと、自分でいいのかという気持ちですね。
 実はココで、茜さんがUPCに志願したのは故郷をバグアに追われたからだという裏設定。
 ちなみに関東方面ですが東京ではありません。詳しい話はあっしからはココまで。
 迷う茜さんに、おっさんがすっと書類を差し出します。
 とりあえず目を通す茜さん。

 ってか今回、タイトルでもう皆さん概ねの展開は分かってると思うんで、もったいぶらずにさっさと本題入っていい気がするんですね。

「‥‥で、これがなんなんですかっ‥‥!?」

『特別企画! 今度秋葉原の街で、ティピーリュースの新登場キャラの公開コンペが行われるゾ! ティピーリュースのライバルとなる、新機軸のヒーローヒロインが大集合! 今ここでしか見られないキャラも多数いるゾ☆
 ※ ちょっと危険なアクションも入るから、遠目に見るだけにしてね☆』

「‥‥潜入工作だよ」
「‥‥‥‥は?」
 まあつまり、秋葉原はバグアの支配で今かなり特殊な状況になっちゃってるんですな。
 ざくっと言うと洗脳で住民の大半が萌え脳と化しているわけで、『異端』な存在が入り込むと即ばれる上に民衆まで敵にまわしちゃう、と。
 なんで当面は、郷に入って郷にしたがえるというか、朱に混じって赤くなれる人が突入するしかなかろうと。
「‥‥‥‥で、まあ、前線担当官が、君の活動に関する報告書に非常に興味を持ってね?」
 まー、なんだかんだで傭兵の皆さんがノリ合わせてくれるパターンもそこそこあるしねえ‥‥。
「‥‥ぃやかましいわぁあああああああ!」
「しかし。言った通りだね? 今秋葉原に入れるのは萌え文化に対する理解やそれに合わせたデモンストレーションが出来る人間だけなわけだよ。そうでなければ‥‥一般人を、戦闘に巻き込む危険が高くなる。だとすれば、『振りをする』より『本気で出来る』人間が一人でもいたほうが、誤魔化せる可能性は高いとも言えるわけだ」
 沈黙する茜さん。
「このイベントも。とりあえず、この地に関してより詳しい情報が手に入れば、打てる手も増えるかもしれないと、そんなわけで、地元レジスタンスが頑張って工作した結果なんだよ」
「‥‥‥‥」
「君の力が、役に立つかもしれない。でも、どうしても嫌なら無理強いはしないが。答えは二択だ。行くかね? 行かないかね?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥とりあえず、作戦の概要をもうすこし聞かせてください」

 そんなわけで、フレイムバレットと秋葉原突入作戦ですよー。

●参加者一覧

雨霧 零(ga4508
24歳・♀・SN
キョーコ・クルック(ga4770
23歳・♀・GD
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
猫屋敷 猫(gb4526
13歳・♀・PN
ファリス(gb9339
11歳・♀・PN
セラ(gc2672
10歳・♀・GD
沙玖(gc4538
18歳・♂・AA
片山 琢磨(gc5322
28歳・♂・GP

●リプレイ本文

 さて今回、いろんな意味で大変な任務なわけですが、皆さん大丈夫なんでしょうか。
「コスプレついでに人助けができるなんていい仕事じゃないか♪」
 一部(キョーコ・クルック(ga4770)さんです)、むしろノリノリですかそうですか。
「‥‥ファリス(gb9339)もお役に立てるのかな?」
 一方、今回も茜さんの手伝いがしたいとやってきたファリスさん、幼いだけに『萌え』というものがよく分からいようで不安顔です。
 その装いはといいますと、フリルがいっぱいついたエプロンドレス。
「問題なし。黙って立ってるだけでもいけるいける」
 満足げにキョーコさんが太鼓判を押します。
「よかった! ファリス、頑張るの!」
 ほっとした顔のファリスさんの横で。
「ああうん‥‥その、余計な知識は入り込まないように‥‥フォローしてあげてね?」
 どこか気まずそうに、周囲の傭兵にぼそぼそとお願いしている茜さんでした。まあ、作戦中茜さんがフォローすんのは無理ですな。
 そんな作戦だかなんだかな会話をしつつ、間もなく秋葉原です。

 軍の車で中に入って何かあっては厄介と、手前で降りていく傭兵たち。
 ‥‥あ、いえ、一台、傭兵が用意した車はそのまま秋葉原に突入していきますね。
 なんかこう、小動物をモチーフにした、デフォルメかつスタイリッシュなマスコットキャラ―‥‥あー、有名な高速アクションゲームのやつですね、そのキャラを中心に、同じゲーム会社のキャラがボンネットやらあちこちにペイントされています。何と言うかその‥‥実にアレな感じです。美少女キャラじゃないのがギリギリ? まあその辺どう思うかはそれぞれの感性にお任せします。要するに。
「‥‥これぞ秋葉迷彩」
 ニヤリと仰るのは片山 琢磨(gc5322)さん。ちなみに、女性と閉鎖空間に一緒にいるのはご遠慮したいと比良坂 和泉(ga6549)さんが秋葉手前まで同乗してたわけですが、本当によかったんでしょうか。結局どちらがましだったのか、後で誰か聞ける機会があったら聞いといて欲しいところです。
 でまあその秋葉迷彩なんですが、秋葉っつったって痛車がそうポンポン走ってるわけでもないだろう、と普通は思うのですが、道行く皆さん、琢磨さんの車に対して一様に好意的な視線を向けています。なんつーか、疑いもせず一目で仲間と認めてるっていうか。不気味なほどにあっさり街を走破する能力者の痛車。
 ‥‥いや、実際異常なんすよこれ。とにかく「同族」と見なされればあっさり受け入れちゃってますここの人たち。一見ギャグなんですけど、‥‥洗脳、なんすよねこれ。
 異質さを理解しながら、とりあえずあっさりと目的地のビル付近の駐車場までたどり着く琢磨さんです。
 最初はコンペの同行者としてスタッフに近づこうとしたんですが、アニメのスポンサーでもない企業の会社のロゴが入った車でそれはちょっと無理があります。
「はいはい、気持ちは分かるから大人しく遠目で見ててね」
 とまあ、嘘で制作局に近づこうとするファンとみなされあしらわれ、付近の駐車場に待機することに作戦変更。

 一方で、街の一角でなんか始まったみたいです。
「漆黒の夜より舞い降りる孤高の黒鷲!」
 右手より現れたのは沙玖(gc4538)さん。なんだ、いつもの沙玖さんじゃないっすか。とは言わないであげてください。
 同時に語られる設定。
「ティピーリュース‥‥俺は貴様の味方と言うわけではない。ただ動物にとって良い環境を手に入れることという俺の目的の為に、今回は協力しただけだ‥‥」
 べたべたな台詞を吐きつつ黒マントを翻す沙玖さん。
『あー。なんかお約束お助けキャラって感じだな』
 遠巻きに見ている皆さんから批評が入ります。可もなく不可もなくって感じっすかね。
「俺は強い! 由に剣を持てば更に、二本持てばもっと強いっ!」
 台詞とともに披露される剣舞。
「高く舞い上がり、二本の爪で斬り割くっ! エクストリーム・ファイナル・ジャッジメント!!」
 絶好調で演技中です。ちなみに、やってるのはだたの二段撃っすけど。
『‥‥しかしあの、どことなく痛々しい台詞は狙ってやってんのかね? もしそうならある意味好感度高い』
『だが俺のリュースたんといちゃいちゃしたら殺す』
 ‥‥まあ、男キャラの評価ってのは、ここでは結局そこに落ちつくっすよね。

「蒼海の剣ディープソード、ただいま見参、ってな!」
 別の一角から、歌舞伎の見得に似たポーズと共に登場したのは和泉さん。
 こちらはその、なんでしょう。前回お会いしたときとは随分とキャラが。あの、大丈夫っすか。
 暗黒の仮面をかぶり、青系統の衣装でコスプレ。
 堂々と‥‥っていうか、なんだかんだでノリノリでやってる様な気が。なんだ、純情真面目青年と思ってたんすけどもしかして意外と‥‥?
「何、剣が見たい? ちょっと待て‥‥アレ、金具が」
 そんな和泉さんですが、颯爽と剣を抜こうとして意匠に引っかかったり、慣れないブーツで転びかかったりと、コミカルな動きを見せます。常に含みを持たせたニヤニヤ笑いも、意識して浮かべてるみたいっすね。
『こっちはわざと三枚目にしてるな』
『美形キャラなのにこれは結構面白い』
 なかなかに笑いを誘っているようです。
『だが俺のリュースたんといちゃいちゃしたら殺す』
 ‥‥まあ、男キャラの評価ってのは、ここでは結局そこに落ちつくっすよね。

「正義の戦士メイド・ゴールド推参!」
 次に現れたのはキョーコさんです。
 こちらもあっしにとってはいつものメイド姿にゴールドマスクなんすけど、今回はキャラコンペってことで、その姿の由来を切々と語ります。
 普段はとある屋敷で働く目立たないメイドなのですが、屋敷の主が物を粗末にすることに胸を痛め、ティピーリュースに協力しているとのこと。
『お、女性助っ人キャラか。こっちのほうがいいな♪』
 男どものテンションだだ上がりです。まあそんだけゴージャスな体型してて目立たないメイドとかどういうことよとかお約束なツッコミを入れたいところではありますからね。
「そんわけでハーイ。皆こっちー」
 ただ見せ歩くだけでなく、イベントの一環を装って、手にしたカメラで写真撮影。
 他の人たちを撮っていると見せかけて、秋葉原の街並みを写していきます。
 ‥‥ですよね? 趣味で皆さんの格好保存してるわけじゃねえっすよね?

「主人の蛮行を嘆くならば、何故立ち向かわない!」
 ついで現れたのはセラ(gc2672)さん、こちらもおなじみの魔奏少女です。
「聞こえないのか。この悲しみの旋律が!」
 物事を旋律として捉える事ができる魔法少女、マジカル☆リリック。
「捨てられし道具の代弁者。それが魔奏少女だ!」
 おぉ、どうやら魔法少女でありながら敵に味方するポジションですね。
 ティピーリュースと同じく物を大切に思っているが、取った行動は逆。
 その旋律で道具達の最後の恨みを成就させるべく活動しているそうです。
「そうはさせないの! 闇に覆われしこの世界を貫く、正義の光の一閃!
 光に導かれ、魔槍少女ファリス、ここに参上なの!
 立ち塞がる敵はこの槍で一撃必滅なの!」
 こっから続いて出る魔法少女系。但しこっちは純粋に追加キャラ系統ですね。
 ファリスさん。堂々と名乗っちゃってますがいいのかな。
 エプロンドレスからは、今天使の羽が生えております。あ、覚醒じゃないっすよ。
 華美な装飾を施した槍を振りつつ、堂々とした態度で魔法少女アピールです。
『うーん、でもつながりが分からんなあ』
 正統派魔法少女ではあるのですが、ティピーリュースとのつながりが見えないため観客の一部は困惑気味です。
『でも可愛いからよし』
 ‥‥まあ、真理ですが。
「闇のヴェールを穿つ光の弾丸! 魔弾少女隊、マジカル☆リボルバー フレイムバレット参上!」
 そこで一緒に茜さんが登場。
「‥‥アクアバレットですわ」
 同時に、大和撫子のような楚々とした振る舞いで猫屋敷 猫(gb4526)さん登場。巫女装束がベースですが、名前を意識して袴は青に。丈を短く太ももも見せたお色気衣装です。なんてあざとい。いいぞもっとやれ。
「戦友とともに、全ての悪を打ち滅ぼそう!」
 茜さんの呼びかけに、ファリスさんが応じて槍を掲げます。
「‥‥一緒にしないで頂戴! 馴れ馴れしい!」
 猫さんはそうやってぷいっとそっぽを向いてしまいました。どうやらフレイムバレットに対抗意識満々と言う設定の模様。
 ですが軽く演技やアクションも交えつつ歩く中、猫さんの表情が一変。ちょうど茜さんの死角となる位置に向かって薙刀を一閃。
『『『バレット?』』』
 思わず、見ていた肩から総ツッコミが入りました。ええあえて言うっすよ。銃じゃねえのかよ。
「助かったよ! アクア!」
「あなたを倒すのは私なの! こんな雑魚に負けるなんて許さないわよ!」
 言いながらちょっともじもじ。うあ。ツンデレか。ちっちゃい女の子がお姉さんに対抗意識でツンデレとかなんてベタな。いいぞもっとやれ。
『攻撃的な魔法少女だよな』
『あれじゃないか? ライバルキャラって言ってたから、救おうとするリュースたんと対比で、ただ敵倒せばいいとかそういうキャラ』
『ああー。ちょっとキメラ倒して威張ってる能力者みたいな連中か。そう思うとムカついてくるな』
 ざわり。周囲の空気がちょっとおかしくなりました。
 何人かがちょっと難しい顔になるっす。‥‥だんだんと、この街が持ってる茨も見えてくるっすね。
『まー、アニメのキャラにムキになってもしょうがないけどなー』
 誰かが言って、不穏な気配はとりあえず消えました。

「ぬう、こんなところにも魔法少女がっ!?」
 トリを努めますは雨霧 零(ga4508)さん。
「‥‥失礼。私はとある少女の周りでおきる不可思議な事件について捜査している探偵である。それとはまた別のある日、ひょんな事からティーピーリュースという魔法少女の存在を知ったのだ」
 朗々と語る零さん。
 どうやら「一般人でありながら魔法少女に近づく存在」という立場のキャラのようです。
 事件の捜査と平行して魔法少女の正体を探る探偵。
 独自の情報を元に妖怪が出そうな場所をピックアップ、張り込みをするのだが、そのためにピンチとなってティピーリュースに助けてもらい。
 やがて、調査の対象であったティピーリュースと親しくなっていく。
 そうして、よき相談役となったり精神面でのサポートをする、そんな立ち位置のお助けキャラ、と言う訳っすね。
 なかなかに面白い設定、と観客受けはよいようです。そして一部、お姉さんと魔法少女がきゃっきゃうふふか‥‥とすでに違う方向に思いをめぐらせている方が。
 まあさておき。

 基本的に、皆さん堂々と演じきってるため‥‥つーか一部、素の自分を基にしてたり完全に楽しんでたりするしな‥‥ため、あんまボロは出ていない模様です。
 キャラに対する駄目だしは入っているようですが、逆に本気でコンペと信じきられてるが故っすね。
 なんら問題なく局内に侵入。
 厳しい視線も飛んできますが、皆さん一切の恥じらいもなくキャラを演じ続けます。‥‥正直すげえ。
 零さんなんかは、分のキャラの役割がいかにティピーリュースに与える影響が大きいのか、等とサポートキャラの大切さを説いてまわり、熱心に売り込んでいます。作品の予習も完璧にこなしてきたのか、随分な熱意と完成度です。っていうか、スタッフがめっちゃ真剣に聞き入ってますが、いいんでしょうか。本気で採用されそうな勢いだぞこれ。
「やあ皆さん、お疲れ様です!」
 そこへ近づいてくるプロデューサーが一人。
「中々好評だったじゃないですかー、流石ですね。それじゃあ、外で細かい打ち合わせに入りましょうか」
 そう言って軽く手振り。ティピーリュースの先日の放送にさりげなく描写されてた人物、ポーズに、これが目的のレジスタンスであると確信します。
 連れ立ってぞろぞろと局を立ち去る一堂に、特に不審も抱かれないままビルを出ることに成功します。
 琢磨さんもその様子に気付いて移動開始、なるべーく自然を装って外に出ると‥‥そのまま脱出成功。



 このまま一路横浜へ‥‥と行きたいですが、そうは問屋がおろしません。
 レジスタンスが帰ってこないことに気付いた向こうさんが、偵察、追っ手を放ってきましたよー。てなわけでばっさばっさと鳥型キメラが五体ほど。
「ここまで来たんだ、逃げ切らせてもらうさ!」
 殿を務めていたキョーコさんが、車から降りるやいなやスローイングナイフを投げて応戦。
 零さんが後衛を陣取りザフィエルを構えると、和泉さんがその中〜後衛をフォローする位置に入ります。
 ファリスさんは空中にいるキメラにエアスマッシュを叩き込んでから前に出て。
「偽りの姿はもう要らない。真の魔奏少女に刮目しろ!」
 セラさんが、コンペではないからもう遠慮はないとばかりに真の力、まあハーモナーの歌スキルっすね、を発動しつつ。
「アクアカッター! 落ちなさい!」
 猫さんが、ファリスさんと同じようにエアスマッシュ発動。
「鷹は音に乗り更に飛び上がり、そして風になる! エターナル・クロウ!」
 沙玖さんが、攻撃しようと降りてきたキメラに流し切りを加えます。
 いやあのー、あんたらもう、演技はいいんですよ?
「今日も後ろは任せたぞ、フレイム・バレット!」
 しかしまあ、そんなこんなでも沙玖さんとファリスさんは茜さんが突出しないようにしっかりフォローです。なんだかんだで、扱いに慣れてきましたよね皆さん。

 まあそのなんだ。つまり。
 正直ここまできてこの程度のキメラ、ぶっちゃけたいした問題じゃないので略。



 そんなこんなで、無事にレジスタンスが基地に届けられて、これまで不明瞭だった符丁の部分が細かく説明、今後の情報の受け取りにより正確さが期待されるという成果が報告されました。皆さんお疲れ様です。

「その‥‥えっと、今5月だがホワイトデーのお返しを」
 あれ。一息ついたところで沙玖さんが茜さんに何か渡してます。
 柑橘系のビン詰めキャンディーですね。
「へ? ああ、別にお返しなんて良かったけど。でもありがと」
 食べ物に対して食べ物なら、と、気楽にひょいっと受け取る茜さんです。
 かわいらしいラッピングに、へーとしげしげと眺める茜さん。これで結構可愛いもの好きなんすよね。
「‥‥よければ今度‥‥今度‥‥」
 ってなわけで、ぼそぼそと沙玖さんがいいかけるのを、ロクにちゃんと聞いてなかった茜さん、「え、何?」と聞き返しますが。
「いや、なんでもない」
 がっくりと肩を落として沙玖さんは言いかけたことを取りやめました。
 え。何。なんなのこれ。どういうことよ。